(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
遊技領域に発射するための遊技球を保持する皿部と、遊技領域に遊技球を発射する遊技球発射装置と、前記皿部から前記遊技球発射装置へと遊技球を誘導するための遊技球通路とを備えた弾球遊技機において、
前記遊技球通路に設けられ、前記遊技球に糸がついている場合に該糸が絡みつくための糸発射防止部
を備え、
前記遊技球通路は、その一部または全体が螺旋状の通路として形成され、前記遊技球を該螺旋形状に沿って回転させつつ高度を下げていき、最終的に前記遊技球発射装置へと誘導するものであって、前記回転の径が下へ行くほど小さくなるように形成されており、且つ当該遊技球通路の断面は、遊技球が滞りなく流れることができる程度の小ささの円形であり、
前記糸発射防止部は、前記遊技球通路の螺旋状に形成された部分を含むことを特徴とする弾球遊技機。
【発明を実施するための形態】
【0016】
以下に本発明の好適な実施形態について説明する。尚、本発明の実施の形態は下記の実施例に何ら限定されるものではなく、本発明の技術的範囲に属する種々の形態を採ることができ、各実施例に記載された内容を適宜組み合わせることが可能なことはいうまでもない。
[
参考例1]
【0017】
図1に示すように、弾球遊技機の一種であるパチンコ機50は、縦長の固定外郭保持枠をなす外枠51にて構成の各部を保持する構造である。外枠51の左側上下には、ヒンジ53が設けられており、該ヒンジ53の他方側には
図3に記載する内枠70が取り付けられており、内枠70は外枠51に対して開閉可能な構成になっている。前枠52には、板ガラス61が取り外し自在に設けられており、板ガラス61の奥には
図2に記載する遊技盤1が内枠70に取り付けられている。
【0018】
前枠52の上側左右には、スピーカ66が設けられており、パチンコ機50から発生する遊技音が出力され、遊技者の趣向性を向上させる。また、遊技者の趣向性を向上させるために前枠52に遊技状態に応じて発光する枠側装飾ランプ65も複数設けられている。前枠52の下方には、上皿55と下皿63が一体に形成されている。下皿63の右側には発射ハンドル64が取り付けられており、該発射ハンドル64を時計回りに回動操作することによって発射装置(後述)が稼働して、上皿55から供給された遊技球が遊技盤1に向けて発射される。
【0019】
上皿55の上部ほぼ中央には、遊技者が操作可能な演出ボタン67が備えられており、この演出ボタン67は、周囲にジョグダイヤル68を備えたものとなっている。遊技者が所定期間中に、演出ボタン67やジョグダイヤル68を操作することで後述する演出図柄表示装置6に表示される内容が変化したり、スピーカ66より出力される遊技音が変化したりする。また、このパチンコ機50はいわゆるCR機であって、プリペイドカードの読み書き等を行うためのプリペイドカードユニット(CRユニット)56が付属しており、パチンコ機50には、球貸スイッチ57、精算スイッチ58及び残高表示器59を有するCR精算表示装置が備わっている。
【0020】
図2は、本
参考例のパチンコ機の遊技盤1の正面図である。なお、このパチンコ機の全体的な構成は公知技術に従っているので図示及び説明は省略する。
図2に示すように遊技盤1には、公知のガイドレール2a、2bによって囲まれた略円形の遊技領域3が設けられている。この遊技領域3には多数の遊技釘4が打ち付けられている。
【0021】
遊技領域3のほぼ中央部には、センターケース5が配されている。センターケース5は、公知のものと同様に、ワープ入口、ワープ通路、ステージ、演出図柄表示装置6(液晶表示装置であり擬似図柄を表示する。)の画面を臨ませる窓等を備えている。センターケース5の下には、第1始動口11と第2始動口12とがユニット化された複合入賞装置が配置されている。第2始動口12は開閉可能な翼片を供えた普通電動役物を備えており、この翼片が開放しないと遊技球は第2始動口12に入球できない構成となっている。遊技領域の右下部には、複数個のLEDからなる普通図柄表示装置7と、普通図柄保留数表示装置8と、特別図柄保留数表示装置18と、7セグメント表示装置からなる特別図柄表示装置9とが配置されている。なお、前記翼片は、普通図柄表示装置7に特定の普通図柄が表示される(「普通図柄が当る」ともいう)と開放される。普通図柄は、演出図柄表示装置6の左方に設けられたゲート17を遊技球が通過すると変動が開始され、所定時間経過後に停止される。この変動時間および停止される普通図柄は、ゲート通過を契機として抽出された乱数に基づいて決定され、ゲート17を遊技球が通過した際に普通図柄が変動中などの場合により、普通図柄の変動を開始できない場合には、これらの乱数が記憶され、その個数が普通図柄保留数表示装置8に表示される。
【0022】
複合入賞装置の下方にはアタッカー式の大入賞口14が配置されている。また、第1始動口11の左方には、第1左入賞口31、第2左入賞口32、第3左入賞口33及び第4左入賞口34が設けられている。なお、この第1左入賞口31、第2左入賞口32、第3左入賞口33、第4左入賞口34が、常時、入球率が変化しない普通入賞口である。
【0023】
パチンコ遊技機50の裏面は
図3に示すとおり、前述した遊技盤1を脱着可能に取り付ける内枠70が前述した外枠51に収納されている。この内枠70には、上方から、球タンク71、タンクレール72及び払出装置73が設けられている。この構成により、遊技盤1上の入賞口に遊技球の入賞があれば球タンク71からタンクレール72を介して所定個数の遊技球を払出装置73により前述した上皿55に排出することができる。また、パチンコ機50の裏側には(
図4も参照のこと)、主制御装置80、払出制御装置81、演出図柄制御装置82、サブ統合制御装置83、発射制御装置84、電源基板85が設けられている。なお、演出図柄制御装置82、サブ統合制御装置83がサブ制御装置に該当する。
【0024】
主制御装置80、演出図柄制御装置82、サブ統合制御装置83は遊技盤1に設けられており、払出制御装置81、発射制御装置84、電源基板85が内枠70に設けられている。なお、
図3では、発射制御装置84が描かれていないが、発射制御装置84は払出制御装置81の下に設けられている。また、球タンク71の右側には、外部接続端子板78が設けられており、この外部接続端子板78より、遊技状態や遊技結果を示す信号が図示しないホールコンピュータに送られる。
【0025】
このパチンコ機50の電気的構成は、
図4のブロック図に示すとおり、主制御装置80を中心にして構成されている。なお、このブロック図には、単に信号を中継するだけのためのいわゆる中継基板及び電源回路等は記載していない。また、詳細の図示は省略するが、主制御装置80、払出制御装置81、演出図柄制御装置82、サブ統合制御装置83のいずれもCPU、ROM、RAM、入力ポート、出力ポート等を備えているが、本
参考例では発射制御装置84にはCPU、ROM、RAMは設けられていない。しかし、これに限るわけではなく、発射制御装置84にCPU、ROM、RAM等を設けてもよい。
【0026】
主制御装置80には、第1始動口11に入球した遊技球を検出する第1始動口スイッチ11a、第2始動口12に入球した遊技球を検出する第2始動口スイッチ12a、ゲート17に進入した遊技球を検出する普通図柄作動スイッチ17a、大入賞口14に入球した遊技球を計数するための第1カウントスイッチ14a、第1左入賞口31、第2左入賞口32、第3左入賞口33、及び第4左入賞口34に入球した遊技球を検出する左入賞口スイッチ31a等の検出信号が入力される。
【0027】
主制御装置80は搭載しているプログラムに従って動作して、上述の検出信号などに基づいて遊技の進行に関わる各種のコマンドを生成して払出制御装置81及びサブ統合制御装置83に出力する。
また主制御装置80は、図柄表示装置中継端子板90を介して接続されている特別図柄表示装置9及び普通図柄表示装置7の表示、特別図柄保留数表示装置18、及び普通図柄保留数表示装置8の点灯を制御する。
【0028】
更に、主制御装置80は、大入賞口ソレノイド14bを制御することで大入賞口14の開閉を制御し、普通電動役物ソレノイド(
図4では普電役物ソレノイドと表記)12bを制御することで第2始動口12の開閉を制御する。主制御装置80からの出力信号は試験信号端子にも出力される他、図柄変動や大当り(特別遊技ともいう)等の管理用の信号が、裏中継端子板75、払出制御装置81および外部接続端子板78を介してホールコンピュータ87に送られる。主制御装置80と払出制御装置81とは双方向通信が可能である。
【0029】
払出制御装置81は、主制御装置80から送られてくるコマンドに応じて払出モータ20を稼働させて賞球を払い出させる。本
参考例においては、賞球として払い出される遊技球を計数するための払出センサ21の検出信号は払出制御装置81に入力され、払出制御装置81で賞球の計数が行われる構成を用いる。この他にも主制御装置80と払出制御装置81に払出センサ21の検出信号が入力され、主制御装置80と払出制御装置81の双方で賞球の計数を行う構成を用いることも考えられる。
【0030】
なお、払出制御装置81はガラス枠開放スイッチ35、内枠開放スイッチ36、満杯スイッチ22、球切れスイッチ23からの信号が入力され、満杯スイッチ22により下皿63が満タンであることを示す信号が入力された場合及び球切れスイッチ23により球タンクに遊技球が少ないあるいは無いことを示す信号が入力されると払出モータ20を停止させ、賞球の払出動作を停止させる。なお、満杯スイッチ22、球切れスイッチ23も、その状態が解消されるまで信号を出力し続ける構成になっており、払出制御装置81は、その信号が出力されなくなることに起因して払出モータ20の駆動を再開させる。
【0031】
また、払出制御装置81はCRユニット端子板24を介してCRユニット56と交信することで払出モータ20を作動させ、貸し球を排出する。払出された貸し球は払出スイッチ21に検出され、検出信号は払出制御装置81に入力される。なお、CRユニット端子板24は精算表示装置25とも双方向通信可能に接続されており、精算表示装置25には、遊技球の貸出しを要求するための球貸スイッチ57、精算を要求するための精算スイッチ58、残高表示器59(
図1参照)が接続されている。
【0032】
また、払出制御装置81は、外部接続端子板78を介して賞球に関する情報、枠(内枠、前枠)の開閉状態を示す情報などをホールコンピュータ87に送信するほか、発射制御装置84に対して発射停止信号を送信する。なお、払出制御装置81には、糸不正検出センサ74の出力信号が入力されるが、これについては後述する。
【0033】
発射制御装置84は発射ソレノイド30を制御して、遊技球を遊技領域3に遊技球を発射させる。また、発射制御装置84は球送りソレノイド41を制御して、発射台(後述)に1個ずつ遊技球を供給する。なお、発射制御装置84には払出制御装置81以外に発射ハンドル64(
図1参照)からの回動量信号、タッチスイッチ28からのタッチ信号、発射停止スイッチ29から発射停止信号が入力される。
【0034】
回動量信号は、遊技者が発射ハンドル64を操作することで出力され、タッチ信号は遊技者が発射ハンドル64を触ることで出力され、発射停止スイッチ信号は、遊技者が発射停止スイッチ29を押すことで出力される。なお、タッチ信号が発射制御装置84に入力されていなければ、遊技球は発射できないほか、発射停止スイッチ信号が入力されているときには、遊技者が発射ハンドル64を触っていても遊技球は発射できないようになっている。
【0035】
サブ統合制御装置83はサブ制御装置に該当し、主制御装置80から送信されてくるデータ及びコマンドを受信し、それらを演出表示制御用、音制御用及びランプ制御用のデータに振り分けて、演出表示制御用のコマンド等は演出図柄制御装置82に送信し、音制御用及びランプ制御用は自身に含まれている各制御部位(音声制御装置及びランプ制御装置としての機能部)に分配する。そして、音声制御装置としての機能部は、音声制御用のデータに基づいて音LSIを作動させることによってスピーカ66からの音声出力を制御し、ランプ制御装置としての機能部はランプ制御用のデータに基づいてランプドライバを作動させることによって各種LED、ランプ26を制御する。 また、サブ統合制御装置83には、演出ボタン67、ジョグダイヤル68が接続されており、遊技者がこれら67、68を操作した際には、その信号がサブ統合制御装置83に入力される。
【0036】
サブ統合制御装置83と演出図柄制御装置82とは双方向通信が可能である。
演出図柄制御装置82は、サブ統合制御装置83から受信したデータ及びコマンド(共に主制御装置80から送信されてきたものとサブ統合制御装置83が生成したものとがある)に基づいて演出図柄表示装置6を制御して、擬似図柄等の演出画像を演出図柄表示装置6の画面6aに表示させる。
【0037】
上皿55の遊技球が発射装置に供給される様子を
図5に示す。前後するが
図5(b)は、
図1に示した正面図において、上皿55の周辺を拡大し、且つ演出ボタン67の下方を透視してみた図である。
図5(a)は
図5(b)のA−A矢視図、
図5(c)はパチンコ機50を一部断面にして、上皿55の右方から見た図である。なお、
図5(a)においても流入口55a以降の遊技球15の経路(後述する遊技球通路42)を明示するために、その周辺を透視している。上皿55にあった遊技球15は、上皿55の底面中ほどから右方手前に流れ、左折して奥方向(
図5(a)では上方)に流れ、更に左折して流入口55aから上皿55の底面の下方(本図では奥方向)に誘導される。なお、この流れは流路の傾斜によって実現される。流入口55aから発射装置19までは糸絡め通路部材45としてユニット化されており(詳しくは
図6を用いて後述)、糸絡め通路部材45内の遊技球通路42は、断面が遊技球15の直径よりもやや大きい直径の円形をしており、ほぼ螺旋状に形成されている。「やや大きい直径」とは、この遊技球通路42を遊技球15が滞りなく流れることができる程度の小ささを指す。流入口55aを通った遊技球15は、左折(
図5(a)参照)してから螺旋状の通路に入り、該通路に沿って時計回りに回転しつつ高度を下げていき、最終的に発射装置19に到達する(
図5(c)参照)。なお、
図5(a)では遊技球は遊技球通路42内に2個のみ図示されているが、上皿55に十分な個数の遊技球15が存在する状態では、遊技球通路42内には遊技球15が隙間なく充填された状態となる。
【0038】
糸絡め通路部材45は、
図6に示すように上皿55から着脱可能に構成されている。
図6の状態では、遊技球通路42(図示省略)は糸絡め通路部材45と共に上皿55から離脱しているので、発射装置19に遊技球を供給するのは困難である。
【0039】
発射ハンドル64の説明図を
図7に示す。
図7(a)は発射レバー37が回動されていない状態、
図7(b)は発射レバー37が回動された状態を示す。発射ハンドル64は、パチンコ機50に対して固定されたドーム状のタッチ部38の周りに発射レバー37が回動可能に設けられている。発射レバー37にはリブ39(通常はタッチ部38に覆われていて見えない)が設けられており、
図7(a)に示す発射レバー37が回動されていない状態では、リブ39が発射停止ボタン40を押さえている。これにより発射停止スイッチ29がON状態、すなわち遊技球15の発射が行なわれない状態となっている。発射レバー37が回動されると、リブ39が発射停止ボタン40から離れ、発射停止スイッチ29がOFF状態となり、発射ソレノイド30、及び球送りソレノイド41が作動を開始する。
【0040】
発射装置19の外観を
図8に示す。
図8(a)は発射装置19をパチンコ機50の正面側から見た図であり、
図8(b)は発射装置19の斜視図である。球送りソレノイド41は、球送りレバー43と共に球送りカセット44の内部に設けられており、球送りソレノイド41が稼働する(「ONになる」ともいう)と球送りレバー43がPを軸として時計回りに揺動される。発射ソレノイド30は、
図8(b)に示すように発射装置19の背面側に設けられており、発射ソレノイド30が稼働されると、ハンマー46を揺動させ、発射台47に載置された遊技球を発射する。なお、符号48は、上皿55から誘導された遊技球15が球送りカセット44に入るための導入口である。
【0041】
球送りソレノイド41の動作について
図8に示す。
図9(a)は球送りカセット44の背面図(
図8(a)と逆方向から見た図)であり、
図9(b)、
図9(c)は
図9(a)の前面を透視した図である。なお、
図9(b)は球送りソレノイド41が稼働した状態、
図9(c)は球送りソレノイド41が稼働していない状態(「OFF状態」または単に「OFF」ともいう)を示している。
【0042】
球排出口49は、球送りカセット44から発射台47(
図8(b)などを参照)に流れ出る遊技球15の出口であり、略長方形をした孔となっている。導入口48から球送りカセット44内に入って来た遊技球15は、
図9(b)に示すように球送りソレノイド41が稼働した状態では、位置Pを軸として反時計回りに揺動された球送りレバー43の凹部(
図10なども参照)に入り込む。これは球送りレバー43の凹部と導入口48の位置が整合していることによる。なお、
図9(b)の状態では、導入口48に別の遊技球15が上皿55から流れ込む可能性があるが、図が煩雑になるのを避けるために図示していない。この状態は、上皿55が空になっている場合などに発生する。
【0043】
この状態から球送りソレノイド41がOFFになると、
図9(c)に示すように球送りレバー43が元の位置に戻り(具体的には、位置Pを軸として時計回りに揺動し)、球送りレバー43の凹部と球排出口49の位置が整合し、遊技球15は本図の手前方向に転動して球排出口49から流出し、図示しない発射台47に載置される。なお、
図9(c)の状態では、球送りレバー43の凹部と球排出口49の位置がずれているので、遊技球15が球排出口49から流出しても、別の遊技球15が球送りレバー43の凹部に入り込むことはなく、発射台47に載置される遊技球15は1個のみとなる。なお、以下の説明では、球送りレバー43が
図9(b)の姿勢(遊技球15が凹部にあるか否かは問わない)にあることを「上がった状態」、
図9(c)の姿勢(遊技球15が凹部にあるか否かは問わない)にあることを「下がった状態」ともいう。
【0044】
球送り動作を、別方向から見たものを
図10に示す。
図10(a)は
図9(c)の直後の状態から球送りソレノイド41、球送りレバー43、導入口48、発射台47などを取り出し、同図の逆方向(つまりパチンコ機50の正面側)から見た図である。「直後の状態」とは、凹部43aにあった遊技球15が発射台47に流出し、凹部43aが空になった状態である。そして導入口48には「別の遊技球15」(以下、単に遊技球15という)が上皿55から供給されている。なお、
図10(a)では発射台47に流出した遊技球15は図示されていない。
【0045】
図10(a)の状態では、球送りレバー43が下がった状態となっているので、導入口48と凹部43aの位置がずれ、導入口48内の遊技球15は球送りレバー43の上部に当接して、凹部43aに入ることができない。この状態から球送りソレノイド41が稼働した様子を示したのが
図10(b)である。
図10(b)の状態では、球送りレバー43が上がった状態となり、導入口48と凹部43aの位置が整合し、導入口48にあった遊技球15が凹部43aに入り込む。
図10(b)には描かれていないが、たとえ導入口48に遊技球15が存在しても、球送りレバー43の凹部43aは遊技球15が1個だけ入る大きさとなっているために、2個以上の遊技球15が凹部43aに入り込んで、共に球送りレバー43により発射台47に送られることはない。
【0046】
この状態から球送りソレノイド41がOFFとなると、
図10(c)のようになり、球送りレバー43が下がった状態となり、凹部43aと球排出口49の位置が整合し、
図10(b)で凹部43aに入っていた遊技球15が発射台47へと排出される。
【0047】
以上のように構成されたパチンコ機50によれば、遊技球15に糸がついていると、糸絡め通路部材45の遊技球通路42に沿って糸が糸絡め通路部材45に巻きつく。すると、球送りレバー43が上がった状態(
図10(b)の状態)になっても、遊技球15が凹部43aに入るのを糸が阻害する。何かの弾みで遊技球15が凹部43aに入ったとしても、その糸つきの遊技球15が凹部43aから発射台47に排出されるのを、糸が阻害する。従って、糸つき球が遊技領域3に発射されることはなく、糸つき球を用いた不正行為を防ぐことができる。なお、遊技球15に糸がついていても、糸絡め通路部材45内の遊技球通路42を流下する際には、後から流下してくる遊技球15に糸つき球が押されるので、着実に遊技球通路42を流下して発射装置19に到達する。すなわち糸が遊技球通路42に沿って巻きついた状態となる。
【0048】
こうして糸が糸絡め通路部材45の遊技球通路42に沿って糸絡め通路部材45に巻きつくと、遊技球15が発射不能となり、遊技を行なえなくなるが、絡みついた糸は、糸絡め通路部材45を
図6に示したように上皿55から取り外すことにより、容易に除去することができる。
【0049】
ここで本
参考例の構成と、本発明の構成要件との対応関係を示す。上皿55が本発明の「皿部」に相当し、発射装置19が本発明の「遊技球発射装置」に相当し、流入口55aから発射装置19に至る流路が本発明の「遊技球通路」に相当し、糸絡め通路部材45が本発明の「糸発射防止部」に相当する。
[実施
例]
【0050】
本発明
の実施例について
図11を用いて説明する。なお、本実施例は
参考例1と共通点が多いため、異なる点のみを重点的に説明する。
前後するが
図11(b)は、上皿55の周辺を拡大した図であり、
図11(a)は
図11(b)のA−A矢視図であり、
図11(c)はパチンコ機50を一部断面にして、上皿55の右方から見た図である。
なお、
図5と同様の透視を
図11においても行なっている。
【0051】
本実施例の糸絡め通路部材45は、第1
参考例の糸絡め通路部材45と同様、時計回りに遊技球が回転しつつ下降すると、その時計回りの回転の径が下へ行くほど小さくなるように遊技球通路42が形成されている。
そして
本実施例においても、糸絡め通路部材45は、上皿55から着脱可能に構成されている(図示略。
図6と同様
、上方へ取り外すことができる)。
【0052】
以上のように構成されたパチンコ機50によっても、第1
参考例のパチンコ機50と同様、遊技球15に糸がついていると、糸絡め通路部材45の遊技球通路42に沿って糸が糸絡め通路部材45に巻きつき、球送りレバー43が上がった状態(
図10(b)の状態)になっても、遊技球15が凹部43aに入るのを糸が阻害する。何かの弾みで遊技球15が凹部43aに入ったとしても、その糸つきの遊技球15が凹部43aから発射台47に排出されるのを、糸が阻害する。従って、糸つき球が遊技領域3に発射されることはなく、糸つき球を用いた不正行為を防ぐことができる。
【0053】
こうして糸が糸絡め通路部材45の遊技球通路42に沿って糸絡め通路部材45に巻きつくと、遊技球15が発射不能となり、遊技を行なえなくなるが、絡みついた糸は、糸絡め通路部材45をしたように上皿55から取り外すことにより、容易に除去することができる。
[
参考例
2]
【0054】
本発明の第
2参考例について
図12,13を用いて説明する。なお、本
参考例も
参考例1と共通点が多いため、異なる点のみを重点的に説明する。前後するが
図12(b)は、上皿55の周辺を拡大した図であり、
図12(a)は
図12(b)のA−A矢視図であり、
図12(c)はパチンコ機50を一部断面にして、上皿55の右方から見た図である。なお、
図5と同様の透視を
図12においても行なっている。
【0055】
第
2参考例の糸絡め通路部材45は、時計回りに遊技球が回転しつつ下降する遊技球通路42が、径は第1
参考例の遊技球通路42に比べて、やや小さいものの、ほぼ同様に形成されている。第1
参考例との大きな違いは、球送り機構である。すなわち、第1
参考例では、発射装置19内で球送りレバー43が揺動されることにより、遊技球を1個ずつ発射台47に供給していたが、第
2参考例においては、糸絡め通路部材45の内部に球送り機構を備え、発射装置19は導入口48から流入した遊技球15をそのまま発射台47に送り出している。このために発射装置は球送りソレノイド41、および球送りレバー43を備えておらず、導入口48と球排出口49が直結されている(図示省略)。
【0056】
第
2参考例の球送り機構の概要を
図13に示す。
図13(a)〜
図13(c)は何れも糸絡め通路部材45をパチンコ機50の上方から見た図であり、本図に示すように第
2参考例においては、糸絡め通路部材45が球送りソレノイド41を備えている。球送りソレノイド41のプランジャには、断面が遊技球15の直径よりもやや大きい円形の孔を有する遊技球保持部91が固定されている。なお、この孔は本図において右側よりも左側の方が低くなるような傾斜が設けられている。球送りソレノイド41が駆動されると、
図13(a)のように流入口55a付近の断面と遊技球保持部91の断面が整合して、遊技球保持部91に遊技球15が流れ込む。なお、遊技球保持部91の幅は遊技球15の直径よりもやや大きい程度で、これにより遊技球保持部91には遊技球15が高々1個しか入らない。そして
図13(a)の状態では、遊技球通路42の導入部(遊技球保持部91の付近)42aの断面と遊技球保持部91の断面が整合しておらず、遊技球保持部91内の遊技球15は導入部42aの縁に当接して、遊技球通路42に流出することはない。
【0057】
図13(a)の状態から球送りソレノイド41の励磁が解かれると、プランジャが本図において下方に移動する。その直後の状態を示すのが
図13(b)である。この状態では、導入部42aの断面と遊技球保持部91の断面が整合する。その一方で、流入口55a付近の断面と遊技球保持部91の断面は整合しなくなる。
【0058】
遊技球保持部91に形成された孔は、前述のように本図において右側よりも左側の方が低くされているので、導入部42aの断面と遊技球保持部91の断面が整合すると、遊技球保持部91内の遊技球15は孔の傾斜により遊技球通路42へと流出する。この様子を示したのが
図13(c)である。この状態では流入口55a付近の断面と遊技球保持部91の断面が整合していないので、遊技球保持部91に遊技球15が新たに流れ込むことはない。球送りソレノイド41が励磁されると、
図13(a)の状態に戻り、遊技球保持部91に遊技球15が流れ込む。従って、球送りソレノイド41の励磁・励磁の解除を繰り返すことにより1個ずつ遊技球15が遊技球通路42へと、ひいては図示しない発射装置へと供給されていく。
【0059】
球送りソレノイド41を駆動するための信号は発射制御装置84から送信される。糸絡め通路部材45と発射制御装置84は、それぞれが備えるコネクタに接続されたハーネスにより電気的に接続されており、このハーネスの長さにゆとりを持たせることにより、支障なく糸絡め通路部材45を上皿55から取り外し可能に構成されている。
【0060】
以上のように構成されたパチンコ機50によっても、第1
参考例のパチンコ機50と同様、遊技球15に糸がついていると、糸絡め通路部材45の遊技球通路42に沿って糸が巻きつくので、糸つき球が遊技領域3に発射されることはなく、糸つき球を用いた不正行為を防ぐことができる。なお、第1
参考例およ
び前記実施例とは異なり、遊技球保持部91内の遊技球15は後続の遊技球15に押されることがないので、遊技球15に糸がついていると、遊技球保持部91から遊技球通路42へと遊技球15が流出するのを糸が阻害する可能性がある。この場合にも、結果としてこの糸つき球は発射されないことになるので、糸つき球を用いた不正行為を防止することができる。
【0061】
また、遊技球通路42の上流に球送り機構が存在するので、遊技球通路42に遊技球15が流入した後、所定時間は次の遊技球15が遊技球通路42に流入することはない。この所定時間は、遊技球15の発射頻度が1分に100個以下とされているので、最短でも約0.6秒となる。このため、糸付き球が遊技球通路42において後続の遊技球15に押される程度が第1
参考例や
前記実施例に比べて弱まり、これにより糸つき球が遊技球通路42に滞留することも考えられる。この場合にも、この糸つき球は発射装置19に到達しないので発射されず、糸つき球を用いた不正行為を防止できる。
[他の実施例]
【0063】
前記実施例において
は、糸絡め通路部材45は上皿55に対し着脱可能に構成されていたが、着脱不能に構成してもよい。この場合に絡みついた糸を除くには、前枠52を開放する等して上皿55の裏側を露出させ、ハサミなどの道具を用いて糸を切断することが考えられる。