【実施例1】
【0019】
図1で示す実施例1の調理器具Aは、調理容器1と、熱道形成具2と、の組み合わせで構成されている。
前記調理容器1は、容器本体10が底板11と周壁12を備え、その周壁12の外面に取っ手19が取り付けられたフライパンに形成され、前記容器本体10の底板11に後述する熱道形成具2のピン20を挿脱させる複数個の貫通穴13が形成されている。
【0020】
この実施例では前記容器本体10の平面形状を略長方形にしているが、これに制限されるものではなく、正方形、多角形、円形、楕円形等でもよいし、そのサイズについても適宜に決定できる。
容器本体10の材質についても、鉄、アルミ、銅、ステンレス等のほか表面を琺瑯加工したものなど、必要な耐熱性、耐衝撃性を備えた材質を使用できる。
貫通穴13についても、実施例では縦4列、横3列の計12個で、直径10mmの丸孔を形成しているが、その配列、個数、孔の直径、孔の平面形状等は適宜に決定できるもので、実施例に限定されない。
又、図示を省略したが、熱道形成具2のピン20を挿脱させるようにした前記貫通孔13以外に、ピン20を挿脱させない従来技術のような単なる貫通孔を底板11に形成させることもできる。
【0021】
前記熱道形成具2は、前記容器本体10に形成した複数個の貫通孔13に対して挿脱可能な複数本のピン20が台座21の上面に立設されたものである。
この場合、ピン20の断面形状は前記貫通孔13の形状に対応して円形に形成され、その直径は貫通孔13の直径よりも略1〜2mm程度小径に形成され、その高さは前記容器本体10の周壁12の高さよりも高く形成され、先端(上端)は貫通孔13に挿入し易いように尖っている。
【0022】
前記台座21は、ピン20を立設させるための台であると共に、前記容器本体10を載置させるための台となるもので、実施例の台座21は木製である。
尚、前記ピン20や台座21の材質、サイズ、形状、それにピン20の立て込み構造等は適宜に決定できる。
【0023】
次に、前記実施例1に係る調理器具Aの使用手順の一例を
図2により説明する。
まず、
図2(イ)で示すように、貫通孔13にピン20を挿通させた状態にして調理容器1の容器本体10を熱道形成具2の台座21上に載置させる。
その後、
図2(ロ)で示すように、に容器本体10内に食材Fを入れる。この例では、鶏皮を容器本体10の底板11上に敷き、その上に味付けご飯を敷き詰めている。
【0024】
このようにして容器本体10内に食材Fを収容させたのち、
図2(ハ)で示すように、ピン20から貫通孔13を抜くように調理容器1を持ち上げれば、ピン20が抜けた後の食材Fの層に前記貫通孔13に符合して上下方向に貫通した孔が残り、この孔を煙や熱気や炎が通る熱道Hとして形成することができる。
【0025】
次に、
図2(ニ)で示すように、容器本体10を加熱器具としての焼き台9に載せる。
この際、容器本体10に収容した鶏皮の油分や味付け用のタレ等が前記貫通孔13から滴下し、その油分やタレ(醤油タレや味噌タレ等)等が焼き台9の炭火によって焼かれる際に特有の香ばしい香りが煙となって立ち上がる。
そして、その煙や熱気や炎が貫通孔13及び熱道Hを通って食材Fの層を通り抜ける際に食材Fに直に触れるため、煙による香り付けで料理を美味しく仕上げることができるし、高温調理によって素早く焦げ付きなく仕上げることができる。
【0026】
尚、前記したように、食材の油分やダレ等を貫通孔13から滴下させる場合に、
図5で示すように、貫通孔13に向けて下り傾斜の傾斜面13aを底板11の上面に形成させれば、油分やダレ等を貫通孔13に向けて効果的に集め、スムーズに滴下させることができる。
【実施例2】
【0027】
図3で示す実施例2の調理器具Bは、第1調理容器1と、第2調理容器3と、熱道形成具2と、の組み合わせで構成されている。
前記第1調理容器及び熱道形成具は上述した実施例1の調理容器及び熱道形成具と同一構造であり、図面の符号を同一にして説明を省略する。
【0028】
又、第2調理容器3は第1調理容器1と同形同大に形成され、容器本体30の周壁32の上端縁と、第1調理容器1の容器本体10の周壁12の上端縁同士が合致する形状に形成され、かつ第2調理容器3には両容器本体30、10の開口部同士を対向させた状態で周壁32、12の上端縁同士を合致状態に保持させるための係止手段が設けられている。
尚、図において、符号30は第2調理容器3の容器本体、31は第2調理容器3の底板、33は第2調理容器3の貫通孔、39は第2調理容器3の取っ手である。
【0029】
前記係止手段としては、第2調理容器3の容器本体30の先端側周壁32aの上端から突出させた先端係止部材35aと、両側部周壁32b、32bの上端から突出させた側部係止部材35b、35bを備え、両容器本体30、10の開口部同士を対向させた状態で容器本体10の周壁12の外面を前記先端係止部材35aと側部係止部材35b、35bの3箇所で受け止めることにより、前記した合致状態に保持させるようになっている。
又、第1調理容器1の取っ手19及び第2調理容器2の取っ手39に前記した両容器本体30、10の合致状態で符合する係止孔18、38が形成され、その係止孔18、38に着脱可能に嵌め込んで、前記した合致状態を保持させる係止具37を備えている。
このように、係止手段を容器本体又は取っ手、或いは容器本体及び取っ手に設けることができるし、着脱可能な係止具を係止手段として用いることができる。
尚、この係止手段の構造や取り付け方に制限はなく、要は両調理容器3、1の周壁32、12の上端縁同士を合致状態に保持させるものであればよい。
【0030】
次に、前記実施例2に係る調理器具Bの使用手順の一例を
図4により説明する。
まず、
図4(イ)で示すように、貫通孔13にピン20を挿通させた状態にして第1調理容器1の容器本体10を熱道形成具2の台座21上に載置させ、その後、第1調理容器1の容器本体10内に食材Fを入れる。
【0031】
このようにして第1調理容器1の容器本体10内に食材Fを収容させたのち、
図4(ロ)で示すように、ピン20から貫通孔13を抜くように第1調理容器1を持ち上げれば、ピン20が抜けた後の食材Fの層に前記貫通孔13に符合して上下方向に貫通した孔が残り、この孔を煙や熱気や炎が通る熱道Hとして形成することができる。ここまでは前記実施例1の手順と同様である。
【0032】
次に、
図4(ハ)で示すように、第1調理容器1の容器本体10を加熱器具としての焼き台9に載せたのち、第2調理容器3を下向きに裏返して、その容器本体30を第1調理容器1の容器本体10の開口部に蓋として被せる。この際、両調理容器3、1の開口部同士を対向させて周壁32、12の上端縁同士を合致させる。
これにより、煙や熱気や炎を上下の容器本体30、10間の空間Sに充満させ、食材Fの上面に対しての香り付けや高温加熱ができる。
【0033】
次に、両調理容器3、1の開口部同士を対向させて周壁32、12の上端縁同士を合致させたまま両方の取っ手39、19を握って両調理容器3、1を上下反転させるもので、このようにして両調理容器3、1を上下反転させると、先に食材Fの層に形成した熱道Hが崩れてしまうが、両調理容器3、1には共に貫通孔33、13が形成されているため、
図4(ニ)で示すように、第2調理容器3の貫通孔33に熱道形成具2のピン20を挿通させれば、再び食材Fの層に熱道Hを形成させることができ、煙による香り付け機能や高温調理機能を損なうことはない。
【0034】
尚、この上下反転に際し、係止手段としての先端係止部材35a及び側部係止部材35b、35bによって両調理容器3,1の合致状態にズレが生じるのを防止できる。
【0035】
そして、再び
図4(ホ)で示すように、上下反転状態のまま焼き台9に載せて加熱させるもので、この上下反転によって食材Fを上下両面から加熱させることができ、調理の幅を広げることができる。
【0036】
本発明の調理器具に係る実施例を図面により説明したが、本発明の調理器具は上記実施例に限定されることはない。
特に、本発明はあくまでも調理容器と熱道形成具との組み合わせ(請求項1)、又は第1調理器具と第2調理器具と熱道形成具との組み合わせ(請求項2)に係る調理器具の発明である。
従って、料理の種類(例えば、飯類、麺類、野菜料理、魚介料理等)、使用する食材の種類(例えば、米類、麺類、うなぎ、魚貝類、海産物等)や量、味付け、調理時間等の調理レシピや調理方法は使用者の判断により千差万別であり、これによって本発明の要旨となる構成が制限されることはない。
【0037】
又、本発明の調理器具は焼鳥店や居酒屋、弁当店、惣菜店、その他の和食店、洋食店、中華料理店等の飲食店用、家庭用、バーベキューや露店等の屋外用等として使用できるし、調理に使用する加熱器具についても炭火用焼き台、電熱コンロ、ガスコンロ等を使用できる。
特に、弁当、惣菜業界においては薫煙、燻製効果による保存性が高まり、省化学保存料が期待できる。
【0038】
又、本発明の調理器具は、煙による香り付けができる点が特徴の1つであり、この香り付けの手法として炭火を利用するほか、例えば、煙が発生し難い電熱焼き台について電熱体の上に木炭等を載せて燃やすことにより炭火の煙を発生させたり、燻製用のチップを利用して煙を発生させたりすることもできる。
【0039】
調理手順について、例えば、食材を容器本体内に入れるタイミングは、実施例1及び実施例2で示したように貫通孔にピンを挿通させた後でもよいし、或いはピンを挿通させる前でもよい。
又、実施例2で示した第2調理容器を蓋として被せるタイミング、上下反転させるタイミングや反転回数についても使用者の判断により適宜に行うことができる。