(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【背景技術】
【0002】
エストロゲン類、特にE2は、エストロゲン欠乏症状、すなわち、血管運動症状の処置のために、数十年使われている。ほてりは閉経期の最も一般的で煩わしい臨床症状であり、閉経後の女性の約75%に影響している(Sterns et al. Lancet 2002;360;1851−1861)。他の更年期症状は、気分変動、泌尿生殖器変化、性機能障害、及び皮膚変化を含む。ほてりの発生の増加は、閉経に伴う内因性エストロゲンの減少と関連している。更年期症状は、耐えられるものから、時に女性のクオリティオブライフに影響するほど重度な範囲の不快感及び苦痛を生ずる。また、閉経期における内因性エストロゲン喪失は、慢性疾患、例えば骨粗鬆症の進行のリスクを加速させる(Slemenda et al. Epidemiology of Osteoporisis. In:Treatment of the Postmenopausal Woman Basic and Clinical Aspects. Raven Press. New York. 1994、p. 161−168)。現在、米国には4000万人の閉経期の女性がおり、その約半数が63歳より上である(Warren et al. Clin Obstet Gynecol 2004;47(2);450−470)。余命が伸び続けているため、ほとんどの女性が、その3分の1の人生を閉経後に過ごす。
【0003】
E2用量は個々の応答に従い治療中に調節するが、治療を開始又は維持するために信頼を持って使用できる最低E2用量を確立することが重要であることは、言うまでもない。
【0004】
E2の最低初回量を特定するのに関連する重要な因子は、血管運動症状の急速で適切な緩和と、ほとんどの女性にとって適切であることを含む。有効であること以外に、初回量又は維持用量は、十分に忍容性があるべきである。
【0005】
Notelovitzら(Obstet Gynecol 2000;95(5);726−731)は、中度及び重度の血管運動症状の治療が必要であった閉経期女性の症状緩和のためのE2用量の範囲を評価し、その集めたデータを理想的な最低初回量を特定するために使用した。より具体的には、Notelovitzらは、無作為、二重盲検、プラセボ−コントロールの12週間の試験を行い、そこでは中度又は重度のほてりを有する333名の閉経期女性が0.25 mg E2、0.5 mg E2、1 mg E2、2 mg E2、又はプラセボ群(経口投与)に割り当てられた。ほてりの回数及び重症度が毎日記録された。
【0006】
Notelovitzらは、中度ないし重度のほてりの回数及び毎週のほてり重症度スコアによって評価して、E2用量と血管運動症状の減少の間には、顕著な直線的な用量−応答相関があることを見出した。12−週処置期間の終わりには、プラセボと比較して、ほてりの回数及び毎週のほてり重症度スコアは、0.5−、1−、及び2−mg群において、有意に減少した。しかし、4週目には、1−及び2−mg群のみがプラセボ群と比較して有意性を示した。
【0007】
したがって、Notelovitzらは、中度ないし重度の更年期症状の閉経期女性の処置に1 mg E2が最も有用な初期用量であると結論付けた。したがって、Notelovitzらによると、中度ないし重度の血管運動症状を患う女性の症状の緩和のために、低用量は複数回必要であるか(0.5 mg E2)又は有効でない(0.25 mg E2)。逆に、高用量の2 mg E2は症状の緩和に有効であるが、エストロゲン−関連有害事象の増加が付随する。
【発明を実施するための形態】
【0017】
本発明は、約0.5 mg E2及び約0.5 mg DRSP、及び少なくとも1種の薬学的に許容される賦形剤を含む投与形態に関する。
上に示した通り、この低用量療法に応答した患者の数は驚くべきことに多いことが見いだされた。
【0018】
本明細書の実施例から明らかな通り、4つの患者群について探索した;プラセボ群、0.3 mg E2(DRSPなし)を投与される第1処置群、及び0.25 mg DRSPと組み合わせて0.5 mg E2を投与される第2処置群、及び0.5 mg DRSPと組み合わせて0.5 mg E2を投与される第3処置群。実施例のデータから非常に明らかなように、第3処置群において応答した人数は、第1処置群及び第2群並びにプラセボ群において応答した人数に比べて有意に多かった。第2処置群及び第3処置群においては、同じE2用量を投与されたにもかかわらず、第3処置群において応答した対象の割合は、75.8%もの高さであり、第2処置群の62.7%の応答者と比較される。
【0019】
アンジェリーク(登録商標)製剤であるHRTを受けている応答者の数が多いことがよく知られているため、E2及びDRSPの用量を(アンジェリーク(登録商標)製剤におけるE2及びDRSPの用量に比べて)50%に低下させた場合に、応答する人数が50%未満に下がらないのは驚くべきことである。事実、上にすでに示したとおり、第2処置群における応答者の割合は62.7%もの高さであった。しかし、約0.25 mgから0.5 mg DRSPの用量を増加させると、E2は同量であるにもかかわらず、応答者は62.7%から75.8%に増加し、極めて強い相乗効果があるように見える。
抗アルドステロン活性を有するプロゲスチンであるDRSPは、HRTのためにE2と組み合わせて開発され、市販で入手可能なHRT製品、上述参照のアンジェリーク(登録商標)の一部を構成する。さらにDRSPは、現在使用されている他の合成プロゲスチンより内因性プロゲステロンにより密接に関連する薬理学的プロファイルにより特徴付けられる。HRT製品にDRSPを組み込む主な理由は、子宮内膜をE2の副作用から保護するためである。したがって、ここに報告するデータは、実に驚くべきものである。
【0020】
加えて、HRT製品、例えばアンジェリーク(登録商標)の継続的投与に関連する一般的な問題は、不正出血の発生である。本発明者らは、高E2用量を含有するHRT製品に比べて、本発明の低用量投与形態は、女性、特に閉経後の女性において不正出血をほとんど起こさないことを見出した。
本明細書中において使用するとき、用語「応答者」は、第4週において1日あたり(ベースラインと比較して)2.7回以上の中度ないし重度のほてりの減少、及び第12週において1日あたり(ベースラインと比較して)5.8回以上の中度ないし重度のほてりの減少を経験した女性と定義する。
【0021】
本明細書中、用語「E2」(又は「エストラジオール」)は、E2が、17−α−E2又は17−β−E2の形態でありうることを意味することを意図する。好ましくは、E2は17−β−E2の形態にある。また、用語「E2」(又は「エストラジオール」)は、E2の水和物形態、特にE2半水和物を含む。本明細書中において言及するすべてのE2用量は、無水E2を言うことは理解されるべきである。それゆえ、E2の水和物、例えばE2半水和物が使用するとき、述べた無水E2の用量と当モル量の用量が用いられることは理解されるであろう。例として、0.5 mgの無水E2は、0.5 x 1.033 mg = 0.52 mg用量のE2半水和物に対応することは容易に計算できる。用語「E2」(又は「エストラジオール」)は、またE2の薬学的に許容されるエステル、例えばE2安息香酸エステル又はE2吉草酸エステル、特にE2吉草酸エステルを含む。
【0022】
用語「約0.5 mg E2」は、0.5 mgよりわずかに少ないか又は多い用量、例えば0.45−0.55 mg、例えば0.48−0.52 mgの範囲のE2用量も用いてもよいことを意味することを意図する。E2用量の具体例は、0.45 mg、0.46 mg、0.47 mg、0.48 mg、0.49 mg、0.50 mg、0.51 mg、0.52 mg、0.53 mg、0.54 mg、及び0.55 mgを含む。好ましいE2用量は、0.50 mgである。同様にわずかに少ないか又は多い用量のE2半水和物及び薬学的に許容されるE2のエステルを用いうることは理解されるであろう。
【0023】
同様に、用語「約0.5 mg DRSP」は、0.5 mgよりもわずかに多い又は少ない用量、例えば、0.45−0.55 mg、例えば0.48−0.52 mgの範囲のDRSP用量もまた用いてもよいことを意味することを意図する。E2用量の具体例には、0.45 mg、0.46 mg、0.47 mg、0.48 mg、0.49 mg、0.50 mg、0.51 mg、0.52 mg、0.53 mg、0.54 mg、及び0.55 mgが含まれる。好ましいDRSP用量は0.5 mgである。
抗アルドステロン活性を有するプロゲスチンであるDRSPは、E2と組み合わせたHRTのために開発され、市販のHRT製品、上述参照のアンジェリーク(登録商標)の一部を構成する。さらにDRSPは、現在使用されている他の合成プロゲスチンより内因性プロゲステロンにより密接に関連する薬理学的プロフィールにより特徴付けられる。HRT製品にDRSPを組み込む主な理由は、子宮内膜をE2の有害作用から保護するためである。
【0024】
血管運動症状は、ほてり、寝汗のような発汗発作及び動悸を含むが、これらに限られない。血管運動症状はFDAガイドライン(上に引用する)により「軽度」、「中度」又は「重度」でありうる。それゆえ、本文脈においては、用語「軽度血管運動症状」は「発汗無しの熱感」と定義され;用語「中度血管運動症状」は「発汗を伴う熱感であるが、活動継続可能」と定義され;そして用語「重度血管運動症状」は「活動停止をもたらす、発汗を伴う熱感」と定義される。
【0025】
エストロゲン欠乏症の精神的な症状は、不眠症及び他の睡眠状態、記憶障害、自信喪失、気分変動、不安、性欲の喪失、集中の困難、決定の困難、活力及び意欲の減退、易怒性及び啼泣が含まれるが、これらに限られない。上述した症状の処置又は緩和は、女性の人生において閉経周辺期又は閉経後、時によっては閉経後長年経た後、関わりうる。本発明の投与形態は、また閉経周辺期、閉経期、閉経後の期間におけるこれらの及び他の一過性の症状にも適用可能であることが期待される。さらに前述の症状は、エストロゲン欠乏症の原因が生殖機能不全、性腺摘除又は原発性卵巣機能不全であるならば緩和できる。本発明の異なる態様において、本発明の投与形態は、エストロゲン欠乏の持続する作用の予防、処置又は緩和に用いられる。持続する作用は、身体的な変化、例えば、泌尿生殖器萎縮、乳房の萎縮、循環器疾患、体毛分布の変化、体毛の増加、皮膚状態の変化及び骨粗鬆症がある。泌尿生殖器萎縮、及びそれと関連する症状、例えば膣乾燥、膣pHの上昇及び続く微生物叢の変化、又はそのような萎縮を招く事象、例えば血管分布の減少、弾性線維の断片化、コラーゲン線維の融合、又は細胞体積の減少は、本発明の投与形態による予防、処置又は緩和に特に関連すると考えられる症状である。さらに、本発明の投与形態は、エストロゲン欠乏症に関わる他の泌尿生殖器変化、粘液生産の減少、細胞集団の変化、グリコーゲン産生の減少、乳酸菌の増殖の減少、又は連鎖球菌、ブドウ球菌、又は大腸菌の増殖の増加に関連すると考えられている。本発明の投与形態を投与することにより予防又は処置可能な他の関連する変化は、膣を傷害を受けやすく又は感染しやすくさせる可能性のあるもの、例えば滲出性分泌物、膣炎、及び性交疼痛がある。
【0026】
さらに、尿路感染症及び失禁はエストロゲンレベルの低下に関連する他の一般的な症状である。本発明の他の態様は、エストロゲン欠乏症に関連する身体的な変化、例えば、皮膚状態の変化、体毛分布の変化、体毛の増加、乳房の萎縮、又は骨粗鬆症の予防、処置又は緩和が含まれる。さらに、骨の脱塩、骨量及び骨密度の減少、骨小柱のやせ細り及び障害、及び/又は結果としての骨折又は骨変形の増加が特に関連があると考えられている。本発明の投与形態の骨粗鬆症への予防的処置は興味深い治療適用である。本発明の特に興味深い態様は、ほてり(特に中度ないし重度のほてり)、発汗発作、動悸、睡眠状態、気分変動、緊張感、不安、記憶障害、自信喪失、性欲喪失、集中力欠如、活力の低下、意欲の減退、易怒性、泌尿生殖器萎縮、乳房の萎縮、循環器疾患、体毛分布の変化、体毛の増加、皮膚状態の変化及び骨粗鬆症(骨粗鬆症予防を含む)の頻度、持続性、期間及び/又は重症度の減少に関し、最も顕著には、ほてり、発汗発作、動悸、睡眠状態、気分変動、緊張感、不安、泌尿生殖器萎縮、乳房の萎縮、並びに骨粗鬆症の予防又は管理に関する。本発明の他の興味深い態様は、ほてり、発汗発作、動悸、睡眠状態、気分変動、緊張感、不安、記憶障害、自信喪失、性欲喪失、集中力欠如、活力の低下、駆動力の減退、易怒性、泌尿生殖器萎縮、乳房の萎縮、循環器疾患、体毛分布の変化、体毛の増加、皮膚状態の変化及び骨粗鬆症(骨粗鬆症予防を含む)の予防、処置又は緩和であり、最も顕著には、ほてり、発汗発作、動悸、睡眠状態、気分変動、緊張感、不安、泌尿生殖器萎縮、乳房の萎縮、並びに骨粗鬆症の予防又は管理である。
【0027】
当然のことながら、本発明の投与形態は、上述した症状の初期処置として、特に中度ないし重度のほてりのような血管運動症状の予防、処置又は緩和にすぐに用いるのに適する。あるいは、本発明の投与形態は、維持療法として用いられ得、すなわち、血管運動症状を患う女性に、より高用量のHRT製品、例えばアンジェリーク(登録商標)での初期処置後に、ここに記載するHRT製品に下方変更してよい。
好ましい態様としては、本発明により治療される女性は、閉経後の女性である。
【0028】
用語「閉経周辺期」、「閉経」及び「閉経後」は、例えば、「Menopause Practice:A Clinicians’s Guide」、3rd Edition、2007,The North American Menopause Society(NAMS)のセクションAに定義されるその通常の意味で用いられる。より具体的には、用語「閉経」は、最後の自然な(卵巣−誘発性)月経であると理解される。それは、1回の事象であり、加齢による卵胞の機能不全である。閉経は、卵巣が性ホルモンであるエストロゲン及びプロゲステロン産生を低下させることから生じる。卵胞の数が特定の閾値以下に減少すると、卵巣は、もはや成熟した卵胞及び性ホルモンを生成できなくなる。再生産能力の終わりが閉経となる。閉経周辺期は、周期が不規則となったときの更年期症状の開始に始まり、閉経後1年で終わる。閉経周辺期の終わりは、出血のない期間が長引くことにより特定できる。閉経後は、閉経から始まり、死ぬまで続く相である。
【0029】
本発明により治療されるべき女性は、子宮摘出又は非−子宮摘出女性でありうる。本発明の興味深い態様としては、本発明により治療されるのは非−子宮摘出女性、特に閉経後の非−子宮摘出女性である。
子宮摘出は、外科的な子宮の除去である。子宮全摘出は子宮及び子宮頚部の除去である。子宮部分摘出は、子宮頚部を残した子宮の除去である(子宮膣上部切断術とも呼ばれる)。子宮摘出は、外科的な卵巣の除去を伴いうる(卵巣摘出)。女性生殖腺、卵巣の除去は、女性の去勢である。両側の卵管−卵巣摘出(両側の卵巣の除去、すなわち去勢)を伴う子宮全摘出を行った女性は、多くのエストロゲン及びプロゲスチンを含むホルモン産生のほとんどを失う。自然閉経を経た女性は、無傷で、機能的な女性器を有するのに対し、子宮摘出され、去勢された女性は有しない。従って、ここでの文脈では、用語「子宮摘出女性」は、子宮全摘又は部分摘出術を受けた女性を言い、「非−子宮摘出女性」は、子宮全摘又は部分摘出術を受けていない女性を言う。
【0030】
上に述べたとおり、本発明の投与形態は、上述の症状の初期処置、特に中度ないし重度のほてりのような血管運動症状の予防、処置又は緩和にすぐに用いるのに適切である。従って、興味深い態様としては、本発明の投与形態は、エストロゲン治療をこれまでに受けたことがない女性、又は現在エストロゲン治療を受けていない女性に投与する。他の興味深い態様としては、本発明の投与形態は、これまでにエストロゲン治療を受けたことのある女性、又は現在エストロゲン治療を受けている女性、特にE2の一日投与量>0.5 mgであるエストロゲン治療を受けている女性に投与する。
本発明の文脈において、用語「経口固体投与形態」は、一般に、錠剤(内服のみの形態及びチュアブル形態の両方)、カプセル剤、顆粒剤、小袋に封入された顆粒剤及び丸薬を言う。このように、本発明の投与形態は、錠剤、カプセル剤、ジェルキャップ、顆粒剤、サシェ剤又は丸薬の形態でありうる。本発明の好ましい態様としては、錠剤又はカプセル剤の投与形態、特に錠剤の形態である。
【0031】
本発明の投与形態は、好ましくは速放性投与形態で提供される。ここで使用するとき、用語、「速放性」は、50 rpmの回転速度でUSP XXIII パドル法IIを用いて、37℃において900 mLの水、又は900 mLの0.1N HCl溶解試験を行った場合、活性成分の少なくとも一方、しかし好ましくは両方の少なくとも70%が、30分以内に溶解することを意味する。好ましい態様としては、上述の溶解試験を行った場合に、活性成分の少なくとも一方、しかし好ましくは両方の少なくとも80%が、30分以内に溶解することを意味する。さらにより好ましい態様としては、上述の溶解試験を行った場合に、活性成分の少なくとも一方、しかし好ましくは両方の少なくとも90%がが、30分以内に溶解することを意味する。
【0032】
速放性投与形態の調製は当業者によく知られている。溶解特性に影響を与える種々の因子の一般的な記載は、例えば、Remington’s Pharmaceutical Sciences、第18版、1990、チャプタ31、591−595頁にある。例えば、速放性投与形態は、例えば、国際公開第01/52857号に記載されているように、微粉化された活性成分を提供することにより調製してよい。あるいは、例えば、国際公開第01/52857号に記載されているように活性成分を適切な有機溶媒に溶解し、活性成分を続いて不活性担体粒子の表面にスプレーすることにより、活性成分を該不活性担体粒子に沈着させてよい。さらに別法として、速放性投与形態は、国際公開第01/52857号に記載されているように、投与形態に溶解−促進賦形剤を組み込んで調製してよい。好ましい溶解−促進賦形剤は、例えば、国際公開第2006/128907号5頁5行から7頁4行に記載されている界面活性剤である。これらの界面活性剤においては、いわゆるポリソルベート類、特にポリソルベート80が好ましい。当業者に知られているとおり、ポリソルベートは商標ツイーン(登録商標)として市販されている。更なる別法として、速放性投与形態は、国際公開第2009/138224号に記載されているように、活性成分をアモルファス形態で提供することにより調製してよい。
【0033】
ここで使用するとき、用語「微粉化」は、活性成分が、レーザー回折によって以下の分子サイズ分布を有するものを意味する:90%の粒子が直径≦20μmであり、50%の粒子が≦10μm、好ましくは≦5μmである。用語「微粉化」はまた、レーザー回折によって決定された粒子サイズ分布の90%が直径0.1μmより大きく、好ましくは0.2μmより大きいことであることは理解されるべきである。レーザー回折による粒子の大きさの決定は、圧力1−4バールで操作するSympatec HELIOS(散乱)を使用して行ってよい。
【0034】
上に述べたとおり、本発明の投与形態は、好ましくは活性成分の速放性を示す。これは、同様に、活性成分の迅速な放出を可能とするため、投与形態の崩壊時間が好ましくは短いことを意味する。崩壊時間は、ディスクを用いずに米国薬局方(USP 27;チャプタ<701>)に従って行い、好ましくは、10分未満、より好ましくは5分未満である。さらにより好ましい態様としては、崩壊時間は4分未満、例えば3分、例えば2分未満である。
【0035】
用語「バイオアベイラビリティ」は、経口投与後に循環血中に吸収されたDRSP又はE2の量を意味し、しばしば、同一の活性成分の類似量を静脈内(i.v.)投与した後に循環血中に存在する量に比較して決定される。バイオアベイラビリティは、AUC
0−24時間(経口投与)/AUC
0−24時間(i.v.投与)比として決定されうる。
【0036】
例えば、国際公開第2006/048261号に記載されているように、低用量のE2を含有する投与形態は、ポリビニルピロリドン(PVP)より大きい又は同等の酸化のような分解能力を有する賦形剤中では化学的に不安定になりうる。従って、そのような賦形剤の量は発明の投与形態では多すぎないことが好ましい。それゆえ、本発明の興味深い態様としては、PVP対E2の重量比が10:1以下である投与形態を含む。絶対数では、本発明の投与形態は、好ましくは、5 mg未満のPVP、例えば約4 mg PVPを含有する。
【0037】
用語「ポリビニルピロリドン」(又は「PVP」)は、経験式(C
6H
9NO)
nを有し、分子量の範囲が2,500ないし3,000,000であり、本質的に直鎖の1−ビニル−2−ピロリドン基を有する合成ポリマーを意味する。当然、E2に対してPVPと同様の酸化力を有する他の賦形剤は、好ましくは本発明の投与形態において除外されるか、限定的な量で用いられる。このような他の賦形剤の例はクロスポビドンでありうる。固体投与形態中に使用するとき、PVPは多様な機能を有し、例えば、崩壊剤、溶解助剤(可溶化剤、湿潤性の改善)、懸濁化剤及び錠剤結合剤として作用する。特にPVPは、実際の溶解が起こり得る前に胃液において活性薬物を溶解する危険な過程を克服するため、極めて疎水性の薬物と組み合わせて用いられる。
本発明における一方または両方の活性成分、特にE2であるが、の化学的安定性を改善するため、シクロデキストリンと複合化させてよい。
【0038】
用語「E2−シクロデキストリン複合体」又は「シクロデキストリンと複合化したE2」は、E2分子が少なくとも部分的にシクロデキストリン分子の空隙に包摂されているE2とシクロデキストリンの間の複合体を意味することを意図する。E2とシクロデキストリンの分子比は、任意の望ましい値に調節してよい。本発明の興味深い態様としては、E2とシクロデキストリンの分子比は、約2:1ないし1:10であり、好ましくは約1:1ないし1:5であり、最も好ましくは約1:1ないし1:3、例えば1:1又は1:2、特に1:2である。さらに、E2分子は少なくとも2個以上のシクロデキストリン分子の空隙に少なくとも部分的に包摂されていてよく、例えば、単一のE2分子が2個のシクロデキストリン分子に包摂され、E2とシクロデキストリンの比が1:2となりうる。同様に、複合体は単一のシクロデキストリン分子に少なくとも部分的に包摂された1個以上のE2分子を含んでよく、例えば2個のE2分子が単一のシクロデキストリン分子に少なくとも部分的に包摂され、E2とシクロデキストリンの比が2:1となりうる。E2とシクロデキストリンの複合体は、当該分野に知られた方法で得られ、例えば、米国特許出願公開5,798,338号及び欧州特許出願公開第1 353 700号に記載されている。
【0039】
用語「DRSP−シクロデキストリン複合体」又は「シクロデキストリンと複合化したDRSP」は、DRSP分子が少なくとも部分的にシクロデキストリン分子の空隙に包摂されているDRSPとシクロデキストリンの間の複合体を意味することを意図する。DRSPとシクロデキストリンの分子比は、任意の望ましい値に調節してよい。本発明の興味深い態様としては、DRSPとシクロデキストリンの分子比は、約2:1ないし1:10であり、好ましくは約1:1ないし1:5であり、最も好ましくは約1:1ないし1:3、特に1:3である。さらに、DRSP分子は少なくとも2個以上のシクロデキストリン分子の空隙に少なくとも部分的に包摂されていてよく、例えば、単一のDRSP分子が2個または3個のシクロデキストリン分子に包摂され、DRSPとシクロデキストリンの比が1:2又は1:3となりうる。同様に、複合体は単一のシクロデキストリン分子に少なくとも部分的に包摂された1個以上のDRSP分子を含んでよく、例えば2個のDRSP分子が単一のシクロデキストリン分子に少なくとも部分的に包摂され、DRSPとシクロデキストリンの比が2:1となりうる。DRSPとシクロデキストリンの複合体は、当該分野に知られた方法で得られ、例えば、米国特許出願公開6,610,670号及びそこに引用されている文献に記載されている。
【0040】
用語「シクロデキストリン」は、シクロデキストリン又はその誘導体並びに種々のシクロデキストリンの混合物、シクロデキストリンの種々の誘導体の混合物及び種々のシクロデキストリン及びその誘導体の混合物を意味することを意図する。シクロデキストリンは、α−シクロデキストリン、β−シクロデキストリン、γ−シクロデキストリン及びその誘導体からなる群から選択される。β−シクロデキストリンが特に好ましい。シクロデキストリンは、大員環の1級又は2級ヒドロキシル基がいくつか又は全てアルキル化またはアシル化されるように修飾されていてよい。これらのヒドロキシル基の修飾方法は当該分野においてよく知られており、多くのそのような修飾デキストリンは、市販されている。それゆえ、シクロデキストリンのヒドロキシル基のいくつか又は全ては、O−R基又はO−C(O)−R基で置換されていてよく、ここで、Rは、場合により置換されたC
1−6−アルキル、場合により置換されたC2−6−アルケニル、場合により置換されたC
2−6−アルキニル、場合により置換されたアリール又はヘテロアリール基である。それゆえ、Rは、メチル、エチル、プロピル、ブチル、ペンチル、又はヘキシル基であってもよく、すなわちO−C(O)−Rはアセテートであってもよい。さらに、ヒドロキシル基は、大員環の一表面においてのみペルベンジル化、ペルベンゾイル化、ベンジル化又はベンゾイル化されていてよく、すなわち、1、2、3、4、5又は6のヒドロキシル基がベンジル化又はベンゾイル化されていてよい。また当然、ヒドロキシル基は、大員環の一表面においてのみペル−アルキル化又はペル−アシル化、例えばペル−メチル化又はペル−アセチル化、アルキル化又はアシル化、例えばメチル化又はアセチル化されていてもよく、すなわち、1、2、3、4、5又は6のヒドロキシル基がアルキル化又はアシル化、例えばメチル化又はアセチル化されていてもよい。通常用いられるシクロデキストリンは、ヒドロキシプロピル−β−シクロデキストリン、DIMEB、RAMEB及びスルホアルキルエーテルシクロデキストリン、例えばスルホブチルエーテルシクロデキストリン(商標Captisol(登録商標)として入手できる)である。シクロデキストリン−複合化活性成分は実際考慮されるが、本発明の1つの投与形態は、シクロデキストリンを全く含有しない。
【0041】
ここでの文脈において用語「C
1−6−アルキル」は、1ないし6の炭素原子を有する直鎖又は分岐鎖飽和炭化水素鎖、例えばメチル;エチル;プロピル、例えば、n−プロピル及びイソプロピル;ブチル、例えば、n−ブチル、イソブチル、sec−ブチル及びtert−ブチル;ペンチル、例えば、n−ペンチル、イソペンチル及びネオペンチル;及びヘキシル、例えば、n−ヘキシル及びイソヘキシルを意味することを意図する。同様に用語「C1−4−アルキル」は、1ないし4の炭素原子を有する直鎖又は分岐鎖飽和炭化水素鎖、例えばメチル;エチル;プロピル、例えば、n−プロピル及びイソプロピル;及びブチル、例えば、n−ブチル、イソブチル、sec−ブチルおよびtert−ブチルを意味することを意図する。
DRSPとE2との様々なシクロデキストリン複合体を上述したが、現在のところ、DRSPもE2もシクロデキストリンと複合体を形成しないことが好ましい。従って、好ましい態様としては、本発明の投与形態はシクロデキストリンを含有しない。
【0042】
ここで使用するとき、用語「結合剤」とは、一般に、粉末物質に対して粘着性を与え、それにより粉末物質の一次粒子を二次凝集体に結合する薬剤を述べることを意味する。活性成分の粉末混合物を直接圧縮して錠剤とすることを含む工程を用いて錠剤を製造する場合、圧縮工程の間に錠剤の接着性を増加させるために粉末混合物に結合剤を加える。従って、結合剤は「外相」に含まれると言われる。逆に、活性成分が、顆粒の賦形剤と組み合わさった投与形態を製造する場合、すなわち、製造工程が造粒工程を含むとき、結合剤は得られる顆粒を安定化するため、造粒混合物に加えてよい。その場合、結合剤は「内相」にあると言われる。また結合剤は、造粒工程の完了後に加えてもよく、これは「外相」における結合剤に関連する。それゆえ、用語「内相」は顆粒内の組成物を言い、「外相」は顆粒外の組成物を言うと理解される。本発明の興味深い態様としては、結合剤は好ましくは「内相」にある。「内相」結合剤を有することを望むとき、結合剤は場合により、粉末物質の混合物に乾燥粉末として加えることもできることを、当業者は知っている。他の選択肢として、結合剤を、水又は他の適切な溶媒又は水溶液を含む混合溶媒に溶解又は懸濁させ、これを続いて造粒液として用いる。さらに異なる選択肢として、粉末混合物に一部乾燥粉末として及び一部造粒液を介して溶解又は懸濁させた形態として結合剤を加える。
【0043】
用語「第一選択結合剤」は、結合剤として作用し(乾燥並びに湿潤、膨潤及び溶解した形態において)、また可溶化性のある結合剤を含む。PVPは、そのような結合剤の一例である。用語「第二選択結合剤」は、経口投与形態の製剤の形態において、乾燥、湿潤、膨潤又は溶解した形態にある結合剤として作用する結合剤を含む。それらは、湿潤性がないか、わずかしかないことを特徴とする。すなわち、「第二選択結合剤」を含む媒体(例えば水溶液)とエストロゲン、例えばE2を接触させるに当たり、媒体とエストロゲンの接触角が事実上減少しないか全く減少しないことを意味する。さらに、そのような結合剤は、通常、活性成分の溶解速度を増加させない。通常用いられる結合剤は、アカシア;アルギン酸;アルカリ金属アルギン酸塩;カルボマー;デキストリン;リン酸二カルシウム;ゼラチン;グルコース;グアーガム;水素化植物油;ケイ酸アルミニウムマグネシウム;スプレー凝固マンニトール;ゼイン;デンプン、例えば、トウモロコシデンプン、ジャガイモデンプン、コメデンプン、タピオカデンプン又はコムギデンプン;一部又は完全に修飾した又はアルファ化したデンプン;デンプン誘導体、例えばマルトデキストリン;部分又は完全変性又はアルファ化デンプン;セルロース、例えば微結晶セルロース;セルロース誘導体、例えば、カルボキシメチルセルロース、エチルセルロース、ヒドロキシプロピルセルロース、ヒドロキシエチルメチルセルロース、ヒドロキシプロピルメチルセルロース及びメチルセルロース;及びそれらの混合物を含む。
【0044】
「デンプン」とは、一般に経験式(C
6H
10O
5)
n(式中、nが300−1000である)を有し、α−グルコース単位に基づくポリ多糖であるアミロース及びアミロペクチンから成る分子量が50,000−160,000である物質を意味する。デンプンは、植物性物質から得られ、主として、へそ核(hilum nucleus)の周囲に形成されるデンプン分子の積層された層を含む小さな微小顆粒(直径5−25ミクロン)の形態で見られる。デンプン顆粒は、球形、楕円形又は角のある形でよく、アミロース及びアミロペクチンである2個の無水D−グルコースポリマーが放射状に凝集した結晶からなる。前者は、α−1−4−グリコシド結合によって結合された数百のグルコース単位のポリマーの直鎖である。アミロペクチンは、分岐点におけるα−1−6−グリコシド及び直鎖領域におけるα−1−4結合を有する数千のグルコース単位の分岐鎖ポリマーである。個々の分岐部は20−30グルコース残基を有しうる。
本発明の特定の態様としては、デンプンは、10〜40重量%の範囲でアミロースを含有するデンプンから選択される。典型例は、トウモロコシデンプン、ジャガイモデンプン、コメデンプン、タピオカデンプン及びコムギデンプンである。
【0045】
本発明の一態様としては、デンプンを、投与形態の1−5重量%濃度で、好ましくは2−3重量%の範囲で結合剤として用いる。デンプンは、造粒液中で膨潤した、懸濁した又は溶解した形態で又は乾燥粉末の形態で用いてよい。デンプンは、その修飾していない、修飾した並びに一部修飾した形態で用いてよい。DRSP、E2及び少なくとも1種の薬学的に許容される賦形剤の粉末混合物を造粒する目的で、ここで使用するときには、デンプンは好ましくは非修飾形態である。しかしデンプンの総量は、上に示したより相当多く、例えば投与形態の5−25重量%であってよい。
用語「修飾デンプン」及び「アルファ化デンプン」は同義的に使用され、化学的及び/又は機械的工程により、水の存在下、顆粒の全て又は一部を破壊し、続いて乾燥させたデンプンを規定することを意図する。ある種のアルファ化デンプンは、改善された圧縮性及び流動性を有する。典型的なアルファ化デンプンは、5%遊離アミロース、15%遊離アミロペクチン及び80%非修飾デンプンを含有する。アルファ化デンプンは上述した化学的及び/又は機械的方法により加工したトウモロコシデンプンでありうる。例えばコメ又はジャガイモデンプンのようなトウモロコシデンプン以外のデンプンを、アルファ化してよい。
【0046】
用語「一部修飾デンプン」及び「アルファ化デンプン」は同義的に使用され、アルファ化デンプンに比べて低い割合で修飾されたアルファ化デンプンを規定することを意図する。医薬品グレードの完全アルファ化デンプンは、添加物を用いず、非アルファ化デンプンの水溶性懸濁液をアルファ化及び続く乾燥が行われる温熱ドラムの上に広げることにより調製される。湿潤したデンプンを機械的圧縮工程にかけると、一部アルファ化されたデンプンが得られる。
用語「非修飾デンプン」は、上述の用語「デンプン」のもと定義された、加工していないデンプンを規定することを意味する。
【0047】
用語「セルロース誘導体」は、遊離ヒドロキシ基の一部又は全てが、エーテル及び/又はエステル基によって置換されているセルロースを含むことを意味する。それゆえ、セルロース誘導体は、セルロースエステル及び/又はセルロースエーテルである。エーテル又はエステル基は、10炭素原子までの様々な長さの炭素鎖を有していてよく、好ましくは8、6、5、又は4炭素原子までである。セルロース誘導体の典型例は、カルボキシメチルセルロースナトリウム、エチルセルロース、ヒドロキシプロピルセルロース、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、メチルセルロースである。興味深い結合剤は、低置換セルロース誘導体、特にヒドロキシプロピルメチルセルロース及びヒドロキシプロピルセルロースである。用語「低置換」は、ヒドロキシル基の5%以上、かつ16%以下がエーテル及び/又はエステル基により置換されていることを示す。セルロース誘導体は2%の水溶液で生じた粘度がに従い選択しうる。典型的には、結合剤として適切なセルロース誘導体は、2%水溶液で1-20 mPas、好ましくは2-12 mPas、最も好ましくは約3-6 mPasの粘度を生じる。セルロース誘導体は、典型的には投与形態の0.5−5重量%の濃度で使用される。
【0048】
本発明の興味深い態様としては、ヒドロキシプロピルセルロース、例えば、低置換ヒドロキシプロピルセルロースは、投与形態の0.5−5重量%、好ましくは1−3重量%の範囲で用いられる。
本発明の好ましい態様としては、結合剤は、顆粒混合物のいわゆる「内相」に活性成分及び場合により1種以上の追加の薬学的に許容される賦形剤と共に存在する。それゆえ結合剤は、適切な造流液に懸濁又は溶解させて、これを続いて、活性成分の粉末混合物にスプレーしてよい。結合剤を顆粒製剤の製造に使用することを考えると、好ましくは結合剤は、非修飾デンプン、マルトデキストリン、ヒドロキシプロピルセルロース及びヒドロキシプロピルメチルセルロースから選択される。
【0049】
それゆえ、本発明のある態様としては、結合剤は、内相にのみ、すなわち、内部に及び/又は顆粒形態の活性成分の表面に存在することは理解されるべきである。本発明の他の態様としては、結合剤は外相に、すなわち顆粒の外側にのみ存在する。本発明のさらに異なる態様としては、結合剤は内相並びに外相に存在する。
本発明の投与形態は超崩壊剤を含有してよい。しかし、現在のところ、本発明の投与形態の好ましい崩壊特性により超崩壊剤の添加は必要でないと考えられている。超崩壊剤の具体例としては、デンプングリコール酸ナトリウム、クロスカルメロース及び架橋PVPを含む。従って、好ましい態様としては、本発明の投与形態は超崩壊剤を含有しない。
【0050】
用語「崩壊剤」は、投与形態が断片及び粒子に破壊され、活性成分の大きな表面領域を胃液に曝し、それゆえ、より迅速に溶解することを可能とする、崩壊工程を確実にする薬剤と定義することを意味する。典型的な「通常の」崩壊剤の例は寒天;アルギン酸;アルギン酸塩;ベントナイト;ビーガム(veegum);セルロース誘導体、例えばカルボキシメチルセルロースナトリウム;ゼラチン;ペクチン;デンプンのりメタクリル酸誘導体;非修飾、修飾並びに一部修飾デンプン;多糖誘導体、例えば、大豆多糖類;シクロデキストリン重合体;及びキシランである。崩壊剤は、内相又は外相に存在していてもよい。本発明の興味深い態様としては、崩壊剤はデンプン、例えば、非修飾デンプンと修飾デンプンの混合物である。
【0051】
本発明の投与形態に含まれうるさらなる賦形剤の追加の例は、充填剤(糖、例えば乳糖、ショ糖、デキストロース及びデキストレート;糖アルコール、例えば、マンニトール、ソルビトール及びキシリトール;アルカリ土類金属の炭酸塩及びリン酸塩、例えば、炭酸カルシウム及びリン酸カルシウム;セルロース、例えば粉末セルロース及び微結晶セルロース;コロイドシリカ;二酸化チタン;カオリン;タルク)、及び滑沢剤(例えばステアリン酸マグネシウム)を含む。
好ましい投与形態が錠剤の形態であることを考えると、迅速な崩壊をするために考慮すべき追加の重要なパラメータは、錠剤の硬度である。圧縮錠剤は、包装、輸送及び投与において物理的な圧力に耐えるために十分な硬度を示しうる。他方で、その硬度は、錠剤の迅速な崩壊を可能とするべきである。それゆえ、本発明の一態様としては、硬化剤が加えられる。
【0052】
本発明の文脈において、用語「硬化剤」は、硬度を高めるために圧縮錠剤組成物に組み込まれる賦形剤を意味する。硬化剤の例は、炭酸カルシウム;リン酸二カルシウム及びリン酸三カルシウム;硫酸カルシウム;微結晶セルロース;粉末セルロース;デキストレート;デキストリン;糖、例えば、デキストロース、フルクトース、乳糖、マンニトール、ソルビトール及びショ糖;パルミトステアリン酸グリセリン;カオリン;炭酸マグネシウム;酸化マグネシウム;マルトデキストリン;塩化カリウム、塩化ナトリウム;デンプン;アルファ化デンプン;タルク及び水素化植物油が含まれる。好ましい態様としては、硬化剤は、変性デンプンである。
錠剤の「硬度」は、錠剤を破壊するのに必要な力N(ニュートン)で測定される。興味深い態様としては、本発明の錠剤は、約80 mg重量である円形錠剤コアに相当する、25Nないし120N、好ましくは35Nないし90N、最も好ましくは40Nないし80Nの硬度の範囲である。錠剤の大きさ及び形に依存して適切な硬度を規定することは当該分野においてよく知られている。
【0053】
好ましい態様としては、錠剤の核は、錠剤の嚥下を容易にするために、フィルムコーティングを施す。フィルムコーティングは、フィルムコーティング剤、例えばヒドロキシプロピルメチルセルロース、マクロゴール、タルク、及び着色剤、例えば、二酸化チタン、黄色酸化鉄色素を含有してよい。
投与形態が好ましくは速放性投与形態であるため、投与形態は、胃抵抗性フィルムコーティング(腸溶性フィルムコーティング)を含有しないのが好ましい。
【0054】
用語「顆粒形態」は、活性成分及び1種以上の賦形剤が部分的に凝集した粒子及び/又は顆粒に変換された場合に、得られた物理形態が未加工粉末混合物より大きい粒子径を有することを示す。変換は、当業者に知られている任意の適切な装置を用いて行ってよく、好ましくは、適切な顆粒化装置を用いて粉末混合物を顆粒液と接触させること、例えば流動床顆粒化装置によって行われる。
用語「造粒」とは、活性成分及び賦形剤を含む粉末が、非加工粉末よりも大きい粒子を有する粒子及び/又は顆粒に一部凝集する、機械的な工程であると理解される。一態様としては、DRSP及びE2及び賦形剤の粉末混合物を、結合剤を含んでよく、膨潤した、一部溶解した又は完全に溶解した造粒液と接触させる。造粒液は、任意の適切な溶媒であってよいが、一般に水溶液又は単に水が適用される。一態様としては、粉末混合物を、湿式造粒法のための適切な装置、例えば、流動床装置を用いて造粒液と接触させる。さらに、流動床顆粒化の代わりに高せん断造粒を使用できる。
【0055】
本発明の他の適切な態様としては、造粒液は、結合剤を含有しない。結合剤を、続いて、造粒液と同時にDRSP及びE2の粉末混合物に乾燥形態で加える。
上に述べたとおり、本発明の他の態様としては、数個の個別包装され、個々に分離できる固体投与形態を含有し、少なくとも21日間の経口投与形態を意図する包装ユニットに関する。そのような包装ユニットは、経口避妊薬に準じた方法で調製され、例えば、通常のブリスター包装又はこの目的のために知られたあらゆる他の形態、例えば、ボール紙、板紙、ホイルプラスチック裏打ちを備え、適当なカバーで覆われた密閉されたブリスター包装中の、適切な数の投与ユニットを含有する包装であってよい。各ブリスター包装は、番号を付されているか、他の印をつけられてよい。本発明の好ましい態様としては、経口投与は28日間を意図し、すなわちこの場合のブリスター包装は、28個の個別包装され、個々に分離できる投与形態を含む。あきらかに、この場合の投与形態の数は、28個又は28の倍数、例えば、2〜12×28個、例えば、2〜6×28個である。
本発明はさらに非限定的な実施例によってさらに説明される。
【実施例1】
【0056】
実施例1−臨床試験
治験デザイン
本臨床試験は、12週の処置期間にわたり、閉経後女性における中度ないし重度の血管運動症状の緩和のための経口投与E2の最低有効用量の決定のための多施設、二重盲検、無作為、プラセボコントロール試験であった。
プラセボ群は、12週にわたり毎日0 mg E2(及びDRSPなし)を含有する錠剤を受領した。
第1処置群は、12週にわたり毎日
0.3 mg E2(及びDRSPなし)を含有する錠剤を受領した。
第2処置群は、12週にわたり毎日0.5 mg E2及び0.25 mg DRSPを含有する錠剤を受領した。
第3処置群は、12週にわたり毎日0.5 mg E2及び0.5 mg DRSPを含有する錠剤を受領した。
4群全て、中度ないし重度のほてりの頻度について、ベースラインで同等な平均及び中央値を有していた。
【0057】
有効性
以下の表は、処置群の応答者の割合を示す。
【表1】
1)p−値は、プラセボ群と問題となっている処置群を、フィッシャーの正確確率検定で比較して行った。