(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記複数の壁のうち一つは、電源からの電力を前記コイルへ供給するための電源ケーブルを前記空間に導くための電源ケーブル導入孔を有するとともに、前記電源ケーブル導入孔には、第3封止部材が設けられる、請求項4に記載の電動機。
前記端子は、前記電源ケーブル接続部と前記給電ケーブル接続部との間に、前記端子の長手方向と直交する平面で切った断面の外形状が多角形であるとともに、前記通路を覆う前記絶縁体の内側に配置される多角形部分を有しており、
前記多角形部分と対向する部分における前記絶縁体は、前記端子の長手方向と直交する平面で切った断面における内形状が、前記多角形と相似形となっている、請求項7に記載の電動機。
前記給電ケーブル貫通孔を貫通した前記給電ケーブルは、前記ステーターの径方向外側に曲げられて、前記ステーターの径方向外側に延在した状態で2個の前記取付面の間に配置されており、
2個の前記取付面の間における前記給電ケーブルは、2個の前記取付面同士の中央に配置される、請求項9に記載の電動機。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
特許文献1に記載されている技術は、モータ側接続端子をモールドによってモータ挿通孔内に埋め込むので、これらを分解することは困難である。
【0005】
本発明は、ステーターが有するコイルから引き出された給電ケーブルが接続された端子ボックスを容易に分解できるようにすることを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明は、筐体の内側に取り付けられた環状のステーター及び前記ステーターの径方向内側に配置されたローターを有する電動機であって、前記ステーターのコイルから引き出された給電ケーブルと接続された端子と、前記筐体に取り付けられて、前記端子を格納する端子ボックスと、前記端子ボックスと前記端子との間に配置されるとともに、前記端子と分離可能な絶縁体と、を含むことを特徴とする電動機である。
【0007】
本発明において、前記絶縁体と前記端子との間に介在する第1封止部材と、前記絶縁体と前記端子ボックスとの間に介在する第2封止部材と、を含むことが好ましい。
【0008】
本発明において、前記絶縁体と前記第1封止部材との間には、前記端子と同種の材料で形成された環状の部材が介在し、前記端子ボックスと前記第2封止部材との間には、前記端子ボックスと同種の材料形成された環状の部材が介在することが好ましい。
【0009】
本発明において、前記端子は柱状の部材であって、前記部材の一端部側に設けられて、前記給電ケーブルが接続される給電ケーブル接続部と、前記部材の他端部側に設けられて、電源からの電力を前記コイルへ供給するための電源ケーブルが接続される電源ケーブル接続部と、を含むことが好ましい。
【0010】
本発明において、前記端子ボックスは、開口部を有する底部と、前記底部から立設した複数の壁とで囲まれるとともに、前記開口部を除いた前記底部が少なくとも前記絶縁体で覆われた空間を有し、前記開口部から前記端子の前記電源ケーブル接続部が突出するとともに、前記電源ケーブル接続部側の前記端子の側面には、前記開口部の周囲における前記底部を覆う前記絶縁体と係り合う抜け止め部材が取り付けられることが好ましい。
【0011】
本発明において、前記複数の壁のうち一つは、電源からの電力を前記コイルへ供給するための電源ケーブルを前記空間に導くための電源ケーブル導入孔を有するとともに、前記電源ケーブル導入孔には、第3封止部材が設けられることが好ましい。
【0012】
本発明において、前記電源ケーブル導入孔は、前記ローターの回転中心軸と直交する方向において、前記筐体の外側に配置されることが好ましい。
【0013】
本発明において、前記端子ボックスは、前記開口部とつながっている通路を有し、前記底部を覆う前記絶縁体は、前記開口部を通って前記通路の少なくとも一部を覆うことが好ましい。
【0014】
本発明において、前記端子は、前記電源ケーブル接続部と前記給電ケーブル接続部との間に、前記端子の長手方向と直交する平面で切った断面の外形状が多角形であるとともに、前記通路を覆う前記絶縁体の内側に配置される多角形部分を有しており、前記多角形部分と対向する部分における前記絶縁体は、前記端子の長手方向と直交する平面で切った断面における内形状が、前記多角形と相似形となっていることが好ましい。
【0015】
本発明において、前記端子ボックスは、前記筐体と対向し、かつ前記給電ケーブルを通過させる給電ケーブル孔を有する取付面を2個有することが好ましい。
【0016】
本発明において、 前記給電ケーブル貫通孔を貫通した前記給電ケーブルは、前記ステーターの径方向外側に曲げられて、前記ステーターの径方向外側に延在した状態で2個の前記取付面の間に配置されており、2個の前記取付面の間における前記給電ケーブルは、2個の前記取付面同士の中央に配置されることが好ましい。
【0017】
本発明において、2個の前記取付面は、それぞれ、前記給電ケーブル孔に蓋を取り付けるためのボルトが取り付けられる蓋用ボルト孔を有することが好ましい。
【0018】
本発明において、前記端子ボックスを前記筐体に取り付けるためのボルトが貫通する端子ボックス用ボルト孔が、2個の前記取付面の間を貫通することが好ましい。
【0019】
本発明は、筐体の内側に取り付けられた環状のステーター及び前記ステーターの径方向内側に配置されたローターを有する電動機であって、前記ステーターのコイルから引き出された給電ケーブルと接続された端子と、前記筐体に取り付けられて、前記端子を格納する端子ボックスと、前記端子ボックスと前記端子との間に配置されるとともに、前記端子と分離可能な絶縁体と、前記絶縁体と前記端子との間に介在する第1封止部材と、前記絶縁体と前記端子ボックスとの間に介在する第2封止部材と、を含み、前記端子は柱状の部材であって、前記部材の一端部側に設けられて、前記給電ケーブルが接続される給電ケーブル接続部と、前記部材の他端部側に設けられて、電源からの電力を前記コイルへ供給するための電源ケーブルが接続される電源ケーブル接続部と、前記電源ケーブル接続部と前記給電ケーブル接続部との間に、前記端子の長手方向と直交する平面で切った断面の外形状が多角形である多角形部分と、を含み、前記端子ボックスは、開口部を有する底部と、前記底部から立設した複数の壁とで囲まれるとともに、前記開口部を除いた前記底部が少なくとも前記絶縁体で覆われた空間を有し、前記開口部から前記端子の前記電源ケーブル接続部が突出するとともに、前記電源ケーブル接続部側の前記端子の側面には、前記開口部の周囲における前記底部を覆う前記絶縁体と係り合う抜け止め部材が取り付けられ、前記複数の壁のうちの一つは、電源からの電力を前記コイルへ供給するための電源ケーブルを前記空間に導くための電源ケーブル導入孔を有するとともに、前記電源ケーブル導入孔には、第3封止部材が設けられ、前記多角形部分と対向する部分における前記絶縁体は、前記端子の長手方向と直交する平面で切った断面における内形状が、前記多角形と相似形となっている、ことを特徴とする電動機である。
【発明の効果】
【0020】
本発明は、ステーターが有するコイルから引き出された給電ケーブルが接続された端子ボックスを容易に分解できるようにすることができる。
【発明を実施するための形態】
【0022】
本発明を実施するための形態(実施形態)につき、図面を参照しつつ詳細に説明する。
【0023】
<電動機の機構>
図1は、本実施形態に係る電動機の構造を示す断面図である。
図2は、本実施形態に係る電動機をリアフランジ側から見た状態を示す正面図である。これらの図を参照して、電動機1について説明する。電動機1は、筐体2と、ステーター3と、ローター7とを含む。筐体2は、筒状の胴部2Bと、胴部2Bの一方の端部に取り付けられる板状部材としてのリアフランジ2Rと、胴部2Bの他方の端部に取り付けられる板状部材としてのフロントフランジ2Fとを含む。胴部2Bは、内側、より具体的には内周面2iwにステーター3のステーターコア3Cが取り付けられる。ステーター3の内側、より具体的にはステーターコア3Cの径方向内側には、ローター7が回転可能に配置される。
【0024】
図2に示すように、リアフランジ2Rは円板形状の部材である。フロントフランジ2Fも、リアフランジ2Rと同様に、円板形状の部材である。
図2に示すように、リアフランジ2Rは、ボルト10によって胴部2Bに締結されて取り付けられる。フロントフランジ2Fは、ボルト11によって胴部2Bに締結されて取り付けられる。筐体2は、内部2I、すなわち、リアフランジ2Rとフロントフランジ2Fと胴部2Bとで囲まれる空間に、ステーター3及びローター7を格納する。本実施形態において、筐体2は、胴部2Bと、リアフランジ2Rと、フロントフランジ2Fとを含むが、このような形態に限定されない。例えば、リアフランジ2R又はフロントフランジ2Fのいずれか一方が、例えば、鋳造等によって胴部2Bと一体で形成されるものであってもよい。
【0025】
ステーター3は、ステーターコア3Cと、コイル4とを含む。ステーターコア3Cは、環状の構造体である。ステーターコア3Cは、例えば、複数の電磁鋼板を積層したものである。ステーターコア3Cは、複数のスロット(溝)と、隣接するスロットの間に設けられる複数のティースとが周方向に向かって配置されている。コイル4は、ステーターコア3Cの隣接するスロット間に電線が巻き回されることにより、ステーターコア3Cに取り付けられる。コイル4からは、給電ケーブル6が引き出されている。給電ケーブル6は、コイル4に電力を供給したり、電動機1の回生時にコイル4が発生した電力を電動機1から取り出したりするための電線である。本実施形態において、電動機1は三相電動機なので、給電ケーブル6は、U相のコイルに電力を供給するものと、V相のコイルに電力を供給するものと、W相のコイルに電力を供給するものとの3本がある。
【0026】
図1、
図2に示すように、リアフランジ2Rは、ステーター3が有するコイル4から引き出された給電ケーブル6が貫通する給電ケーブル貫通孔12を有する。給電ケーブル6は、給電ケーブル貫通孔12を貫通して、筐体2の内部2Iから筐体2の外部に引き出される。
【0027】
ステーター3、より具体的にはステーターコア3Cは、例えば、リアフランジ2R側の開口部から胴部2B内に配置される。胴部2Bの小径部2BTにステーターコア3Cの一端部を当接させ、ステーターコア3Cが有する複数の電磁鋼板の積層方向に貫通した貫通孔にステーター固定用ボルト5を差し込む。そして、ステーター固定用ボルト5を小径部2BTに設けられたボルト穴にねじ込むことにより、ステーターコア3C及びコイル4を有するステーター3を胴部2Bに締結し、固定する。
【0028】
ステーター3の内側に配置されたローター7は、シャフト8に取り付けられており、シャフト8とともに回転中心軸Zrを中心として回転する。このように、ローター7とシャフト8とは、共通の回転中心軸Zrの周りを回転する。ローター7は、円板形状の鋼板(電磁鋼板)を積層した円筒形状の構造体である。ステーターコア3Cの内周面とローター7の外周面とは所定の隙間を介して対向して配置されている。このため、ステーターコア3Cの内周面は、ローター7の外周面に沿った形状となる。
【0029】
本実施形態において、ローター7は、内部に複数の永久磁石を埋め込んでいる。このように、本実施形態において、電動機1は、IPM(Interior Permanent Magnet)であるが、SPM(Surface Permanent Magnet)であってもよい。ローター7に取り付けられたシャフト8は、一方の端部側と他方の端部側とに、それぞれ軸受9R、9Fが取り付けられている。軸受9R、9Fは、例えば外輪と、転動体と、内輪と、保持器とを含む転がり軸受である。本実施形態において、軸受9Rは外輪がリアフランジ2Rに取り付けられ、軸受9Fは外輪がフロントフランジ2Fに取り付けられる。軸受9R、9Fの内輪は、いずれもシャフト8に取り付けられる。リアフランジ2R及びフロントフランジ2Fは胴部2Bに取り付けられているので、シャフト8及びローター7は、電動機1の筐体2の内部2Iに、回転可能に支持され、配置される。
【0030】
シャフト8は、フロントフランジ2Fから筐体2の外部に突出している。シャフト8がフロントフランジ2Fから突出した部分は、電動機1の駆動対象と連結されたり、ギア又はスプロケット等が取り付けられたりする。シャフト8は、内部に冷却媒体(例えば、油)が通過する冷却媒体通路8Cを有している。冷却媒体通路8Cは、ローター7の内部に設けられた冷却媒体の通路等に接続している。冷却媒体通路8Cに、リアフランジ2Rが有する冷却媒体供給口2RHから冷却媒体を供給することにより、ローター7を冷却する。ローター7を冷却した後の冷却媒体は、ローター7から流出するとともに、ローター7の回転による遠心力で径方向外側に放出されて、コイル4(特に、ステーターコア3Cから回転中心軸Zr方向に突出した部分であるコイルエンド)に衝突し、これを冷却する。このように、電動機1は、筐体2の内部2I及び筐体2の内部に格納されたローター7等が冷却媒体によって冷却される。なお、電動機1は、冷却媒体によってローター7等が冷却されなくてもよい。
【0031】
<端子ボックス>
電動機1は、端子ボックス20を有する。端子ボックス20は、板状部材としてのリアフランジ2Rに取り付けられている。端子ボックス20は、給電ケーブル6が接続された端子24を格納する。端子ボックス20には、リアフランジ2Rに取り付けられる取付部21と、端子24を格納する端子格納部22とが設けられている。本実施形態において、端子ボックス20は、取付部21と端子格納部22とが一体で形成されているが、このようなものに限定されない。例えば、両者を別個の部材として用意し、これらをボルトで締結等してもよい。
【0032】
取付部21は、リアフランジ2Rと接する取付面21Fを2個有している。2個の取付面21F、21Fは、互いに対向し、かつ平行である。それぞれの取付面21F、21Fは、ステーター3のコイル4から引き出され、リアフランジ2Rの給電ケーブル貫通孔12を貫通した給電ケーブル6を通過させる給電ケーブル孔21Hを有する。また、取付面21Fは、端子ボックス20がリアフランジ2Rに取り付けられるときに、リアフランジ2Rと対向する。
【0033】
取付部21は、2個の取付面21F、21Fを貫通する端子ボックス用ボルト孔28を有している。端子ボックス用ボルト孔28にボルト29を貫通させて、リアフランジ2Rにねじ込むことによって、取付部21をリアフランジ2Rに締結し、固定する。その結果、端子ボックス20がリアフランジ2Rに取り付けられる。このとき、一方の取付面21Fがリアフランジ2Rと対向する。なお、取付面21Fとリアフランジ2Rとの間には、封止部材としてのOリング又はガスケットが介在する。このようにすることで、電動機1の筐体2の内部2Iからの冷却媒体が取付面21Fとリアフランジ2Rとの間から漏れる可能性を低減できる。
【0034】
取付部21をリアフランジ2Rに取り付けると、取付部21の給電ケーブル孔21Hと、リアフランジ2Rの給電ケーブル貫通孔12とが重なる。このため、コイル4からの給電ケーブル6は、給電ケーブル貫通孔12を貫通した後、給電ケーブル孔21Hに導かれる。給電ケーブル貫通孔12を貫通した給電ケーブル6は、リアフランジ2Rの径方向外側に向かって約90度曲げられて、リアフランジ2Rの径方向外側に延在する状態となる。給電ケーブル6が延在する方向は、回転中心軸Zrと直交する方向である。曲げられた後の給電ケーブル6は、2個の取付面21F、21Fの間に配置されて端子24に導かれ、これと電気的に接続される。
【0035】
一方の取付面21Fがリアフランジ2Rに取り付けられると、他方の取付面21Fには、給電ケーブル孔21Hが開いた状態となる。両方の取付面21F、21Fの給電ケーブル孔21H、21Hは、取付部21の内部でつながっているので、このままでは電動機1の筐体2の内部2Iと外部とが連通してしまう。このため、他方の取付面21Fの給電ケーブル孔21Hに蓋25を取り付けて、これを閉塞する。蓋25は、取付部21が有する複数の蓋用ボルト穴26にボルト27をねじ込むことによって、取付面21Fに締結され、固定される。取付面21Fと蓋25との間には、封止部材としてのOリング又はガスケットが介在する。このようにすることで、電動機1の筐体2の内部2Iからの冷却媒体が取付面21Fと蓋25との間から漏れる可能性を低減できる。
【0036】
端子ボックス20と端子24との間には、絶縁体23が配置される。絶縁体23と端子24とは、異なる部材同士を組み合わせたものであり、両者は接着等がされていないので、分離可能である。絶縁体23は、例えば、ポリエステル、エポキシ樹脂、フェノール樹脂等の絶縁性が高い樹脂、ガラス繊維、ガラス繊維強化プラスチック等を用いることができる。端子ボックス20は金属材料で作られており、導電性が高いため、端子24と端子ボックス20との間に絶縁体23を介在させることで、両者の電気的な絶縁を確保することができる。
【0037】
端子24には、電源からの電力をステーター3が有するコイル4へ供給するための電源ケーブル32が接続される。電源ケーブル32には、電源ケーブル端子30が電気的に接続される。電源ケーブル端子30は、端子格納部22が有する電源ケーブル導入孔22Hから端子格納部22の内部の空間22Iに差し込まれている。電源ケーブル導入孔22Hは、電源ケーブル32を端子に導くものである。電源ケーブル導入孔22Hは、胴部2Bの径方向外側に配置されている。
【0038】
電源ケーブル32は、電源ケーブル端子30を介して、端子24にボルト31で締結され、固定される。このようにして、端子24と電源ケーブル端子30とが電気的に接続される。両者が接続される部分は、端子格納部22の内部の空間22Iに配置される。端子格納部22は、開口部が蓋33で閉じられる。蓋33は、ボルト34で端子格納部22に締結され、固定される。
【0039】
電源ケーブル導入孔22Hは、胴部2Bの径方向外側に配置されている。また、端子ボックス20は、取付部21に2個の取付面21F、21Fを有している。一方の取付面21Fは、他方の取付面21Fの背面に配置されるので、リアフランジ2R側の取付面21Fを、一方から他方に変更することで、電源ケーブル導入孔22Hの開口の向きを180度変更することができる。例えば、電源ケーブル導入孔22Hの開口側の取付面21Fをリアフランジ2Rと対向させて取付部21をリアフランジ2Rに取り付けると、電源ケーブル導入孔22Hの開口側は、フロントフランジ2F側を向くことになる。また、電源ケーブル導入孔22Hの開口側とは反対側の取付面21Fをリアフランジ2Rと対向させて取付部21をリアフランジ2Rに取り付けると、電源ケーブル導入孔22Hの開口側は、フロントフランジ2Fとは反対側を向くことになる。このようにすることで、電動機1は、端子ボックス20から電源ケーブル32が引き出される方向を、180度変更することができる。
【0040】
端子ボックス20の向きを変更した場合に、端子ボックス20が筐体2と接触しないように、
図1に示すように、端子ボックス20の端子格納部22と筐体2の外周面との間には、所定の隙間Sが設けてある。このようにすることで、端子ボックス20の向きを変更して電源ケーブル導入孔22Hの開口の向きを入れ替えても、端子ボックス20と筐体2との接触を回避できる。
【0041】
図3、
図4は、端子ボックスの向きを変更した場合の例を示す図である。
図3、
図4は、
図1に示す端子ボックス20の電源ケーブル導入孔22Hの向きを変更した例である。
図3に示す例は、電源ケーブル導入孔22Hが、胴部2Bの一方の端部(リアフランジ2R側)から電源ケーブル32を端子ボックス20に導入可能な方向に向いている例である。すなわち、端子ボックス20の電源ケーブル導入孔22Hを、シャフト8が突出している方向とは反対側に向けることにより、リアフランジ2R側から電源ケーブル32を端子ボックス20に導入した例である。
図4は、電源ケーブル導入孔22Hが、胴部2Bの他方の端部側(フロントフランジ2F側)から電源ケーブル32を端子ボックス20に導入可能な方向に向いている例である。すなわち、端子ボックス20の電源ケーブル導入孔22Hを、シャフト8が突出している方向に向けることにより、フロントフランジ2F側から電源ケーブル32を端子ボックス20に導入した例である。このように、電源ケーブル導入孔22Hは、胴部2Bの一方の端部側又は他方の端部側から電源ケーブル32を端子ボックス20に導入可能である。このような構造により、端子ボックス20は、2個の取付面21F、21Fを入れ替えることで電源ケーブル導入孔22Hの向きを変更して電源ケーブル32の導入方向を変更できるので、新たな部品を用意する必要はない。
【0042】
なお、本実施形態において、電動機1が冷却媒体で冷却される場合には、冷却媒体が給電ケーブル貫通孔12及び給電ケーブル孔21Hを通って端子ボックス20側に移動する可能性がある。後述するように、端子ボックス20が有する端子格納部22の内部の空間22Iは、外部から密封されているが、冷却媒体が端子ボックス20側へ移動することは極力回避することが好ましい。この観点から、端子ボックス20は、電動機1の上側に配置されることが好ましい。
【0043】
上述したように、電動機1は、電源ケーブル32の端子ボックス20への導入方向の変更を、端子ボックス20の取付け方向の変更によって実現できる。このため、電源ケーブル32の導入方向を変更するにあたって、電動機1は、端子ボックス20及びリアフランジ2Rの専用部品を準備する必要がない。その結果、電動機1は、同一の端子ボックス20及びリアフランジ2Rが一式あればよいので、部品管理を簡略にすることができるとともに、多品種少量の部品を製作しなくてもよいため、電動機1の製造コストを抑制できる。
【0044】
また、電動機1は、端子ボックス20の向きを簡易に調整できるので、電源ケーブル32の配置の自由度が向上する。その結果、既存の車両又は機器類に電動機1を搭載する際に電源ケーブル32の配置が大幅に変更できない場合であっても、特別な部品を用意することなく既存の配置に合わせやすくなる。さらに、新たに車両又は機器類を設計する場合も、電動機1は、電源ケーブル32の配置の自由度が高いので、電動機1、電動機1の制御機器、電源ケーブル32又は他の機器類の配置について、設計の自由度が向上する。この場合も、電動機1の端子ボックス20の配置変更に起因するコストアップは最小限に抑えることができる。また、電動機1を搭載した車両又は機器類の改造等をする際に、電源ケーブル32の端子ボックス20への導入方向が変更されるような状況が発生しても、コストアップなしで容易に対応できる。
【0045】
上記説明では、端子ボックス20の取付面21Fは2個としたが、取付面21Fの数は少なくとも2個であればよい。例えば、取付面21Fを4個とすれば、端子ボックス20への電源ケーブル32の導入方向を4方向に変更することができる。この場合、例えば、対向する2個の取付面21F、21Fを連結する、対向する2個の新たな取付面を設ければよい。次に、端子ボックス20について、より詳細に説明する。
【0046】
<端子ボックスの詳細>
図5は、本実施形態に係る電動機が備える端子ボックスの拡大図である。
図6は、端子ボックスの内部を示す平面図である。
図7は、端子ボックスが有する端子の斜視図である。
図8は、端子の断面図である。
図9は、
図8のB−B断面図である。
図10は、端子ボックスが有する端子格納部及び取付部を示す一部断面図である。
図11は、端子ボックスが有する絶縁体の断面図である。
図12は、
図11のC−C断面図である。これらの図を参照して、端子ボックス20について説明する。
【0047】
上述した通り、電動機1は、端子24と、端子ボックス20と端子24との間に配置されるとともに、端子24と分離可能な端子24とは別部材の絶縁体23とを含む端子ボックス20を有している。本実施形態において、絶縁体23と端子24との間には第1封止部材36が介在し、絶縁体23と端子ボックス20との間には第2封止部材37が介在する。第1封止部材36及び第2封止部材37は、例えば、Oリングである。
【0048】
第1封止部材36及び第2封止部材37を設けることにより、リアフランジ2Rの給電ケーブル貫通孔12から流入する電動機1の冷却媒体が、絶縁体23と端子24との間及び絶縁体23と端子ボックス20との間を通って端子格納部22の内部の空間22Iに入り込む可能性を極めて低減できる。電動機の冷却媒体は、通常は電気に対する絶縁性が高いが、使用によって金属粉等が混入すると、電気に対する絶縁性が低下する可能性がある。第1封止部材36及び第2封止部材37は、冷却媒体が端子格納部22の内部の空間22Iに入り込む可能性を極めて低減できるので、端子24と電源ケーブル端子30との接続部が配置される端子格納部22の内部の空間22Iにおける絶縁性能を確実に確保することができる。
【0049】
本実施形態において、絶縁体23と第1封止部材36との間には、金属材料の環状の部材として第1スリーブ39Aが介在し、端子ボックス20と第2封止部材37との間には、同じく金属材料の環状の部材として第2スリーブ39Bが介在する。金属材料は、絶縁体23の材料である樹脂と比較して硬度が高く、また、表面粗さを小さくしやすい。このため、絶縁体23と第1封止部材36との間及び端子ボックス20と第2封止部材37との間にそれぞれ金属材料の第1スリーブ39A及び第2スリーブ39Bを介在させることで、第1封止部材36及び第2封止部材37の封止性能を最大限に発揮させることができる。その結果、冷却媒体が端子格納部22の内部の空間22Iに入り込む可能性を極めて低減できるので、端子24と電源ケーブル端子30との接続部が配置される端子格納部22の内部の空間22Iにおける絶縁性能を確実に確保することができる。なお、絶縁体23単体で十分な封止性能を確保できる場合、第1スリーブ39A及び第2スリーブ39Bを用いなくてもよい。
【0050】
第1スリーブ39Aは、端子24と同種の材料で形成されていることが好ましく、第2スリーブ39Bは、端子ボックス20と同種の材料で形成されていることが好ましい。このようにすれば、第1スリーブ39Aと端子24との間及び第2スリーブ39Bと端子ボックス20との間における電蝕を低減できるので、第1スリーブ39A及び第2スリーブ39Bの耐久性低下を効果的に抑制できる。その結果、第1封止部材36及び第2封止部材37の封止性能を長期間維持することができる。
【0051】
本実施形態において、端子24は銅で作られており、端子ボックス20はアルミニウム合金で作られている。このため、第1スリーブ39Aは銅と同種の材料である真鍮で作られている。また、第2スリーブ39Bは、アルミニウム合金と同種の材料であるアルミニウム(又はアルミニウム合金)で作られている。
【0052】
端子ボックス用ボルト孔28は、上述したように取付部21に設けられている。
図5に示す例では1箇所の端子ボックス用ボルト孔28のみ示されているが、端子ボックス用ボルト孔28は、取付部21の複数箇所に設けられて、2個の取付面21F、21F間を貫通している。端子ボックス用ボルト孔28は、2個の取付面21F、21F側に、ボルト29の頭の高さよりも深い座繰り部28Zをそれぞれが有している。座繰り部28Zに、ボルト29の頭が入り込むので、取付面21F、21Fからボルト29の頭は突出しない。このため、取付面21Fに蓋25を取り付けても、両者の間に隙間が発生することを回避できるので、両者の間を確実に封止することができる。また、座繰り部28Zは、両方の取付面21F、21F側に設けられているので、取付面21Fを入れ替えてリアフランジ2Rに端子ボックス20を取り付けても、座繰り部28Zにボルト29の頭を埋め込むことができる。それぞれの座繰り部28Zの深さは、同一であることが好ましい。このようにすることで、端子ボックス20を反転させてリアフランジ2Rに取り付ける場合でも、同一のボルト29を用いることができるので、部品の共通化及び部品点数の削減を実現することができる。
【0053】
蓋用ボルト穴26は、上述したように取付部21に設けられている。
図5に示す例では1箇所の蓋用ボルト穴26のみ示されているが、蓋用ボルト穴26は、取付部21の複数箇所に設けられている。また、蓋用ボルト穴26は、それぞれの取付面21F側に設けられている。このため、取付面21Fを入れ替えてリアフランジ2Rに端子ボックス20を取り付けても、取付面21Fの給電ケーブル孔21Hを閉塞するための蓋25を取付面21Fに取り付けることができる。
【0054】
一方の取付面21Fに開口する蓋用ボルト穴26と、他方の取付面21Fに開口する蓋用ボルト穴26とは、両者の間で中心軸が共通することが好ましい。このようにすることで、両方の取付面26の間で蓋25を共通とすることができる。また、それぞれの取付面21Fに開口する蓋用ボルト穴26は、それぞれの深さを同一とすることが好ましい。このようにすることで、端子ボックス20を反転させてリアフランジ2Rに取り付ける場合でも、同一のボルト27を用いることができるので、部品の共通化及び部品点数の削減を実現することができる。
【0055】
給電ケーブル6は、上述したように、リアフランジ2R又は
図1に示すステーター3の径方向外側に延在した状態で、2個の取付面21F、21Fの間に配置されている。本実施形態において、2個の取付面21F、21Fの間における給電ケーブル6は、2個の取付面21F、21F同士の中央に配置される。すなわち、2個の取付面21F、21F間の給電ケーブル6は、取付面21Fから中心Zslまでの距離が、2個の取付面21F、21F間の距離Wの1/2となる(W/2)。このようにすることで、取付面21Fを入れ替えてリアフランジ2Rに端子ボックス20を取り付けても、取付部21内における給電ケーブル6と端子24との位置関係の変化を最小限に抑えることができる。その結果、端子ボックス20の向きを反転させる場合には、給電ケーブル6と端子24との位置関係の調整を最小限に抑えることができるので、端子ボックス20の向きを反転させてリアフランジ2Rに取り付ける作業が容易になる。
【0056】
図5、
図6に示すように、端子ボックス20の端子格納部22は、複数の壁22Wを有している。複数の壁22Wで囲まれた空間22Iで、電源ケーブル32が電気的に接続された電源ケーブル端子30が端子24にボルト31で締結されている。本実施形態において、端子ボックス20の端子格納部22は、U相、V相、W相に合わせて3個の空間22Iを有している。3個の空間それぞれに絶縁体23及び端子24が配置されている。それぞれの空間22Iの構造は、いずれも同様である。
【0057】
図5に示すように、複数の壁22Wのうち1つは、電源ケーブル導入孔22Hを有している。電源ケーブル導入孔22Hには、第3の封止部材38が設けられる。第3の封止部材38は、例えば、Oリングである。電源ケーブル導入孔22Hには電源ケーブル端子30が差し込まれるので、電源ケーブル端子30と電源ケーブル導入孔22Hとの間に、第3の封止部材38が配置される。
【0058】
端子格納部22の開口部に蓋33がボルト34で取り付けられることにより、複数の壁22Wで囲まれた空間22Iが閉じられる。端子格納部22の開口部と蓋33との間には、封止部材としてガスケット等が配置される。電源ケーブル導入孔22Hに電源ケーブル端子30が差し込まれると、第3の封止部材38によって両者の隙間が封止される。端子格納部22に蓋33が取り付けられると、空間22Iは、第1の封止部材36と第2の封止部材37と第3の封止部材38と蓋33とによって封止される。このため、空間22Iは、水分等の浸入が抑制されるので、端子24と電源ケーブル端子30との接続の信頼性が確保できるとともに、空間22I内の絶縁性能も確保できる。次に、端子24について説明する。
【0059】
図7、
図8に示すように、端子24は、柱状の部材であって、部材の一端部24TA側に設けられて、給電ケーブル6が接続される給電ケーブル接続部24FAと、部材の他端部24TB側に設けられて、電源ケーブル32が接続される電源ケーブル接続部24FBとを含む。給電ケーブル接続部24FAは、
図8に示すように、給電ケーブル6が差し込まれる取付孔24FAHを有している。取付孔24FAHに給電ケーブル6を差し込み、例えば、加熱しながら給電ケーブル接続部24FAをかしめるヒュージングによって、
図8に示すように、給電ケーブル6を給電ケーブル接続部24FAに電気的に接続する。
【0060】
図8に示す電源ケーブル接続部24FBは、ボルト31がねじ込まれる雌ねじが切られたボルト穴である。電源ケーブル端子30がボルト31によって電源ケーブル接続部24FBに締結されることにより、電源ケーブル32が端子24と電気的に接続される。端子24は、電源ケーブル接続部24FBの側面に、第1封止部材36が取り付けられる第1溝24SSと、
図5に示す抜け止め部材としてのスナップリング35が取り付けられる第2溝24SFとを有する。
【0061】
端子24は、電源ケーブル接続部24FBと給電ケーブル接続部24FAとの間に、端子24の長手方向(
図8の矢印Lで示す方向)と直交する平面で切った断面の外形状が多角形である多角形部分24Bを有している。多角形部分24Bは、
図5に示すように、端子ボックス20の取付部21に設けられて、取付部21が有する通路21PAを覆う絶縁体23の内側に配置される。
図7、
図6に示すように、本実施形態において、多角形部分24Bの外形状は六角形であるが、これに限定されるものではない。例えば、多角形部分24Bの外形状は、四角形、五角形、八角形等であってもよい。なお、断面が六角形の棒が規格品として存在しているため、多角形部分24Bの外形状を六角形とすることにより、規格品を利用して端子24の製造コストを低減できるという利点もある。
【0062】
次に、端子ボックス20の端子格納部22及び取付部21について説明する。
図10に示すように、端子ボックス20の端子格納部22は、開口部22BHを有する底部22Bと、底部22Bから立設した複数の壁22Wとを有している。取付部21は、給電ケーブル孔21Hと、端子格納部22の底部22Bと複数の壁22Wとで囲まれた空間とをつなぐ通路21PAを有している。通路21PAは、底部22Bに開口する開口部22BHを有する。底部22Bと複数の壁22Wとで囲まれた空間及び通路21PAは、
図5に示すように絶縁体23が覆っている。絶縁体23は、開口部22BHを除いた底部22Bを少なくとも覆っている。本実施形態では、
図5に示すように、電源ケーブル導入孔22Hが貫通する壁22Wを除き、絶縁体23は、底部22Bに加えて残りの3個の壁を覆っている。絶縁体23は、開口部22BHを通って通路21PAの少なくとも一部を覆う。端子格納部22内における、絶縁体23と、電源ケーブル導入孔22Hが貫通する壁22Wとで囲まれた空間22Iに、端子24と電源ケーブル端子30とが配置される。
図10に示すように、電源ケーブル導入孔22Hの内周面には、第3の封止部材38が取り付けられる溝22Sが形成されている。また、通路21PAの内周面には、第2の封止部材37が取り付けられる溝21Sが形成されている。
【0063】
次に、絶縁体23について説明する。
図11に示すように、絶縁体23は、
図10に示す底部22Bを覆う絶縁体底部23Bと、絶縁体底部23Bから立設し、
図6、
図10に示す壁22Wを覆う複数の絶縁体壁部23Wを有している。また、絶縁体底部23Bには、取付部21の通路21PAに配置される筒状の脚部23Kが取り付けられている。脚部23Kの外周部には、第2スリーブ39Bが設けられている。また、絶縁体底部23Bと脚部23Kとが接続する部分は、絶縁体底部23B側から第1スリーブ39Aが設けられている。第1スリーブ39Aは、一端部から径方向外側に張り出すフランジ部39Afが絶縁体底部23Bに係り合う。第1スリーブ39Aの内周面39Aiwが、
図5に示す第1封止部材36と接する。第2スリーブ39Bは、外周面39Bewが
図5に示す第2封止部材37と接する。第1スリーブ39A及び第2スリーブ39Bは、絶縁体23を射出成形で製造する際に、絶縁体23の樹脂とともに鋳込まれる。
【0064】
脚部23Kは、絶縁体底部23Bに取り付けられている側とは反対側に開口部23Hを有している。開口部23Hと絶縁体底部23Bとは、脚部内通路23PAが連結している。脚部内通路23PAの開口部23H側は、開口部23Hに向かって内径が大きくなっているテーパー部23Sとなっている。また、テーパー部23Sと絶縁体底部23Bとの間は、絶縁体側多角形部分23Fである。絶縁体側多角形部分23Fは、脚部内通路PAが延在する方向(
図5、
図10に示す取付部21が有する通路21PAの延在方向に相当)と直交する平面で切った断面における内形状が、端子24の多角形部分24Bの外形状と相似形となっている。すなわち、絶縁体側多角形部分23Fは、端子24の多角形部分24Bと対向する部分において、端子24の長手方向と直交する平面で切った断面における内形状が、端子24の多角形部分24Bにおける多角形と相似形となっている。本実施形態では、
図12に示すように、絶縁体側多角形部分23Fの内形状は六角形であるが、端子24の多角形部分24Bの外形状に応じて変化する。絶縁体側多角形部分23Fの内形の寸法は、端子24が有する多角形部分24Bの外形の寸法よりもやや大きい。
【0065】
絶縁体23は、端子ボックス20と端子24との間に配置される。脚部23Kは、端子ボックス20の取付部21が有する通路21PA内に配置される。脚部23Kの脚部内通路PAには端子24が取り付けられる。すると、絶縁体側多角形部分23Fは、取付部21の通路21PAと端子24の多角形部分24Bとの間に配置されることになる。端子ボックス20に絶縁体23が取り付けられ、絶縁体23の開口部23H側から端子24が取り付けられると、端子24の電源ケーブル接続部24FBは、絶縁体底部23Bに設けられた第1スリーブ39Aのフランジ部39Af側の開口から、
図5に示す端子格納部22の壁22Wを覆う絶縁体23(具体的には、
図11に示す複数の絶縁体壁部23W)で囲まれた空間22Iに突出する。なお、第1スリーブ39Aは、端子ボックス20が有する端子格納部22の底部22Bに開口する、取付部21の通路21PAの開口部22BH(
図10参照)に取り付けられているので、端子24の電源ケーブル接続部24FBは、開口部22BHから空間22Iに突出することになる。この状態で、電源ケーブル接続部24FBの側面に設けられた第2溝24SFに、
図5に示す抜け止め部材としてのスナップリング35が取り付けられる。このような構造により、
図10に示す開口部22BHの周囲における端子格納部22の底部22Bを覆う絶縁体23とスナップリング35とが係り合うので、絶縁体23に取り付けられた端子24の抜けが防止される。
【0066】
端子24が絶縁体23に取り付けられると、端子24の多角形部分24Bが絶縁体側多角形部分23Fに嵌り合う。このため、端子24を、その長手方向を中心として回転させようとしても、端子24は回転しない。このように、端子24に多角形部分24Bを設けるとともに、この部分と相似形の絶縁体側多角形部分23Fに端子24の多角形部分24Bを嵌め合わせることで、端子24の回り止めとすることができる。その結果、端子24の電源ケーブル接続部24FBにボルト31で電源ケーブル端子30を締結した場合には、端子24が回転しないので、確実に電源ケーブル端子30を端子24に接続することができる。
【0067】
端子24を絶縁体23に取り付けるにあたっては、給電ケーブル6が取り付けられた端子24を、
図11に示す絶縁体23の脚部23Kの開口部23Hから差し込み、この状態で絶縁体23を端子ボックス20の端子格納部22に取り付ける。このとき、給電ケーブル6を中心として、端子24が差し込まれた絶縁体23を回転させて位置調整をする。
図11に示すように、絶縁体23は、絶縁体底部23Bの外形が脚部23Kの外形よりも大きいので、梃子の作用によって前述した位置調整においては少ない力で絶縁体23を回転させることができる。その結果、端子24を端子ボックス20に取り付ける作業が容易になる。
【0068】
端子24が取り付けられた絶縁体23を端子ボックス20の端子格納部22に取り付けたら、端子24の第2溝24SFにスナップリング35を取り付ける。電源ケーブル接続部24FBには雌ねじが切られているので、この雌ねじに対応する雄ねじが切られた、ある程度の長さの棒を治具として電源ケーブル接続部24FBにねじ込む。そして、スナップリング35の取付時には、前述した棒を引き上げることにより、端子24の第2溝24SFを絶縁体23の表面から離れた位置に保持する。このようにすることで、スナップリング35を簡単かつ確実に第2溝24SFに取り付けることができる。電源ケーブル接続部24FBを、雌ねじが切られた構造としておくことにより、前述したような治具を用いることもできる。
【0069】
端子ボックス20は、第1封止部材36、第2封止部材37及び第3封止部材38によって、電動機1の筐体2内及び端子ボックス20の外部から気密が保たれる。また、端子24は、かしめによってステーター3のコイル4からの給電ケーブル6が接続され、電源ケーブル32はねじ31による締結で接続される。このような構造により、電動機1の電源供給系統は、ねじによる締結が電動機1の筐体2の外側における1箇所のみとなるので、電動機1の電源供給系統の部品点数を削減できる。また、電動機1の電源供給系統は、ねじによる締結が1箇所のみとなるので、電気抵抗の低減及び省スペース化を実現できる。さらに、電動機1の筐体2の内部にねじによる締結部を設ける必要はないので、筐体2内において締結の緩み又は異物の噛み込み等は発生しない。その結果、電動機1の信頼性が向上するとともに、保守、点検が容易になる。
【0070】
また、端子ボックス20と絶縁体23と端子24とをそれぞれ別部品として分解可能としているので、端子ボックス20を電動機1の筐体2に取り付けた後でも、点検及び部品交換等が容易に実現できる。その結果、保守、点検の手間が軽減できる。また、上述したように、電動機1は、端子ボックス20の向きを変更できる構造になっているが、端子ボックス20と絶縁体23と端子24とを容易に分離できるので、端子ボックス20の向きを変更する作業が容易になる。さらに、端子ボックス20と絶縁体23と端子24とを容易に分離できるので、リサイクルも容易である。
【0071】
特に、内燃機関と、作業機を動かす油圧アクチュエータの駆動源となる油圧ポンプとを搭載する建設機械等の作業車両は、厳しい環境下で使用される。このような作業車両に電動機1が搭載されると、電動機1も厳しい環境下で使用されるので、部品の交換頻度も高くなる。交換の度に新しい部品にすると、部品の交換費用が上昇するため、厳しい環境下で使用される作業車両に搭載される機器類の部品は、可能な限り再生されて利用されて、部品の交換費用の上昇を抑制する。このため、厳しい環境下で使用される作業車両に搭載される機器類は、分離分割が容易であることが望まれる。電動機1の端子ボックス20は、上述したように分離分割が容易なので、厳しい環境下で使用される作業車両に対して特に好適である。
【0072】
以上、本実施形態について説明したが、上述した内容により本実施形態が限定されるものではない。また、上述した実施形態の構成要素には、当業者が容易に想定できるもの、実質的に同一のもの、いわゆる均等の範囲のものが含まれる。さらに、上述した構成要素は適宜組み合わせることが可能である。また、本実施形態の要旨を逸脱しない範囲で構成要素の種々の省略、置換及び変更を行うことができる。本実施形態の電動機の適用対象は特に限定されるものではない。本実施形態の電動機は、建設機械、作業車両等に適用することができる。