特許第5853119号(P5853119)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】5853119
(24)【登録日】2015年12月11日
(45)【発行日】2016年2月9日
(54)【発明の名称】複式メータユニット用フレーム
(51)【国際特許分類】
   E03B 7/07 20060101AFI20160120BHJP
   G01F 1/00 20060101ALI20160120BHJP
   G01F 15/18 20060101ALI20160120BHJP
【FI】
   E03B7/07 Z
   G01F1/00 G
   G01F15/18
【請求項の数】2
【全頁数】16
(21)【出願番号】特願2015-137804(P2015-137804)
(22)【出願日】2015年7月9日
(62)【分割の表示】特願2011-240121(P2011-240121)の分割
【原出願日】2011年11月1日
(65)【公開番号】特開2015-214885(P2015-214885A)
(43)【公開日】2015年12月3日
【審査請求日】2015年7月9日
【早期審査対象出願】
(73)【特許権者】
【識別番号】000151025
【氏名又は名称】株式会社タブチ
(74)【代理人】
【識別番号】100074332
【弁理士】
【氏名又は名称】藤本 昇
(74)【代理人】
【識別番号】100114432
【弁理士】
【氏名又は名称】中谷 寛昭
(74)【代理人】
【識別番号】100138416
【弁理士】
【氏名又は名称】北田 明
(72)【発明者】
【氏名】坂本 武司
(72)【発明者】
【氏名】加藤 真一
【審査官】 神尾 寧
(56)【参考文献】
【文献】 特開2002−021124(JP,A)
【文献】 特開2009−293282(JP,A)
【文献】 特開2008−175802(JP,A)
【文献】 特開2006−348516(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
E03B 1/00−11/16
G01F 1/00
G01F 15/18
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数列の一次側配管と、該複数列の一次側配管と同軸に設けられた複数列の二次側配管とを備え、前記一次側配管と二次側配管との間を1つの水道用メータを着脱するメータ着脱部として、前記複数列の一次側配管及び前記複数列の二次側配管で水道用メータを複数並列に接続可能な複式メータユニットにおける前記一次側配管と二次側配管とを固定可能に構成され、
一次側と二次側とで対峙する前後枠を有する矩形状に構成され、
前記前後枠が分割された状態で構成される一対の平面視コ字状のサイドフレームを備えることを特徴とする複式メータユニット用フレーム。
【請求項2】
前記一対のサイドフレームを連結可能な中間フレームを備えることを特徴とする請求項1に記載の複式メータユニット用フレーム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、複数の水道用メータを並列に接続可能とした複式メータユニットに用いられる複式メータユニット用フレームに関するものである。
【背景技術】
【0002】
水道用メータは1世帯に1つ設置するが、本出願人は主にアパート等の低層集合住宅向けとして、図9に示すような、例えば4世帯分(4つ)の水道用メータMを1つのメータボックス本体20に並列に装着できる複式メータユニットを開示している(特許文献1)。
【0003】
即ち、特許文献1の複式メータユニットは、工場出荷時に予めメータボックス本体20の一次側と二次側に止水栓21や逆止弁22を含む必要な配管23・24が組み付けられているため、現場では通水試験後、一次側配管13と二次側配管14間に水道用メータMを取り付けるだけで配管作業が完了する。また、数個の水道用メータMを1つのメータボックス本体20に集約したことにより、世帯ごとに水道用メータMを1つずつ設置するよりも、省スペース化が図られ、さらに、数世帯分を集中検針することができる。なお、図9では4連式のものを例示したが、このほか2連式や3連式等の複式メータユニットも存在する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2009−293282号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
一つのベース又はメータボックスに複数の水道用メータを集約するという発想はそれまでなく、本出願人が特許文献1によって初めて提案したもので、省スペース化や集中検針といった機能は満足するものの、強度面で改良の余地があった。
【0006】
即ち、特許文献1の複式メータユニットは、一次側配管23と二次側配管24を複数組、ボックス本体10、即ち上下二分割に構成される下枡にボルト等によって固定しているため、ユニット単体の脱着部が圧着式であった場合、水道用メータMを接続するときの伸長応力によって分岐配管や前記ボルトが変形する恐れがあった。また、地盤の経年変位によって下枡に圧縮応力が作用した場合も、同様の変形が生ずる恐れがあった。
【0007】
本発明は上述した課題に鑑みなされたもので、その目的とするところは、水道用メータの接続応力や地盤変位による応力が作用しても強度を保持する複式メータユニット用フレームを提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上述した目的を達成するために本発明では、複数列の一次側配管と、該複数列の一次側配管と同軸に設けられた複数列の二次側配管とを備え、前記一次側配管と二次側配管との間を1つの水道用メータを着脱するメータ着脱部として、前記複数列の一次側配管及び前記複数列の二次側配管で水道用メータを複数並列に接続可能な複式メータユニットにおける前記一次側配管と二次側配管とを固定可能に構成され、一次側と二次側とで対峙する前後枠を有する矩形状に構成され、前記前後枠が分割された状態で構成される一対の平面視コ字状のサイドフレームを備えることを特徴とする。
【0009】
また、本発明では、前記一対のサイドフレームを連結可能な中間フレームを備えることもできる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
図1】本発明の一実施形態を示した複式メータユニットの平面図
図2図1のA−A線断面図
図3】同、左側面図
図4】同、右側面図
図5図1のB−B線断面図
図6】同、全体斜視図
図7】分割フレームの態様を例示した説明図
図8】他の実施形態を示した側面視断面図
図9】従来の複式メータユニットを示す平面図
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下、本発明の好ましい実施の形態を添付した図面に従って説明する。図1は3連式の実施形態を示した複式メータユニットの平面図であり、図2はそのA−A線断面図、図3・4は左右の側面図、図5図1のB−B線断面図である。これらの図において、1は分岐配管、2はユニット単体、3はこれら分岐配管1及びユニット単体2を固定して一体とした金属フレームである。
【0012】
分岐配管1は、一次側の中央に一つ設けた流入管部1aに対して、二次側に3つの支流管部1bを互いに管軸が平行するように一体に設けてなり、流路を3系統に分岐したものである。流入管部1aは一次側給水管の接続端部として機能する。
【0013】
ユニット単体2は、この実施形態の場合、同一構造のものを3組備え、それぞれ上記分岐配管1の支流管部1bに端部が水密に嵌入可能な止水栓4aを含む一次側配管4と、逆止弁ユニット5aを含む二次側配管5とを同軸上に一定間隔をおいて設けてなる。二次側配管5の逆止弁ユニット5aとは反対側の端部5bは、二次側給水管(宅内への引き込み管)の接続端部として機能する。また、一次側配管4と二次側配管5との間は水道用メータの脱着部であり、この実施形態では、メータ脱着構造として圧着継手を例示している。即ち、この圧着継手は、一次側配管4の羽根車4bを回せば、その回動運動が内部機構によって可動受け部4cの軸方向のスライド運動に変換され、該可動受け部4cの突出量を調整することによって、これと対向して二次側配管5に設けた固定継手5cとの距離が調整され、水道用メータの脱着を行うものである。
【0014】
一方、金属フレーム3は、ユニット単体2の軸方向に対向する前後の二枠3a・3bと、同じくユニット単体2の列方向に対向する左右の二枠3c・3dの四壁からなる平面視矩形状の枠体であって、ユニット単体2の列群を囲繞する大きさとしている。そして、四枠のうち、前後の二枠3a・3bに分岐配管1及びユニット単体2を固定している。
【0015】
具体的には、前後の二枠3a・3bそれぞれに、3列のユニット単体2それぞれと同軸に、装着孔3e・3fを3つずつ設けている。これに対して、分岐配管1の支流管部1bそれぞれの端部と、ユニット単体2の一次側配管4の嵌入端部と、二次側配管5の中途とには、左右外方に迫り出すフランジ1c・4d・5dを設けている。そして、金属フレーム3の前枠3aに対して、分岐配管1の支流管部1bを装着孔3eと連通させた状態で、分岐配管1が外側、一次側配管4が内側となるように、両者のフランジ1c・4dを前枠3aを挟み込んだ状態でボルト6で固定している。このとき分岐配管1の支流管部1bに一次側配管4の嵌入部が水密に嵌入して、両者が連通することはもちろんである。また、二次側配管5は金属フレーム3の後枠3bに対して、外側から逆止弁ユニット5aを装着孔3fに挿通した状態で、そのフランジ5dをボルト7で固定している。このような固定態様により、分岐配管1の全部と二次側配管5の端部5bは金属フレーム3の外側に突出し、その内側にユニット単体2のメータ着脱部が位置することになる。
【0016】
従って、ユニット単体2それぞれに水道用メータを装着する際、一次側配管4および二次側配管5に作用する接続応力は前後の二枠3a・3bに伝達されるが、左右の二枠3c・3dによって変位が拘束されているため、当該接続部位の変形を防止することができる。
【0017】
この実施形態においては水道用メータを3つ並列に接続する3連式を示しており、図6によく示されるとおり、これに対応して金属フレーム3を三分割している。即ち、この実施形態における金属フレーム3は、前後の二枠3a・3bを装着孔(ユニット単体)単位で三分割し、平面視コ字状のサイドフレーム3g・3hを一対と、平面視直線状の中間フレーム3iを二組備えてなる。サイドフレーム3g・3hそれぞれにはユニット単体2が一組ずつ固定され、中間フレーム3i間には一組のユニット単体2が固定される。そして、サイドフレーム3g・3hは中間フレーム3iによって連結され、当該連結部をボルト8で固定している。当該構成によって3連式のユニットを構成しているのであるが、サイドフレーム3g・3h同士を直結することも可能であり、この場合は2連式のユニットを構成することができる。また、中間フレーム3iを継ぎ足せば、4連・5連式と連数を増やすことも可能である。なお、分岐配管1は連数に応じた支流管部を備えたものを採用することはもちろんである。
【0018】
このように金属フレーム3をサイドフレーム3g・3hと中間フレーム3iに分割したので、サイドフレーム3g・3hを基本フレームとして中間フレーム3iの数を増減することで2連・3連と多種の連数に対応することができる。
【0019】
なお、各分割フレームの連結部は、一端をL字状に形成し、その段差に他端を重畳させてボルト固定することが簡便である。図7は、3つのバリエーションを例示しており、同図(a)は、一方のサイドフレーム3gの端部は未処理であり、他方のサイドフレーム3hの両端部にL字状の連結部9を形成している。また、中間フレーム3iについては一端のみL字状の連結部9を形成している。この例によれば、サイドフレーム3g・3h同士を直結して2連とすることも、また中間フレーム3iを継ぎ足して3連以上とすることも可能である。
【0020】
これに対して、図7(b)の例では、一端のみをL字状に折曲して連結部9としたサイドフレームを採用することで、左右のサイドフレーム3h・3gが完全に同形となり、連結部9を前後反転の状態で直結することで2連ユニットを構成することができると共に、(a)と同形の中間フレーム3iを継ぎ足すことで3連以上のユニットを構成することもできる。即ち、(a)の例が異形のサイドフレーム一対と中間フレームの3パーツシステムであるのに対して、この(b)の例ではサイドフレームが同形であるから2パーツシステムとなり、必要な分割フレームの種類を少なくでき、部品管理も容易となる。
【0021】
なお、図7(c)の例では、サイドフレーム3h・3gとも端部未処理とする一方、中間フレーム3iの両端にL字状の連結部9を形成している。この例では、3連の場合、サイドフレーム3h・3gが同形となるため、2パーツシステムを構成する。だたし、サイドフレーム3h・3gが同形であるため、中間フレーム3iを用いて3連以上とすることが必須となる。
【0022】
この点、(c)の例の中間フレーム3iを2以上用いた場合、同図(d)に示すように、隣合う中間フレーム同士で連結部9を内外逆に配置すれば、4連以上とすることも可能である。ただし、3連(3以上の奇数)であればサイドフレームを同形とできるが、4連(4以上の偶数)では異形となるため、実質的には(a)の例と同じく3パーツシステムと考えて差し支えない。
【0023】
なお、本発明の複式メータユニットは金属フレーム3によって一体とされているため、それ単独で使用することもできるが、地中に埋設する場合は、図8に示すように、下枡10とこれに嵌め合わせる上枡11からなる二分割構造のメータボックスに収容することが好ましい。この場合、ユニット全体は下枡10に載せるのみで、ボルトで固定する必要がないため、組込みが楽であり、また水平レベル出しは、空の下枡10を基準に行うことができる。
【0024】
また、複式メータユニットでは、上流を分岐して一次側配管を複数列設けると共に、前記一次側配管それぞれと同軸に二次側配管を同じ列数設け、前記一次側配管と二次側配管間をメータ着脱部として水道用メータを複数並列に接続する複式メータユニットであることを前提として、当該ユニットを上下面を開口した枠体に固定することで一体とする構成を採用できる。
【0025】
即ち、従来の下枡固定に代えて、複式メータユニットではユニットベースとして、一次側と二次側で対峙する前後の二枠に前記列数と同数の装着孔を設けたフープ状の金属フレームを備える。
【0026】
金属フレームは、前記一次側配管及び二次側配管を前記装着孔と連通するように前後二枠それぞれに固定して、当該一次側配管及び二次側配管の変位を前記前後二枠と一体の左右二枠で拘束する。前後左右の枠は、鋼製であれば板状とすることが簡便であるが、金属の種類や水道用メータの連数、コスト等に応じて、管状や異形管等とすることも可能であり、前後左右をそれぞれ異なる形状とすることも可能である。
【0027】
上記手段において、前後二枠に対して垂直に水道用メータの接続応力等が作用するが、前後二枠の変位は左右の二枠によって拘束されているため、当該応力による軸方向の変形や捻れを防止することができる。
【0028】
本複式メータユニットによれば、金属フレームに分岐配管及び複数のユニット単体を固定したので、ユニット単体に作用する水道用メータの接続応力は金属フレームの左右二枠によって拘束され強度が高まる。
【0029】
ところで、複式メータユニットは水道用メータを二以上並列に接続するユニットであるから、その列数に応じて金属フレームの大きさ(列方向の長さ)を合わせる必要がある。そのために、2連専用、3連専用といった一体型の金属フレームを採用することができる。
【0030】
これに対して、前後二枠を装着孔単位で分割して、互いに連結自在な平面視コ字状のサイドフレームと平面視直線状の中間フレーム(これらを一括して分割フレームということがある)とから構成すれば、その組合せによって種々の列数に対応することができる。即ち、サイドフレームが一対のみで2連式のユニットを構成でき、サイドフレーム間に中間フレームを継ぎ足せば3連式、4連式のユニットを構成することができる。このような分割フレームを採用すれば、サイドフレーム一対を基本フレームとして、分割フレームを共用でき、汎用性を持たせることができる。
【0031】
このように、金属フレームをサイドフレームと中間フレームに分割したので、水道用メータの列数ごとに一体型の金属フレームを用意するよりも、汎用性が高く、部品管理も容易である。
【0032】
分割フレーム同士を連結するための構成は任意であるが、一端をL字状に形成すれば、その段差に他端を重畳して連結することができる。
【0033】
また、一次側配管と二次側配管を金属フレームの前後二枠に固定する構成も任意であるが、外向きのフランジを設けておき、このフランジを装着孔周囲にボルトで固定することが確実且つ簡便である。また、一次側配管は止水栓を備えると共に、二次側配管は逆止弁を備え、これら止水栓及び逆止弁が金属フレームの内側に位置するように固定することが好ましい。
【0034】
さらに、一次側配管の上流に複数の支流管部を有する分岐配管を備え、この分岐配管についても、支流管部それぞれに外向きフランジを設けておき、一次側配管とのフランジ同士を前枠を挟み込んだ状態でボルト固定するようにすれば、分岐配管と一次側配管を同時に金属フレームに固定することができる。
【0035】
なお、下枡と上枡の二分割構造のメータボックスをさらに備え、前記下枡にユニット全体を載置収容すれば、地中埋設式の複式メータボックスを構成することができる。ここでユニット全体は既に金属フレームによって一体化されているため、下枡には載せるだけでよい。したがって、水平レベル出しは空の状態の下枡によって容易に行うことができる。また、ユニット全体と下枡は非結合の状態で縁が切れているため、下枡に地盤変位による応力が作用したとしても、ユニット全体には伝達されにくく、ユニット全体の強度が保持される。
【0036】
このように、メータボックスの下枡には固定されず載置するのみであるため、下枡が地盤の経年的な応力による変位を受けてもユニット全体への影響を小さくでき、強度を保持することができる。
【0037】
他方、ユニット単体におけるメータ着脱部の具体的構成としてねじ式と圧着式が考えられるが、後者の一次側配管または二次側配管の一方に軸方向に移動自在な可動部を設けた圧着継手が水道用メータを着脱しやすいため好ましい。このとき生ずる水道用メータの接続応力は金属フレームによって抑制される。
【符号の説明】
【0038】
1 分岐配管
1b 支流管部
2 ユニット単体
3 金属フレーム
3g・3h サイドフレーム
3i 中間フレーム
4 ユニット単体の一次側配管
5 ユニット単体の二次側配管
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9