特許第5852347号(P5852347)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】5852347
(24)【登録日】2015年12月11日
(45)【発行日】2016年2月3日
(54)【発明の名称】高さ調整機構及び什器
(51)【国際特許分類】
   A47B 31/00 20060101AFI20160114BHJP
   A47B 9/08 20060101ALI20160114BHJP
   A47B 9/10 20060101ALI20160114BHJP
【FI】
   A47B31/00 Z
   A47B9/08
   A47B9/10
【請求項の数】3
【全頁数】14
(21)【出願番号】特願2011-154284(P2011-154284)
(22)【出願日】2011年7月12日
(65)【公開番号】特開2013-17704(P2013-17704A)
(43)【公開日】2013年1月31日
【審査請求日】2014年7月10日
(73)【特許権者】
【識別番号】000000561
【氏名又は名称】株式会社岡村製作所
(73)【特許権者】
【識別番号】597137682
【氏名又は名称】トークシステム株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100064908
【弁理士】
【氏名又は名称】志賀 正武
(74)【代理人】
【識別番号】100108578
【弁理士】
【氏名又は名称】高橋 詔男
(74)【代理人】
【識別番号】100089037
【弁理士】
【氏名又は名称】渡邊 隆
(74)【代理人】
【識別番号】100094400
【弁理士】
【氏名又は名称】鈴木 三義
(74)【代理人】
【識別番号】100107836
【弁理士】
【氏名又は名称】西 和哉
(74)【代理人】
【識別番号】100108453
【弁理士】
【氏名又は名称】村山 靖彦
(72)【発明者】
【氏名】小野 菜穂
(72)【発明者】
【氏名】榊原 義弥
(72)【発明者】
【氏名】桃井 雅士
(72)【発明者】
【氏名】巴 大輔
(72)【発明者】
【氏名】小宮 吉一
【審査官】 西村 隆
(56)【参考文献】
【文献】 特開昭61−256096(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A47B 31/00
A47B 9/00−9/10
F16M 11/26
F16F 9/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
筒状の外筒部材と、
筒状であり、該外筒部材の内部に、該外筒部材の軸方向に沿って進退可能に挿入された内筒部材とを有する筒体の高さを調整する高さ調整機構であって、
前記外筒部材及び前記内筒部材の互いに連通する内部空間に、前記軸方向に沿って配設され、前記外筒部材と固定された軸体と、
筒状であり、一端に前記軸体が前記軸方向に進退可能に挿入され、前記内筒部材と固定された進退部材と、
前記進退部材の内部に配設されるとともに、該進退部材を前記軸体に対して前記軸方向の一方側に付勢する付勢手段と、
前記軸体が挿通され、前記内筒部材と固定され、前記軸体に対して相対移動不能に係合する係合状態とすることが可能であるとともに、該係合状態を解除可能な規制手段とを備えることを特徴とする高さ調整機構。
【請求項2】
請求項1に記載の高さ調整機構において、
前記軸体は、前記軸方向に沿って配設された第一軸部材と、前記軸方向にそって配設されるとともに前記第一軸部材と連結された第二軸部材とを有し、
前記第一軸部材、前記進退部材及び前記付勢手段によって前記軸方向に沿う長さを可変とする付勢ユニットが構成され、
前記規制手段は、前記第二軸部材に係合可能であることを特徴とする高さ調整機構。
【請求項3】
請求項1又は請求項2に記載の高さ調整機構を備えることを特徴とする什器。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、高さ調整機構及び什器に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、什器等においては、床面より鉛直方向に延設された支柱の上面に設けられた天板又は椅子の座面の高さを、使用者の体格又は使用者の使い勝手に応じて調整できるものが広く使用されている。
【0003】
上述の高さを調整する構造としては、筒状の支柱の内部に、ガススプリングと機械式ロック機構とを設けるもがある。このような構造では、該ロック機構を解除することにより、ガススプリングの付勢力を利用して支柱を所望の高さとなるようにを伸長させることが可能である。また、再びロック機構を作動させることにより所望の高さに固定することが可能である(下記特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2007−082730号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、前述の構造では、支柱の内部に、それぞれ軸方向に沿って配設されたガススプリングとストッパー構造とを備え両者が並列に設けられている。よって、支柱の水平断面積は、ガススプリングとストッパー構造とを備えるだけの大きさが必要となり、支柱の水平断面積が大きくなり、什器等全体として大規模化するという問題点があった。
【0006】
本発明は、上記事情に鑑みてなされたものであり、コンパクトな形状とする高さ調整機構及びコンパクトな構成であるとともに、使用者の使い勝手を良好とするカート装置を提供するものである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記目的を達成するために、本発明は以下の手段を採用している。
すなわち、本発明に係る高さ調整機構は、筒状の外筒部材と、筒状であり、該外筒部材の内部に、該外筒部材の軸方向に沿って進退可能に挿入された内筒部材とを有する筒体の高さを調整する高さ調整機構であって、前記外筒部材及び前記内筒部材の互いに連通する内部空間に、前記軸方向に沿って配設され、前記外筒部材と固定された軸体と、筒状であり、一端に前記軸体が前記軸方向に進退可能に挿入され、前記内筒部材と固定された進退部材と、前記進退部材の内部に配設されるとともに、該進退部材を前記軸体に対して前記軸方向の一方側に付勢する付勢手段と、前記軸体が挿通され、前記内筒部材と固定され、前記軸体に対して相対移動不能に係合する係合状態とすることが可能であるとともに、該係合状態を解除可能な規制手段とを備えることを特徴とする。
【0008】
この構成では、軸体が外筒部材と内筒部材の互いに連通する内部空間に配設され、進退部材には軸体が軸方向に挿入されている。また、付勢手段が進退部材の内部に配設され、規制手段には、軸体が挿通されている。よって、軸体、進退部材、付勢手段及び規制手段は、外筒部材又は内筒部材の内部に、軸方向に沿って設けられている。したがって、軸方向に直交する断面においてコンパクトな形状の高さ調整機構とすることができる。
【0009】
また、本発明に係る高さ調整機構は、前記軸体は、前記軸方向に沿って配設された第一軸部材と、前記軸方向にそって配設されるとともに前記第一軸部材と連結された第二軸部材とを有し、前記第一軸部材、前記進退部材及び前記付勢手段によって前記軸方向に沿う長さを可変とする付勢ユニットが構成され、前記規制手段は、前記第二軸部材に係合可能であることを特徴とする。
【0010】
この構成では、第一軸部材、進退部材及び付勢手段によって付勢ユニットが構成され、規制手段が第二軸部材に係合可能となっている。そして、規制手段の第二軸部材に対する係合状態が解除されれば、付勢ユニットにおいて進退部材が第一軸部材に対して相対的に移動することにより、付勢ユニット全体として長さを変更させ筒体の高さを変更することができる。一方、規制手段を第二軸部材に対して係合させれば、付勢ユニット全体の長さを固定することができる。
【0011】
また、本発明に係る什器は、前記高さ調整機構を備えることを特徴とする。
【0012】
この構成では、軸体が外筒部材と内筒部材の互いに連通する内部空間に配設され、進退部材には軸体が軸方向に挿入されている。また、付勢手段が進退部材の内部に配設され、規制手段には、軸体が挿通されている。よって、軸体、進退部材、付勢手段及び規制手段は、外筒部材又は内筒部材の内部に、軸方向に沿って設けられている。したがって、軸方向に直交する断面においてコンパクトな形状の高さ調整機構及び什器とすることができる。
また、軸体と進退部材の連通部分が長い方に移動すると筒部材の高さは高くなり、短い方に移動すると筒部材の高さは低くなる。したがって、軸体及び進退部材を相対移動させれば、筒部材及び什器の高さを調整できるので、使用者の使い勝手を良好とすることができる。
【発明の効果】
【0013】
本発明に係る高さ調整機構によれば、コンパクトな形状とすることができ、什器に用いることで使用者の使い勝手を良好なものとすることができる。
【図面の簡単な説明】
【0014】
図1】本発明の第一実施形態に係る什器の側面図である。
図2】本発明の第一実施形態に係る什器の立面図である。
図3】本発明の第一実施形態に係る什器を高さ調整機構によって高さを調整した場合の立面図である。
図4】本発明の第一実施形態に係る高さ調整機構の構成を説明するための分解図である。
図5】本発明の第一実施形態に係る高さ調整機構の構成を説明するための断面を示した斜視図である。
図6】本発明の第一実施形態に係る高さ調整機構の構成を説明するために一部を取り出した図である。
図7】本発明の第一実施形態に係る高さ調整機構の(a)係合状態、(b)係合を解除した状態の鉛直断面図である。
図8】本発明の第二実施形態に係る高さ調整機構の係合状態の鉛直断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0015】
(第一実施形態)
以下、本発明の第一実施形態について、図面を参照して説明する。
図1及び図2に示すように、本実施形態に係る什器1は、床面F上を走行可能とされたベース部11と、ベース部11から立設された筒体21と、筒体21の上端に設けられた天板31と、天板31に設けられた操作ハンドル部41と、筒体21の内部に配設されるとともに筒体21の高さを調整する高さ調整機構2とを備えている。
使用者は、操作ハンドル部41を把持して操作力を与えることで床面F上で什器1を移動させることが可能となっている。
ここで、使用者が操作ハンドル部41と対向するように位置して操作ハンドル部41を押し引きする方向となる図1の紙面左右方向を什器1の前後方向とし、操作ハンドル部41を押す側となる紙面右側を什器1の「前側」、操作ハンドル部41を引く側となる紙面左側を什器1の「後側」と称する。また、什器1を前方から見た図2における前後方向と直交する方向となる左右方向を什器1の左右方向とし、紙面右側を什器1の「左側」、紙面左側を什器1の「右側」と称する。また、図1における上下方向を什器1の軸方向Pとし、紙面上側を什器1の「上側」、紙面下側を什器1の「下側」と称する。
以下、各構成の詳細を説明する。
【0016】
ベース部11は、床面F上を走行可能な複数のキャスター111と、該キャスター111が設けられた脚杆112とを備える。
脚杆112は、筒体21の下端より、前方及び後方であって、それぞれ左右方向に延びる4本の脚杆112より構成される。
キャスター111は、各脚杆112の先端部の下面に、床面Fに直交する垂直軸周りに旋回可能に設けられている。
【0017】
筒体21は、ベース部11の前後方向略中央より後方から軸方向Pに立設された筒状の外筒部材121と、該外筒部材121の内部に挿入された筒状の内筒部材122とを備える。
【0018】
外筒部材121は、ベース部11の前後方向の略中央よりも後方よりであって、左右方向の略中央に設けられている。また、図5に示すように、外筒部材121は、ベース部11の上面に設けられ、下方向からビス123により固定されている。
なお、外筒部材121とベース部11の固定方法は、上述のビス123による固定に限られず、溶接等適宜選択可能である。
【0019】
内筒部材122は、外筒部材121の内部に、外筒部材121の軸方向Pに沿って進退可能に配設されている。
また、図2に示すように、内筒部材122の下部及び軸方向P略中央部の外面の左右側には、軸方向Pに隣接して2個のローラー124が設けられている。ローラー124は、内筒部材122が外筒部材121に対して相対移動する際に、該ローラー124の外周面を外筒部材121の内壁(不図示)と接触させて円滑に相対移動を行わせるものである。
なお、内筒部材122の外筒部材121に対する進退可能な構造については、後述する高さ調整機構2にて詳細に説明する。
【0020】
天板31は、上面が床面と平行な状態となるとともに略矩形状に形成され、内筒部材122に支持されている。そして、上面は薬品や電子機器等の物品が載置可能である。
また、天板31の下部には上下移動可能な操作レバー131が設けられ、後述する高さ調整機構2に接続されている。
【0021】
操作ハンドル部41は、天板31の後部であって、左右両側から後方に突設された一対のハンドル取付部141と、該ハンドル取付部141を連結する把持部142とを備える。
【0022】
図4及び図5に示すように、高さ調整機構2は、外筒部材121及び内筒部材122の互いの連通する内部空間125に配設された軸体61と、該軸体61が挿入された筒状の進退部材71と、該進退部材71の内部に配設された付勢手段81と、軸体61を係合するとともに係合状態を解除可能な規制手段91とを備える。
【0023】
軸体61は、内部空間125に軸方向Pに沿って配設されている。また、軸体61は進退部材71に挿入されている第一軸部材161と、第一軸部材161に連結されるとともに規制手段91と係合される第二軸部材162とを備える。
【0024】
第一軸部材161は、断面視して略円形に形成されるとともに上部側は進退部材71に挿入され、下端には左右方向に貫通する第一貫通孔163が形成された板状の挿入部164が設けられている。
【0025】
第二軸部材162は、筒状に形成されるとともに、第一軸部材161の下方に配設されている。また、第二軸部材162の上部には、上方及び前後方向に開口する溝部165を形成され、上方に突出する軸突出部166と、該軸突出部166の下部に設けられた抜け止め部138Aと、該抜け止め部168Aの下部に設けられた消音部138Bとが設けられている。
軸突出部166には、左右方向に貫通する第二貫通孔167が形成されている。また、溝部165には、第一軸部材161の挿入部164が上方から挿入され、第一貫通孔163及び第二貫通孔167が連通している。そして、該第二貫通孔167の一方側より第一貫通孔163及び第二貫通孔167にボルト169Aが挿通され、他方側よりナット169Bが締め付けられている。
抜け止め部168Aは、第二軸部材162の外周面から径方向に突出している。また、抜け止め部168Aは後述する規制手段91が上方に移動する場合に、第二軸部材162の上端より上方に移動するのを規制する。
消音部168Bは、ゴム等の弾性体から形成されるとともに、軸方向Pに対向して設けられた一対の環状のフランジ部168Cにより構成されている。そして、規制手段91と抜け止め部168Aが当接する場合の音を低減する役割を担う。
また、第二軸部材162の下端の内壁には図示しない雌ネジが設けられ、ベース部11の下方よりネジ170にて固定されることにより、第二軸部材162は外筒部材121と固定されている。
【0026】
進退部材71は、軸方向Pに配設された筒状の部材であり、上端が閉塞されているとともに下端が開口している。また、進退部材71の下端からは軸方向Pに第一軸部材161が進退可能に挿入されている。また、進退部材71の上端には、内筒部材122に固定するための固定部171が設けられている。該固定部171は、前後方向に貫通する固定用貫通孔172を有する。そして、進退部材71が固定用貫通孔172より図2に示すボルト173Aとナット173Bで天板31に固定されることにより、進退部材71は内筒部材122と固定されている。
【0027】
付勢手段81は、進退部材71の内部に配設されるとともに、進退部材71を軸体61に対して常時軸方向Pのうち上方向に付勢するように付勢力が働いている。本実施形態では、付勢手段81は、進退部材71の内部をガスが封入されたガス室とし、図示しないガスの封入、排出を切り替える切替機構を有するガススプリングである。
そして、第一軸部材161、進退部材71及び付勢手段81によって、軸方向Pに沿う長さを可変とする付勢ユニット3が構成されている。
【0028】
図6及び図7に示すように、規制手段91は、第二軸部材162が挿通された筒状のハウジング51と、該ハウジング51の内部に配された環状の一対の環状部92と、ハウジング51の内部に一対の環状部92のそれぞれに対応して設けられた第一付勢部96と、一対の環状部92を軸方向Pに移動させる移動操作部93と、該移動操作部93に設けられた第二付勢部97と、移動操作部93と操作レバー131部とを連結するワイヤー部95とを備える。
【0029】
ここで、図7は、什器1における規制手段91の周辺を上下方向に切断した断面図であり、図7の上側が什器1の上側、図7の下側が什器1の下側、図7の左側が什器1の後側、図7の右側が什器1の前側に相当する。
図4に示すように、ハウジング51は筒状部材であり内筒部材122の下部において、ビス150により固定されている。また、第二軸部材162が挿通するようにして断面視して円形状の貫通孔であるハウジング貫通孔52が設けられている。また、ハウジング貫通孔52に第二軸部材162が軸方向Pに挿入されている。
ハウジング貫通孔52は、什器1の上側から第一ハウジング孔151と、該第一ハウジング孔151に連続するとともに第一ハウジング孔151より径を小さくした第二ハウジング孔152と、該第二ハウジング孔152に連続するとともに第二ハウジング孔152より径を大きくした第三ハウジング孔153と、該第三ハウジング孔153に連続するとともに第三ハウジング孔153より径を小さくした第四ハウジング孔154と、該第四ハウジング孔154に連続するとともに第四ハウジング孔154より径を大きくした第五ハウジング孔155とを備える。
第一ハウジング孔151は、その中心軸が挿通される第二軸部材162の中心軸Qに比べて前側に偏心するとともに、上部から下部まで同一径の第一径L1で形成されている。
第二ハウジング孔152は、その中心軸が挿通される第二軸部材162の中心軸Qと比べて前側に偏心して形成されている。また、第二ハウジング孔152は、上側に位置し第一径L1で形成された第二ハウジングの上部孔152Aと、下側に位置し第一径L1よりも小さい第二径L2で形成された第二ハウジングの下部孔152Cと、第二ハウジングの上部孔152Aと第二ハウジングの下部孔152Cとの間に設けられた第二ハウジングの傾斜孔152Bとを備える。第二ハウジングの傾斜孔152Bは上方から下方に向かうにしたがって徐々に径を小さくするように形成されている。ここで、第二ハウジングの下部孔152Cの第二径L2は、対応する環状部92の外径と略同一である。
第三ハウジング孔153は、その中心軸が挿通される第二軸部材162の中心軸Qと一致するとともに、上部から下部まで同一径の第三径L3で形成されている。
第四ハウジング孔154は、その中心軸が挿通される第二軸部材162の中心軸Qと比べて後側に偏心して形成されている。また、第四ハウジング孔154は、上側に位置し第二径L2で形成された第四ハウジングの上部孔154Aと、下側に位置し第二径L2よりも大きい第一径L1で形成された第四ハウジングの下部孔154Cと、第四ハウジングの上部孔154Aと第四ハウジングの下部孔154Cとの間に設けられた第四ハウジングの傾斜孔154Bとを備える。第四ハウジングの傾斜孔154Bは上方から下方に向かうにしたがって徐々に径を大きくするように形成されている。ここで、第四ハウジングの上部孔154Aの第二径L2は、対応する環状部92の外径と略同一である。
第五ハウジング孔155は、その中心軸が挿通される第二軸部材162の中心軸Qに比べて後側に偏心するとともに、上部から下部まで同径の第一径L1で形成されている。
【0030】
図7に示すように、一対の環状部92は、ハウジング51の上側に配設された第一環状部材221と、下側に配設された第二環状部材222とを備える。
第一環状部材221は、内面に突設する第一球体223を有するとともに、第一ハウジング孔151及び第二ハウジング孔152を移動可能である。
ここで、図7(b)に示すように、第一環状部材221が第一ハウジング孔151に位置する場合は、第一環状部材221の中心軸が挿通される第二軸部材162の中心軸Qと一致させて配設されている。このとき、第一環状部材221と第二軸部材162との間には第二軸部材162の周縁部に間隙が設けられている。
また、図7(a)に示すように、第一環状部材221が第一ハウジング孔151と第二ハウジング孔152とに渡って位置する場合は、第一環状部材221の中心軸が挿通される第二軸部材162の中心軸Qと比べて前側に偏心させ、かつ第一環状部材221の中心軸を第二ハウジングの下部孔152Cの中心軸と一致させて配設されている。また、第二ハウジングの下部孔152Cの内面と第一環状部材221の外面とは、全周に渡って当接している。また、第一環状部材221は第二軸部材162に対して、第二軸部材162の後側では第一球体223を当接させるとともに、前側では間隙を有して配されている。
第二環状部材222は、内面に突設する第二球体224を有するとともに、第四ハウジング孔154及び第五ハウジング孔155を移動可能である。
ここで、図7(a)に示すように、第二環状部材222が第四ハウジング孔154と第五ハウジング孔155とに渡って位置する場合は、第二環状部材222の中心軸が挿通される第二軸部材162の中心軸Qと比べて後側に偏心させ、かつ第二環状部材222の中心軸と第四ハウジングの上部孔154Aの中心軸と一致させて配設されている。また、第四ハウジングの上部孔154Aの内面と第二環状部材222の外面とは、全周に渡って当接している。また、第二環状部材222は第二軸部材162に対して、第二軸部材162の前側では第二球体224を当接させるとともに、後側では間隙を有して配されている。
また、図7(b)に示すように、第二環状部材222が第五ハウジング孔155に位置する場合は、第二環状部材222の径の中心軸が挿通される第二軸部材162の中心軸Qと一致させて配設されている。このとき、第二環状部材222と第二軸部材162との間には第二軸部材の周縁部に間隙が設けられている。
つまり、図7(a)に示すように、第一環状部材221が第一ハウジング孔151と第二ハウジング孔152とに渡って位置し、且つ第二環状部材222が第四ハウジング孔154と第五ハウジング孔155とに渡って位置する場合は、第二軸部材162と第一環状部材221及び第二環状部材222とが当接する。さらに、第二ハウジングの下部孔152Cの内面と第一環状部材221の外面及び第四ハウジングの上部孔154Aの内面と第二環状部材222の外面とは、全周に渡って当接している。よって、第一環状部材221が第二軸部材162に対して後側から前向きに押圧するとともに、第二環状部材222が第二軸部材162に対して前側から後向きに押圧しこれにより、第二軸部材162は前後方向から挟み込まれるようにして軸方向Pの移動が規制され、規制手段91と係合状態になる。
一方、図7(b)に示すように、第一環状部材221が第一ハウジング孔151に位置し、且つ第二環状部材222が第五ハウジング孔155に位置する場合に、第二軸部材162と第一環状部材221及び第二環状部材222との間に間隙が形成されることにより、第二軸部材162と規制手段91との係合状態が解除される。
【0031】
第一付勢部96は、第一ハウジング孔151の内面に沿って配された上側付勢部241と、第五ハウジング孔155の内面に沿って配された下側付勢部242とを備える。
上側付勢部241は第一環状部材221に対して常時下方向の力で付勢し、下側付勢部242は第二環状部材222に対して常時上方向の力で付勢している。
【0032】
図6に示すように、移動操作部93は、ハウジング51の外側の左右方向から延設された一対の操作支持部231と、該一対の操作支持部231の一端を互いに連結する操作連結部232と、該操作支持部231の他端に設けられるとともにハウジング51のハウジング貫通孔52に向かって挿入された一対のヒンジ部233と、該一対のヒンジ部233の端部に設けられた図7に示す一対のカム234とを備える。
操作支持部231及び操作連結部232は、ヒンジ部233を中心としてハウジング51の外面を軸方向Pに移動可能である。
ヒンジ部233は、操作支持部231及びカム234を連結するように設けられ、操作支持部231及びカム234を相対的に移動可能としている。
カム234は、楕円形であり、ヒンジ部233を中心としてハウジング51の内面を回転可能である。ここで、図7(a)に示すように、カム234の長手方向がハウジング51の前後方向に配されている場合は、該カム234の緩斜面236が第一環状部材221の下部及び第二環状部材222の上部と当接する第一状態となる。一方、図7(b)に示すように、カム234の長手方向がハウジング51の軸方向Pに配されている場合は、該カム234の急斜面235が第一環状部材221の下部及び第二環状部材222の上部と当接する第二状態となる。
ここで、カム234は、操作支持部231及び操作連結部232が上方に移動するに伴い第一状態から第二状態に移動し、操作支持部231及び操作連結部232が下方に移動するに伴い第二状態から第一状態に移動するように、ヒンジ部233を介して連動している。
【0033】
第二付勢部97は、一対のコイルバネであり、一端が操作支持部231と固定され、他端がハウジング51の下部と固定されている。ここで、第二付勢部97は操作支持部231に対して下向きに付勢させる付勢力が働いている。
【0034】
図1及び図6に示すように、ワイヤー部95は、一端が操作レバー131に連結され、他端が操作連結部232に連結されている。また、ワイヤー部95は、操作レバー131より前方に配された第一ワイヤー部材251と、第一ワイヤー部材251に連結されるとともに内筒部材122を下方に配され操作連結部232に連結された第二ワイヤー部材252とを備える。
第一ワイヤー部材251は、操作レバー131が使用者による操作によって上方に移動すれば後方に移動し、操作レバー131が下方に移動すれば前方に移動する。
第二ワイヤー部材252は、操作レバー131が使用者による操作によって上方に移動すれば上方に移動し、操作レバー131が下方に移動すれば下方に移動する。
【0035】
次に、什器1の高さ調整機構2の動作について説明する。
まず、第二軸部材162が規制手段91と係合している状態から、該係合が解除されるまでの動作を説明する。
図7(a)に示すように、第二軸部材162が規制手段91と係合している状態から、操作レバー131に力を加えて上方に移動させる。すると、操作レバー131に連結された第一ワイヤー部材251が後方に移動するとともに、第二ワイヤー部材252が上方に移動する。この動作に伴い、第二ワイヤー部材252に連結された操作連結部232及び操作支持部231が上方に移動する。また、操作支持部231に設けられたヒンジ部233を介して、カム234は第一状態から第二状態に移動する。すなわち、カム234の長手方向がハウジング51の前後方向に配された状態から軸方向Pに配された状態に移動する。ここで、該カム234の移動に伴い、第一環状部材221は第二ハウジング孔152を上方に移動して、第一ハウジング孔151まで移動する。同様に、第二環状部材222は第四ハウジング孔154を下方に移動して、第五ハウジング孔155まで移動する。このようにして、図7(b)に示すように、第二軸部材162と規制手段91との係合状態が解除される。
【0036】
次に、第二軸部材162と規制手段91との係合が解除された状態から、係合されるまでの動作を説明する。
図7(b)に示すように、第二軸部材162と規制手段91との係合が解除された状態から、操作レバー131に加えていた力を除くと操作レバー131が下方に移動する。すると、操作レバー131に連結された第一ワイヤー部材251が前方に移動するとともに、第二ワイヤー部材252が下方に移動する。この動作に伴い、第二ワイヤー部材252に連結された操作連結部232及び操作支持部231が下方に移動する。また、操作支持部231に設けられたヒンジ部233を介して、カム234は第二状態から第一状態に移動する。すなわち、カム234の長手方向がハウジング51の軸方向Pに配された状態から前後方向に配された状態に移動する。ここで、第一環状部材221及び第二環状部材222は第一付勢部96の付勢により、カム234に向かって移動する。そして、第一環状部材221は第一ハウジング孔151を下方に移動して、第二ハウジング孔152まで移動する。同様に、第二環状部材222は第五ハウジング孔155を上方に移動して、第四ハウジング孔154まで移動する。このようにして、図3及び図7(a)に示すように、第二軸部材162が規制手段91と係合している係合状態となる。
【0037】
このような什器1では、第一軸部材161は進退部材71の内部に軸方向Pに挿入され、付勢手段81は進退部材71の内部に配設され、第二軸部材162は第一軸部材161に連結され、規制手段91は第二軸部材162に係合可能に設けられている。また、第一軸部材161、第二軸部材162、進退部材71、付勢手段81及び規制手段91は内筒部材122の内部に軸方向Pに配されているため、コンパクトな形状で、該内筒部材122及び内筒部材122を挿入している外筒部材121の筒体21の高さを調整できる。また、内筒部材122の上面には天板31が設けられているため、什器1の高さ調整できることにより、使用者の使い勝手を良好とすることができる。
【0038】
さらに、操作レバー131を上方に移動させれば、第二軸部材162と規制手段91との係合状態が解除され、付勢手段81であるガススプリングにより高さ調整機構2は筒体21の調整が可能となる。よって、小さな操作力で什器1の高さを調整することができるため操作性が良好となり、使用者の使い勝手を良好とすることができる。
【0040】
(第二実施形態)
以下、本発明の第二実施形態に係る高さ調整機構2Xについて説明する。
この実施形態において、前述した実施形態で用いた部材と共通の部材には同一の符号を付して、その説明を省略する。
本実施形態では、高さ調整機構2Xは規制手段91Xを備える。
図8に示すように、規制手段91Xは、第二軸部材162が挿通されハウジング貫通孔52Xが形成されたハウジング51Xと、該ハウジング51Xから突出するとともに係合貫通孔55Xが形成された一対の係合部材53Xと、該係合部材53Xに対して付勢する付勢部54Xとを備える。
【0041】
ここで、図8の上側が什器1Xの上側、図8の下側が什器1Xの下側、図8の左側が什器1Xの後側、図8の右側が什器1Xの前側に相当する。
図8に示すように、ハウジング51Xは筒状部材であり内筒部材122の下部に取り付けられるとともに(不図示)、軸方向Pに貫通孔であるハウジング貫通孔52Xが設けられている。また、ハウジング貫通孔52Xに第二軸部材162が軸方向Pに挿入されている。
【0042】
ハウジング51Xには、軸方向Pに断面視して円形のハウジング貫通孔52Xが形成されている。また、ハウジング貫通孔52Xには、内周面に沿って複数の球体301Xが配設されており、挿通された第二軸部材162を軸方向Pに進退可能に支持している。
【0043】
一対の係合部材53Xは、ハウジング51Xの上面から突出した上側係合部材311Xと、ハウジング51Xの下面から突出した下側係合部材312Xとを備える。また、上側係合部材311X及び下側係合部材312Xとハウジング51Xの当接する部分には、それぞれ上側ヒンジ部313X、下側ヒンジ部314Xが設けられている。上側ヒンジ部313X、下側ヒンジ部341Xは、軸方向Pに直交する方向であって図8の紙面奥行き方向に沿う中心軸(不図示)を中心として、それぞれ上側係合部材311X、下側係合部材312Xをハウジング51Xから軸方向Pに互いに離間する方向に回転可能としている。
また、上側係合部材311Xには軸方向Pに上側係合貫通孔331Xが設けられ、下側係合部材312Xには軸方向Pに下側係合貫通孔332Xが設けられている。上側係合貫通孔331X及び下側係合貫通孔332Xには、軸方向Pに第二軸部材162が挿入されている。
【0044】
付勢部54Xは、上側ヒンジ部313Xに設けられた上側付勢部321Xと、下側ヒンジ部314Xに設けられた下側付勢部322Xとを備える。上側付勢部321Xは上側係合部材311Xをハウジング51Xから上方に離間する方向に回転するように付勢し、下側付勢部322Xは下側係合部材312Xをハウジング51Xから下方に離間する方向に回転するように付勢している。
【0045】
ここで、上側係合部材311Xには上側付勢部321Xから上方に回転するように力が付勢し、下側係合部材312Xには下側付勢部322Xから下方に回転するように力が付勢している。よって、上側係合部材311Xが上方に回転した状態及び下側係合部材312Xが下方に回転した状態となり、上側係合貫通孔331X及び下側係合貫通孔332Xは第二軸部材162と係合した状態、すなわち規制手段91Xが第二軸部材162に係合した状態である。
この状態で、上側係合部材311Xに下向きの力を加え、下側係合部材312Xに上向きの力を加えると、上側係合部材311Xは上側ヒンジ部313Xを中心として下方に回転し、下側係合部材312Xは下側ヒンジ部314Xを中心として上方に回転する。この回転にともない、上側係合貫通孔331X及び下側係合貫通孔332Xと第二軸部材162との係合状態は解除される
ここで、上側係合部材311X及び下側係合部材312Xが、第二ワイヤー部材252の上方への移動に伴い、係合状態が解除されるように第二ワイヤー部材252と連結し、かつ第二ワイヤー部材252の下方への移動に伴い、係合状態となるように第二ワイヤー部材252と連結されている(不図示)。
【0046】
このような高さ調整機構2Xでは、使用者による操作によって操作レバー131を上方に移動させれば第二軸部材162と規制手段91Xとの係合状態が解除され、使用者による操作によって操作レバー131を下方に移動させれば第二軸部材162と規制手段91Xとが係合されため、高さ調整が確実にできる。また、規制手段91Xは、第二軸部材162の軸方向Pに設けられているため、コンパクトな形状とすることができる。
【0047】
なお、規制手段91、91Xは、一例であり、第二軸部材162と係合できるとともに、係合状態を解除できれば、適宜選択可能である。
【0048】
なお、上述した実施の形態において示した動作手順、あるいは各構成部材の諸形状や組み合わせ等は一例であって、本発明の主旨から逸脱しない範囲において設計要求等に基づき種々変更可能である。
【符号の説明】
【0049】
1、1X…什器
2、2X…高さ調整機構
3…付勢ユニット
11…ベース部
21…筒体
61…軸体
71…進退部材
81…付勢手段
91、91X…規制手段
121…外筒部材
122…内筒部材
125…内部空間
161…第一軸部材
162…第二軸部材
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8