特許第5852451号(P5852451)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】5852451
(24)【登録日】2015年12月11日
(45)【発行日】2016年2月3日
(54)【発明の名称】インターホン機器
(51)【国際特許分類】
   H04M 1/02 20060101AFI20160114BHJP
【FI】
   H04M1/02 G
【請求項の数】4
【全頁数】8
(21)【出願番号】特願2012-14438(P2012-14438)
(22)【出願日】2012年1月26日
(65)【公開番号】特開2013-157669(P2013-157669A)
(43)【公開日】2013年8月15日
【審査請求日】2014年9月22日
(73)【特許権者】
【識別番号】000100908
【氏名又は名称】アイホン株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100121142
【弁理士】
【氏名又は名称】上田 恭一
(72)【発明者】
【氏名】服部 彰浩
(72)【発明者】
【氏名】宮本 翔平
【審査官】 山田 倍司
(56)【参考文献】
【文献】 特開2002−354088(JP,A)
【文献】 特開2003−069681(JP,A)
【文献】 特開2003−324291(JP,A)
【文献】 特開平07−142011(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H04M 1/02− 1/23
9/00− 9/10
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
ケースウエとケースシタとに前後に分離可能なケース内に、マイク及びスピーカ、回路基板、電源トランスが収納され、前記ケースウエに呼び出しを受けて応答操作する通話ボタンの操作部が配置されると共に、前記ケースシタが壁面に固定されるインターホン機器であって、
前記電源トランスを前記ケースの下部に配置すると共に、前記通話ボタンの上部を前記電源トランスの前面に配置し、前記通話ボタンの下部を前記電源トランスの下方まで延設して、前記電源トランスの下部に前記通話ボタンの押下操作を可能とする空間を確保したことを特徴とするインターホン機器。
【請求項2】
前記通話ボタンは前記電源トランスを跨ぐ幅を有すると共に、前記ケースウエを中央部から上下双方に向けて後方に傾斜させて湾曲形成して上下端部のケース厚みを中央部より薄くし、
前記通話ボタンの少なくとも下部周辺の前記ケースウエ前面を、通話ボタンより後方に配置したことを特徴とする請求項1記載のインターホン機器。
【請求項3】
前記ケースシタは、中央に配線を引き込むための配線導入口を有し、前記配線導入口が前記電源トランスの上部に配置されて成ることを特徴とする請求項2記載のインターホン機器。
【請求項4】
前記通話ボタンは、押下操作を受けて回動する回動軸を上端部に有し、前記回動軸を前記電源トランス前面の左右外側に配置したことを特徴とする請求項1乃至3の何れかに記載のインターホン機器。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明はインターホン機器に関し、特に壁面に設置して商用電源から電力の供給を受けるための電源トランスを備えたインターホン機器に関する。
【背景技術】
【0002】
インターホンは、玄関等に設置した玄関子機と居室に設置した居室親機等の間で呼び出し/通話を実施したり、住戸内に設置したインターホン機器同士の間で呼び出し/通話が実施される。このようなインターホン機器は、通常居室に設置される機器に電源トランスが内蔵されて商用電源から電源の供給を受けて動作するよう構成されている(例えば、特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2002−354088号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
インターホン機器は、通常壁面に設置されるため、ケースを薄くして壁面からの突出量が小さい方が使い勝手が良いし見た目にも好ましい。しかしながら、電源トランスは立方体形状であるため、インターホン機器に組み込まれる部品の中で最も厚みがあり、インターホン機器のケースはこの電源トランスの厚みにより奥行きが制約を受けて薄くすることができなかった。
この場合、ケースを最も薄くできる構成は電源トランスの前後に何も配置しない構成であるが、そうすると液晶ディスプレイ等を備えて搭載部品の多い機器は、ケース全体を大きくする必要が生じるし好ましい部品配置ができず、デザイン上の制約を受けた。
また、上記引用文献1の構成の場合、操作ボタンの背部に電源トランスのみを配置して、ケースを小型化する工夫が成されている。しかしながら、操作ボタンを電源トランスの前方へ配置することで、その回動軸や押下操作するための空間が電源トランスの前面側に形成されており、電源トランスの厚みに加えてその分の厚みを必要とした。
【0005】
そこで、本発明はこのような問題点に鑑み、電源トランスを内蔵するインターホン機器であっても、ケース全体を大きくすることなくケースの奥行きを従来より薄くできるインターホン機器を提供することを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記課題を解決する為に、請求項1の発明は、ケースウエとケースシタとに前後に分離可能なケース内に、マイク及びスピーカ、回路基板、電源トランスが収納され、ケースウエに呼び出しを受けて応答操作する通話ボタンの操作部が配置されると共に、ケースシタが壁面に固定されるインターホン機器であって、電源トランスをケースの下部に配置すると共に、通話ボタンの上部を電源トランスの前面に配置し、通話ボタンの下部を電源トランスの下方まで延設して、電源トランスの下部に通話ボタンの押下操作を可能とする空間を確保したことを特徴とする。
この構成によれば、インターホン機器構成要素の中で最も厚みのある電源トランスを通話ボタン背部に配置しても、通話ボタン背部には押下操作を可能とする空間を形成することができ、通話ボタンを電源トランスに密着するよう配置できる。よって、インターホン機器全体の厚みを、電源トランスの厚みに近づけることができる。
また、電源トランスを操作ボタン背部に配置することで、ケース内の他のスペースに、スピーカやディスプレイ等の他の部材を無理なく配置でき、小型化を進めることができるし、デザイン上の自由度も増す。
更に、電源トランスを覆うように通話ボタンを形成すれば、ケース自体の厚みは電源トランスで制限されなくなり、薄く形成することも可能となる。
【0007】
請求項2の発明は、請求項1に記載の構成において、通話ボタンは電源トランスを跨ぐ幅を有すると共に、ケースウエを中央部から上下双方に向けて後方に傾斜させて湾曲形成して上下端部のケース厚みを中央部より薄くし、通話ボタンの少なくとも下部周辺のケースウエ前面を、通話ボタンより後方に配置したことを特徴とする。
この構成によれば、通話ボタンは電源トランスを跨ぐ幅を備えるため、通話ボタン周辺の少なくとも下部のケース前面を電源トランスより更に後方に配置することが可能となり、インターホン機器全体の厚みを薄く感じさせることができる。
また、最も厚く形成されたケース中央部は電源トランスにより占有されないため、操作ボタンやスピーカ等を配置してもその背部には十分な部品収納空間を有し、設計の自由度が増す。
更に、ケースの上下端部を中央部に対して薄い形状とすることで、全体的に薄く感じさせることができ、デザイン上も好ましい。
【0008】
請求項3の発明は、請求項2に記載の構成において、ケースシタは、中央に配線を引き込むための配線導入口を有し、配線導入口が電源トランスの上部に配置されて成ることを特徴とする。
この構成によれば、配線導入口はケースの最も奥行きのある中央部に形成されるため、配線導入口を設けてもその前側に部品配置空間を形成でき、設計の自由度が増す。
【0009】
請求項4の発明は、請求項1乃至3のいずれかに記載の構成において、通話ボタンは、押下操作を受けて回動する回動軸を上端部に有し、回動軸を電源トランス前面の左右外側に配置したことを特徴とする。
この構成によれば、回動軸は、電源トランスを避けて配置されるため、電源トランスとの間に隙間が無くてもスムーズな押下操作が可能であり、通話ボタンに回動軸を設けて滑らかな押下操作を可能としても、インターホン機器の厚みを最小限の厚みにできる。
【発明の効果】
【0010】
本発明によれば、インターホン機器構成要素の中で最も厚みのある電源トランスを通話ボタン背部に配置しても、通話ボタン背部には押下操作を可能とする空間を設けることができ、通話ボタンを電源トランスに密着するよう配置できる。よって、インターホン機器全体の厚みを電源トランスの厚みに近づけることができる。
また、電源トランスを操作ボタン背部に配置することで、ケース内の他のスペースに、スピーカやディスプレイ等の他の部材を無理なく配置でき、小型化を進めることができるし、デザイン上の自由度も増す。
更に、電源トランスを覆うように通話ボタンを形成すれば、ケース自体の厚みが電源トランスに制限されなくなり、薄く形成することも可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
図1】本発明に係るインターホン機器の一例を示す斜視図である。
図2図1のケースの一部を切り欠いたインターホン機器の斜視図である。
図3図1のインターホン機器の側面説明図であり、(a)は右側面図、(b)は中央の縦断面を右側面からみた断面説明図である。
図4】通話ボタンと電源トランスの関係を示し、(a)は正面図、(b)は斜視図である。
図5図2において、操作ボタンを取り除いた図である。
図6】電源トランスを組み付けたケースシタの斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下、本発明を具体化した実施の形態を、図面を参照して詳細に説明する。図1図2は本発明に係るインターホン機器の1つである居室親機を示し、図1は斜視図、図2はインターホンのケース前面の一部を切り欠いたインターホン機器の斜視図である。図1,2において、1はケース、2は図示しない玄関子機のカメラが撮像した来訪者映像や設定内容等を表示するディスプレイ、3は各種操作を行う操作部を構成する操作ボタン、4はマイク、5はスピーカ、6は機器の各部に電源を供給するための電源トランス、7は回路基板である。
【0013】
ケース1は、蓋状のケースウエ1aと壁面に固定されるケースシタ1bとから成り、前後に分割可能に形成されている。また操作ボタン3は、通話ボタン11を中心にケース1の下部に配置した第1のボタン群3aと、ディスプレイ2の表示を操作するメニューボタン等で構成されるケース中央に配置した第2のボタン群3bで構成されている。
尚、ディスプレイ2、操作ボタン3、マイク4、スピーカ5、回路基板7は、ケースウエ1aに組み付けられ、電源トランス6はケースシタ1bに組み付けられている。
【0014】
図3(a)は図1のインターホン機器の右側面図、図3(b)は縦断面図を示している。この図3に示すようにケースウエ1aは中央から上方及び下方に向かって後方に傾斜させて形成され、アーチ形に湾曲形成されている。この結果、中央部が最も前方に張り出し、上下端部のケース厚みが最も薄くなるよう形成されている。
対応するケースシタ1bは、ケースウエ1aの形状に合わせて側面中央部を高く(厚く)、上下端部に行くに従い低く(薄く)形成され、ケースウエ1aと隙間無く嵌合するよう形成されている。
【0015】
このように構成された居室親機の構造を、操作ボタン3と電源トランス6の関係を中心に以下説明する。図4は通話ボタン11と電源トランス6を抜き出した図であり、通話ボタン11は電源トランス6の前面を跨ぐように配置され、電源トランス6と略同一の幅を有している。具体的にこの居室親機では、通話ボタン11の幅W1は電源トランス6の全体の幅より小さいが、電源トランス6の前面部の幅W2より広く形成している。
また、通話ボタン11の下部は電源トランス6の下方に延設され、押下操作を受けて電源トランス6の下方に配置した後述するスイッチ素子13のオン/オフ操作を可能としている。
【0016】
そして、通話ボタン11の左右上端には回動軸12が設けられ、スムーズな押下操作を可能としている。この回動軸12は、図2に示すように電源トランス6の左右に有する段差により形成された空間を利用して配置され、図示しないケースウエ1aの軸支部に係合して押下操作による回動を可能としている。
【0017】
図5はケースウエ1aの要部に加えて全ての操作ボタン3,3・・を取り除いた居室親機の斜視説明図であり、この図に示すように回路基板7は電源トランス6を露出させる開口部7aを有し、開口部7aの下部には第1のボタン群3aに対応した複数のスイッチ素子13,13・・が組み付けられ、上部には第2のボタン群3bに対応した複数のスイッチ素子13,13・・が組み付けられている。
【0018】
第1ボタン群3aは、左右に列設された3個の操作ボタン3,3,3で構成され、上下の長さを合わせて形成され、何れも平坦な操作面を有している。尚、中央に配置された通話ボタン11は、上述したように電源トランス6に合わせた幅を有し、最も大きな操作ボタン3となっている。
この結果、図1に示すようにアーチ形状に湾曲している第1のボタン群3a周囲のケース1の前面は、下端に近づくに従い後方に後退して配置される。逆に、第1のボタン群3aは下端に近づくほど前方への突出量が大きくなっている。
【0019】
一方、ケースシタ1bの中央には、壁面内に配設された配線を図示しないスイッチボックスを介してケース内に引き込むための配線導入口14が形成されている。図6はケースシタ1bの斜視図であり、図6に示すように中央に配線導入口14が大きく開口し、電源トランス6はその下方に組み付けられている。
【0020】
このように、インターホン機器構成要素の中で最も厚みのある電源トランス6を通話ボタン11の背部に配置しても、電源トランス6の下方まで延設された通話ボタン11には、背部に押下操作を可能とする空間があるため、通話ボタン11を電源トランス6に密着するよう配置でき、インターホン機器全体の厚みを、電源トランス6の厚みに近づけることができる。
また、電源トランス6を通話ボタン11の背部に配置することで、ケース1内の他のスペースに、スピーカ5やディスプレイ2等の他の部材を無理なく配置でき、小型化を進めることができるし、デザイン上の自由度も増す。
更に、ケース1の上下端部を中央部に対して薄い形状とすることで、全体的に薄く感じさせることができ、デザイン上も好ましい。
【0021】
また、通話ボタン11は電源トランス6を跨ぐ幅を有することで、通話ボタン11の周辺のケース前面を電源トランス6より後方に配置することが可能となり、インターホン機器全体の厚みを薄く感じさせることができる。
更に、通話ボタン11の回動軸12は、電源トランス6を避けて配置されるし、通話ボタン11の下部には押下操作を可能とする空間が設けられているため、電源トランス6との間に隙間が無くてもスムーズな押下操作が可能である。
また、最も厚く形成されたケース中央部は電源トランス6に占有されないため、操作ボタン3やスピーカ5等を配置してもその背部には十分な部品収納空間を有し、設計の自由度が増す。加えて、配線導入口14はケース1の最も奥行きのある中央部に形成されるため、配線導入口14を設けてもその前側に部品配置空間を形成でき、設計の自由度が増す。
【0022】
尚、上記実施形態は、玄関子機等と接続されて来訪者と通話するための居室親機の構造を説明したが、商用電源から電力が供給される構成のインターホン機器に対して適用できる構成である。
また、電源トランス6全体を覆うように通話ボタン11を形成して配置しても良く、この場合ケース厚みは電源トランス6に制限されなくなり、ケースの厚みを電源トランスより薄くすることが可能となる。
【符号の説明】
【0023】
1・・ケース、1a・・ケースウエ、1b・・ケースシタ、3・・操作ボタン、6・・電源トランス、7・・回路基板、11・・通話ボタン、12・・回動軸、13・・配線導入口。
図1
図2
図3
図4
図5
図6