(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記支援要求手段により前記支援要求が送信され、前記遅延作業ステーションの作業者に対して作業支援が行われた後に、前記遅延作業ステーションに配置された作業者の作業の進捗状況に基づいて判定される当該作業者の前記習熟度情報の更新登録を受け付ける習熟度更新手段をさらに備える、
請求項3に記載の作業者支援システム。
【発明を実施するための形態】
【0017】
以下、本発明の好ましい実施の形態を、図面を参照しながら説明する。
【0018】
[作業者支援システムの構成]
図1は、本実施の形態に係る作業者支援システム1の全体構成を示す模式図である。本作業者支援システム1は、複数の作業ステーションWS,WS,…を有する生産ラインPL,PLに配置される作業者の作業を支援するために用いられるものである。作業者支援システム1は、インターネット又はイントラネット等の情報ネットワークを使用したクライアントサーバシステムであり、作業者の作業を支援するための作業者支援サーバ2と、生産ラインPL,PLの各ステーションWS,WS,…に配置される作業者が使用する作業者用クライアント3,3,…とを備えている。作業者支援サーバ2と作業者用クライアント3,3,…との間は、情報ネットワークNTWによりデータ通信可能に接続されている。
【0019】
<作業者支援サーバ2の構成>
図2は、本実施の形態に係る作業者支援サーバ2の構成を示すブロック図である。作業者支援サーバ2は、コンピュータ2aによって実現される。
図2に示すように、コンピュータ2aは、本体21と、画像表示部22と、入力部23とを備えている。本体21は、CPU21a、ROM21b、RAM21c、ハードディスク21d、読出装置21e、入出力インタフェース21f、通信インタフェース21g、及び画像出力インタフェース21hを備えており、これらのCPU21a、ROM21b、RAM21c、ハードディスク21d、読出装置21e、入出力インタフェース21f、通信インタフェース21g、及び画像出力インタフェース21hは、バス21jによって接続されている。
【0020】
CPU21aは、RAM21cにロードされたコンピュータプログラムを実行することができる。作業者支援システム1の作業者支援サーバ用のコンピュータプログラム24aを当該CPU21aが実行することにより、コンピュータ2aが作業者支援サーバ2として機能する。
【0021】
ROM21bは、マスクROM、PROM(Programmable ROM)、EPROM(Erasable PROM)、又はEEPROM(Electrically Erasable PROM)等によって構成されており、CPU21aにより実行されるコンピュータプログラム及びこれに用いるデータ等が記録されている。
【0022】
RAM21cは、SRAM又はDRAM等によって構成されている。RAM21cは、ハードディスク21dに記録されている種々のコンピュータプログラムの読み出しに用いられる。また、RAM21cは、CPU21aがコンピュータプログラムを実行するときに、CPU21aの作業領域として利用される。
【0023】
ハードディスク21dは、オペレーティングシステム及びアプリケーションプログラム等、CPU21aに実行させるための種々のコンピュータプログラム及び当該コンピュータプログラムの実行に用いられるデータがインストールされている。作業者支援サーバ用のコンピュータプログラム24aも、このハードディスク21dにインストールされている。
【0024】
読出装置21eは、フレキシブルディスクドライブ、CD−ROMドライブ、又はDVD−ROMドライブ等によって構成されており、可搬型記録媒体24に記録されたコンピュータプログラム又はデータを読み出すことができる。この可搬型記録媒体24には、コンピュータを作業者支援サーバ2として機能させるためのコンピュータプログラム24aが格納されており、コンピュータ2aが当該可搬型記録媒体24からコンピュータプログラム24aを読み出し、当該コンピュータプログラム24aをハードディスク21dにインストールすることができる。
【0025】
なお、コンピュータプログラム24aは、可搬型記録媒体24によって提供されるのみならず、電気通信回線(有線、無線を問わない)によってコンピュータ2aと通信可能に接続された外部の機器から当該電気通信回線を通じて提供することも可能である。例えば、コンピュータプログラム24aがインターネット上のサーバコンピュータのハードディスク内に格納されており、このサーバコンピュータにコンピュータ2aがアクセスして、当該コンピュータプログラム24aをダウンロードし、これをハードディスク21dにインストールすることも可能である。
【0026】
また、ハードディスク21dには、例えば米マイクロソフト社が製造販売するWindows(登録商標)等のマルチタスクオペレーティングシステムがインストールされている。以下の説明において、本実施の形態に係るコンピュータプログラム24aは当該オペレーティングシステム上で動作するものとしている。
【0027】
さらにハードディスク21dには、機種情報テーブル201と、工程情報テーブル202と、作業者情報テーブル203と、スキル情報テーブル204と、資料情報テーブル205と、作業実績情報テーブル206とが格納されている。各テーブルの詳細については後述する。
【0028】
入出力インタフェース21fは、例えばUSB、IEEE1394、又はRS-232C等のシリアルインタフェース、SCSI、IDE、又は IEEE1284等のパラレルインタフェース、及びD/A変換器、A/D変換器等からなるアナログインタフェース等から構成されている。入出力インタフェース21fには、キーボード及びマウスからなる入力部23が接続されており、ユーザが当該入力部23を使用することにより、コンピュータ2aにデータを入力することが可能である。
【0029】
通信インタフェース21gは、Ethernet(登録商標)インタフェースである。通信インタフェース21gは、情報ネットワークNTWを介して、作業者用クライアント3,3,…に接続されている。コンピュータ2aは、通信インタフェース21gにより、所定の通信プロトコルを使用して情報ネットワークNTWに接続された作業者用クライアント3,3,…との間でデータの送受信を行う。
【0030】
画像出力インタフェース21hは、LCD又はCRT等で構成された画像表示部22に接続されており、CPU21aから与えられた画像データに応じた映像信号を画像表示部22に出力する。画像表示部22は、入力された映像信号に従って、画像(画面)を表示ずる。
【0031】
次に、上述した機種情報テーブル201、工程情報テーブル202、作業者情報テーブル203、スキル情報テーブル204、資料情報テーブル205、及び作業実績情報テーブル206の各テーブルの詳細について、図を参照しながら説明する。
【0032】
(a)機種情報テーブル201
機種情報テーブル201は、生産ラインにおいて生産される機種に係る情報が登録されるテーブルである。
図3は、機種情報テーブル201の一例を示す模式図である。
図3に示すように、機種情報テーブル201は、機種を識別するための機種ID201aと、機種の名称を示す機種名201bと、機種を製造するために各作業ステーションで行われる工程を識別するための第1工程ID201c,第2工程ID201d,…とを要素として含んでいる。ここで、各工程ID201c,201d,…には、各機種を生産するために作業ステーションに割り振られる工程が作業順に登録される。具体的には、機種IDが“A01”の機種においては、第1工程として工程ID“P001”で示される工程が、第2工程として工程ID“P002”で示される工程が登録されている。この場合、機種ID“A01”の機種は、生産ライン上の1番目の作業ステーションでは工程ID“P001”の工程が、2番目の作業ステーションでは工程ID“P002”の工程が順次行われることにより生産される。ここで、各工程ID201c,201d,…に登録される工程IDは、次に説明する工程情報テーブル202によって定義される。なお、機種情報テーブル201に格納される情報は、コンピュータプログラム24aがハードディスク21dにインストールされる際に自動的に登録されてもよく、また、マニュアルで登録されてもよい。
【0033】
(b)工程情報テーブル202
工程情報テーブル202は、作業ステーション毎に割り振られる工程の作業内容を示す情報が登録されるテーブルである。
図4は、工程情報テーブル202の一例を示す模式図である。
図4に示すように、工程情報テーブル202は、工程を識別するための工程ID202aと、各工程における作業項目の作業の順番を示す作業項目ナンバー202bと、作業項目の名称を示す作業項目名202cと、作業項目毎に作業が適切に行われたか否かを判定するための判定基準202dと、作業項目毎の標準作業時間を示す標準作業時間202eと、作業工程毎の作業時における注意点等を示す備考202fとを要素として含んでいる。
図4に示す例では、工程ID“P001”の工程の作業項目として4つの項目が登録されており、作業項目ナンバー“1”には作業項目名“圧力センサ取付”の作業項目が、作業項目ナンバー“2”には作業項目名“温度センサ取付”の作業項目が、作業項目ナンバー“3”には作業項目名“配管取付”の作業項目が、作業項目ナンバー“4”には作業項目名“コントローラソフト設定”の作業項目が、それぞれ登録されている。工程ID“P001”の工程は、これら4つの作業項目で構成されており、作業項目ナンバー“1”の作業項目から順に作業が行われる。判定基準202dには“吐出圧が30MPa以下”又は“v3.1のソフトに設定”のような実際の作業実績を示す数値等に基づく判定基準、または、“締め忘れ無きこと”のような適切な設定が行われたか否かの確認を促す判定基準等が登録される。これらの判定基準に基づいて、作業が適切に実施されたか否かが作業項目毎に判定される。なお、工程情報テーブル202に格納される情報は、コンピュータプログラム24aがハードディスク21dにインストールされる際に自動的に登録されてもよく、また、マニュアルで登録されてもよい。
【0034】
(c)作業者情報テーブル203
作業者情報テーブル203は、生産ラインの各作業ステーションに配置され、各種の作業を行う作業者の情報が登録されるテーブルである。
図5は、作業者情報テーブル203の一例を示す模式図である。
図5に示すように、作業者情報テーブル203は、作業者を識別するための作業者ID203aと、作業者の名前を示す作業者名203bと、作業者毎に設定されたパスワード203cとを要素として含んでいる。なお、作業者情報テーブル203に格納される情報は、コンピュータプログラム24aがハードディスク21dにインストールされる際に自動的に登録されてもよく、また、マニュアルで登録されてもよい。
【0035】
(d)スキル情報テーブル204
スキル情報テーブル204は、作業者の工程毎のスキルを示す情報が登録されるテーブルである。
図6は、スキル情報テーブル204の一例を示す模式図である。
図6に示すように、スキル情報テーブル204は、作業者を識別するための作業者ID204aと、工程を識別するための工程ID204bと、作業者のスキルを示すスキル204cとを要素として含んでいる。ここで、スキル204cには作業者のスキルに応じて“若手”、“中堅”、及び“熟練”の何れかの値が登録される。ここで、“若手”が最も低いスキルを示し、“熟練”が最も高いスキルを示している。なお、後述するように、本実施の形態ではスキルの平均値の算出が行われる。このような計算を行うために、スキル204cには、“若手”、“中堅”、及び“熟練”に対応する数値(例えば、“1”、“10”、及び“20”等)が併せて登録されている。勿論、“1”、“10”、及び“20”等の数値のみがスキル204cに登録されていてもよく、また、“若手”、“中堅”、及び“熟練”の代わりに“A”、“B”、及び“C”等の別の表記が登録されていてもよい。なお、スキル情報テーブル204に格納される情報は、工程情報テーブル202及び作業者情報テーブル203が登録される際に自動的に登録されてもよく、マニュアルで登録されてもよい。このスキル情報テーブル204に登録されたスキル情報は、後述するスキル更新処理により更新される。
【0036】
(e)資料情報テーブル205
資料情報テーブル205は、各機種の各工程において実際の作業の参考となる資料を示す情報が登録されるテーブルである。
図7は、資料情報テーブル205の一例を示す模式図である。
図7に示すように、資料情報テーブル205は、資料を識別するための資料ID205aと、資料の名称を示す資料名205bと、機種を識別するための機種ID205cと、工程を識別するための工程ID205dと、資料を参照するために必要最低限のスキルを示す参照スキル205eと、資料にアクセスするためのアドレス206fとを要素として含んでいる。ここで、アドレス206fには、資料にアクセスするためのアドレスとして、URL(Uniform Resource Locator)、URI(Uniform Resource Identifier)又はローカルパス等が登録される。なお、資料情報テーブル205に格納される情報は、機種情報テーブル201及び工程情報テーブル202と共に自動的に登録されてもよい。また、後述する資料登録処理によって新たな情報を登録することもできる。
【0037】
(f)作業実績情報テーブル206
作業実績情報テーブル206は、各作業者の作業項目毎の作業実績を示す作業実績情報が登録されるテーブルである。
図8は、作業実績情報テーブルの一例を示す模式図である。
図8に示すように、作業実績情報テーブル206は、作業者を識別するための作業者ID206aと、工程を識別するための工程ID206bと、作業項目を識別するための作業項目ナンバー206cと、過去に作業した際の実作業時間が格納される実作業時間206dと、作業実績が登録された日時を示す作業日時206eを要素として含んでいる。この作業実績情報テーブル206への作業実績を示す情報の登録は、後述する作業実績登録処理によって行われる。
【0038】
<作業者用クライアント3の構成>
図9は、本実施の形態に係る作業者用クライアント3の構成を示すブロック図である。作業者用クライアント3は、タッチパネル式の情報端末装置3aによって実現され、生産ラインの各作業ステーションに設けられる。
図9に示すように、情報端末装置3aは、CPU31a、ROM31b、RAM31c、ハードディスク31d、入出力部31f、及び通信インタフェース31gを備えており、これらのCPU31a、ROM31b、RAM31c、ハードディスク31d、入出力部31f、及び通信インタフェース31gは、バス31jによって接続されている。
【0039】
ハードディスク31dは、オペレーティングシステム及びアプリケーションプログラム等、CPU31aに実行させるための種々のコンピュータプログラム及び当該コンピュータプログラムの実行に用いられるデータがインストールされている。作業者用クライアント用のコンピュータプログラム34aも、このハードディスク31dにインストールされている。
【0040】
ここで、コンピュータプログラム34aは、電気通信回線(有線、無線を問わない)によって情報端末装置3aと通信可能に接続された外部の機器から当該電気通信回線を通じて提供される。例えば、コンピュータプログラム34aがインターネット上のサーバコンピュータのハードディスク内に格納されており、このサーバコンピュータに情報端末装置3aがアクセスして、当該コンピュータプログラム34aをダウンロードし、これをハードディスク31dにインストールする。なお、この他、コンピュータプログラム34aが格納されたUSBメモリ等の可搬型記録デバイスからコンピュータプログラム34aを読み出し、当該コンピュータプログラム34aをハードディスク31dにインストールすることも可能である。
【0041】
また、ハードディスク31dには、例えば米マイクロソフト社が製造販売するWindows(登録商標)等のマルチタスクオペレーティングシステムがインストールされている。以下の説明において、本実施の形態に係るコンピュータプログラム34aは当該オペレーティングシステム上で動作するものとしている。
【0042】
入出力部31fは、抵抗膜方式、表面弾性波方式、電磁誘導方式、又は静電容量方式等のタッチパネルによって構成されており、CPU31aから与えられる映像信号に従って、画像(画面)を出力する。また、画像等が表示された入出力部31fをタッチパネル用スタイラス又は指等で触れ、操作することにより、コンピュータ3aにデータを入力することが可能である。
【0043】
なお、作業者用クライアント3のその他の構成は、上述した作業者支援サーバの構成と同様であるので、その説明を省略する。
【0044】
[作業者支援システム1の動作]
次に、上述したように構成された作業者支援システム1の動作について、フローチャート等を参照しながら説明する。なお、本実施の形態の作業者支援システム1にて実行される主な処理として、(1)作業実績情報テーブル206に作業実績情報を登録するための作業実績登録処理、(2)作業が遅れている作業者を特定し、他の作業者に対して支援要求を送信する支援要求処理、(3)作業が遅れている作業者に対して作業支援を行う遅延作業者支援処理、(4)スキル情報テーブル204に登録されたスキル情報を更新するためのスキル更新処理、(5)資料情報テーブル205に資料情報を登録するための資料登録処理がある。以下では、これらの各処理について説明する。
【0045】
(1)作業実績登録処理
まず、各作業ステーションにおける作業項目毎の作業時間を含む作業実績を登録する作業実績登録処理について説明する。なお、この作業実績登録処理は、各作業ステーションWS,WS,…のそれぞれに配置された作業者用クライアント3,3,…毎に並列で実行される。
各作業者は、作業ステーションで作業を開始する前に、各作業ステーションWSに設置されている作業者用クライアント3のコンピュータプログラム34aを起動する。当該コンピュータプログラム34aが起動すると、作業者用クライアント3は、入出力部31fにログイン画面を表示する。
図10は、ログイン画面D1の画面例を示す図である。
図10に示すように、ログイン画面D1は、日付、作業用クライアント3が設置されている生産ライン及び作業ステーションを示す情報、並びに生産ラインにおけるその日の工程表T101が表示される。ここで表示される工程表T101は、顧客からの受注に基づいて生成される。なお、作業者支援システム1は、顧客からの受注情報を格納する受注情報データベースを備えており、工程表T101は、受注情報データベースに格納される受注情報に基づいて自動的に生成される。この工程表T101は、作業者支援システム1内で自動的に生成される他、予め他のコンピュータ等で工程表を生成し、当該工程表を読出装置21e等より読み込んでもよい。各作業ステーションWSのその日の作業内容は、この工程表T101に基づいて決定される。このため、作業者は、ログイン前にこの工程表T101を参照することで、生産する機種及びその生産順等のその日の作業内容を確認することができる。
【0046】
また、ログイン画面D1には、作業者の作業者IDを入力する作業者ID入力欄F101、作業者のパスワードを入力するパスワード入力欄F102、及びログインボタンB101が設けられている。作業者は、ログイン画面D1が表示されると、入出力部31fを操作し、作業者ID入力欄F101に作業者IDを、パスワード入力欄F102にパスワードを入力し、ログインボタンB101を押下する。ログインボタンB101が押下されると、CPU31aは作業者ID入力欄F101に入力された作業者ID及びパスワード入力欄F102に入力されたパスワードを作業者支援サーバ2に対して送信し、作業者のログイン認証を要求する。以下、このログイン認証に成功したものとして説明を進める。
【0047】
作業者が作業者用クライアント3より、作業者支援システム1にログインすると、作業者用クライアント3の入出力部31fに作業チェックシート画面が表示される。
図11は作業チェックシート画面D2の画面例を示す図である。作業チェックシート画面D2には、生産機種情報表示部L201と、生産ライン情報表示部L202と、作業ステーション進捗情報表示部L203と、自ステーション進捗情報表示部L204とが設けられている。ここで、生産機種情報表示部L201には、現在の日時、作業用クライアント3が設置されている生産ライン及び作業ステーションを示す情報、作業者を示す情報、並びに現在作業中の機種を示す情報が表示される。
【0048】
生産ライン情報表示部L202には、各生産ラインの稼働状況が表示される。生産ライン情報表示部L202に表示される各生産ラインの情報は入出力部31fを操作することにより選択可能であって、ここで選択された生産ラインの各作業ステーションの情報が作業ステーション進捗情報表示部L203に表示される。
【0049】
作業ステーション進捗情報表示部L203は、作業ステーションWS,WS,…毎の進捗状況を示す情報が表示される部分であって、各作業ステーションWSにおける作業余裕時間が表示される。この作業余裕時間は、各工程の標準作業時間と各工程における作業者の過去の作業実績時間との差を示す時間であって、本実施の形態では、作業者の作業実績時間の平均値に基づいて算出される平均値ベース余裕時間、作業者の作業実績時間の最短値に基づいて算出される最短値ベース余裕時間、作業者の作業実績時間の最長値に基づいて算出される最長値ベース余裕時間の3種類の作業余裕時間がある。これらの作業余裕時間の算出方法の詳細については後述する。ここで、作業ステーション進捗情報表示部L203においては、各作業余裕時間は秒単位で表示され、作業余裕時間を示す値が正の値である場合は数字の前に白三角が、作業余裕時間を示す値が負の値である場合は数字の前に黒三角がそれぞれ表示される。なお、各作業余裕時間が正の値の場合は当該作業者が標準と比べて早く作業を行っていることを意味し、負の値の場合は標準と比べて遅く作業を行っていることを意味していることになる。
【0050】
自ステーション進捗情報表示部L204は、作業者クライアント3が設置されている作業ステーションWSにおける作業者の進捗状況を示す情報が表示される部分であって、作業者が現在作業している作業項目を示す作業項目ナンバー、現在作業している作業項目の作業に着手してからの経過時間を示す実作業時間、現在作業している作業項目の残り作業時間を示す残り作業時間、現在作業している工程の標準作業時間を示す標準作業時間、完了した作業項目の実作業時間の累積値を示す累積実作業時間、完了した作業項目における標準作業時間と実作業時間との差の累積値を示す累積時間差、及び作業余裕時間が表示される。ここで、実作業時間、残り作業時間、標準作業時間、累積実作業時間、累積時間差、及び作業余裕時間は秒単位で表示される。また、残り作業時間、累積時間差、及び作業余裕時間においては、それぞれの値が正の値である場合、数字の前に白三角が、負の値である場合、数字の前に黒三角がそれぞれ表示される。ここで、残り作業時間が正の値の場合は現在作業している作業項目について現時点が標準作業時間内であることを意味し、負の値の場合は現時点で標準作業時間を超過していることを意味していることになる。また、累積時間差が正の値の場合は完了した作業項目について標準作業時間の範囲内で作業が完了していることを意味し、負の値の場合は当該作業項目について標準作業時間を超過して作業が完了していることを意味している。なお、ここでは正負を白三角及び黒三角で表しているが、その他の記号(例えば、“+”及び“−”、並びに上向きの矢印及び下向きの矢印等)で表すようにしてもよい。
【0051】
また、作業チェックシート画面D2には、工程毎の作業項目が一覧表示される作業実績登録部T201が設けられている。この作業実績登録部T201には、作業項目の順番を示す作業項目ナンバーF201、作業項目名が表示される作業項目名F202、作業項目毎の作業時における注意点等が表示される備考F203、作業が適切であったか否かを判定するための基準が表示される判定基準F204、作業が適切であったか否かを判定するための作業実績を示す値を入力するための作業実績値入力欄F205、作業項目毎の標準作業時間が表示される標準作業時間F206、完了した作業項目の実作業時間が表示される実作業時間F207、及び作業項目毎の作業者の過去の作業実績が表示される作業実績時間F208が表示される。ここで、作業項目ナンバーF201、作業項目F202、備考F203、判定基準F204、及び標準作業時間F206には、工程情報テーブル202の作業項目ナンバー202b、作業項目名202c、備考202f、判定基準202d、及び標準作業時間202eそれぞれに格納されている値が表示される。作業実績値入力欄F205には、工程情報テーブル202の判定基準202dに格納されている値に基づいて、チェックボックス、数値入力ボックス、及びプルダウンメニューの何れかが表示される。例えば、“吐出圧が30MPa以下”等ように数値が判定基準である場合、作業実績入力欄F205には数値入力ボックスが表示される。判定基準が“締め忘れ無きこと”等のように確認を促すものであった場合、作業実績入力欄F205にはチェックボックスが表示される。また、判定基準が“v3.1のソフトに設定”等のように複数の選択肢より適切なものを選ぶものであった場合、作業実績入力欄F205には複数の選択肢を選択可能なようにプルダウンメニューが表示される。なお、本実施の形態では、作業実績の入力を受け付けた作業実績入力欄F205は作業実績の再入力を受け付けない。また、まだ作業実績の入力を受け付けていない作業項目のうち、作業項目ナンバーF201が最も小さな作業項目のみが作業実績の入力を受け付ける。作業実績時間F208には、作業実績情報テーブル206に格納されている作業者の作業実績に基づいて、作業項目毎の作業者の平均作業時間、最短作業時間、最長作業時間が表示される。
【0052】
この他、作業チェックシート画面D2には、スキル更新処理を開始するためのスキル更新ボタンB201と、資料登録処理を開始するための資料登録ボタンB202と、遅延作業者支援処理を開始するための作業支援ボタンB203と、作業時間のカウントを開始するための作業開始ボタンB204と、作業時間のカウントを一時停止するための休憩ボタンB205とが設けられている。
【0053】
入出力部31fに作業チェックシート画面D2が表示されると、作業者は、入出力部31fを操作し、作業チェックシート画面D2の作業開始ボタンB204を押下する。作業開始ボタンB204が押下されると、作業実績登録処理が開始される。
図12は、本実施の形態に係る作業者支援システム1で実行される作業実績登録処理の手順を示すフローチャートである。作業実績登録処理が開始されると、CPU31aは作業時間のカウントを開始し(ステップS101)、作業実績登録部T201の作業実績入力欄F205への作業実績値の入力を受け付ける(ステップS102)。ここでカウントされる作業時間は、自ステーション進捗情報表示部L204に実作業時間として表示される。また、作業項目毎に設定された標準作業時間より、カウントされる作業時間を引いた値が自ステーション進捗情報表示部L204に残り作業時間として表示される。
【0054】
作業者は、作業開始ボタンを押下した後、作業実績登録部T201の作業項目F202、備考F203、及び判定基準F204を参照しながら作業を進めていく。作業者は、作業実績登録部T201に表示される各作業項目の作業が完了する毎に、入出力部31fを操作し、作業実績入力欄F205に作業が完了した作業項目の作業実績を入力する。ここで、作業実績入力欄F205への作業実績値の入力を受け付けると、CPU31aは、判定基準と入力された作業実績値とを比較し、作業が適切に終了したか否かを判定する(ステップS103)。例えば、判定基準が“吐出温度が80℃以下”のような場合、作業実績値に入力された値が80以下であるか否かを判定し、作業実績値に入力された値が80以下であった場合、作業が適切に終了したと判断される。他方、作業実績値に入力された値が80以下でなかった場合、作業が適切ではないと判断される。また、判定基準が“v3.1のソフトに設定”のような場合、作業実績値で選択された値が、予め機種毎に定められるソフトウェアのバージョンと一致しているか否かを判定し、これらが一致している場合、作業が適切に終了したと判断される。他方、一致しなかった場合、作業が適切ではないと判断される。なお、判定基準が“締め忘れ無きこと”のような場合については、作業実績入力欄F205のチェックボックスにチェックが入れられた時点で、作業が適切に終了したと判断される。
【0055】
この判定の結果、作業が適切でないと判断された場合(ステップS103でNO)、CPU31aは、入出力部31fに作業が適切でないことを示すエラー画面を表示し(ステップS104)、実績入力欄に入力された値をリセットした後(ステップS105)、ステップS102に戻り、作業実績の登録受付を再開する。他方、作業が適切であると判断された場合(ステップS103でYES)、CPU31aは、作業実績が登録された時点での作業時間を実作業時間として取得する(ステップS106)。次に、CPU31aは、作業している作業者を示す作業者ID、作業中の作業項目を示す工程ID及び作業項目ナンバー、並びに実作業時間を含む作業実績情報を作業者支援サーバ2に送信する(ステップS107)。
【0056】
作業実績情報を作業者支援サーバ2が受信すると(ステップS201)、CPU21aは、作業実績情報に含まれる作業者ID、工程ID、作業項目ナンバー、及び実作業時間を、作業実績情報を受信した日時と共に作業実績情報テーブル207に記録する(ステップS202)。次に、CPU21aは、受信した作業実績情報に基づいて、累積作業時間を算出する(ステップS203)。具体的な算出方法を以下に説明する。まず、CPU21aは、作業実績情報に含まれる作業者ID及び工程IDに基づいて、作業実績情報テーブル206より当該作業者IDで識別される作業者の当該工程IDで識別される工程に関する直近の作業実績を特定する。次に、CPU21aは、特定された作業実績に含まれる実作業時間と、作業実績情報に含まれる作業時間とを合算することで累積作業時間を算出する。ここで、作業実績情報に含まれる作業項目ナンバーが“1”である場合は、作業実績情報テーブル206からの直近の作業実績の特定を行わず、作業実績情報に含まれる作業時間を累積作業時間とする。
【0057】
次に、CPU21aは、ステップS203で算出された累積作業時間を用いて累積時間差を算出する(ステップS204)。具体的な算出方法を以下に説明する。まず、CPU21aは、作業実績情報に含まれる工程ID及び作業項目ナンバーに基づいて、工程情報テーブル202より、当該工程IDで識別される工程の当該作業項目ナンバーで識別される作業項目までの作業項目毎の標準作業時間を特定する。次に、CPU21aは、特定された標準作業時間を合算し、この合算した値より累積作業時間を引くことで累積時間差を算出する。
【0058】
さらに、CPU21aは、ステップS204で算出された累積時間差を用いて作業余裕時間を算出する(ステップS205)。具体的な算出方法を以下に説明する。まず、CPU21aは、作業実績情報に含まれる工程ID及び作業項目ナンバーに基づいて、工程情報テーブル202より、当該工程IDで識別される工程の残りの作業項目の標準作業時間を特定する。次に、CPU21aは、作業実績情報に含まれる作業者ID、工程ID、及び作業項目ナンバーに基づいて、作業者実績情報テーブル206より、当該作業者IDで識別される作業者の当該工程IDで識別される工程の残りの作業項目についての作業実績を全て抽出する。次に、CPU21aは、抽出された作業実績に基づいて、作業項目毎の実作業時間の平均値、最長値、及び最短値を算出する。これらの値が算出されると、CPU21aは、特定された標準作業時間の合算値より実作業時間の平均値の合算値を引いた値と累積時間差とを合算した値を平均値ベース余裕時間、標準時間の合算値より実作業時間の最長値の合算値を引いた値と累積時間差とを合算した値を最長値ベース余裕時間、標準時間の合算値より実作業時間の最短値の合算値を引いた値を最短値ベース余裕時間としてそれぞれ算出する。
【0059】
これらを算出した後、CPU21aは、作業実績情報に含まれる作業者ID及び工程IDと算出された作業余裕時間とをRAM21cに一時記憶する(ステップS206)。ここで、既に同一の作業者IDについて、工程ID及び作業余裕時間が記憶されていた場合、新たな工程ID及び作業余裕時間を上書き記憶する。次に、CPU21aは、累積作業時間、累積時間差、及び作業余裕時間を含む作業時間情報を作業者用クライアント3に送信する(ステップS207)。作業時間情報を作業者用クライアント3が受信すると(ステップS108)、この作業時間情報に基づいて、自ステーション進捗情報表示部L204に表示されている累積作業時間、累積時間差、及び作業余裕時間を更新する(ステップS109)。その後、CPU31aは、工程表に基づいて、まだ作業が残っているか否かを判定する(ステップS110)。この判定の結果、まだ作業が残っていると判断された場合(ステップS110でYES)、作業時間のカウントをリセット(ステップS111)してステップS101に戻り、作業時間のカウントを開始した後、ステップS102以降の処理を繰り返す。他方、全ての作業が終了し、もう作業が残っていないと判断された場合(ステップS110でNO)、作業実績登録処理を終了する。
【0060】
なお、本実施の形態では、作業実績登録処理が実行されている間に、作業者が入出力部31fを操作し、休憩ボタンB205を押下すると、CPU31aは休憩ボタンB205が押下された時点での作業時間を保持し、作業時間のカウントを一時停止する。さらに、作業時間のカウントが一時停止している場合に、作業開始ボタンB204が押下されると、CPU31aは作業時間のカウントを再開する。
【0061】
(2)支援要求処理
次に、支援要求処理について説明する。この支援要求処理は、上述した実績登録処理において、作業実績情報が作業実績情報テーブルに登録され、作業余裕時間が算出される度に自動的に開始される。したがって、支援要求処理は、実績登録処理と同様に、各作業ステーションWS,WS,…のそれぞれに配置された作業者用クライアント3,3,…毎に並列で実行されることになる。この支援要求処理の具体的な処理手順等を以下に説明する。
【0062】
図13は、本実施の形態に係る作業者支援システム1で実行される支援要求処理の手順を示すフローチャートである。支援要求処理が開始されると、CPU21aは、上述した実績登録処理において算出された作業余裕時間に基づいて、作業が遅れているか否かを判定する(ステップS301)。より詳細について説明すると、CPU21aは、ステップS205で算出された平均値ベース余裕時間、最短値ベース余裕時間、及び最長値ベース余裕時間の値が0以上であるか否かを判定する。この結果、平均値ベース余裕時間、最短値ベース余裕時間、及び最長値ベース余裕時間の何れの値も0以上であった場合、作業が遅れていないと判断される。他方、平均値ベース余裕時間、最短値ベース余裕時間、及び最長値ベース余裕時間の少なくとも一つの値が0未満であった場合、作業が遅れていると判断される。
【0063】
この判定の結果、作業が遅れていないと判断された場合(ステップS301でNO)、支援要求処理は終了する。他方、作業が遅れていると判断された場合(ステップS301でYES)、CPU21aは、作業実績登録処理において受信した作業実績情報が送信された作業ステーション及び当該作業ステーションが配置されている生産ラインを特定し、当該生産ラインの他の作業ステーションで作業する作業者を特定する(ステップS302)。次に、CPU21aは、ステップS302で特定された作業者の各工程における全てのスキル情報をスキル情報テーブル204より取得する(ステップS303)。ステップS303で取得された作業者のスキル情報に基づいて、CPU21aは、スキルの平均値が最も高い作業者を抽出する(ステップS304)。その後、CPU21aは、ステップS304において抽出された作業者が作業している作業ステーションの作業者用クライアント3に対して支援要求を送信し(ステップS305)、処理を終了する。ここで、支援要求を受信した作業者用クライアント3は、入出力部31fより作業遅延が発生している旨を知らせる警告を出力する。ここで、警告の出力方法としては、警告画面を表示する、ブザー音等の音声を出力する、又はこれらの組み合わせ等の種々の方法が考えられる。
【0064】
このように、本実施の形態では、各工程の作業項目毎に実際の作業時間を計測し、当該作業時間に基づいて作業遅延を判定し、作業遅延が発生していることを示す情報を送信するように構成されている。これにより、作業遅延を迅速に発見することができ、大幅な作業遅延を防止することができる。また、本実施の形態では、これらの作業時間等の各作業ステーションWS,WS,…の情報を、作業者用クライアント3を介して作業ステーションWS,WS,…同士で共有することができるように構成されている。これにより、作業が遅れている作業者を各作業者が確認及び把握することができ、作業が遅れている作業者に対する作業支援を促進することができる。
【0065】
(3)遅延作業者支援処理
次に、上述した支援要求処理で送信される支援要求を作業者用クライアント3が受信した後に実行される遅延作業者支援処理について説明する。なお、以下では、作業が遅れており、支援を受ける必要がある作業者を「遅延作業者」、上述した支援要求処理により支援要求を受け、遅延作業者支援処理の実行を指示し、遅延作業者に対して支援を行う作業者を「支援作業者」、支援作業者より遅延作業者の作業補助を行うように指示された作業者を「補助作業者」とする。本実施の形態の遅延作業者支援処理は、(3−1)補助作業者を選定し、当該補助作業者に対して作業補助依頼を送信する作業補助依頼送信処理と、(3−2)遅延作業者に対して作業の参考となる資料を示す情報を送信する資料送信処理とに分けられる。
【0066】
まず、支援要求処理により支援要求を受けた支援作業者は、作業者用クライアント3の入出力部31fを操作し、作業チェックシート画面D2の作業支援ボタンB203を押下することで、画面表示を作業支援画面に切り替える。
図14A及び
図14Bは、作業支援画面の一例を示す図である。作業支援画面には、支援方法選択部D3と詳細選択部D4,D5とが設けられている。支援方法選択部D3には、作業補助依頼ボタンB301と資料送信ボタンB302とが設けられており、詳細選択部D4,D5は、作業補助依頼ボタンB301又は資料送信ボタンB302が押下されることで表示内容が切り替わる。ここで、
図14Aは、作業補助依頼ボタンB301が押下された場合の作業支援画面の画面例であって、詳細選択部D4には、補助作業者を選択するための補助作業者選択欄F401と、遅延作業者を選択するための遅延作業者欄F402と、依頼送信ボタンB401とが設けられている。また、
図14Bは、資料送信ボタンB302が押下された場合の作業支援画面の画面例であって、詳細選択部D5には、遅延作業者に対して送信する資料を選択するための資料選択欄F501と、遅延作業者を選択するための遅延作業者欄F502と、資料送信ボタンB501とが設けられている。なお、作業補助依頼ボタンB301が押下された場合は作業補助依頼送信処理が実行され、資料送信ボタンB302が押下された場合は資料送信処理が実行される。これらの処理について、以下に説明する。
【0067】
(3−1)作業補助依頼送信処理
まず、作業補助依頼送信処理について説明する。作業補助依頼送信処理は、支援作業者が、作業者用クライアント3を操作し、作業補助依頼ボタンB301を押下することで開始される。
図15Aは、本実施の形態に係る作業者支援システム1で実行される作業補助依頼送信処理の手順を示すフローチャートである。作業補助依頼送信処理が開始されると、CPU31aは、補助作業者となる作業者を選択するために、補助作業者候補要求データを作業者支援サーバ2に送信する(ステップS401)。補助作業者候補要求データを作業者支援サーバ2が受信すると(ステップS501)、CPU21aは、まず、現在作業に従事している作業者を特定する(ステップS502)。次に、CPU21aは、ステップS502で特定された作業者より、遅延作業者が従事している工程について、一定のスキルを有する作業者を抽出する(ステップS503)。このステップS503の詳細について説明すると、まず、CPU21aは、スキル情報テーブル204より、ステップS502で特定された作業者の作業者ID及び遅延作業者が従事している工程の工程IDと一致する情報を検索し、各作業者の当該工程に係るスキルの値を特定する。次にCPU21aは、ここで特定された各作業者のスキルの値が“熟練”である作業者のみを抽出する。
【0068】
次に、CPU21aは、ステップS503で抽出された作業者より、支援が可能な程度の作業余裕時間を有する作業者を、さらに抽出する(ステップS504)。具体的な処理を以下に説明する。まず、CPU21aは、RAM21cに一時記憶されている作業余裕時間より、ステップS503で抽出された作業者の作業者IDを検索し、各作業者の平均値ベース余裕時間を特定する。次に、RAM21cに一時記憶されている作業余裕時間より、遅延作業者の作業者IDを検索し、遅延作業者の平均値ベース余裕時間を特定する。ここで特定された各作業者の平均値ベース余裕時間と遅延作業者の平均値ベース余裕時間の絶対値とを比較し、遅延作業者の平均値ベース余裕時間の絶対値よりも平均値ベース余裕時間が大きい値である作業者を抽出する。次に、CPU21aは、抽出された作業者を示す作業者ID及び作業者名を含む補助作業者候補情報を支援作業者の作業者用クライアント3に送信する(ステップS505)。
【0069】
補助作業者候補情報を作業者用クライアント3が受信すると(ステップS402)、CPU31aは、作業支援要求画面の詳細選択部D4を更新する(ステップS403)。ここで、詳細選択部D4には、上述のように、補助作業者選択欄F401と、遅延作業者選択欄F402と、依頼送信ボタンB401とが表示される。この場合、遅延作業者欄F402には、遅延作業者の名前が自動で表示される。また、補助作業者選択欄F401には、補助作業者候補情報に含まれる作業者を示す情報がプルダウン形式で表示される。詳細選択部D4が更新されると、支援作業者は、入出力部31fを操作し、補助作業者選択欄F401より補助作業者を選択した後、依頼送信ボタンB401を押下する。依頼送信ボタンB401が押下されると、CPU31aは、補助作業者選択欄F401において選択された作業者を示す作業者IDを含む選択補助作業者情報を作業者支援サーバ2に送信する(ステップS404)。選択補助作業者情報を作業者支援サーバ2が受信すると(ステップS506)、CPU21aは、選択補助作業者情報に含まれる作業者IDに基づいて、補助作業者が作業している作業ステーションを特定し、この作業ステーションに設置されている作業者用クライアント3に対して、遅延作業者が作業している生産ライン及び作業ステーションを示す情報、並びに遅延作業者の名前及び遅延作業者の平均値ベース余裕時間を含む作業補助依頼情報を送信し(ステップS507)、作業補助依頼送信処理を終了する。
【0070】
遅延作業者情報を作業者用クライアント3が受信すると、CPU31aは、受信した作業補助依頼情報に基づいて、入出力部31fに作業補助依頼画面を表示させる。
図16Aは作業補助依頼画面D6の画面例を示す図である。作業補助依頼画面には、遅延作業者の名前及び平均値ベース余裕時間の絶対値を含む情報が表示される。補助作業者はこの表示を確認した後、遅延作業者の作業補助に向かい、表示された平均値ベース余裕時間の時間内で指導等の作業補助を行う。
【0071】
このように、本実施の形態では、作業者の実際の作業時間に基づいて、補助作業者の候補を選定するように構成されている。このため、指導等の作業補助を行う余裕のある作業者を補助作業者として選定することができ、遅延作業者へ指導等の作業補助することによる補助作業者の作業遅延の発生を防止することできる。また、本実施の形態では、遅延作業者が従事する工程に係るスキルが一定以上の作業者を、補助作業者の候補として選定するように構成されている。このため、指導等の作業補助を行うに適切なスキルを有する作業者を補助作業者として選択することができる。また、本実施の形態では、作業者を実際に遅延作業者が作業している作業ステーションに向かわせ、実地で指導等の作業補助を行うため、作業支援と併せてOJT(On-the-Job Training)形式の教育を行うことができる。
【0072】
なお、本実施の形態では、支援作業者が自身を補助作業者として選定してもよい。この場合、支援作業者は上記の作業補助依頼送信処理を実行せずに遅延作業者の作業補助に向かってもよい。
【0073】
(3−2)資料送信処理
次に、資料送信処理について説明する。資料送信処理は、支援作業者が、作業者用クライアント3を操作し、資料送信ボタンB302を押下することで実行される。
図15Bは、本実施の形態に係る作業者支援システム1で実行される資料送信処理の手順を示すフローチャートである。資料送信処理が開始されると、CPU31aは、遅延作業者の作業支援に適した資料を選択するために、候補資料要求データを作業者支援サーバ2に送信する(ステップS601)。候補資料要求データを作業者支援サーバ2が受信すると(ステップS701)、CPU21aは、遅延作業者のスキル情報に基づいて、作業支援として送信するに適当な資料を候補資料として選定する(ステップS702)。具体的な処理を以下に説明する。まず、CPU21aは、遅延作業者が現在従事している工程における機種ID及び工程IDを取得する。次に、資料情報テーブル205より、取得した機種ID及び工程IDを検索し、当該機種及び工程に係る資料を抽出する。次に、CPU21aは、遅延作業者が現在従事している工程に係るスキルの値をスキル情報テーブル204より取得する。次に、CPU21aは、抽出した資料毎の参照スキルと、遅延作業者のスキルの値とを比較し、これらが一致する資料を候補資料として選定する。次に、CPU21aは、選定された資料の資料ID及び資料名を含む候補資料情報を作業者用クライアント3に送信する(ステップS703)。
【0074】
候補資料情報を作業者用クライアント3が受信すると(ステップS602)、CPU31aは、作業支援要求画面の詳細選択部D5の表示を更新し、資料の選択を受け付ける(ステップS603)。ここで、詳細選択部D5には、上述のように、資料選択欄F501と、遅延作業者選択欄F502と、資料送信ボタンB501とが表示される。なお、遅延作業者欄F502には、遅延作業者の名前が自動で表示される。また、資料選択欄F501には、資料候補情報に含まれる資料を示す情報がプルダウン形式で表示される。詳細選択部D5が更新されると、作業者は、入出力部31fを操作し、資料選択欄F501より資料を選択した後、資料送信ボタンB501を押下する。資料送信ボタンB501が押下されると、CPU31aは、選択された資料を示す資料IDを含む選択資料情報を作業者支援サーバ2に送信する(ステップS604)。選択資料情報を作業者支援サーバ2が受信すると(ステップS704)、CPU21aは、当該選択資料情報に含まれる資料IDに基づいて、選択された資料の名称及びアドレスを含む支援資料情報を遅延作業者が作業している作業ステーションの作業者用クライアント3に対して送信し(ステップS705)、資料送信処理を終了する。
【0075】
支援資料情報を作業者用クライアント3が受信すると、CPU31aは、受信した支援資料情報に基づいて、入出力部31fに資料受信画面を表示させ、処理を終了する。
図16Bは資料受信画面D7の画面例を示す図である。資料受信画面D7には、支援資料情報に含まれる資料の名称と、当該資料にアクセスするためのアクセスボタンB701が表示される。遅延作業者は入出力部31fを操作し、アクセスボタンB701を押下することで支援資料情報として送信された資料にアクセスすることができ、当該資料が入出力部31fに表示される。遅延作業者は、表示された資料を参照しながら作業を進めることで、作業の遅れを取り戻す。
【0076】
このように、本実施の形態では、資料毎に参照するために必要なスキルが設定されており、遅延作業者のスキルに基づいて、送信する資料の候補が選定される。このため、遅延作業者に、適切な資料を参照させることができる。
【0077】
(4)スキル更新処理
次に、スキル情報テーブル204に登録されている作業者のスキル情報を更新登録するためのスキル更新処理について説明する。このスキル更新処理は、上述した遅延作業者支援処理による作業支援を受けること等によって、作業者のスキルが向上したと判断されたときに実行される。この判断は、作業者(例えば、遅延作業者)が実際に作業を行っている様子に基づいて、他の作業者(例えば、支援作業者又は補助作業者)が行う。その他にも、遅延作業者支援処理により遅延作業者に対して作業支援が行われた後に、作業チェックシート画面D2の作業ステーション進捗情報表示部L203より、遅延作業者の作業余裕時間が増加したか否かを確認すること等によって、遅延作業者のスキルが向上したか否かを支援作業者又は補助作業者が判断してもよい。
【0078】
スキル更新処理を実行する作業者は、作業者用クライアント3の入出力部31fを操作し、作業チェックシート画面D2のスキル更新ボタンB201を押下し、スキルの更新登録を行うためのスキル更新登録画面を入出力部31fに表示させる。
図17は、スキル更新登録画面D8の画面例を示す図である。スキル更新登録画面D8には、スキルを更新する作業者を選択する作業者選択欄F801と、スキルを更新する工程を選択する工程選択欄F802と、作業者選択欄F801で選択された作業者の工程選択欄F802で選択された工程に関する現在のスキルレベルが表示される現在スキル表示欄F803と、更新登録するスキルを選択する見直しスキル選択欄F804と、登録ボタンB801とが設けられている。ここで、作業者選択欄F801には作業者情報テーブル203に登録されている作業者名が、工程選択欄F802には機種情報テーブル201に登録されている機種名及び工程が、見直しスキル選択欄F804には“若手”、“中堅”、“熟練”の各値がプルダウン形式で表示される。作業者は、入出力部31fを操作し、作業者選択欄F801及び工程選択欄F802より、スキルを更新する作業者及び工程を選択する。これらが選択されると、作業者用クライアント3は作業者支援サーバ2にアクセスし、当該作業者の当該工程におけるスキルを示すスキル情報をスキル情報テーブル204より取得し、取得したスキル情報を現在スキル表示欄F803に表示する。作業者は現在スキル表示欄F803に表示されたスキルを確認した後、入出力部31fを操作し、見直しスキル選択欄F804に新たなスキルを入力する。作業者は、作業者選択欄F801、工程選択欄F802、及び見直しスキル選択欄F804に新たなスキル情報を入力した後、登録ボタンB801を押下する。これにより、入力されたスキル情報が作業者支援サーバ2に送信され、スキル情報テーブル204に更新登録される。
【0079】
このように、本実施の形態では、作業者の実際の作業の様子を確認したり、作業者が作業に要した時間が短縮されたか否かを確認したりすることによって、その作業者のスキルが向上したか否かが判断され、その結果に応じてスキルの更新登録が行われる。このため、各作業者が実際に保有するスキルを適正に設定登録することができる。また、本実施の形態では、適正なスキル情報に基づいて、作業支援者の選定及び送信資料の選定等がされるため、遅延作業者に対して、より適切な支援を行うことができる。
【0080】
(5)資料登録処理
次に、資料情報テーブル205に新たな資料を追加登録するための資料登録処理について説明する。この資料登録処理は、作業者用クライアント3より資料を追加登録するものである。資料登録処理を実行する作業者は、作業者用クライアント3の入出力部31fを操作し、作業チェックシート画面D2の資料登録ボタンB202を押下し、資料登録を行うための資料登録画面を入出力部31fに表示させる。
図18は、資料登録画面D9の画面例を示す図である。資料登録画面D9には、機種を選択するための機種選択欄F901、機種毎の工程を選択するための工程選択欄F902と、資料を参照するに適切なスキルを選択する参照スキル選択欄F903と、資料名を入力する資料名入力欄F904と、ファイルのアドレスを入力するアドレス入力欄F905と、登録ボタンB901とが設けられている。ここで、機種選択欄F901及び工程選択欄F902には機種情報テーブル201に登録されている機種ID及び機種毎の工程が、参照スキル選択欄には“若手”、“中堅”、“熟練”の各値がプルダウン形式で表示される。作業者は、入出力部31fを操作し、機種選択欄F901、工程選択欄F902、参照スキル選択欄F903、資料名入力欄F904、及びアドレス入力欄F905に新たな資料の情報を入力し、登録ボタンB901を押下する。これにより、入力された資料情報が作業者支援サーバ2に送信され、資料情報テーブル205に追加登録される。
【0081】
このように、本実施の形態では、作業者用クライアント3より作業の参考となる資料の登録を行うことができる。このため、作業者が実際の作業の様子をデジタルカメラ等により撮影し、それに基づいて作成される資料を登録することができる。このような資料を登録することにより、現場からのポカヨケ又はカイゼン等を促進することができる。また、本実施の形態では、作業者用クライアント3より資料の登録を行うことができるために、作業者が作成した資料を現場から即座に登録することができる。これにより、作業者が気付いた作業中の注意点等をリアルタイムで共有することができる。
【0082】
(その他の実施の形態)
上述した実施の形態の作業者支援システム1は、支援作業者から実行開始の指示を受けることによって遅延作業者支援処理を開始するように構成されているが、本発明はこれに限定されるものではない。例えば、先行する支援要求処理において作業が遅れている作業者がいると判断された場合に、自動で遅延作業者支援処理を開始するように構成されていてもよい。この場合、作業補助依頼送信処理においては、各作業者のスキル及び作業余裕時間に基づいて、スキルが最も高く、作業余裕時間が最も大きな値である作業者を、作業者支援サーバ2が補助作業者として自動的に選出することが好ましい。また、資料送信処理においては、遅延作業者の従事している工程及び当該工程のスキルに基づいて、作業者支援サーバ2が自動的に選出することが好ましい。この他、作業補助依頼送信処理又は資料送信処理の何れかを自動で開始するようにしてもよく、まず作業補助依頼送信処理を開始し、当該作業補助依頼送信処理において補助作業者の候補が見つからなかった場合に資料送信処理を開始するように構成されていてもよい。その他にも、支援要求処理において、作業の全体を管理する作業管理者が、作業者支援サーバ2または作業管理者用のクライアントを操作し、任意に支援要求処理を開始するよう作業者支援システム1に指示することでその結果を作業管理者に対してその結果を作業支援サーバに表示するようにしてもよい。この場合、作業管理者はその結果を基に、作業支援すべきかどうかを判断し、作業支援すべきであると判断すれば、作業支援要求を発信し遅延作業者支援処理を開始するように作業者支援システム1に指示することが考えられる。
【0083】
また、上述した実施の形態においては、作業者支援システム1は、作業補助依頼送信処理において、作業者支援サーバ2を介して作業補助依頼情報を送信するように構成されており、資料送信処理においては、作業者支援サーバ2を介して支援資料情報を送信するように構成されているが、本発明はこれに限定されるものではない。例えば、作業者支援システム1が、支援作業者の作業ステーションWSの作業者用クライアント3より補助作業者又は遅延作業者の作業ステーションWSの作業者用クライアント3に対して、情報ネットワークNTWを介して、作業補助依頼情報又は支援資料情報を直接送信するように構成されていてもよい。
【0084】
また、上述した実施の形態においては、作業者支援システム1は、支援要求処理において、遅延作業者が作業している生産ライン上の最もスキルの平均値が高い作業者に対して支援要求情報を送信するように構成されているが、本発明はこれに限定されるものではない。例えば、生産ライン毎に予め監督者となる作業者を定めておき、作業者支援システム1が、支援要求処理において、監督者の作業ステーションWSの作業者用クライアント3に対して支援要求情報を送信してもよい。また、遅延作業者以外の作業者が従事する全ての作業ステーションWS,WS,…の作業者用クライアント3,3,…に対して支援要求情報を送信するように構成されていてもよい。
【0085】
また、上述した実施の形態においては、作業者支援システム専用のサーバプログラムが作業者支援サーバ2にインストールされ、前記サーバプログラム専用のクライアントプログラムが作業者用クライアント3、にインストールされ、研修情報サーバ2から各クライアント3へ、独自形式データが送信される構成について述べたが、これに限定されるものではない。作業者支援サーバ2がWWWサーバとしての機能を有し、HTMLデータをWWWクライアント装置としての作業者用クライアント3へ送信する構成としてもよい。
【0086】
また、上述した実施の形態においては、単一のコンピュータ2aによりコンピュータプログラム24aの全ての処理を実行する構成について述べたが、これに限定されるものではなく、上述したコンピュータプログラム24aと同様の処理を、複数の装置(コンピュータ)により分散して実行する分散システムとすることも可能である。