(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
上記被覆部材(1)の左右の少なくとも一方の外側端縁(14)には、上下方向に細長の被覆片(10)が付設され、該被覆片(10)に凹状弯曲部(10A)が形成され、該凹状弯曲部(10A)によって、上記被覆部材(1)の上記外側端縁(14)と上記被覆片(10)が離間した窓部(17)(17)が形成されている請求項1又は2記載のレッグガード。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかし、特許文献1記載のレッグガードは、横断面C字状に弯曲させた1枚の被覆部材をもって、膝下から足首にわたって被覆するものである為、通気性が悪く、レッグガードを装着してプレーしている時に使用者が発汗してレッグガードの裏面側に蒸れが発生すると、不快感を感じて快適にプレーできない虞れがあり、使用者がプレーに集中できないという欠点があった。
【0005】
そこで、本発明は、通気性に優れ、発汗によって生ずる蒸れを軽減し得るレッグガードを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明に係るレッグガードは、横断面弯曲状で縦長の硬質保護板と、該保護板の裏面に取着される被覆部材とを、備え、上記保護板の裏面側に於て、上記被覆部材に穴部が形成され、該穴部と上記裏面の露出面をもって凹所を形成し、該凹所の左右の少なくとも一方の外端位置に、上記保護板と上記被覆部材を非固着状とし
て開口部を形成し、上記被覆部材を下腿部に巻設した装着状態で、上記保護板の上記裏面側に、上記凹所によって空間部を形成し、かつ、上記開口部によって、上記空間部の空気の出入口となる通気孔部が形成されるように構成したものである。
【0007】
また、上記保護板は、表て面に複数の突隆部を有し、上記突隆部の裏面側には凹窪部が形成され、上記穴部を除く上記被覆部材の表て面と、上記保護板の上記裏面との間に、上記凹窪部によって、間隙部を形成し、装着状態で、使用者の運動に伴う上記被覆部材の変形により生じるポンプ作用によって、上記間隙部の空気を押出吸引可能としたものである
。
また、上記被覆部材の左右の少なくとも一方の外側端縁には、上下方向に細長の被覆片が付設され、該被覆片に凹状弯曲部が形成され、該凹状弯曲部によって、上記被覆部材の上記外側端縁と上記被覆片が離間した窓部が形成されているものである。
【発明の効果】
【0008】
本発明のレッグガードによれば、通気性を向上でき、発汗による蒸れを軽減して、違和感なく快適にプレーできる。下腿部と硬質保護板との間の熱を逃がし、かつ、下腿部と硬質保護板の間に外気を取り込んで、下腿部を冷却できる。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下、実施の形態を示す図面に基づき本発明を詳説する。
本発明のレッグガードは、野球やソフトボール等の球技に於て、打者が装着する打者用レッグガードであって、自打球の衝撃から足を保護するものである。一般に、自打球は、打者が投手側に踏み出す足の内側面から前面に当たることが多いため、右打ちの打者は、左足Lにレッグガードを装着し、左打ちの打者は、右足Rにレッグガードを装着して、バッターボックスに入る。
図1と
図2は、右足Rに左打者用のレッグガードを装着した状態を示している。
【0011】
図1〜
図3に示すように、本発明のレッグガードは、横断面弯曲状で縦長の硬質保護板5と、保護板5の裏面5Aに取着される被覆部材1とを、備えている。
保護板5は、硬質樹脂製であって、例えば、ポリエチレンから成る。保護板5は、上端縁部、下端縁部、及び、左右方向両端縁部に配設した複数のリベット49によって、被覆部材1を固着している。また、保護板5には、上下一対の締付ベルト40,40が付設されている。締付ベルト40,40は、プラスチック製の連結具によって切離自在であって、締付ベルト40,40の両端部は、保護板5の両端縁部にリベット49によって固着されている。
図2に示すように、保護板5は、装着状態で、下腿部30の内側面から前面をボールの衝撃から守るように(下腿部30の内側を覆うように偏在して)取付けられている。
図4〜
図6に示すように、被覆部材1は、表皮31と、発泡体32と、裏生地33とを、順次積層し、その外周縁に縁巻部34が縫着されて一体状に形成されている。被覆部材1は、保護板5と下腿部30の間に介装され、発泡体32のクッション性によって、下腿部30をボールの衝撃から保護し、かつ、下腿部30の表面に優しく当接して装着時のフィット感を向上させている。
【0012】
図3に示すように、保護板5の裏面5A側に於て、被覆部材1に穴部2が形成され、穴部2と裏面5Aの露出面をもって凹所6を形成している。凹所6の左右の少なくとも一方の外端位置には、保護板5と被覆部材1を非固着状とし
て開口部8を形成している。
保護板5は、裏面5A側から見て右側の側端縁部の上下方向中間位置に、被覆部材1で覆われていない箇所が有り、保護板5の右側端縁部には、リベット49が設けられていない。この保護板5の裏面5Aの右側端縁部を、保護板5と被覆部材1の「非固着部」とし、この非固着部に生じる保護板5と被覆部材1の隙間によって、開口部8が形成されている。また、保護板5の裏面5A側から見て、保護板5と被覆部材1の非固着部の反対の左側端縁部では、被覆部材1に穴部2形成用の切込部29が形成され、上下一対のリベット49,49によって固着されている。図例では、切込部29は当接して閉鎖されているが、上端縁部と下端縁部を相互に離間して分離部を形成しても良く、あるいは、切込部29を省略して上端縁部と下端縁部を連続状に形成しても良い。その場合、穴部2は、完全に周囲が閉じた穴となる。
【0013】
図1と
図2に示すように、被覆部材1を下腿部30に巻設した装着状態で、保護板5の裏面5A側に、凹所6によって空間部9を形成している(
図5参照)。また、開口部8によって、空間部9の空気の出入口となる通気孔部4が形成されている。
つまり、空間部9は、装着状態下で、凹所6による被覆部材1と下腿部30の非接触箇所に対応して形成されている。また、装着状態下で、被覆部材1が下腿部30に巻設されて弯曲することで、保護板5と被覆部材1の非固着部にて隙間が大きく開いて、開口部8を構成する保護板5と被覆部材1が大きく離間し、通気孔部4が形成されている。なお、通気孔部4に於て、保護板5の裏面5Aと下腿部30との隙間d(
図5参照)の大きさと被覆部材1の厚さ寸法は、略等しい。なお、本発明に於て、装着状態では、使用者の運動に伴って、発泡体32を具備する被覆部材1が圧縮変形し、その厚さ寸法は常時一定ではなく変化するため、隙間dと被覆部材1の厚さ寸法は「“略”等しい」としている。
通気孔部4によって、空間部9が外部空間と連通することとなり、空気が入れ替わることで熱を排出して、なおかつ、空間部9に外気を取り込んで空間部9の湿気を逃がして蒸れを防止するように構成されている。
【0014】
図1と
図2に示すように、保護板5は、表て面5Bに複数の突隆部25を有し、
図3に示すように、突隆部25の裏面側には凹窪部24が形成されている。
突隆部25は、3個形成され、上方から下方に向かうにつれて次第に大きさが小さくなるように形成されている。また、上下に隣接する突隆部25,25を連結するリブ35,35を備え、リブ35,35の裏面側には溝部36,36が形成されている。
保護板5の裏面5Aに於て、凹所6は、複数個(3個)の内の1つの凹窪部24に対応して形成されている。この構成によれば、凹所6の深さ寸法が大きく確保でき、装着状態に於て、通気孔部4の大きさよりも分厚い凹所6によって形成される空間部9の体積が増大し、通気孔部4による換気機能が一層効率的に発揮される。
【0015】
図4と
図6に示すように、穴部2を除く被覆部材1の表て面と、保護板5の裏面5Aとの間に、凹窪部24によって、間隙部18を形成している。装着状態で、使用者の運動に伴う被覆部材1の変形により生じるポンプ作用によって、間隙部18の空気を押出吸引可能として構成されている。
装着状態下で、下腿部30の筋肉の動き等により被覆部材1が裏面側から押されて間隙部18の体積が減少すると、間隙部18の内の空気が押し出される。これを、被覆部材1の「ポンプ作用」とし、このポンプ作用により、間隙部18,18から空間部9に送り出された空気は、熱と湿気と共に通気孔部4から排出される。溝部36,36は、間隙部18と空間部9を行き交う空気の通路となっている。なお、装着状態で、被覆部材1の圧縮変形によって、保護板5の裏面5Aと下腿部30との間の間隔が狭くなり、空間部9の体積が減少して、それ自体がポンプ作用を発揮するように構成されている。従って、保護板5の裏面5A側に於て、空間部9のみならず、被覆部材1の表て面と保護板5の裏面5Aとの間隙部18,18の熱と湿気を、空気と共に通気孔部4から排出して、より一層効率的に蒸れを防止するように構成されている。
【0016】
図1〜
図3に示すように、被覆部材1の左右の少なくとも一方の外側端縁14には、上下方向に細長の被覆片10が付設されている。被覆片10には、凹状弯曲部10Aが形成され、凹状弯曲部10Aによって、被覆部材1の外側端縁14と被覆片10が離間した窓部17,17が形成されている。
被覆片10は、下腿部30の外側面を自打球から保護すると共に、被覆部材1及び被覆片10と下腿部30の間の空気の出入口となる窓部17,17を形成して、その換気機能によって、蒸れを防止している。
被覆部材1の下部に、連結帯19を介して取着される足甲保護部材20を具備している。足甲保護部材20は、表て側の硬質保護片21と、クッション性のある足甲被覆片22とを、有している。足甲保護部材20は、ベルト23を足の裏に巻き付けて固定されている。また、被覆部材1の下部には、踝保護片13を有している。踝保護片13は、保護板5の下端縁から突出状とし、装着状態で、踝部を被覆するように形成されている。
【0017】
上述した本発明のレッグガードの使用方法(作用)について説明する。
図1と
図2に示すように、被覆部材1を下腿部30に巻き付けて、上下の締付ベルト40,40によって固定する。この際、保護板5が下腿部30の内側に偏在するように取付け、被覆片10を、下腿部30の外側面に密着させる。保護板5は、下腿部30の内側面から前面を自打球の直撃から守り、また、被覆部材1は、保護板5と下腿部30の間に介在してボールの衝撃を緩和すると共に、被覆部材1と被覆片10によって、下腿部30を前面から両側面にわたって保護する。
【0018】
図5に示すように、保護板5の裏面5A側に、(大きな体積の)空間部9が形成され、この空間部9が、通気孔部4によって換気され、空気が入れ替わることで熱を排出し、空間部9に新しい外気を取り込んで下腿部30を冷却する。また、使用者の発汗による空間部9の湿度の上昇を抑制して蒸れを防止する。
装着状態で、上述のポンプ作用によって、空間部9の内部の空気が通気孔部4から押し出され、又は、新しい空気を通気孔部4から吸い込んで、熱と湿気を含んだ空気を新しい空気に入れ替える。
【0019】
次に、本発明のレッグガードの他の実施形態について説明する。
図7と
図8は、左足Lに右打者用のレッグガードを装着した状態を示している。
図9に示すように、右打者用のレッグガードは、上述した
図3の左打者用のレッグガードの左右対称形状に構成されている。
図7〜
図9のレッグガードは、横断面弯曲状で縦長の硬質保護板5と、保護板5の裏面5Aに取着される被覆部材1とを、備え、保護板5の裏面5A側に於て、被覆部材1に穴部2が形成され、穴部2と裏面5Aの露出面をもって凹所6を形成し、凹所6の左右の少なくとも一方の外端位置に、保護板5と被覆部材1を非固着状とし
て開口部8を形成している。被覆部材1を下腿部30に巻設した装着状態で、保護板5の裏面5A側に、凹所6によって空間部9を形成し、かつ、開口部8によって、空間部9の空気の出入口となる通気孔部4が形成されている。
図1〜
図3に示す左打者用レッグガードと
図7〜
図9に示す右打者用レッグガードは、左右対称形状となっている点を除いて、同一の構成を具備するものであるため、詳細な説明は省略する。
【0020】
なお、本発明は、設計変更可能であって、例えば、保護板5の表て面5Bのリブ35は省略しても良い。また、締付ベルト40は、面状ファスナーを備えていても良い。
【0021】
以上のように、本発明に係るレッグガードは、横断面弯曲状で縦長の硬質保護板5と、保護板5の裏面5Aに取着される被覆部材1とを、備え、保護板5の裏面5A側に於て、被覆部材1に穴部2が形成され、穴部2と裏面5Aの露出面をもって凹所6を形成し、凹所6の左右の少なくとも一方の外端位置に、保護板5と被覆部材1を非固着状とし
て開口部8を形成し、被覆部材1を下腿部30に巻設した装着状態で、保護板5の裏面5A側に、凹所6によって空間部9を形成し、かつ、開口部8によって、空間部9の空気の出入口となる通気孔部4が形成されるように構成したので、通気性を向上でき、発汗による蒸れを軽減して、違和感なく快適にプレーできる。下腿部30と硬質保護板5との間の熱を逃がし、かつ、下腿部30と硬質保護板5の間に外気を取り込んで、下腿部30を冷却できる。
【0022】
また、保護板5は、表て面5Bに複数の突隆部25を有し、突隆部25の裏面側には凹窪部24が形成され、穴部2を除く被覆部材1の表て面と、保護板5の裏面5Aとの間に、凹窪部24によって、間隙部18を形成し、装着状態で、使用者の運動に伴う被覆部材1の変形により生じるポンプ作用によって、間隙部18の空気を押出吸引可能としたので、間隙部18と空間部9の空気を確実に入れ替えることができ、熱を排出でき、発汗による蒸れを防止できる。
【0023】
また、被覆部材1の左右の少なくとも一方の外側端縁14には、上下方向に細長の被覆片10が付設され、被覆片10に凹状弯曲部10Aが形成され、凹状弯曲部10Aによって、被覆部材1の外側端縁14と被覆片10が離間した窓部17,17が形成されているので、下腿部30の外側面を自打球の直撃から守ることができ、かつ、下腿部30と被覆片10の間に蒸れが発生するのを防止できる。