【課題を解決するための手段】
【0007】
塗布用具
本発明の例示的実施形態は、睫毛および/または眉毛に組成物を塗布するための用具を提供し、本用具は、
・ 長手方向軸を有する芯部と、
・ 芯部に支持されている複数の歯列、好ましくは少なくとも5つの歯列と、
を備える成形された塗布部材を含み、隣接する2列に属する2本の歯は平行でなはなく、芯部の少なくとも1つのセグメントの外面は、歯のない部分を1つだけ含むか、または互いに実質的に反対側に位置する歯のない部分を2つだけ含み、その1つの歯のない部分または各歯のない部分の角度域(angular extent)は、前記長手方向軸を中心として75°〜110°の範囲である。この角度域は、長手方向軸を中心とする最も近接した列によって画定される最小角度オフセット(angular offset)より大きくてもよい。
【0008】
(1つまたは2つの)歯のない部分があることによって、その(1つまたは2つの)部分を画定する歯が睫毛を梳く、睫毛に付着させる、睫毛を伸ばす、および/または睫毛を分離するように睫毛の中に十分入り込むことが可能になる。
【0009】
さらに、(1つまたは2つの)歯のない部分が存在することにより、用具が払拭部を通過した後の組成物の付着量を改善することが可能になる。
【0010】
「芯部の長手方向軸」という用語は、芯部の断面の重力の中心(重心)を結ぶ線を示すのに使用される。長手方向軸は中心線であっても、あるいは、特に、芯部の断面が円形であるかもしくは略正多角形である場合、芯部の対称軸であってもよい。芯部の長手方向軸は直線状であってもまたは曲線状であってもよく、芯部の一部あるいは全部の断面の対称面となり得る平面に含まれていてもよい。
【0011】
「歯」という用語は、睫毛の間に入り込むように個々に突出する要素を示すのに使用され、この用語は、本発明に関して、「ブラシ毛」と同義である。
【0012】
本発明に関して、塗布部材をその長手方向軸に沿って観察したとき、歯が共通の接合面を有するおよび/または基部以外で重なり合い、基部が列の軸に2点以上で接している場合、歯は同じ「歯列」に属しているものとする。1列の歯の基部は接触していてもまたは離間していてもよい。歯が離間している場合、塗布部材を長手方向軸に垂直に観察したとき、1列の隣接する2本の歯の間隔は、前記隣接する歯の基部の最も近接した端部間で測定され、例えば、0.1ミリメートル(mm)〜5mmの範囲であってもよい。
【0013】
例に応じて、芯部は偶数列または奇数列、例えば、少なくとも5列、少なくとも6列、少なくとも7列、少なくとも8列、少なくとも9列、または少なくとも10列の歯を支持してもよい。
【0014】
芯部の長手方向軸が直線状である場合、歯のない部分の角度域は、芯部の長手方向軸に垂直な断面で長手方向軸を中心として、一方の、前記断面における第1列の歯の突出中心と、他方の、前記断面における第2列の歯の突出中心との間で測定される最小角度に相当し、前記第1列と第2列は前記歯のない部分を画定するものとする。換言すれば、芯部の長手方向軸が直線状である場合、歯のない部分の角度域は、芯部の前記長手方向軸に垂直な断面上における、前記歯のない部分を画定する2列の歯の突出中心に挟まれる最小角度域に等しく、前記最小角度域は、前記長手方向軸を中心として前記断面で測定される。
【0015】
芯部の長手方向軸が曲線状である場合、歯のない部分の角度域は、曲線状の長手方向軸を有する塗布部材を、塗布部材の近位端で曲線状の長手方向軸に1点で接する直線状の長手方向軸を有する塗布部材に変換する数学的変換による、曲線状の長手方向軸を有する塗布部材の塗布部材像の歯のない部分の角度域に相当する。直線状の長手方向軸は、ほとんどの実施形態では、塗布部材を支持する軸体の長手方向軸と同一線上に並び得る。
【0016】
本発明に関して、「2列によって画定される角度オフセット」という用語は、長手方向軸を中心とする、当該2列の歯の基部の中心間の最小角度を示すのに使用される。2列によって画定される角度オフセットは、(1つまたは2つの)歯のない部分の角度域について前述したように測定される。本発明に関して、「最も近接した列」とは、前述の最小角度オフセットを有する2列である。
【0017】
「芯部のセグメント」という用語は、芯部の歯を支持する部分の、芯部の長手方向軸に沿って測定される第1の横軸と第2の横軸との間にある小部分を示すのに使用される。
【0018】
「互いに反対側に位置する芯部の周囲の2点」という用語は、塗布部材の断面を観察したとき、対称中心が存在する場合、対称中心である芯部の断面の対称中心に関する中心対称において2点が互いに対応することを意味し、対称中心が存在しない場合、2点と芯部の断面の重心が同一線上に並んでいることを意味するものと理解すべきである。例えば、円柱形状の芯部では、芯部の一断面の直径方向反対側にある2点は、互いに反対側に位置するものとする。
【0019】
「芯部の外面の互いに実質的に反対側に位置する2つの部分」という用語は、塗布部材の断面を観察したとき、それらの部分の第1の部分を構成する点の少なくとも75%、例えば、少なくとも90%、あるいは全部が、他方の部分を構成する点の反対側に位置することを意味するものと理解すべきである。
【0020】
「互いに実質的に反対側に位置する2つの歯列」という用語は、芯部の外面の、互いに実質的に反対側にある各部分に連結している2列を意味するのに使用される。
【0021】
「歯の長さ」という用語は、歯の長軸に沿って、歯の自由端と、歯が芯部に連結している基部との間で測定される距離を示すのに使用される。「歯の長軸」という用語は、歯の断面の重心を通る軸を意味するのに使用される。
【0022】
例えば、芯部の長手方向軸を中心とする隣接する少なくとも2つの歯列の最長の歯の長さは、同一であってもまたは異なっていてもよい。
【0023】
本発明の用具の互いに実質的に反対側に位置する少なくとも2つの歯列の最長の歯は、実質的に同じ長さであってもよく、例えば、同じ長さから10%以内の範囲であってもよい。
【0024】
「平行な歯」という用語は、互いに平行な長軸を有する歯を示すのに使用される。
【0025】
芯部の外面の1つの歯のない部分または互いに実質的に反対側にある2つの歯のない部分が存在するセグメントの(合計の)長さは、芯部の歯を支持する部分の長さの50%以上、例えば、75%以上、または100%であってもよい。従って、芯部の長手方向軸に沿って観察したとき、塗布部材がその外面の1つの部分または2つの部分に歯を有していなくてもよい。
【0026】
塗布部材が1つの歯のない部分を含む場合、歯のない部分は、芯部の対応するセグメントの外面の7%〜40%、例えば、10%〜30%、例えば、15%〜30%の範囲を占めてもよい。
【0027】
塗布部材が互いに実質的に反対側にある2つの歯のない部分を含む場合、歯のない部分はそれぞれ、芯部の対応するセグメントの外面の7%〜40%、例えば、10%〜30%、例えば、15%〜30%の範囲を占めてもよい。
【0028】
芯部の長手方向軸を中心として、1つの歯のない部分の角度域または互いに実質的に反対側にある2つの歯のない部分のそれぞれの角度域は、75°〜110°の範囲、例えば、85°〜100°の範囲、例えば、90°〜100°の範囲であってもよい。
【0029】
1つの歯のない部分の角度域または互いに実質的に反対側にある2つの歯のない部分のそれぞれの角度域は、最小角度オフセットの複数倍、即ち、最小角度オフセットの少なくとも2倍、特に前記角度オフセットの少なくとも3倍であってもよい。最小角度オフセットは、60°未満、特に45°未満、あるいは40°未満であってもよく、前記最小角度オフセットは場合によっては実質的に30°であってもよい。
【0030】
「芯部から実質的に放射状に延びる歯」という用語は、長軸が芯部の断面の半径に対して15°未満の角度をなす歯を示すのに使用され、前記半径は、前記歯の基部の中心を含む。
【0031】
当該実施形態に関わらず、例えば、塗布部材の各列の歯の少なくとも50%、例えば、少なくとも75%、例えば、実質的に全部の歯が芯部から実質的に放射状に延びてもよい。
【0032】
当該実施形態に関わらず、隣接する少なくとも2列の最長の歯の長さは異なっていてもよい。
【0033】
一変形例では、塗布部材は、互いに反対側にある2つの歯のない部分と、任意選択により放射状に延びる複数の歯列を有し、隣接する少なくとも2列の最長の歯の長さが同一であってもよい。一変形例では、塗布部材は、互いに反対側にある2つの歯のない部分と、任意選択により放射状に延びる複数の歯列を有し、隣接する少なくとも2列の最長の歯の長さが異なっていてもよい。隣接する2列の最長の歯の長さが異なっている場合、前記隣接する列の少なくとも1つが、(1つまたは2つの)歯のない部分に隣接していてもよい。
【0034】
塗布部材を長手方向軸に垂直に観察したとき、1つの歯のない部分または互いに実質的に反対側にある2つの歯のない部分の少なくとも一方が、平面状、凹状、または凸状であってもよい。
【0035】
本発明の塗布部材は、芯部の断面の対称中心から、または対称中心がない場合はその重心から等距離にある自由端を有する歯を、芯部の歯を支持する部分の長さの50%以上、75%以上、または100%の長さを有する芯部の少なくとも1つのセグメントに含んでもよい。
【0036】
本発明の例示的実施形態では、塗布部材は、複数のシェルを一体に組み立てることによって形成される金型で成形され、そのうちの少なくとも2個の隣接するシェルは、歯を形成するためのキャビティのない仕上げ面を有する。
【0037】
例えば、4個のシェルは、歯を形成するためのキャビティのない仕上げ面を有してもよい。
【0038】
金型は、互いに反対側に位置する少なくとも2群の歯を形成することになる複数組のシェルを含んでもよい。例えば、互いに実質的に反対側に位置する2群のシェルはそれぞれ、歯を形成するためのキャビティのない仕上げ面を有する少なくとも2個の隣接するシェルを備えてもよい。
【0039】
例として、塗布部材は、10個または12個のシェルを一体に組み立てることによって成形されてもよく、シェルの数は、製造される列の数に応じて選択される。
【0040】
塗布部材の歯は全て、一体構造の芯部と一体成形されてもよく、前記歯は1種類の材料または複数の異なる材料で製造されてもよい。
【0041】
開示される様々な実施形態では、塗布部材は軸体と一体成形されてもよい。
【0042】
芯部、軸体およびエンドピース
芯部の断面は、任意選択により芯部の長手方向軸に沿って、例えば、芯部の歯を支持する部分の長さの少なくとも半分、または4分の3、あるいは全部にわたって一定の形状であってもよい。例として、断面は幾何学的に相似して変化してもよい。
【0043】
塗布部材の近位端から遠位端に進むとき、芯部の断面は、例えば、単調に拡大または縮小してもよい。
【0044】
塗布部材の近位端から遠位端に進むとき、芯部の断面は、極値部、例えば、最小部または最大部を有してもよい。
【0045】
芯部の断面は、その長さの大部分にわたって円形でなくてもよい。芯部は、任意選択により略円状に対称の形状であってもよい。芯部は円柱状である必要はなく、歯以外に突出部を有していなくてもよい。芯部の断面は、その長さの少なくとも一部にわたって、次に挙げるもの:円形または非円形;半円形;楕円形;長形状(oblong);半楕円形;多角形;正方形;六角形;八角形;および半多角形から選択される形状であってもよい。形状は芯部の長手方向軸に沿って変化してもよい。
【0046】
芯部の断面は、多角形、例えば、六角形または正方形であってもよく、その長さの全部もしくは一部にわたって歯がない面を1つだけ、またはその長さの全部もしくは一部にわたって歯がない互いに反対側にある長手方向の面を2つだけ有してもよい。
【0047】
例えば、芯部の断面が多角形、特に六角形である場合、芯部は、その長さの全部または一部にわたって歯がない互いに反対側にある長手方向の面を2つだけ有してもよいが、他の面はそれぞれ少なくとも1列の歯、例えば、2列の歯を有する。
【0048】
例示的実施形態では、芯部の断面は多角形、特に六角形であり、その長さの全部または一部にわたって歯がない互いに反対側にある面を2つだけ有し、多角形の他の辺に対応する他の長手方向の面がそれぞれ、その長さの全部または一部にわたって2列の歯を有する。
【0049】
塗布部材を芯部の長手方向軸に垂直に観察したとき、1つの歯のない面、または2つの歯のない面の少なくとも一方が、その長さの少なくとも一部にわたって平面状になっていなくてもよい、例えば、凹状または凸状になってもよい。
【0050】
一変形例では、芯部は、歯のない平面状の長手方向の面を少なくとも1つ含んでもよい。
【0051】
芯部の長手方向軸が曲線状である場合、例えば、互いに反対側にある2つの歯のない部分がそれぞれ芯部の長手方向軸の凹側と凸側に、または、それぞれ全部、芯部の中心面のどちらかの側に存在し、中心面は芯部の長手方向軸を含んでもよい。
【0052】
特に、塗布部材の芯部の断面が、多角形、例えば、六角形である場合、1つの歯のない面、または2つの歯のない面の幅は変化してもよく、例として、芯部の長手方向軸に沿って1つまたは2つの最大部を有してもよい。
【0053】
長手方向軸に垂直に観察したとき、芯部の輪郭は変化してもよい。特に、芯部の横方向の寸法は、その長さに沿って実質的に中間部で極値に達してもよい。特に、1列中の歯の長さが塗布部材の少なくとも一部にわたって同じである場合、これによって、芯部の可撓性または剛性を向上させることができ、断面が塗布部材に沿って変化する包絡面を画成することが可能になる。
【0054】
芯部は、任意選択により歯のない捩れた長手方向の面を少なくとも1つ含んでもよい。塗布部材の歯は、芯部に螺旋状に分布し、塗布部材の遠位端の方に進むとき時計回りまたは反時計回りに配置されていてもよい。
【0055】
少なくとも1つの断面で、芯部の対称軸が、例えば、その長手方向軸であってもよい。
【0056】
芯部は、例えば、金属またはプラスチック材料製の支持部が係合する窪みを含んでもよい。芯部は、支持部に固定されるように構成されていてもよく、または、支持部に対して自由に回転するもしくは平行移動するようになっていてもよい。
【0057】
一変形例では、芯部の歯を支持する部分は中実であってもよい。芯部は、その端部の一方だけにエンドピースまたはハウジングを含み、柄に連結している軸体にそれを固定することができるようになっていてもよい。
【0058】
芯部および歯は1種類の材料から成形されてもよく、または、一変形例では、それらは少なくとも2種類の異なる材料から製造されてもよい。例として、芯部および歯の一部は第1の材料から製造されてもよく、芯部および歯の別の部分は第2の材料、例えば、第1の材料より軟質または硬質の材料から製造されてもよい。
【0059】
例として、芯部は、エラストマーであってもよい1種類以上の熱可塑性材料で形成される。
【0060】
本発明の例示的実施形態では、歯は、成形またはオーバーモールディングにより芯部と一体に製造される。例として、歯は、歯を形成することができるように材料を芯部の少なくとも一部を通して射出する突起成形によって製造されてもよい。
【0061】
芯部は、歯を支持するスリーブを含み、スリーブは、軸体に取り付けられるようにまたは前記軸体の一部を形成するように芯部のハブに対して自由に回転するまたは平行移動するようになっていてもよい。
【0062】
本発明の例示的実施形態では、芯部と接触している、特に(1つまたは2つの)歯のない部分と接触している組成物を睫毛に付着させることができる。従って、(1つまたは2つの)歯のない部分は睫毛に組成物を塗布することに積極的に関与し、それによって歯の選択および配置の自由度を大きくすることができる。
【0063】
塗布部材は、塗布具の柄に連結している軸体に、例えば、スナップ止め、接着剤、熱融着、圧着、スタンピング、低温または高温の圧力嵌めにより、例えば、軸体のハウジングに取り付けることにより固定されてもよい。一変形例では、軸体は芯部に設けられたハウジングに受容されてもよい。
【0064】
軸体および塗布部材は、任意選択により同じ熱可塑性材料から単一の部品として成形されてもよい。
【0065】
芯部は長手方向軸に沿って延び、この長手方向軸はその長さに沿った少なくとも1点で、芯部が固定される軸体の長手方向軸と角度をなしてもよい。塗布部材は、軸体に連結するところが曲がっていてもよい。
【0066】
軸体は剛性の第1の部分を備え、その遠位端が、塗布部材を支持する可撓性のより高い第2の部分(例えば、エラストマー製)によって延長されていてもよい。
【0067】
容器は払拭部材を含んでもよく、払拭部材は軸体と塗布部材を払拭するように構成されてもよい。
【0068】
塗布部材は、芯部と一体成形されている取り付け用エンドピースを含んでもよく、この取り付け用エンドピースは、適宜、塗布具の可撓性および塗布の柔軟性の改善を可能にする1つ以上の狭窄部を含んでもよい。
【0069】
包絡面
塗布部材の歯の自由端は塗布部材の包絡面を画成する。
【0070】
芯部の長手方向軸に沿って観察したとき、1つの部分に歯がないかまたは互いに反対側にある2つの部分に歯がないかどうかによって、包絡面の全部または一部が略馬蹄形または略蝶ネクタイ形であってもよい。
【0071】
適宜、包絡面は長手方向軸に沿って延び、この長手方向軸は芯部の長手方向軸とゼロでない角度をなしてもよい。
【0072】
芯部の長手方向軸に垂直に測定される、塗布部材の包絡面の最大横断寸法は、3mm〜14mmの範囲であってもよい。
【0073】
包絡面の最大横断寸法は、塗布部材の長さの少なくとも一部にわたって、特に、芯部の歯を支持する部分の長さの半分超にわたって、実質的に一定であってもよい。
【0074】
また、包絡面の断面は、塗布部材の長さの全部または一部にわたって変化してもよい。例として、包絡面の断面は1つ以上の極値部、例えば、少なくとも1つの極小部と2つの最大部を有してもよい。例として、塗布部材を側面から、その長手方向軸に垂直な方向で観察したとき、包絡面はピーナッツ形であってもよい。
【0075】
歯および歯列
塗布部材の最長の歯の長さは、1mm〜6mm、例えば、1.7mm〜4.5mmの範囲であってもよい。半分より多くの歯、より望ましくは少なくとも60%、あるいは少なくとも70%、あるいは全部の歯が、前述の長さを有してもよい。
【0076】
塗布部材の歯の平均長さは、例えば、1mm〜6mm、例えば、1.7mm〜4.5mmの範囲であってもよい。
【0077】
芯部の長手方向軸に沿って進むとき、少なくとも1列の歯の長さは、列内で、例えば、単調に変化してもよい。例えば、芯部の長手方向軸に沿って進むとき、少なくとも1列内の歯の長さは、近位端と第1の横軸との間で増大した後、第1の横軸と第2の横軸との間で実質的に一定のままであり、その後、第2の横軸と遠位端との間で減少してもよい。例えば、少なくとも1列内の歯の長さは2つの最大部を有してもよい。
【0078】
歯は、列ごとに、その形状、厚さ、長さ、向き、色、および/または材料の少なくとも1つが異なってもよい。本発明に関して、1列内で、歯は、厚さ、長さ、硬さ、向き、その列の隣接歯の間隔、色、および/または形状の少なくとも1つが異なってもよい。
【0079】
(1つまたは2つの)歯のない部分は、芯部の歯を支持する部分の長さの少なくとも50%、例えば、少なくとも75%、例えば、100%にわたって延び得る芯部の少なくとも1つのセグメントにわたって、最長の歯の長さが隣接する列の最長の歯よりも短いまたは一変形例では長い歯列によって画定されてもよい。
【0080】
一部の歯、あるいは全部の歯の断面が、半円形または半楕円形であってもよい。半円形または半楕円形などの平らな部分を有する形状である場合、塗布部材の脱型が容易になり、平らな部分は金型の接合面と一致する。
【0081】
少なくとも1本の歯の断面は、平らな部分のあるまたは平らな部分のない円形;非円形;平面状;星形、例えば、十字形または複数の分岐を有する形状;U字形;H字形;T字形;V字形;中空形状、例えば、円形または正方形の中空形状;分枝構造を有する形状、例えば、スノーフレーク形;角柱形、例えば、三角柱形、正四角柱形、または六角柱形;長形状、特にレンズ形または砂時計形;多角形、任意選択により正多角形、特に正方形、長方形、八角形、平行四辺形、ひし形;または楕円形であってもよい。少なくとも1本の歯は、歯への組成物の付着を改善するように、少なくとも1つの突出部を有してもよい。歯の断面は、形状が変化せず、芯部から離れるとき、例えば、歯の長さの半分超にわたって縮小してもよい。
【0082】
塗布具の一部の歯あるいは全部の歯の、歯の基部、即ち歯が芯部に連結する点で測定した厚さは、0.2mm〜0.8mmの範囲、あるいは0.3mm〜0.5mmの範囲であってもよい。「歯の厚さ」という用語は、歯の長軸に垂直な断面における歯の最大横断寸法を示すのに使用される。
【0083】
歯の厚さは、例えば、所望の化粧効果のタイプおよび/または睫毛の性質および/または組成物のレオロジーに応じて選択されてもよい。
【0084】
歯は任意の形状であってもよい。歯は、円柱状またはテーパー状、特に切頭円錐状または角錐状の形状であってもよい。少なくとも1本の歯の輪郭は少なくとも一部切頭円錐状で、例えば、末端が丸みのある自由端になっており、歯の断面がその自由端に向かって縮小するようになっていてもよい。
【0085】
塗布具は、例えば、75〜500本の歯を含んでもよい。1つの歯列内の歯の数は、6〜60の範囲、特に10〜50の範囲であってもよい。
【0086】
少なくとも1列の少なくとも2本の歯の長さは、異なってもまたは同一であってもよい。長手方向軸に沿って延びる1つの歯列は、同じ長さの歯を少なくとも3本有してもよい。
【0087】
塗布具を側面から、その長手方向軸に垂直に観察したとき、少なくとも2本の歯がV字形の溝を画成してもよい。
【0088】
1つの歯列の少なくとも2本の隣接する歯は、共に、特に少なくとも歯の底部が共通の第1の形状(例えば、平面形状)を有する第1の長手方向の面と、共に、共通の第2の形状(例えば、平面状ではない形状、特に、丸みのある形状)を有する第2の長手方向の面を有してもよい。例示的実施形態では、芯部をその長手方向軸に沿って観察したとき、第1の面が全て芯部の周囲で同じ方向を向いていてもよい、即ち、それらは全て同じ時計回りまたは反時計回りの方向を向いていてもよい。
【0089】
歯の第1の面は、特にそれらが平面状であるとき、列内の少なくとも一部の歯に関して、芯部の対応する面に実質的に垂直に連結していてもよい。
【0090】
少なくとも1本の歯、あるいは各歯は、その長さ方向に平行な平面状の面を有してもよい。
【0091】
歯は、任意選択により直線状であってもよく、例えば、それぞれ直線状である歯の長さ方向に沿って延びてもよく、またはさもなければ、それらは曲線状、例えば、波状であってもよい。
【0092】
列の長手方向軸は芯部の表面で考察されるため、芯部の長手方向軸を中心とする隣接する2列の2本の長手方向軸は、80°未満、例えば、約60°、あるいは50°未満、例えば、約45°、例えば、約30°の角度だけ角度分離していてもよい。列の軸は、芯部の長手方向軸に平行であってもよい。
【0093】
歯は、芯部の長手方向軸を中心として少なくとも4つの異なる方向に延びてもよい。
【0094】
1列の少なくとも1本の歯は、少なくともその芯部に連結している部分、あるいはその全長が、歯が連結している芯部の長手方向の面に垂直な、または芯部の前記表面に対する垂線と小さい角度、例えば、10°未満、より望ましくは5°未満の角度をなす第1の方向Z
1に沿って延びてもよい。隣接する列の歯は、少なくともその芯部に連結している部分、あるいはその全長が、芯部の同じ面から、芯部をその長手方向軸に沿って観察したとき第1の方向とゼロでない角度αをなす第2の方向Z
2に沿って延びてもよい。
【0095】
1列の歯の実質的に半分が、第1の方向Z
1に平行に延びてもよい。方向Z
1とZ
2との角度αは、5°〜80°の範囲であってもよい。
【0096】
1列の長さは、約10mm〜45mmの範囲、特に15mm〜35mmの範囲、あるいは20mm〜30mmの範囲、例えば、約25mmであってもよい。
【0097】
芯部をその長手方向軸に沿って観察したとき、芯部をその長手方向軸を中心に、360°の整数の約数分だけ回転させることにより、例えば、360°/n(式中、nは、例えば、3〜20の範囲の整数である)だけ回転させることにより、1つの列から別の列に進むことができる。
【0098】
歯は、芯部が連結している塗布具の軸体の製造に使用される材料より剛性の高いまたは剛性の低い材料で製造されてもよい。
【0099】
包装用具および方法
本発明は、また、組成物をケラチン繊維、特に睫毛または眉毛に塗布するための包装および塗布用具を提供し、本用具は、前述の塗布具と、組成物を収容する容器とを備える。塗布具の柄は、容器を密閉するための密閉キャップを構成してもよい。容器は払拭部材を含んでもよい。組成物はマスカラ、例えば、耐水性マスカラであってもよい。
【0100】
本発明は、また、前述の塗布具で睫毛または眉毛に化粧料を塗布する方法も提供する。
【0101】
他の例示的実施形態では、本発明は前述の用具の製造方法に関し、本方法は、複数のシェル、例えば、10個または12個のシェル(その少なくとも2個、あるいは3個の隣接するシェルは、歯を形成するためのキャビティのない仕上げ面を有する)を一体に組み立てることによって形成される金型で芯部と歯を成形する少なくとも1つの工程を含む。
【0102】
例えば、本発明の製造方法では、4個のシェルが、歯を形成するためのキャビティのない仕上げ面を有してもよい。
【0103】
例えば、互いに実質的に反対側に位置する少なくとも2群のシェルは、それぞれ、歯を形成するためのキャビティのない仕上げ面を有する、少なくとも2個の隣接するシェルを備えてもよい。
【0104】
本発明の非限定的な実施形態に関する以下の詳細な説明を読み、添付の図面を考察すると、本発明をさらによく理解することができる。