(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【図面の簡単な説明】
【0035】
【
図1】
図1(a)は、エッチングパターン作成装置により作成されたエッチングパターンが形成されたマスクを載せた状態を示す電子基板の斜視説明図であり、また、
図1(b)は、
図1(a)のI−I線断面図であり、また、
図1(c)は、エッチングパターン内にエッチングレジストを充填した状態を示す電子基板の斜視説明図であり、また、
図1(d)は、
図1(c)のII−II線断面図であり、また、
図1(e)は、マスクを除去した後、エッチングレジストが充填された箇所以外の導体をエッチング処理により溶解した状態を示す電子基板の斜視説明図であり、また、
図1(f)は、
図1(e)のIII−III線断面図であり、また、
図1(g)は、導体パターンが形成された電子基板の斜視説明図であり、また、
図1(h)は、
図1(g)のIV−IV線断面図である。
【
図2】
図2は、サイドエッチングされた状態の電子基板の端面図である。
【
図3】
図3は、本発明によるエッチングパターン作成装置のハードウェア構成を示すブロック構成図である。
【
図4】
図4は、本発明によるエッチングパターン作成装置の機能的構成を表すブロック構成説明図である。
【
図5】
図5は、本発明によるエッチングパターン作成処理の処理ルーチンを示すフローチャートである。
【
図6】
図6(a)は、ランドをアウトライン化した状態を示す説明図であり、また、
図6(b)は、ラインをアウトライン化した状態を示す説明図であり、また、
図6(c)は、外周幅のある面をアウトライン化した状態を示す説明図であり、また、
図6(d)は、ポリゴンで表示される面をアウトライン化した状態を示す説明図である。
【
図7】
図7は、導体パターン全体をアウトライン化した状態を示す説明図である。
【
図8】
図8(a)は、屈曲したラインのアウトライン形状を示す説明図であり、また、
図8(b)は、端点と中間点とを結ぶ線分においてアウトラインを発生させた状態を示す説明図であり、また、
図8(c)は、
図8(b)において、端点から円弧状のアウトラインを発生させた状態を示す説明図であり、また、
図8(d)は、
図8(c)の中間点から隣り合う中間点とを結ぶ線分においてアウトラインを発生させた状態を示す説明図であり、また、
図8(e)は、アウトライン同士を接続した状態を示す説明図である。
【
図9】
図9は、電子基板データからアウトライン形状を作成した状態を示す説明図である。
【
図10】
図10は、設定処理の処理ルーチンを示すフローチャートである。
【
図11】
図11は、リニア・イコール補正設定ウインドウにおける表示内容を示す説明図である。
【
図12】
図12は、設定したクリアランス値と補正値との関係を直線補完して作成したグラフである。
【
図13】
図13(a)は、通常ルールにおいて、補正手法がリニアスペーシングの際に各属性の導体にリニアルールを設定した状態を示す説明図であり、また、
図13(b)は、通常ルールにおいて、補正手法がリニアスペーシングの祭に各属性の導体にサイズおよびリニアルールを設定した状態を示す説明図である。
【
図14】
図14は、通常ルールにおいて、補正手法がイコールスペーシングの際に各属性の導体に補正値および最小クリアランスを設定した状態を示す説明図である。
【
図15】
図15(a)は、ネットグループによりネットルールの対象となるネットを選択した状態を示す説明図であり、また、
図15(b)は、部品内ルールにおける対象となる領域を示した説明図であり、また、
図15(c)は、ルールズバイエリアにおける対象となる領域を示した説明図である。
【
図16】
図16は、詳細設定ウインドウの表示内容を示す説明図である。
【
図17】
図17は、オプション設定ウインドウにおける表示内容を示す説明図である。
【
図18】
図18(a)は、補正ポイント毎に補正値を適用して作成した補正後の導体形状を示す説明図であり、また、
図18(b)は、ランドの形状を保持して作成した補正後の導体形状を示す説明図である。
【
図19】
図19(a)は、面のティアドロップ形状を考慮する場合の処理前の導体パターンのアウトライン形状を示す説明図であり、また、
図19(b)は、
図19(a)の補正処理後の導体形状を示す説明図であり、また、
図19(c)は、事前に補正を行ったワイヤボンドパッドを示す説明図であり、また、
図19(d)は、事前に補正を行ったワイヤボンドパッドの形状を変更しない状態を示す説明図であり、また、
図19(e)は、事前に補正を行ったワイヤボンドパッドの形状を変更した状態を示す説明図である。
【
図20】
図20(a)は、面内のランドおよびパッドを示した説明図であり、また、
図20(b)は、面内のすべての形状に対して補正を行った状態を示す説明図であり、また、
図20(c)は、面内のランドおよびパッドのみを入力した許容値で補正した状態を示す説明図である。
【
図21】
図21(a)は、ミアンダパターンにおいてリニアスペーシングによる補正を行うことなく補正した状態を示す説明図であり、また、
図21(b)は、ミアンダパターンにおいてリニアスペーシングによる補正を行った状態を示す説明図であり、また、
図21(c)は、
図21(b)の一部を拡大した拡大説明図であり、また、
図21(d)は、補正後の導体形状間のクリアランスを確保するために、補正前の導体形状を超えて導体形状を削減した状態を示す説明図であり、また、
図21(e)は、クリアランスを確保する際に元形状以上のカットを許可する設定を行った場合の一例を示す説明図である。
【
図22】
図22(a)は、面のマイナス補正を行うことなく補正後の導体形状間のクリアランスを確保した状態を示す説明図であり、また、
図22(b)は、面のマイナス補正を行って補正後の導体形状間のクリアランスを確保した状態を示す説明図である。
【
図23】
図23(a)は、補正比率設定ウインドウにおける表示内容を示す説明図であり、また、
図23(b)は、ランド−ランド間およびライン−ライン間の補正比率プリダウンの表示内容を示す説明図であり、また、
図23(c)は、ランド−ライン間、ライン−面間、ランド−面間における補正比率の設定方法を示す説明図であり、また、
図23(d)(e)(f)(g)(h)は、補正比率設定ウインドウにおける設定により補正がなされた導体形状を示す説明図である。
【
図24】
図24は、エッチングパターン作成処理の処理ルーチンを示すフローチャートである。
【
図25】
図25(a)は、ランドに計測ポイントを設定した状態を示す説明図であり、また、
図25(b)は、ラインに計測ポイントを設定した状態を示す説明図であり、また、
図25(c)は、面に設定ポイントを設定した状態を示す説明図である。
【
図26】
図26(a)は、ラインに計測ポイントを設定する際に設定ポイントを順番に設けていくための方向を示す説明図であり、また、
図26(b)は、ラインに計測ポイントを設定した状態を示す説明図であり、また、
図26(c)は、
図26(c)の一部を拡大した拡大説明図である。
【
図27】
図27(a)は、導体形状に設けられた計測ポイントと、当該導体形状と隣り合う計測ポイントとのクリアランスを示す説明図であり、また、
図27(b)は、クリアランスの取り方を説明する説明図であり、また、
図27(c)は、クリアランス計測から補正ポイントの作成までを説明する説明図である。
【
図28】
図28は、作成された補正ポイントからの補正後の導体形状を生成を説明する説明図である。
【
図29】
図29(a)(b)(c)は、対象となる導体の補正後の導体形状を示す説明図であり、また、
図31(d)は、
図29(a)(b)(c)を合成して作成した対象領域補正導体パターン形状を示す説明図である。
【
図30】
図30(a)は、導体パターンの一部を示す説明図であり、また、
図30(b)は、
図30(a)における導体を補正して作成した補正導体パターン形状の一部であり、また、
図30(c)は、
図30(b)においてクリアランスを確保するために削減が必要な部分を示す説明図であり、また、
図30(d)は、
図30(c)の一部を拡大して、導体形状を削減説明する説明図である。
【
図31】
図31(a)は、クリアランスを確保した後の補正後の導体形状を示す説明図であり、また、
図31(b)は、
図31(a)の一部を拡大した拡大説明図である。
【
図32】
図32(a)は、イコールスペーシングによる補正において、ランドとラインとの補正後の導体形状をクリアランス確保のために50:50で削減した状態を示す説明図であり、また、
図32(b)は、
図32(a)の一部を拡大した拡大説明図であり、また、
図32(c)は、イコールスペーシングによる補正において、ランドとラインとの補正後の導体形状をクリアランス確保のために30:70で削減した状態を示す説明図であり、また、
図32(d)は、イコールスペーシングによる補正において、ランドとラインとの補正後の導体形状をクリアランス確保のために70:30で削減した状態を示す説明図である。
【
図33】
図33(a)は、イコールスペーシングによる補正において、ランド同士の補正後の導体形状をクリアランス確保のために同一比率で削減した状態を示す説明図であり、また、
図33(b)は、イコールスペーシングによる補正において、ランド同士の補正後の導体形状をクリアランス確保のためにランドサイズに応じた比率で削減した状態を示す説明図であり、また、
図33(c)は、イコールスペーシングによる補正において、ライン同士の補正後の導体形状をクリアランス確保のために同一比率で削減した状態を示す説明図であり、また、
図33(d)は、イコールスペーシングによる補正において、ライン同士の補正後の導体形状をクリアランス確保のためにラインサイズに応じた比率で削減した状態を示す説明図である。
【
図34】
図34は、イコールスペーシングにおける補正において、補正後の導体形状間のクリアランス確保前とクリアランス確保後の状態を示す説明図である。
【
図35】
図35は、リニアルールの設定の変形例において、クリアランス範囲、補正値変化率、基底補正値を入力するための入力画面を示す説明図である。
【
図36】
図36(a)は、
図35において設定された内容をグラフ化した説明図であり、また、
図36(b)は、
図35において設定された内容においてクリアランス範囲の重複や抜けがあった場合になされるエラー表示を示す説明図である。
【
図37】
図37は、メッシュの抜き形状における補正方法を示す説明図である。
【
図38】
図38は、異なる領域に架かるラインの補正例を示した説明図である。
【
図39】
図39(a)(b)は、異なる領域に架かるランドの補正例を示した説明図である。
【
図40】
図40(a)(b)は、異なる領域に架かる面の補正例を示した説明図である。
【
図41】
図41は、設定したクリアランス値と補正値との関係を曲線で表したグラフである。
【
図42】
図42(a)は、屈曲部分において所定の形状で削減されたライン形状のエッチングパターンを電子基板上に塗布した状態を示す説明図であり、また、
図42(b)は、
図42(a)に示す電子基板をエッチング処理した後の導体パターンを示す説明図であり、また、
図42(c)は、屈曲部分において所定の形状で削減しないライン形状のエッチングパターンを電子基板上に塗布した状態を示す説明図であり、また、
図42(d)は、
図42(c)に示す電子基板をエッチング処理した後の導体パターンを示す説明図である。
【
図43】
図43(a)は、角部において所定の形状を追加した面形状のエッチングパターンを電子基板上に塗布した状態を示す説明図であり、また、
図43(b)は、
図43(a)に示す電子基板をエッチング処理した後の導体パターンを示す説明図であり、また、
図43(c)は、角部において所定の形状を追加しない面形状のエッチングパターンを電子基板上に塗布した状態を示す説明図であり、また、
図43(d)は、
図43(c)に示す電子基板をエッチング処理した後の導体パターンを示す説明図である。
【
図44】
図44は、屈曲部分において内側に削除する所定の形状や角部において外側に追加する所定の形状の設定を説明するための説明図である。
【
図45】
図45(a)は、補正の対象となる導体における計測ポイントの最短距離を示す説明図であり、また、
図45(b)は、
図45(a)における計測ポイントに対応したクリアランス値および当該クリアランス値から算出した補正値を示す図表であり、また、
図45(c)は、
図45(b)において記載された補正値を利用いて作成した補正後の導体形状を示す説明図である。
【
図46】
図46(a)は、クリアランス上に補正ポイントを作成した状態を示す説明図であり、また、
図46(b)は、計測ポイントが設けられた辺に対して垂直方向に計測ポイントを移動させて補正ポイントを作成した状態を示す説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0036】
以下、添付の図面を参照しながら、本発明によるエッチングパターン作成装置、エッチングパターン作成方法、プログラムおよびコンピューター読み取り可能な記録媒体の実施の形態の一例を詳細に説明するものとする。
【0037】
まず、
図3には、本発明によるエッチングパターン作成装置のハードウェア構成を表すブロック構成図が示されている。
【0038】
即ち、この本発明によるエッチングパターン作成装置50は、公知のパーソナルコンピューターや汎用コンピューターなどで実現されており、その動作を中央処理装置(CPU)32を用いて制御するように構成されている。
【0039】
そして、このCPU32には、バス34を介して、CPU32の制御のためのプログラムや各種のデータなどを記憶するリードオンリメモリ(ROM)やCPU32のためのワーキングエリアとして用いられる記憶領域などを備えたランダムアクセスメモリ(RAM)などから構成される記憶装置36と、CPU32の制御に基づいて各種の表示を行うCRTや
液晶パネルなどの画面を備えた表示装置38と、表示装置38の表示画面上における任意の位置を指定する入力装置たるマウスなどのポインティングデバイス40と、任意の文字を入力するための入力装置たるキーボードなどの文字入力デバイス42と、外部に接続される各種機器の入出力インターフェース回路(I/O)44とが接続されている。
【0040】
また、このエッチングパターン作成装置50においては、ハードディスクなどの外部記憶装置46がI/O44を介して接続されているとともに、コンパクトディスク(CD)やデジタルバーサタイルディスク(DVD)などのようなコンピューター読み取り可能な記録媒体(以下、単に「記録媒体」と適宜に称する。)30へCPUの制御に基づき生成された各種データを書き込んで記憶させたり、記録媒体30に記憶された各種データを記録装置36へ読み込むためのリードライト装置48がI/O44を介して接続されている。
【0041】
ここで、後述するエッチングパターン作成装置50によるエッチングパターンの作成処理を実行するためのプログラムや当該作成処理に用いる各種データは、記憶装置
36のリードオンリメモリやランダムアクセスメモリへ予め記憶するようにしてもよいし、外部記憶装置46や記録媒体30から記憶装置36のランダムアクセスメモリへ読み込むようにしてもよい。
【0042】
また、エッチングパターン作成装置50に通信機能を設けるようにして、後述するエッチングパターン設計装置50によるエッチングパターン作成処理を実行するためのプログラムや当該作成処理に用いる各種データを、通信により外部からエッチングパターン設計装置30の記憶装置36のランダムアクセスメモリへ読み込むようにしてもよい。
【0043】
なお、以下の説明においては、エッチングパターン作成装置50の理解を容易にするために、記憶装置36にエッチングパターン作成装置50によるエッチングパターンの作成処理を実行するためのプログラムや当該作成処理に用いる各種データが予め記憶されているものとする。
【0044】
次に、
図4を参照しながら、本発明によるエッチングパターン作成装置50について、詳細に説明することとする。
図4は、本発明によるエッチングパターン作成装置の機能的構成を表すブロック構成説明図である。
【0045】
このエッチングパターン作成装置50は、CADやCAMなどのような電子基板設計装置などで作成された電子基板の設計データたる電子基板データを読み込む電子基板データ読込部52と、電子基板データ読込部52において読み込まれた電子基板データから導体パターンをアウトライン化して導体パターンのアウトライン形状を作成するアウトライン形状作成部54と、アウトライン形状作成部54において作成したアウトライン形状を形成する導体パターンを構成するランド、ライン、面の属性を備えた導体に対して、導体形状を補正するための各種設定を行う設定部56と、設定部56において設定された設定の内容に基づいて、当該導体形状を補正して、対象となる領域においてすべての導体における導体形状が補正された状態の対象領域補正導体パターン形状を作成し、作成した各対象領域における対象領域補正導体パターン形状を合成して、電子基板全体における補正導体パターン形状を作成し、作成した補正導体パターン形状における導体間のクリアランスを確保してエッチングパターンを作成するエッチングパターン作成処理部58とを有して構成されている。
【0046】
ここで、導体、導体形状、対象領域補正導体パターン形状、補正導体パターン形状について説明すると、導体とは、導体パターンを構成するランド、ラインあるいは面といった属性を備えた導体パターンの構成要素のことであり、導体形状とは、導体パターンの構成要素である導体の外形形状であるアウトライン形状のことであり、対象領域補正導体パターン形状とは、設定された対象となる領域(後述する通常ルール、ネットルール、部品内ルールおよびルールズバイエリアの4つの補正ルールに設定されている領域のことである。)においてすべての導体における導体形状が補正された状態(まだクリアランスの確保は行われていない。)の導体パターンの形状のことであり、補正導体パターン形状とは、各対象領域において作成された対象領域補正導体パターン形状を合成したものであって、電子基板上のすべての導体パターン形状が補正された状態(まだクリアランスの確保は行われていない)の導体パターンの形状のことである。
【0047】
より詳細には、この設定部56は、リニアスペーシングによる補正時に用いられるとともに、ライン、ランド、面の属性の導体により構成される導体パターンにおいて、所定の導体と隣り合う導体との間の最短距離であるクリアランス値と補正値との関係たるリニアルールを設定するリニアルール設定部62と、電子基板全体を対象とした導体パターンにおける導体形状を補正するための詳細なルール(以下、「導体形状を補正するための詳細なルール」を、単に「補正ルール」と適宜に称することとする。)を示す通常ルール、導体パターンの導体形状のうち、指定したネットを対象とした補正ルールを示すネットルール、導体パターンの導体形状のうち、指定した部品内を対象とした補正ルールを示す部品内ルール、導体パターンの導体形状のうち、指定したエリアを対象とした補正ルールを示すルールズバイエリア(Rules by Area)の4つの領域における補正ルールにおいて、対象となる領域における補正手法および補正の内容を設定する補正内容設定部64と、通常ルール、ネットルール、部品内ルール、ルールズバイエリアの4つの領域における補正ルールのなかで、どの領域を対象とする補正ルールが優先されるのかの優先順位を設定する補正ルール優先順位設定部66と、リニアスペーシングによる補正時に、エッチングパターン作成処理部58において導体形状を補正した導体と、当該導体形状を補正した導体と隣り合う導体(この隣り合う導体の導体形状も補正されている。)とのクリアランスが確保できない場合に、当該導体形状間(つまり、補正後の導体形状間のことである。)のクリアランスを確保するために、指定属性(例えば、面である。)に対して補正前の導体形状を超えて削減して補正を行うこと(以下、「補正前の導体形状を超えて削減して補正を行うこと」を「マイナス補正」と適宜に称することとする。)を許諾するか否かを設定するマイナス補正許諾設定部68と、イコールスペーシングによる補正時に、エッチングパターン作成処理部58において導体形状を補正した補正後の導体と、当該補正後の導体と隣り合う導体(この隣り合う導体の導体形状も補正されている。)とのクリアランスが確保できない場合に、各導体形状(つまり、補正後の導体形状のことである。)を所定の比率で削減する削減比率を設定する比率補正設定部70とを備えている。
【0048】
そして、エッチングパターン作成処理部58においては、補正ルール優先順位設定部66で設定した優先順位の高い領域における補正ルールを優先しながら、リニアスペーシングによる補正時には、計測ポイントを複数作成し、作成した計測ポイント毎に、補正内容設定部64で設定した補正の内容と、リニアルール設定部62で設定したリニアルールから導体間の距離をX、補正値をYとする一次関数による計算式を作成し、その計算式に導体間の最短距離の実測値を代入して補正値を算出し、算出した補正値に基づいて対象となる導体の導体形状を補正するとともに、補正後の導体形状において直線上の構成点(後述する補正ポイントに相当する。)の削除や微線分の円弧化などの処理を行ってデータの軽量化を図り、対象となる領域においてすべての導体形状が補正された状態の対象領域補正導体パターン形状を作成し、イコールスペーシングによる補正時には、補正内容設定部64で設定した補正ルールに基づいて、対象となる領域においてすべての導体の導体形状が補正された状態の対象領域補正導体パターン形状を作成する。
【0049】
さらに、エッチングパターン作成処理部58においては、各対象領域における対象領域補正導体パターン形状を合成して補正導体パターン形状を作成し、リニアスペーシングによる補正時には、作成した補正導体パターン形状において導体間のクリアランスが確保されているか否かを判定し、導体間のクリアランスが確保されていないと判断された場合には、所定の比率(例えば50:50)で対象となる導体の導体形状を削減するとともに、必要に応じて、マイナス補正許諾設定部68において設定したマイナス補正の許諾の可否に基づいて、導体形状のマイナス補正を行って、導体間のクリアランスが確保された状態の補正導体パターン形状をエッチングパターンとしてエッチングパターンを作成する。一方、イコールスペーシングによる補正時には、作成した補正導体パターン形状において導体間のクリアランスが確保されているか否かを判定し、導体間のクリアランスが確保されていないと判定された場合には、比率補正設定部70において設定した削減比率に基づいて、対象となる導体の導体形状を削減して、導体間のクリアランスが確保された状態の補正導体パターン形状をエッチングパターンとしてエッチングパターンを作成する。そして、こうして作成されたエッチングパターンを電子基板データに書き込むものである。
【0050】
以上の構成において、
図5以下に示すフローチャートなどを参照しながら、本発明によるエッチングパターン作成装置50によって作成されるエッチングパターンの作成処理の内容について説明する。
【0051】
このエッチングパターン作成装置50においては、従来より公知の電子基板設計装置(図示せず。)と接続されており、この電子基板設計装置で作成された設計データを利用して、以下に説明するエッチングパターン作成作業処理を行うこととなる。
【0052】
図5には、エッチングパターン作成作業処理の処理ルーチンのフローチャートが示されている。
【0053】
まず、エッチングパターン作成装置50が起動されると、この
図5に示すエッチングパターン作成作業処理が起動され、電子基板データ読込部52により、予め記憶装置36に記憶された電子基板の設計データたる電子基板データの読み込みを行う(ステップS502)。
【0054】
電子基板データの読み込みが完了すると、次に、アウトライン形状作成部54において、読み込んだ電子基板データに基づいて、導体パターンのアウトライン化を行い、導体パターンのアウトライン形状を作成する(ステップS504)。
【0055】
具体的には、指定された層から処理対象となる導体パターンを取得して、当該導体パターンを形成するランド、ライン、面といった形状を示す3つの属性のデータのアウトライン化を行い(
図6(a)(b)(c)(d)を参照する。)、当該導体パターン全体のアウトライン化を行う(
図7を参照する。)。このとき、座標値計算は倍精度の実数で実施することにより、高精度で導体パターンの外形形状であるアウトラインを発生することが可能となる。
【0056】
なお、ラインにおける端点および中間点のアウトライン形状については、ペン幅と同径の円弧形状をアウトラインとして発生するようにする(
図8(a)を参照する。)。
【0057】
即ち、ラインにおける端点の円弧発生方法としては、まず、端点と隣り合う中間点とを結ぶ線分に対して、”ペン幅/2.0”分オフセットした線分を発生させて、ラインの外周線分を発生させる。(
図8(b)を参照する。)。
【0058】
次に、端点側の線分を”ペン幅/2.0”の径の円弧(半円)で接続することにより、端点部に円弧形状のアウトラインを生成する(
図8(c)を参照する。)。
【0059】
また、ラインにおける中間点の円弧発生方法としては、まず、中間点同士を結ぶ線分に対して”ペン幅/2.0”分オフセットした線分を発生させて、ラインの外周線分を発生させる(
図8(d)を参照する。)。
【0060】
次に、外周線分が形成する角度が0度より大きく180度未満の場合は、当該外周線分同士の交点を
アウトラインの外形構成点とし、それ以外の角度の場合には、”ペン幅/2.0”の径の円弧で接続するものである(
図8(e)を参照する。)。
【0061】
また、電子基板データでは、塗りデータ(LPDデータ)と抜きデータ(LPDデータ)とが混在している場合があり、こうした電子基板データにおいては、塗りデータ/抜きデータを分けて読み込みを行い、
図9に示すように、まず、塗りデータ1に対して抜きデータ1を合成して合成形状1を作成し、作成した合成形状1に塗りデータ2を合成して合成形状2を作成する。そして、作成した合成形状2に抜きデータ2を合成して合成形状3を作成し、作成した合成形状3に対してアウトライン化を行うものである。
【0062】
次に、エッチングパターンを作成するために、作成した導体パターンを構成する導体の導体形状に対して、補正を行うための補正手法や補正ルールなどの補正処理を行う際に必要となる各種の設定を行う設定処理を行う(ステップS506)。
【0063】
ここで、
図10のフローチャートには、このステップS506の処理における設定処理の詳細な内容が示されており、この設定処理においては、まず、作業者がポインティングデバイス40を操作して、各導体の導体形状に対して補正を行うための補正手法や補正ルールなどを設定するためのリニア・イコール補正設定ウインドウ1201(
図11を参照する。)を開き、導体パターンのアウトライン形状からエッチングパターンを作成する際に必要な導体パターンのアウトライン形状を補正するためのルール設定を行う。
【0064】
なお、このリニア・イコール補正設定ウインドウにおけるリニア・イコール補正とは、リニア補正およびイコール補正のことであり、リニア補正とは、リニアスペーシングによる補正のことであり、また、イコール補正とは、イコールスペーシングによる補正のことである。
【0065】
導体パターンのアウトライン形状からエッチングパターンを作成する際に必要な導体パターンのアウトライン形状を補正するためのルール設定として、まず、作業者が補正ルール優先順位設定部66において、通常ルール、ネットルール、部品内ルールおよびルールズバイエリアの4つの領域における補正ルールの中でどの領域を対象とする補正ルールを優先して実行するかの優先順位を設定する(ステップS1002)。
【0066】
即ち、このステップS1002の処理においては、通常ルールに対応する電子基板全体、ネットルールに対応する指定したネット、部品内ルールに対応する指定した部品内、ルールズバイエリアに対応する指定したエリアのうちの4つの領域について優先順位を設定することにより、当該4つの領域における補正ルールの中でどの領域を対象とする補正ルールを優先して実行するかの優先順位を設定するものである。
【0067】
そして、このステップS1002の処理では、補正ルール優先順位設定部66において、例えば、ルールズバイエリア、部品内ルール、ネットルール、通常ルールの順に優先順位が低くなるように設定したとすると、最も高い優先順位に設定された対象領域の補正ルールが優先的に適用されることとなり、部品内ルールとルールズバイエリアとが重複した領域においては、ルールズバイエリアの補正ルールが優先的に適用されることとなるものである。
【0068】
次に、作業者が補正内容設定部64において、各対象領域における補正ルールの詳細、つまり、補正手段および補正の内容を設定する(ステップS1004)。
【0069】
このステップS
1004の処理においては、通常ルールにおける補正手段および補正の内容を設定する場合を一例として説明することとする。
【0070】
まず、補正手法選択プルダウン1208により通常ルールにおける補正手法を「リニアスペーシング」または「イコールスペーシング」から選択する。
【0071】
補正手法として「リニアスペーシング」を選択すると、グレーアウトされていたリニアルール設定ボタン1210のグレーアウトが解除されてリニアルール設定ボタン1210をクリックすることが可能となるとともに、ランド、ライン、面の属性名を入力する名詞入力欄1212aと、名詞入力欄1212aに入力された属性の導体のうち補正対象とするサイズを設定するサイズ設定欄1212bと、対象となる属性の導体に対してなされるリニアルールを設定するリニアルール設定欄1212cとが表示される。
【0072】
すると、まず、リニアルール設定ボタン1210をクリックしてリニアルールの設定ウインドウを表示させる。
【0073】
このリニアルールの設定においては、リニアルール設定部62においてリニアルールを設定するために、ランド、ライン、面の3つの属性より表される導体より構成される導体パターンの内の所定の導体形状と、当該所定の導体形状と隣り合う導体形状とのクリアランス値を数点と、当該数点のクリアランス値に対応する補正値とを設定
する。
【0074】
つまり、こうした導体形状間のクリアランス値と当該クリアランス値に対応する補正値との関係をランド、ライン、面の各導体毎に設定するものとする。
【0075】
例えば、ラインについて、ラインと、当該ラインと隣り合う導体とのクリアランス値が20のときには補正値を4とし、当該クリアランス値が50のときには補正値を7とし、クリアランス値が100のときには補正値を9.5として設定すると、
図12に示すように各設定点を直線補完してグラフが作成され、こうしたグラフで示されるクリアランス値と補正値との関係をWIRE_Rule1と設定される。
【0076】
なお、一定以上のクリアランス値を超えると、補正値は一定になるように設定されており、上記の場合にはクリアランス値が100以上で補正値が一定となるように設定されている。
【0077】
そして、ラインについて、WIRE_Rule1と設定された関係以外に、こうしたクリアランス値と補正値との関係を2種類設定し、全部でWIRE_Rule1、WIRE_Rule2、WIRE_Rule3の3種類のリニアルールを設定する。
【0078】
同様の作業をランドおよび面についても行い、ランドについてはLAND_Rule1、LAND_Rule2、LAND_Rule3の3種類のリニアルールを作成するとともに、面については、FACE_Rule1、FACE_Rule2、FACE_Rule3の3種類のリニアルールを作成する。
【0079】
その後、補正内容設定部64において補正の内容を設定するために、名詞入力欄1212aにランド、ライン、面の属性名を入力し、各属性に対して設定したリニアルールを入力する。
【0080】
即ち、名詞入力欄1212a−1に「ライン」を入力した場合には、リニアルール設定欄1212c−1に「WIRE_Rule1」、「WIRE_Rule2」、「WIRE_Rule3」のうちのいずれかのリニアルールを設定し、名詞入力欄1212a−2に「ランド」を入力した場合には、リニアルール設定欄1212c−2に「LAND_Rule1」、「LAND_Rule2」、「LAND_Rule3」のうちのいずれかを設定し、名詞入力欄1212a−3に「面」を入力した場合には、リニアルール設定欄1212c−3に「FACE_Rule1」、「FACE_Rule2」、「FACE_Rule3」の内のいずれかを設定する(
図13(a)を参照する。)。
【0081】
さらに、同じ属性の導体に対しサイズ毎に異なるリニアルールを割り当てる場合には、名詞入力欄1212aに同じ属性名を入力し、サイズ設定欄1212bにおいてサイズを設定し、リニアルール設定欄1212cにおいてリニアルールを設定するようにする。
【0082】
例えば、名詞入力欄1212a−1に「ランド」を入力し、サイズ設定欄1212b−1に「<:0.0005」と設定し、このときのリニアルールとしてリニアルール設定欄1212c−1に「LAND_Rule1」を設定し、名詞入力欄1212a−2「ランド」を入力し、サイズ設定欄1212b−2に「0.0005:<=:<:0.01」と設定し、このときのリニアルールとしてリニアルール設定欄1212c−2に「LAND_Rule2」を設定し、名詞入力欄1212a−3に「ランド」を入力し、サイズ設定欄1212b−3に「0.01:<=」と設定し、このときのリニアルールとしてリニアルール設定欄1212c−3に「LAND_Rule3」を設定することにより、ランドにおいて、0.5μm未満のランドについてはリニアルール「LAND_Rule1」による補正となり、0.5以上、10μm未満のランドについてはリニアルール「LAND_Rule2」による補正となり、10μm以上のランドについてはリニアルール「LAND_Rule3」による補正となる(
図13(b)を参照する。)。
【0083】
このとき、ランドのサイズとは、ランドの直径の長さであり、ラインのサイズとは、ライン幅の長さであり、面のサイズとは、面の面積となっている。
【0084】
一方、ステップS1004の処理において、通常ルールにおける補正方法として「イコールスペーシング」を選択すると、ランド、ライン、面の属性名を入力する名詞入力欄1602a、名詞入力欄1602aに入力された属性の導体のうち補正対象とするサイズを設定するサイズ設定欄1602b、名詞入力欄1602aに入力された属性の導体と隣り合う導体との補正前のクリアランスを設定するクリアランス設定欄1602c、名詞入力欄1602aに入力された属性の導体を補正する補正値を設定する補正値設定欄1602d、名詞入力欄1602aに入力された属性の導体において補正処理後に隣り合う導体と確保しなければならないクリアランス値を設定する最小クリアランス設定欄1602eとが表示される(
図14を参照する。)。
【0085】
すると、まず、補正内容設定部64において補正の内容を設定するために、名詞入力欄1602aにランド、ライン、面の属性名を入力し、補正値設定欄1602dに入力した属性の導体に対して補正すべき補正値を入力するとともに、最小クリアランス設定欄1602eに入力した属性の導体において、補正処理後に確保しなければならないクリアランス値を設定する。
【0086】
即ち、
図14に示すように、通常ルールにおいて、名詞入力欄1602aに「ランド」を入力し、補正値として「0.00500」を設定し、最小クリアランスとして「0.03000」を設定すると、電子基板全体を対象として、ランドについて補正値0.005で一律に補正、つまり、ランドのアウトラインを一律に5μm太らせて補正し、補正後のランドと隣り合う補正後の導体とのクリアランスが30μmを確保できない場合には、30μmを確保するように補正するということになる。
【0087】
また、
図14に示すように、通常ルールにおいて、名詞入力欄1602aに「ライン」を入力し、補正値として「0.01000」を設定し、最小クリアランスとして「0.04000」を設定すると、電子基板全体を対象として、ラインについて補正値0.01で一律に補正、つまり、ラインのアウトラインを一律に10μm太らせて補正し、補正後のラインと隣り合う補正後の導体とのクリアランスが40μmを確保できない場合には、40μmを確保するように補正するということになる。
【0088】
さらに、
図14に示すように、通常ルールにおいて、名詞入力欄1602aに「面」を入力し、補正値として「0.00300」を設定し、最小クリアランスとして「0.05000」を設定すると、電子基板全体を対象として、面について補正値0.003で一律に補正、つまり、面のアウトラインを一律に3μm太らせて補正し、補正後の面と隣り合う補正後の導体とのクリアランスが50μmを確保できない場合には、50μmを確保するように補正するということになる。
【0089】
なお、サイズ設定欄1602bについては、上記において説明した補正手法においてリニアスペーシングを選択した場合と同様にして、サイズ設定欄1602bに所定のサイズを設定することにより、1つの属性をサイズにより補正値を変えて補正するようすることができるものである。
【0090】
また、クリアランス設定欄1602cについては、クリアランス設定欄1602cに、例えば、名詞入力欄1212aに入力された属性の導体と隣り合う導体との補正前のクリアランスが0.01以上0.1未満のように設定すると、この範囲のクリアランスを備えた属性の導体のみ補正値設定欄1602dで設定された補正値により補正されることとなる。このため、名詞入力欄1212aに入力された属性の導体と隣り合う導体との補正前のクリアランスの範囲を変えることにより、1つの属性を補正値を変えて補正することができるようになる。
【0091】
なお、上記したステップS1004の処理においては、通常ルールにおける補正手段および補正の内容を設定する場合について説明したが、部品内ルールおよびルールズバイエリアにおける補正手段および補正の内容の設定については、対象となる領域を設定する点においてのみ通常ルールと異なっている。
【0092】
つまり、通常ルールの場合には、電子基板全体が対象となるので、特に指定する必要がないが、ネットルール、部品内ルールおよびルールズバイエリアにおいては、それぞれ対象となる領域を設定する必要がある。
【0093】
ネットルールの場合には、ネットルールのタブをクリックすると、グレーアウトされていたネットグループ設定ボタン1214のグレーアウトが解除されてネットグループ設定ボタン1214をクリックすることが可能となる。
【0094】
そして、ネットグループ設定ボタン1214をクリックすると、ネットグループ設定ウインドウ4102が開き、ネットグループ設定ウインドウ4102において表示されたネットグループを選択することにより、ネットグループ選択ボックス4104に選択したネットグループ名が表示され、当該ネットグループにおける補正の内容の設定を行うことができるようになる(
図15(a)を参照する。)。
【0095】
また、ポインティングデバイス40により対象とするネットを選択することもできるものである。
【0096】
こうして選択したネットグループに対して、通常ルールにおける補正の内容の設定時と同様にして、補正の内容を設定する。
【0097】
また、部品内ルールの場合には、部品の属性を指定することで部品内ルールの対象となり領域が設定されるものであり、指定した属性の部品が実装される領域が対象領域となる(
図15(b)を参照する。)。
【0098】
こうして選択された部品内ルールの対象となる領域に対して、通常ルールにおける補正の内容の設定時と同様にして、補正の内容を設定する。
【0099】
また、ルールズバイエリアの場合には、ポインティングデバイス40により指定するエリアを囲んで対象とする領域を選択するものであり、例えば、
図15(c)に示すように、アナログ部の領域とデジタル部の領域とをそれぞれ異なる対象領域(
図15(c)においては、デジタル部は対象領域1とし、アナログ部は対象領域2で示されている。)として指定することができる。
【0100】
こうして選択された部品内ルールの対象となる領域に対して、通常ルールにおける補正の内容の設定時と同様にして、補正の内容を設定する。
【0101】
次に、このステップS1004の処理において、補正手段および補正内容の設定が完了すると、クリアランスを確保またはチェックするか否かの設定を行う(ステップS1006)。
【0102】
このステップS1006の処理においては、チェックボックス1220をチェックすることにより、補正後の導体間のクリアランスを確保またはチェックする設定を行うものである。
【0103】
チェックボックス1220をチェックすると、グレーアウトされていた詳細設定ボタン1218のグレーアウトが解除されて詳細設定ボタン1218をクリックすることが可能となり、詳細設定ボタン1218をクリックすると詳細設定ウインドウ4802が表示される(
図16を参照する。)。
【0104】
そして、リニアスペーシングのクリアランス値グループボックス4806において、設定ボックス4806aにおいてランドについて隣り合う導体と確保すべきクリアランス値を設定し、設定ボックス4806bにおいてラインについて隣り合う導体と確保すべきクリアランス値を設定し、設定ボックス4806cにおいて面について隣り合う導体と確保すべきクリアランス値を設定する。
【0105】
ここでのランド、ラインおよび面について設定したクリアランス値においては、例えば、ランドの場合、補正後にランドと補正後の周囲の導体形状とが確保すべき最小のクリアランス値となる。
【0106】
ここで、例えば、ランドについて設定した最小のクリアランス値が「0.045」で、ラインについて設定した最小のクリアランス値が「0.05」であった場合において、実際にランド−ライン間のクリアランスが「0.045」であったときに、ランドのクリアランス確保の処理の時点では、クリアランスが確保されているとの判断がなされ、ラインのクリアランス確保の処理の時点では、クリアランスが確保されていないとの判断がなされて、この時点でクリアランスを確保するための補正が実施されることとなる。
【0107】
さらに、実行モードグループボックス4804において、オプションボタン4804aを選択すると、「クリアランスをチェックする」処理が行われる設定となり、オプションボタン4804bを選択すると、「クリアランスを確保して補正する」処理が行われる設定となる。
【0108】
この「クリアランスをチェックする」処理とは、補正後の導体形状が、設定したクリアランス値未満となる箇所をエラーとして検出する処理である。
【0109】
また、「クリアランスを確保して補正する」処理とは、補正後の導体形状が、設定したクリアランス値未満となる箇所に対して、クリアランス値を確保するように補正後の導体形状を変更するとともに、補正後の導体形状間のクリアランスのチェックを行い、設定したクリアランス値未満となる箇所をエラーとして検出する処理である。
【0110】
なお、クリアランス値を確保するように補正後の導体形状を変更する場合には、例えば、50:50で補正後の導体形状間のクリアランスを確保するために、各補正後の導体形状を同量ずつ削減するようにする。
【0111】
次に、クリアランス計測ピッチを設定する処理を行い(ステップS1008)、補正後の導体間のクリアランスを確保またはチェックする際に、導体間のクリアランスを計測する間隔たるクリアランス計測ピッチの設定を行う。
【0112】
つまり、チェックボックス1222をチェックすると、設定ボックス1222aに数値を入力することが可能となり、作業者により、導体間のクリアランスを計測する間隔たるクリアランス計測ピッチの入力を行うものであり、例えば、設定ボックス1222aの「0.01」と入力すると、10μmの間隔で導体間のクリアランスの計測を行うこととなる。
【0113】
その後、このステップS1008の処理において、クリアランス計測ピッチの設定が完了すると、オプション設定ボタン1216をクリックし、オプション設定ウインドウを開き(
図17を参照する。)、各種オプション設定として、まず、「共通」項目における設定を行う(ステップS1010)。
【0114】
このステップS1010の処理においては、オプション設定ウインドウに表示されるオプション設定の中の「共通」項目に表示された補正内容を設定するものである。
【0115】
ここで、オプション設定ウインドウ1702においては、3つの項目が設けられており、リニアスペーシングおよびイコールスペーシングに共通して適用される補正の内容である「共通」項目1704と、リニアスペーシングのみに適用される補正の内容である「リニアスペーシング」項目1706と、イコールスペーシングのみに適用される補正の内容である「イコールスペーシング」項目1708とが設けられている。
【0116】
そして、ステップS1010の処理においては、この「共通」項目1704に表示された補正の内容についての設定を行う。以下、「共通」項目1704において設定する補正の内容について説明する。
【0117】
この「共有」項目1704においては、ランド形状を保持するか否かを設定するチェックボックス1704cと、面のティアドロップを考慮するか否かを設定するチェックボックス1704fと、ワイヤボンドパッドの形状を変更するか否かを設定するチェックボックス1704gと、面内の形状はランド/パッドのみ補正するか否かを設定するチェックボックス1704iとが設けられている。
【0118】
まず、ランド形状を保持するか否かの設定については、エッチングパターン作成処理部58による導体形状の補正処理において、補正後の形状でランド形状(円形形状)を保持するか否かの設定をするものである。
【0119】
つまり、チェックボックス1704cにチェックを入れない場合には、補正後の導体形状でランド形状を保持しなくなり、計測ポイントにおける計測毎に隣り合う
導体とのクリアランスを計測して、計測ポイント毎に補正値を適応してランド形状を補正し、チェックボックス1704cにチェックを入れた場合には、クリアランス確保後の補正後の導体形状においてランド形状を保持して、最大で補正できる補正値を適応してランド形状を補正することとなる(
図18(a)(b)を参照する。)。
【0120】
また、面のティアドロップを考慮するか否かの設定については、エッチングパターン作成処理部58による導体形状の補正処理において、ランドに付けられたティアドロップ形状が面データで作成されている場合に、その面のデータに対して、ラインにおける補正ルールを適用するか否かの設定を行うものである。
【0121】
つまり、チェックボックス1704fにチェックを入れない場合には、面データで作成されたティアドロップ形状に対して、面における補正ルールが適用されるようになり、チェックボックス1704fにチェックを入れた場合には、面データで作成されたティアドロップ形状に対して、ラインにおける補正ルールが適用されるようになる(
図19(a)(b)を参照する。)。
【0122】
さらに、ワイヤボンドパッドの形状を変更するか否かの設定については、事前にワイヤボンドパッド補正を実行後に、対象となる導体に対して補正を行った場合に、補正後の導体間のクリアランス確保する際に、ワイヤボンドパッド形状を変形するか否かの設定を行うものである。
【0123】
つまり、チェックボックス1704gにチェックを入れない場合には、補正後の導体形状間のクリアランスを確保する際に、補正後のワイヤボンドパッド形状を変形しないこととなり、チェックボックス1704gにチェックを入れた場合には、補正後の導体形状間のクリアランスを確保する際に、補正後のワイヤボンドパッド形状を変形することとなる(
図19(c)(d)(e)を参照する。)。
【0124】
また、面内の形状はランド/パッドのみ補正するか否かの設定については、面内に対する補正処理として、面に包含されたランド、パッドのみ補正を行うか否かの設定を行うものである。
【0125】
つまり、チェックボックス1704iにチェックを入れない場合には、面内すべての形状に対して補正を行うこととなり、チェックボックス1704iにチェックを入れた場合には、テキストボックス1704i−1に許容値を入力して許容値を設定することが可能となり、当該許容値に基づいて面内の形状はランド/パッドのみ補正することとなる(
図20(a)(b)(c)を参照する。)。
【0126】
具体的には、チェックボックス1704iにチェックを入れた場合には、面形状からはみ出した量が、設定した許容値の範囲内、つまり、設定した許容値以下であるランド/パッドに対してのみ補正が行われることとなる。
【0127】
なお、こうした「共通」項目1704における各種オプション設定は、補正内容設定部64において設定されるものであり、設定された内容はエッチングパターン作成処理部58において補正されるものである。
【0128】
次に、各種オプション設定として「リニアスペーシング」項目における設定を行う(ステップS1012)。
【0129】
このステップS1012の処理においては、オプション設定ウインドウ1702に表示される「リニアスペーシング」項目1706に表示された補正の内容についての設定を行う。以下、「リニアスペーシング」項目1706において設定する補正の内容について説明する。
【0130】
この「リニアスペーシング」項目1706においては、ライン/面自身をクリアランス計測の対象にするか否かを設定するチェックボックス1706aと、クリアランスを確保する際に、元形状以上のカットを許可するか否かを設定するチェックボックス1706bと、面のマイナス補正を行うか否かを設定するチェックボックス1706dとが設けられている。
【0131】
まず、ライン/面自身をクリアランス計測の対象にするか否かの設定については、エッチングパターン作成処理部58による導体形状の補正処理において、ミアンダパターンなどの同電位の導体形状に対して、一連のデータ内でクリアランスを計測するのかを設定するものである。
【0132】
つまり、チェックボックス1706aにチェックを入れない場合には、ミアンダパターンなどの同電位の導体形状に対して、ミアンダパターン間のクリアランスを測定することなく、ラインに設定された補正の内容に基づいて補正し(つまり、ミアンダパターン間においてリニアスペーシングによる補正を行わないものである。)、チェックボックス1706bにチェックを入れた場合には、ミアンダパターンなどの同電位の導体形状に対して、同電位のミアンダパターン間でクリアランスを計測して補正値を算出し、算出した補正値に基づいて導体形状を補正する(つまり、ミアンダパターン間においてもリニアスペーシングによる補正により導体形状を補正するものである。)こととする。(
図21(a)(b)(c)を参照する。)。
【0133】
また、クリアランスを確保する際に元形状以上をカットするか否かの設定については、導体形状を補正処理した後に、当該導体形状と隣り合う導体形状とのクリアランスを確保する際に、元の形状、つまり、補正前の導体形状を超えて削減してよいか否かを設定するものである。
【0134】
つまり、チェックボックス1706bにチェックを入れない場合には、導体形状を補正処理した後に、当該導体形状と隣り合う導体形状とのクリアランスを確保する際に、元の形状以上のカットを許可しない、つまり、クリアランスを確保できないままの状態とするが、元形状を削減しない範囲で、所定の比率(例えば、50:50)で当該導体形状と隣り合う導体形状とを削減してクリアランスを確保するものである。
【0135】
一方、チェックボックス1706bにチェックを入れた場合には、ランドを選択するチェックボックス1706b−1、ラインを選択するチェックボックス1706b−2、面を選択するチェックボックス1706b−3のチェックが可能となり、ランド、ライン、面を少なくとも1つ選択する。すると、導体形状を補正処理した後に、当該導体形状と隣り合う導体形状とのクリアランスを確保するために、所定の比率(例えば、50:50)で当該導体形状と隣り合う導体形状とを削減し、このとき、各導体の元形状の削減を行って、つまり、補正前の導体形状を超えた削減を行って、クリアランスを確保するようにするものである(
図21(d)(e)を参照する。)。
【0136】
また、面のマイナス補正を行うか否かの設定については、ランド、ラインの補正後の形状を保持したまま、クリアランスを確保する場合に指定するものである。即ち、面と隣り合うランドまたはラインを、ランドまたはラインの補正後の導体形状を保持したまま、つまり、面:ランド、ラインを100:0の比率で削減する設定を行うものである。
【0137】
具体的には、チェックボックス1706dにチェックを入れない場合には、導体形状を補正処理した後に、当該導体形状と隣り合う導体形状とのクリアランス値を確保する際に、各導体を所定の比率(例えば、50:50)で削減することとなり、チェックボックス1706dにチェックを入れた場合には、導体形状を補正処理した後に、当該導体形状と隣り合う導体形状とのクリアランス値を確保する際に、面のみを削減する(
図22(a)(b)を参照する。)
【0138】
その際、面の補正前の導体形状を削ってでもクリアランスを確保する場合、チェックボックス1706b−3をチェックすることとなる。
【0139】
つまり、面のマイナス補正だけでは、クリアランスが確保できなかった場合、上記したクリアランスを確保する際に元形状以上をカットするか否かの設定と組み合わせてクリアランスを確保する処理がなされることとなる。
【0140】
なお、面のマイナス補正を行うか否かの設定においては、ランド−面間、ライン−面間のクリアランスを確保する場合のみが対象となるものであって、ランド−ランド間、ライン−ライン間、ランド−ライン間のクリアランスを確保する際に、補正前の導体形状以上に削減するか否かは、面のマイナス補正を行うか否かの設定とは関係がない。
【0141】
なお、こうした「リニアスペーシング」項目1706における各種オプション設定のうち、ライン/面自身をクリアランス設計の対象にするか否かの設定については、補正内容設定部64において設定されるものであり、クリアランスを確保する際に元形状以上のカットを許可するか否かの設定および面のマイナス補正をするか否かの設定については、マイナス補正許諾設定部68において設定されるものであり、設定された内容は、エッチングパターン作成処理部58において補正されるものである。
【0142】
次に、各種オプション設定として「イコールスペーシング」項目における設定を行う(ステップS1014)。
【0143】
このステップS1014の処理において、オプション設定ウインドウ1702に表示される「イコールスペーシング」項目1708に表示された補正の内容について設定を行う。以下、「イコールスペーシング」項目1708について設定する補正の内容について説明する。
【0144】
この「イコールスペーシング」項目1708においては、補正比率設定ボタン1708aのみ設けられている。
【0145】
この補正比率設定は、イコールスペーシング補正において、クリアランスを確保する際、つまり、導体形状を補正処理した後に、当該導体形状と隣り合う導体形状とのクリアランスを確保する際に、各導体形状を削減する比率たる補正比率について、導体形状のサイズや導体の属性によらず同一比率で補正するのか、導体形状のサイズの比率によって補正比率を変更するのかを設定したり、導体の属性の組み合わせに応じた補正比率を設定するものである。
【0146】
なお、導体形状のサイズとは、導体がランドの場合にはランドの直径の長さであり、導体がラインの場合にはライン幅の長さのことである。
【0147】
まず、補正比率設定ボタン1708aをクリックすると、補正比率設定ウインドウ2402が表示される(
図23(a)を参照する。)。
【0148】
表示された補正比率設定ウインドウ2402において、ランド−ランド間(
図23(a)ではランド:ランドで示されている。)の補正比率を設定するランド−ランド間補正比率選択プルダウン2404aにより、ランド−ランド間の補正比率をランド同士のサイズに関係なく同一比率により削減する「同一比率で補正」またはランド−ランド間の補正比率をランド同士のサイズの比率で補正する「サイズの比率で補正」を選択する(
図23(b)を参照する。)。
【0149】
また、ライン−ライン間(
図23(a)ではライン:ラインで示されている。)の補正比率を設定するライン−ライン間補正比率設定プルダウン2402bにより、ライン−ライン間の補正比率をライン同士のサイズに関係なく同一比率による削減する「同一比率で補正」またはライン−ライン間の補正比率をライン同士のサイズの比率で補正する「サイズの比率で補正」を選択する(
図23(b)を参照する。)。
【0150】
つまり、こうした設定により、ランド−ランド間およびライン−ライン間においては、「同一比率で補正」を選択した場合には、サイズに関係なく各ランド、各ラインから同一の比率で補正後の導体形状が削減されることとなる。一方、「サイズの比率で補正」を選択した場合には、例えば、ランドAとランドAの2倍のサイズのランドBとの比率補正を行うときでは、ランドAにおける削減量を1とするとランドBの削減量は2となり、サイズが大きいほどより大きな削減量で補正後の導体形状が削減されることとなる。
【0151】
このため、こうした設定によりサイズが小さいランドやライン幅が細いラインを優先して太く補正することができるようになる(
図23(d)(e)を参照する。)。
【0152】
また、表示された補正比率設定ウインドウ2402においてランド−ライン間、ライン−面間、ランド−面間において、それぞれの導体の属性の組み合わせに応じた補正比率を設定することができる。
【0153】
ランド−ライン(
図23(a)(c)においてはランド:ラインと示されている。)間の補正比率を設定する場合には、ランド補正比率入力ボックス2404aにランドの補正比率を入力すると、入力したランドの補正比率に応じてラインの補正比率が決定し、ライン−面(
図23(a)(c)においてはライン:面と示されている。)間の補正比率を設定する場合には、ライン補正比率入力ボックス2404bにラインの補正比率を入力すると、入力したラインの補正比率に応じて面の補正比率が決定し、ランド−面(
図23(a)(c)においてはランド:面と示されている。)間の補正比率を設定する場合には、ランド補正比率入力ボックス2404cにランドの補正比率を入力すると、入力したラインの補正比率に応じて面の補正比率が決定する(
図23(c)を参照する。)。
【0154】
こうして導体の属性の組み合わせによる補正比率を決定すると、設定した補正比率に基づいて、クリアランスを確保するように、補正後の導体形状を削減するものである(
図23(f)(g)(h)を参照する。)。
【0155】
そして、上記したステップS506の設定処理による各種の設定が完了すると、次に、ステップS506の設定処理により設定した内容に基づいて、エッチングパターン作成処理部58において、導体パターンのアウトライン形状に基づいて、導体パターンを構成する導体の導体形状を補正してエッチングパターンを作成するエッチングパターン作成処理を行う(ステップS508)。
【0156】
ここで、
図24のフローチャートには、このステップS508の処理におけるエッチングパターン作成処理の詳細な内容が示されており、このエッチングパターン作成処理においては、まず、通常ルール、ネットルール、部品内ルールおよびルールズバイエリアの4つの領域内における補正ルールのうち、最も優先順位の高い対象領域内における補正ルールを選択する(ステップS2402)。
【0157】
即ち、このステップS2402の処理においては、設定処理におけるステップS1002の処理において設定された対象領域の優先順位に基づいて、最も優先順位の高い対象領域に設定される補正ルールを選択するものである。
【0158】
次に、選択した補正ルールに設定された補正手法がリニアスペーシングであるか否かの判断を行う(ステップS2404)。
【0159】
即ち、このステップS2404の判断処理においては、設定処理におけるステップS1004において設定された各対象領域における補正ルールに基づいて、当該対象領域の補正ルールを設定する上で選択した補正手法がリニアスペーシングであるか否かの判断を行うものである。
【0160】
このステップS2404の判断処理において、選択した補正ルールに設定された補正手法がリニアスペーシングであると判断された場合には、選択した補正ルールの対象領域内において、まだ補正されていない導体の属性を選択する(ステップS2406)。
【0161】
このステップS2406の処理においては、例えば、通常ルールにおいて
図13(a)に示すように補正ルールが設定されていたとすると、名詞入力欄1212aに入力されたランド、ライン、面のうちから、まだ補正処理を行っていない導体の属性を選択する。具体的には、ランド、ライン、面のうち、まだ何れも補正処理を行っていない場合には、ランド、ライン、面のうちのいずれか1つを選択し、ランド、ライン、面のうち、ランドについて補正処理が終了し、ラインと面とが補正処理を行っていない場合には、ラインおよび面のうちのどちらか1つを選択し、ランド、ライン、面のうち、ランドおよびラインについて補正処理が終了し、面のみ補正処理を行っていない場合には、面を選択するものである。
【0162】
補正されていない導体の属性を選択した後に、選択した導体の属性のうち、まだ補正されていない導体を選択する(ステップS2408)。
【0163】
即ち、ステップS2408の処理においては、例えば、
図13(a)に示すように補正ルールが設定され、ステップS2406の処理においてランドが選択されたとすると、電子基板全体において形成されるランドの中から、まだ補正処理を行っていないランドを選択するものである。
【0164】
そして、ステップS2408の処理において、まだ補正されていない導体を選択すると、次に、ステップS2408の処理において選択した導体と隣り合う導体をすべて選択する(ステップS2410)。
【0165】
ステップS1004の処理においてステップS2406の処理で選択した導体の属性に対して設定したリニアルールから一次関数による計算式を作成する(ステップS2412)。
【0166】
このステップS2412の処理においては、ステップS1004の処理において設定したリニアルールから一次関数による計算式を作成するものであって、例えば、
図12に示すように、クリアランス値20のときに補正値が4、クリアランス値50のときに補正値が7、クリアランス値100のときに補正値が9.5の場合には、クリアランス値が0〜20のときには、y=0.2xが導き出され、クリアランス値20〜50にときには、y=0.1x+2が導き出され、クリアランス値50〜100のときには、y=0.05x+4.5が導き出され、クリアランス値100を超えるときには、y=9.5が導き出される。なお、この計算式においては、yが補正値であり、xがクリアランス値となる。
【0167】
その後、ステップS2408の処理において選択した導体において複数の計測ポイントを設定する(ステップS2414)。
【0168】
このステップS2414の処理においては、ステップS2408の処理において選択した導体において、予め設定された間隔で計測ポイントを設定することとなる。
【0169】
こうした計測ポイントは、
図25(a)(b)(c)に示すように、アウトライン化された導体形状に対して設けられるものであり、隣り合う導体とのクリアランスを測定するためのポイントであって、この計測ポイントの設定は、予め設定された間隔(この間隔は、ステップS1008において設定したクリアランス計測ピッチであり、以下、このクリアランス計測ピッチのことを、単に「計測ピッチ」と適宜に称することとする。)で導体形状のアウトライン上に設定される。
【0170】
また、こうした計測ポイントは、導体形状のアウトラインにおいて、各線分や各円弧毎に、支点から終点に向かって所定の方向に順番に配設されるものである。具体的には、例えば、
図26(a)(b)(c)に示すように、計測ポイントは、ラインのアウトライン上を所定の方向に順番に配設され、線分Aでは線分Aの始点P1から所定の方向に線分Aの終点P2まで予め設定された計測ピッチで等間隔に配設され、次いで、円弧Aにおいて円弧Aの始点P3から所定の方向に円弧Aの終点P4まで予め設定された計測ピッチで等間隔に配設され、次いで、線分Bにおいて線分Bの始点P5から所定の方向に線分Bの終点P6まで予め設定された計測ピッチで等間隔に配設される。
【0171】
このため、線分Aにおける最後の計測ポイントと円弧Aの始点P3における計測ポイントとの間隔、円弧Aにおける最後の計測ポイントと線分Bの始点P5における計測ポイントとの間隔は、計測ピッチ以下のピッチとなる。
【0172】
そして、ステップS2414の処理において設定した計測ポイントのうちで、まだ補正ポイントを作成していない計測ポイントを選択する(ステップS2415)。
【0173】
このステップS2415の処理においては、ステップS2414の処理において設定した複数の計測ポイントのうち、まだ補正処理を行っておらず、計測ポイントを補正して移動させた補正ポイントを作成していない計測ポイントを選択するものである。
【0174】
その後、ステップS2415の処理において選択した計測ポイントと最も近くに位置する隣り合う導体までの最短距離を計測する(ステップS2416)。
【0175】
このステップS2416の処理においては、ステップS2415の処理で選択した計測ポイントと最も近い位置に位置する導体までの最短クリアランスを計測する(計測した最短クリアランスの値は最小クリアランス値とする。)ものであって(
図27(a)を参照する。)、この際、ステップS2415の処理で選択した測定ポイントから計測される最短クリアランスが当該測定ポイントが設けられた導体形状と交差するような場合には、こうした最短クリアランスは測定対象とせず、ステップS2415の処理で選択した計測ポイントが設けられた導体形状と交差することのない最短クリアランスを測定対象とする(
図27(b)を参照する。)。
【0176】
次に、計測した最小クリアランス値をステップS2412の処理で作成した計算式に代入し、補正値を算出し、算出した補正値分だけ計測ポイントを移動し、補正ポイントを作成する。(ステップS2418)。
【0177】
このステップS2418の処理においては、ステップS2416の処理において算出した最小クリアランス値を、ステップS2412の処理で作成し、算出した最小クリアランス値に対応した計算式に代入し、補正値を算出する。さらに、計測ポイントを、当該計測ポイントが位置する辺に対して垂直方向に補正値分だけ、当該計測ポイントが設けられた導体形状の外側に移動させて補正ポイントを作成する。なお、計測ポイントが位置する辺が曲線の場合には、当該計測ポイントにおける接線に対して垂直方向に計測ポイントを移動させるようにする(
図27(c)を参照する。)。
【0178】
そして、ステップS2418の処理によりステップS2415の処理で選択した計測ポイントから補正ポイントを作成した後、ステップS2414の処理で設定した計測ポイントのうち、まだ補正ポイントを作成していない計測ポイントがあるか否かの判断を行う(ステップS2420)。
【0179】
このステップS2420の判断処理において、ステップS2414の処理で設定した計測ポイントのうち、まだ補正ポイントを作成していない計測ポイントがあると判断された場合には、ステップS2415の処理に戻り、まだ補正ポイントを作成していない計測ポイントを選択する処理を行い、ステップS2416の処理以降の処理へ進む。
【0180】
一方、ステップS2420の判断処理において、ステップS2414の処理で設定した計測ポイントのうち、まだ補正ポイントを作成していない計測ポイントがないと判断された場合には、各補正ポイントを結び補正後の導体形状を生成する(ステップS2422)。
【0181】
即ち、このステップS2422の処理においては、隣接するステップS2418の処理により作成された補正ポイントを線分で結ぶことにより、補正後の導体形状を生成するものである(
図28を参照する。)。
【0182】
その後、生成した補正後の導体形状に対して、一直線上の構成点(補正ポイントに相当する。)の削除や連続する微線分を円弧化するなどの処理を行いデータの軽量化を図る(ステップS2424)。
【0183】
ステップS2424の処理において生成した補正後の導体形状のデータの軽量化がなされると、次に、ステップS2406の処理において設定した導体の属性のうち、まだ補正されていない導体があるか否かの判断を行う(ステップS2426)。
【0184】
つまり、このステップS2426の判断処理においては、ステップS2406の処理において設定した導体の属性がランドの場合には、まだ補正がなされていないランドがあるか否かの判断を行うものである。
【0185】
このステップS2426の判断処理において、ステップS2406の処理において設定した導体の属性のうち、まだ補正されていない導体があると判断された場合には、ステップS2408の処理に戻り、まだ補正されていない導体を選択し、ステップS2410の処理以降の処理に進む。
【0186】
一方、ステップS2426の判断処理において、ステップS2406の処理において設定した導体の属性のうち、もう補正されていない導体がないと判断された場合には、ステップS2402の処理で選択した補正ルールにおいて、まだ補正されていない導体の属性があるか否かの判断を行う(ステップS2428)。
【0187】
このステップS2428の判断処理において、ステップS2402の処理において選択した補正ルールの対象領域内において、まだ補正されていない導体の属性があると判断された場合には、ステップS2406の処理に戻り、ステップS2402の処理において選択した補正ルールの対象領域内において、まだ補正されていない導体の属性を選択し、ステップS2408の処理以降の処理に進む。
【0188】
つまり、このステップS2428の判断処理においては、ステップS2402の処理において選択した補正ルールの対象領域内において、まだラインおよび面が補正されていないと判断された場合には、ステップS2406の処理に戻り、当該ラインまたは当該面を選択してステップS2408の処理以降の処理に進むこととなる。
【0189】
一方、ステップS2428の判断処理において、ステップS2402の処理において選択した補正ルールの対象領域内において、もう補正されていない導体の属性がないと判断された場合には、当該対象領域におけるすべての導体に対する補正後の導体形状を合成して、すべての導体形状が補正された状態の対象領域補正導体パターン形状を作成する(ステップS2434)。
【0190】
即ち、このステップS2434の処理においては、
図29に示すように、面312の補正後の導体形状(
図29(a)を参照する。)と、面314の補正後の導体形状(
図29(b)を参照する。)と、ランド314の補正後の導体形状(
図29(c)を参照する。)とを合成して、対象領域補正導体パターン形状(
図29(d)を参照する。)を作成する。
【0191】
その後、まだ実行していない補正ルールがあるか否かの判断を行う(ステップS2436)。
【0192】
一方、ステップS2404の判断処理において、ステップS2402の処理で選択した補正ルールの対象領域に設定されている補正手法がリニアスペーシングでない、つまり、イコールスペーシングであると判断された場合には、当該対象領域内において、すべての導体に対して、設定処理におけるステップS1004の処理において設定した補正値に基づいて対象領域補正導体パターン形状を作成する(ステップS2435)。
【0193】
つまり、このステップS2435の処理においては、ステップS2402の処理で選択した補正ルールの対象領域内のすべての導体に対して、ステップS1004の処理において補正値設定欄1602dに設定された補正値に基づいて対象領域補正導体パターン形状を作成する。
【0194】
具体的には、補正値設定欄1602dに設定された補正値分だけすべての導体形状を太らせる補正を行い補正後の導体形状を生成し、対象領域補正導体パターン形状を作成するものである。
【0195】
その後、ステップS2436の処理に進み、まだ実行していない補正ルールがあるか否かの判断を行う。
【0196】
このステップS2436の判断処理において、まだ実行していない補正ルールがあると判断されると、まだ実行していない補正ルールの中で最も優先順位の高い対象領域の補正ルールを選択し(ステップS2438)、ステップS2404の判断処理に戻り、ステップS2404の処理以降の処理を行う。
【0197】
なお、ステップS2438の処理において選択した補正ルールの対象領域内において既に補正された導体が存在する場合、当該導体は優先順位が高い対象領域の補正ルールにより補正されているはずであるため、補正の対象から外れることとなる。つまり、優先順位の高い対象領域内において既に補正された導体に関しては、次に優先順位の高い対象領域内に当該導体形状の一部または全部が入っていたとしても、当該次に優先順位の高い対象領域内における補正において、補正の対象から外れることとなる。
【0198】
なお、このステップS2438の処理においては、設定処理におけるステップS1002の処理において設定された対象領域の優先順位に基づいて、まだ実行していない補正ルールの中で、最も優先順位の高い対象領域に設定される補正ルールを選択するものである。
【0199】
一方、ステップS2436の判断処理において、もう実行していない補正ルールがないと判断されると、すべての対象領域補正導体パターン形状(つまり、通常ルールで設定された補正ルールにより補正された電子基板全体における対象領域補正導体パターン形状、ネットルールで設定された補正ルールにより補正された対象となるネットにおける対象領域補正導体パターン形状、部品内ルールで設定された補正ルールにより補正された対象となる部品が位置する領域における対象領域補正導体パターン形状、ルールズバイエリアで設定された補正ルールにより補正された対象となるエリアにおける対象領域補正導体パターン形状のことである。)を合成して、すべての導体形状が補正された状態の補正導体パターン形状を形成する(ステップS2440)。
その後、補正導体パターン形状において、まだ導体形状間(つまり、補正後の導体形状間のことである。)のクリアランスを確認していない導体形状を選択し(ステップS2442)、選択した導体形状と隣り合う導体形状との間のクリアランスが確保されているか否かの判断を行う(ステップS2444)。
【0200】
このステップS2444の判断処理において、ステップS2442の処理において選択した導体形状と隣り合う導体形状との間のクリアランスが確保されていると判断されると、ステップS2442の処理に戻り、ステップS2442の処理以降の処理を行う。
【0201】
一方、ステップS2444の判断処理において、ステップS2442の処理において選択した導体形状と隣り合う導体形状との間のクリアランスが確保されていないと判断されると、ステップS2442の処理において選択した導体形状が存在する最も優先順位の高い対象領域の補正ルールにおける補正手法がリニアスペーシングであるか否かの判断を行う(ステップS2445)。
【0202】
ここで、例えば、ルールズバイエリア、部品内ルール、ネットルール、通常ルールの順で補正ルールの優先順位が低くなる(つまり、指定したエリア、指定した部品内、指定したネット、電子基板全体の順で対象領域の優先順位が低くなることである。)ものとするとともに、ステップS2442の処理において選択した導体形状が指定した部品内(部品内ルールに対応する領域)および指定したエリア(ルールズバイエリアに対応する領域)に存在するものとすると、ステップS2445の処理においては、当該導体形状が存在する最も優先順位の高い対象領域の補正ルールたるルールズバイエリアにおける補正手法がリニアスペーシングであるか否かの判断がなされるものである。
【0203】
このステップS2445の判断処理において、ステップS2442の処理において選択した導体形状が存在する対象領域の補正ルールにおける補正手法がリニアスペーシングであると判断された場合には、設定処理のステップS1012の処理において設定した、クリアランスを確保する際に、元形状以上のカットを許可するか否かの設定と、面のマイナス補正を行うか否かの設定とにおいて、元形状、つまり、補正前の導体形状を削減して補正を行うというマイナス補正の許可がなされているか否かの判断を行う(ステップS2446)。
【0204】
つまり、このステップS2446の判断処理においては、クリアランスを確保する際に、元形状以上のカットを許可するか否かを設定するチェックボックス1706bおよび面のマイナス補正を行うか否かを設定するチェックボックス1706dにチェックが入っているか否かの判断がなされる。なお、チェックボックス1706dのチェックはマイナス補正に必須ではなく、バリエーションとして組み合わせ可能なものである。
【0205】
ここで、通常、導体形状間のクリアランスを確保するには、すべての対象領域における導体パターンにおける各導体を補正して補正導体パターン形状を作成し、作成した補正導体パターン形状においてクリアランスを確保するために、クリアランスが確保されていない導体形状間において所定の比率(例えば、50:50であり、こうした比率は予め設定されているものである。)に基づき、当該導体形状の属性に応じて対象となる各導体形状を削減するものである(
図30(a)(b)(c)(d)を参照する。)。
【0206】
ところが、このステップS2446の判断処理において、マイナス補正が許可されていると判断されると、クリアランスを確保するために対象となる各導体形状を削減する際に、導体形状の削減量が大きく、補正前の導体形状を超えて削減しなければならない部分に対して、設定処理のステップS1012の処理において設定された設定の内容に基づいてマイナス補正をしながら対象となる各導体形状を削減する(ステップS2448)。
【0207】
具体的には、ステップS1012の処理において、面のマイナス補正を行う設定がなされていると、
図31(a)(b)に示すように、面において補正前の導体形状を超えて補正後の導体形状が形成されている。
【0208】
そして、対象となる導体形状間のクリアランスを確保した後に、補正導体パターン形状において、まだクリアランスの確認を行っていない導体形状があるか否かを判断する(ステップS2450)。
【0209】
また、ステップS2446の判断処理において、マイナス補正が許可されていないと判断されると、クリアランスを確保するために対象となる各導体形状を削減する際に、導体形状の削減量が大きく、補正前の導体形状を超えて削減しなければならない部分に対して、補正前の導体形状を超えて削減することのない範囲、つまり、補正前の導体形状と同形状になるまでを限度に対象となる導体形状を削減し(ステップS2452)、その後、ステップS2450の処理に進む。
【0210】
一方、ステップS2445の判断処理において、ステップS2442の処理において選択した導体形状が存在する対象領域の補正ルールにおける補正手法がリニアスペーシングでない、つまり、イコールスペーシングであると判断された場合には、設定処理のステップS1014の処理において設定した比率補正設定の内容に基づき、当該導体形状の属性と隣り合う導体形状における属性とに応じて各導体形状が削減される(ステップS2453)。
【0211】
具体的には、対象となる導体形状がランドとラインとの場合には、ステップS1014の処理における比率補正設定でランド:ラインの補正比率の設定が「50:50」であれば、補正後のランド形状と補正後のライン形状とから同じ削減量で削減されてクリアランス確保後のランド形状とライン形状とを作成することとなる。(
図32(a)(b)を参照する。)。
【0212】
また、ランド:ラインの補正比率の設定が「30:70」であれば、補正後のランド形状から3割、補正後のライン形状から7割削減されてクリアランス確保後のランド形状とライン形状とを作成し(
図32(c)を参照する。)、また、ランド:ラインの補正比率の設定が「70:30」であれば、補正後のランド形状から7割、補正後のライン形状から3割削減されてクリアランス確保後のランド形状とライン形状とを作成することとなる(
図32(d)を参照する。)。
【0213】
さらに、対象となる導体形状がランドとランドとの場合には、ステップS1014の処理における比率補正設定でランド:ランドの補正比率の設定が「同一比率で補正」であれば、補正後のランド形状からサイズに関係なく同じ削減量で削減されて2つの補正後のランド形状のクリアランスを確保することとなる(
図33(a)を参照する。)。
【0214】
また、ステップS1014の処理における比率補正設定でランド:ランドの補正比率の設定が「サイズの比率で補正」であれば、補正後のランド形状からサイズに応じた削減量で削減されて2つの補正後のランド形状のクリアランスを確保することとなる(
図33(b)を参照する。)。
【0215】
さらにまた、対象となる導体形状がラインとラインとの場合には、ステップS1014の処理における比率補正設定でライン:ラインの補正比率の設定が「同一比率で補正」であれば、補正後のライン形状からサイズに関係なく同じ削減量で削減されて2つの補正後のライン形状のクリアランスを確保することとなる(
図33(c)を参照する。)。
【0216】
また、ステップS1014の処理における比率補正設定でライン:ラインの補正比率の設定が「サイズの比率で補正」であれば、補正後のライン形状からサイズに応じた削減量で削減されて2つの補正後のライン形状のクリアランスを確保することとなる(
図33(d)を参照する。)。
【0217】
なお、設定した比率補正設定の内容に基づいて各導体形状が削減される場合には、補正前の導体形状を超えて削減されることはない。つまり、比率補正設定の内容に基づいて各導体間の導体形状を削減する場合に、比率補正設定で設定した比率により、補正前の導体形状を超えて削減してしまうときには、補正前の導体形状を超えることのない範囲で削減するようにする。
【0218】
こうした対象となる導体形状間で確保されたクリアランスは、
図34のようになる。
【0219】
なお、ステップS2442の処理において選択した導体形状と隣り合う導体形状がステップS2442の処理において選択した導体形状が存在する領域と異なる領域の場合には、当該隣り合う導体形状については、当該隣り合う導体形状が存在する領域の補正ルールにおける補正手法に基づいてクリアランスの確保が行われる。
【0220】
こうして、ステップS2453の処理により、比率補正の内容によってステップS2442の処理において選択した導体形状と、隣り合う導体形状とのクリアランスが確保されると、ステップS2450の処理に進む。
【0221】
このステップS2450の判断処理において、補正導体パターン形状において、まだクリアランスの確認を行っていない導体形状があると判断されると、ステップS2442の処理に戻り、補正導体パターン形状において、まだ導体形状間のクリアランスを確認していない導体形状を選択し、ステップS2444の処理以降の処理に進む。
【0222】
一方、ステップS2450の判断処理において、補正導体パターン形状において、もうクリアランスの確認を行っていない導体形状はないと判断されると、導体形状間のクリアランスが確保された補正導体パターン形状をエッチングパターン形状として、電子基板データ状に書き込み(ステップS2454)、エッチングパターン作成処理を終了し、エッチングパターンの作成作業が終了する。
【0223】
なお、上記したエッチングパターン作成処理における導体形状の補正処理において補正された内容は、適宜、表示装置38に表示されるものである。
【0224】
また、上記したエッチングパターン作成処理において、特に記載しなかったが、設定処理のステップS1010の処理において設定したオプション設定などは、適宜、所定のタイミングで処理されるものである。
【0225】
即ち、ランド形状を保持する設定である場合には、クリアランス確保時にランド形状を保持するように処理を行う。
【0226】
また、ワイヤボンドパッドの形状を変更する設定の場合には、クリアランス確保時にワイヤボンドパッドの形状を変更する処理を行い、面の形状はランド/パッドのみ補正するよう設定した場合には、面内に対する補正処理として、面に包含されたランド、パッドのみを補正の対象とするようにし、ライン/面自身をクリアランス計測の対象するよう設定した場合には、クリアランス確保時にクリアランス計測の対象となり、クリアランスが確保される処理がなされる。
【0227】
こうして上記したステップS508のエッチングパターン作成処理により電子基板データにエッチングパターン形状が書き込まれて、エッチングパターンが作成されることとなる。
【0228】
以上において説明したように、本発明によるエッチングパターン作成装置50は、CADやCAMなどのような電子基板設計装置などで作成した電子基板データに基づいて、当該電子基板データから導体パターンのアウトライン形状を形成し、形成した導体パターンのアウトライン形状に対して、設定した補正の内容に基づいて導体パターンを構成するランド、ライン、面といった導体形状を補正してエッチングパターンを作成するようにしたものである。
【0229】
また、本発明によるエッチングパターン作成装置50は、対象とする領域毎に詳細な補正の内容を設定するとともに、当該領域に優先順位を設けるようにした。そして、優先順位の高い領域内の導体形状をその領域に設定された補正の内容に基づいて補正するようにし、領域毎の補正が完了した後に、各領域毎に補正した導体形状を合成しエッチングパターンを作成するようにした。
【0230】
さらに、本発明によるエッチングパターン作成装置50は、導体間の最短距離を表すクリアランス値を数点と、当該数点のクリアランス値に対応する補正値との関係から一次関数の計算式を作成し、作成した計算式を利用して導体形状を補正し、さらに、クリアランスを確保するために所定の比率により導体形状を削減する補正を行うリニアスペーシングと、設定した補正値により一律に導体形状を補正し、導体形状間のクリアランスを確保するために導体形状の属性に応じて設定した比率により導体形状を削減する補正を行うイコールスペーシングとを選択するようにした。
【0231】
さらにまた、リニアスペーシングの際には、設定によりクリアランスを確保する際に、補正前の導体形状を削減した補正を行うことが可能なようにした。
【0232】
これにより、本発明によるエッチングパターン作成装置50は、エッチング処理により製造誤差を考慮してエッチングパターンを作成することができ、連続的な形状でエッチングパターンを作成することができるものである。
【0233】
なお、「補正後の導体形状間の最小クリアランス」、「リニアルールにおいて設定する所定のクリアランスに対する補正値」、イコールスペーシングの設定時に設定する補正値」については、作業者よって決められるものであり、例えば、当該作業者が所属する会社のノウハウによって決定され、エッチングパターン作成装置10に予め設定しているものである。
【0234】
なお、上記した実施の形態は、以下の(1)乃至(12)に示すように変形することができるものである。
【0235】
(1)上記した実施の形態においては、対象領域における補正ルールでは、補正手段としてリニアスペーシングまたはイコールスペーシングを選択するようにしたが、これに限られるものではないことは勿論であり、補正手段をリニアスペーシングのみとして選択不可能なようにしてもよいし、補正手段をイコールスペーシングのみとして選択不可能なようにしてもよい。
【0236】
(2)上記した実施の形態においては、リニアルールの設定の際に、対象とする導体と隣り合う導体とのクリアランス値を数点と、当該数点のクリアランス値に対応する補正値とを設定して、設定した数点のクリアランス値と補正値とから一次関数の計算式を作成するようにしたが、これに限られるものではないことは勿論であり、クリアランスの範囲毎に補正値変化率および基底補正値を入力して一次関数の計算式を作成するようにしてもよい(
図35を参照する。なお、
図35における最小クリアランスと最大クリアランスとは、補正前のクリアランスの範囲を示すものである。)。
【0237】
このとき、設定した補正ルールをグラフ化して表示装置38において表示させるようにし(
図36(a)を参照する。)、クリアランス範囲の指定において、範囲の重複や抜けがあった場合には、エラーメッセージを表示するようにしてもよい(
図36(b)を参照する。)。
【0238】
(3)上記した実施の形態においては、特に記載しなかったが、メッシュの抜き形状に対する補正に関しては、面と同じ補正の内容でリニアスペーシングにより補正され、メッシュ抜き形状のサイズを計測し、その値をクリアランス値として補正を算出して、メッシュの抜き形状の補正を行うものである(
図37を参照する。)。
【0239】
(4)上記した実施の形態においては、優先順位の高い対象領域の補正ルールから優先順位の低い対象領域の補正ルールを順番に実行することによって、優先順位の高い対象領域内の導体から順番に補正処理を行うようにしたが、これに限られるものではないことは勿論であり、優先順位の低い対象領域の補正ルールから優先順位の高い対象領域の補正ルールを順番に実行することにより、最も低い優先順位の対象領域内の導体から順番に補正を行うようにしてもよく、要は、優先順位の高い対象領域内の導体は、優先順位の高い対象領域に設定された補正の内容により補正されるものであれば補正処理を行う対象領域の順番はどのように設定してもよい。
【0240】
(5)上記した実施の形態においては、複数の領域に架かる導体について、特に記載しなかったが、下記のようにして補正すればよい。
【0241】
例えば、対象となる領域にラインが架かっている場合には、当該ラインの軸線と対象となる領域の境界線の交点を生成し、生成した交点においてラインの軸線と直交する線分を生成し、当該線分を境界として対象となる領域内に位置する部分のラインにおいては、対象となる領域内における補正の内容に基づいて補正し、当該線分を境界として対象となる領域外に位置する部分のラインにおいては、対象となる領域外の領域の補正の内容に基づいて補正されるようにしてもよい(
図38を参照する。)。
【0242】
また、対象となる領域にランドが架かっている場合には、当該ランドの中心点が対象となる領域外に位置する場合には、対象となる領域外の領域の補正の内容に基づいて当該ランドを補正し(
図39(a)を参照する。)、当該ランドの中心点が対象となる領域内に位置する場合には、対象となる領域における補正の内容に基づいて当該ランドを補正するようにしてもよい(
図39(b)を参照する。)。
【0243】
さらに、対象となる領域に面が架かっている場合には、当該面のすべてが対象となる領域内に位置する場合には、対象となる領域における補正の内容に基づいて当該面を補正し(
図40(a)を参照する。)、当該面のすべてが対象となる領域内に位置していない場合には、対象となる領域外の領域の補正の内容に基づいて当該面を補正するようにしてもよい(
図40(b)を参照する。)。
【0244】
(6)上記した実施の形態においては、各属性の導体に対して3種類のリニアルールを作成するようにしたが、これに限られるものではないことは勿論であり、リニアルールは、1または2種類としてもよいし、4種類以上としてもよい。
【0245】
さらに、導体に対してそれぞれ異なる数のリニアルールを設けるようにしてもよい。
【0246】
(7)上記した実施の形態においては、リニアルールを設定する際に、3点のクリアランス値と当該3点のクリアランス値に対応した補正値を設定し、当該設定点を直線補完して
図12に示すグラフを作成し、作成したグラフから直線補完した領域における直線を一次関数の計算式で表すようにしたが、これに限られるものではないことは勿論であり、設定した線分上に各設定点が近似するような曲線の一次関数の計算式を導き出すようにしてもよい(
図41を参照する。)。
【0247】
(8)上記した実施の形態においては、特に記載しなかったが、ラインの屈曲部分に対して、補正後のライン形状において屈曲部分を所定の形状で内側に削減する補正を行ってエッチングパターンを作成するようにしてもよいし(
図42(a)を参照する。)、面の角部に対して、補正後の面形状における角部に対して所定の形状を外側に追加する補正を行ってエッチングパターンを作成するようにしてもよい(
図43(a)を参照する。)
【0248】
このように、補正後のライン形状において屈曲部分を所定の形状で内側に削減することによりエッチングパターンを作成することにより、単にライン形状において屈曲部分が屈曲しただけのエッチングパターン(
図42(c)を参照する。)によりエッチング処理がなされた場合と比べて、確実に屈曲部分を形成することができるエッチングパターンを作成することができる。
【0249】
即ち、
図42(c)に示すようにしてエッチングパターンを作成した場合には、エッチング処理により
図42(d)に示すような導体パターンが形成されることとなり、ラインの屈曲部分を十分に形成することができない。これに対して、
図42(a)に示すようにしてエッチングパターンを作成した場合には、エッチング処理により
図42(b)に示すような導体パターンが形成されることとなり、ラインの屈曲部分を十分に形成することができる。
【0250】
また、補正後の面形状における角部に対して所定の形状を外側に追加する補正を行ってエッチングパターンを作成することにより、単に面形状において角部を形成しただけのエッチングパターン(
図43(c)を参照する。)によりエッチング処理がなされた場合と比べて、確実に角部を形成することができるエッチングパターンを作成することができる。
【0251】
即ち、
図43(c)に示すようにしてエッチングパターンを作成した場合には、エッチング処理により
図43(d)に示すような導体パターンが形成されることとなり、面の角部を十分に形成することができない。これに対して、
図43(a)に示すようにしてエッチングパターンを作成した場合には、エッチング処理により
図43(b)に示すような導体パターンが形成されることとなり、面の角部を十分に形成することができる。
【0252】
なお、こうしてライン形状の屈曲部分において削除する所定の形状や面形状の角部において追加する所定の形状については、
図44に示すように、8種類の形状から選択することができる。
【0253】
オプショングループボックス4402において、内側タブ4404を選択すると、外形の内側に発生させる形状を設定する(つまり、内側に削減する補正内容を設定することである。)ものであり、外側タブ4406を選択すると、外形の外側に発生させる形状を設定する(つまり、外側に追加する補正内容を設定することである。)ものである。
【0254】
そして、形状選択プルダウン4408により、短冊形、カップ形、楔形、険形1、険形2、非対称形1、非対称形2、円形の8種類の形状からいずれか1つを選択する。
【0255】
その後、選択した形状において、設定すべき寸法を入力して、上記した所定の形状を設定するものである。
【0256】
(9)上記した実施の形態においては、便宜上リニアスペーシングにおいて、一定の計測ポイントで測定した最短クリアランス値を計算式に代入して補正値を算出し、算出した補正値分だけ測定ポイントを移動し、計測ポイントにおける補正ポイントを作成するという処理をすべての計測ポイントにおいて行うようにしたが、実際は、隣り合う補正前のアウトライン形状は、周囲に複数存在しているため、途中の計測ポイントから最短クリアランスとなる対象が別の隣り合う補正前のアウトライン形状に切り替わる。
【0257】
従って、各補正ポイントにおける最短クリアランス値を計算式に代入して、すべての計測ポイントにおける補正値を算出し、算出した補正値から各計測ポイントの補正ポイントを作成することになる。
【0258】
この場合には、まず、対象となる導体の導体形状に対して設定されたピッチ配設される計測ポイントをクリアランスを計測し(
図45(a)を参照する。)、測定したクリアランス値に対して、上記において設定した補正ルールから、補正値を算出する。
【0259】
ここで、補正値を計算する補正値計算式(補正ルールから導き出される。)が「0.3×クリアランス値」である場合には、
図45(b)に示すように、計測ポイント18では、補正値は32.897568(0.3×109.658560)となる。
【0260】
その後、各計測ポイントに対して補正ポイントを作成し、各補正ポイントを結び補正後の導体形状を作成することとなる(
図45(c)を参照する。)。
【0261】
(10)上記した実施の形態においては、補正ポイントを作成する際に、計測ポイントが位置する辺に対して垂直方向に補正値分だけ当該測定ポイントを外側に移動させるようにしたが(
図46(b)を参照する。)、これに限られるものではないことは勿論であり、測定ポイントを計測したクリアランス上で補正値分だけ外側に移動させるようにしてもよい(
図46(a)を参照する。)。
【0262】
(11)上記した実施の形態においては、オプション設定ウインドウ1702において、リニアスペーシングおよびイコールスペーシングにおいて共通して実行される設定を行う「共通」項目1704、リニアスペーシングにおいてのみ実行される設定を行う「リニアスペーシング」項目1706、イコールスペーシングにおいてのみ実行さえる設定を行う「イコールスペーシング」項目1708の3つの項目に分けられて表示されているが、「リニアスペーシング」項目1706および「イコールスペーシング」項目1708に表示された内容については、運用によっては、「共通」項目1704に表示され、リニアスペーシングおよびイコールスペーシングにおいて共通して実行される設定とするようにしてもよい。
【0263】
(12)上記した実施の形態ならびに上記した(1)乃至(11)に示す変形例は、適宜に組み合わせるようにしてもよい。