(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明を実施するための形態】
【0010】
[第1実施例]
この発明による軸受構造を適用した回転型スイッチの実施例の分解斜視図を
図1に示し、その軸方向断面図を
図2に示す。
【0011】
この回転型スイッチは円柱状の回動操作軸10と、その回動操作軸10が挿通される軸受20と、回動操作軸10に装着固定され回動される回転子7と、ホルダ6を有している。
【0012】
回動操作軸10は樹脂または金属で形成され、軸方向に平行に面取りされた外周面を有する円柱状の操作部11と、操作部11の一端から径が小とされて軸方向に延長した円柱状の保持部12と、保持部12の一端から径が更に小とされ軸方向に延長した円柱状の駆動部13とを同軸に有している。操作部11の保持部12側端面は操作部11の外周縁から半径方向の段部10Sを形成し、その段部10Sの半径方向中間位置から保持部12の外周面まで延びるテーパー面10Tが形成されている。保持部12の、操作部11から反対側の端面に隣接して外周に環状溝12aが形成されている。駆動部13は軸中心線を挟んで両側が軸方向と平行に面取りされ、従って軸中心線と直角な断面は四辺形の対向2辺が円弧とされた形状を有している。
【0013】
軸受20は樹脂または金属で形成され、回動操作軸10の操作部11の外径より小さい内径を有し保持部12が挿通される軸穴24を有する円筒部21と、円筒部21の一端に一体形成されたほぼ直方体のハウジング部22とを有する。円筒部21の外周面には回転型スイッチが使用される機器の筐体に取り付けるためのネジが形成されている。円筒部21の先端部において軸穴24の内周縁に軸方向に対しテーパー面20Tが軸穴24の外に向かって内径が大となるよう形成されている。ハウジング部22には軸穴24に連通し、軸穴24と同心にそれより径が大の円形の収容凹部23が形成され、円筒部21と反対側の面に開放されている。段部10Sに形成されたテーパー面10Tと円筒部21に形成されたテーパー面20Tは
図2の断面で示すように、段部10Sに向かって互いに角度が開く関係とされている。
【0014】
内径が保持部12の外径とほぼ等しく、外径が回動操作軸10の操作部11の外径より小であり、金属バネ材で形成された断面が円形で、切断された環状のリングバネ3がテーパー面10Tと20Tの間に弾性的に挟まれて回動操作軸10に装着され、保持部12が軸受20の軸穴24に挿通され、その状態で、収容凹部23内に突出した保持部12の端部の環状溝12aに外径が軸穴24の内径より大で、環が切断されたバネ性金属の固定リング4が嵌合され、軸穴24と隣接する収容凹部23の底面23aと係合して回動操作軸10が抜け止めされる。このとき、テーパー面10Tと20T間に挟まれたリングバネ3はテーパー面20Tにより段部10Sに向けて弾性的に押圧され、切断された環が開くように弾性的に変形されている。回動操作軸10に軸方向及び/または半径方向の外力が与えられると、リングバネ3は更に段部10Sに向けて押し上げられ、更に環が開くように変形し、それに抗して環を閉じる方向の弾性力がリングバネ3をテーパー面20Tを軸方向に押し返すことで外力に抗する。これにより、回動操作軸10の、軸受20に対する軸方向及び半径方向のガタが弾性的に抑制される。従って、操作者は滑らかな回動操作感が得られる。
【0015】
回転子7は樹脂で形成され、回動操作軸10の駆動部13の断面と同じ断面形状の軸穴7Dが形成された回動軸7Aと、回動軸7Aと同軸に一体形成されその一端に軸方向と直角な板面を有するディスク部7Bとを有し、ハウジング部22の収容凹部23内に回動自在に配置される。ディスク部7Bの軸受け20と反対側の板面にその面と同一面となるよう金属板を型抜きして形成した摺動接触片7Cが一体成型により取り付けられている。
【0016】
ホルダ6は樹脂で形成され、軸方向と直角な断面形状がハウジング部22と同じ直方体であり、回転子7の上からハウジング部22の上に被せられる。
図3にハウジング部22側から見た斜視図を示すように、ホルダ6はハウジング部22側の面にその収容凹部23を延長するよう円形の収容凹部6Aが形成され、その中央にホルダ6を貫通する軸穴6Dが形成されている。収容凹部6Aの内周面から内側に弾性コンタクト6C1,6C2,と2つの弾性コンタクト6C3が突出し、弾性コンタクト6C1と一方の弾性コンタクト6C3の組と弾性コンタクト6C2と他方の弾性コンタクト6C3の組が軸穴6Dを挟んで互いに反対側に位置し、これら弾性コンタクト6C1,6C2,6C3はそれらの先端部が収容凹部6Aの開口から外に突出するように折り曲げられている。弾性コンタクト6C1と6C2の他端はホルダ6の側面から外に突出し、それぞれ端子6T1,6T2とされている。2つの弾性コンタクト6C3は他端が一体とされ、端子6T3としてホルダ6の側面から外に突出している。
【0017】
収容凹部23内に突出した駆動部13を回転子7の軸穴7Dに挿通させて回転子7のディスク部7Bを収容凹部23内に配置し、駆動部13の先端がホルダ6の軸穴6Dから回動自在に突出し、かつ回転子7の上から収容凹部23を塞ぐようにホルダ6を載せ、固定ピン8をホルダ6の固定穴6a,ハウジング部22の固定穴22aに挿通して先端をリベットによりかしめて回転型スイッチが組み上がる。
【0018】
回動操作軸10の操作部11を回動することにより回転子7が回動する。ホルダ6に設けた弾性コンタクト6C1と6C2,6C3の先端部は回動操作軸10の軸中心から異なる半径位置に位置している。即ち、この例では端子6T3を共有する2つの弾性コンタクト6C3は回転子7の回動軸7Aを挟んで両側に位置し、それらより更に半径方向外側に弾性コンタクト6C1と6C2の先端部がそれぞれ位置し、回転子7の回動によりディスク部7Bの板面に設けられた摺動接触片7Cと摺動接触する。摺動接触片7Cは回転子7の第1の所定の回転角度範囲(複数あってもよい)において端子6T1と6T3間を導通させ、第2の所定の回転角度範囲(複数あってもよい)で端子6T2と6T3間を導通させるよう、摺動接触片7Cの数、それぞれの円弧角、半径方向の位置と幅等が決められている。
【0019】
環状溝12aの軸方向位置、従って固定リング4の軸方向位置を所望に決めることによりテーパー面20Tがリングバネ3に与える押圧力を所望に設定することができるので、テーパー面10Tと20T間においてリングバネ3との摩擦力を所望に設定でき、操作者に対し適切な回動操作感覚を与えることができる。
【0020】
[第2実施例]
図1,2,3はこの発明の軸受構造を回転型スイッチに適用した第1実施例を示したが、可変抵抗器に適用した実施例の分解斜視図を
図4に、その軸方向断面を
図5に示す。この可変抵抗器は回動操作軸10と、軸受20と、回転子7'と、ホルダ6'と、リングバネ3と、固定リング4と、固定ピン8とを有し、
図1,2,3の第1実施例とは回転子7’とホルダ6’が相違しているだけである。従って、以下には相違部分を中心に説明し、共通部分についての説明はできるだけ省略する。
【0021】
回転子7'は
図1の回転子7と同様に回動軸7Aとディスク部7Bを有しているが、
図1における摺動接触片7Cの代わりに摺動接触片7'Cがディスク部7Bの板面に取り付けられている。摺動接触片7'Cは弾性金属板でプレス加工により形成され、ほぼ半月状の基部7'Cbと、基部7'Cbの、回動軸7A側の側縁から回動軸7Aを挟むように延長され、かつディスク部7Bの板面から離れるように折り曲げられた2つのコンタクト7'C1と、2つのコンタクト7'C1の外側で基部7'Cbの前記側縁から延長されかつディスク部7Bの板面から離れるように折り曲げられたコンタクト7'C2とを有している。
【0022】
基部7'Cbは、基部に形成された固定穴7'Aaにディスク部7Bの板面から突出した図示してない突起を圧入して固定される。コンタクト7'C1、7'C2の先端部はディスク部7Bの板面側に折り返されて、ホルダ6'側に凸の屈曲部7'C1a、7'C2aが形成され、それぞれのコンタクトの摺動点となる。これら屈曲部7'C1a、7'C2aは回転中心線と直交する直線状に並んでおり、2つのコンタクト7'C1の屈曲部7'C1aは回動軸7Aに隣接して両側に位置し、その一方のコンタクトの屈曲部7'C1aより半径方向外側にコンタクト7'C2の屈曲部7'C2aが位置している。
【0023】
ホルダ6'は回転子7'側から見た斜視図を
図6Aに、その平面図を
図6Bに示すように、収容凹部6Aの底面6B上に軸穴6Dを囲むように金属板のプレス加工で形成された共通導体リング6Cと、その共通導体リング6Cの外側に間隔を置いて同心状に設けられた円弧帯状の抵抗体6Rとが取り付けられている。抵抗体6Rの両端はそれぞれ端子6T1,6T2に接続されている。抵抗体6Rの両端間を通って共通導体リング6Cから一体に端子6T3が延長している。
【0024】
ホルダ6'をハウジング部22に被せた状態で摺動接触片7'Cの2つのコンタクト7'C1の屈曲部7'C1aは共通導体リング6Cと弾性接触し、コンタクト7'C2の屈曲部7'C2aは抵抗体6Rと弾性接触する。従って、回転子7’が回動すると、端子6T1と6T3間の電気抵抗及び端子6T2と6T3間の電気抵抗が変化する。
【0025】
この第2実施例においても
図5に軸方向の断面を示すように、軸受20の円筒部21の先端部における軸穴24の内周縁に形成されたテーパー面20Tがリングバネ3を押し広げるように変形可能なので、軸受20に対する回動操作軸10の軸方向及びラジアル方向のガタを抑制することができる。
【0026】
[変形例]
第2実施例では
図6Aに示すようにホルダ6'の収容凹部6Aの底面6Bに抵抗体6Rと共通導体リング6Cを設け、回転子7’のディスク部7Bにコンタクト7'C1, 7'C2を有する摺動接触片7'Cを設けた。変形例として逆に、
図7に示すように回転子7’のディスク部7Bの板面に円弧帯状の抵抗体7Rと、その内側に共通導体リング7Ccを設け、ホルダとしては
図2のホルダ6を使用し、弾性コンタクト6C1, 6C3に対しそれぞれ抵抗体7R,共通導体リング7Ccを摺動接触させる。ただし、弾性コンタクト6C2と端子6T2は設けない。この場合、回転子7’においては、抵抗体7Rの一端は共通導体リング7Ccと接続されている。
【0027】
[第3実施例]
図8はこの発明による軸受構造を特許文献1に開示されている回転型スイッチに適用した実施例の分解斜視図を示し、
図9はその回転型スイッチの軸方向断面図を示す。この実施例の回転型スイッチは
図1,2,3の回転型スイッチにおいて、回動操作軸10の所望の回転角度間隔毎にクリック感を操作者に与えると共に、スイッチ数を増加させるように構成したものである。
【0028】
図8に示すように、この回転型スイッチは回動操作軸10と、リングバネ3と、軸受20と、クリック円板30と、クリックバネ40と、クリックバネ支持板50と、下側ホルダ80と、回転子70と、上側ホルダ60と、カバー90と、その他の部品から構成される。上側ホルダ60とカバー90を組み合わせたものが
図1におけるホルダ6に対応し、この実施例では更に弾性コンタクトを有する下側ホルダ80を設け、スイッチ数を増加させている。
【0029】
回動操作軸10は
図1の回動操作軸10と同じ構造であり、金属棒を加工して円柱状に形成され、操作部11と、その先端から同軸に延長され、操作部11より径の細い保持部12と、保持部12の先端より同軸に延長され、保持部12より径の細い駆動部13とを有している。保持部12の先端に隣接して外周面に環状溝12aが形成されている。駆動部13には中心軸線と平行に切り落とされて形成された少なくとも1つの平面13aが形成されている。図の例では回動操作軸10の回転中心を挟んで対称に2つの互いに平行な平面が形成されている。
【0030】
軸受20は取付け用ネジが外周に形成された円筒部21と、円筒部21の一端に一体に形成された矩形のハウジング部22とを有している。軸受20には、中心に回動操作軸10の保持部12が回動自在に挿通される軸穴24が円筒部21を貫通して形成されている。ハウジング部22の上面には一組の対角角部に固定穴22aと、もう一組の対角角部に位置決め穴22bが形成されている。更に、ハウジング部22の上面中央には円筒部21と同軸に円形の収容凹部23が形成されており、その底面に軸穴24が同心に開通している。リングバネ3が回動操作軸10のテーパー面10Tに対接するよう装着された状態で軸受20に挿通された回動操作軸10の保持部12の先端部が収容凹部23の底面から突出し、その先端部の環状溝12aに固定リング4を装着して抜け止めとされている。
【0031】
この実施例ではハウジング部22はクリック円板30を収容する。クリック円板30はその中心部に軸部31を有し、その軸部31の外側の上面には放射状に伸びる凸条32により、周方向に凹凸が配列形成されている。軸部31には軸方向に回転子70の回動軸71が挿入される軸穴33が形成されており、この軸穴33の内周の一箇所から中心に向かって突出し、かつ、軸方向に伸びる係合キー34が形成されている。係合キー34の中心に向かった先端面は駆動部13の平面13aと接触係合する平面とされており、回動操作軸10が回動されると軸穴33に挿通された駆動部13の平面13aと係合キー34の先端平面とを係合してクリック円板30を回動させる。
【0032】
環状のクリックバネ40はバネ性の金属板を打ち抜いて形成し、環状部の1つの直径上の2箇所にクリック円板30に向けて突出した係合突起41が形成されており、更にその直径と直角なもう1つの直径上の二箇所からその直径の延長線上を互いに外側に延長された2つの固定端子42を有している。固定端子42は中間部で板面に対しほぼ45°にクリック円板30と反対側に曲げられている。このクリックバネ40は45°曲げられており、それにより、後述のクリックバネ支持板50の係止溝55に対する係合を浅くでき、従って、クリックバネ支持板50の厚さを薄くできる。
【0033】
クリックバネ40はクリックバネ支持板50の下面に取り付けられる。
図10A,10Bはクリックバネ40の取り付け前と後の斜視図を示している。ただし、ここでは
図8におけるクリックバネ40とクリックバネ支持板50の組を、中心線5Xを中心に180°回転して示している。クリックバネ支持板50はハウジング部22と同じ矩形であり、その下面にリング状のクリックバネ40を受ける環状凹部52が形成され、中央に軸穴51が形成されている。軸穴51の径は後述の回転子70の回動軸71が回動自在に挿通できる径とされている。クリックバネ支持板50の一辺に隣接して2つの位置決め穴53bが形成され、一組の対角角部近傍にはそれぞれ固定穴53aが形成され、もう一組の対角角部近傍の下面にはそれぞれ位置決め突起54が形成されている。
【0034】
クリックバネ40の2つの固定端子42はクリックバネ支持板50の固定穴53aから中心方向に延びて形成された係止溝55に挿入係止される。その状態でクリックバネ支持板50はその軸穴51に駆動部13を挿通させ、クリック円板30を収容した収容凹部23を上から塞いでハウジング部22の上面に取り付けられる。このとき、クリックバネ支持板50の位置決め突起54はハウジング部22の上面の位置決め穴22bに圧入固定される。
【0035】
図11Aは回転子70の上面図、
図11Bは
図11Aにおける11B−11B線に沿った断面図、
図11Cは
図11Aにおける11B−11B線を中心に180°回転した下面図を示す。この実施例では使用可能なスイッチ数を増加させるため、回転子のディスク部の一方の面と他方の面の両方においてそれぞれ弾性コンタクトと摺動接触片の接触、離脱が可能なように構成されている。即ち、回転子70は回動軸71と,回動軸71の長さ方向中間に位置し、回動軸71と同軸のディスク部72と、ディスク部72に保持された摺動接触片7Cとが一体にインサート成型により形成されている。回動軸71にはクリック円板30の軸穴33と同じ断面形状の軸穴73が形成されている。更に、回動軸71の下端の一円弧部が下端から軸方向に予め決めた長さだけ切除された切欠き部74が形成されている。この切欠き部74は、回動軸71が軸穴51を通してクリック円板30の軸穴33内の係合キー34と嵌合し、これにより回動軸71が、切欠き部74の軸方向長さだけ軸穴33aに挿入される。
【0036】
摺動接触片7Cは上側接触片7C1と下側接触片7C2から成り、
図12Aに示すように1枚の金属板を打ち抜いて得られる互いに連結された上側、下側接触片7C1,7C2のパターンを
図12Bのように連結部7Ccで折り曲げ、下側接触片7C2を上側接触片7C1の下側に重ね合わせることにより形成される。
【0037】
この実施例では、上側、下側接触片7C1,7C2は
図12Bに破線で示す共通の円C1に内接するパターンに形成され、その円C1と同心で、径が順次小さくなる円C2,C3,C4によりそれぞれ挟まれた幅を有する互いに隣接した環状帯B1,B2,B3を規定し、これら環状帯B1,B2,B3内でそれぞれ周方向に所望の長さ(角度範囲)の所望の数の円弧領域をそれぞれ接触片領域とする接触片のパターンが予め決められている。
【0038】
図11Aの上側接触片7C1では、環状帯B1は、予め決めた角度範囲の1つの接触片領域C1aと、残りの角度範囲の空領域G1aにより埋められている。環状帯B2は、それぞれ予め決めた角度範囲の2つの接触片領域C1b1, C1b2と、それら2つの接触片領域の隣接間の空領域G1b1, G1b2とにより埋められている。環状帯B3は、1つ(360°)の空領域G1cにより埋められている。接触片領域C1a, C1b1, C1b2は接触片7C1の金属表面が露出している領域であり、空領域G1a, G1b1, G1b2, G1cは接触片領域の表面と同一面内にあるディスク部72の絶縁体表面である。
【0039】
一方、
図11Cに示す下側接触片7C2では、環状帯B1は、それぞれ予め決めた角度範囲の4つの接触片領域C2a1, C2a2, C2a3, C2a4と、それら4つの接触片領域の隣接間の空領域G2a1, G2a2, G2a3, G2a4により埋められている。環状帯B2は、それぞれ予め決めた角度範囲の2つの接触片領域C2b1, C2b2と、それら2つの接触片領域の隣接間の空領域G2b1, G2b2とにより埋められている。環状帯B3は、1つ(360°)の接触片領域C2cにより埋められている。接触片領域C2a1, C2a2, C2a3, C2a4, C2b1, C2b2, C2cは接触片の金属表面が露出している領域であり、空領域G2a1, G2a2, G2a3, G2a4, G2b1, G2b2は接触片領域の表面と同一面内にあるディスク部72の絶縁体表面である。
【0040】
この実施例においては、上側ホルダ60と下側ホルダ80は全く同じ構造であり、同一の部品として形成したホルダを上下の向きを変えて上側用、下側用として使用することができる。同様に、カバー90とクリックバネ支持板50は全く同じ構造である。このように同一構造とすることによりスイッチの製造コストを下げることができる。
【0041】
図13Aは下側ホルダ80の下面と、その上に見える回転子70の下面の一部を示している。下側ホルダ80の上面には円形の回転子収容凹部82が形成され、その回転子収容凹部82の床にはほぼ矩形の窓81が形成されている。下側ホルダ80の一側辺に隣接する回転子収容凹部82の側壁部には、その下面から上側ホルダ60の側に突出する係合凸部85(
図8も参照)と、その係合凸部85と隣接して同じ幅で側壁部が切り取られた係合凹部86(
図8も参照)が形成されている。下側ホルダ80の一組の対角角部近傍には固定穴84aが形成され、もう一組の対角角部近傍には位置決め穴84bが形成されている。更に、端子8T1,8T2,8T3が導出されている一側辺に隣接して2つの位置決め突起83が形成されている。
【0042】
下側ホルダ80は3つの弾性コンタクト8C1, 8C2, 8C3とそれから一体に延長され、下側ホルダ80の一側面から外に突出された端子8T1, 8T2, 8T3と共にインサート成型により形成される。3つの弾性コンタクト8C1, 8C2, 8C3は窓81の縁から内側に延び、それらの先端はそれぞれ、回転子70の摺動接触片7Cに規定した環状帯B1,B2,B3の上に位置している。各弾性コンタクト8C1, 8C2, 8C3はそれぞれ2つの分岐腕を有し、各環状帯において2点接触することにより接触の安定性(信頼性)と寿命を高めている。
【0043】
図13Bは上側ホルダ60の上面と、その下に見える回転子70の上面の一部を示している。前述のように、上側ホルダ60の構造は下側ホルダ80とまったく同じである。ハウジング部22と同じほぼ矩形の上側ホルダ60の下面には円形の回転子収容凹部62が形成され、その回転子収容凹部62の天井にはほぼ矩形の窓61が形成されている。上側ホルダ60の一側辺に隣接する回転子収容凹部62の側壁部には、その下面から下側ホルダ80の側に突出する係合凸部65と、その係合凸部65と隣接して同じ幅で側壁部が切り取られた係合凹部66が形成されている。上側ホルダ60の一組の対角角部には固定穴64aが形成され、もう一組の対角角部には位置決め穴64bが形成されている。更に、端子6T1,6T2,6T3が導出されている一側辺に隣接して2つの位置決め突起63が形成されている。
【0044】
上側ホルダ60は、3つの弾性コンタクト6C1, 6C2, 6C3とそれらから一体に延長され、上側ホルダ60の一側面から外に突出された端子6T1, 6T2, 6T3と共にインサート成型により形成される。3つの弾性コンタクト6C1, 6C2, 6C3は窓61の縁から内側に延び、それらの先端はそれぞれ、回転子70の摺動接触片7Cに規定した環状帯B1,B2,B3の上に位置している。この例では各弾性コンタクト6C1, 6C2, 6C3はそれぞれ2つの分岐腕を有し、各環状帯において2点接触する。
【0045】
図8に戻って、下側ホルダ80の位置決め突起83(
図13A参照)がクリックバネ支持板50の位置決め穴53bに嵌合され、クリックバネ支持板50の上に下側ホルダ80が位置決め固定される。その上から、下側ホルダ80の回転子収容凹部82内に回転子70のディスク部72のほぼ下半分を配置するように、回転子70の軸穴73に回動操作軸10の駆動部13を挿通させつつ、回動軸71の下端部をクリックバネ支持板50の軸穴51を通してクリック円板30の軸穴33に挿入係合させる。
【0046】
その回転子70のディスク部72のほぼ上半分を上側ホルダ60の回転子収容凹部62に収容するように、回転子70の上から上側ホルダ60を被せ、下側ホルダ80に重ねて固定する。このとき上側ホルダ60の係合凸部65と係合凹部66(
図13B参照)が下側ホルダ80の係合凹部86と係合凸部85にそれぞれ嵌合し、互いに位置決めされる。更に、カバー90の軸穴91に回転子70の回動軸71の上端部を挿入させて上側ホルダ60の上からカバー90を重ねて位置決め突起94を位置決め穴64bに嵌合し、位置決め穴93bに位置決め突起63を嵌合する。これにより下側ホルダ80の弾性コンタクト8C1, 8C2, 8C3は回転子70のディスク部72の下面と弾性的に接触維持され、上側ホルダ60の弾性コンタクト6C1, 6C2, 6C3は回転子70のディスク部72の上面と弾性的に接触維持される。
【0047】
このようにして部品を合体した状態で、カバー90の固定穴93a、上側ホルダ60の固定穴64a、下側ホルダ80の固定穴84a、クリックバネ支持板50の固定穴53a、軸受20の固定穴22aに2本の固定ピン8を挿通してピン8の先端をリベットでつぶし、互いに一体に固定する。
【0048】
このようにして回転型スイッチを組み立てることにより、駆動部13は、クリック円板30、クリックバネ支持板50、を挿通した回転子70の回動軸71の軸穴73に挿通され、カバー90の軸穴91内で支持される。回転子70の軸穴73の軸心と直角な断面は駆動部13の断面と同じように円の弧を直線で切り取った形状をしており、従って、回動操作軸10の回動により回転子70が回動されると共にクリック円板30も回動される。その結果、クリックバネ支持板50に固定されているクリックバネ40の突起41が回動するクリック円板30の放射状凹凸と係合して回動操作軸10の回動操作時にクリック感を生じさせ、また、回転子70の上側及び下側面の接触片7C1,7C2と、上側及び下側ホルダの弾性コンタクト6C1, 6C2, 6C3及び8C1, 8C2, 8C3との間で摺動接触、乖離を生じさせることができる。
【0049】
以上の説明から理解されるように、この第3実施例では回転子70のディスク部の上側面と下側面において別々に半径方向に異なる環状領域においてそれぞれ別々に360°内で接触片領域を決めることができるので、設計自由度が高い利点がある。つまり、複数のスイッチの開閉の角度範囲、相対タイミングを要求に応じて設計できる自由度が高い。
【0050】
上述の第3実施例では、回転子70の上側及び下側面の接触片7C1,7C2に対し共通に環状帯B1,B2,B3を規定する場合を示したが、環状帯の数、及び幅を上側及び下側に対し別々に規定し、上側ホルダ60及び下側ホルダ80の弾性コンタクトの数、及び配置をそれぞれ側の環状帯に合わせて決めてもよいことは当然である。
【0051】
[第4実施例]
図14はこの発明による回転型スイッチの第4実施例を示す。前述の第3実施例では、下側ホルダ80を弾性コンタクト8C1, 8C2, 8C3と共にインサート成型により一体形成してから窓81内で弾性コンタクト8C1, 8C2, 8C3を所望の角度に折り曲げるため、下側ホルダ80とクリックバネ支持板50とは別体にしたが、弾性コンタクト8C1, 8C2, 8C3を予め所定の角度に曲げた状態で下側ホルダ80をインサート成型できる場合は、
図14中に示すように下側ホルダ80とクリックバネ支持板50を互いに一体とした下側ホルダ(第1ホルダ)80’として形成してもよい。同様に、第3実施例における上側ホルダ60とカバー90も
図14に示すように互いに一体とした上側ホルダ(第2ホルダ)60’として形成してもよい。その他の構成は第3実施例と同様なので説明を省略する。
【0052】
[発明の概念]
図15はこの発明による軸受構造を適用した前述の各種実施例及び変形例を概念化して説明するための回転操作型電子部品の構成図を示す。円柱状の回動操作軸100は回動操作を受ける操作部110と、操作部110より径が小さくされ同軸に延長された保持部120と、保持部120から更に外径が小とされて同軸に延長された駆動部130とを有し、操作部110と保持部120の境界が段部100Sを形成している。軸受200の一端側から軸受の軸穴230に回動自在に保持部120が挿通され、保持部120の後端部外周上に固定された固定リング400が軸受200の他端において軸穴230の外周縁と係合する。保持部120から延長突出した駆動部130が軸受200の他端に設けられた電気機械信号制御部600内の回転子700を回動する。電気機械信号制御部600は回転子700の回動により、コンタクトと抵抗体の間の摺動による抵抗変化を生じさせる可変抵抗機構、あるいは弾性コンタクトと接触摺動片間の接触、離脱によるスイッチ動作を行う回転スイッチ機構を含み、電気機械的制御により端子6Tに与えられた信号を制御する。
【0053】
電気機械信号制御部600は
図1及び4の実施例におけるホルダ6,6'と、回転子7,7’と、それを収容するハウジング部22を含む構成に該当し、
図8、14の実施例における上側ホルダ80,80’、下側ホルダ60,60’、それら間に収容される回転子70を含む構成に該当する。
【0054】
この発明の軸受構造は、回動操作軸100の段部100Sの半径方向中間位置から保持部120の外周面まで延びるテーパー面100Tが形成されており、また、段部100Sと対向する軸受端面における軸穴240の内周縁に形成した外側に向かって径が大になるテーパー面200Tによりリングバネ300をテーパー面100Tに押圧する構成とする。テーパー面100Tと200Tはその軸方向断面において段部100Sに向かって開くように互いに角度をなしている。
【0055】
テーパー面100T、200Tの傾斜角度を変えることによりテーパー面200Tからリングバネ300に与えられる外力を軸方向成分と半径方向成分に分配する比率を変えることができる。