(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【背景技術】
【0004】
このような有機質廃棄物を熱処理する既知技術には、廃タイヤを熱処理して活性炭を製造する方法(特許文献1参照)があり、この製造方法は有機質廃棄物を熱処理する点では本願発明と共通するものではあるが、そのための装置は、予備室と炭化促進室を備え、廃タイヤは専用コンテナに入れられ、両室を順に移動する構造のものである。
それに対して、本願発明の熱分解炉は非移動式で、前記特許文献1の製造方法とは構造が基本的に異なるものであり、かつ加熱温度も前記特許文献1のように活性炭を製造することを狙いとするものではないから、本願発明における最終加熱温度は、前記特許文献1の900℃程度より遙かに低いものとなっている。
【0005】
また、同様に廃タイヤ等の高分子系廃棄物を熱分解して油分を回収すると同時に炭化物を回収することが可能な熱分解方法もあり(特許文献2参照)、この方法は、前記範囲では本願発明と共通するものであり、かつその熱分解炉が加熱不活性気体の噴出管を具備する点でも本願発明と共通するものである。
し
かしながら、その熱分解により回収する炭化物についてはゴム用配合剤として好適な特性を有することを意図しており、そのため分解温度は、本願発明より高いものとなっている。更に使用する熱分解炉については数種の通常の熱分解炉が例示されているのみで炉構造に関し具体的開示はなく、耐久性、熱効率性、構造安定性、メンテナンス性に優れた熱分解炉に関し開示するところはない。
【0006】
そして、それ以外にも有機質廃棄物を熱処理して炭化物を回収する既知技術があり、その1は、コンテナ内に有機質廃棄物を収納し、収納後コンテナ内を不活性気体で置換し、置換後有機質廃棄物を150℃に加熱して乾燥し、次いで200〜350℃で塩素を気化・遊離させ、更に350〜450℃で高分子化合物を気化・遊離させ、炭化物を回収する有機質廃棄物を再資源化する方法であり(特許文献3参照)、この方法においては三段階で加熱すること及び各段階の加熱温度は、本願発明の加熱手法及び加熱温度と共通するものである。
【0007】
しかしながら、その加熱段階における加熱の技術的理由については本願発明とは異なるところがあり、また、それに用いる装置が本願発明とは基本的に異なるものである。
すなわち、前記特許文献3においては、多数のコンテナを使用して連続的に移動しながら再資源化処理するものであるから、移動する各コンテナ内の処理状況はコンテナごとに異なっていることになる。それに対して、本願発明では、移動することのない、すなわち固定された熱分解炉を用いて有機質廃棄物を熱分解するものであるから、両者の装置構造は基本的に異なっており、両者は全く別異のものである。
【0008】
また、それ以外にも、加熱不活性気体の噴出管を具備した加熱室(容器2が該当する)内に有機質廃棄物の一つである廃プラスチックを入れたコンテナを収納して、前記加熱室内を加熱された不活性気体で置換し、その後該室内温度を更に上昇させ160〜200℃にてアルコール類を放出し、次いで350〜480℃に加熱してアルデヒド系の気体を放出させ、重量が減少した不燃物にせしめるとする廃プラスチック減量装置と称する技術があり(特許文献4参照)、その加熱室は断熱材を三層積層した積層体で覆われており、積層体の間には通水管(冷却管)も存在する構造となっている。
【0009】
その特許文献4においては、アルコール類の放出、アルデヒド系気体の放出等に関し本願発明とは技術的な認識で異なる点はあるものの、アルコール類放出までの加熱過程において本願発明でいうところの乾燥温度に該当する100〜150℃を経過しており、特許文献4においても乾燥工程は存在するといえる。
また、プラスチックそのものにはアルデヒドは含有されているわけではなく、350〜480℃の温度でアルデヒド系の気体が放出されるかどうか真偽のほどは確かではないが、アルデヒド系気体が放出されるということは廃プラスチックに分解が起こっていることになり、その気体を凝縮して液体にすれば、アルデヒド系の油分ということになる。
【0010】
前記した通りであるから、特許文献4記載の減量装置は、本願発明でいうところの熱分解炉に該当することになり、この減量装置は、本願発明者が熱分解炉において従来技術と認識しているものに近いものである。
そして、その廃プラスチック減量装置においては、前記した通り有機質廃棄物である廃プラスチックを収納したコンテナを加熱室に搬入出する構造となっており、かつ加熱室(容器)は、断熱材を積層した積層体で覆われており、積層体の間には冷却管も存在する構造となっており、これらの点では、本願発明と共通するものである。さらに、加熱室は前記した通り加熱不活性気体の噴出管をも具備しており、この点でも本願発明と共通する構造となっている。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0012】
本願発明者は、特許文献4記載の減量装置は、前記した通り本発明者が熱分解炉における従来技術と認識しているものに近いものであり、このような熱分解炉では、前記した通り耐久性、熱効率性、構造安定性、メンテナンス性、運転効率等において利用者に十分な満足が得られていないのであり、本願発明はそれらの問題点、特に耐久性、熱効率性、構造安定性、メンテナンス性を解決することを課題とするものである。
【0013】
そこで、それら問題点に関し特許文献4の
図1、すなわち本願の
図9を用いてまず具体的に言及する。特許文献4の減量装置においては、加熱室である容器2内に第1層12、第2層13、第3層15からなる積層断熱材が露出しており、そのため熱分解により発生した気体が断熱材内に侵入し、その気体は大気に接触している温度の低い外壁側に進むに従い温度が低下するので断熱材内で凝縮が起こり、形成された液体が断熱材を汚染することになり、耐久性、メンテナンス性に欠けることになる。
【0014】
そして、特許文献4においては積層断熱材及び通水管14の固定方法については何等具体的開示がなされておらず、前記減量装置は構造安定性に欠けるものとなっている。また、通水管14は、第2層13と第3層15との間に存在し、その存在する空間を冷却層と呼称しているものの、前記
図1によれば前記空間には通水管14が図示されているのみで断熱材も存在せず空隙となっており、この点でも構造安定性に欠けるものとなっている。さらに、加熱室内には前記した通り断熱材が露出しており、そのため加熱室内部の熱が内部側に反射されるような構造となっておらず、熱効率の低いものなっている。
【0015】
ところで、特許文献4においては、前記した通り断熱材の固定方法については何等開示されていないが、断熱材メーカーは、スタッドと称するボルトで外壁に固定することを推奨している。すなわち、
図10に図示するように、ボルトの一端を外壁内側面に溶接し、そのボルトを断熱積層体を貫通させ他端にナットを取り付けて外壁に固定することを推奨している。
しかしながら、この方法を採用した場合には新たな問題が生ずるが、本願発明は、この問題をも解決するものである。
【0016】
すなわち、ボルトは金属でできているので断熱材に比し遙かに熱伝導率に優れており、その結果、加熱室内の熱はボルトが存在しない場合に比しボルトを介して外壁表面に伝達し易くなり、熱分解炉の断熱性能が一部において低下することになるので、それを解消するような対策が必要となる。また外壁表面には局所的に温度の高い部分が発生することにもなり、作業員はそれに留意して作業することが必要となる。
本願発明は、この問題をも解決した有機質廃棄物熱分解炉及び同熱分解装置を提供するものであり、この点が重要な特徴となっている。
【課題を解決するための手段】
【0017】
本願発明は、従前の問題を解決した耐久性、熱効率性、構造安定性、メンテナンス性に優れた有機質廃棄物熱分解炉及び同熱分解装置を提供するものであり、その解決手段である有機質廃棄物熱分解炉は、底壁、頂壁で囲み、側面は一面を除き側壁で囲み、前記一面は
開口で全面にコンテナ搬入出用の扉を具備
し、かつ前記頂壁には排気管を具備し、前記した底壁、頂壁、側壁、扉は、いずれも内側面は熱反射金属板、外側面は金属外壁からなり、その中間には2層以上の断熱材を密着して積層した断熱積層体を内挿し、前記断熱積層体は、それを挿通し一端が前記外壁内面に結合し、他端が前記熱反射金属板に結合しているボルトにより固定し、さらに前記側壁の断熱積層体の断熱材界面には、相互に
並行する複数の冷却管を配置し、かつ隣接する冷却管を間隔保持具により結合し、前記間隔保持具は、中央部にある開孔に前記ボルトを挿通して結合し
、前記断熱積層体及び
前記冷却管を固定し、前記開口と対向しない側壁の熱反射金属板の内側面にはヒータ及び不活性気体噴出管を配置したことを特徴とするものである。
また
、前記有機質廃棄物熱分解装置は前記有機質廃棄物熱分解炉の排気管に凝縮装置を付設することを特徴とするものである。
【0018】
そして、本願発明においては、以下の態様を採用することが望ましい。
1)
並行する複数の冷却管において隣接する冷却管は、両端において湾曲した管で連続し、つづら折り状であること。
2)ヒータは、前記
熱反射金属板の内側面に水平に複数本配置し、前記不活性気体噴出管は、前記
熱反射金属板の内側面の底部に設置すること。
3)不活性気体噴出管は、更に前記扉の
熱反射金属板の周辺に位置する底壁
と側壁
との両者にかけてU字型になるように配置し、かつその噴出口は加熱不活性気体が前記扉の
熱反射金属板に沿ってエアーカーテンを形成して噴出するように設置されること。
【0019】
本願発明は、更に以下の態様を採用することが望ましい。
4)排気管は、フードを介して炉内と連通し、前記フードは内側面が
熱反射金属板、外側面が金属外壁からなり、その中間には2層以上の断熱材を密接して積層した断熱積層体を内挿してなること。
5)ボルトは前記外壁内面と間隔保持具とに結合している部分と、前記間隔保持具と
熱反射金属板とに結合している部分とに二分されていること。
6)側壁の外壁内面に
補強用リブを水平及び/又は垂直に設置すること。
7)底壁も側壁と同様の構造を採用し、冷却管を設置すること。
【発明の効果】
【0020】
本願発明では、特許文献4記載の廃プラスチック減量装置にはない、断熱材が密着して積層し断熱材間に空隙が存在しない構造を採用しており、すなわち断熱積層体がそれを挿通し外壁内面及び
熱反射金属板に結合するボルトにより圧接固定されており、その結果各断熱材は相互に密着しており、この点において構造安定性及び耐久性に優れている。
さらに、断熱積層体の内側面、すなわち炉内側には
熱反射金属板が配置されており、本願発明は、これにより炉内で気化した気体が断熱積層体内に侵入して凝縮することはなく断熱積層体の汚染による劣化を回避できるので耐久性に優れ、かつ
熱反射金属板表面の汚染は簡単に清掃できるのでメンテナンス性にも優れている。
【0021】
また、隣接する冷却管は間隔保持具により結合され、かつ前記間隔保持具の中央部の開孔には断熱材を固定するボルトが挿通し結合しており、そのためボルトには前記間隔保持具を介して冷却管の冷熱が伝達されることになる。その結果ボルトを介して外壁に到達する加熱室内からの熱の移動を抑制することができるから、金属外壁の局部的な温度上昇を抑制することができ、本願発明は、熱効率性、構造安定性に優れている。さらに、前記
熱反射金属板は、ヒータから放出される輻射熱を炉内側に反射することができ、その結果
有機質廃棄物熱分解炉の熱効率を向上させることができる。
【0022】
そして、本願発明において前記した望ましい態様を採用した場合には、さらなる作用効果を奏することができる。
例えば、前記ボルトについて、前記外壁内面と間隔保持具とに結合している部分と、前記間隔保持具と
熱反射金属板とに結合している部分とに二分した態様を採用した場合には、断熱材の挿着、断熱材へのボルトの挿通、ボルトの外壁内面、
熱反射金属板、間隔保持具への結合が簡単になり、その結果本願発明の熱分解炉の組み立て施工を簡便化できる。また、外壁内面に
補強用リブを設置した態様を採用した場合には、外壁強度が向上し、外壁中央部の外側への膨らみを抑制でき、
前記熱分解炉の構造安定性を向上させることになる。
【発明を実施するための形態】
【0024】
本願発明の有機質廃棄物熱分解炉は、前記した通り底壁、頂壁で囲み、側面は一面を除き側壁で囲み、前記一面は
開口で全面にコンテナ搬入出用の扉を具備
し、かつ前記頂壁には排気管を具備し、前記した底壁、頂壁、側壁、扉は、いずれも内側面は熱反射金属板、外側面は金属外壁からなり、その中間には2層以上の断熱材を密着して積層した断熱積層体を内挿し、前記断熱積層体は、それを挿通し一端が前記外壁内面に結合し、他端が前記熱反射金属板に結合しているボルトにより固定し、さらに前記側壁の断熱積層体の断熱材界面には、相互に
並行する複数の冷却管を配置し、かつ隣接する冷却管を間隔保持具により結合し、前記間隔保持具は、中央部にある開孔に前記ボルトを挿通して結合し
、前記断熱積層体及び
前記冷却管を固定し、前記開口と対向しない側壁の熱反射金属板の内側面にはヒータ及び不活性気体噴出管を配置したことを特徴とするものである。
また
、前記有機質廃棄物熱分解装置は前記有機質廃棄物熱分解炉の排気管に凝縮装置を付設することを特徴とするものである。
【0025】
その有機質廃棄物熱分解装置について、
図1に沿ってまず概要を示す。なお、その
図1においては扉14の記載は省略した。
その熱分解装置1は、前記有機質廃棄物熱分解炉2、凝縮
装置3、油分回収容器4、及び前記熱分解炉の炉内、冷却管に供給する冷却水温度、水量、不活性気体噴出管に供給する加熱不活性気体の流量、温度等をコントロールする制御装置5を有するものである。
その凝縮
装置3においては、油分が凝縮して油分回収容器4に回収される。他方未凝縮の気体は凝縮
装置3から放出され、図示されていない有害ガス除去装置により浄化され、その後大気中に排出されるが、それら凝縮
装置及び有害ガス除去装置には既知のものが何等限定されることなく使用可能である。
【0026】
次いで、本願発明の有機質廃棄物熱分解炉2について、
図1及び2に沿ってまず概要を示す。本願発明は、
前記熱分解炉の構造に特徴を有するものであるが、それに関しては概要説明後に図面を用いて別途詳細に説明する。なお、
図1、2において重なる部分等については、他と簡単に区別するために破線で示したところもある。
前記熱分解炉2は、底壁12、頂壁13で囲まれ、側面は一面を除き側壁11で囲まれており、その一面には開口10があり、そこにはコンテナ6の搬入出用の扉14が具備されている。また前記頂壁13には、フード22を介して凝縮装置3に接続される排気管15が具備されている。
【0027】
前記した底壁12、頂壁13、側壁11、扉14の金属外壁(以下、単に外壁という)16の内側には、熱反射金属板17が配置され、前記外壁16と前記熱反射
金属板(以下、単に熱反射板という)17との間には2枚以上の断熱材18を密着積層した断熱積層体19が配置されている。さらに、その熱反射板17は、それに結合するボルト20を外壁16に結合することにより固定されており、かつ前記断熱積層体19は、前記ボルト20を挿通させることにより各断熱材18を密着積層させると同時に、外壁16と熱反射板17との間で安定的に保持される。
【0028】
その外壁16に使用する素材については、内部が高温である熱分解炉用の材料として必要な強度を維持できれば特に制限されること
なく使用可能であるが、各種鉄鋼材料が好ましい。また熱反射板17は耐熱性で、かつ繰り返し使用しても熱反射性が維持できれば特に制限されることなく使用可能であるが、ステンレス板が好ましい。
そのボルト20を外壁16に結合するには、ボルト20の一端を直接溶接することによってもできるし、予めナット21を溶接し、それに螺入することによってもできるが、後者の方がボルト20を外壁16に直交するように施工するのが簡便であるから好ましい。その後者の取り付け態様については
図3(A)(B)に図示されている。
【0029】
また、ボルト20を熱反射板17に結合するには、螺入用短板28をボルト20の他端に直交するように直接溶接しておくか、
図8に図示するようにボルト取付け用ナット29の開孔面に該開孔を塞ぐことなく溶接した螺入用短板28を用いて行うことができる。すなわち、前記ボルト取付け用ナット29にボルト20の他端を装着しておき、その螺入用短板28に熱反射板17の炉内側からねじを螺入することによるねじ止めで行うことができる。さらに、熱反射板17に開孔を形成して、そこにボルト20を挿通し、炉内側からナットを他端に装着することによっても行うことができるが、これらの中では、ボルト取付け用ナット29を溶接した螺入用短板28を用いる手法が施工が簡便で好ましい。なお、それを図示する
図8の上段
(A)は平面図であり、下段
(B)は側面図である。
【0030】
そして、前記側壁11に配置された断熱積層体19の炉内側から1枚目の断熱材18aと2枚目の断熱材18bの界面にはつづら折り状の冷却管25が配置されており、そのことは
図1において破線で図示されている。さらに、その冷却管25は底壁12側においても同様に配置され、
図2に同様に破線にて図示されており、このように底壁側にも配置するのが好ましい。このつづら折り状の冷却管25は、つづら折り状であることから長い水平部分25aとそれに連通する湾曲部分25bとからなり
(図2参照)、その水平部分25a及び湾曲部分25bは複数存在し、各水平部分
25aは並行して前記1枚目の断熱材18aと密着する前記2枚目の断熱材18bとの密着界面に配置されており、そのことは
図3に分かり易く図示されている。なお、
図1、2においては開口10に対向する側壁11に冷却管25は図示されていないが勿論配置してもよい。
【0031】
本願発明は
有機質廃棄物熱分解炉及び
同熱分解装置であるから、それらに使用する断熱材18は耐熱性及び断熱性を有することが必要であり、具体的には1000℃以上の耐熱性を有することが好ましい。さらに、その断熱材18を用いて形成する断熱積層体19の積層枚数については、2枚以上であれば特に制限させることなく使用可能であるが、その使用目的からして、最高温度加熱時における外壁16の外側面の温度が50℃以下になるように、断熱材の素材、厚さ等を考慮して選択することが好ましい。
【0032】
また、断熱積層体19は、密着する2枚の断熱材18界面に前記冷却管25の長い水平部分25aを配置するものであるから、断熱材18は柔軟性を有していて力を加えた際には変形することが必要である。また、ボルト20は断熱材18を挿通する必要があるから、この点でも変形することが必要である。さらに、補強
用リブ(以下、単にリブという)は、断熱材18cの溝に嵌め込むことになるから、断熱材18cは溝を簡単に形成する特性を有することも必要となる。
その断熱材については、前記した性質を有するものであれば特に制限されることなく各種セラミックス製の市販品が使用可能であり、それにはアルミナシリカ系の繊維化したファイバーを板状化したものが例示でき、例えばニードルパンチ処理した不織布等がある。
【0033】
前記冷却管
25の全体像は
図4に分かり易く単独で図示されており、その水平部分25aは隣接する水平部分25aとの相互の間隔を一定に保持すべく間隔保持具30が結合されており、そのことは
図4に図示されている。この冷却管25の直線部分は水平である必要はなく垂直であってもよい。さらに、この冷却管25は
図4に図示するように入口から出口まで一本の配管である必要はなく
図5に図示す
るように入口側は集合分配管に接続され、出口側は集液管に結合されている構造でもよいが、冷却水の流速安定性の点で
図4に図示されている構造の方が好ましい。
【0034】
また、前記冷却管
25は、図示していない冷却水タンクに貯留されている冷却水を流入させることにより冷却される。その冷却水タンクには、パイプで接続したチラー(水冷却器)を設置し、冷却水を両者間で循環させることにより冷却水タンクに貯留中の冷却水の温度を7℃前後の所定値に保持する。その冷却管
25を通過して流出した冷却水については再び前記タンクに戻し、ここで冷却した後に再度冷却管
25に流入させ循環使用する。この冷却水については冷却管への流入時と流出時における温度差は1℃前後に維持するのが好ましく、それにより炉内全域を均等冷却することができる。
【0035】
前記した間隔保持具30の構造、並びにそれと外壁16、ボルト20、熱反射板17及び断熱積層体19等との配置関係等については
図3に断面図にて図示しており、以下において、それらに関し前記
図3を用いて詳細に説明する。
その外壁16内面には、前記した通りリブ23が設置されており、これにより外壁16の膨
らみを抑制することができ、この構造を採用するのが好ましい。そのリブ23は
図2及び3においては水平リブ23aと垂直リブ23bが図示されているが、
前記リブ23についてはリブ23aと23bの両リブを設置するのが補強上より好ましいが一方のみでもよい。なお、このリブ23は、外壁16の内面側ではなく外面側に設置してもよい。
【0036】
そのリブ23を有する外壁16内面には断熱積層体19を配置するが、その場合には最外部にある炉内側から3枚目の断熱材18cにリブ
23と対応する位置に溝を予め形成し、その溝にリブ23を嵌め込むことで前記断熱材18cは外壁16内面に密着し
た状態で配置することができる。その断熱材の積層体である断熱積層体19にはボルト20が挿通し、このボルト20の一端は外壁16内面に結合し、他端は熱反射板17に結合しており、前記ボルト20、それと結合するナット、熱反射板17等により断熱積層体19を外壁側に押しつけることにより、断熱材18a、18b、18cは密着した状態で積層される。また、
前記ボルト20は前記間隔保持具30にも結合される。なお、ボルト20を外壁16に結合するには、前記した通り
図3に図示されているように予めナット21を溶接しそれに螺入するのが好ましい。
【0037】
このようにすることにより断熱積層体19は、前記した通り各断熱材を密着して外壁16と熱反射板17との間に安定して保持することができ、かつ間隔保持具30も安定して保持することができる。
前記ボルト20は、一本で外壁16、間隔保持具30及び熱反射板17の間を結合してもよいが、間隔保持具30を中心にして2つに分け、外壁16と間隔保持具30との間をボルト20aで結合し、間隔保持具30と熱反射板との間をボルト20bで結合してもよい。なお、その間隔保持具30の具体的構造及びボルト20との結合構造に関しては後ほど詳述する。
【0038】
本願発明においては、前記ボルト20は、断熱材メーカーが推奨するように外壁16と断熱積層体19の炉内側との間を単純に結び前記積層体を安定的に保持するだけでなく、前記した通り前記ボルト20は熱反射板17及び間隔保持具30とも結合している。
これらのことは、前記特許文献4には開示はなく、かつ前記断熱材メーカーも何等情報提供しておらず、本願発明に特有のものである。
前記熱反射板17については、その存在により炉内で発生した気体が断熱積層体19内に侵入して内部に進行し外壁16側に近づくに従って温度が低下することに伴い生ずる凝縮による汚染を回避できる。
【0039】
本願発明においては、前記した熱反射板17の存
在、前記ボルト20と間隔保持具30との結合等が重要な特徴であり、これにより従前にない優れた特性を得ることができる。すなわち、前記ボルト20は、前記間隔保持具30を介して冷却管25と熱的に結合しており、それによりボルト20は冷却管25の冷熱を得ることができる。そのためボルト20は冷却管25の冷熱により冷却されて温度が低下し、炉内熱がボルト20を伝達して外壁16から放出することを抑制することができる。
【0040】
その結果、本願発明においては、断熱材に関し多少性能が劣るものを採用することができるし、かつ同性能の場合には厚みの薄いものを採用することが可能となる。
前記した通りであるから、本願発明では、ボルト20を通して外壁16から放出される熱量を抑え、外壁16の温度上昇を抑制することができ、特にボルト20が結合されている外壁16周辺の局部的な温度上昇を抑制することができる。
【0041】
前記ボルト20については、間隔保持具30との結合関係で前記した通り二通りの態様があり、その2態様は
図3の破断線の上下において図示している。上側の(A)は外壁16と熱反射板17との間を1本のボルトで結ぶ態様で、下側の(B)は2分割し2本のボルトで結ぶ態様であるが、後者の態様の方が間隔保持具30においてボルト20aとボルト20bとが離れていて両者の間に間隔があり、ボルト20bからボルト20aへ直接炉内熱が伝達され難いので熱遮断性の点において優れている。なお、前記(A)(B)においては、ボルト20は、前記した通りいずれも外壁16内側面に溶接されたナット21に結合することにより固定されているが、図示してはいないもの
の直接溶接してもよいことは勿論である。
【0042】
本願発明において使用する間隔保持具30の一具体例を
図6に図示する。その
図6を用いて前記間隔保持具30の具体的構造及びボルト20との結合構造に関し以下において詳述する。
前記図6において上側の3図
(A)、(B)、(C)は平面図であり、下側の2図
(D)、(E)は側面図である。その平面図において上2段の図
(A)(B)は結合前のバンド31及び中継板32の平面図、それらの下の図
(C)は結合後、すなわち形成された間隔保持具30の平面図である。また下側の側面図において上段の図
(D)は結合前の中継板32の側面図、下段の図
(E)はバンド31及び中継板32を結合して間隔保持具30を形成した状態の側面図である。
【0043】
その間隔保持具30には、「立てバンド」(以下、単にバンドという)と称して配管支持用に市販されているものを使用しており、前記一例においては、これを用いて前記間隔保持具30を形成する。すなわち、2個のバンド31の中間に中継板32を配置し、それらを結合することにより間隔保持具30は形成される。
そのバンド31は、一対の半円状の金属板31aから形成され、両半円で形成される円状空間内部にパイプを取り付けるために使用されるもので市販されている。その一対の金属板の一端には蝶番31bが形成され、他端にはそれぞれ突片31cが存在し、それらの突片31cには両金属板を結合するための開孔31dがある。
【0044】
前記一対の半円状金属板31aは、前記蝶番31bを軸にして回動(開閉)自在な構造となっており、その2枚の金属板31aを蝶番31bを軸にして開放状態にし、その上で一対の半円状の金属板31aにより形成される円状空間内に冷却管20を挿入する。他方、2個のバンド31の中間に配置する中継板32の中央部には3つの開孔32a、b、cがあり、中央開孔32aの両側に位置する開孔32b、cと前記突片31cの開孔31dとを位置合わせし、その後短いボルト(以下、小ボルトという)33にそれに対応するナット(以下、小ナットという)34とを結合させることにより中継板32と2つのバンド31は結合でき間隔保持具30が形成される。
【0045】
前記中継板32と2つのバン
ド31との結合は、中継板32に形成する開孔を
図6の側面図
(D)(E)の上段の図
(D)、すなわち下から2番目の図
(D)の形状に形成することにより簡便化することができる。それに関し以下において詳述する。
まず、2つのバンド31を並行
(並設)する冷却管25の対向する位置に仮固定する。その仮固定は以下のように行う。前記一対の半円状金属板31aの一端に位置する前記蝶番31bを利用して他端の一対の突片31cを開状態にし、そこから冷却管25をバンド31内に形成される円状空間に挿入する。その挿入後前記一対の突片31cを閉状態にし、前記開孔31dに小ボルト33を挿入し、挿入後小ナット34を螺入して、前記一対の突片の間に中継板32を余裕を以て挿入できるだけの隙間を有する状態で仮止めする。
【0046】
次いで、前記仮止め後中継板32の中央開孔32aをボルト20に挿入し、挿入後中継板32をボルト20を中心に回転させ、前記中継板32の両端部を前記隙間に挿入し、その後小ボルト33と小ナット34とをしっかり締結することにより中継板32を両バンドと結合する。その手順に関し、以下において更に詳述する。
中継板32に形成する開孔32a、b、cは、いずれも中継板32の長手方向と直交する方向に開放されており、前記中継板32と2つのバント31とを簡便に結合する方法はこの開放形状を利用するものである。
【0047】
すなわち、中継板32の中央開孔32aの開放端部を利用しボルト20の長手方向でバンド31から離れた位置においてボルト20に中継板32を挿入する。その挿入後中継板32をボルト20上で前記一対の突片の間に形成した前記隙間に対応する位置まで移動させ、移動後中継板32を
図6の下から2番目の図において左側が上向き、右側が下向きになるように回転させ、中継板32の左側開孔32bの開放端部を左側のバンド31の前記隙間に下から挿入し、右側開孔32cの開放端部を右側のバンド31の前記隙間に上側から挿入する。その後小ボルト33に螺入している小ナット34をしっかり締め付けることで両バンド31と中継32を結合することができ、間隔保持具30が形成されると共に冷却管25に結合される。
【0048】
本願発明で用いる間隔保持具30について前記において一例を示したが、その間隔保持具30の主たる部材であるバンド31は市販されていて必要な時に必要な数だけ簡単に入手でき、また従たる部材である中継板32は平板に開孔を形成しただけの単純構造で簡単に製造できるから、この例は好ましい間隔保持具である。
前記で示した間隔保持具はあくまでも一例であり、本願発明で用いる間隔保持具30は決してこれに限定されるものではない。
【0049】
例えば、
図7に図示するような構造のものも本願発明で用いる間隔保持具30となる。その
図7には3図
(A)(B)(C)が存在し、上2図
(A)(B)が平面図で最下部の1図
(C)が側面図であり、最上段の図
(A)は間隔保持具30を形成する前の状態を図示する平面図である。その
図7に図示する間隔保持具30は
図6とは別態様のものであり、それには2枚の長方形金属板45の中央部に開孔45b、両端部にはそれぞれ半円状部分45aが存在し、前記両端部の先には更に小ボルト挿通用の開孔45cが存在する構造のものであり、
前記開孔45cに小ボルト45dを挿通して小ナット45eで締結することによって本願発明に係る間隔保持具30とすることができる。なお、中央部にある前記開孔45bにはボルト20を挿通させる。
【0050】
以下において、本願発明の熱分解炉2の開口10及びそれを閉鎖する扉14の構造について説明する。
前記扉14は、側壁11と同様に外壁16、断熱積層体19及び熱反射板17を有する構造となっており、かつ開口10との間の密閉性を向上させるために炉内側に行くに従い尻つぼみで段差をもって小さく形成し、扉14の密閉性を向上させるのがよい。
また、その扉14の側面、すなわち開口10の周囲と対向する面及び、開口10の周りの4面、すなわち扉14の側面と対向する面は、外壁16と同じ金属材料で断熱積層体19
を覆うのがよい。
【0051】
前記した扉14は、有機質廃棄物収納用のコンテナ6を搬入出するたびに開閉するので頻繁に開閉することになり、その結果開閉のたびに重量のある扉14と開口10とが接触する箇所、すなわち前記扉14の側面と前記開口10の周りの4面は大きな衝撃を受けることになる。
その際に前記接触箇所を外壁と同じ金属材料を用いて前記したように覆うことにより耐久性を向上させることができると同時に密閉性を向上させることができ
有機質廃棄物熱分解炉2内で発生した気体の外部への漏洩を阻止することができる。また断熱積層体19内への侵入も阻止できる。
【0052】
本願発明の熱分解炉2においては、前記した以外に前記開口10と対向しない側壁の熱反射板17の内側面にはヒータ26及び不活性気体噴出管27を配置する。そのヒータ26は、
前記熱分解炉2の開口10と対向しない2つの側壁の熱反射板17の内側面に上下方向に沿って複数本配置するが、それらの配置は水平でかつ
平行にするのが好ましい。その際のヒータの固定は、開口10に対向する
熱反
射板17に形成した開孔にその一端を挿入することにより、他端は開口10の周囲の側壁の熱反射板17にブラケット等の保持具を用いることにより行うのがよい。また、そのヒータ26は前記側壁の熱反射板17だけでなく底壁12の熱反射板17上に沿って更に配置してもよく、このようにすることにより有機質廃棄物の加熱をより一層を効率的に行うことができる。
【0053】
そして、前記した不活性気体噴出管27は、前記開口10と対向する側壁11から前記開口10間において直線状に伸び、前記開口10と対向しない側壁11の熱反射板17と底壁12の熱反射板17とが交わる周辺の位置に配置され、その開孔は加熱不活性気体が前記側壁の熱反射板17に沿って上昇するように形成するのが好ましい。このようにすることにより有機質廃棄物から発生した気体は排気管15に円滑に誘導することができる。 その不活性気体噴出管27は前記開口10と対向する側壁11を挿通することから、その一端は挿通箇所において支持されており、他端の支持は前記開口10近くの底壁12と側壁11とが交わる周辺の熱反射板17に結合されたブラケット等の支持具を用いて行うのがよい。
【0054】
さらに、その不活性気体噴出管27については前記配置に加えて前記開口10の周囲を囲むようにU字型に配置するのが好ましい。すなわち、
図1及び2に図示するように前記扉14の熱反射板17の周辺に位置する底壁12
と側壁11
との両者間にかけてU字型になるように配置し、かつその噴出口は加熱不活性気体が前記扉14の熱反射板17に沿ってエアーカーテンを形成するよう
にするのが好ましい。なお、その際における不活性気体噴出管27の固定は、前記熱反射板17にブラケット等の支持具を用いて行うのがよい。
【0055】
その不活性気体噴出管27は、その噴出開孔から所定の温度に加熱された不活性気体を噴出するものであり、そのために前記噴出管27の入口側にはヒータを内蔵する不活性気体加熱装置35が具備されている。本願発明の熱分解炉2において所定の熱分解が終了した後には、前記炉2を冷却しコンテナ6を搬出することになるが、その前に前記炉2を冷却することが必要となり、その冷却を効率的かつ安全に行うために、前記熱分解炉2には冷却した不活性気体を炉内に噴出することになる。
【0056】
本願発明においてはそのための噴出管を別途炉内に設置することも勿論可能ではあるが、
図1及び2に図示された
前記熱分解炉2においては、不活性気体噴出管27が冷却不活性気体の噴出管も兼ねている。そのため、不活性気体噴出管27には、不活性気体加熱装置35と共に不活性気体冷却装置36も接続され、かつ不活性気体噴出管27と前記加熱装置35及び前記冷却装置36との間には切り替えバルブ37が設置されている。この切り替えバルブ37により炉内に不活性加熱気体が必要な場合には前記加熱装置35を作動させて同気体を導入し、不活性冷却気体が必要な場合には前記冷却装置を作動させて同気体を導入する。
【0057】
それら加熱及び冷却時に使用する不活性気体については、窒素等の非酸化性の気体であれば特に制限されることなく各種気体が使用可能であるが、製造も入手も簡単な窒素が特に好ましい。その窒素はボンベに充填されたものを購入することも勿論可能であるが、比較的小型の装置で簡単に製造できるので、その装置を
本願発明の熱分解炉2に付設するのが好ましい。
すなわち、高圧下で酸素等を選択的に吸着して窒素と分別することができる小型の窒素製造装置が普及しており、これを
前記熱分解炉に付設することにより簡便に窒素を製造することが可能であり、本願発明の熱分解炉においてもこれを用いるのが好ましい。
【0058】
また、本願発明の熱分解炉2においては、有機質廃棄物は、コンテナ6に搭載されて熱分解炉内に搬入出されることになるから、コンテナ6は加熱不活性ガスの流出入を円滑に行うことができ、かつヒータから放出される加熱線により有機質廃棄物を十分に加熱できるような構造にする必要があり、それには大孔径を有する金属網等で形成されたものが例示できる。そのコンテナ6を熱分解炉2内に円滑に搬入出するためにコンテナ6下部にはキャスターを付設し、底壁12にはレール38を具備させるのがよい。なお、その際には熱反射板17は、レール38の下面側にあるが、それにはレールの荷重が掛からない構造とする。
【0059】
前記した通りであるから、
前記熱分解炉2の底壁12には大きな荷重が掛かるので、外壁16とレール38の間には補強材を配置するのが好ましい。また、その熱分解炉2は、その下部に人間が入ることができる程度の高さを有する架台39上に設置するのが好ましい。前記熱分解炉2は、このようにすることにより側壁11、頂壁13、扉14だけでなく、底壁12も外部からその状態が観察することができるので、
本願発明の熱分解炉2の全ての面を外部から観察することができ好ましい。
【0060】
次に、本願発明の熱分解炉及び熱分解装置の作動手順について説明する。
本願発明の熱分解装置1においては、まず冷却管25への冷却水の供給を開始する。次いで熱分解炉2の扉14を開放して有機質廃棄物を収納したコンテナ6を炉内に搬入し、搬入後扉14を閉鎖する。その扉14の閉鎖を確認した後に、不活性気体加熱装置36で70℃前後に加熱された窒素等の不活性ガスを不活性気体噴出管27から炉内に導入して大気を排気管15から放出し炉内を不活性ガス雰囲気に置換する。その炉内から排出された気体は凝縮器3を経由して油分回収容器4内に到達し、その後酸素濃度センサー40を配置した配管を通過して外気に放出されることになる。
【0061】
そのセンサー40の測定濃度が5%未満になったことを確認した後に炉内のヒータ26の電源を入力し、乾燥工程の温度(100〜150℃前後)に必要な電力量にセットする。また、併せて不活性気体加熱装置35のヒータも不活性気体の温度が前記温度になるように調節する。
この温度で所定時間加熱して水が蒸発し有機質廃棄物が乾燥状態になった段階で、炉内ヒータ26及び不活性気体加熱装置35の使用電力量を調節して炉内温度を350℃前後に上昇させ、前記廃棄物の熱分解工程に入る。
【0062】
この工程において所定時間(約0.5〜3時間)加熱し前記廃棄物を熱分解して油分を蒸発・凝縮して分離し、最後に、両ヒータの電力量を再度調節して炉内温度を450℃前後に上昇させ残った炉内廃棄物を炭化物化する。その後切り替えバルブ37を切り替えて不活性気体冷却装置で約5℃以下に冷却された不活性気体により炉内を冷却して温度低下させ、炉内が所定温度(約70℃)に低下した後にコンテナ6ごと
本願発明の熱分解炉2から搬出し炭化物を回収する。その際の冷却には不活性気体噴出管27に接続する切り替えバルブ37を切り替えて不活性気体冷却装置36で冷却した不活性ガスを前記噴出管27から噴出するのがよく、これにより冷却が促進でき、コンテナ6搬出までの時間が短縮でき効率的である。
【0063】
続いて、本願発明の熱分解炉及び熱分解装置の制御系統について説明する。
前記熱分解炉においては炉内に温度センサー42を設置して炉内温度を測定し、油分回収容器4内の気体空間には酸素濃度センサー40を設置し、酸素濃度を測定する。
この酸素濃度センサーの測定濃度が5
%未満になったことを制御装置5が検知すると、制御装置5はヒータ26の電源を入力する指示を出す。
【0064】
炉内の温度センサー42が測定した炉内温度を制御装置5に伝達し、その伝達された測定結果を用いて炉内ヒータ及び不活性気体加熱ヒータの入力電気量をコントロールする。 さらに、乾燥工程、熱分解工程、炭化工程に入る際には、炉内に設置した温度センサー42が炉内温度の推移を見守ることができ、その結果によって指示を出すことになる。
また、図示していない冷却水タンクとチラー(冷却器)とにより冷却水温度をコントロールする。すなわち、その冷却水タンクとそれに付設されているチラーとを用いて、両者の間を循環する冷却水をチラー出口側の温度を所定温度(約7℃)に維持することにより冷却水温度をコントロールする。
【解決手段】 有機質廃棄物熱分解炉は、底壁、頂壁で囲み、側面は一面を除き側壁で囲み、前記一面はコンテナ搬入出用の扉を具備する開口であり、かつ前記頂壁には排気管を具備し、前記した底壁、頂壁、側壁、扉は、いずれも内側面は熱反射金属板、外側面は金属外壁からなり、その中間には2層以上の断熱材を密着して積層した断熱積層体を内挿し、前記断熱積層体は、それを挿通し一端が前記外壁内面に結合し、他端が前記熱反射金属板に結合しているボルトにより固定し、さらに前記側壁の断熱積層体の断熱材界面には、相互に平行する複数の冷却管を配置し、かつ隣接する冷却管を間隔保持具により結合し、前記間隔保持具は、中央部にある開孔に前記ボルトを挿通して結合し、それにより前記断熱積層体及び冷却管を固定し、前記開口と対向しない側壁の熱反射金属板の内側面にはヒータ及び不活性気体噴出管を配置したことを特徴とする。