【実施例】
【0033】
(実施例1)
上記ソレノイド装置に係る実施例について、
図1〜
図7を用いて説明する。
図1、
図2に示すごとく、本例のソレノイド装置1は、電磁コイル2と、軟磁性体からなるヨーク3と、複数のプランジャ4とを備える。プランジャ4は棒状に形成され、その一部(コア部41)は軟磁性体からなる。電磁コイル2に通電すると磁束Φが発生し、ヨーク3とプランジャ4を流れる。
【0034】
複数のプランジャ4は、電磁コイル2への通電と通電停止とを切り替えることにより、電磁コイル2の軸線方向(Z方向)に進退動作するよう構成されている。プランジャ4の数(2個)は電磁コイル2の数(1個)よりも多い。また、複数のプランジャ4はそれぞれ独立に進退動作できるよう構成されている。2つのプランジャ4は、電磁コイル2の外側にそれぞれ配置されている。
【0035】
本例のソレノイド装置1は、電磁継電器10に用いられている。電磁継電器10のケース14内には、ソレノイド装置1と2個の接点部5とが収納されている。個々の接点部5は、可動接点510を支持する1個の可動接点支持部51と、固定接点520を支持する2個の固定接点支持部52(52a,52b)とを備える。
図1、
図2に示すごとく、プランジャ4を進退動作させることにより、可動接点510と固定接点520とを接離させている。これにより、可動接点支持部51を通して2個の固定接点支持部52a,52bの間に電流が流れるオン状態(
図2参照)と、電流が流れないオフ状態(
図1参照)とを切り替えている。
上述したように本例では、2本のプランジャ4を、それぞれ独立に進退できるよう構成してある。これにより、2個の接点部5の、オン状態とオフ状態との切り替えを、それぞれ独立に行えるよう構成してある。
【0036】
プランジャ4は、軟磁性体からなるコア部41と、絶縁体からなる当接部42とを備える。また、電磁コイル2は、導線を筒状に巻回して形成されている。プランジャ4の軸線は、電磁コイル2の中心軸線と平行である。2本のプランジャ4は、電磁コイル2の外側に配されている。
【0037】
また、ヨーク3は、柱状ヨーク31と、板状ヨーク32と、2個の吸引ヨーク36と、底部ヨーク37とからなる。柱状ヨーク31は円柱状であり、電磁コイル2の巻回中心を貫通するように配されている。また、板状ヨーク32と底部ヨーク37の主面は、電磁コイル2の軸線方向(Z方向)に対してそれぞれ直交している。柱状ヨーク31の、Z方向における接点部5側の端部に板状ヨーク32が接続しており、反対側の端部に底部ヨーク37が接続している。2個の吸引ヨーク36は、電磁コイル2の径方向外側に配されており、底部ヨーク37に接触している。
【0038】
また、プランジャ4のコア部41と吸引ヨーク36との間には、プランジャ4をZ方向における可動接点支持部51側へ押圧するプランジャ押圧部材11(ばね部材)を設けてある。
図2に示すごとく、電磁コイル2に通電すると、電磁コイル2の周囲に磁束Φが発生する。磁束Φは柱状ヨーク31、板状ヨーク32、コア部41、吸引ヨーク36、底部ヨーク37を流れる。これによりコア部41が磁化し、プランジャ押圧部材11の押圧力に抗して、コア部41が吸引ヨーク36に吸引される。
【0039】
なお、コア部41と吸引ヨーク36には、互いに接触する接触面419,369が形成されている。コア部41の接触面419は凸状の円錐面であり、吸引ヨーク36の接触面369は凹状の円錐面である。
【0040】
また、
図1に示すごとく、電磁コイル2への通電を停止すると、磁束Φが消滅する。そのためコア部41が吸引ヨーク36に吸引されなくなり、プランジャ押圧部材11の押圧力により、プランジャ4がZ方向における可動接点支持部51側へ押圧される。
【0041】
また、ケース14の上壁140と可動接点支持部51との間には、可動接点支持部51をZ方向における固定接点支持部52側へ押圧する接点押圧部材12を設けてある。接点押圧部材12のばね定数は、プランジャ押圧部材11のばね定数よりも小さい。
【0042】
図2に示すごとく、電磁コイル2に通電し、プランジャ4を吸引ヨーク36に引き付けると、接点押圧部材12の押圧力により可動接点支持部51がZ方向に押圧され、可動接点510が固定接点520に接触する。これにより、可動接点支持部51を通じて2個の固定接点支持部52a,52bの間に電流が流れるオン状態となる。
【0043】
また、
図1に示すごとく、電磁コイル2への通電を停止すると、プランジャ押圧部材11の押圧力により、プランジャ4がZ方向における可動接点支持部51側へ押圧される。そして、プランジャ4の当接部42が可動接点支持部51に当接し、接点押圧部材12の押圧力に抗して、可動接点支持部51を上壁140側へ移動させる。これにより、可動接点510が固定接点520から離隔し、2個の固定接点支持部52a,52bの間に電流が流れないオフ状態となる。
【0044】
なお、電磁継電器10は、複数の消弧用磁石13を有する。上記オン状態から上記オフ状態に切り替えた場合に、可動接点510と固定接点520との間にアークが発生するため、消弧用磁石13を使ってアークに磁界を加え、ローレンツ力によってアークを引き伸ばして消弧させている。これにより、固定接点支持部52a,52b間に流れる電流を早く遮断できるようにしてある。
【0045】
また、本例では
図2に示すごとく、2本のプランジャ4が、ヨーク3によって磁気的に並列接続されている。すなわち、電磁コイル2によって発生した磁束Φが、ヨーク3内で分岐し、2本のプランジャ4に別々に流れるよう構成されている。
【0046】
一方、
図3に示すごとく、板状ヨーク32は長方形状に形成されている。板状ヨーク32は、プランジャ4が通る2つのプランジャ挿通孔34と、この2つのプランジャ挿通孔34の間に形成されたヨーク嵌合穴330とを有する。ヨーク嵌合穴330は円形に形成されており、このヨーク嵌合穴330に柱状ヨーク31が内嵌している。ヨーク嵌合穴330の内周面は、板状ヨーク32と柱状ヨーク31とが接続する接続部33となっている。
【0047】
また、板状ヨーク32は、2つの貫通孔35を有する。貫通孔35は、接続部33とプランジャ挿通孔34との間に、Z方向へ貫通するよう形成されている。そして、ヨーク嵌合穴330とプランジャ挿通孔34との配列方向(X方向)と、Z方向との双方に直交する幅方向(Y方向)における、貫通孔35の両側に位置する部分が、電磁コイル2に通電した際に磁気飽和する磁気飽和部30となっている。この磁気飽和部30によって、コア部41に流れる磁束Φの量を制限している。
【0048】
本例の板状ヨーク32には、第1磁気飽和部30a〜第4磁気飽和部30dの、4個の磁気飽和部30が形成されている。この4個の磁気飽和部30の、Y方向における長さは互いに等しい。すなわち、4個の磁気飽和部30に流れる磁束Φの量は、それぞれ等しい。
【0049】
電磁コイル2への通電により発生した磁束Φは、柱状ヨーク31から接続部33を通って板状ヨーク32に入り、分流して4箇所の磁気飽和部30a〜30dを通る。2つのコア部41のうち一方のコア部41aには、第1磁気飽和部30aを通った磁束Φ1と、第2磁気飽和部30bを通った磁束Φ2とが流入する。また、他方のコア部41bには、第3磁気飽和部30cを通った磁束Φ3と、第4磁気飽和部30dを通った磁束Φ4とが流入する。このように磁束Φ1と磁束Φ2は、貫通孔35aを迂回し、回り込みながら一方のコア部41aに入る。また、磁束Φ3と磁束Φ4も、貫通孔35bを迂回し、回りこみながら他方のコア部41bに入る。
【0050】
図4に示すごとく、貫通孔35は、プランジャ挿通孔34と同心の円弧状に形成された円弧状面350と、該円弧状面350に連なりX方向に平行な2つの側面351,352と、該側面351,352に連なりY方向に平行な内側面353とを有する。内側面353と側面351とを接続する接続面354と、内側面353と側面352とを接続する接続面355とは、それぞれ円弧状に湾曲している。Y方向における貫通孔35の長さは、プランジャ挿通孔34の直径と略等しい。
【0051】
図5に示すごとく、板状ヨーク32には、Z方向における吸引ヨーク36側に突出した円筒状部39が形成されている。この円筒状部39の内側がプランジャ挿通孔34となっている。プランジャ挿通孔34の直径とコア部42の直径は略等しい。コア部42は、プランジャ挿通孔34の内面に摺接しながら、Z方向に進退動作する。
【0052】
一方、
図6に示すごとく、固定接点支持部52はY方向に延びており、その一部がケース14の外側に突出している。この、ケース14から突出した部分が、電磁継電器10の接続端子525となっている。
【0053】
可動接点510および固定接点520に対してX方向に隣接する位置に、上述した消弧用磁石13が設けられている。また、ケース14内には、可動接点510および固定接点520に対してY方向に隣接する位置に、消弧室Rが形成されている。接点部5をオン状態からオフ状態に切り替えた場合に、可動接点510と固定接点520との間に発生した上記アークは、消弧用磁石13の磁界によってY方向に引き延ばされ、消弧室Rに入って消弧される。
【0054】
次に、本例の電磁継電器10を用いる回路について説明する。
図7に示すごとく、本例の電磁継電器10はインバータ61と直流電源6の接続に用いられる。電磁継電器10は、直流電源6と組み合わされ、組電池として提供される。インバータ61は直流電源6の直流電力を交流電力に変換しており、この交流電力を使って三相交流モータ63を駆動するようになっている。電磁継電器10は、上述した2つの接点部5(5a,5b)を有する。この2個の接点部5のうち一方の接点部5aは、直流電源6の正電極とインバータ61との間を繋ぐ正側電力ライン64に設けられ、他方の接点部5bは、直流電源6の負電極とインバータ61との間を繋ぐ負側電力ライン65に設けられている。そして、制御回路62を使って電磁継電器10のオン状態とオフ状態とを切り替えることにより、インバータ61を直流電源6に接続したり、遮断したりしている。
【0055】
電磁継電器10をオン状態からオフ状態に切り替える際に、2個の接点部5(5a,5b)のうち一方の接点部5が溶着することがある。この場合でも、他方の接点部5をオフにすることができれば、インバータ61に流れる直流電流Iを遮断できるようになっている。
【0056】
本例の作用効果について説明する。
図1、
図2に示すごとく、本例のソレノイド装置1は、プランジャ4の数(2個)が電磁コイル2の数(1個)よりも多い。そのため、少ない電磁コイル2で多くのプランジャ4を進退動作させることができ、ソレノイド装置1の製造コストを低減することができる。また、ソレノイド装置1を小型化することができる。
【0057】
また、本例のソレノイド装置1は、複数のプランジャ4がそれぞれ独立に進退動作できるよう構成されている。そして、複数の接点部5の、オン状態とオフ状態との切り替えを、それぞれ独立に行えるように構成してある。そのため、接点部5の溶着等により、複数のプランジャ4のうち1つのプランジャ4が進退動作しなくなった場合でも、他のプランジャ4を正常に動作させることができる。
【0058】
また、本例では
図2に示すごとく、2本のプランジャ4が、ヨーク3によって磁気的に並列接続されている。
このようにすると、吸引ヨーク36が個々のプランジャ4を吸引する力を強くすることができる。すなわち、
図1に示すごとく、オフ状態ではプランジャ4と吸引ヨーク36との間に隙間Gができるため、磁束Φを流す際には、この隙間Gが磁気抵抗になる。そのため、仮に個々のプランジャ4を磁気的に直列接続したとすると、全体の磁気抵抗が大きくなり、プランジャ4に流れる磁束Φが減少して、プランジャ4を吸引する力が弱くなる。しかしながら、本例のように個々のプランジャ4を磁気的に並列接続することにより、全体の磁気抵抗を小さくすることができ、個々のプランジャ4に流れる磁束Φを増やすことができる。これにより、吸引ヨーク36がプランジャ4を吸引する力を強くすることが可能になる。
【0059】
また、
図3に示すごとく、ヨーク3には、局所的に磁気飽和する磁気飽和部30が複数箇所、形成されている。この磁気飽和部30によって、個々のプランジャ4に流れる磁束Φの量を制限するよう構成されている。
このようにすると、磁束Φを流した際に、全てのプランジャ4を確実に吸引ヨーク36に引き付けることができる。すなわち、本例のように、複数のプランジャ4を磁気的に並列接続した場合、一部のプランジャ4が他のプランジャ4よりも早く吸引ヨーク36に引き付けられる場合がある。この場合、仮に磁気飽和部30を形成しなかったとすると、先に引き付けられたプランジャ4に多くの磁束Φが流れるため、他のプランジャ4に磁束Φが流れにくくなる。そのため、他のプランジャ4をヨーク3に引き付けにくくなる。
しかしながら、板状ヨーク3に磁気飽和部30を形成することにより、個々のプランジャ4に流れる磁束Φの量を制限することができるため、一部のプランジャ4が早くヨーク3に引き付けられた場合でも、他のプランジャ4にも磁束Φを流すことが可能になる。その結果、全てのプランジャ4に磁束Φを充分に流すことができ、全てのプランジャ4を吸引ヨーク3に引き付けることが可能になる。
【0060】
なお、磁気飽和部30を形成せず、電磁コイル2によって大きな磁束Φを発生させ、該磁束Φをヨーク3内で飽和させることも可能であるが、この場合は、電磁コイル2が大型化したり、消費電力が大きくなるという問題がある。それに対して、本例のように磁気飽和部30を形成すれば、少ない磁束Φでも容易に磁気飽和させることができると共に、電磁コイル2を小型化でき、かつ消費電力も少なくすることができる。
【0061】
なお、本例ではヨーク3に磁気飽和部30を形成したが、プランジャ4に磁気飽和部30を形成してもよい。例えば、コア部41の一部を切り欠くことにより、磁気飽和部30を形成することができる。
【0062】
また、本例では
図3に示すごとく、板状ヨーク32の、接続部33とプランジャ挿通孔34との間における、プランジャ挿通孔34に隣接する位置に貫通孔35が形成されている。そして、Y方向における貫通孔35の両側の部分が上記磁気飽和部30になっている。
このようにすると、磁気飽和部30によって、個々のプランジャ4に流れる磁束Φの量を制限できると共に、プランジャ挿通孔34の内面とプランジャ4との間の摩擦を小さくすることができる。
すなわち、本例では、プランジャ4と接続部33との間に貫通孔35が形成されているため、磁束Φはこの貫通孔35を流れることはできず、分流して、プランジャ挿通孔34の近傍に存在する2個の磁気飽和部30を通ることになる。そのため、プランジャ4は接続部33側に大きく引き寄せられず、2個の磁気飽和部30に小さな力で引き寄せられるようになる。2個の磁気飽和部30のうち一方の磁気飽和部30にプランジャ4を引き寄せる力と、他方の磁気飽和部30にプランジャ4を引き寄せる力とは、それぞれ小さく、かつ向きが互いに異なる。そのため、プランジャ4が特定の方向に大きな力で引き寄せられることを防ぐことができる。その結果、プランジャ挿通孔34の内面にプランジャ4が強い力で擦れなくなり、これらの間に生じる摩擦を小さくすることが可能になる。
【0063】
また、
図1に示すごとく、本例では、2本のプランジャ4を、電磁コイル2の外側に配置してある。
このようにすると、電磁コイル2の内側に配されるプランジャ4の数を減らすことができるため、電磁コイル2の直径を小さくすることができ、電磁コイル2を小型化することが可能になる。また、電磁コイル2を構成する導線の長さを短くすることができ、電磁コイル2の製造コストを低減することが可能となる。
【0064】
以上のごとく、本例によれば、製造コストを低減でき、複数のプランジャのうち1個のプランジャが動作しなくなった場合でも、他のプランジャを進退動作できるソレノイド装置を提供することができる。
【0065】
なお、本例では
図2、
図3に示すごとく、板状ヨーク32に形成したヨーク嵌合穴330に柱状ヨーク31の端部を内嵌し、このヨーク嵌合穴330の内周面を上記接続部33としているが、他の構成を採用することもできる。例えば、ヨーク嵌合穴330を形成せず、板状ヨーク32の主面に柱状ヨーク31の端面310を接触させてもよい。この場合、板状ヨーク32のうち、柱状ヨーク31の端面310と接触する部分が上記接続部33となる。
【0066】
また、本例では
図1に示すごとく、接点部5と、プランジャ4と、吸引ヨーク36の、Z方向における配列順序を、一方のプランジャ4a側と他方のプランジャ4b側とで同一にしたが、これを別の構成にしてもよい。例えば、一方の接点部5aと、一方のプランジャ4aと、一方の吸引ヨーク36bの、Z方向における配列順序を反転させる。このようにすると、一方の接点部5aは、プランジャ4aが図の上側に移動した時にオン状態となり、他方の接点部5bは、プランジャ4bが図の下側に移動した時にオン状態となる。そのため、外部から振動が加わって、2本のプランジャ4a,4bが同時に同一方向に移動し、2つの接点部5a,5bが同時にオンすることを防止できる。
【0067】
(実施例2)
本例は、プランジャ4の数を変更した例である。
図8に示すごとく、本例のソレノイド装置1は、1個の電磁コイル2と3個のプランジャ4とを備える。3個のプランジャ4は、電磁コイル2の径方向外側に配置されており、それぞれ独立に進退動作できるように形成されている。板状ヨーク32は、ヨーク嵌合穴330を有する中央板部321と、該中央板部321から放射状に広がる3個の放射板部322とを有する。個々の放射板部322にプランジャ挿通孔34が形成されている。また、プランジャ挿通孔34とヨーク嵌合穴330(接続部33)との間には、板状ヨーク32の板厚方向に貫通した貫通孔35が形成されている。この貫通孔35の両端に磁気飽和部30が形成されている。
その他、実施例1と同様の構成を備える。
【0068】
本例の作用効果について説明する。本例では、1個の電磁コイル2を使って、より多く(3個)のプランジャ4を進退動作させることができる。
その他、実施例1と同様の作用効果を有する。
【0069】
(実施例3)
本例は、電磁コイル2とプランジャ4の数を変更した例である。本例のソレノイド装置1は、2個の電磁コイル2と3個のプランジャ4を備える。2個の電磁コイル2の中心軸と、3個のプランジャ4の中心軸とは、全て平行である。また、これらの中心軸は全て同一平面上に存在している。2つの電磁コイル2a,2bのうち一方の電磁コイル2aは、第1のプランジャ4aと第2のプランジャ4bとの間に配置されている。また、他方の電磁コイル2bは、第2のプランジャ4bと第3のプランジャ4cとの間に配置されている。
その他、実施例1と同様の構成および作用効果を有する。
【0070】
(
参考例1)
本例は、プランジャ4の形状および配置位置を変更した例である。
図10に示すごとく、本例では、1個の電磁コイル2の中心に2個のプランジャ4を配置してある。個々のプランジャ4の当接部42は折れ曲がっている。当接部42は、コア部41に接続しZ方向へ延びる第1部分421と、該第1部分421から電磁コイル2の径方向(X方向)外側へ延出する第2部分422と、該第2部分422からZ方向における可動接点支持部51側に延びる第3部分423とを備える。第3部分423は、プランジャ4の進退動作に伴って可動接点支持部51に当接する。
その他、実施例1と同様の構成および作用効果を有する。
【0071】
(実施例
4)
本例は
図11に示すごとく、電磁コイル2を、第1部分2aと第2部分2bとの2つの部分に分けた例である。第1部分2aと第2部分2bは、同一方向に磁束が発生するよう、導線を巻回してある。第1部分2aと第2部分2bは、それぞれ別々に通電できるようになっている。本例では、プランジャ4を吸引する際には、電磁コイル2の第1部分2aと第2部分2bの両方に通電する。これにより、強い磁力を発生させ、プランジャ4を吸引する。
【0072】
第1部分2aと第2部分2bは、プランジャ4の可動範囲において、Z方向に互いに隣接するよう配置されている。例えば、電磁コイル2自体を複数に分割した場合、プランジャ4の可動範囲内に設けてあれば、それらは1つの電磁コイル2の第1部分2a及び第2部分2bとなる。
【0073】
また、本例では
図12に示すごとく、プランジャ4を吸引した後、第2部分2bを通電停止して、第1部分2aのみを使ってプランジャ4を吸引し続ける。
プランジャ4を吸引する前は、プランジャ4と吸引ヨーク36との間のギャプが大きいため、これらの間の磁気抵抗が大きく、プランジャ4を吸引するためには大きな起磁力が必要である。しかし、吸引後はエアギャップが殆ど無くなるため、磁気抵抗が極小になる。そのため、小さな起磁力でも大きな磁束Φを流すことができ、第2部分2bを通電停止しても、プランジャ4を吸引し続けことが可能となる。これにより、電磁コイル2の消費電力を低減することが可能となる。
その他、実施例1と同様の構成および作用効果を有する。
【0074】
なお、本例では、電磁コイル2を第1部分2aと第2部分2bとの2つの部分に分けたが、3つ以上の部分に分けてもよい。
【0075】
また、本例では、第1部分2aと第2部分2bとを、それぞれ別の導線によって形成したが、1本の導線を使って形成してもよい。例えば、一本の導線を巻回して第1部分2aと第2部分2bとを形成し、その中点に電流を流せるようにしておく。そして、導線の一方の端部と中点との間に電圧を印加すると第1部分2aが励磁され、導線の他方の端部と中点との間に電圧を印加すると第2部分2bが励磁されるように構成することができる。
【0076】
また、本例では、低い吸引力で吸引できるプランジャ4と、吸引するために強い吸引力を要するプランジャ4とを設けることもできる。そして、電磁コイル2の第1部分2aにのみ通電することにより、低い吸引力で吸引できるプランジャ4のみを吸引し、続いて第2部分2bにも通電して、強い吸引力が必要なプランジャ4をも吸引する。これにより、複数のプランジャ4の吸引順序を容易に制御することが可能になる。また、2つのプランジャ4を吸引した後、第2部分2bを通電停止して、第1部分2aのみ通電した状態で、両方のプランジャ4を吸引し続けることが可能である。
なお、プランジャ4間で上記吸引力に差をつける方法としては、例えば、磁気飽和部30を形成したり、押圧部材11,12のばね定数を互いに変えたり、プランジャ4と吸引ヨーク36との間のギャップを互いに変えたり、プランジャ4の質量等を互いに変えたりする方法を採用することができる。
【0077】
(実施例
5)
本例は、板状ヨーク32の形状を変更した例である。本例のソレノイド装置1は、
図13に示すごとく、2本のプランジャ4を有する。この2本のプランジャ4には、先吸引プランジャ4xと後吸引プランジャ4yとがある。先吸引プランジャ4xは、電磁コイル2へ通電した際に、先に吸引ヨーク36に吸引される。後吸引プランジャ4yは、先吸引プランジャ4xが吸引された後に吸引ヨーク36に吸引される。
【0078】
本例では
図13に示すごとく、電磁コイル2への通電を停止した状態における、先吸引プランジャ4xと吸引ヨーク36との間のギャップG1を、後吸引プランジャ4yと吸引ヨーク36との間のギャップG2よりも小さくしてある。そのため、電磁コイル2へ通電した瞬間における、先吸引プランジャ4xに発生する磁力は、後吸引プランジャ4yに発生する磁力よりも大きい。したがって、先吸引プランジャ4xは後吸引プランジャ4yよりも先に吸引される。
【0079】
また、本例では
図14に示すごとく、先吸引プランジャ4xに流れる磁束Φxの経路上に、磁束Φxが局所的に磁気飽和する磁気飽和部30を形成してある。この磁気飽和部30により、先吸引プランジャ4xに流れる磁束Φxの量を制限している。また、後吸引プランジャ4yに流れる磁束Φyの経路上には、磁気飽和部30を形成していない。
【0080】
本例の作用効果について説明する。本例では、磁気飽和部30によって、先吸引プランジャ4xに流れる磁束Φxを制限するため、先吸引プランジャ4xが吸引された後、後吸引プランジャ4yにも充分に磁束Φyを流すことができる。そのため、後吸引プランジャ4yを確実に吸引することが可能になる。
【0081】
なお、磁気飽和部30を形成せず、電磁コイル2によって大きな磁束Φを発生させ、該磁束Φをヨーク3内で飽和させることも可能であるが、この場合は、電磁コイル2が大型化したり、消費電力が大きくなるという問題がある。それに対して、本例のように磁気飽和部30を形成すれば、少ない磁束Φでも容易に磁気飽和させることができると共に、電磁コイル2を小型化でき、かつ消費電力も少なくすることができる。
【0082】
また、本例では、2つのプランジャ4x,4yを、時間差をおいて吸引できるため、作動音を低減することが可能になる。
その他、実施例1と同様の作用効果を有する。
【0083】
なお、本例では
図14に示すごとく、2つの磁気飽和部30(30a,30b)を形成したが、
図15に示すごとく、板状ヨーク32をY方向における両側から切り欠いて、1つの磁気飽和部30を形成してもよい。また、図示しないが、先吸引プランジャ4xに1つの磁気飽和部30を形成してもよい。
【0084】
また、本例では
図13に示すごとく、ギャップG1,G2の長さを変えることにより、先吸引プランジャ4xを後吸引プランジャ4yよりも先に吸引させるようにしたが、プランジャ4x,4yの質量を互いに変えたり、プランジャ押圧部材11x,11yのばね定数を互いに変えたりしてもよい。また、吸引ヨーク36とプランジャ押圧部材11との間に弾性部材(図示しない)を設けておき、先吸引プランジャ4x側の弾性部材のばね定数と、後吸引プランジャ4y側の弾性部材のばね定数とを互いに変えてもよい。また、接点押圧部材12を固定するための固定部材121,122を弾性材料によって形成しておき、この2つの固定部材121,122の弾性係数を互いに変えてもよい。
【0085】
(実施例
6)
本例は、
図16、
図17に示すごとく、2つの接点部5(5a,5b)の間に、絶縁部材からなるアーク接触防止板7を配置した例である。接点部5をオフ状態からオン状態に切り替えるとアークAが発生する。本例ではアーク接触防止板7を使って、アークAが互いに接触することを防止している。
【0086】
接点部5は、実施例1と同様に、可動接点510及び固定接点520と、可動接点510を支持する可動接点支持部51と、固定接点520を支持する固定接点支持部52とを備える。1個の接点部5は、2個の固定接点支持部52と1個の可動接点支持部51を備える。上記アークAは、可動接点510と固定接点520との対(接点対59)から発生する。1個の接点部5は2個の接点対59を有する。一方の接点部5aに含まれる2つの接点対59a,59bと、他方の接点対5bに含まれる2つの接点対59c,59dは、X方向に相対向している。
【0087】
アーク接触防止板7の主面は、X方向に直交している。アーク接触防止板7と接点部5との間には、消弧室Rが形成されている。接点部5の近傍に設けた消弧用磁石13の磁力によりアークAを消弧室Rへ導き、アークAを引き延ばして消弧するようになっている。アーク接触防止板7には、X方向に貫通した貫通孔70が形成されている。
図17に示すごとく、貫通孔70は、ケース14の上壁140付近に設けられている。
【0088】
また、本例の電磁継電器10は、絶縁材料からなる補助アーク接触防止板71を備える。補助アーク接触防止板71は、1個の接点部5から生じた2つのアークが互いに接触することを防止している。
【0089】
また、本例では
図17に示すごとく、電磁コイル2への通電を停止した状態(通電停止状態)では、個々のプランジャ4a,4bは進退方向(Z方向)に揺動可能になっている。そして、一方のプランジャ4aのプランジャ押圧部材11aと、他方のプランジャ4bのプランジャ押圧部材11bとは、そのばね定数が互いに異なっている。そのため、2個のプランジャ4a,4bは、通電停止状態におけるZ方向への振動の周波数が、互いに異なっている。
その他、実施例1と同様の構成を備える。
【0090】
本例の作用効果について説明する。本例のように、アーク接触防止板7に貫通孔70を形成すると、アークAを早く消弧することが可能になる。すなわち、アークAが発生すると、可動接点510及び固定接点520を構成する金属の一部がアークAの熱によって蒸発し、金属蒸気が生じる。アークAが発生する空間(消弧室R)における、金属蒸気の濃度が高くなると、アークAを消弧しにくくなる。また、金属蒸気の発生量は、接点部5によって多かったり少なかったりすることがある。そのため、アーク接触防止板7に貫通孔70を形成すれば、金属蒸気の濃度が高い消弧室Rから低い消弧室Rへ、金属蒸気を、貫通孔70を通して移動させることができる。そのため、金属蒸気の濃度が局所的に高まることを抑制でき、アークを早く消弧できるようになる。
【0091】
また、本例では、通電停止状態における、2個のプランジャ4a,4bのZ方向への振動の周波数を、互いに異ならせてある。
複数のプランジャ4の振動の周波数が互いに等しい場合には、振動によって複数のプランジャ4が同時に同一方向に動き、複数の接点部5が同時にオンすることがある。そのため、電磁継電器10に接続した電子機器(インバータ61:
図7参照)が、予期せぬ時に作動するという不具合が生じる。そこで、各プランジャ4の振動の周波数を互いに異ならせることにより、複数の接点部5が同時にオンすることを防ぎ、上記不具合を防止できる。
なお、本例では、プランジャ押圧部材11a,11bのばね定数を互いに異ならせることにより、2個のプランジャ4a,4bの振動の周波数を変えているが、プランジャ4a,4bの質量を互いに異ならせたり、プランジャ4a,4bと吸引ヨーク36との間のギャップGの長さを互いに異ならせたりしてもよい。
その他、実施例1と同様の作用効果を有する。
【0092】
(実施例
7)
本例は、
図18、
図19に示すごとく、アーク接触防止板7を取り除いた例である。本例では、2つの接点部5a,5bをX方向へ充分に離し、アーク接触防止板7を設けなくてもアークAが互いに接触しないよう構成してある。
【0093】
金属蒸気の発生量は、接点部5によって多かったり少なかったりすることがある。本例ではアーク接触防止板7を設けていないため、金属蒸気の発生量が多い接点部5から、少ない接点部5へ、金属蒸気をスムーズに移動させることができる。そのため、金属蒸気の濃度が局所的に高まることを防止でき、アークAを早く消弧することが可能になる。
その他、実施例
6と同様の作用効果を有する。
【0094】
(実施例
8)
本例は、
図20〜
図22に示すごとく、2個の接点部5を、予め定められた順序でオン状態からオフ状態に切り替えるようにした例である。本例の電磁継電器10は、実施例1(
図7参照)と同様に、一方の接点部5aのみを使って電流を遮断し、他の接点部5bをフェールセーフとして使用している。そして、電流遮断用の接点部5aを先にオン状態からオフ状態に切り替え、その後、フェールセーフ用の接点部5bをオン状態からオフ状態に切り替えるよう構成されている。
【0095】
また、本例では、実施例
6と同様に、2個の接点部5の間にアーク接触防止板7を配置してある。このアーク接触防止板7には、貫通孔70を設けてある。
【0096】
2個のプランジャ4a,4bのうち、一方のプランジャ4aは、電磁コイル2の外側に配されている。他方のプランジャ4bは、電磁コイル2の内側に配されている。また、電磁コイル2の近傍に側壁ヨーク38を設けてある。側壁ヨーク38は、板状ヨーク32と底部ヨーク37とを繋いでいる。
【0097】
図20に示すごとく、電磁コイル2に通電すると磁束Φが発生する。磁束Φは、第1磁束Φ1と第2磁束Φ2とに分かれて流れる。第1磁束Φ1は、板状ヨーク32、一方のプランジャ4a、吸引ヨーク36a、底部ヨーク37、吸引ヨーク36b、他方のプランジャ4bを流れる。また、第2磁束Φ2は、他方のプランジャ4b、板状ヨーク32、側壁ヨーク38、底部ヨーク37、吸引ヨーク36bを流れる。
【0098】
このように、一方のプランジャ4aには第1磁束Φ1のみが流れ、他方のプランジャ4bには第1磁束Φ1と第2磁束Φ2とが両方とも流れる。そのため、他方のプランジャ4bに流れる磁束の量は多く、強い磁力が発生する。これに対し、一方のプランジャ4aに流れる磁束の量は少なく、弱い磁力しか発生しない。そのため
図21に示すごとく、電磁コイル2への通電を停止すると、吸引する磁力が弱い一方のプランジャ4aの方が先に吸引解除される。
すなわち、電磁コイル2への通電を停止すると、プランジャ4を吸引ヨーク36に吸引する力が次第に低下し、その吸引力が、2つの押圧部材11,12の合力よりも小さくなった時点で、プランジャ4が吸引解除される。本例では、一方のプランジャ4aの方が吸引力が弱いため、電磁コイル2への通電を停止すると、一方のプランジャ4aの方が、他方のプランジャ4bよりも、その吸引力が、上記合力よりも早く小さくなる。そのため、一方のプランジャ4aの方が先に吸引解除される。
【0099】
一方のプランジャ4aが吸引解除されることにより、一方の接点部5aがオフ状態になる。この後、
図22に示すごとく、吸引する磁力が強い他方のプランジャ4bも吸引解除され、他方の接点部5bがオフ状態になる。
その他、実施例1と同様の構成を備える。
【0100】
本例の作用効果について説明する。本例では、複数の接点部5a,5bのうち、一部の接点部5aのみ(
図7参照)を使って電流を遮断し、他の接点部5bをフェールセーフとして使用している。そして、電流遮断用の接点部5aを先にオン状態からオフ状態に切り替え、その後、フェールセーフ用の接点部5bをオン状態からオフ状態に切り替えている。この場合、電流遮断用の接点部5aをオン状態からオフ状態にした際にアーク及び金属蒸気が発生するが、フェールセーフ用の接点部5bからはアーク及び金属蒸気は発生しない。そのため、上述したようにアーク接触防止板7に貫通孔70を設けておけば、電流遮断用の接点部5aから発生した金属蒸気を、貫通孔70を通して、フェールセーフ用の接点部5b(金属蒸気が発生しない接点部)へ移動させることができる。そのため、電流遮断用の接点部5aの周囲における、金属蒸気の濃度を効果的に下げることができる。これにより、アークをより早く消弧することが可能になる。
【0101】
また、本例では、2つのプランジャ4を吸引した状態において、各々のプランジャ4に流れる磁束Φの量が互いに異なるよう構成されている。そして
図21、
図22に示すごとく、電磁コイル2への通電を停止した場合に、吸引した状態における磁束Φの量が少ないプランジャ4から順番に吸引解除されるようになっている。このプランジャ4の吸引解除動作により、接点部5をオン状態からオフ状態に切り替えている。
このようにすると、プランジャ4a,4bを確実に、予め定められた順番で吸引解除できる。そのため、このプランジャ4a,4bの吸引解除動作により、2個の接点部5a,5bを確実に、予め定められた順序でオフ状態にすることができる。
【0102】
なお、本例では、電磁コイル2への通電を停止する際に、電磁コイル2に加える電圧を一気に0Vまで下げているが、電磁コイル2に加える電圧を段階的に下げてもよい。
電磁コイル2の電圧を段階的に下げると、各々のプランジャ4に発生する磁力が段階的に低下する。そのため複数のプランジャ4を、吸引時における磁束の量が少ないプランジャ4(吸引する磁力が弱いプランジャ4)から順番に、より確実に吸引解除することができる。そのため、複数の接点部5を確実に、予め定められた順序でオフ状態にすることができる。
【0103】
また、本例では、2本のプランジャ4のうち、一方のプランジャ4aは、電磁コイル2の外側に配されており、他方のプランジャ4bは、電磁コイル2の内側に配されている。
このようにすると、電磁コイル2の内側に配されるプランジャ4の数を減らすことができるため、電磁コイル2の直径を小さくでき、電磁コイル2を小型化することが可能になる。また、電磁コイル2を構成する導線の長さを短くすることができ、電磁コイル2の製造コストを低減することが可能になる。
また、他方のプランジャ4bを電磁コイル2の内側に配することにより、電磁コイル2に通電した際に、他方のプランジャ4bに、より多くの磁束Φを流すことが可能になる。これにより、電磁コイル2に通電した際に、他方のプランジャ4bを先に吸引させることが可能になる。
【0104】
また、本例では、オフ状態からオン状態に切り替える際には、強い磁力が発生する、他方のプランジャ4bが先に吸引され、その後、一方のプランジャ4aが吸引される。そのため、2つのプランジャ4a,4bを、時間差をおいて吸引でき、作動音を低減することが可能になる。
その他、実施例1と同様の作用効果を有する。
【0105】
なお、
図23に示すごとく、電磁コイル2を、第1部分2aと第2部分2bとの2つの部分に分割することもできる。そして、プランジャ4を吸引する際には、2つの部分2a,2bにそれぞれ通電し、プランジャ4を吸引した後は、例えば第2部分2bを通電停止し、第1部分2aのみを通電した状態で、2つのプランジャ4a,4bを吸引し続けることができる。これにより、電磁コイル2の消費電力を低減することが可能になる。
なお、第1部分2a,第2部分2bの定義は、実施例
4と同様である。また、電磁コイル2を3つ以上の部分に分けてもよい。
【0106】
また、第1部分2a,第2部分2bにそれぞれ通電した状態で2つのプランジャ4a,4bを吸引し続けてもよい。そして、第2部分2bを通電停止すると一方のプランジャ4aが吸引解除され、第1部分2aも通電停止すると他方のプランジャ4bも吸引解除されるよう構成してもよい。
【0107】
(実施例
9)
本例は、接点部5の構造を変更した例である。
図24〜
図26に示すごとく、本例では、可動接点支持部51を、Z方向における電磁コイル2側に配置し、固定接点支持部52を、Z方向における上壁140側に配置してある。プランジャ押圧部材11は、プランジャ4を、ケース14の底壁141側へ押圧している。また、接点押圧部材12は、可動接点支持部51を、ケース14の上壁140側へ押圧している。
【0108】
図24に示すごとく、電磁コイル2に通電すると磁力が発生し、この磁力により、プランジャ4が上壁140側へ移動する。そして、プランジャ4の鉤爪部49が可動接点支持部51から外れ、接点押圧部材12の押圧力により、可動接点支持部51が上壁140側へ押圧される。これにより、可動接点510が固定接点520に接触し、接点部5がオン状態となる。
【0109】
図25に示すごとく、電磁コイル2への通電を停止すると磁力が低下し、プランジャ押圧部材11の押圧力により、プランジャ4が底壁141側へ移動する。そして、プランジャ4の鉤爪部49が可動接点支持部51に係合し、可動接点支持部51を底壁141側へ引き寄せる。これにより、可動接点510が固定接点520から離隔し、接点部5がオフ状態となる。
【0110】
また、本例では、ケース14内に水素ガスを密封してある。水素ガスを密封すると、アークAが発生する際に吸熱反応が生じ、アークAを消弧しやすくなる。
その他、実施例1と同様の構成および作用効果を有する。
【0111】
(参考例
2)
本例は、電磁コイル2の数を変更した例である。本例は
図27に示すごとく、2個のプランジャ4(4a,4b)と、2個の電磁コイル2(2a,2b)とを備える。個々のプランジャ4a,4bは、個々の電磁コイル2a,2bの内側に配されている。そして、個々の電磁コイル2a,2bの通電状態と通電停止状態とを切り替えることにより、プランジャ4a,4bを進退動作させている。そして、個々のプランジャ4a,4bの進退動作により、個々の接点部5a,5bをオンオフさせている。
【0112】
2個の接点部5a,5bの間には、実施例
6と同様に、アーク接触防止板7を配置してある。また、アーク接触防止板7には、貫通孔70が形成されている。接点部5をオン状態からオフ状態に切り替えるとアークAが発生する。このアークAの熱によって接点510,520が蒸発し、金属蒸気が発生する。金属蒸気の濃度は、消弧室Rによって異なる場合がある。アーク接触防止板7に貫通孔70を形成しておけば、金属蒸気の濃度が低い消弧室Rから高い消弧室Rへ、貫通孔70を通って金属蒸気が移動する。そのため、金属蒸気の濃度が局所的に高くなることを防止でき、アークAを消弧しやすくなる。
その他、実施例
6と同様の構成および作用効果を有する。