(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記ハウジングの弾性部は、掛止された前記ストライカーが強制的に引き抜かれた際に前記ロック部材の突部に当接する壁部全体又はその一部に設けられている請求項1又は2に記載のラッチ装置。
【背景技術】
【0002】
従来より、扉や引き出し等の移動体を本体に対して開閉するために、移動体又は本体にラッチ装置が設けられている。
例えば特許文献1には、いわゆるプッシュ・プッシュ式のラッチ装置の一例が記載されている。
図14に示すように、ラッチ装置100は例えば本体側に固定され、先端に鉤状部を有しラッチ装置100に挿入されるストライカーSは移動体側に固定される。このラッチ装置100は、ハウジング101と、ハウジング内を摺動可能なラッチ部材102とを備えている。
【0003】
ラッチ部材102は、摺動体103と、該摺動体103に枢支された係合体104とを備えている。摺動体103及び係合体104は、その一端が係合体104に係止されたばね部材105によって、ハウジング101から抜け出す方向に付勢される。また、摺動体103には、係止用誘導溝110が形成され、この係止用誘導溝110には、ピン部材111の先端が挿し込まれる。ピン部材111は、ラッチ部材102を係止位置に係止する。
【0004】
また、係合体104の一端には、爪106が設けられ、他端には両側に張り出したピン108が設けられている。ピン108は、ハウジング101に形成されたリブ107を摺動し、係合体104は、ピン108の摺動により図示しない軸部を中心に揺動する。さらに、係合体104の底面には、突起109が設けられている。
【0005】
ラッチ部材102が、係止解除位置に配置されたとき、係合体104の爪106が、摺動体103の開口部114に収容される。移動体が本体に対して閉じられるとき、ストライカーSがラッチ装置100に挿入され、ラッチ部材102がハウジング101に押し込まれる。このとき係合体104のピン108がハウジング101のリブ107を乗り越えていくことにより、係合体104は、爪106を突出させる方向に揺動していくが、その突起109がハウジング101のテーパ面112に当接することにより、係合体104の揺動が強制的に行われる。このため、寒冷地等の過酷な環境下であっても、係合体104が係止位置に向かって揺動されやすくなる。そして、移動体に対する押圧力が解除され、ピン部材111の先端が係止溝113に係止されると、ラッチ部材102は係止位置に保持される。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
しかし、係合体104によって係止されたストライカーSを強制的に引き抜く、いわゆる無理抜き操作が行われた場合、ラッチ部材102は、ハウジング101から抜け出す方向に引っ張られる。この際、摺動体103はピン部材111の係止により係止位置に保持される。また、係合体104には、爪106を下降させる方向へ揺動させる力が加わる。しかし、係合体104が揺動しようとしても、その底面に形成された突起109がハウジング101の内側面に当接することにより、係合体104の揺動範囲が規制されてしまい、無理抜き操作が許容されにくくなる。このため、ストライカーSを強制的に引き抜くために過大な力が加えられることになり、その場合には、係合体104の爪106や突起109、ハウジング101の内側面等の変形を招来したり、それらの部品の摩耗速度が増大するおそれがあった。
【0008】
本発明は、上記問題点に鑑みてなされたものであり、その目的は、ロックされたストライカーが強制的に引き抜かれた場合にも、部品の変形を防ぐことができるラッチ装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上記問題点を解決するために、請求項1に記載の発明は、ストライカーのロック及びロックの解除が、該ストライカーをハウジングに押し込む操作によって行われるラッチ装置において、循環カムが形成されたスライダーと、前記スライダーに軸支される支持軸と前記ストライカーを掛止する掛止部とを備え、前記支持軸を中心に掛止位置及び非掛止位置との間で揺動するロック部材と、前記スライダー及び前記ロック部材をロック解除位置に向かって付勢するコイルばねと、前記循環カムに沿って摺動し前記スライダーを係止するガイドレバーとを備え、前記ロック部材は、前記ハウジング側に突部をさらに備え、前記ハウジングへの挿入に伴い、該突部が前記ハウジングに形成された当接面に当接することで前記掛止位置へ付勢されるとともに、前記ハウジングは、前記掛止部によって掛止された前記ストライカーが強制的に引き抜かれた際に少なくとも前記ロック部材の突部との当接位置を外側に撓ませる弾性部をさらに備えることを要旨とする。
【0010】
請求項1に記載の発明によれば、掛止されたストライカーが押し込まれることなく強制的に引き抜かれる、いわゆる無理抜き操作が行われた際に、ハウジングのうちロック部材の突部が当接した弾性部が外側に撓む。このため、過大な力を加えなくても、ロック部材の非掛止位置への揺動を許容し、ストライカーをラッチ装置から引き抜くことができる。一方、無理抜き操作が行われた際に、ハウジングのうちロック部材の突部が当接した位置が撓まなければ、ロック部材の非掛止位置への揺動が規制されるので、ロック部材やハウジング等の部品が変形するおそれがある。このため、少なくともハウジングの一部に弾性部を備えることで、部品の変形を防止しつつストライカーの強制的な引き抜きを許容することができる。
【0011】
請求項2に記載の発明は、請求項1に記載のラッチ装置において、前記ロック部材の突部は、前記非掛止位置にて前記ハウジングの開口から突出する位置に設けられることを要旨とする。
【0012】
請求項2に記載の発明によれば、ロック部材の突部は、ロック部材が非掛止位置に配置されたときにハウジングの開口から突出するので、ストライカーを強制的に引き抜く操作ではない、通常の操作が行われている際には、ハウジングの弾性部を撓ませずにロック及びロック解除を行うことができる。
【0013】
請求項3に記載の発明は、請求項1又は2に記載のラッチ装置において、前記ハウジングの弾性部は、前記ロック部材を前記掛止位置に付勢する前記当接面を備え、溝部によって囲まれた弾性爪であって、該弾性爪は、掛止された前記ストライカーが強制的に引き抜かれた際に前記ロック部材の突部に当接して外側に撓むことを要旨とする。
【0014】
請求項3に記載の発明によれば、弾性部を、ハウジングに一体に形成した弾性爪から構成することができる。このため、ラッチ装置の部品点数を低減するとともに、その組み立て工程の工程数も低減することができる。
【0015】
請求項4に記載の発明は、請求項1又は2に記載のラッチ装置において、前記ハウジングの弾性部は、掛止された前記ストライカーが強制的に引き抜かれた際に前記ロック部材の突部に当接する壁部全体又はその一部のみに設けられていることを要旨とする。
【0016】
請求項4に記載の発明によれば、ハウジングの弾性部は、ロック部材の突部に当接する壁部全体又はその一部に設けられているため、弾性部によって無理抜き操作を許容しつつ弾性部以外のハウジングの壁部の剛性を高めることができる。
【0017】
請求項5に記載の発明は、請求項4に記載のラッチ装置において、前記ハウジングの弾性部は、前記ロック部材の突部の内側からの押圧によって撓む可撓性材料からなることを要旨とする。
【0018】
請求項5に記載の発明によれば、弾性部は、ロック部材の突部の内側からの押圧によって撓む可撓性材料からなる。即ち、ハウジングの弾性部を除く壁部を構成する材料と、弾性部の材料とを異なる材料とすることができるので、弾性部の材料の自由度が高められ、ストライカーの強制的な引き抜きを許容する閾値を比較的設定しやすくすることができる。
【0019】
請求項6に記載の発明は、請求項1又は2に記載のラッチ装置において、前記ハウジングの弾性部は、該弾性部を除く壁部よりも薄肉化されていることを要旨とする。
請求項6に記載の発明によれば、弾性部は、ハウジングのうち弾性部を除く壁部よりも薄肉化されることにより、ロック部材の突部の内側からの押圧によって撓む。このため、ラッチ装置の部品点数を低減するとともに、その組み立て工程の工程数も低減することができる。
【発明を実施するための形態】
【0021】
以下、本発明のラッチ装置を具体化した一実施形態について、
図1〜
図10に従って説明する。ラッチ装置は、プッシュ・プッシュ式の装置であって、扉、蓋、引き出し等の移動体、又はその移動体が備えられたキャビネット、オーディオ機器等の本体に設けられる。本実施形態では、ラッチ装置を、キャビネット本体に設けられるものとして説明する。
【0022】
図1に示すように、ラッチ装置10は、ハウジング11と、ハウジング内を摺動するラッチ部材12とを備える。ハウジング11は、樹脂からなり、キャビネット本体に取り付けられる。また、キャビネットの扉側には、ラッチ装置10に挿入されるストライカーSが設けられている。ストライカーSは、移動体側に固定される基端部S1と、先端に鉤状部S2を有する挿入部S3とを備えている。扉を閉止する際は、キャビネット本体に対し開状態の扉を押し込むことで、ストライカーSの挿入部S3がラッチ装置10に挿入されてロックされる。扉を開く際は、閉止された扉を本体側に押し込むことで、ストライカーSがラッチ装置10から引き抜かれてロック解除される。
【0023】
まずハウジング11の構成について説明する。
図2に示すように、ハウジング11は、有底筒状をなし、POM等の樹脂から形成されている。このハウジング11は、上壁部20a、側壁部20b,20c、背壁部20d及び底壁部20eからなるハウジング基体20と、ハウジング基体20の開口部に設けられ、ハウジング基体20から外側に張り出すように形成された枠部21とを備える。枠部21は、ハウジング開口からみて長方形状をなしている。
【0024】
ハウジング基体20の側壁部20b,20cには、爪部20hがそれぞれ形成されている。これらの爪部20hと枠部21との間にキャビネット本体の一部が固定され、爪部20hがキャビネット本体の孔に嵌合されることにより、ハウジング11がキャビネット本体に対して取り付けられる。
【0025】
さらに、弾性壁22の短手方向における略中央であって、ハウジング11の開口側には、弾性爪11aが一体に形成されている。弾性爪11aは、ハウジング開口側に突起11bを有している。該突起11bのうちハウジング開口側の正面にはテーパ面11cが形成されている。
【0026】
図2中左下に示すように、ハウジング11には、弾性爪11aの側面及び正面を囲むように略コの字状の溝部11dが貫通形成されている。このように溝部11dを形成することで、弾性爪11aがハウジング11の外側に向かって撓むようになる。
【0027】
図3に示すように、ハウジング11の背壁部20dには、棒状のばね受け部23が、ハウジング基体20の長手方向に沿って延出形成されている。ばね受け部23は、背壁部20dのうち、底壁部20e側に偏倚した位置に設けられている。このばね受け部23には、
図2に示すコイルばね13が外嵌される。コイルばね13は、ハウジング11とラッチ部材12との間に介在して、ラッチ部材12をハウジング11から突出させる方向に付勢する。
【0028】
また
図3に示すように、上壁部20aと背壁部20dとで囲まれる隅部には、
図2に示すガイドレバー17の両側を支持するレバー支持部20fが形成されている。さらに、底壁部20eからは、一対のガイド突部20gが側壁部20b,20cに沿って立設されている。各ガイド突部20gは、側面視台形状に形成されている。
【0029】
次に、ラッチ部材12について説明する。
図2に示すように、ラッチ部材12は、スライダー15と、スライダー15に揺動可能に軸支されるロック部材16とを備えている。スライダー15の底面には、突片30が形成され、該突片30が、ハウジング11のガイド溝11gに遊嵌されることにより、スライダー15がハウジング内を摺動可能に支持されるとともに、ハウジング11の長手方向に沿った摺動範囲が規制される。突片30の幅は、ガイド溝11gの幅よりも小さくなっている。
【0030】
また
図2に示すように、スライダー15の背面側には、コイルばね13を貫挿するためのばね貫挿孔31が形成されている。スライダー15のうち、ばね貫挿孔31の上方には、ばね貫挿孔31の中心軸と同じ方向に延びる後壁部32が形成されている。この後壁部32の両面には、ハートカム33と循環カム溝34とが形成されている。
図4に示すように、循環カム溝34は、ハートカム33を囲むように形成され、その入口34aから反時計回り方向に、第1カム溝34b、第1係止部34c、第2係止部34d、第2カム溝34eを有している。第1係止部34cと第2係止部34dとは、循環カム溝34側へ突出した区画壁35により区画されている。また、ハートカム33のうち、第1係止部34c及び第2係止部34d側の側面には、係止凹部33aが形成されている。
【0031】
また
図4に示すように、後壁部32よりも前方には、ロック部材16を揺動可能に固定するためのロック部材収容部36が設けられている。このロック部材収容部36は、左壁部36a、右壁部36b(
図2参照)、前壁部36c、上壁部36d(
図2参照)によって構成され、その内側には底面が開口した収容空間38を有している。この収容空間38の底部開口からは、ロック部材16が収容される。また
図2に示すように、左壁部36a、右壁部36b及び前壁部36cによって囲まれる空間は、上側に開口36eを有している。また、左壁部36a及び右壁部36bには、収容空間38に収容したロック部材16を軸支する軸穴37が貫通形成されている。
【0032】
次にロック部材16について説明する。
図2に示すように、ロック部材16は、掛止部43と、掛止部43から後方に延びる一対の揺動板41とを備えている。掛止部43の先端には、上方に屈曲するフック45と、下方に屈曲する付勢突部46とが形成されている。フック45は、ラッチ部材12がロック位置に配置された際に、ストライカーSの鉤状部S2を掛止する。付勢突部46は、ラッチ部材12がハウジング内を摺動する際にハウジング11の突起22bに当接する。
【0033】
また、掛止部43の後端には、コイルばね13の一端を固定するばね固定部40が設けられている。即ちコイルばね13は、スライダー15のばね貫挿孔31に貫挿されるとともに、一端をロック部材16のばね固定部40に固定され、他端をハウジング11のばね受け部23に固定される。そして、コイルばね13は、ロック部材16及びスライダー15を、ハウジング11から抜け出す方向に付勢する。
【0034】
各揺動板41の上部には、スライダー15の軸穴37に軸支される支持軸42がそれぞれ形成されている。また各揺動板41の先端には、円柱状の摺動ピン48が形成されている。摺動ピン48は、ロック部材16の両側に張り出すように突出し、ロック部材16がハウジング11に固定された際にハウジング11のガイド突部20gを摺動する。
【0035】
次にガイドレバー17について説明する。
図2に示すように、ガイドレバー17は、SUS等の線材からなり、側面視において長方形の四角環を一部切り欠いたような略コの字状に形成されている。ガイドレバー17の先端には、上述した循環カム溝34に挿し込まれるトレース部17aが設けられている。また、ガイドレバー17は、ハウジング11の図示しない挿入孔から挿入され、その基端部17bが背壁部20dに支持されることにより、循環カム溝34に従ってハウジング内を揺動可能とされる。
【0036】
次に、本実施形態のラッチ装置10の作用について
図5〜
図10に従って説明する。
図5に示すように、ラッチ装置10が固定されたキャビネット本体に対して、ストライカーSが固定された扉が開いている場合には、ラッチ装置10はロック解除状態にされる。即ち、ラッチ部材12は、コイルばね13により、その先端がハウジング11から突出したロック解除位置に付勢されている。ロック解除位置では、スライダー15の開口36eが、ハウジング11から突出している。
【0037】
またロック部材16は、摺動ピン48がハウジング11のガイド突部20gの頂部に配置されることにより、掛止部43が下方に傾いた位置に配置される。このときロック部材16のフック45は、スライダー15の開口36eから突出せず、付勢突部46は、スライダー15の下側開口から下方へ突出する。ラッチ部材12がロック解除位置に配置されたとき、ガイドレバー17のトレース部17aは循環カム溝34の入口34a付近に配置される。
【0038】
キャビネット本体に対し扉を閉位置に向かって移動させると、ストライカーSの先端がスライダー15に当接し、コイルばね13の付勢力に抗して、ラッチ部材12をハウジング11内に押し込む。ラッチ部材12がハウジング内に押し込まれるに従い、ロック部材16の摺動ピン48は、ガイド突部20gの頂部からハウジング奥側の斜面へ、
図5中矢印方向D1に向かって摺動する。このため、ロック部材16は、支持軸42を中心に、反時計回り方向に回動し、掛止部43は矢印方向D3に向かって上昇する。
【0039】
図6に示すように、ラッチ部材12が、ロック解除位置からハウジング内に挿入されていくと、ロック部材16の付勢突部46は、ハウジング11の突起22bのテーパ面22cに当接する。このためラッチ部材12は、テーパ面22cから受ける反力により、反時計回り方向の回動に勢いが付けられる。即ち、このテーパ面22cが、ロック部材16を掛止位置に付勢するための当接面となる。このため、寒冷地等の過酷な環境下であっても、ロック部材16が、ストライカーSを掛止する掛止位置に向かって回動しやすくなる。そして、ロック部材16の挿入に伴い、付勢突部46が突起22bを弾性的に乗り越えるとほぼ同時に、フック45はストライカーSの先端を掛止する。
【0040】
図7に示すように、さらに扉を押し込んでいくと、ラッチ部材12は、ロック時の最大押し込み位置に配置される。即ち、ガイドレバー17のトレース部17aが、循環カム溝34の第1係止部34cに当接し、スライダー15のハウジング奥側への移動を規制する。このとき、ロック部材16のフック45は開口36eから突出し、ハウジング11に挿入されたストライカーSの鉤状部S2を掛止している。
【0041】
ラッチ部材12がロック時の最大押し込み位置に配置された後、扉に加える押圧力を解除する。その結果、
図8に示すように、コイルばね13の付勢力により、ラッチ部材12がハウジング11から抜け出す方向に押し戻される。ラッチ部材12が抜出方向に若干量移動すると、ガイドレバー17のトレース部17aが、ハートカム33の係止凹部33aに係止され、ラッチ部材12の抜出方向へのさらなる移動が規制される。その結果、ラッチ部材12は、最大押し込み位置とロック解除位置との間のロック位置に配置される。ロック位置ではロック部材16のフック45は、ストライカーSの鉤状部S2を掛止し、扉はキャビネット本体に対し閉止される。
【0042】
ラッチ装置10のロックを解除するためには、扉をキャビネット本体Cに対し再度押し込む。この操作により、ストライカーSが、コイルばね13の付勢力に抗して、ラッチ部材12をさらにハウジング内に押し込む。すると、
図9に示すように、ラッチ部材12が解除時の最大押し込み位置に配置される。即ち、ガイドレバー17のトレース部17aが、循環カム溝34の第2係止部34dに係止され、スライダー15のハウジング奥側へのさらなる移動を規制する。
【0043】
ラッチ部材12が解除時の最大押し込み位置に配置された後、扉に加える押圧力を解除すると、ラッチ部材12が上述したロック解除位置に配置され、扉のロックが解除される。即ち、ガイドレバー17によるラッチ部材12の係止が解除されるので、ラッチ部材12がコイルばね13の付勢力により、ハウジング11から突出する方向に移動する。ガイドレバー17のトレース部17aは、反時計回り方向に第2カム溝34eを摺動する。ロック部材16の摺動ピン48は、ガイド突部20gの傾斜面を摺動して頂部に到達するとともに、付勢突部46は、ハウジング11の突起22bを弾性的に乗り越える。このため、ロック部材16は、支持軸42を中心に掛止部43を下降させるように傾動し、フック45が、スライダー15の開口36eから突出しない状態となり、フック45とストライカーSの鉤状部S2との掛止状態が解除される。
【0044】
このようにラッチ装置10は、通常のロック操作及びロック解除操作は扉を押し込むことによって行われる。しかし、扉を開く際に、扉を押圧せず、本体から離間する方向に無理に引っ張られることがある。このような無理抜き操作が行われた場合にも、ガイドレバー17のトレース部17aは、スライダー15を係止してロック位置に留める。その一方、
図9に示すストライカーSの鉤状部S2の当接面S4は、フック45の当接面45aをハウジング11の開口に向かって押す。
【0045】
引っ張り力が小さい場合には、ストライカーSとフック45との掛止は解除されない。しかし所定の大きさ以上の引っ張り力が加えられた場合には、
図10に示すように、フック45の当接面45aが、ストライカーSの当接面S4を滑動し、ラッチ部材12は、摺動ピン48によるガイド突部20gに対する摺動とは無関係に、掛止部43を下降させるように傾動する。すると、掛止部43の先端に設けられた付勢突部46が、ハウジング11の底壁部20eまで下降し、底壁部20eを内側から押圧する。本実施形態では、付勢突部46は、底壁部20eの突起11bの上面に当接し、突起11bの上面を押圧する。このため、弾性爪11aは、付勢突部46の押圧により外側に撓む。その結果、スライダー15がロック位置に配置されたままで、ロック部材16の非掛止位置への傾動が許容され、フック45とストライカーSの鉤状部S2との掛止が解除されるので、ストライカーSを、ハウジング11から抜きだすことができる。フック45とストライカーSの掛止が解除された後は、ストライカーSによる引っ張り力が解除されるので、弾性爪11aが元の形状に復帰し、ラッチ部材12は掛止部43を若干上昇させるように回動する。
【0046】
ここで、ハウジング11が弾性爪11aを備えていない場合には、ロック部材16が掛止部43を下降させる方向に回動したとしても、ハウジング内側面が付勢突部46に当接してロック部材16の揺動範囲を規制する。このため、フック45がストライカーSの鉤状部S2から完全に抜出されず、ロック状態が維持される。従ってストライカーSを引き抜くために過大な引っ張り力が加えられた場合には、付勢突部46、付勢突部46とハウジング11との当接面、フック45、ストライカーS等の部品に無理な力がかかり、変形するおそれがあった。
【0047】
しかし、本実施形態のラッチ装置10によれば、上述したように無理抜き操作時にロック部材16の押圧によって、ロック部材16との当接位置である弾性爪11aが外側に撓むので、過大な引っ張り力を加えなくても、ロック部材16の非掛止位置への回動が許容される。また、通常のロック操作及びロック解除操作の場合には、ロック部材16の付勢突部46がハウジング11から突出するので、弾性爪11aを撓ませない。即ち無理抜き操作は、通常の操作に比べて実際に行われる回数が小さいため、弾性爪11aが撓む回数を極力少なくすることができる。このため、弾性爪11aの摩耗や劣化を抑制することができる。
【0048】
第1記実施形態によれば、以下のような効果を得ることができる。
(1)第1実施形態では、ハウジング11に、溝部11dによって囲まれた弾性爪11aを形成した。このため、無理抜き操作が行われた際に、ハウジング11のうちロック部材16の付勢突部46が当接した弾性爪11aが外側に撓むので、ロック部材16の非掛止位置への揺動を許容し、ストライカーSをラッチ装置10から引き抜くことができる。一方、ハウジング11のうちロック部材16の付勢突部46が当接した位置が撓まなければ、ロック部材16の非掛止位置への揺動が規制されるので、無理抜き操作が行われることにより、ロック部材16や、ハウジング11のうちロック部材16との当接部等が変形するおそれがある。このため、弾性爪11aを備えることで、ストライカーSの強制的な引き抜きを許容しつつ部品の変形を防ぐことができる。
【0049】
(2)第1実施形態では、ロック部材16の付勢突部46は、ロック部材16が非掛止位置に配置されたときにハウジング11の開口36eから突出する。このため、無理抜き操作ではない、通常の操作が行われている際には、ハウジング11の弾性壁22を撓ませずにロック及びロック解除を行うことができる。
【0050】
(3)第1実施形態では、弾性部を、ハウジング11に一体に形成した弾性爪11aから構成した。このため、ラッチ装置10の部品点数を低減するとともに、その組み立て工程の工程数も低減することができる。
【0051】
(第2実施形態)
次に、本発明を具体化した第2実施形態を
図11及び
図12にしたがって説明する。尚、第2実施形態は、第1実施形態のハウジングの一部を変更したのみの構成であるため、同様の部分については同一符号を付してその詳細な説明を省略する。
【0052】
図11に示すように、本実施形態のハウジング基体20の底壁部20eには、切欠き部20iが、ハウジング開口から底壁部20eの途中まで長手方向に沿って形成されている。この切欠き部20iには、弾性部としての弾性壁22が固定されている。弾性壁22は、切欠き部20iの大きさとほぼ同じ大きさであって、例えばゴム、シリコン樹脂、高弾性エポキシ樹脂等、少なくともハウジング基体20を構成する材料よりも撓みやすく弾性を有する材料から形成されている。弾性壁22は、底壁部20eに形成された被嵌合部(図示略)に嵌合されることにより固定されていてもよいし、熱溶着や振動溶着により固定されていてもよく、接着剤で固定されていてもよい。さらに、弾性壁22には、ハウジング基体20の長手方向に沿ってガイド溝22aが貫通形成されている。
【0053】
本実施形態のラッチ装置に対し、無理抜き操作が行われた場合、
図12に示すように、フック45の当接面45aが、ストライカーSの当接面S4を滑動し、ラッチ部材12は、摺動ピン48によるガイド突部20gに対する摺動とは無関係に、掛止部43を下降させるように傾動する。すると、掛止部43の先端に設けられた付勢突部46が、ハウジング11の弾性壁22まで下降し、弾性壁22を内側から押圧する。本実施形態では、付勢突部46は、弾性壁22の突起22bの上面に当接し、突起22bを介して弾性壁22を押圧する。上述したように、弾性壁22は、弾性材料から形成されているため、付勢突部46の押圧により外側に撓む。その結果、スライダー15がロック位置に配置されたままで、ロック部材16の非掛止位置への傾動が許容され、フック45とストライカーSの鉤状部S2との掛止が解除されるので、ストライカーSを、ハウジング11から抜きだすことができる。フック45とストライカーSの掛止が解除された後は、ストライカーSによる引っ張り力が解除されるので、弾性壁22が元の形状に復帰し、ラッチ部材12は掛止部43を若干上昇させるように回動する。
【0054】
ここで、ハウジング11が弾性壁22を備えていない場合には、ロック部材16が掛止部43を下降させる方向に回動したとしても、ハウジング内側面が付勢突部46に当接してロック部材16の揺動範囲を規制する。このため、フック45がストライカーSの鉤状部S2から完全に抜出されず、ロック状態が維持される。従ってストライカーSを引き抜くために過大な引っ張り力が加えられた場合には、付勢突部46、付勢突部46とハウジング11との当接面、フック45、ストライカーS等の部品に無理な力がかかり、変形するおそれがあった。
【0055】
しかし、本実施形態のラッチ装置10によれば、上述したように無理抜き操作時にロック部材16の押圧によって弾性壁22が外側に撓むので、過大な引っ張り力を加えなくても、ロック部材16の非掛止位置への回動が許容される。また、通常のロック操作及びロック解除操作の場合には、ロック部材16の付勢突部46がハウジング11から突出するので、弾性壁22を撓ませない。即ち無理抜き操作は、通常の操作に比べて実際に行われる回数が小さいため、弾性壁22が撓む回数を極力少なくすることができる。このため、弾性壁22の摩耗や劣化を抑制することができるとともに、摩耗や劣化が少ない材料を選択しなくてもよく、弾性材料の自由度を向上することができる。
【0056】
従って、第2実施形態によれば、第1実施形態の(2)に記載の効果に加えて以下の効果を得ることができる。
(4)第2実施形態では、無理抜き操作が行われた際に、ハウジング11のうちロック部材16の付勢突部46が当接した弾性壁22が外側に撓むので、ロック部材16の非掛止位置への揺動を許容し、ストライカーSをラッチ装置10から引き抜くことができる。一方、ハウジング11のうちロック部材16の付勢突部46が当接した位置が撓まなければ、ロック部材16の非掛止位置への揺動が規制されるので、無理抜き操作が行われることにより、ロック部材16や、ハウジング11のうちロック部材16との当接部等が変形するおそれがある。このため、少なくともハウジング11の一部に弾性壁22を備えることで、ストライカーSの強制的な引き抜きを許容しつつ部品の変形を防ぐことができる。
【0057】
(5)第2実施形態では、ハウジング11の弾性壁22は、底壁部20eの一部に設けられているため、底壁部20eを除くハウジング11の壁部の剛性を高めることができる。
【0058】
(6)第2実施形態では、弾性壁22は、ロック部材16の付勢突部46の内側からの押圧によって撓む可撓性材料からなる。即ち、弾性壁22を除く、ハウジング基体20を構成する材料と、弾性壁22の材料とを異なる材料とすることができるので、弾性壁22の材料の自由度が高められ、無理抜き操作を許容する閾値を比較的設定しやすくすることができる。
【0059】
尚、上記各実施形態は以下のように変更してもよい。
・上記実施形態では、底壁部20eの一部に弾性壁22を設けたが、底壁部全体を、弾性壁としてもよい。又は、ハウジング全体を、弾性壁22と同じ材料から構成してもよい。
【0060】
・上記実施形態では、無理抜き操作時に、ロック部材16の付勢突部46が突起22bに当接するようにしたが、必ずしも突起22bに当接する必要は無く、ハウジング内側面のうち、突起22bが形成された以外の位置に当接するようにしてもよい。
【0061】
・上記実施形態では、ロック部材16の先端に、付勢突部46を形成するようにしたが、先端よりも支持軸42側に形成するようにしてもよい。この場合、ロック解除位置で付勢突部46が弾性壁22を撓ませないように、弾性壁22に、ロック解除位置における付勢突部46が外側に突出される孔を設けるようにしてもよい。
【0062】
・上記実施形態では、突起22bを、弾性壁22と同一の材料から形成したが、別の部品として構成してもよい。例えば、突起22bを、弾性壁22よりも硬質の材料から形成し、弾性壁22に固定するようにしてもよい。
【0063】
・上記実施形態では、弾性壁22に、ガイド溝22aを形成したが、ガイド溝22aは、側壁部20b,20c又は上壁部20aに形成してもよい。その場合、そのガイド溝22aの形成位置に合わせて、スライダー15に突片30を形成する。
【0064】
・
図13に示すように、弾性壁22は、薄肉化することにより、弾性をもたせるようにしてもよい。この場合、弾性壁22は、他の壁部と同じ材料から構成することができる。