【課題を解決するための手段】
【0005】
上述の課題を解決するため、本願発明者は以下の発明を提案する。
本願発明は、略直方体形状の発泡樹脂ブロックの製造方法であって、略直方体形状の内部空間を有する型枠の少なくとも一面に、所定の予備発泡倍率の発泡樹脂である少なくとも一つの平面を有する第1発泡樹脂で形成の支持材を、前記平面を沿わせた状態で配する過程、前記型枠内に、前記第1発泡樹脂の予備発泡倍率よりも予備発泡倍率の大きい発泡樹脂である第2発泡樹脂の予備発泡物を供給し、更に前記型枠内に蒸気を供給することにより、前記第1発泡樹脂及び前記第2発泡樹脂の予備発泡物を加熱させる過程、前記第1発泡樹脂及び前記第2発泡樹脂が硬化した後、前記型枠から前記第1発泡樹脂と前記第2発泡樹脂とが一体となったものを取出して発泡樹脂ブロックを得る過程、を含んでいる。
この方法では、発泡樹脂ブロックの大部分を占めることになる第2発泡樹脂の予備発泡物を略直方体形状の型枠内に供給する前に、型枠の少なくとも一面に、所定の予備発泡倍率の発泡樹脂である第1発泡樹脂で形成の支持材を、その平面を沿わせた状態で配することとしている。したがって、第2発泡樹脂の予備発泡物が固化した場合、上述の支持材の平面は、理想的には発泡樹脂ブロックの一面に露出するか、或いは少なくともその一部が僅かに第2発泡樹脂で覆われて当該一面の直ぐ近くに存在する状態となる。しかも、支持材を構成する第1発泡樹脂の予備発泡倍率は第2発泡樹脂の予備発泡倍率よりも小さいから、支持材は硬化後の第2発泡樹脂よりも硬い。したがって、この方法により得た発泡樹脂ブロックは、新たに支持材をその表面に固定するまでもなく、その一面の支持材が存在する部分に対して、ビスなどの金具を固定できる。なお、第2発泡樹脂の予備発泡物を型枠内に供給した後、第1発泡樹脂と第2発泡樹脂の予備発泡物を加熱し、第2発泡樹脂を更に発泡させるために型枠内に蒸気を供給する際に、既に硬化していた第1発泡樹脂製の支持材も若干溶融するので、第1発泡樹脂と第2発泡樹脂が硬化した後、第2発泡樹脂と支持材はその境界付近で互いに馴染んだ状態となり融着される。したがって、この発泡樹脂ブロックは、支持材が脱落するおそれが小さい。
【0006】
支持材の形状、大きさは適宜決定できるが、金具が固定されることが予定されている部分をその平面に含むような形状、大きさであれば足りると言える。支持材は、例えば、板材とすることができる。
また、支持材は型枠内のどこに配されても構わない。
支持材は、また、適当な補助材で位置決めすることができる。補助材で位置決めすることにより、完成後の発泡樹脂ブロックにおける支持材の平面が、金具が固定されることが予定されている部分に確実に位置させられるようになる。なお、後述する第1補助材、第2補助材、第3補助材が、補助材の例となる。
補助材と支持材は、当接する部分で互いに係止し合うように構成されていてもよい。
補助材を用いる場合、本願の発泡樹脂ブロックの製造方法では、前記支持材を位置決めする、前記第2発泡樹脂の予備発泡倍率よりも予備発泡倍率の小さな発泡樹脂である第3発泡樹脂で形成の補助材を配してから、前記型枠内に前記第2発泡樹脂の予備発泡物を供給する、こととなる。
補助材は、第2発泡樹脂よりも予備発泡倍率の低い発泡樹脂により構成することができる。発泡樹脂にて補助材を形成することにより、完成後の発泡樹脂ブロック内で、補助材が、支持材と同様、第2発泡樹脂と馴染むように融着される。また、補助材を第2発泡樹脂よりも予備発泡率の低い発泡樹脂で形成することで、補助材の強度を高められる。
なお、前記補助材は、第2発泡樹脂よりも予備発泡倍率の低い発泡樹脂、かつ前記支持材よりも予備発泡倍率の高い発泡樹脂で形成されたものを用いることが好ましい。このようにすることにより、前記第2発泡樹脂を二次発泡させる際に、一度蒸気が当てられることにより成型されている前記補助材に、さらに蒸気が当てられることになり、前記補助材の硬さを前記第2発泡樹脂の硬さと近くすると共に第2発泡樹脂との密着性を高くすることができる。
【0007】
支持材は、例えば、前記型枠が略水平な底面を備えている場合においては、前記型枠の底面に前記平面を沿わせた状態で配することができる。この場合には、支持材をそのように配置してから、前記第2発泡樹脂の予備発泡物を型枠内に供給することになる。この方法によれば、支持材を、型枠内の底面の適当な位置にその平面を沿わせて置くだけで、完成した発泡樹脂ブロックの面のうち型枠の底面に対応する面の少なくとも一部に硬い支持材が位置する発泡樹脂ブロックを得ることができるようになる。
型枠の底面に支持材を配する場合、前記支持材を、前記底面の対向する一組の一方の辺から他方の辺に略亘るように配される底支持材としてもよい。そして、この場合には、前記底面の前記一方の辺と前記他方の辺のそれぞれに沿うようにして、前記底支持材の両端とそれぞれ当接して前記底支持材を位置決めする、前記第2発泡樹脂よりも予備発泡倍率の小さい発泡樹脂である第4発泡樹脂にて形成の第1補助材を配してから、前記型枠内に前記第2発泡樹脂の予備発泡物を供給するようにすることができる。こうすることによって、完成した発泡樹脂ブロックの面のうち型枠の底面に対応する面に、その面の対向する2辺を結ぶような硬い部分を形成することができる。また、底支持材は、楔のように機能する第1補助材により、突っ張った状態となるので、型枠の底面においてしっかり位置決めされることになる。この場合の底支持材は好ましくは矩形である。また、底支持材は、複数枚であってもよい。
第1補助材の形状、大きさは、例えば、以下のようにすることができる。即ち、前記第1補助材として、それが沿わせられる前記底面の前記辺の長さ方向の全長に亘る長さを持つものを用いることができる。こうすることで、第1補助材の両端を、底支持材がその一方の辺から他方の辺に亘る一組の対向する辺ではない方の対向する辺に当接させることにより第1補助材の位置決めを正確に行えるようになるから、結果として底支持材の位置決めも正確に行えるようになる。第1補助材は例えば、角材のような形状とすることができる。
【0008】
支持材は、前記型枠が略水平な底面を備えている場合、前記型枠の側面に前記平面を沿わせた状態で配される側面支持材とすることができる。この場合側面支持材を型枠内に配してから、前記型枠内に前記第2発泡樹脂の予備発泡物を供給することができる。この場合には、完成した発泡樹脂ブロックの面のうち側面支持材が配された型枠の側面に対応する面の少なくとも一部に硬い支持材が位置する発泡樹脂ブロックを得ることができるようになる。
なお、側面支持材は矩形とすることができ、複数枚とすることもできる。
側面支持材を用いる場合、前記側面支持材として、前記側面支持材が配される前記型枠の前記側面の上下方向に略亘る長さのものを用いるとともに、前記側面支持材の下端に対応する前記底面の辺に沿うようにして、当該辺にその下端が対応する前記側面支持材の下端と当接して当該側面支持材を位置決めする、前記第2発泡樹脂よりも予備発泡倍率の小さい発泡樹脂である第5発泡樹脂にて形成の第2補助材を配することができる。この場合には、側面支持材に加え第2補助材を配してから、前記型枠内に前記第2発泡樹脂の予備発泡物を供給する、ことになる。また、側面支持材は、楔のように機能する第2補助材により、突っ張った状態となるので、型枠の底面においてしっかり位置決めされることになる。
第2補助材を用いる場合、前記第2補助材として、それが沿わせられる前記底面の前記辺の長さ方向の全長に亘る長さを持つものを用いる、ことができる。第2補助材の位置決めを正確に行えるようになるから、結果として側面支持材の位置決めも正確に行えるようになる。第2補助材は例えば、角材のような形状、或いは板のような形状とすることができる。
【0009】
側面支持材は、対向する2つの側面にそれぞれ配することができる。
例えば、前記型枠が略水平な底面を備えている場合に、前記支持材を、前記型枠の対向する側面のそれぞれに前記平面を沿わせた状態で配される2枚の側面支持材とすることができる。この場合には、2枚の前記側面支持材の間に、2枚の前記側面支持材の中程が互いに近づくことを防止するために2枚の前記側面支持材をその両端で互いに外向きに押す、前記第2発泡樹脂よりも予備発泡倍率の小さい発泡樹脂である第6発泡樹脂にて形成の第3補助材を配することができる。この場合には、側面支持材と第3補助材を配してから、前記型枠内に前記第2発泡樹脂の予備発泡物を供給することになる。この場合には、完成した発泡樹脂ブロックの面のうち側面支持材が配された型枠の2つの側面に対応する面の少なくとも一部に硬い支持材が位置する発泡樹脂ブロックを得ることができるようになる。
なお、この場合の側面支持材は矩形とすることができ、複数枚とすることもできる。
上述の第3補助材は、対向する面に配された2枚の側面支持材を互いに突っ張って、それら側面支持材をそれらが配される側面に近づけるに有用である。側面支持材が完成した発泡樹脂ブロックの内部に入り過ぎると、金具の固定の用をなさないことも考えられるが、第3補助材はそのような事態の発生を防ぐものである。
【0010】
このように、型枠が略水平な底面を備えている場合に、支持材を、型枠の対向する2つの側面にそれぞれ配される側面支持材とすることができ、しかもその場合には、2枚の前記側面支持材の中程が互いに近づくことを防止する第3補助材を用いることができる。
ところで、既に述べたように、型枠が略水平な底面を備えている場合に、支持材を、上述のような底支持材にすることができ、しかもその場合には底支持材を位置決めする第1補助材を用いることができること、及び第1補助材を、それが沿わせられる底面の辺の長さ方向の全長に亘る長さを持つものとできる。
2枚の側面支持材と第3補助材とを用いる場合、後者の例における第1補助材で、2枚の側面支持材を位置決めすることができる。これは、第1補助材と第2補助材とを共用することを意味する。
つまり、型枠が略水平な底面を備えている場合であり、支持材が、上述のような底支持材とされ、しかもその場合に底支持材を位置決めする第1補助材が用いられ、その第1補助材が、それが沿わせられる底面の辺の長さ方向の全長に亘る長さを持つものである場合、本発明は、前記支持材を、前記底支持材と、前記型枠の対向する側面のそれぞれに前記平面を沿わせた状態で配される2枚の側面支持材とするとともに、2枚の前記側面支持材の間に、2枚の前記側面支持材の中程が互いに近づくことを防止するために2枚の前記側面支持材をその両端で互いに外向きに押す、前記第2発泡樹脂よりも予備発泡倍率の小さい発泡樹脂である第5発泡樹脂にて形成の第2補助材を配し、且つ2つの前記第1補助材を2枚の前記側面支持材の下端とそれぞれ当接させることにより当該2枚の側面支持材を位置決めしてから、前記型枠内に前記第2発泡樹脂の予備発泡物を供給するものとすることができる。
【0011】
上述したように、発泡樹脂ブロックの大半を占める第2発泡樹脂の予備発泡倍率は、底支持材、及び側面支持材を含む支持材を形成する第1発泡樹脂の予備発泡倍率よりも高い。同様に、第2発泡樹脂の予備発泡倍率は、第1補助材、第2補助材、及び第3補助材を含む補助材を形成する第4発泡樹脂、第5発泡樹脂、及び第6発泡樹脂を含む発泡樹脂(これらはいずれも、第3発泡樹脂の一例となる。)の予備発泡倍率よりも高い。
例えば、前記第2発泡樹脂の予備発泡倍率は、40〜70倍とすることができる。こうすることで、構築物の壁面や軽量盛土材等に用いる場合に適した適度な硬さになるという効果が得られる。
また、前記第1発泡樹脂の予備発泡倍率は、1.5〜15倍とすることができる。こうすることで、化粧板等の金具による固定が可能になるという効果が得られる。
また、第4発泡樹脂、第5発泡樹脂、及び第6発泡樹脂を含む前記第3発泡樹脂の予備発泡倍率は、20〜40倍とすることができる。こうすることで、第2発泡樹脂を二次発泡させる際に、一度蒸気が当てられることにより成型されている第3発泡樹脂に、さらに蒸気が当てられることになり、第3発泡樹脂の硬さを第2発泡樹脂の硬さと近くすると共に融着後の第2発泡樹脂との密着性を高くすることができるようになるという効果が得られる。
【0012】
本願発明者はまた、略直方体形状であり、所定の発泡倍率の発泡樹脂である第1発泡樹脂と、前記第1発泡樹脂の予備発泡倍率よりも予備発泡倍率の大きい発泡樹脂である第2発泡樹脂とを含んでなる発泡樹脂ブロックであり、前記第1発泡樹脂は、少なくとも一つの平面を有し、且つ前記発泡樹脂ブロックの一面に前記平面を沿わせた状態とされているとともに、前記第2発泡樹脂は、前記第1発泡樹脂の残部を占め、且つ前記第1発泡樹脂との境界付近では前記第1発泡樹脂と互いに融着されているものをも、本願発明の一例として提案する。
この発泡樹脂ブロックは、本願発明の発泡樹脂ブロックの製造方法で製造される発泡樹脂ブロックの一例であり、新たに支持材をその表面に固定するまでもなく、予め支持材が露出している部分、或いは支持材がその表面近くに存在している部分に対して、ビスなどの金具を固定できるものとなる。