特許第5852398号(P5852398)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】5852398
(24)【登録日】2015年12月11日
(45)【発行日】2016年2月3日
(54)【発明の名称】建物用点検口
(51)【国際特許分類】
   E04F 19/08 20060101AFI20160114BHJP
【FI】
   E04F19/08 101E
   E04F19/08 101C
   E04F19/08 101Z
【請求項の数】3
【全頁数】11
(21)【出願番号】特願2011-228018(P2011-228018)
(22)【出願日】2011年10月17日
(65)【公開番号】特開2013-87474(P2013-87474A)
(43)【公開日】2013年5月13日
【審査請求日】2014年9月26日
(73)【特許権者】
【識別番号】390004145
【氏名又は名称】城東テクノ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001841
【氏名又は名称】特許業務法人梶・須原特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】中谷 哲也
【審査官】 西村 隆
(56)【参考文献】
【文献】 欧州特許出願公開第01903162(EP,A1)
【文献】 特開2001−349047(JP,A)
【文献】 実開平03−113045(JP,U)
【文献】 実開平03−050153(JP,U)
【文献】 特開2001−140460(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
E04F 19/08
E04B 9/00
E04B 1/80
E06B 5/01
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
建物の壁又は天井の開口部に取り付けられる外枠と、
前記外枠に対して開閉自在に取付けられ、枠の内周縁から内方に突出する縁部を有する内枠と、
前記内枠に取付けられ、所定の厚みを有する断熱部材と、
蓋板の周縁を前記内枠の縁部上に載置し、載置された前記蓋板の上に前記断熱部材を載置した状態で、前記内枠に前記断熱部材を固定するためのクリップ部材と、
を備えることを特徴とする建物用点検口。
【請求項2】
前記断熱部材は、前記蓋板と接する下面側の周縁から上面側の周縁に向けて内側に傾斜するテーパ部を有することを特徴とする請求項1に記載の建物用点検口。
【請求項3】
前記クリップ部材は、コの字形状をしており、一方の端部には前記内枠に係合する内枠係合部が形成され、他方の端部には前記断熱部材に係合する断熱部材係合部が形成されていることを特徴とする請求項1又は2に記載の建物用点検口。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、建物用点検口に関するものである。
【背景技術】
【0002】
建物においては、作業者が建物の壁や天井の内側を保守・点検するために、壁や天井に点検口が設けられている。従来の点検口としては、外枠と、内枠と、内枠に取付けられる蓋板とからなり、内枠は外枠に対して開閉機構を介して接続されているものがある。蓋板としては、点検口と周囲の色模様が同じものとなるように、施工現場において、点検口を設けるための開口部を壁や天井に形成する際に切り出された開口部の壁材、天井材などの板材がそのまま使用されている。
【0003】
また、近年、省エネルギー住宅として高気密高断熱住宅が注目されるようになってきており、点検口においては、外枠や開口部に断熱部材を用いるようになってきている(特許文献1)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2001−349047号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
従来の点検口において開口部に設置される断熱部材は、蓋板を取付けた内枠上に載置され、内枠を開口して点検する際には、断熱部材を邪魔にならない場所へ遠ざけるようにし、点検後には再び元の位置に戻したのち閉口するようにして用いられるため、点検作業が煩わしいものとなっていた。
【0006】
また、天井などの水平壁に設けた点検口に断熱部材を用いる場合には、断熱部材を内枠上に載置して用いることができるが、壁などの垂直壁に設けた点検口の場合は、断熱部材を脱落させないように保持するための構造が必要となる。この場合、予め断熱部材を内枠に取付けてしまうと、施工現場で加工する蓋板を内枠に取付けることができなくなってしまう。また、施工現場で接着剤等を使用して断熱部材を内枠に取り付けてしまうと、手間がかかるうえに、断熱部材だけの交換ができなくなってしまう。
【0007】
更に、要求される断熱効果を得るために断熱部材自体比較的大きい厚みを有していることから、内枠に取付けてしまうと、断熱部材の周縁が外枠に当接して内枠の開閉が困難になってしまう場合がある。
【0008】
本発明は、施工現場において、内枠に蓋板及び断熱部材を容易に取付けることができ、点検時に断熱部材を遠ざけたり戻したりする必要のない、壁点検口、天井点検口などの建物用点検口を提供することを目的とする。また、断熱部材を内枠に取付けても、内枠のスムーズな開閉を行うことができる建物用点検口を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上記課題を解決するための本発明に係る建物用点検口は、建物の壁又は天井の開口部に取り付けられる外枠と、前記外枠に対して開閉自在に取付けられ、枠の内周縁から内方に突出する縁部を有する内枠と、前記内枠に取付けられ、所定の厚みを有する断熱部材と、蓋板の周縁を前記内枠の縁部上に載置し、載置された前記蓋板の上に前記断熱部材を載置した状態で、前記内枠に前記断熱部材を固定するためのクリップ部材と、を備えている。
【0010】
上記の構成によれば、外枠に対して開閉自在に取付けられる内枠の縁部上に蓋板を載置し、載置された蓋板の上に断熱部材を載置した状態で、内枠に断熱部材をクリップ部材によって固定することができる。このため、接着剤や特別な工具を使用せずとも、内枠に断熱部材をクリップ部材により即座に取付けることができ、取付作業の作業性を向上させることができる。
また、内枠に断熱部材を取付けることができるため、点検作業時に断熱部材を取り出し、再び元の位置に戻して内枠を閉口する必要がない。更に、垂直壁に建物用点検口を設けるときであっても、断熱部材を保持するための新たな構造を必要としないので、垂直壁の建物用点検口として特に有効である。
【0011】
また、本発明は上記発明に係る建物用点検口であって、前記断熱部材は、前記蓋板と接する下面側の周縁から上面側の周縁に向けて内側に傾斜するテーパ部を有している。
【0012】
上記の構成によれば、断熱部材が、蓋板と接する下面側の周縁から上面側の周縁に向けて内側に傾斜するテーパ部を有しているため、内枠を開閉する際に断熱部材が外枠に接触するのを防止・軽減して、外枠に対する内枠の開閉をスムーズに行うことができる。
【0013】
また、本発明は上記発明に係る建物用点検口であって、前記クリップ部材は、コの字形状をしており、一方の端部には前記内枠に係合する内枠係合部が形成され、他方の端部には前記断熱部材に係合する断熱部材係合部が形成されている。
【0014】
上記構成によれば、クリップ部材が、コの字形状をしており、一方の端部には内枠に係合する内枠係合部が形成され、他方の端部には断熱部材に係合する断熱部材係合部が形成されているため、内枠、蓋板、及び、断熱部材をクリップ部材によって強固に係合して挟持することができる。
【発明の効果】
【0015】
本発明によれば、施工現場において、内枠に蓋板及び断熱部材を容易に取付けることができ、点検時に断熱部材を遠ざけたり戻したりする必要のない、壁点検口、天井点検口などの建物用点検口を提供することができる。また、断熱部材を内枠に取付けても、内枠のスムーズな開閉を行うことができる建物用点検口を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0016】
図1】(A)は、本実施形態に係る建物用点検口を模式的に示す側面図である。(B)は、本実施形態に係る建物用点検口の縦断面図である。(C)は、本実施形態に係る建物用点検口の横断面図である。
図2】(A)は、本実施形態に係る断熱部材の斜視図である。
図3】本字実施形態に係る断熱部材の5面図である。
図4】本実施形態に係る発泡材製の断熱枠材の斜視図である。
図5】本実施形態に係る発泡材製の断熱枠材の4面図である。
図6】(A)は、本実施形態に係るクリップ部材の裏面の斜視図である。(B)は、本実施形態に係るクリップ部材の表面の斜視図である。
図7】本実施形態に係る建物用点検口の要部拡大説明図である。
図8】(A)は、本実施形態に係る内枠の開閉動作を説明する第一説明図である。(B)は、本実施形態に係る内枠の開閉動作を説明する第二説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0017】
(実施形態)
以下、図面を参照しつつ、本願発明の実施形態を説明する。
【0018】
(建物用点検口1の構成)
本実施形態における建物用点検口1は、図1に示すように、建物の壁側面10に形成された開口部11に取り付けられて使用される。この建物用点検口1は、壁側面10の開口部11に取り付けられる外枠2と、外枠2に対して開閉自在に取付けられ、枠の内周縁から内方に突出する縁部31を有する内枠3と、内枠3に取付けられる断熱部材5と、内枠3に断熱部材5を固定するためのクリップ部材6とを備えている。なお、本実施形態では、後述するように、内枠3に取り付けられる蓋板4として、開口部11を形成するときに切り抜いた壁材を使用しているが、これに限らず、別途、用意した板材を蓋板4として使用してもよい。
【0019】
壁側面10に形成された開口部11は、側面視矩形状をしている。また、壁側面10の裏側には、開口部11の全周に沿って、木製角材からなる下地材12が設けられている。下地材12は、図1(B)(C)に示すように、壁側面10の開口部11を塞がないように側面視矩形状に配置される。
【0020】
また、図1及び図7に示すように、開口部11の裏側には、図4及び図5に示す発泡材製の断熱枠材13が下地材12の全周に沿ってネジ止めにより固定設置されている。なお、図5に示すように、断熱枠材13の断面は、内枠3を外枠2に対して閉鎖状態にした場合に、後述する断熱部材5のテーパ部Tと当接するように、テーパ部Tに対して逆テーパ状をしている(図5の逆テーパI)。また、断熱部材5の下端部131は、外枠2に当接する。
【0021】
壁側面10の開口部11には、図1及び図7に示すように、外枠2が取り付けられている。外枠2は、壁側面10の開口部11の縁及び下地材12の側面に当接する矩形状のアルミ製の枠体であり、水平方向に所定幅を有する。そして、8つのネジが、外枠2の四方の内側面に設けられた8つのネジ穴から、下地材12に到達するように、外枠2にネジ止めされることにより、外枠2は、壁側面10の開口部11の縁及び下地材12の側面に取り付けられている。
【0022】
また、外枠2には、リンク機構14を介して、内枠3が組み付けられており、内枠3は、外枠2内に納まるようになっている。開口部11を覆っている。内枠3は、矩形状のアルミ製の枠体であり、水平方向に所定幅を有する。内枠3は、リンク機構14により、内枠3長手方向の一辺(厳密には、該一辺と平行な仮想線)を軸線として、開閉可能であり、外枠2に対して最大で約120°開くことができる。内枠3が開いた状態で、外枠2と内枠3とは、接しておらず、間隔をあけて開閉する。また、外枠2の内側面には、下地材12にネジ止めされる際のネジ穴が8つ設けられている。また、内枠3には、外枠2に対して内枠3を閉鎖状態でロックするためのロック機構16が設けられている。
【0023】
なお、リンク機構14は、本出願人により出願されたものであり、複数のリンク機構の組み合わせからなり、緩徐に且つ滑らかな開閉動作を実現する。詳細については、特開2007−126942号公報に開示されているので、ここでの説明は省略する。勿論、本実施形態において、外枠2と内枠3との開閉を行うための開閉機構は、リンク機構14に限定されるものではなく、従来公知の開閉機構を採用することが可能であり、例えば、バネを用いた開閉機構を採用することができる。
【0024】
また、内枠3の内周縁には、図1及び図7に示すように、内方に突出した縁部31が形成されている。この内枠3の内周縁に設けられた縁部31は、内枠3の内側から蓋板4が内枠3の縁部31上に載置されるように嵌め込まれた際の位置決め的役割を果たす。また、内枠3の外周縁には、外方に突出した縁部33が形成されている。また、内枠3の上端縁には外側に突出するフランジ部が形成されており、該フランジ部の先端を下方へ屈曲させることにより、後述するクリップ部材6の一方端部に設けられた内枠係合部62を係止する溝32が形成されている。
【0025】
蓋板4は、建物用点検口1を取り付けるための開口部11を形成するために壁側面10から切り出された開口部11に相当する壁材を内枠3に嵌め込める大きさに加工して作成される。これにより、蓋板4が内枠3に嵌め込まれた際に、開口部11の周囲の壁側面10と色模様が同じものとなる。また、蓋板4の四隅には、断面L字型のネジ受金具41が取り付けられている。そして、図示しないが、この4つのネジ受金具41に対応するように内枠3の側面に設けられた4つのネジ穴を介して、4つのネジ受金具41にネジ止めされている。これにより、蓋板4が内枠3から外れるのを防止することが可能となる。
【0026】
内枠3に取付けられる発泡材製の断熱部材5は、図7に示すように、外側の断熱カバー材56の内部に2枚の直方体形状の断熱板材57、58を重ねて収納して一体にしたものであり、要求される断熱効果を得るために比較的大きい厚みがある。また、断熱部材5の外周縁には、段部51及び凹部52が設けられている。段部51には、図2図3及び図7に示すように、後述するクリップ部材6のフック状の断熱部材係合部61が係合する溝511が段部51の全周に沿って形成されている。凹部52は、クリップ部材6を取り付ける位置を示すものであり、クリップ部材6を取り付けた際にクリップ部材6が断熱部材5の外側面から突出しないように、クリップ部材6の厚み分だけ凹んでいる。また、凹部52は、断熱部材5の長手方向の両側面に合わせて6個、短手方向の両端に合わせて4個の合計10個が設けられている。また、図3(B)に示すように、断熱部材5の下端部の四隅には、断熱部材5が蓋板4の上に載置された際に、蓋板4に設けられた4つのネジ受金具41を納める凹部591が4つ設けられている。なお、断熱板材57、58に高性能断熱材を使用することにより、断熱部材5自体の厚みを薄くすることもできる。
【0027】
また、断熱部材5は、図2図3及び図8(A)(B)に示すように、下面側の周縁54から上面55側の周縁59に向けて内側に傾斜するテーパ部Tを有している。このため、断熱部材5の上面55側の周縁59を含む面積は、断熱部材5の下面側の周縁54を含む面積よりも小さくなっている。
【0028】
なお、図3に示した断熱部材5の外周面は、全体として下方へ向かって裾が広がるようにテーパ部Tが設けられているが、図7に示すように、断熱部材5の外周面の上部をほぼ垂直に立ち上がらせ、下部を下方へ向かって裾広がりとなるようにテーパ部Tを形成するようにしてもよい。また、断熱部材5の下端部周縁には、内枠3の上端縁から外側に突出するように形成されたフランジ部上面に倣う段部592が形成されており、段部592と段部51とによりテーパ部Tの一部が突出したようになっている(図3(B)参照)。そして、断熱部材5の下端部周縁に形成された段部592は、内枠3の上記フランジ部上に搭載され、段部592から下方の断熱部材5の下端部が内枠3内に嵌め込まれた状態で、上記テーパ部Tの突出した箇所の上下に亘って形成された凹部52にクリップ6を取付けることで、断熱部材5を内枠3に取付、固定することができる。
【0029】
内枠3に断熱部材5を取付固定するクリップ部材6は、プラスチック製であり、図6(A)(B)に示すように、コの字形状をしており、一方の端部には内枠3の溝32に係合するフック状の内枠係合部62が形成され、他方の端部には断熱部材5の段部51に形成された溝511に係合する断熱部材係合部61が形成されている。なお、クリップ部材6は、断熱部材係合部61及び内枠係合部62が、内枠3の溝32及び断熱部材5の溝511に係合する際に変形できるほどの弾力性を有している。
【0030】
内枠3には、図7に示すように、樹脂製の縁材15が内枠3の縁部31及び縁部33を覆うように取り付けられている。また、内枠3の縁部33には、縁部33と外枠2とが当接する部分に、樹脂シール製の気密材34が取り付けられており、外枠2と内枠3との間の気密性が保たれている。
【0031】
(建物用点検口1の取付手順)
次に、建物用点検口1の取付手順の一例を、蓋板4及び断熱部材5を内枠3に取付ける手順と、建物用点検口1を壁側面10に取付ける手順とに分けて説明する。
【0032】
(蓋板4及び断熱部材5を内枠3に取付ける手順)
まず、壁側面10に建物用点検口1の外枠2が嵌まる大きさの開口を切り抜いて開口部11を形成する。そして、開口部11を形成するために壁側面10から切り出された開口部11に相当する壁材を、蓋板4に加工して、蓋板4の四隅にネジ受金具41を取り付ける。
【0033】
次に、外枠2に対しリンク機構14により取付けられた内枠3内に、蓋板4の周縁部を内枠3の内周縁に設けられた縁部31上に載置して収容し、断面L字状のネジ受金具41及びネジにより、内枠3の内周面と蓋板4の上面とを4ヶ所固定して取付ける。
【0034】
次に、内枠3に取付けた蓋板4を上方から覆うように、断熱部材5を内枠3上に載置する。
【0035】
そして、クリップ部材6を断熱部材5の凹部52の位置に沿わせて、クリップ部材6の内枠係合部62を内枠3の溝32に係合させてから、クリップ部材6の断熱部材係合部61が断熱部材5の溝511に係合するようにクリップ部材6を押し込むことにより、内枠3に、蓋板4及び断熱部材5を取付固定する。同様の手順により、10個のクリップ部材6によって内枠3に、蓋板4及び断熱部材5を取付固定する。なお、蓋板4を、ネジ受金具41を用いることなく、断熱部材5をクリップ6で内枠3に組み付けることによって、内枠3の縁部31と断熱部材5の下面とで挟持するようにして、内枠3に取付けるようにすることもできる。
【0036】
(建物用点検口1を壁側面10に取付ける手順)
まず、壁側面10の裏側に、開口部11の全周に沿って、木製角材からなる下地材12を取り付ける。なお、下地材12は、壁側面10の開口部11を塞がないように取り付ける。
【0037】
次に、図1及び図7に示すように、開口部11の裏側において、発泡材製の断熱枠材13を下地材12の内周面にネジ止めすることによって固定する。
【0038】
最後に、上記のようにして組み上げた建物用点検口1の内枠3を外枠2に対して開放した状態で、外枠2を下地材12の内周面にネジ止めすることにより固定する。これにより、建物用点検口1が壁側面10の開口部11に取り付けられる。
【0039】
以上の手順により、建物用点検口1の壁側面10への取付作業が完了する。なお、手順は、上記のものに限らず、順序は、便宜変更可能である。
【0040】
(内枠3の開閉動作)
次に、建物用点検口1おける内枠3の開閉動作について説明する。
【0041】
ロック機構16を解除して、図8(A)(B)に示すように、内枠3の下部を持ち上げて、手前に引っ張ることにより、リンク機構14の軸線を中心に内枠3を外枠2に対して開けることができる。なお、本実施形態では、内枠3は外枠2に対して最大で約120°上方に開くことができる。また、内枠3を120°まで開けると、その状態のまま保持することができる。なお、蓋板4及び断熱部材5は、内枠3にクリップ部材6により挟持されているので、外れて落下することはない。
【0042】
また、内枠3の下部を押し込み、ロック機構16をロックした状態にすることで、内枠3を外枠2に対して閉鎖状態にすることができる。
【0043】
なお、図8に示すように、断熱部材5がテーパ部Tを有しているため、内枠3の開閉をする際に、断熱部材5が外枠2に接触することなく、スムーズに行うことができる。
【0044】
上記の構成によれば、外枠2に対して開閉自在に取付けられる内枠3の縁部31上に蓋板4を載置し、載置された蓋板4の上に断熱部材5を載置した状態で、内枠3に断熱部材5をクリップ部材6によって固定することができる。このため、接着剤や特別な工具を使用せずとも、内枠3に断熱部材5をクリップ部材6により即座に取付けることができ、取付作業の作業性を向上させることができる。
【0045】
また、内枠3に断熱部材5を取付けることができるため、従来のように、点検作業時に断熱部材5を取り出し、再び元の位置に戻して内枠3を閉口する必要がない。更に、垂直な壁側面10に建物用点検口1を設けるときであっても、断熱部材5を保持するための新たな構造を必要としないので、垂直な壁の点検口として特に有効である。
【0046】
また、断熱部材5が、蓋板4と接する下面側の周縁54から上面55側の周縁59に向けて内側に傾斜するテーパ部Tを有しているため、内枠3を開閉する際に断熱部材5が外枠2に接触するのを防止・軽減して、外枠2に対する内枠3の開閉をスムーズに行うことができる。
【0047】
また、クリップ部材6が、コの字形状をしており、一方の端部には内枠3に係合する内枠係合部62が形成され、他方の端部には断熱部材5に係合する断熱部材係合部61が形成されているため、内枠3、蓋板4、及び、断熱部材5をクリップ部材6によって強固に係合して挟持することができる。
【0048】
なお、本実施形態では、内枠3の内周縁に、内方に突出した縁部31が形成され、内枠3の外周縁に、外方に突出した縁部33が形成された構成としているが、これに限らず、内枠3に直接縁部31、33を形成せずに、内枠3の周縁に、内枠3の内外方向に突出した縁材15を取り付けて、内枠3の内方に突出してフランジ状になった縁材15の一部を、縁部(本実施形態における縁部31に相当)としてもよい。
【0049】
以上の詳細な説明では、本発明をより容易に理解できるように、特徴的部分を中心に説明したが、本発明は、以上の詳細な説明に記載する実施形態に限定されず、その他の実施形態にも適用することができ、その適用範囲は可能な限り広く解釈されるべきである。また、本明細書において用いた用語及び語法は、本発明を的確に説明するために用いたものであり、本発明の解釈を制限するために用いたものではない。また、当業者であれば、本明細書に記載された発明の概念から、本発明の概念に含まれる他の構成、システム、方法等を推考することは容易であると思われる。従って、請求の範囲の記載は、本発明の技術的思想を逸脱しない範囲で均等な構成を含むものであるとみなされるべきである。また、本発明の目的及び本発明の効果を充分に理解するために、すでに開示されている文献等を充分に参酌することが望まれる。
【符号の説明】
【0050】
1 建物用点検口
2 外枠
3 内枠
4 蓋板
5 断熱部材
6 クリップ部材
10 壁側面
11 開口部
31 縁部
61 断熱部材係合部
62 内枠係合部
T テーパ部
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8