(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記本体板の前記ボルト孔は、レール幅方向に沿って延びる長尺状に形成されていると共に、レール幅方向における前記レールの一方側及び他方側で且つレール延在方向に沿って互いにずれた位置に一対形成されていることを特徴とする請求項3記載のレール線形切替えシステム。
【発明を実施するための形態】
【0019】
以下、図面を参照しながら、本発明の好適な実施形態について詳細に説明する。なお、以下の説明では、同一又は相当要素には同一符号を付し、重複する説明は省略する。また、「上」、「下」の語は、鉛直方向の上方、下方にそれぞれ対応するものである。
【0020】
[第1実施形態]
まず、第1実施形態に係るレール線形切替えシステムについて説明する。
図1は本実施形態のレール線形切替えシステムが適用されたレールを示す概略平面図であり、
図2は
図1のレール線形切替えシステムにおけるレール締結装置を示す拡大平面図であり、
図3は本実施形態のレール線形切替え方法を説明するためのフロー図である。
【0021】
図1及び
図2に示すように、本実施形態のレール線形切替えシステム100は、高架橋スラブ等の床板2上に設置されたレール3の線形を、第1及び第2ラインL1,L2間で切り替える(変更する)ためのものである。このレール線形切替えシステム100は、例えばレール改良工事等に用いられ、PC(Prestressed Concrete)工事桁10と、PCa(PreCast Concrete)拡幅桁20と、連結機構30と、レール締結装置40と、を備えている。
【0022】
なお、ここでは、第1ラインL1は既設の在来線とされ、第2ラインL2は新設する新線とされている。また、レール3としては、鉄道車両等の車両の進行を誘導する普通レール、軽レール及び熱処理レール等の種々のレールを適用することができる。
【0023】
また、図示する例では、第1及び第2ラインL1,L2間の移動量(ずれ量)ごとに、レール線形切替え領域がレール3の延在方向(以下、「レール延在方向」という)に沿って複数領域に画設されている。具体的には、レール線形切替え領域は、レール3の幅方向(以下、「レール幅方向」という)における第1及び第2ラインL1,L2の移動距離に応じて第1及び第2領域R1,R2に区切られており、より具体的には、第1領域R1と、当該移動距離が第1領域R1よりも大きい第2領域R2と、に区切られている。そして、本実施形態のレール線形切替えシステム100は、第2領域R2のレール3に適用されている。
【0024】
図1及び
図3に示すように、PC工事桁10は、レール締結装置40を介して第1ラインL1のレール3が少なくとも載置される桁部材であり、第1ラインL1のレール3下において該レール3を少なくとも支持する。PC工事桁10は、レール延在方向に沿って長尺な直方体外形を呈しており、その上面10aがレール3を載置するための平面状の載置面とされている。
【0025】
このPC工事桁10は、レール延在方向に沿って並ぶように複数配置されている。また、PC工事桁10は、コンクリート及びCAモルタル(セメントアスファルトモルタル)からなる緩衝材としての台座11を介して、床板2上に設けられている。
【0026】
PCa拡幅桁20は、レール締結装置40を介して第2ラインL2のレール3が載置される拡幅部材であり、第2ラインL2のレール3下にて該レール3を支持する。PCa拡幅桁20は、工場等で予め成型されて形成されたものであり、レール3の延在方向に沿って長尺な直方体外形を呈している。このPCa拡幅桁20は、各PC工事桁10に対し、当該PC工事桁10のレール幅方向の長さが拡張されるようにレール幅方向に隣接して設けられている。
【0027】
具体的には、PCa拡幅桁20は、その側面がPC工事桁10の側面に当接するように配置されている。PCa拡幅桁20の上面20aは、レール3を載置するための載置面とされ、PC工事桁10の上面10aと同じ高さの平面状を成している。また、PCa拡幅桁20のレール延在方向の長さは、PC工事桁10と同じ長さとされている。
【0028】
このPCa拡幅桁20は、コンクリート及びCAモルタルからなる緩衝材としての台座21を介して、床板2上に設けられている。台座21は、その高さが上記台座11と等しくなるように床板2上に敷設されている。なお、PC工事桁10とPCa拡幅桁20とは、これらの打継ぎ部上にレール3が走らないように構成されている。換言すると、PC工事桁10とPCa拡幅桁20との接触部分の上方をレール3が跨がないように、PC工事桁10の幅及びPCa拡幅桁20の幅がそれぞれ設定されている。
【0029】
連結機構30は、PC工事桁10にPCa拡幅桁20を連結するための連結手段であり、第1貫通孔31、第2貫通孔32、及びPC鋼より線33を含んで構成されている。第1貫通孔31は、PC工事桁10においてレール幅方向に沿って形成された貫通孔である。第1貫通孔31は、レール延在方向に所定間隔で並設されている。第2貫通孔32は、PCa拡幅桁20においてレール幅方向に沿って形成された貫通孔である。第2貫通孔31は、第1貫通孔に連通するようにレール延在方向に所定間隔で並設されている。
【0030】
PC鋼より線33は、PC鋼線をより合わせたPC鋼材であり、レール幅方向に沿って延在する棒状部材を構成する。このPC鋼より線33は、第1及び第2貫通孔31,32に挿通されてボルト34で横締めされている。これにより、PCa拡幅桁20は、PC工事桁10に連結されて一体化される。
【0031】
図2に示すように、レール締結装置40は、レール3を締結する締結手段である。つまり、レール締結装置40は、レール3を保持した状態で当該レール3をPC工事桁10に固定する。ここでのレール締結装置40は、第1ラインL1のレール3及び第2ラインL2のレール3を締結可能に構成されている。
【0032】
具体的には、レール締結装置40は、タイプレート(本体板)41、及びレール弾性固定具(固定具)42、六角ボルト(アンカーボルト)43を有している。タイプレート41は、荷重を分散させるための板部材であり、レール幅方向に長尺状の矩形板とされている。タイプレート41は、その上面においてレール幅方向の中央部分にレール3が載置される。このタイプレート41は、レール3とPC工事桁10と間に介在可能で、且つレール3とPCa拡幅桁20との間に介在可能とされている。
【0033】
このタイプレート41には、六角ボルト43を挿通するためのボルト孔41aが一対形成されている。ボルト孔41aは、レール幅方向に沿って延びる長尺状に形成されている。ボルト孔41aの長手方向の長さは、第1及び第2ラインL1,L2間の移動量に対応する所定長とされている。これら一対のボルト孔41aは、レール幅方向におけるレール3の一方側及び他方側で、且つレール延在方向に沿って互いにずれた位置にそれぞれ形成されている。
【0034】
弾性固定具42は、タイプレート41にレール3を弾性的に固定し取り付けるものであり、例えばボルト、ナット、板バネ等により構成されている。この弾性固定具42は、レール幅方向におけるレール3の一方側及び他方側で、且つレール延在方向に沿って互いにずれた位置に一対形成されている。ここでは、弾性固定具42及びボルト孔41aの形成位置は、レール延在方向において互いに反対側(逆側)とされている。なお、弾性固定具42としては、例えばバンドロール型や直結型等の種々のものを用いることができる。
【0035】
六角ボルト43は、PC工事桁10にタイプレート41を固定するためのものである。この六角ボルト43は、ボルト孔41aを介してPC工事桁10に対し埋め込まれるように締着されている。
【0036】
このように構成されたレール締結装置40のタイプレート41は、
図4(a),(b)に示すように、第1ラインL1のレール3の締結時及び第2ラインL2のレール3の締結時のそれぞれにおいて、六角ボルト43がPC工事桁10の同位置に埋め込まれるように、PC工事桁10に対して移動可能となっている。すなわち、六角ボルト43を緩めてタイプレート41をレール3とともにレール幅方向に沿って移動させることができ、PC工事桁10に対する六角ボルト43の固定箇所を変えずに、タイプレート41に固定されたレール3を第1及び第2ラインL1,L2間で切り替えることができる。
【0037】
ちなみに、
図1に示すように、本実施形態において第1領域R1では、PC工事桁10上に、上記レール締結装置40(
図2参照)を介してレール3が載置されている。また、第1及び第2領域R1,R2以外のその他の領域(不図示)では、通常の鋼製工事が常設され、この鋼製工事桁上に一般的なレール締結装置を介してレール3が載置されている。
【0038】
次に、上記レール線形切替えシステム100によるレール線形切替え方法について、詳細に説明する。ここでは、第2領域R2において第1ラインL1から第2ラインL2へレール3の線形を切り替える場合を例示して説明する。
【0039】
図3(a)に示すように、レール線形切替え前では、PCa拡幅桁20は設置されておらず、PC工事桁10上に第1ラインL1のレール3が一般的なレール締結装置を介して締結されている状態にある。このPC工事桁10には、上述したように第1貫通孔31が形成されている。
【0040】
この状態においてレール3の線形を切り替える場合、まず、
図3(b)に示すように、台座11に対しレール幅方向に隣接する台座21を、床板2上に場所打ちによって設ける。なお、「場所打ち」とは、施工現場でその都度打設する工法であり、現場打ちとも称される。
【0041】
続いて、この台座21上にてPC工事桁10に対しレール幅方向に隣接するように、予め製造されたPCa拡幅桁20を設ける。このとき、PC工事桁10の第1貫通孔31とPCa拡幅桁20の第2貫通孔32とを互いに連通させてPCa拡幅桁20を配置する(設置工程)。
【0042】
続いて、
図3(c)に示すように、第1及び第2貫通孔31,32にPC鋼より線33を内挿してボルト34で横締めし、PC工事桁10及びPCa拡幅桁20を互いに連結し固定する(連結工程)。これと共に、例えば工事列車等を用いて、一般的なレール締結装置を上記レール締結装置40へ付け替える(交換工程)。
【0043】
続いて、
図3(d)及び
図4に示すように、六角ボルト43を緩め、レール3が固定された状態のタイプレート41をレール幅方向に沿ってずらし、レール3の線形が第2ラインL2に切り替わるようにレール3を移動させる(移動工程)。続いて、六角ボルト43を締め付けてタイプレート41をPC工事桁10に固定する。これにより、レール3がPCa拡幅桁20上に第2ラインL2として位置された状態で、当該レール3が締結される(締結工程)。これにより、レール線形の切替えが完了する。
【0044】
ちなみに、本実施形態における第1領域R1では、上記交換工程、上記移動工程及び上記締結工程が実施され、第1ラインL1から第2ラインL2へレール3の線形を切り替えられる。
【0045】
以上、本実施形態では、PC工事桁10上及びPCa拡幅桁20上の間でレール幅方向に沿ってレール3を移動させ、レール3の線形を第1及び第2ラインL1,L2間で切り替えることができる。これにより、例えば、第1ラインL1を既設ラインとして昼間に使用しながら、第2ラインL2を新設ラインとして夜間作業時に切り替えて使用することが可能となる。その結果、レール3の線形を切り替える場合において、当該レール3の区間運行を休止する必要性、ひいては、一度に切替え工事を行う必要性を低減でき、要する人手及び労力を低減することができる。
【0046】
従って、本実施形態によれば、レール3の線形の切替えを容易に実現することが可能となる。また、本実施形態のように、軌道の狂いを抑制して保守管理を軽減すべくスラブ等の床板2上にレール3を設置する構造の場合、レール線形切替えに対応し難いことから、かかる効果は顕著となる。また、特に本実施形態では、予め形成されたPCa拡幅桁20を用いることができる。
【0047】
また、本実施形態のレール締結装置40では、タイプレート41及びレール3を互いに固定した状態でともにレール幅方向に沿って移動でき、よって、PC工事桁10に対する六角ボルト43の固定箇所を変えずに、第1及び第2ラインL1,L2のレール3を締結することができる。
【0048】
このとき、タイプレート41が長尺状のボルト孔41aを介して固定されているため、タイプレート41を移動可能な距離は特に限定されず、ボルト孔41aが延在する範囲で所望に設定することができる。よって、第1及び第2ラインL1,L2間の移動距離はレール延在方向の位置ごとに異なるが、1つのレール締結装置40で共用することができる。
【0049】
さらに、ボルト孔41aがレール幅方向におけるレール3の一方側及び他方側で且つレール延在方向に沿って互いにずれた位置に一対形成されていることから、PC工事桁10に対しタイプレート41がレール延在方向に沿って互いにずれた位置にて固定されることとなる。これにより、例えば、レール3を蛇行させるように作用する力や、上下軸回りのモーメント力等がタイプレート41に加わっても、当該力を受け持ってタイプレート41をPC工事桁10に確実に固定することができる。
【0050】
また、本実施形態では、上述したように、第1及び第2貫通孔31,32にPC鋼より線33を内挿することによりPC工事桁10及びPCa拡幅桁20を互いに連結するため、これらPC工事桁10及びPCa拡幅桁20に作用するせん断力に好適に対応することが可能となる。
【0051】
なお、本実施形態では、上下方向に1段となる第1及び第2貫通孔31,32を設けているが、上下方向に複数段となるように第1及び第2貫通孔31,32を設けてもよい。また、PC鋼より線33に代えて、例えばPC鋼棒を用いてもよいし、防錆のためにプレグラウト鋼材やエポキシ被覆PC鋼より線を用いてもよい。また、レール締結装置40では、必要に応じて、ボルト孔41aを閉塞させる構成を採用することができる。
【0052】
[第2実施形態]
次に、第2実施形態に係るレール線形切替えシステムについて説明する。なお、本実施形態の説明では、上記第1実施形態と異なる点について主に説明する。
【0053】
図5は、本実施形態のレール線形切替えシステムによるレール線形切替え方法を説明するためのフロー図である。
図5に示すように、本実施形態のレール線形切替えシステムは、拡幅部材として場所打ちRC部材220及びPCa板221を備えると共に、連結手段として連結機構230を備えている。
【0054】
場所打ちRC(ReinforcedConcrete)部材220は、場所打ちで形成された鉄筋コンクリート部材(第1場所打ちコンクリート部材)であり、レール3の延在方向に沿って長尺状の直方体状を呈している。また、場所打ちRC部材220は、その側面がPC工事桁10の側面に当接するように設けられていると共に、そのレール延在方向の長さがPC工事桁10と同じ長さとされている。この場所打ちRC部材220の上面220aは、PC工事桁10の上面10aよりも低い平面状を成している。
【0055】
PCa板221は、工場等で予め成型されて形成された板状部材(プレキャストコンクリート板)である。PCa板221は、場所打ちRC部材220上に設置され、レール3の延在方向に沿って長尺状を呈している。このPCa板221は、その側面がPC工事桁10の側面に当接するように配置されている。また、PCa板221の上面221aは、レール3を載置するための載置面とされ、PC工事桁10の上面10aと同じ高さの平面状を成している。また、PCa板221のレール延在方向の長さは、PC工事桁10と同じ長さとされている。
【0056】
連結機構230は、PC工事桁10に設けられた第1差し筋(第1鉄筋部)231と、場所打ちRC部材220に設けられた第2差し筋(第2鉄筋部)232と、第1及び第2差し筋231,232を互いに結合する機械式継手(継手部材)233と、を含んで構成されている。
【0057】
第1差し筋231は、PC工事桁10の打設の際に挿入される鉄筋部材である。第1差し筋231は、PC工事桁10内において上下方向に異なる複数位置に、レール幅方向に沿って延設されている。この第1差し筋231は、その場所打ちRC部材220側の端部が露出している。
【0058】
第2差し筋232は、場所打ちRC部材220の打設の際に挿入された鉄筋部材である。第2差し筋232は、場所打ちRC部材220内に延設されていると共に、その両端がPC工事桁10側に露出するようなコの字状に屈曲されている。具体的には、第2差し筋232は、場所打ちRC部材220において、PC工事桁10側の側面からレール幅方向に水平に延び、下方へ折れ曲がるように延びた後、PC工事桁10側に折れ曲がるように延び、そして、PC工事桁10側の該側面に至るまでレール幅方向に水平に延びている。
【0059】
機械式継手233は、第1差し筋231の場所打ちRC部材220側の端部に設けられると共に、第2差し筋232のPC工事桁10側の端部に設けられ、これらを互いに結合する。この機械式継手233は、PC工事桁10及び場所打ちRC部材220を互いに連結して一体化する。なお、機械式継手としては、特に限定されず、あらゆるものを適用することができる。
【0060】
このような本実施形態のレール線形切替えシステムによって第1ラインL1から第2ラインL2へレール3の線形を切り替える場合、
図5(a)に示すように、レール線形切替え前では、場所打ちRC部材220及びPCa板221は設置されておらず、PC工事桁10には、上述したように第1差し筋231及び機械式継手233が設けられている。
【0061】
この状態において、
図5(b)に示すように、台座21上にてPC工事桁10に対しレール幅方向に隣接する場所打ちRC部材220を打設する。このとき、第1差し筋231に第2差し筋232を機械式継手233を介して結合し、これにより、PC工事桁10及び場所打ちRC部材220を互いに連結し固定する。そして、
図5(c)に示すように、この場所打ちRC部材220上にてPC工事桁10に対しレール幅方向に隣接するように、予め製造されたPCa板221を設ける。
【0062】
その後、
図3(d)に示すように、上記第1実施形態と同様に、レール3の線形が第2ラインL2に切り替わるようにレール3を移動させ、レール3がPCa拡幅桁20上に第2ラインL2として位置させた状態で当該レール3を締結する。
【0063】
以上、本実施形態においても、上記効果と同様な効果、すなわち、レール3の線形の切替えを容易に実現するという効果が奏される。また、特に本実施形態では、施工現場で形成した場所打ちRC部材220を拡幅部材として用いることができる。
【0064】
また、本実施形態では、上述したように、レール3の載置面がPCa板221の上面221aにより構成されていることから、レール3の載置面を場所打ちで打設された部材の上面で構成する場合に比べ、載置面を精度よく形成することが可能となる。
【0065】
なお、本実施形態において、レール延在方向(
図5中の紙面直交方向)における第1及び第2差し筋231,232の数は限定されず、複数であってもよい。
【0066】
[第3実施形態]
次に、第3実施形態に係るレール線形切替えシステムについて説明する。なお、本実施形態の説明では、上記第1実施形態と異なる点について主に説明する。
【0067】
図6は、本実施形態のレール線形切替えシステムによるレール線形切替え方法を説明するためのフロー図である。本実施形態のレール線形切替えシステムは、拡幅部材として場所打ちRC部材320を備えると共に、連結手段として連結機構330を備えている。
【0068】
場所打ちRC部材320は、場所打ちで形成された鉄筋コンクリート部材(第2場所打ちコンクリート部材)であり、レール3の延在方向に沿って長尺状の直方体状を呈している。また、場所打ちRC部材320は、その側面がPC工事桁10の側面に当接するように設けられていると共に、そのレール延在方向の長さがPC工事桁10と同じ長さとされている。この場所打ちRC部材320の上面320aは、レール3を載置するための載置面とされ、PC工事桁10の上面10aと同じ高さの平面状を成している。
【0069】
連結機構330は、場所打ちRC部材320に設けられた第3差し筋(第3鉄筋部)331を含んで構成されている。第3差し筋331は、場所打ちRC部材320の打設の際に挿入される鉄筋部材である。第3差し筋331は、場所打ちRC部材320内に設けられていると共に、その下端側の両端が床板2に埋入されるようなコの字状に屈曲されている。具体的には、第3差し筋332は、その一端側が床板2に埋入された状態で上下に延び、場所打ちRC部材220内において上下に延び、水平方向へ折れ曲がるように延びた後、下方へ折れ曲がるように延び、そして、その他端側が床板2に埋入された状態で上下に延びている。
【0070】
このような本実施形態のレール線形切替えシステムによって第1ラインL1から第2ラインL2へレール3の線形を切り替える場合、
図6(a)及び
図6(b)に示すように、PC工事桁10に対しレール幅方向に隣接する場所打ちRC部材320を打設する。このとき、第3差し筋331を設け、これにより、床板2及び場所打ちRC部材320を互いに連結し固定する。
【0071】
その後、
図6(c)に示すように、上記第1実施形態と同様に、レール3の線形が第2ラインL2に切り替わるようレール3を移動させ、レール3を場所打ちRC部材320上に第2ラインL2として位置させた状態で当該レール3を締結する。
【0072】
以上、本実施形態においても、上記効果と同様な効果、すなわち、レール3の線形の切替えを容易に実現するという効果が奏される。また、特に本実施形態では、施工現場で形成した場所打ちRC部材320を拡幅部材として用いることができる。さらに、場所打ちRC部材320が床板2に連結して固定されることから、その設置のための構成(例えば、孔や鉄筋部等)をPC工事桁10に予め設けることが不要となる。
【0073】
なお、本実施形態において、レール延在方向(
図6中の紙面直交方向)における第3差し筋331の数は限定されず、複数であってもよい。
【0074】
以上、本発明の好適な実施形態について説明したが、本発明は上記実施形態に限られるものではなく、各請求項に記載した要旨を変更しない範囲で変形し、又は他のものに適用したものであってもよい。
【0075】
例えば、上記第2実施形態では、拡幅部材としてPCa板221を設けたが、このPCa221を設けない場合もある。この場合、場所打ちRC部材220の上面220aがレール3を載置するための載置面とされ、上面10a,220aが互いに同じ高さとされる。一方、上記第3実施形態では、PCa板221と同様なプレキャストコンクリート板を設けてもよい。
【0076】
また、上記実施形態は、レール幅方向に沿って長尺状のボルト孔41aが形成されたタイプレート41をレール締結装置(締結手段)として備えているが、これに限定されるものではない。例えば、このボルト孔41aに代えて、第1ラインL1のレール3の締結時にタイプレート41をPC工事桁10に固定するためのボルト孔と、第2ラインL2のレール3の締結時にタイプレート41をPC工事桁10に固定するためのボルト孔と、をタイプレート41にそれぞれ形成してもよい。
【0077】
具体的には、第1及び第2ラインL1,L2間の移動距離をレール延在方向の位置ごとに予め求め、この移動距離に応じた所定長だけレール幅方向に離間する複数のボルト孔をタイプレート41に形成してもよい。この場合、表裏を反転してタイプレート41を用いること(つまり、タイプレート41をひっくり返して設置すること)を考慮して、実現することもできる。このように、締結手段は、第1及び第2ラインL1,L2のレール3を締結可能であればよく、好ましいとして、第1及び第2ラインL1,L2のレール3の締結時それぞれで六角ボルトト43がPC工事桁10の同位置に埋め込まれるよう構成されていればよい。
【0078】
また、レール幅方向における拡幅部材の長さ(寸法)は、限定されるものではなく、例えば
図1に示すように、第1及び第2ラインL1,L2間の移動距離に応じて適宜設置することができる。