(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下に、本発明の一実施形態について説明する。なお、本発明は、本実施形態に限られるものではない。
【0013】
図1は、本実施形態に係るシーリング材1の断面の一部を模式的に示す説明図である。
図1に示すように、シーリング材1は、金属板10と、当該金属板10の両方の表面11に形成された発泡ゴム層20とを有している。より具体的に、
図1に示す例において、シーリング材1は、金属板10と発泡ゴム層20とから構成されている。なお、シーリング材1は、
図1に示す例に限られず、金属板10と、当該金属板10の片方の表面11のみに形成された発泡ゴム層20とを有することとしてもよい。
【0014】
金属板10を構成する金属の種類は特に限られないが、例えば、ステンレス鋼板、冷間圧延鋼板(SPCC)、アルミニウム鋼板等の鋼板を好ましく使用することができる。金属板10の厚みは特に限られないが、例えば、0.1〜0.3mmであることとしてもよい。金属板10の厚みが0.1mm未満の場合には、シーリング材1の剛性が低いため、その持ち運びや組み付け性等のハンドリング性が低下することがある。金属板10の厚みが0.3mm超の場合には、シーリング材1の重量及びコストが大きくなるため、例えば、ハイブリッド自動車や電気自動車の小型化及び軽量化に適さないことがある。
【0015】
シーリング材1は、金属板10を有することにより、例えば、フランジのシールに使用される場合において、当該フランジの形状に合わせて打ち抜き加工することができ、ハンドリング性に優れる。
【0016】
また、例えば、フランジの薄肉化及び/又は小型化によってシール面の幅が小さくなった場合でも、シーリング材1は、金属板10を有することにより、当該シール面に対応する小さい幅(例えば、2mm)で打ち抜き加工することができる。
【0017】
発泡ゴム層20は、ゴムポリマー、架橋剤及び発泡剤を含むゴム組成物を金属板10の表面11に塗布し、発泡させることにより形成される。発泡ゴム層20に含まれるゴムポリマーは特に限られないが、例えば、合成ゴムポリマーを好ましく使用することができる。合成ゴムとしては、例えば、ニトリルゴム(NBR)、水素化ニトリルゴム(H−NBR)、ブタジエンゴム(BR)、スチレンブタジエンゴム(SBR)、エチレンプロピレンゴム(EPM、EPDM)及びフッ素ゴム(FKM、FFKM)からなる群より選択される1種以上を好ましく使用することができる。
【0018】
発泡ゴム層20に含まれるゴムポリマーの量は、当該発泡ゴム層20が所望のゴム弾性を有する範囲であれば特に限られないが、当該発泡ゴム層20は、例えば、20重量%以上のゴムポリマーを含むこととしてもよく、30重量%以上のゴムポリマーを含むこととしてもよい。発泡ゴム層20におけるゴムポリマーの含有量の上限値は特に限られないが、当該発泡ゴム層20は、例えば、90重量%以下のゴムポリマーを含むこととしてもよい。すなわち、発泡ゴム層20は、例えば、20〜90重量%のゴムポリマーを含むこととしてもよく、30〜90重量%のゴムポリマーを含むこととしてもよい。また、発泡ゴム層20は、例えば、20〜80重量%のゴムポリマーを含むこととしてもよく、30〜80重量%のゴムポリマーを含むこととしてもよい。
【0019】
発泡ゴム層20は、ゴムポリマー以外に、他の成分をさらに含むこととしてもよい。すなわち、発泡ゴム層20は、例えば、充填材を含むこととしてもよい。充填材は、シーリング材1の特性(例えば、圧縮性、耐へたり、発泡性)を向上させるものであれば特に限られないが、例えば、カーボンブラック、炭酸カルシウム、シリカ、クレー及びタルクからなる群より選択される1種以上を好ましく使用することができる。また、発泡ゴム層20は、粘着付与剤、老化防止剤及びワックスからなる群より選択される1種以上の添加剤を含むこととしてもよい。
【0020】
発泡ゴム層20の厚みは特に限られないが、例えば、0.1〜1.0mmであることとしてもよく、0.1〜0.6mmであることとしてもよい。発泡ゴム層20の厚みが小さすぎる場合には、当該発泡ゴム層20の圧縮弾性が十分でなくなることにより、シーリング材1のシール対象表面(例えば、フランジ表面)に対するなじみ性が劣り、シール性が低下することがあり、また、当該厚みが大きすぎる場合には、当該発泡ゴム層20の強度が十分でなくなることがある。
【0021】
また、
図1に示す例において、発泡ゴム層20は、金属板10の表面11において単一の層として形成されている。すなわち、例えば、金属板10の一方の表面11に形成された発泡ゴム層20は、当該表面11にゴム組成物を塗布して単一のゴム組成物層を形成し、当該ゴム組成物層を発泡させることにより形成された単一の層である。したがって、
図1に示す例において、発泡ゴム層20の金属板10側の表面は当該金属板10の表面11と接着し、当該発泡ゴム層20の当該金属板10と反対側の表面21は、シーリング材1の最外表面となっている。
【0022】
このような金属板10及び発泡ゴム層20を有するシーリング材1は、ガスケット等の様々な用途に好ましく使用される。すなわち、シーリング材1は、例えば、ガスケットの一部を構成するガスケット用素材であることとしてもよい。
【0023】
そして、このシーリング材1において、発泡ゴム層20の独立気泡率は50%以上であり、当該発泡ゴム層20の表面21のJIS B 0601−2001に準拠した方法により測定される最大高さRzは40μm以下である。
【0024】
発泡ゴム層20の独立気泡率が50%以上であることにより、シールすべき流体が当該発泡ゴム層20に浸透することを効果的に防止することができる。発泡ゴム層20の独立気泡率は、60%以上であることが好ましく、70%以上であることがより好ましく、80%以上であることが特に好ましい。
【0025】
発泡ゴム層20の表面21の最大高さRzが40μm以下であることにより、当該表面21は、シールされるべき部位(例えば、フランジ面)に効果的に密着することができる。したがって、シーリング材1は、比較的低い締付け面圧(例えば、0.2MPa〜2MPa)で使用された場合であっても、優れたシール性を発揮することができる。
【0026】
また、シーリング材1は、水中に浸漬した後にJIS K5600−5−6に準拠したクロスカット法により試験された結果が分類0、分類1又は分類2に該当することとしてもよい。
【0027】
すなわち、まず、シーリング材1を水中に浸漬する。その結果、シーリング材1の発泡ゴム層20には、当該発泡ゴム層20の独立気泡率に応じた量の水が浸透する。次に、水中から取り出したシーリング材1の金属板10と発泡ゴム層20との密着性を、JIS K5600−5−6に規定されるクロスカット法により試験する。そして、その試験結果は、JIS K5600−5−6の表1に示される6種類の分類(分類0〜5)のうち、分類0、分類1又は分類2に該当する。
【0028】
より具体的に、まず、シーリング材1のサンプル(例えば、25mm×100mm)を準備し、当該サンプルを所定温度(例えば、90℃)で、水中に所定時間(例えば、24時間)浸漬する。
【0029】
次に、JIS K5600−5−6に規定されるクロスカット法による試験を実施する。すなわち、浸水後のサンプルの発泡ゴム層20の表面21に所定サイズ(例えば、2mm角)の格子が所定数(例えば、100個)形成されるように、所定の切り込み工具(カッター)を使用して、当該発泡ゴム層20に、当該表面21から金属板10の表面11に到達する切り込み(クロスカット)を形成する。
【0030】
さらに、発泡ゴム層20の表面21の切り込みが形成された部分(クロスカット部分)に、所定の透明感圧付着テープを貼り付ける。その後、この付着テープを発泡ゴム層20の表面21から剥がす。そして、付着テープを剥がした後の、発泡ゴム層20の表面21のクロスカット部分の状態を目視で観察する。
【0031】
その観察結果(すなわち、クロスカット法による試験結果)は、JIS K5600−5−6に規定されるとおり、「カットのふちが完全に滑らかで、どの格子の目にも剥がれがない」場合には「分類0」に該当し、「クロスカット部分で影響を受けているのは明確に5%を上回ることはない」場合には「分類1」に該当し、「クロスカット部分で影響を受けるのは明確に5%を超えるが15%を上回ることはない」場合には「分類2」に該当することとなる。
【0032】
なお、JIS K5600−5−6においては、観察結果が「クロスカット部分で影響を受けるのは明確に15%を超えるが35%を上回ることはない」場合には「分類3」に該当し、「クロスカット部分で影響を受けるのは明確に35%を超えるが65%を上回ることはない」場合には「分類4」に該当し、「剥がれの程度が分類4を超える」場合には「分類5」に該当することも規定されている。
【0033】
シーリング材1においては、水中に浸漬された後であっても、上記クロスカット法による試験結果が上記分類0、分類1又は分類2に該当するほど、金属板10と発泡ゴム層20との密着性が高く維持される。
【0034】
したがって、シーリング材1は、例えば、比較的低い締付面圧で使用された場合であっても、シールされるべき流体が金属板10と発泡ゴム層20との間に浸透することを効果的に回避し、当該金属板10と当該発泡ゴム層20との高い密着性を効果的に維持することにより、優れたシール性を発揮することができる。
【0035】
発泡ゴム層20は、上述のとおり、ゴム組成物を金属板10の表面11で発泡させることにより形成される。すなわち、まず、ゴムポリマー、架橋剤及び発泡剤を含むゴム組成物を調製し、次いで、当該ゴム組成物を金属板10の表面11に塗布することによりゴム組成物層を形成する。その後、ゴム組成物層に対して加熱等の処理を施すことにより、架橋及び発泡を行う。
【0036】
発泡剤は、ゴム組成物の発泡による発泡ゴム層20の形成を可能にするものであれば特に限られないが、例えば、熱分解型発泡剤又はマイクロカプセル型発泡剤を使用することができる。
【0037】
すなわち、発泡ゴム層20は、熱分解型発泡剤を含むゴム組成物層の発泡により形成されたものであることとしてもよい。熱分解型発泡剤は、加熱により分解してガスを発生させる発泡剤である。熱分解型発泡剤は、特に限られず、有機系熱分解型発泡剤及び/又は無機系熱分解型発泡剤を使用することができ、発生するガスの量が比較的多い有機系熱分解型発泡剤を好ましく使用することができる。
【0038】
具体的に、有機系熱分解型発泡剤としては、例えば、ジニトロソペンタメチレンテトラミン(DPT)系発泡剤、アゾジカルボンアミド(ADCA)系発泡剤、p,p´−オキシビスベンゼンスルホニルヒドラジド(OBSH)系発泡剤及びヒドラゾジカルボンアミド(HDCA)系発泡剤からなる群より選択される1種以上を使用することができる。無機系熱分解型発泡剤としては、例えば、炭酸水素ナトリウムを使用することができる。
【0039】
また、発泡ゴム層20は、マイクロカプセル型発泡剤を含むゴム組成物層の発泡により形成されたものであることとしてもよい。マイクロカプセル型発泡剤は、膨張可能な外殻と、当該外殻の内部に封入された熱膨張性物質(例えば、炭化水素)とを有する発泡剤である。マイクロカプセル型発泡剤の外殻は、例えば、アクリル系樹脂等の熱可塑性樹脂から構成される。
【0040】
発泡ゴム層20が、熱分解型発泡剤を含むゴム組成物層の発泡により形成されたものである場合、当該発泡ゴム層20は、優れた柔軟性を示し、且つ応力緩和が小さいため、シールされるべき部位に対して優れた密着性を有し、優れたシール性を示す。
【0041】
すなわち、発泡ゴム層20が、マイクロカプセル型発泡剤を含むゴム組成物層の発泡により形成されたものである場合には、当該発泡ゴム層20内に当該マイクロカプセル型発泡剤の樹脂製の外殻が必然的に残存するため、当該発泡ゴム層20は、比較的硬いものとなり、また、加熱されると当該外殻の軟化による応力緩和(例えば、へたり)を引き起こす。
【0042】
これに対し、熱分解型発泡剤を含むゴム組成物層の発泡により形成された発泡ゴム層20においては、上記のようなマイクロカプセル型発泡剤を使用する場合の問題が生じない。なお、一般に、発泡ゴム層20の内部にマイクロカプセル型発泡剤の外殻が存在していない場合、当該発泡ゴム層20は、熱分解型発泡剤を使用した発泡により形成されたものであると推測される。
【0043】
発泡ゴム層20は、金属板10の表面11に形成されたゴム組成物層を架橋温度以上、発泡温度未満の温度(以下、「第一の加熱温度」という。)で加熱し、その後、当該ゴム組成物層を当該発泡温度以上の温度(以下、「第二の加熱温度」という。)で加熱することにより形成されたものであることとしてもよい。
【0044】
すなわち、この場合、発泡ゴム層20は、ゴム組成物層を第一の加熱温度で加熱することにより、当該ゴム組成物層を実質的に発泡させることなく架橋を選択的に進行させる第一の工程と、次いで、当該ゴム組成物層を当該第一の加熱温度より高い第二の加熱温度で加熱することにより、発泡ガスを発生させるとともに架橋をさらに進行させる第二の工程とにより形成される。
【0045】
ゴム組成物層は、上述のとおり、ゴムポリマー、架橋剤及び発泡剤を含むゴム組成物を金属板10の表面11に塗布することにより形成される。架橋剤は、ゴムポリマーの架橋を引き起こすものであれば特に限られないが、例えば、硫黄、アミン系架橋剤、ポリオール系架橋剤、キノイド系架橋剤及びビスマレイミド系架橋剤からなる群より選択される1種以上を使用することができる。発泡剤は、その発泡温度が架橋温度より高いものを使用する。なお、一般に、熱分解型発泡剤の発泡温度は、その分解温度以上の温度である。
【0046】
架橋温度以上の温度とは、ゴム組成物層を当該温度で加熱することにより、当該ゴム組成物層において架橋が進行する温度である。発泡温度未満の温度とは、ゴム組成物層を当該温度で加熱しても、当該ゴム組成物層が実質的に発泡しない温度であり、例えば、当該ゴム組成物層の発泡倍率が1.5倍未満に維持される温度である。なお、ゴム組成物層の発泡倍率が1.5倍未満に維持される温度とは、当該ゴム組成物層の体積が1.5倍未満に維持される温度であり、当該ゴム組成物層の体積が1.5倍以上に増加しない温度である。
【0047】
発泡温度以上の温度とは、ゴム組成物層を当該温度で加熱することにより、当該ゴム組成物層を実質的に発泡させる温度であり、例えば、当該ゴム組成物層の発泡倍率が1.5倍以上となる温度(当該ゴム組成物層の体積が1.5倍以上に増加する温度)である。
【0048】
第一の加熱温度は、架橋温度以上、発泡温度未満の温度であれば特に限られないが、例えば、130〜160℃の範囲内の温度であることとしてもよい。第二の加熱温度は、発泡温度以上の温度であれば特に限られないが、例えば、200〜230℃の範囲内であって第一の加熱温度より高い温度であることとしてもよい。
【0049】
第一の工程においては、ゴム組成物層を第一の加熱温度で加熱することにより、当該ゴム組成物層の実質的な発泡が起こる前に、予備的な架橋(例えば、部分的な架橋)を行う。そして、続く第二の工程においては、予備架橋されたゴム組成物層を第二の加熱温度で加熱することにより、当該ゴム組成物層の実質的な発泡を行うとともに、架橋をさらに進行させ、発泡ゴム層20を形成する。
【0050】
このような第一の工程及び第二の工程を含む2段階法によれば、上述したような独立気泡率の高い発泡構造と、平滑化された表面21とを兼ね備えた発泡ゴム層20を有するシーリング材1を効果的に製造することができる。さらに、発泡ゴム層20には、緻密な発泡構造が形成される。また、上述のとおり、金属板10と発泡ゴム層20との密着性に優れたシーリング材1を効果的に製造することもできる。
【0051】
発泡ゴム層20は、金属板10の表面11に形成されたゴム組成物層を金型内で発泡させることにより形成されたものであることとしてもよい。すなわち、この場合、表面11にゴム組成物層が形成された金属板10を金型内に配置し、当該金型内において、当該ゴム組成物層を発泡させる。具体的に、例えば、金型内に、未発泡のゴム組成物層が形成された金属板10を配置し、次いで、発泡後のゴム組成物層の表面(すなわち、発泡ゴム層20の表面21)が当該金型の内面と接するように、当該ゴム組成物層の発泡を行う。そして、発泡ゴム層20の表面21を金型の内面から剥離させて、当該発泡ゴム層20を有するシーリング材1を得る。
【0052】
なお、この方法においては、金型を備えた特別な設備を使用することが必須となるが、上述した予備架橋を行う2段階法においては、当該特別な設備を使用する必要がなく、シール性に優れたシーリング材1を簡便に且つ効率よく製造することができる。また、金型内の発泡においては、例えば、発泡剤の使用量が多い場合には、金属板10と発泡ゴム層20との間における発泡ガスの圧力により、当該発泡ゴム層20の当該金属板10からの剥離が生じることがあり、また、例えば、金型の開放時に当該発泡ゴム層20の内部に閉じ込められていた発泡ガスによりその表面に大きな気泡が形成されてしまうことがあるため、当該発泡の条件を適切に設定する必要がある。これに対し、予備架橋を行う2段階法及び当該2段階法により製造されるシーリング材1においては、金型内で発泡を行う場合に生じる上述したような問題は生じない。
【0053】
発泡ゴム層20は、厚みが0.2mm以下のゴム組成物層の発泡により形成されたものであることとしてもよい。すなわち、この場合、まず、厚みが0.2mm以下の薄いゴム組成物層を金属板10の表面11に形成し、次いで、当該ゴム組成物層を発泡させることにより、発泡ゴム層20を形成する。なお、この場合のゴム組成物層の発泡前の厚みは特に限られないが、例えば、0.05mm以上であることとしてもよい。
【0054】
発泡前のゴム組成物層の厚みが大きくなると、当該ゴム組成物層(例えば、トルエン等の溶媒を含む液状のゴム組成物の層)に含まれる溶媒の量が必然的に多くなり、その結果、当該ゴム組成物層の乾燥に要する時間が長くなる。ゴム組成物層の乾燥に要する時間が長くなると、製造時間が長くなり、製造コストが増加する。すなわち、ゴム組成物層の乾燥時間が長くなると、乾燥中に、当該ゴム組成物層の表面に不要な泡が発生することがあり、この場合、最終的に形成されるシーリング材1のシール性及び外観に好ましくない影響が生じる。また、乾燥時間を短縮するために乾燥温度を上げると、急激な乾燥によってゴム組成物層の表面に不要な泡が発生してしまい、シーリング材1のシール性及び外観に好ましくない影響が生じる。
【0055】
これに対し、発泡前のゴム組成物層の厚みが0.2mm以下である場合には、当該ゴム組成物層(例えば、トルエン等の溶媒を含む液状のゴム組成物の層)を短時間で速やかに乾燥させることができるため、上述のような不要な泡の発生を効果的に回避することができ、シール性及び外観に優れたシーリング材1を確実に製造することができる。
【0056】
なお、発泡前のゴム組成物層の厚さは、例えば、シーリング材1の発泡ゴム層20を、その厚さが変化しなくなるまで圧縮した場合における、当該圧縮後の発泡ゴム層20の厚さとして求めることができる。
【0057】
次に、本実施形態に係る具体的な実施例について説明する。
【実施例1】
【0058】
[ゴム組成物層の形成]
まず、ゴムポリマー、架橋剤及び発泡剤を含むゴム組成物を調製した。すなわち、第一のNBRポリマー(JSR N234L、JSR株式会社製)100.0重量部と、第二のNBRポリマー(Nipol 1312、日本ゼオン株式会社製)12.5重量部と、カーボンブラック(MTカーボン、Cabot Corporation製)50.0重量部と、亜鉛華2種5.0重量部と、ステアリン酸0.5重量部と、老化防止剤11.5重量部と、粘着付与剤2.5重量部とを混合することにより、ゴムコンパウンド182.5重量部を調製した。
【0059】
次に、このゴムコンパウンド182.5重量部と、架橋剤(硫黄)2.0重量部と、熱分解型発泡剤(CAP250、三協化成株式会社製)12.0重量部又はマイクロカプセル型発泡剤(920DU80、日本フィライト株式会社製)12.0重量部と、架橋促進剤4.4重量部とを混合することにより、ゴム組成物200.4重量部を調製した。
【0060】
さらに、このゴム組成物200.4重量部に、溶媒としてトルエン319.8重量部を混合することにより、固形分濃度が38重量%の液状の塗布液を調製した。
【0061】
一方、金属板(SPCC、厚み0.15mm)の両面を脱脂し、さらに、プライマー(ノボラックフェノール型フェノール樹脂をメチルエチルケトンで希釈率5%となるように溶解したプライマー液)をディッピング法により塗布し、160℃で、3分処理した。
【0062】
そして、金属板の各表面に、上述のゴム組成物を含む塗布液を塗布し、乾燥することにより、ゴム組成物層を形成した。片面に形成されたゴム組成物層の厚み(発泡前の厚み)は0.2mmであった。ゴム組成物層の厚みは、市販の装置(ダイアルゲージDG−925、株式会社小野測器製)を使用して、圧縮具(直径10mm)で当該ゴム組成物層の表面に10gの荷重を負荷した状態における当該ゴム組成物層の厚み(金属板の表面からゴム組成物層の表面までの長さ)として測定した。
【0063】
[比較例1−1]
通常の方法により、比較例1−1に係るシーリング材を製造した。すなわち、熱分解型発泡剤を含むゴム組成物層が両面に形成された金属板10をオーブン中に配置し、210℃で、10分加熱することにより、当該ゴム組成物層の架橋及び発泡を行い、比較例1−1に係るシーリング材を得た。
【0064】
[比較例1−2]
上述の比較例1−1と同様に、マイクロカプセル型発泡剤を含むゴム組成物層が両面に形成された金属板10をオーブン内で加熱することにより、比較例1−2に係るシーリング材を得た。
【0065】
[実施例1−1]
ゴム組成物層を金型内で発泡させることにより、実施例1−1に係るシーリング材を製造した。すなわち、熱分解型発泡剤を含むゴム組成物層が両面に形成された金属板10を、スペーサーで隙間が1.5mmに調節された金型内に配置した。
【0066】
そして、プレス装置により金型を所定面圧となるように絞めつけた状態で、210℃で、10分加熱することにより、ゴム組成物層の架橋及び発泡を行い、実施例1−1に係るシーリング材を得た。
【0067】
[実施例1−2]
上述の実施例1−1と同様にして、マイクロカプセル型発泡剤を含むゴム組成物層が両面に形成された金属板10を金型内で加熱することにより、実施例1−2に係るシーリング材を得た。
【0068】
[発泡ゴム層の厚み]
シーリング材の片面の発泡ゴム層の厚さ(発泡後の厚さ)を、上述した発泡前の厚みと同様にして測定した。
【0069】
[最大高さRz]
市販の表面粗さ形状測定装置(サーフコム130A、株式会社東京精密製)を使用して、JIS B 0601−2001に準拠した方法により、シーリング材の発泡ゴム層の表面の最大高さRzを測定した。
【0070】
すなわち、まず、発泡ゴム層の表面上に、測定用の圧子(触針)を下ろした。そして、この圧子を長さ4mmの範囲で0.6m/分の速度で動かし、当該範囲内における最大高さRzを測定した。
【0071】
[独立気泡率]
発泡ゴム層の独立気泡率を測定した。すなわち、まず、シーリング材からサンプル(30mm×30mm)を切り出し、その重量(浸水前の重量)を測定した。次いで、このサンプルを水中に浸漬し、真空減圧を行った。この真空減圧は、浸水後のサンプルの重量が一定になるまで実施した。その後、サンプルを水中から取り出し、その重量(浸水後の重量)を測定した。
【0072】
そして、次の式により、発泡ゴム層に浸透した水の体積を求めた:発泡ゴム層に浸透した水の体積(cm
3)=(浸水後の重量(g)−浸水前の重量(g))÷水の比重(1g/cm
3)。なお、発泡ゴム層に浸透した水の体積は、当該発泡ゴム層の連通気泡の体積に相当する。
【0073】
一方、次の式により、発泡ゴム層の全気泡の体積(連通気泡の体積と独立気泡の体積との和)を求めた:発泡ゴム層の全気泡の体積=発泡ゴム層の体積−発泡前のゴム組成物層(発泡前のゴム組成物層の厚さに基づき算出)の体積。なお、発泡ゴム層の体積は、当該発泡ゴム層の厚さに、その面積(30mm×30mm)を乗じることにより算出した。発泡前のゴム組成物層の体積は、発泡前の当該ゴム組成物層の厚さに、その面積(30mm×30mm)を乗じることにより算出した。
【0074】
そして、次の式により、発泡ゴム層の独立気泡率を求めた:独立気泡率(%)=(発泡ゴム層の全気泡の体積−発泡ゴムに浸透した水の体積)÷発泡ゴムの全気泡の体積×100。
【0075】
[最小シール面圧]
シーリング材のシール性を示す指標として、最小シール面圧を測定した。最小シール面圧は、シールすべき流体の漏れを生じさせない締付け面圧の最小値を示す。すなわち、シーリング材は、その最小シール面圧以上の締付け面圧で、シールすべき流体の漏れを生じさせない。
【0076】
したがって、シーリング材の最小シール面圧が小さいほど、当該シーリング材は低い締付け面圧で十分なシール性を発揮できることになる。すなわち、最小シール面圧が小さいほど、低面圧でのシール性が優れていることになる。
【0077】
シールすべき流体としては、空気を使用した。シールされるべき部材として、円筒形状であって中央にボルト穴を通すための貫通穴が形成されたSUS製の一対のフランジ(直径60mm、厚み30mm)を使用した。
【0078】
まず、一対のフランジの間に、締付け面圧が0.2MPaとなるように、シーリング材及びスペーサーを配置し、締め付けた。次いで、フランジ内の内圧を100kPaまで増加させた。そして、内圧を100kPaで1分間維持した場合に、空気の漏れが生じるかどうかを確認した。漏れの有無は、フランジ外周に界面活性剤を含む水溶液を塗布し、当該フランジ外周に泡が発生するかどうかにより確認した。
【0079】
漏れが発生した場合には、フランジの締付けを解除してシーリング材及びスペーサーを取り外し、次いで、締付け面圧を0.05MPa増加させる新たなスペーサーとともに当該シーリング材を当該フランジの間に再配置し、締め付けた。そして、上述の場合と同様に、内圧を100kPaで1分間維持した場合に、空気の漏れが生じるかどうかを確認した。
【0080】
このように、スペーサーを交換することにより締付け面圧を0.05MPaずつ増加させながら、各締付け面圧における漏れの有無を確認した。そして、漏れが生じないことが初めて確認された締付け面圧を、最小シール面圧(MPa)として得た。
【0081】
[応力緩和率]
シーリング材のシール性を示す他の指標として、応力緩和率を測定した。応力緩和率は、シーリング材を所定の締付け面圧で締め付けた場合において、締付け開始から所定時間が経過した時点における締付け面圧の低下の割合を示す。
【0082】
したがって、シーリング材の応力緩和率が小さいほど、当該シーリング材はシール性の経時的な低下が少ないことになる。すなわち、応力緩和率が小さいほど、シール性が優れていることになる。
【0083】
まず、シーリング材から切り出したサンプル(30mm×30mm)を、市販の圧縮引っ張り試験機(オートグラフAG50kGN、株式会社島津製作所製)にセットした。次いで、このサンプルを初期面圧0.3MPaで圧縮し、25℃で1時間維持した。その後、圧縮開始から1時間経過した時点における面圧を測定した。
【0084】
そして、次の式により、応力緩和率を求めた:応力緩和率=(初期面圧−圧縮開始後1時間の時点での面圧)÷初期面圧×100(%)。
【0085】
[断面写真]
シーリング材の一部を切断し、その断面を光学差顕微鏡により観察した。
【0086】
[結果]
図2A、
図2B、
図2C及び
図2Dには、それぞれ比較例1−1、実施例1−1、比較例1−2及び実施例1−2に係るシーリング材の断面の光学顕微鏡写真を示す。
図2A〜
図2Dに示すように、金型内の発泡により形成された発泡ゴム層(
図2B及び
図2D)は、金型を使用しない通常の発泡により形成された発泡ゴム層(
図2A及び
図2C)に比べて、より緻密な気泡構造と、より平滑な表面とを有することが確認された。
【0087】
図3には、各シーリング材について、その製造に使用された発泡方法及び発泡剤とともに、発泡ゴム層の発泡前後の厚み、独立気泡率及び最大高さRzと、当該シーリング材の最小シール面圧及び応力緩和率とを評価した結果を示す。
【0088】
図3に示すように、実施例1−1及び実施例1−2に係る発泡ゴム層の厚みは、金型の使用により所望の範囲に制御され、比較例1−1及び比較例1−2に係る発泡ゴム層のそれに比べて低減された。
【0089】
また、熱分解型発泡剤を使用した場合、金型内での発泡により形成された発泡ゴム層(実施例1−1)の独立気泡率は、通常の発泡により形成されたもの(比較例1−1)のそれに比べて顕著に増加した。一方、マイクロカプセル型発泡剤を使用した場合には、発泡方法にかかわらず高い独立気泡率が得られた。
【0090】
また、実施例1−1及び実施例1−2に係る発泡ゴム層の表面の最大高さRzは、比較例1−1及び比較例1−2に係る発泡ゴム層のそれに比べて顕著に低減された。すなわち、金型内での発泡により、発泡ゴム層の表面が顕著に平滑化された。
【0091】
また、実施例1−1及び実施例1−2に係るシーリング材の最小シール面圧は、比較例1−1及び比較例1−2に係るシーリング材のそれに比べて顕著に低かった。すなわち、金型内での発泡により、シーリング材の低面圧におけるシール性が顕著に向上した。
【0092】
また、熱分解型発泡剤を使用して製造したシーリング材(比較例1−1及び実施例1−1)の応力緩和率は、マイクロカプセル型発泡剤を使用して製造されたシーリング材(比較例1−2及び実施例1−2)のそれに比べて顕著に小さかった。
【0093】
すなわち、発泡方法にかかわらず、熱分解型発泡剤を使用して形成された発泡ゴム層を有するシーリング材は、マイクロカプセル型発泡剤を使用して形成された発泡ゴム層を有するシーリング材に比べて、シール性に優れていることが確認された。
【実施例2】
【0094】
[ゴム組成物層の形成]
まず、ゴムポリマー、架橋剤及び発泡剤を含むゴム組成物を調製した。すなわち、NBRポリマー(Nipol DN 3335、日本ゼオン株式会社製)100.00重量部と、重質炭酸カルシウム(TSS#100、日東粉化工業株式会社製)103.78重量部と、亜鉛化華2種3.19重量部と、ステアリン酸0.32重量部と、老化防止剤4.15重量部と、粘着付与剤1.60重量部と、ワックス0.64重量部とを混合することにより、ゴムコンパウンド213.68重量部を調製した。
【0095】
次に、このゴムコンパウンド213.68重量部と、架橋剤(硫黄)2.25重量部と、熱分解型発泡剤(セルマイクC−2、三協化成株式会社製)12.0重量部と、架橋促進剤2.38重量部とを混合することにより、ゴム組成物235.32重量部を調製した。
【0096】
さらに、このゴム組成物235.32重量部に、溶媒としてトルエン380.06重量部を混合することにより、固形分濃度が38重量%の液状の塗布液を調製した。
【0097】
一方、金属板(SPCC、厚み0.15mm)の両面を脱脂し、さらに、プライマー(ノボラックフェノール型フェノール樹脂をメチルエチルケトンで希釈率5%となるように溶解したプライマー液)をディッピング法により塗布し、160℃で、3分処理した。
【0098】
そして、金属板の各表面に、上述のようにして調製した塗布液を塗布し、乾燥することにより、ゴム組成物層を形成した。このゴム組成物層の厚み(発泡前の厚み)は0.15mmであった。
【0099】
[比較例2]
通常の方法により、比較例2に係るシーリング材を製造した。すなわち、上述のようにして熱分解型発泡剤を含むゴム組成物層が両面に形成された金属板10をオーブン中に配置し、210℃で、10分加熱することにより、当該ゴム組成物層の架橋及び発泡を行い、比較例2に係るシーリング材を得た。
【0100】
[実施例2]
予備架橋を含む2段階法、すなわち、まずゴム組成物層を架橋温度以上、発泡温度未満の第一の加熱温度で加熱し、その後、当該ゴム組成物層を当該発泡温度以上の第二の加熱温度で加熱することにより、実施例2に係るシーリング材を製造した。
【0101】
すなわち、まず、金属板の両面に形成されたゴム組成物層を160℃(第一の加熱温度)で8分加熱することにより、当該ゴム組成物層の予備的な架橋を行った。次いで、予備架橋されたゴム組成物層を210℃(第二の加熱温度)で10分加熱することにより、当該ゴム形成物層の発泡及びさらなる架橋を行い、発泡ゴム層を形成した。こうして予備架橋工程を含む2段階法により実施例2に係るシーリング材を得た。
[吸水率]
【0102】
シーリング材の吸水率を測定した。すなわち、まず、シーリング材からサンプル(30mm×30mm)を切り出し、その重量(浸水前の重量)を測定した。次いで、このサンプルを90℃の水中に24時間浸漬した。その後、サンプルを水中から取り出し、その重量(浸水後の重量)を測定した。
【0103】
そして、次の式により、吸水率を求めた:吸水率(%)=(浸水後の発泡ゴム層の重量−浸水前の発泡ゴム層の重量)÷(浸水前の発泡ゴム層の重量)×100。
【0104】
[発泡ゴム層と金属板との密着性]
水中に浸漬した後のシーリング材について、JIS K5600−5−6に準拠したクロスカット法による試験を行い、発泡ゴム層と金属板との密着性を評価した。
【0105】
すなわち、まず、シーリング材から切り出した(30mm×30mm)を90℃の水中に24時間浸漬した。その後、サンプルを水中から取り出し、当該サンプルのクロスカット法による試験を実施した。
【0106】
具体的に、独立気泡率に応じた量の水を含んだ浸水後のサンプルの発泡ゴム層の表面に2mm角の格子が100個形成されるように、当該発泡ゴム層に、当該表面側からカッターを使用して切り込み(クロスカット)を形成した。
【0107】
次いで、発泡ゴム層の表面の切り込みが形成されたクロスカット部分に、透明感圧付着テープ(セロテープ(登録商標) CT405AP−24、ニチバン株式会社製)を貼り付けた。その後、この付着テープを発泡ゴム層の表面から剥がした。
【0108】
そして、付着テープを剥がした後の、発泡ゴム層の表面のクロスカット部分の状態を観察した。さらに、その観察結果が、JIS K5600−5−6の表1に示される6種類の分類(分類0〜5)のうちいずれの分類に該当するかを評価した。
【0109】
[その他の評価]
上述の実施例1と同様に、発泡ゴム層の厚み、独立気泡率及び最大高さRzの測定と、シーリング材の最小シール面圧の測定及び断面の観察とを行った。
[結果」
【0110】
図4A及び
図4Bには、それぞれ比較例2及び実施例2に係るシーリング材の断面の光学顕微鏡写真を示す。
図4A及び
図4Bに示すように、予備架橋を含む2段階法により形成された実施例2に係る発泡ゴム層(
図4B)は、通常法により形成された比較例2に係る発泡ゴム層(
図4A)に比べて、より顕著に緻密な気泡構造と、より顕著に平滑な表面とを有することが確認された。
【0111】
図5には、各シーリング材について、その製造に使用された発泡方法及び発泡剤の種類とともに、発泡ゴム層の発泡前後の厚み、独立気泡率及び最大高さRzと、当該シーリング材の最小シール面圧及び吸水率と、発泡ゴム層と金属板との密着性とを評価した結果を示す。
【0112】
図5に示すように、実施例2に係る発泡ゴム層の厚みは、比較例2に係る発泡ゴム層のそれに比べて低減された。また、実施例2に係る発泡ゴム層の独立気泡率は、比較例2に係る発泡ゴム層のそれに比べて顕著に増加した。
【0113】
また、実施例2に係る発泡ゴム層の表面の最大高さRzは、比較例2に係る発泡ゴム層のそれに比べて顕著に低減された。すなわち、予備架橋を含む2段階法により、発泡ゴム層の表面が効果的に平滑化された。
【0114】
また、実施例2に係るシーリング材の最小シール面圧は、比較例2に係るシーリング材のそれに比べて顕著に低かった。すなわち、予備架橋を含む2段階法により、シーリング材の低面圧におけるシール性が顕著に向上した。
【0115】
また、実施例2に係るシーリング材の吸水率は、比較例2に係るシーリング材のそれに比べて顕著に低かった。すなわち、予備架橋を含む2段階法により得られたシーリング材においては、流体の浸透が効果的に抑制されていた。
【0116】
さらに、比較例2に係るシーリング材のクロスカット法による分類は、「分類3」に該当していた。すなわち、比較例2に係るシーリング材において、発泡ゴム層のクロスカット部分の15%超が損傷していた。
【0117】
これに対し、実施例2に係るシーリング材のクロスカット法による分類は、「分類1」に該当していた。すなわち、実施例2に係るシーリング材において、発泡ゴム層のクロスカット部分の損傷は、5%以下に過ぎなかった。
【0118】
このように、予備架橋を含む2段階法により得られたシーリング材においては、水中に浸漬された後であっても、発泡ゴム層と金属板との高い密着性が維持されていた。
【0119】
このクロスカット法の試験結果は、上述した吸水率の評価結果からも支持されるものであった。すなわち、予備架橋を含む2段階法により得られたシーリング材は、加圧されたシールされるべき流体と接触した場合であっても、発泡ゴム層と金属板との間への当該流体の浸透が効果的に抑制され、さらに当該発泡ゴム層と金属板との高い密着性が効果的に維持されることにより、優れたシール性を発揮できることが確認された。