特許第5852561号(P5852561)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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特許5852561潤滑オイルポンプ、シリンダ潤滑システム、および内燃機関
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】5852561
(24)【登録日】2015年12月11日
(45)【発行日】2016年2月3日
(54)【発明の名称】潤滑オイルポンプ、シリンダ潤滑システム、および内燃機関
(51)【国際特許分類】
   F01M 1/02 20060101AFI20160114BHJP
【FI】
   F01M1/02 B
【請求項の数】16
【全頁数】10
(21)【出願番号】特願2012-512375(P2012-512375)
(86)(22)【出願日】2010年5月27日
(65)【公表番号】特表2012-528265(P2012-528265A)
(43)【公表日】2012年11月12日
(86)【国際出願番号】EP2010057318
(87)【国際公開番号】WO2010136525
(87)【国際公開日】20101202
【審査請求日】2013年5月8日
(31)【優先権主張番号】09161426.3
(32)【優先日】2009年5月28日
(33)【優先権主張国】EP
(73)【特許権者】
【識別番号】501082602
【氏名又は名称】ヴェルトジィレ シュヴァイツ アクチェンゲゼルシャフト
(74)【代理人】
【識別番号】110000855
【氏名又は名称】特許業務法人浅村特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】フラッガル,エドヴィンコ
(72)【発明者】
【氏名】ケース,ウィリアム
【審査官】 二之湯 正俊
(56)【参考文献】
【文献】 特開2004−239157(JP,A)
【文献】 特開2008−202548(JP,A)
【文献】 特表2004−519595(JP,A)
【文献】 特開2003−003966(JP,A)
【文献】 特公昭49−040724(JP,B1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F01M 1/02
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
内燃機関のシリンダの潤滑クイル穴に予め設定可能な量のシリンダ潤滑オイルを注油するための、第1軸方向端部表面および第2軸方向端部表面を有する主油圧シリンダ部分を持つハウジングと、さらに前記主油圧シリンダ部分内に一次ピストン部分とを有する、潤滑オイルポンプであって、
前記一次ピストン部分は、各噴射ボアおよびそこに配置される噴射ピストンが前記予め設定可能な量の前記シリンダ潤滑オイルを注油するための潤滑容積を形成するとともに、前記各噴射ボア及び前記噴射ピストンがシリンダ軸に沿って互いに対して相対移動可能であるような方法で、前記噴射ピストンをそれぞれ受け入れる少なくとも2つの噴射ボアを有し、
前記各噴射ボアは、小さな穴を介して、前記一次ピストン部分の外側表面に機械加工された軸方向溝に接続され、前記相対移動の間、各前記軸方向溝は、主油圧シリンダ部分内に機械加工された注入溝に対してそれぞれ接続される及び接続解除され、
前記噴射ピストンは、前記ハウジングの固定表面に対して動かないおよび/または前記ハウジングの前記固定表面に静止して固定される、
潤滑オイルポンプ。
【請求項2】
前記一次ピストン部分が、前記主油圧シリンダ部分の主油圧シリンダボア内で前記シリンダ軸に沿って往復動可能に構成された一次ピストンである、
請求項1に記載の潤滑オイルポンプ。
【請求項3】
前記噴射ピストンが、前記主油圧シリンダ部分の主油圧シリンダボア内で前記シリンダ軸に沿って往復動可能に構成され、一つの前記噴射ピストンまたは複数の前記噴射ピストンが、前記主油圧シリンダボア内で前記シリンダ軸に沿って往復動可能なピストンプレートに取付けられる、
請求項1又は2に記載の潤滑オイルポンプ。
【請求項4】
前記潤滑容積が、前記予め設定可能な量の前記潤滑オイルを前記潤滑容積内に供給するために潤滑オイル入口に接続可能であり、および/または、前記潤滑容積が、前記予め設定可能な量の前記潤滑オイルを前記潤滑クイル穴に供給するために潤滑オイル出口に接続可能である、
請求項1乃至3のいずれか1項に記載の潤滑オイルポンプ。
【請求項5】
前記潤滑容積が前記潤滑オイル入口または前記潤滑オイル出口に交互に接続され得るよう、前記潤滑オイル入口と前記潤滑オイル出口との間に前記軸方向溝が提供される、請求項4に記載の潤滑オイルポンプ。
【請求項6】
前記一次ピストン部分の圧縮ストローク中に、前記潤滑オイルの圧縮が前記噴射ボア内で作られるとともに前記予め設定可能な量の前記シリンダ潤滑オイルが前記内燃機関の前記シリンダの前記潤滑クイル穴に供給されるような方法で、前記噴射ピストンが固定表面に固定される、
請求項1乃至5のいずれか1項に記載の潤滑オイルポンプ。
【請求項7】
前記一次ピストンの第1作動面および/または第2作動面が、前記一次ピストンの圧縮ストロークを実行するために、作動油圧油により加圧されることができ、および/または、前記一次ピストンの前記第1作動面および/または前記第2作動面が、前記一次ピストンの再充填ストロークを実行するために、前記作動油圧油により加圧されることができる、
請求項1乃至6のいずれか1項に記載の潤滑オイルポンプ。
【請求項8】
前記一次ピストンの第1作動面または第2作動面が、前記一次ピストンの圧縮ストロークおよび/または再充填ストロークを実行するために、バネにより加圧されることができる、
請求項1乃至7のいずれか1項に記載の潤滑オイルポンプ。
【請求項9】
前記一次ピストンが、前記一次ピストンの圧縮ストロークまたは再充填ストロークを実行するために、二次ピストンにより移動可能である、
請求項1乃至8のいずれか1項に記載の潤滑オイルポンプ。
【請求項10】
前記二次ピストンが、二次油圧シリンダボア内で前記シリンダ軸に沿って往復動可能に構成され、前記二次油圧シリンダボアは前記主油圧シリンダボアより小さい直径を有するとともに、前記シリンダ軸に沿った駆動運動を実行するために作動油圧油により加圧されることができる、
請求項9に記載の潤滑オイルポンプ。
【請求項11】
前記噴射ピストンが、前記主油圧シリンダボアの前記第2軸方向端部表面に静止して固定される、または前記噴射ピストンが、前記主油圧シリンダボアの前記第1軸方向端部表面に静止して固定される、
請求項1乃至10のいずれか1項に記載の潤滑オイルポンプ。
【請求項12】
前記一次ピストンが、前記第1軸方向端部表面に対して圧縮ストロークを実行することができると同時に前記第2軸方向端部表面に対して再充填ストロークを実行することができ、またはその逆ができる、複動式一次ピストンである。
請求項1乃至11のいずれか1項に記載の潤滑オイルポンプ。
【請求項13】
前記潤滑容積が調整可能である、
請求項1乃至12のいずれか1項に記載の潤滑オイルポンプ
【請求項14】
請求項1乃至13のいずれか1項に記載の潤滑オイルポンプを有するシリンダ潤滑装置。
【請求項15】
前記潤滑オイルポンプの潤滑オイル入口に接続される加圧可能なオイル供給源が提供され、前記加圧可能なオイル供給源がコモンレールアキュムレータである、
請求項14に記載のシリンダ潤滑装置。
【請求項16】
請求項1乃至13のいずれか1項に記載の潤滑オイルポンプを有する、または請求項14または15に記載のシリンダ潤滑装置を有する、内燃機関。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、それぞれの独立請求項の前段部分に従う、内燃機関、特に低速運転2ストローク大型ディーゼルエンジンのシリンダのクイル穴(quill−opening)にシリンダ潤滑オイルを注油するシリンダ潤滑オイルポンプ、潤滑オイルポンプを有するシリンダ潤滑装置、および内燃機関に関する。
【背景技術】
【0002】
大型ディーゼルエンジンは、船舶用の動力ユニットとして、または例えば電力の生産のための大型発電機の駆動のための定置運転でもしばしば使われる。ここで、一般的にエンジンは、動作の信頼性および稼働率に高い負担となる相当な期間に渡る連続運転にある。このため、オペレータにとって、長いサービス間の間隔、低度の磨耗並びに燃料および運転材料の経済的使用は特に、機械の運転のための重要な基準である。とりわけ、このような大口径低速運転ディーゼルエンジンのピストンの運転挙動は、サービス間の間隔の長さ、稼働率に関する、および潤滑油の消費を用いて、運転コストの直接的なしたがって、経済的妥当性に関しても決定因子である。したがって、大型ディーゼルエンジンの潤滑に関連する複雑な問題の重要性がますます高まっている。
【0003】
大型ディーゼルエンジンでは、これらだけではないが、ピストン潤滑が往復動するピストン内またはシリンダ壁内の潤滑装置により行われ、これによりピストンと滑走面との間の摩擦そして滑走面およびピストンリングの磨耗を最小化するために、潤滑オイルがシリンダ壁の滑走面に注油される。したがって、例えばバルチラのRTAエンジンのような現代のエンジンの場合、滑走面の磨耗は1000時間の運転時間に対して0.05mm未満である。移送される潤滑油の量はおよそ1.3g/kWh以下であり、さらに減らされるべきであるが、コストの理由からの最小値ではなく、磨耗が同時に最小化されるべきである。
【0004】
潤滑装置の実際の運転だけでなく潤滑方法に関して、滑走面を潤滑するための潤滑システムの全く異なる解決方法が知られている。たとえば、潤滑油が、シリンダ壁に周方向に収容された複数の潤滑開口を通って、潤滑開口を通過したピストンに、潤滑油がピストンリングにより円周方向だけでなく軸方向にも散布されながら注油される、潤滑装置が知られている。
【0005】
潤滑油がシリンダ壁の滑走面に供給される方法は別として、潤滑油の注油は重要なポイントである。このために、幅広い種類の異なるオイル注油ポンプが技術水準から知られる。内燃機関のシリンダのクイル(quill)を潤滑するための一様なオイル散布を確実にするために、既知のオイル注油ポンプは、駆動ピストンに取付けまたは接続された特定の数の注油プランジャを駆動する駆動ピストンを有する。注油プランジャは、プランジャ軸に沿った動作行程に渡る配送および復帰ストロークを往復動するように、注油スペース内に駆動可能に配置される。復帰ストロークでは、予め設定可能な量の潤滑オイルが、プランジャの上部の注油スペース内に満たされる。噴射信号を受けると同時に、駆動ピストンは動き始め、潤滑オイルが駆動ピストンにより駆動されたプランジャにより加圧され、潤滑オイルがそれぞれの注油空間からそれぞれの潤滑するクイルに供給される。
【0006】
例えば特許文献1,2または3に開示されたこのような既知のシリンダオイル注油ポンプは全て構造が非常に複雑でありポンプにしては比較的高価になる。2ストローク船舶用ディーゼルエンジンは、各エンジンのシリンダの表面の多数の場所への、正確にタイミングが計られ、計量され、かつ独立して供給されるパルス状の潤滑オイル流を必要とする。各エンジンのシリンダは独自のポンプを必要とするので、このようなポンプは、可能な限り低コストで製造されると同時にできる限り単純かつ信頼性が高くなければならない。この要求を満たすために、他のポンプの提案は複数の流れを供給するために単一のピストンのみを使うが、この場合エンジンのシリンダの各噴射場所への個別の流れを保証することができない。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】スイス国特許第673 506号
【特許文献2】独国特許第197 43 955 B4号
【特許文献3】欧州特許公開第1 386 063 A1号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
したがって、本発明の目的は、オイル注油ポンプは構造が単純で、技術水準から知られるポンプのようにより信頼性が高く、その結果大幅にコストを削減する、シリンダ潤滑オイルを注油する改善されたシリンダオイル注油ポンプを提案することである。本発明の目的はまた、改善されたシリンダオイル注油ポンプを有する改善されたシリンダ潤滑装置およびこのようなシリンダ潤滑装置を有する内燃機関を提供することでもある。
【課題を解決するための手段】
【0009】
これらの目的を満足する本発明の主題はそれぞれの独立請求項の特徴部分により特徴付けられる。それぞれの従属請求項は特に本発明の有利な実施形態に関連する。
【0010】
したがって、本発明は、内燃機関、特に2ストローク大型ディーゼルエンジンのシリンダの潤滑クイル穴に予め設定可能な量のシリンダ潤滑オイルを注油するための潤滑オイルポンプに関する。この潤滑オイルポンプは、第1軸方向端部表面と第2軸方向端部表面とを有する主油圧シリンダ部分を持つハウジングを有し、さらに主油圧シリンダ部分内に一次ピストン部分を有する。本発明によれば、一次ピストン部分は、噴射ボアおよびそこに配置される噴射ピストンが予め設定可能な量のシリンダ潤滑オイルを注油するための潤滑容積を形成するとともにシリンダ軸に沿って互いに対して相対移動可能であるような方法で、噴射ピストンを受け入れる噴射ボアを有する。さらに、本発明は、シリンダ潤滑装置および本発明による潤滑装置を有する内燃機関に関する。
【0011】
有利な実施形態の変形では、一次ピストン部分は、それぞれの噴射ボアおよびそこに配置される噴射ピストンが予め設定可能な量のシリンダ潤滑オイルの潤滑容積を形成するような方法で、それぞれ噴射ピストンを受け入れる2つ以上の噴射ボアを有する。
【0012】
主油圧シリンダ部分は通常、主油圧シリンダボアを有し、この主油圧シリンダボアは、例えば、一次ピストン部分または一次ピストンまたはピストンプレートが作動油圧油により加圧されるとき、および/または潤滑オイルが注油されるときに、主油圧シリンダボアの中で一次ピストン部分または一次ピストンまたはピストンプレートを油圧で駆動するために、および/または、主油圧シリンダボアの中でシリンダ軸に沿って一次ピストン部分または一次ピストンを案内するために、および/または、一次ピストン部分または一次ピストンに対してシール面を提供するために、使われ得る。
【0013】
有利な実施形態では、一次ピストンは、一次ピストンの圧縮ストロークおよび/または再充填ストロークを実行するために、二次ピストンにより駆動可能または移動可能である。
【0014】
本発明は図面を用いてより詳細に記載される。
【図面の簡単な説明】
【0015】
図1】本発明による潤滑オイルポンプの特別な実施形態である。
図2A】ポンプの再充填中の本発明による潤滑オイルポンプの第2の特別な実施形態である。
図2B】圧縮ストローク後の本発明による潤滑オイルポンプの第2の特別な実施形態である。
【発明を実施するための形態】
【0016】
一次ピストン7は、端部表面5,6で制限されるストロークを有して主油圧シリンダボア4の端から端まで行き来する。一方の端部では、一次ピストン7はその中に機械加工された複数の閉じた噴射(シリンダ)ボア8を有し、それぞれの噴射ボア8の中に噴射ピストン9が挿入される。各噴射ピストン9は、油圧シリンダハウジング3に固定されるので、一次ピストン7の圧縮および再充填ストロークの間、圧縮および真空が各噴射ボア8の内部に作られる。各噴射ボア8は、小さな穴を介して一次ピストン7の外側表面に機械加工されたそれ自体の軸方向溝V12に接続される。
【0017】
一次ピストン7の各行き来の間、各軸方向溝V12は、主油圧シリンダボア4内に機械加工された注入溝に対して開閉し、それぞれ潤滑容積Vが確立された噴射ボア8に潤滑オイル2を再充填することを可能にするとともに、各噴射ボア8内の圧縮されたオイル2が潤滑オイル2の回路の入口側に短絡して戻ることを防ぐ。
【0018】
一次ピストン7の圧縮ストローク中、一次ピストン7内の軸方向溝V12は噴射ボア8から圧縮された潤滑オイル2を供給され、これらの溝は、圧縮された潤滑オイル2を出口チェック弁に送り、このチェック弁から潤滑オイル2の複数の独立し、計量され、パルス状の流れが生じる。
【0019】
一次ピストン7の再充填ストローク中、真空が各噴射シリンダ内で形成され、軸方向溝が主油圧シリンダボア4内の注入溝に対して開くとき、この真空は噴射ボア8に補給するために使われる。
【0020】
有利な実施形態では、一つの噴射ピストンまたは複数の噴射ピストン9は、ハウジング3の固定表面11に対して動かない、および/またはハウジング3の固定表面11に静止して固定される。さらなる有利な実施形態では、一次ピストン部分7は、主油圧シリンダ部分の主油圧シリンダボア4内でシリンダ軸10に沿って往復動可能に構成された一次ピストン7である。
【0021】
別の有利な実施形態では、一次ピストン部分7は、ハウジング3の固定表面11に対して動かない、および/またはハウジング3の固定表面11に静止して固定される。さらなる有利な実施形態では、一つの噴射ピストンまたは複数の噴射ピストン9が、主油圧シリンダ部分の主油圧シリンダボア4内でシリンダ軸10に沿って往復動可能に構成される。一つの噴射ピストンまたは複数の噴射ピストン9は、例えば、必要な場合にピストンプレートに取付けられることができ、ピストンプレートは主油圧シリンダボア4内でシリンダ軸10に沿って往復動可能である。
【0022】
各潤滑容積Vは、上述の実施形態および実施形態の変形と無関係に、予め設定可能な量の潤滑オイル2を潤滑容積V内に供給するために、潤滑オイル入口V1に接続され得る。潤滑容積Vはさらに、予め設定可能な量の潤滑オイル2を一つの潤滑クイル穴または複数の潤滑クイル穴に供給するために、潤滑オイル出口V2にそれぞれ接続され得る。接続管V12は、潤滑容積Vが潤滑オイル入口V1または潤滑オイル出口V2に交互に接続され得るように、潤滑オイル入口V1と潤滑オイル出口V2との間を延びるように提供されることが好ましい。
【0023】
一つの噴射ピストンまたは複数の噴射ピストン9は、一次ピストン部分7の圧縮ストローク中に、潤滑オイル2の圧縮が一つの噴射ボアまたは複数の噴射ボア8内で作られるとともに予め設定可能な量のシリンダ潤滑オイル2が内燃機関のシリンダの一つの潤滑クイル穴または複数の潤滑クイル穴に供給されるような方法で、固定表面11に有利に固定される。
【0024】
一次ピストン部分7の再充填ストローク中に、真空が一つの噴射ボアまたは複数の噴射ボア8内に作られるとともに予め設定可能な量のシリンダ潤滑オイル2が一つの噴射ボアまたは複数の噴射ボア8内の潤滑容積V内に供給されるような方法で、一つの噴射ピストンまたは複数の噴射ピストン9を固定表面11に固定することはさらに有利になり得る。
【0025】
有利な実施形態の変形では、一次ピストン7の第1作動面701および/または第2作動面702が、一次ピストン7の圧縮ストロークを実行するために、作動油圧油12により加圧され得る。さらなる有利な実施形態の変形では、一次ピストン7の第1作動面701および/または第2作動面702は、一次ピストン7の再充填ストロークを実行するために、作動油圧油12により加圧され得る。
【0026】
別の有利な実施形態の変形では、一次ピストン7の第1作動面701および/または第2作動面702は、一次ピストン7の圧縮ストロークおよび/または再充填ストロークを実行するために、バネにより加圧され得る。
【0027】
一つの噴射ピストンまたは複数の噴射ピストン9は、上述の実施形態および実施形態の変形と無関係に、例えば、主油圧シリンダボア4の第1軸方向端部表面5または第2軸方向端部表面6に静止して固定され得る。一つの噴射ピストンまたは複数の噴射ピストン9はさらに、ハウジング3の一体部品であり得る、またはハウジング3に取り外し可能に固定され得る。
【0028】
さらなる有利な実施形態の変形では、一次ピストン7は、第1軸方向端部表面5に対して圧縮ストロークを実行することができると同時に第2軸方向端部表面6に対して再充填ストロークを実行することができ、またはその逆ができる、複動式一次ピストンである。
【0029】
潤滑容積Vは、上述の実施形態および実施形態の変形と無関係に、有利に調整可能である。
【0030】
図2Aおよび2Bは、本発明による潤滑オイルポンプの第2の特別な実施形態を示し、図2Aはポンプの再充填中の潤滑オイルポンプを表し、図2Bは圧縮ストローク後の潤滑オイルポンプを表す。示された実施形態では、2ストローク大型ディーゼルエンジンなどの内燃機関のシリンダの潤滑クイル穴に予め設定可能な量のシリンダ潤滑オイルを注油するための潤滑オイルポンプ1は、第1軸方向端部表面5と第2軸方向端部表面6とを有する主油圧シリンダ部分4を持つハウジング3を有し、さらに主油圧シリンダ部分4内に一次ピストン部分7を有する。本発明によれば、一次ピストン部分7は、各噴射ボア8およびそこに配置される噴射ピストン9が予め設定可能な量のシリンダ潤滑オイル2を注油するための潤滑容積Vを形成するとともにシリンダ軸10に沿って互いに対して相対移動可能であるような方法で、噴射ピストン9をそれぞれ受け入れる少なくとも一つの噴射ボア8を有する。
【0031】
有利な実施形態では、一次ピストン7の第1作動面701および/または第2作動面702は、一次ピストン7の圧縮ストロークおよび/または再充填ストロークを実行するために、バネにより加圧され得る。
【0032】
さらなる有利な実施形態では、一次ピストン7は、一次ピストン7の圧縮ストロークおよび/または再充填ストロークを実行するために、図2Aおよび2Bに示されるように、二次ピストン72により駆動可能または移動可能である。二次ピストン72は、例えば、二次油圧シリンダボア42内でシリンダ軸10に沿って往復動可能に構成されることができ、二次油圧シリンダボアは典型的には主油圧シリンダボア4より小さい直径を有するとともに、シリンダ軸10に沿った駆動運動を実行するために作動油圧油12により加圧され得ることが好ましい。
【0033】
潤滑オイルポンプ1は、上述の実施形態および実施形態の変形と無関係に、ポンプの潤滑オイル2のパルス状の流れを監視するセンサ2aを選択的に有し得る。
【0034】
追加的な設計事項および可能性のある有利な実施形態および実施形態の変形に関して、第1実施形態の範囲内で、上述の設計事項、実施形態および変形が参照され、適用できる。
【0035】
第2の特別な実施形態による潤滑オイルポンプ1の機能が、図2Aおよび2Bを用いて以下に詳細に記載される。図2Aおよび2Bでは、一次ピストン7は、一次ピストン7が主油圧シリンダボア4内でシリンダ軸10に沿って往復動可能に、二次ピストン72と接続している。
【0036】
一方の端部では、一次ピストン7は複数の閉じた噴射(シリンダ)ボア8を有し、この噴射ボア8は例えば一次ピストン内に機械加工され得るとともにそれぞれのこの噴射ボア8の中に噴射ピストン9が挿入される。各噴射ピストン9は、油圧シリンダハウジング3に固定されるので、一次ピストン7の圧縮および再充填ストロークの間、圧縮および真空がそれぞれ各噴射ボア8の内部に作られる。各噴射ボア8は、小さな穴を介して一次ピストン7の外側表面に機械加工されたそれ自体の軸方向溝V12に接続される。
【0037】
一次ピストン7の再充填位置では、各軸方向溝V12は主油圧シリンダボア4内に機械加工された注入溝に対して開き、図2Aに示されるように潤滑容積Vが確立された噴射ボア8に潤滑オイル2を再充填することを可能にする。
【0038】
一次ピストン7の圧縮ストローク中、二次ピストン72は、シリンダ軸10に沿った駆動運動を実行するために、したがって一次ピストン7を駆動するために、作動油圧油12により加圧される。一次ピストン7が動いているとき、一次ピストン7内の軸方向溝V12は注入溝に対して通常は閉じられるので、各噴射ボア8内の圧縮されたオイル2が潤滑オイル2の回路の入口側に短絡して戻ることを防ぐ。同時に、一次ピストン7内の軸方向溝V12は噴射ボア8から圧縮された潤滑オイル2を供給され、これらの溝は、圧縮された潤滑オイル2を出口チェック弁に送り、このチェック弁から潤滑オイル2の独立し、計量された、パルス状の流れがそれぞれ生じる。
【0039】
一次ピストン7の圧縮ストロークは、主油圧シリンダボア4の第2端部表面6により、および/または、二次ピストン72を介して、および/または、図2Bに示されるように潤滑容積Vを調整することを可能にする調整可能な停止装置により、制限される。停止装置は、例えばネジ山を備えるピン等を有することができる。
【0040】
一次ピストン7の再充填ストローク中、二次ピストン72に作用する作動油圧油12は放出することが認められる一方、一次ピストン7の第2作動面702は一次ピストン7の再充填ストロークを実行するためにバネにより加圧される。一次ピストンの移動中、真空が各噴射シリンダ8内で形成され、一次ピストンが再充填位置に到達して軸方向溝V12が主油圧シリンダボア4内の注入溝に対して開くとき、この真空は噴射ボア8に補給するために使われる。
【0041】
一次ピストン7の再充填ストロークは、主油圧シリンダボア4の第1端部表面5により、および/または、二次油圧シリンダボア42の端部表面での二次油圧ピストン72を介して、および/または、潤滑容積Vを調整することを可能にする調整可能な停止装置によりまたはこの停止装置で、制限される。停止装置は、例えばネジ山を備えるピン等を有することができる。
【0042】
本発明はさらに、上述の実施形態および実施形態の変形の何れかによる潤滑オイルポンプ1を有するシリンダ潤滑装置を含む。シリンダ潤滑装置の有利な実施形態では、潤滑オイルポンプ1の潤滑オイル入口V1に接続される加圧可能なオイル供給源が提供される。加圧可能なオイル供給源は、例えばコモンレールアキュムレータであり得る。
【0043】
さらに、本発明は、上述の実施形態および実施形態の変形の何れかによる潤滑オイルポンプ1を有する、または上述の実施形態によるシリンダ潤滑装置を有する、2ストローク大型ディーゼルエンジンのような内燃機関を含む。
図1
図2A
図2B