特許第5852391号(P5852391)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】5852391
(24)【登録日】2015年12月11日
(45)【発行日】2016年2月3日
(54)【発明の名称】金属帯巻取ドラム
(51)【国際特許分類】
   B21C 47/28 20060101AFI20160114BHJP
【FI】
   B21C47/28 B
【請求項の数】3
【全頁数】11
(21)【出願番号】特願2011-216974(P2011-216974)
(22)【出願日】2011年9月30日
(65)【公開番号】特開2013-75321(P2013-75321A)
(43)【公開日】2013年4月25日
【審査請求日】2014年9月29日
(73)【特許権者】
【識別番号】714003416
【氏名又は名称】日新製鋼株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100110423
【弁理士】
【氏名又は名称】曾我 道治
(74)【代理人】
【識別番号】100111648
【弁理士】
【氏名又は名称】梶並 順
(74)【代理人】
【識別番号】100147500
【弁理士】
【氏名又は名称】田口 雅啓
(72)【発明者】
【氏名】工藤 文貴
【審査官】 長谷部 智寿
(56)【参考文献】
【文献】 実開昭57−070711(JP,U)
【文献】 実公昭46−026261(JP,Y1)
【文献】 実開昭48−041827(JP,U)
【文献】 米国特許第03774862(US,A)
【文献】 特開2011−079035(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B21C 47/28
B21C 47/32
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
回転することによって金属帯が巻き付けられる金属帯巻取ドラムにおいて、
金属帯が外表面に巻き付けられる筒状をしたドラム部と、
前記ドラム部の前記外表面に形成された、前記金属帯の挿入溝とを備え、
前記挿入溝は、前記外表面に縁部を有し、
前記挿入溝と前記外表面との間に形成される前記縁部の角が全く落とされていないか又は1mm以下の面取り(≦C1)若しくは半径1mm以下の丸み付けされている金属帯巻取ドラム。
【請求項2】
前記挿入溝は、前記縁部から前記ドラム部の内部側にある前記挿入溝の底部に向かって、両側の前記縁部の中央から前記ドラム部の中心軸に向かう径方向から離れるように、前記ドラム部の回転方向へ傾斜する請求項1に記載の金属帯巻取ドラム。
【請求項3】
前記挿入溝が前記径方向に対して傾斜する角度は、0°以上40°以下である請求項1または2に記載の金属帯巻取ドラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、金属帯の巻取ドラムに関する。
【背景技術】
【0002】
薄い金属帯を製造する際、熱間圧延された熱延金属帯が、薄い金属帯に冷間圧延されて巻取ドラムに巻き付けられ、さらに、巻取ドラムが引き抜かれてコイル状の金属帯とされる。巻取ドラムへの巻き付け時には金属帯に引張力が加わるため、巻取ドラムに巻き付けられた金属帯には巻き締まり力がかかる。そして、この巻取ドラムには円柱状をしたソリッドブロックが用いられる場合がある。ソリッドブロックは、その外周面に軸方向に延びる挿入溝を有しており、金属帯は、その端部が挿入溝に挿入されてソリッドブロックに巻き付けられる。巻き締まり力がかかりつつ巻き取られる金属帯には、挿入溝での1巻目の金属帯と2巻目の金属帯との間での段差、挿入溝への落ち込み等が生じ、それにより、挿入溝の位置で折れ等によるしわ状の模様(ブレーク)が何巻きにもわたって生じやすい。このため、ソリッドブロックにおいて金属帯のコイルに発生するブレークを低減する技術が提案されている。
【0003】
例えば、特許文献1には、リバースミルで圧延を行う場合の鋼帯の巻取ドラムとしてソリッドブロックを用いた発明が記載されている。特許文献1におけるソリッドブロックは、鋼帯の端部を把持する溝付きのグリッパを取り外し可能に有しており、溝の両側の上縁には段差が設けられている。グリッパは、鋼帯の巻取方向に応じて1巻目の最初に巻き付く側が低くなるように、ソリッドブロックに切替自在にセットされ、それにより、溝での1巻目の鋼帯と2巻目の鋼帯との間の段差を低減している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開平11−19723号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、特許文献1におけるグリッパの溝の上縁のグリッパ角部は、10mmのアールで丸められている。このとき、グリッパの外表面における溝による開口幅が、両側の上縁で角を丸めた分だけ溝の幅より広くなる。それにより、ソリッドブロックに巻き付けられた鋼帯は、溝による開口部分では、さらに上側に巻き付けられる鋼帯の巻き締まり力によって開口部分に押し下げられて落ち込む範囲が広くなる。このため、特許文献1のソリッドブロックでは、この鋼帯の落ち込みによって、巻き付けられた鋼帯に何巻きにもわたってブレークが発生してしまい、ブレークの低減効果が低いという問題がある。
【0006】
この発明はこのような問題点を解決するためになされたものであり、巻き付けられた金属帯に発生するブレークの低減を図る金属帯巻取ドラムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記の課題を解決するために、この発明に係る金属帯巻取ドラムは、回転することによって金属帯が巻き付けられる金属帯巻取ドラムにおいて、金属帯が外表面に巻き付けられる筒状をしたドラム部と、ドラム部の外表面に形成された、金属帯の挿入溝とを備え、挿入溝は、外表面に縁部を有し、挿入溝と外表面との間に形成される縁部の角が全く落とされていないか又は1mm以下の面取り(≦C1)若しくは半径1mm以下の丸み付けされている
【0008】
挿入溝は、縁部からドラム部の内部側にある挿入溝の底部に向かって、両側の縁部の中央からドラム部の中心軸に向かう径方向から離れるように、ドラム部の回転方向へ傾斜してもよい。
挿入溝が径方向に対して傾斜する角度は、0°以上40°以下であってもよい。
【発明の効果】
【0009】
この発明に係る金属帯巻取ドラムによれば、巻き付けられた金属帯に発生するブレークを低減することが可能になる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
図1】この発明の実施の形態1に係るソリッドブロックを備える巻取機の模式的な斜視図である。
図2図1のソリッドブロックの挿入溝を拡大した模式断面側面図である。
図3図2のソリッドブロックに金属帯を巻き付けた状態と、従来のソリッドブロックに金属帯を巻き付けた状態とを比較した図である。
図4】この発明の実施の形態2に係るソリッドブロックにおける挿入溝の模式断面側面図である。
図5図4のソリッドブロックに金属帯を巻き付けた状態と、実施の形態1のソリッドブロックに金属帯を巻き付けた状態と、図4のソリッドブロックにおいて挿入溝の傾斜角を変更したものに金属帯を巻き付けた状態と比較した図である。
図6】挿入溝における溝幅に対する外表面幅の幅変化率と挿入溝の傾斜角との関係を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下、この発明の実施の形態について添付図面に基づいて説明する。
実施の形態1.
図1を参照すると、この発明の実施の形態1に係るソリッドブロック101を備えた巻取機10の一例が示されている。
巻取機10は、金属帯巻取ドラムである略円柱状をしたソリッドブロック101の軸部1の両端を回転自在に支持する減速機11及び軸受台12と、減速機11に接続された駆動モータ13とを有している。減速機11は内部に複数のギヤを有するギヤボックスを構成しており、ソリッドブロック101の軸部1の一方の端部及び駆動モータ13の駆動軸が減速機11内部のギヤにギヤ係合している。また、ソリッドブロック101の軸部1の他方の端部は、軸受台12の内部の軸受によって支持されている。このため、駆動モータ13の回転駆動力は、減速機11内のギヤによって駆動力が増大されてソリッドブロック101に伝達され、軸部1の中心軸Cを中心にソリッドブロック101を回転駆動する。
【0012】
ソリッドブロック101は、軸部1の中央側に、軸部1の断面を同心円状に拡径した断面をもつ円筒状のドラム部2を有し、ドラム部2の外表面2aには、軸部1及びドラム部2の中心軸Cと平行に延びる挿入溝3が形成されている。そして、薄板状の金属帯20の端部が挿入溝3に差し込まれ、ソリッドブロック101が方向P1に回転されることによって、ドラム部2上に金属帯20がその巻取方向P2と反対方向Qへの引張力を受けつつコイル状に巻き付けられる。
【0013】
さらに、図2を参照すると、ソリッドブロック101のドラム部2における挿入溝3の断面側面図が示されている。
挿入溝3は、ドラム部2の外表面2aから内部側の中心軸C(図1参照)であるドラム部2の円形断面の中心Cに向かって形成されている。挿入溝3は、ドラム部2の外表面2aから互いに平行に延びる第一側部3a及び第二側部3bと、第一側部3a及び第二側部3bにおけるドラム部2の中心C側の第一端部3a2及び第二端部3b2を連結する底部3cとによって形成されている。さらに、第一側部3aは、ドラム部2の回転方向P1(紙面上で反時計回り)側に位置し、第二側部3bは、ドラム部2の回転方向P1と反対方向側に位置している。そして、挿入溝3は、第一側部3a及び第二側部3bの間の距離である溝幅X、深さLを有して形成されている。
【0014】
第一側部3a及び第二側部3bはそれぞれ、ドラム部2の外表面2aで第一縁部3a1及び第二縁部3b1を形成している。第一縁部3a1及び第二縁部3b1はそれぞれ、面取り、丸みを付ける等することによって角3a1a及び3b1aが落とされておらず、第一側部3a及び第二側部3bと外表面2aとを延長してこれらがそのまま交わって形成する形状を有し、第一側部3a及び第二側部3bと外表面2aとで形成されている。
【0015】
また、半径線Rが、第一縁部3a1及び第二縁部3b1の間の中央とドラム部2の中心C(図1参照)とを結ぶ直線として延び、第一側部3a及び第二側部3bの間の中央を通って延びている。
なお、第一縁部3a1及び第二縁部3b1それぞれの角3a1a及び3b1aが落とされていないとは、角が全く落とされていない場合の他、機械加工時に必然的に生じる第一縁部3a1及び第二縁部3b1の角での微少な面や丸み等がある場合、第一縁部3a1及び第二縁部3b1の角の欠損の防止や取扱い時の安全のために形成された微少な面取り、丸み付け等がある場合等を含むものである。例えば、第一縁部3a1及び第二縁部3b1の角が落とされていないとは、面取りの場合は縁部の角から1mm以下(≦C1)、丸み付けの場合は、半径1mm以下(≦r1)程度をいう。
【0016】
さらに、図3を参照すると、本実施の形態1のソリッドブロック101のドラム部2における挿入溝3の断面側面図と、比較例1としての従来のソリッドブロック100のドラム部2における挿入溝31の断面側面図とが、金属帯20を巻き付けた状態で示されている。
ソリッドブロック101のドラム部2に金属帯20を巻き付ける際、金属帯20の端部20aが図示しない機械によって挿入溝3に挿入される。そして、その挿入を円滑にするために、挿入溝3の溝幅Xは通常、金属帯20の厚さより大きく形成されている。
金属帯20の端部20aが挿入された後、ソリッドブロック101のドラム部2が回転方向P1に回転されて金属帯20がドラム部2の外表面2a上に巻き付けられる。
このとき、金属帯20は、挿入溝3内で湾曲しつつ第二縁部3b1で曲げられ、その際に第二縁部3b1では、急に曲げられることによって曲がり切れない部分が盛り上がりを生じ、その後ドラム部2の外表面2a上に沿って巻き付けられる。
【0017】
そして、金属帯20がドラム部2に巻き付けられるとき、回転方向P1と反対方向Qへの引張力が金属帯20に作用する。引張力が2巻目以降の金属帯20に作用するとき、この2巻目以降の金属帯20は、ドラム部2側となる下側の金属帯20に対して、第一縁部3a1及び第二縁部3b1の間では挿入溝3内に向かって押し付ける。これにより、挿入溝3の上を横切る1巻目の金属帯20は、2巻目以降の金属帯20によって押し付けられることによって、第一縁部3a1の角3a1a及び第二縁部3b1の角3b1aの間で落ち込んで変形する。よって、ドラム部2に巻き付けられた1巻目の金属帯20の挿入溝3付近では、第二縁部3b1付近での盛り上がりと、第一縁部3a1の角3a1a及び第二縁部3b1の角3b1aの間での落ち込みとによって、幅B1にわたって金属帯20の板幅方向に変形が生じる。そして、この変形が2巻目以降の金属帯20にブレークを生じさせる。
【0018】
また、比較例1のソリッドブロック100のドラム部2における挿入溝31は、本実施の形態1のソリッドブロック101の挿入溝3と同様に、互いに平行に延びる第一側部31a及び第二側部31bと、第一側部31aの第一端部31a2及び第二側部31bの第二端部31b2を連結する底部31cとを有し、半径線Rが、第一側部31a及び第二側部31bの間の中央を通って延びている。また、第一側部31aの第一縁部31a1の角31a1a及び第二側部31bの第二縁部31b1の角31b1aは、丸められており半径rの曲面の一部を形成している、つまりアールがrの曲面を形成している。よって、挿入溝31は、外表面2a上において、第一縁部31a1の角31a1aにおける半径rの曲面部分の回転方向P1側の終端から、第二縁部31b1の角31b1aにおける半径rの曲面部分の回転方向P1と反対方向側の終端にわたって、窪み(開口)を形成する。また、挿入溝31は、挿入溝3と同じ深さ、同じ溝幅Xで形成されている。
【0019】
そして、ソリッドブロック100のドラム部2の外表面2aに金属帯20を巻き付ける場合は、上述のソリッドブロック101と同様にして実際される。
金属帯20は、挿入溝31内で湾曲しつつ第二縁部31b1で曲げられ、さらに、第二縁部31b1で曲がり切れない部分が僅かに盛り上がりを生じた後、外表面2a上を沿う。また、挿入溝31の上を横切る1巻目の金属帯20では、第一縁部31a1における半径rの曲面部分の回転方向P1側の終端から第二縁部31b1にわたって、挿入溝31内への落ち込みによる変形を生じる。よって、ソリッドブロック100のドラム部2に巻き付けられた1巻目の金属帯20の挿入溝31付近では、第二縁部31b1付近での盛り上がりと、第一縁部31a1から第二縁部31b1にわたる落ち込みとによって、幅B1’にわたって変形が生じる。そして、この変形が2巻目以降の金属帯20にブレークを生じさせる。
【0020】
また、ソリッドブロック100の挿入溝31では、第一縁部31a1の角31a1a及び第二縁部31b1の角31b1aが丸められていることによって、第一縁部31a1から第二縁部31b1にわたって形成される外表面2aより窪んだ部位の幅が、ソリッドブロック101の挿入溝3での第一縁部3a1から第二縁部3b1にわたって形成される外表面2aより窪んだ部位の外表面幅W1より、大幅に大きくなっている。このため、ソリッドブロック100の挿入溝31での落ち込みによる金属帯20の変形範囲が、ソリッドブロック101の挿入溝3での落ち込みによる金属帯20の変形範囲より、大幅に大きくなる。
よって、実施の形態1のソリッドブロック101における1巻目の金属帯20に生じる変形幅B1より、比較例1のソリッドブロック100における1巻目の金属帯20に生じる変形幅B1’の方が大幅に大きくなる。また、比較例1のソリッドブロック100における1巻目の金属帯20に生じる落ち込みによる半径線R方向の変形量も、実施の形態1のソリッドブロック101における1巻目の金属帯20に生じる落ち込みによる半径線R方向の変形量より、大きくなる。
【0021】
そして、実施の形態1のソリッドブロック101及び比較例1のソリッドブロック100のいずれにおいても、金属帯20の変形部分の上に巻き付けられた金属帯20には何巻きかにわたってブレークが発生する。しかしながら、1巻目の金属帯20に発生する変形範囲及び変形量が小さい実施の形態1のソリッドブロック101の金属帯20にブレークが生じる巻き数は、1巻目の金属帯20に発生する変形範囲及び変形量がより大きい比較例1のソリッドブロック100の金属帯20にブレークが生じる巻き数より少なくなる。
【0022】
上述で説明するように、この発明の実施の形態1に係るソリッドブロック101は、回転することによって金属帯20が巻き付けられる。ソリッドブロック101は、金属帯20が外表面2aに巻き付けられる筒状をしたドラム部2と、ドラム部2の外表面2aに形成された、金属帯20の挿入溝3とを備える。挿入溝3は、外表面2aに縁部3a1及び3b1を有し、挿入溝3と外表面2aとの間に形成される縁部3a1及び3b1それぞれの角3a1a及び3b1aが落とされていない。これによって、ドラム部2の外表面2aにおいて第一縁部3a1から第二縁部3b1にわたって形成される窪み(開口)の幅が狭くなる。よって、この窪みに起因する金属帯20の落ち込み範囲及び落ち込み量が減少し、それにより、ドラム部2に巻き付けられた金属帯20においてブレークが発生する巻き数を低減することが可能になる。
【0023】
実施の形態2.
この発明の実施の形態2に係るソリッドブロック201は、実施の形態1のソリッドブロック101における挿入溝3を半径線Rに対して傾斜させたものである。
なお、以下の実施の形態において、前出した図における参照符号と同一の符号は、同一または同様な構成要素であるので、その詳細な説明は省略する。
【0024】
図4を参照すると、実施の形態2に係るソリッドブロック201のドラム部2における挿入溝23の断面側面図が示されている。
挿入溝23は、ドラム部2の外表面2aから中心C(図1参照)に向かって、半径線Rに対して傾斜角α(αは0より大きい)で傾斜して延びている。
具体的には、挿入溝23は、実施の形態1における挿入溝3と同様にして、互いに平行に延びる第一側部23a及び第二側部23bと、第一側部23aの第一端部23a2及び第二側部23bの第二端部23b2を連結する底部23cとによって形成されている。そして、挿入溝23は、実施の形態1の挿入溝3と同様の溝幅X、深さLを有している。
第一側部23aの第一縁部23a1及び第二側部23bの第二縁部23b1はそれぞれ、面取り、丸みを付ける等することによって角23a1a及び23b1aが落とされておらず、第一側部23a及び第二側部23bと外表面2aとで形成されている。
【0025】
また、半径線Rは、第一縁部23a1の角23a1aと第二縁部23b1の角23b1aの間の中央とドラム部2の中心C(図1参照)とを結ぶ直線である。そして、第一側部23aは、半径線Rに対して、第一縁部23a1から第一端部23a2に向かって回転方向P1側に半径線Rから離れるようにして、傾斜角αで傾斜している。同様に、第二側部23bは、半径線Rに対して、第二縁部23b1から第二端部23b2に向かって回転方向P1側に半径線Rから離れるようにして、傾斜角αで傾斜している。つまり、挿入溝23は、第一縁部23a1及び第二縁部23b1から底部23cに向かって回転方向P1側に半径線Rから離れるようにして、傾斜角αで傾斜している。
【0026】
そして、外表面2aにおいて第一縁部23a1の角23a1a及び第二縁部23b1の角23b1aがそれらの間に形成する開口の幅(外表面幅W2とする)は、溝幅Xより大きくなっており、外表面幅W2=溝幅X/cosαとなる。
【0027】
さらに、図5を参照すると、本実施の形態2のソリッドブロック201のドラム部2における挿入溝23の断面側面図と、実施の形態1のソリッドブロック101のドラム部2における挿入溝3の断面側面図と、ソリッドブロック201における挿入溝23の傾きを変更して傾斜角を−αとした比較例2としてのソリッドブロック200のドラム部2における挿入溝32の断面側面図とが、金属帯20を巻き付けた状態で示されている。
【0028】
本実施の形態2のソリッドブロック201のドラム部2の外表面2aに金属帯20を巻き付ける場合は、上述のソリッドブロック101と同様にして実際される。
金属帯20は、挿入溝23内で湾曲しつつ第二縁部23b1で曲げられた後、第二縁部23b1及びドラム部2の外表面2aに沿って巻き付けられる。このとき、挿入溝23が底部23cを回転方向P1側に半径線Rから離すようにして傾斜しているため、第二縁部23b1における金属帯20の曲げ角度が小さくなる。さらに、金属帯20は、挿入溝23内で湾曲しつつ第二縁部23b1で曲げられる。このため、金属帯20は、第二縁部23b1で急な曲げ角度での曲げにより曲がり切れずに生じる盛り上がり等を起こさずに、第二縁部23b1及びドラム部2の外表面2aに沿うように巻き付く。
【0029】
よって、ソリッドブロック201のドラム部2に巻き付けられた1巻目の金属帯20は、第二縁部23b1付近で盛り上がりをほとんど発生せず、落ち込みも第一縁部23a1の角23a1aから第二縁部23b1の角23b1aまでの範囲内に限定される。さらに、挿入溝23の第一縁部23a1及び第二縁部23b1ではいずれも角23a1a及び23b1aが落とされていない。このため、ソリッドブロック201の1巻目の金属帯20に変形が発生する幅B2は外表面幅W2(図4参照)とほぼ同等となる。
【0030】
また、外表面幅W2(図4参照)は、挿入溝23の傾斜角αによって変化し、外表面幅W2=溝幅X/cosαで示されるように、傾斜角αが大きくなるほど大きくなる。
ここで、図6を参照すると、幅変化率Fと傾斜角αとの関係が示されている。なお、幅変化率Fは、外表面幅W2を溝幅Xで除したものであり、F=1/cosαとなる。
これから傾斜角度αが大きくなるほど幅変化率F、換言すれば外表面幅W2が指数関数的に大きくなることがわかる。
図5及び図6をあわせて参照すると、例えば、実施の形態1のソリッドブロック101の1巻目の金属帯20に変形が生じる幅B1を溝幅Xで除した幅B1/溝幅Xよりも、幅変化率Fの方が小さくなるように傾斜角αを設定すれば、本実施の形態2のソリッドブロック201の1巻目の金属帯20に変形が生じる幅B2の方をより小さくすることができ、金属帯20にブレークが生じる巻き数を低減することができる。
【0031】
また、幅変化率Fは、金属帯20における落ち込みによる変形を抑え且つ巻き付け時に金属帯20が挿入溝23から抜けることを防ぐために、外表面幅W2(図4参照)の増大を抑えるように設定され、幅変化率Fが指数関数的に大きくならない1.0から約1.3までの範囲内で選定される。そして、1.0〜約1.3の幅変化率Fに相当する傾斜角αは、40°以下となる。よって、傾斜角αは40°を上限とするように選定される。
また、傾斜角度αの上限を40°とすることで、挿入溝23への金属帯20のセット時や巻取り開始時に、金属帯20が挿入溝23から抜け落ちることを防止できるというメリットもある。
このように、傾斜角αを40°以下として外表面幅W2の増大を抑えることによって、金属帯20における第一縁部23a1及び第二縁部23b1の間での落ち込みによる変形量及び変形範囲が小さくなり、ドラム部2に巻き付けられた金属帯20においてブレークが生じる巻き数が低減する。
また、この発明の実施の形態2に係るソリッドブロック201のその他の構成は、実施の形態1と同様であるため、説明を省略する。
【0032】
図5を参照すると、比較例2のソリッドブロック200のドラム部2における挿入溝32は、本実施の形態2のソリッドブロック201の挿入溝23と同様に、互いに平行に延びる第一側部32a及び第二側部32bと、第一側部32aの第一端部32a2及び第二側部32bの第二端部32b2を連結する底部32cとを有し、半径線Rが、第一縁部32a1の角32a1a及び第二縁部32b1の角32b1aの間の中央を通って延びている。そして、第一側部32a及び第二側部32bはそれぞれ、第一縁部32a1及び第二縁部32b1から底部32cに向かって回転方向P1と反対側に半径線Rから離れるようにして、傾斜角βで傾斜している。なお、傾斜角βの大きさは、傾斜角αの大きさと同一である。また、挿入溝32は、実施の形態2の挿入溝23と同様の溝幅X、深さLを有している。このため、挿入溝32は、挿入溝23において傾斜角を−αとしたものと同じである。
【0033】
そして、ソリッドブロック200のドラム部2の外表面2aに金属帯20を巻き付ける場合は、上述のソリッドブロック101と同様にして実際される。
金属帯20は、挿入溝32内で湾曲しつつ第二縁部32b1で挿入溝32の延在方向に対して鋭角的に曲げられ、これにより、第二縁部32b1で曲がり切れない部分が大きく湾曲して盛り上がり、その後、ドラム部2の外表面2aに沿って巻き付けられる。このとき、金属帯20は、急激に鋭角的に曲げられるため、実施の形態1のソリッドブロック101に巻き付けられた金属帯20より、第二縁部32b1での盛り上がりが大きい。
【0034】
また、挿入溝32の第一縁部32a1及び第二縁部32b1ではいずれも角32a1a及び32b1aが落とされていないため、角32a1a及び32b1aの間の外表面幅は、実施の形態2のソリッドブロック201における外表面幅W2(図4参照)と同一である。
そして、ソリッドブロック200のドラム部2に巻き付けられた1巻目の金属帯20の挿入溝32付近では、第一縁部32a1の角32a1aから第二縁部32b1の角32b1aまでの範囲内で発生する落ち込みと、第二縁部32b1付近での盛り上がりとによって、幅B2’にわたる変形が生じる。そして、幅B2’は、幅B2及び幅B1よりも大幅に大きくなる。このため、比較例2のソリッドブロック200では、実施の形態2のソリッドブロック201及び実施の形態1のソリッドブロック101より、金属帯20にブレークが生じる巻き数が多くなる。
【0035】
(実施例)
また、本実施の形態2のソリッドブロック201に形成した挿入溝23の一例と、比較例1及び2のソリッドブロック100及び200に形成した挿入溝31及び32の一例と、別の形状の挿入溝の例とを比較したものを表1に示す。なお、表1の挿入溝はいずれも、溝幅Xが3mm、溝の深さLが40mmであり、巻き付けられる金属帯20は、材質がSUS304、板厚が0.48mm、板幅が1260mmである。また、挿入溝において角が丸められた縁部は、アールが10mmの曲面で丸められている。
【0036】
【表1】
【0037】
表1の実施例1は、本実施の形態2の挿入溝23の一例で、傾斜角αを20°としたものの例である。
表1の比較例1は、図3の比較例1の挿入溝31の一例である。
表1の比較例2は、図5の比較例2の挿入溝32の一例で、傾斜角βを20°としたものの例であり、つまり、本実施の形態2の挿入溝23において傾斜角αを−20°としたものの例である。
表1の比較例3は、本実施の形態2の挿入溝23において第一縁部23a1の角23a1a及び第二縁部23b1の角23b1aを丸めたものの一例である。
表1の実施例1と比較例1〜3との間で、ドラム部2に巻き付けられた金属帯20にブレークが発生する長さを比較すると、比較例1〜3でのブレーク発生長は、実施例1でのブレーク発生長の約1.46〜約2.24倍となっており、実施例1でのブレーク発生長が大幅に低減されていることがわかる。
【0038】
上述で説明するように、実施の形態2におけるソリッドブロック201によれば、上記実施の形態1のソリッドブロック101と同様な効果が得られる。
また、ソリッドブロック201において、挿入溝23は、縁部23a1及び23b1からドラム部2の内部側にある挿入溝23の底部23cに向かって、両側の縁部23a1及び23b1の中央からドラム部2の中心軸Cに向かう径方向の半径線Rから離れるように、ドラム部2の回転方向P1へ傾斜する。これによって、ドラム部2に巻き付けられる際の金属帯20では、挿入溝23の第二縁部23b1での曲げ角度が小さくなるため、第二縁部23b1で金属帯20が曲がりきれずに引き起こす盛り上がり等が低減され、それにより、ドラム部2に巻き付けられた金属帯20においてブレークが発生する巻き数を低減することが可能になる。
【0039】
また、ソリッドブロック201において、半径線Rに沿う方向である径方向に対して挿入溝23が傾斜する角度は、0°より大きく40°以下である。これにより、ドラム部2の外表面2aにおいて第一縁部23a1及び第二縁部23b1の間に形成される開口の外表面幅W2の増大が抑えられる。よって、この開口の窪みに起因する金属帯20の落ち込み範囲の増大が抑えられ、金属帯20のブレークを低減することができる。
【0040】
また、実施の形態1及び2において、挿入溝3及び23の溝幅Xは、金属帯20の厚さより大きく形成されていたが、これに限定されるものでなく、金属帯20の厚さとほぼ同一であってもよい。
【符号の説明】
【0041】
2 ドラム部、2a 外表面、3,23 挿入溝、3a1,23a1 第一縁部、3a1a,23a1a 角(第一縁部の角)、3b1,23b1 第二縁部、3b1a,23b1a 角(第二縁部の角)、3c,23c 底部、20 金属帯、101,201 ソリッドブロック(金属帯巻取ドラム)、C 中心軸、P1 回転方向、R 半径線。
図1
図2
図3
図4
図5
図6