特許第5853306号(P5853306)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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特許5853306構造体取り付け型エアバッグ組立体、並びに、関連システム及び方法
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】5853306
(24)【登録日】2015年12月18日
(45)【発行日】2016年2月9日
(54)【発明の名称】構造体取り付け型エアバッグ組立体、並びに、関連システム及び方法
(51)【国際特許分類】
   B64D 11/06 20060101AFI20160120BHJP
   B60R 21/16 20060101ALI20160120BHJP
【FI】
   B64D11/06
   B60R21/16
【請求項の数】27
【全頁数】18
(21)【出願番号】特願2014-559892(P2014-559892)
(86)(22)【出願日】2013年1月9日
(65)【公表番号】特表2015-508738(P2015-508738A)
(43)【公表日】2015年3月23日
(86)【国際出願番号】US2013020792
(87)【国際公開番号】WO2013141948
(87)【国際公開日】20130926
【審査請求日】2014年8月27日
(31)【優先権主張番号】13/424,197
(32)【優先日】2012年3月19日
(33)【優先権主張国】US
【早期審査対象出願】
(73)【特許権者】
【識別番号】508067389
【氏名又は名称】アムセイフ インコーポレイテッド
(74)【代理人】
【識別番号】100092093
【弁理士】
【氏名又は名称】辻居 幸一
(74)【代理人】
【識別番号】100082005
【弁理士】
【氏名又は名称】熊倉 禎男
(74)【代理人】
【識別番号】100088694
【弁理士】
【氏名又は名称】弟子丸 健
(74)【代理人】
【識別番号】100103609
【弁理士】
【氏名又は名称】井野 砂里
(74)【代理人】
【識別番号】100095898
【弁理士】
【氏名又は名称】松下 満
(74)【代理人】
【識別番号】100098475
【弁理士】
【氏名又は名称】倉澤 伊知郎
(72)【発明者】
【氏名】ゲーレット ウィリアム ジェイ
(72)【発明者】
【氏名】ヴィロステク ジョシュア
(72)【発明者】
【氏名】キースラー ケヴィン ジェイ
(72)【発明者】
【氏名】フォーバート ダニエル ニック
【審査官】 畔津 圭介
(56)【参考文献】
【文献】 特開2011−126381(JP,A)
【文献】 米国特許第5556056(US,A)
【文献】 米国特許第5482230(US,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B64D 11/06
B60R 21/16
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
航空機座席に用いられるエアバッグシステムであって、前記エアバッグシステムは、
キャビティ及び前記キャビティと連通状態にある開口部を備えたハウジングを含み、前記ハウジングは、前記航空機座席の前方で且つ前記航空機座席の片側に対してオフセットした状態で設けられ、
前記キャビティ内に配置されたエアバッグ組立体を含み、前記エアバッグ組立体は、衝突事故の際に前記航空機座席に座っている人を保護するよう前記開口部を通って前記航空機座席に向かって展開するよう構成されたエアバッグを含み、
前記エアバッグに作動的に結合されたインフレータを含み、
前記開口部を取り外し可能に覆う扉を含み、前記扉は、エアバッグ展開の際、前記開口部から遠ざかるよう構成され
前記エアバッグシステムは、前記航空機座席の周りに配置された第1のゾーン及び前記航空機座席の前に或る距離を置いたところに配置された第2のゾーンを含み、前記エアバッグは、インフレーション時、前記第1及び前記第2のゾーンに入ることはない、エアバッグシステム。
【請求項2】
前記扉と前記ハウジングとの間に固定的に取り付けられた少なくとも1本のランヤードを更に含み、前記ランヤードは、前記扉をエアバッグ展開中、前記ハウジングに取り付け保持するように構成されている、請求項1記載のエアバッグシステム。
【請求項3】
前記エアバッグは、内部しきい圧力を有し、前記エアバッグは、前記内部しきい圧力で開くよう構成された能動型ベントを有する、請求項1記載のエアバッグシステム。
【請求項4】
前記エアバッグは、第1の部分及び第2の部分を有し、前記第1の部分は、前記エアバッグがインフレートされているとき、前記ハウジングから全体として垂直方向に延び、前記第2の部分は、前記エアバッグがインフレートされているとき、前記第1の部分に対して全体として側方に前記第1の部分から延びる、請求項1記載のエアバッグシステム。
【請求項5】
前記インフレータは、前記エアバッグから間隔を置いた状態で前記キャビティの外側に配置され、
前記エアバッグシステムは、前記インフレータから前記ハウジングを通って前記エアバッグまで延びるガス送り出しホースを更に含み、前記ガス送り出しホースは、前記インフレータから前記エアバッグまでの流体通路を提供するよう構成されている、請求項1記載のエアバッグシステム。
【請求項6】
前記インフレータは、前記ハウジングの下に配置されている、請求項5記載のエアバッグシステム。
【請求項7】
前記座席は、旅客機の通路に隣接して位置する旅客のフロアに取り付けられ、前記ハウジングは、前記通路の近くで前記旅客機の前記フロアに取り付けられている、請求項1記載のエアバッグシステム。
【請求項8】
前記エアバッグ組立体は、前記エアバッグ組立体を前記ハウジングに取り付ける手段を含む、請求項1記載のエアバッグシステム。
【請求項9】
前記エアバッグ組立体は、前記エアバッグ内に設けられていて前記エアバッグ組立体を前記ハウジングに取り付けるよう構成された取り付けプレートを含む、請求項1記載のエアバッグシステム。
【請求項10】
前記取り付けプレートは、内部取り付けプレートであり、前記エアバッグ組立体は、前記内部取り付けプレートに取り付けられていて前記エアバッグ組立体を前記ハウジングの前記開口部を横切って取り付けるよう構成された外部取り付けプレートを更に含む、請求項記載のエアバッグシステム。
【請求項11】
航空機の座席用のエアバッグシステムであって、前記エアバッグシステムは、
エアバッグ及び取り付け構造体を有するエアバッグ組立体を含み、前記取り付け構造体は、前記座席の前方に間隔を置いて位置すると共に前記座席から側方にオフセットした前記航空機の非可動部分に取り付けられるよう構成され、前記エアバッグは、前記座席に座っている人を保護するよう前記座席に向かって展開するよう構成され、
前記エアバッグと流体連通状態にあるインフレータを含み、
エアバッグ展開を開始させるよう前記インフレータに作動的に結合された衝突センサを有するエレクトロニクスモジュール組立体を含み、
前記エアバッグ組立体は、前記座席の周りに配置された第1のゾーン及び前記座席の前に或る距離を置いたところに配置された第2のゾーンを含み、前記エアバッグは、インフレーション時、前記第1のゾーン及び前記第2のゾーンに入ることはないことを特徴とするエアバッグシステム。
【請求項12】
キャビティを形成する複数の側壁を備えたハウジングを更に含み、前記側壁のうちの少なくとも1つは、開口部を有し、前記エアバッグ組立体は、前記キャビティ内に位置し且つ前記開口部と全体として整列している、請求項11記載のエアバッグシステム。
【請求項13】
複数個の締結具を介して前記開口部を横切って取り付けられた扉を更に含み、前記締結具は、前記扉が前記開口部から遠ざかることができるようエアバッグインフレーション力を受けて前記扉を解除するよう構成されている、請求項12記載のエアバッグシステム。
【請求項14】
前記扉と前記ハウジングとの間に設けられた可動カップリングを更に含み、前記カップリングは、エアバッグ展開中及びエアバッグ展開後、前記扉を前記ハウジングに取り付け保持するよう構成されている、請求項13記載のエアバッグシステム。
【請求項15】
前記エアバッグは、前記エアバッグ内の圧力がしきい圧力に達したときに少なくとも部分的に開くよう構成されたベントを有する、請求項11記載のエアバッグシステム。
【請求項16】
前記エアバッグは、第1の部分及び第2の部分を有し、前記第1の部分は、前記エアバッグがインフレートされているとき、前記座席に対して全体として垂直方向に延び、前記第2の部分は、前記エアバッグがインフレートされているとき、前記第1の部分に対して全体として側方に延び、前記第2の部分は、全体として三角形の断面形状を有する、請求項11記載のエアバッグシステム。
【請求項17】
前記取り付け構造体は、
前記エアバッグ内に配置された内部取り付けプレートと、
前記エアバッグの外側に配置されると共に前記内部取り付けプレートに取り付けられた外部取り付けプレートとを有し、前記外部取り付けプレートの周辺部分は、前記航空機内の前記航空機の非可動部分に固定的に取り付けられるよう構成されている、請求項11記載のエアバッグシステム。
【請求項18】
前記インフレータは、前記エアバッグから間隔を置いて配置され、前記エアバッグシステムは、前記インフレータを前記エアバッグに流体結合しているガス送り出しホースを更に含む、請求項11記載のエアバッグシステム。
【請求項19】
前記エアバッグは、前記エアバッグ内の圧力がしきい圧力に達すると、開くよう構成されたベントを有し、
前記取り付け構造体は、前記エアバッグ内に位置する内部取り付けプレート及び前記エアバッグの外側に配置され且つ前記内部取り付けプレートに取り付けられた外部取り付けプレートを有し、
前記エアバッグ組立体は、
キャビティ及び開口部を備えたハウジングを更に含み、前記エアバッグ組立体は、全体として前記開口部と整列した状態で前記キャビティ内に位置すると共に前記外部取り付けプレートを用いて前記ハウジングの一部分に取り付けられて、前記ハウジングは、前記座席の前方で且つ前記座席からオフセットした状態で前記航空機の内側部分に固定的に取り付けられるよう構成され、
前記開口部を覆う扉を更に含み、前記扉は、エアバッグ展開の際に前記開口部から遠ざかって前記エアバッグを前記キャビティから放出するよう構成され、
エアバッグ展開の際、前記扉を前記ハウジングに解除可能に連結する少なくとも1本のランヤードを更に含み、前記少なくとも1本のランヤードは、エアバッグインフレーション中、前記ハウジングと実質的に面一をなす位置まで前記扉を開くよう構成されている、請求項12記載のエアバッグシステム。
【請求項20】
前記インフレータは、前記ハウジングの近くで前記キャビティの外側に位置し、前記エアバッグシステムは、前記インフレータを前記エアバッグに流体結合しているガス送り出しホースを更に含む、請求項19記載のエアバッグシステム。
【請求項21】
航空機のフロアに取り付けられた座席に用いられるエアバッグ組立体であって、前記エアバッグ組立体は、
エアバッグを含み、
前記エアバッグを覆うカバーを含み、前記カバーは、エアバッグインフレーション時、前記エアバッグを放出するよう構成されており、
ガス送り出しホースを介して前記エアバッグに作動的に結合されたインフレータを含み、
前記座席の前方で且つ前記座席から側方にオフセットした状態で前記航空機の前記フロアに取り付けられたハウジングを含み、前記エアバッグは、前記座席に座っている人を保護するよう前記座席に向かって展開するよう構成され、
前記カバー内の前記エアバッグを前記ハウジングに取り付ける手段を含み、
前記エアバッグ組立体は、前記座席の周りに配置された第1のゾーン及び前記座席の前に或る距離を置いたところに配置された第2のゾーンを含み、前記エアバッグは、インフレーション時、前記第1のゾーン及び前記第2のゾーンに入ることはないことを特徴とするエアバッグ組立体。
【請求項22】
エアバッグを航空機内の座席に向かって展開する方法であって、前記方法は、
前記航空機の衝突事故を検出するステップを含み、
前記エアバッグを前記検出された衝突事故に応答してインフレートさせるステップを含み、前記エアバッグは、ハウジングの一部分内に格納されると共に前記ハウジングに設けられた開口部と全体的として整列しており、前記エアバッグが格納されている前記ハウジングの前記一部分は、前記航空機座席の前方に且つ前記航空機座席から側方にオフセットしており、
エアバッグ組立体は、前記航空機座席の周りに配置された第1のゾーン及び前記航空機座席の前に或る距離を置いたところに配置された第2のゾーンを含み、
インフレーション時、前記エアバッグは、前記航空機座席に向かって突き出し、前記第1のゾーン及び前記第2のゾーンに入ることはなく、
前記開口部を介して前記エアバッグを前記ハウジングから放出するステップを含む、方法。
【請求項23】
前記開口部を介して前記エアバッグを前記ハウジングから放出する前記ステップは、インフレート中のエアバッグの力によって扉を前記開口部から遠ざけるステップを含む、請求項22記載の方法。
【請求項24】
前記開口部を介して前記エアバッグを前記ハウジングから放出する前記ステップは、前記エアバッグを前記座席の前方に存在し且つ前記航空機座席からオフセットした位置から放出するステップを含む、請求項22記載の方法。
【請求項25】
前記エアバッグをインフレートさせる前記ステップは、
前記エアバッグの第1の部分を前記ハウジングから見て全体として垂直の方向にインフレートさせるステップと、
前記エアバッグの第2の部分を前記座席に座っている人に向かって全体として側方にインフレートさせるステップとを含み、前記第2の部分は、前記第1の部分から延び、前記第2の部分は、全体として三角形の断面形状を有する、請求項22記載の方法。
【請求項26】
前記開口部を介して前記エアバッグを前記ハウジングから放出する前記ステップは、
前記エアバッグを前記航空機座席に向かって突き出すステップを含み、前記航空機座席は、二点拘束具を有し、
前記エアバッグ内の内圧が所定のしきい値を超えると、前記エアバッグからガスを放出するステップを含む、請求項22記載の方法。
【請求項27】
前記エアバッグをインフレートさせる前記ステップは、インフレータと前記エアバッグとの間に連結されたガス送り出しホースを介して前記エアバッグをインフレートさせるステップを含み、前記インフレータは、前記エアバッグから間隔を置いて配置されている、請求項22記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
以下の開示内容、即ち、本発明は、一般に、乗物安全システムに関し、特に、航空機用の構造体取り付け型エアバッグ組立体並びに関連システム及び方法に関する。
【背景技術】
【0002】
種々の形式のシートベルト及びエアバッグシステムが自動車、航空機及び他の乗物内の乗員を保護するために用いられている。例えば、自動車では、エアバッグは、典型的には、ステアリングコラム、ダッシュボード、サイドパネル及び/又は他の固定場所から展開する。急激な減速事象(例えば、衝突)の際、センサがこの減速事象を検出し、対応の信号をエアバッグインフレータに取り付けられている始動装置(例えば、火工装置)に送る。これにより、インフレータは、圧縮ガスがエアバッグ中に放出し、それによりエアバッグを迅速にインフレートさせる。
【0003】
静止した場所(例えば、ステアリングコラム)から展開するエアバッグは、自動車では効果的であると言えるが、かかるエアバッグは、他の着座構造体を有する他形式の乗物では効果的であるとは言えない場合がある。例えば、旅客機内の座席は、連続して並んだ列と隣り合う座席との間に種々の間隔をもたらす種々のレイアウトで構成されている場合がある。航空機の座席背もたれも又、衝突事故又はこれに類似した事象の際に前方に且つ下方に回転する場合があり、かくして、エアバッグ収納には不向きであると言える。その結果、航空機及び他の乗物に乗っている人に対応するようシートベルトから展開するエアバッグが開発された。
【発明の概要】
【0004】
本発明の一観点によれば、航空機座席に用いられるエアバッグシステムであって、エアバッグシステムは、
キャビティ及びキャビティと連通状態にある開口部を備えたハウジングを含み、ハウジングは、航空機座席の前方に且つ航空機座席からオフセットした状態で設けられ、
キャビティ内に配置されたエアバッグ組立体を含み、エアバッグ組立体は、衝突事故の際に開口部を通って展開するよう構成されたエアバッグを含み、
エアバッグに作動的に結合されたインフレータを含み、
開口部を取り外し可能に覆う扉を含み、扉は、エアバッグ展開の際、開口部から遠ざかるよう構成されていることを特徴とするエアバッグシステムが提供される。
【0005】
本発明の別の観点によれば、航空機の座席用のエアバッグシステムであって、エアバッグシステムは、
エアバッグ及び取り付け構造体を有するエアバッグ組立体を含み、取り付け構造体は、座席の前方に間隔を置いて位置すると共に座席からオフセットした航空機の非可動部分に取り付けられるよう構成され、
エアバッグと流体連通状態にあるインフレータを含み、
エアバッグ展開を開始させるようインフレータに作動的に結合された衝突センサを有するエレクトロニクスモジュール組立体を含むことを特徴とするエアバッグシステムが提供される。
【0006】
本発明の別の観点によれば、航空機のフロアに取り付けられた座席に用いられるエアバッグ組立体であって、エアバッグ組立体は、
エアバッグを含み、
エアバッグを覆うカバーを含み、カバーは、エアバッグインフレーション時、エアバッグを放出するよう構成されており、
ガス送り出しホースを介してエアバッグに作動的に結合されたインフレータを含み、
座席に前方で航空機のフロアに取り付けられたハウジングを含み、
カバー内のエアバッグをハウジングに取り付ける手段を含むことを特徴とするエアバッグ組立体が提供される。
【0007】
本発明の別の観点によれば、エアバッグを乗物内の座席に向かって展開する方法であって、この方法は、
乗物の衝突事故を検出するステップを含み、
エアバッグを検出された衝突事故に応答してインフレートさせるステップを含み、エアバッグは、ハウジング内に格納されると共にハウジングに設けられた開口部と全体的として整列しており、ハウジングは、乗物に固定的に取り付けられ、
開口部を介してエアバッグをハウジングから放出するステップを含むことを特徴とする方法が提供される。
【図面の簡単な説明】
【0008】
図1】本発明の実施形態に従って構成されたエアバッグハウジング及び関連システムを備えた座席を有する乗物内の着座領域の上から見た等角図である。
図2A】本発明の実施形態に従って構成された構造体取り付け可能エアバッグシステムの内側部分の概略部分等角図である。
図2B】本発明の実施形態に従って構成された構造体取り付け可能エアバッグ組立体の拡大正面等角図である。
図2C】本発明の実施形態に従って構成された構造体取り付け可能エアバッグ組立体の拡大背面等角図である。
図2D】本発明の実施形態に従って中間組み立て段階の際における図2B及び図2Cの構造体取り付け型エアバッグ組立体の正面図である。
図3A】本発明の実施形態としての構造体取り付け型エアバッグシステムの展開状態を示す一連の図のうちの1つである。
図3B】本発明の実施形態としての構造体取り付け型エアバッグシステムの展開状態を示す一連の図のうちの1つである。
図3C】本発明の実施形態としての構造体取り付け型エアバッグシステムの展開状態を示す一連の図のうちの1つである。
図3D】本発明の実施形態としての構造体取り付け型エアバッグシステムの展開状態を示す一連の図のうちの1つである。
図3E】本発明の実施形態としての構造体取り付け型エアバッグシステムの展開状態を示す一連の図のうちの1つである。
図4A】本発明の実施形態に従って構成された種々の構造体取り付け型エアバッグを示す一連の図のうちの1つである。
図4B】本発明の実施形態に従って構成された種々の構造体取り付け型エアバッグを示す一連の図のうちの1つである。
図4C】本発明の実施形態に従って構成された種々の構造体取り付け型エアバッグを示す一連の図のうちの1つである。
【発明を実施するための形態】
【0009】
本開示内容は、例えば航空機に用いられる構造体取り付け型エアバッグ組立体並びに関連システム及び方法に関する。例えば、幾つかの実施形態では、旅客機内の構造体取り付け型エアバッグシステムは、乗客座席の前方に且つこれとはオフセットした状態で配置されたハウジングを含むのが良い。ハウジングは、覆われた状態の開口部の背後に設けられたエアバッグを収容するのが良い。衝突事故又は急激な減速事象の際、エアバッグは、開口部を通って座席に向かって展開し、それにより乗っている人の受ける衝撃を減少させることができる。構造体取り付け型エアバッグシステムは、乗物座席からオフセットしているので、通常の姿勢ではない(アウトオブポジション)状態で座席に座っている人、例えば、ブレースポジション(緊急姿勢)を取って座っている人(即ち、頭を両膝の間に入れた状態で座っている人)や小さな子供(例えば、チャイルドシートに座っている子供又は膝の上に抱かれた子供)と直接的な接触を避ける仕方で展開する。本明細書で用いられる「構造体取り付け型」及び「構造体取り付け可能」という用語は、可動手段又は特徴部(例えば、シートベルト、旅客機背もたれ等)ではなく、実質的に固定された構造体(例えば、壁、仕切り又は固定された家具)に取り付けられ又は取り付け可能である特徴部を意味している。
【0010】
本発明の種々の実施形態の完全な理解を提供するために或る特定の細部が以下の説明及び図1図4Cに記載されている。例えば、旅客機との関連で以下において構造取り付け型エアバッグシステムの幾つかの実施形態について説明する。しかしながら、本明細書において開示する構造取り付け型エアバッグシステム及びその幾つかの観点は、他の航空機(例えば、自家用航空機や軍用機)、地上車両(例えば、自動車、トラック、バス、列車及びモーターホーム)、船艇等を含む多種多様な他の乗物に使用できる。以下、本発明の種々の実施形態の説明を不必要にぼかすのを避けるために、エアバッグ、回路、拘束システム等と関連している場合の多い周知の構造体及びシステムを説明する他の細部については説明していない。
【0011】
図1図4Cに示された細部、寸法、角度及び他の特徴の大部分は、本発明の特定の実施形態の例示に過ぎない。したがって、他の実施形態は、本発明の精神又は範囲から逸脱することなく、他の細部、寸法、角度及び特徴を含むことができる。加うるに、当業者であれば理解されるように、構造体取り付け型エアバッグシステムの別の実施形態を以下に説明する細部のうちの幾つかを省いた状態で具体化できる。
【0012】
図中、同一の参照符号は、同一又は少なくとも全体として類似した要素を示している。任意特定の要素の説明を容易にするために、任意の参照符号の最上位の1つ又は複数の数字は、要素が最初に導入された図を意味している。例えば、要素10は、先ず最初に、図1に導入されてこれを参照して説明されている。
【0013】
図1は、本発明の実施形態に従って構成された構造体取り付け型エアバッグシステム100(「エアバッグシステム100」)を備えた1つ又は2つ以上の座席102を有する航空機内の着座領域の上から見た等角図である。図示の実施形態の一観点では、座席102は、旅客機の例えばファースト又はビジネスクラスの客室内の従来型座席と少なくとも全体として類似していると言える。したがって、各座席102は、航空機のフロアに固定的に取り付けられた座席部分106から上方に延びた背もたれ部分104を有するのが良い。座席102は、各々、第1のウェブ部分112a及び対応の第2のウェブ部分112bを有する二点拘束具又はシートベルト110(例えば、ラップベルト)を含むのが良い。第1のウェブ部分112aの近位端部分は、当業界において公知のフック又は他の適当な器具によって座席102の片側で座席取り付け構造体に固定的に取り付けられるのが良く、第2のウェブ部分112bの近位端部分は、座席102の反対側でシート取り付け構造体に同様に取り付けられるのが良い。第1のウェブ部分112aの遠位端部分は、舌状突起部分を備えたコネクタ114を備えるのが良く、第2のウェブ部分112bの遠位端部分は、対応のバックル116を支持するのが良く、このバックル116は、2つのウェブ部分112a,112bを座席に座っている人(以下、「着座者」ともいう)の周りに従来通り互いに結合するようコネクタ114の舌状突起部分を受け入れてこれに解除可能に係合するよう構成されている。
【0014】
図示の実施形態の一観点では、エアバッグシステム100は、座席102の前方で且つ座席102の片側に対してオフセットした状態で乗物のフロアに固定的に取り付けられたエンクロージャ又はハウジング120を含む。ハウジング120は、図1に示されているように、航空機の通路の近くで且つ窓及び/又は他の内方に配置された構造体(例えば、仕切り壁)から離れて座席102の外側に配置されるのが良い。他の実施形態では、ハウジング120は、列をなした状態の個々の座席102相互間で窓の近くに配置されても良く且つ/或いは座席102の前方に他の仕方で位置決めされても良い。以下に詳細に説明するように、エアバッグ(図示せず)は、ハウジング120内に収納されると共に急激な減速又は他の衝突事故の際にハウジング120に設けられている開口部を通って座席102に向かって展開されるのが良く、それにより着座者の受ける衝突の際の衝撃が減少する。エアバッグシステム100は、二点シートベルト110周りの前方回転中、乗客の頭を保護することができ、ハウジング120のオフセット位置決めは又、着座者がブレースポジションに向かって動いて(即ち、乗客の頭をその人の両膝の間に入れた状態に)エアバッグが展開しているときにエアバッグに衝撃を与えるのを回避するために十分な空間を座席102の周りに提供することができる。加うるに、ハウジング120は、見栄えの良い着座環境を提供するようエアバッグを着座者の視界から隠すのに役立ち得る。
【0015】
図2Aは、本発明の実施形態に従って構成された図1のエアバッグハウジング120の内側部分の部分概略等角図である。図示の実施形態では、ハウジング120は、キャビティ224を形成するよう取り付け構造体222から上方に延びる複数の側壁238を有している(1つの側壁238がハウジング120の内部を示すために取り外されている)。側璧238の少なくとも1つ(例えば、対応の航空機座席に向いた側壁238)は、内部キャビティ224と連通した孔又は開口部226を有するのが良い。構造体取り付け型エアバッグ組立体228(「エアバッグ組立体228」)が開口部226と一線をなしてキャビティ224内に配置されており、対応のエアバッグ(図示せず)は、エアバッグインフレーション中、開口部226を通って展開することができるようになっている。分かりやすくするために、エアバッグ組立体228は、開口部226の後ろに間隔を置いた状態で示されているが、エアバッグ組立体228は、開口部226のすぐ隣りに且つねじ、取り付けプレート及び/又は他の適当な取り付け特徴部により対応の側壁238に当てて設けられるのが良い。他の実施形態では、エアバッグ組立体228は、エアバッグが開口部226又は別の適当な場所に設けられた異なる開口部を通って展開することができるようにするキャビティ224内の他の適当な場所に配置されても良い。
【0016】
ハウジング120は、取り付け構造体222を介して航空機内部の一部分に固定的に取り付け可能であり、そして乗客がハウジング120内に収納されたエアバッグ組立体228及び/又は関連のコンポーネントに接近するのを阻止することができる(例えば、偶発的なエアバッグ展開を阻止するために)別個の又は独立した構造体であるのが良い。ハウジング120は、意図しないエアバッグ展開(例えば、乗客に由来するハウジング120の摩損に起因する)の恐れを減少させるためにエアバッグシステム100のコンポーネント(例えば、エアバッグ組立体228)を収納するための耐久性のある複合材料及び/又は他の適当な材料で作られるのが良い。或る特定の実施形態では、ハウジング120は、航空機座席102(図1)相互間の部分仕切り及び/又は着座者のためのテーブルとしての役目を果たすこともできる。キャビティ224の一部分は又、着座者の持ち物、追加の安全機器(例えば、ライフベスト)及び/又は他の物品のための貯蔵場所として使用できる。他の実施形態では、ハウジング120は、航空機の一部分(例えば、航空機の内側側壁)に取り付けられても良く又はこれと一体に形成されても良い。ハウジング120は、例えば、エアバッグ228が展開することができる始点としての航空機の側壁内に組み込まれても良い。
【0017】
図示の実施形態では、ハウジング120は、開口部226を横切って配置されたカバー又は扉234を有し、このカバー又は扉は、エアバッグ展開前にキャビティ224を視界から少なくとも実質的に隠す。図2Aでは、扉234は、分かりやすくするために開口部226から間隔を置いて配置された状態で示されている。扉234は、揺動し又は違ったやり方で扉234がインフレート中のエアバッグの力を受けて開口部226から遠ざかることができるようにする1つ又は2つ以上の解除可能な締結具を用いてハウジング120に取り付けられるのが良く、それにより、エアバッグは、開口部226を通って展開することができる。扉234は、例えば、エアバッグ展開力を受けて破損するよう構成された複数本のねじを用いて開口部226を覆って固定されるのが良い。他の実施形態では、扉234は、エアバッグの力を利用するのではなく、衝突事故に応答して開口部226から自動的に遠ざかるよう構成されていても良い。扉234は、例えば、エアバッグ展開を予測して、自動的に滑り、回動すると共に/或いは別の仕方で開口部226から遠ざかるようにするためのエレクトロニクスを有するのが良い。
【0018】
種々の実施形態では、シートベルトに用いられるウェッビング(格子模様に編んだ)材料及び/又は他の適当な材料で作られた1本又は2本以上のランヤード236が扉234とハウジング120との間に取り付けられるのが良い。ランヤード236は、エアバッグが開口部226を通って突き出る際に扉234をハウジング120に取り付け保持すると共に扉234が航空機客室中に飛んで行くのを阻止する。或る特定の実施形態では、ランヤード236は、扉234がハウジング120の隣接の側壁238と実質的に面一をなすと共に脱出中に着座者の邪魔にならない開放位置まで回転し又は違ったやり方で動くことができるようにするよう構成されているのが良い。他の実施形態では、ヒンジ及び/又は他の適当な可動結合機構体を用いてエアバッグ展開中及びエアバッグ展開後、扉234をハウジング120に取り付け保持するのが良い。
【0019】
エアバッグ組立体228は、このエアバッグ組立体をハウジング120内に設ける前にエアバッグ組立体をあらかじめ組み立てることができるようにする種々の特徴を含むのが良い。図2B及び図2Cは、例えば、本発明の実施形態に従って構成されたエアバッグ組立体228の拡大正面等角図及び拡大背面等角図であり、図2Dは、中間組み立て段階中のエアバッグ組立体228の正面図である。図2B及び図2Cに示されているように、エアバッグ組立体228は、エアバッグ容器又はカバー256内に折り畳まれ又は違ったやり方で収納されたエアバッグ254を含むのが良い。カバー256は、軟質材料、例えばナイロン又はポリアミドで作られた薄膜材料で作られるのが良く、カバーは、エアバッグインフレーション時に破断するよう設計された1つ又は2つ以上のティアーシーム(引き裂ける継ぎ目)(図示せず)を有するのが良い。他の実施形態では、カバー256の少なくとも一部分は、インフレーションの際に破断すると共に/或いは違ったやり方でエアバッグ254を放出する半剛性及び/又は剛性材料で作られるのが良い。
【0020】
エアバッグ組立体228は、二重プレート型取り付け構造体によりハウジング120に固定されるのが良い(図2A)。取り付け構造体は、エアバッグ254の内側に配置されると共に複数個の締結具(例えば、ねじ262)により外部取り付けプレート260(図2C)に取り付けられた内部取り付けプレート258(例えば、図2Dに示されているようにU字形取り付けプレートを有するのが良い。この構成により、ハウジング120の開口部226を横切って外部取り付けプレート260の周辺部分を固定することができる。この二重プレート型取り付け構造体により、エアバッグ組立体228を適当なハウジング(例えば、図1に示されたハウジング120)への取り付け前にあらかじめ組み立てることができる。図2B図2Dは、かかる二重プレート型取り付け構造体の或る特定の実施形態を示している。しかしながら、当業者には理解されるように、二重プレート型取り付け構造体並びに他の適当な取り付け構造体は、これらが取り付けられる構造的特徴部に対応するよう多種多様な形態を有しても良い。
【0021】
エアバッグ組立体228の種々の実施形態では、エアバッグ254は、エアバッグ254内の圧力が所定のしきい値に達すると開く能動型ベント(図示せず)を有するのが良い。ベントは、例えば、エアバッグ254に設けられた別個のシームであるのが良く、このシームは、縫合して閉じられていて、指定された圧力で(例えば、着座者がエアバッグ228に接触したとき)裂けて開く。この特徴は、着座者の上半身の前方運動を拘束することのない二点拘束具と特に併用されるものであるのが良い。と言うのは、この特徴は、着座者がエアバッグに与える衝撃力を制限し、エアバッグ254からのその人のリバウンドを減少させるからである。また、ベントにより、エアバッグ253は、インフレーション後に迅速に(例えば、数秒以内に)デフレートする(しぼむ)ことができ、その結果、エアバッグは、非常事態において座席からの着座者の脱出を妨げることがない。
【0022】
図2Aに戻ってこれを参照すると、エアバッグシステム100は、エアバッグ組立体228と流体連通状態にあるエアバッグインフレータ230(概略的に示されている)及びインフレータ230に作動的に結合されたエレクトロニクスモジュール組立体232(概略的に示されている)を更に含むのが良い。インフレータ230は、圧縮ガス(例えば、空気)の容器及び衝突事故に応答してエレクトロニクスモジュール組立体232によって送られる信号によって作動可能な火工装置(例えば、スクイブコネクタ)を有するのが良い。この信号は、スクイブを始動させ、それにより、容器は、膨張用ガスをエアバッグ内に放出する。他の実施形態では、インフレータ230は、当該技術分野において周知の他の適当な始動及び/又はインフレーション装置(例えば、ガス発生インフレータ)を含むことができる。
【0023】
種々の実施形態では、インフレータ230は、エアバッグ組立体228から間隔を置いて配置される共にガス送り出しホース240及び/又は他の適当な流体通路を用いてエアバッグ組立体に流体結合されるのが良い。ガス送り出しホース240は、エアバッグの内部と流体連通状態にある第1の端取り付け具241a及びインフレータ230の出口に螺合し又は違ったやり方で係合する第2の端取り付け具241b(例えば、米国特許出願第13/194,411号明細書に開示されているようなインフレータコネクタ、尚、この米国特許出願を参照により引用し、その開示内容全体を本明細書の一部とする)を有するのが良い。ガス送り出しホース240は、少なくとも1つの点でインフレータ230とエアバッグ組立体228との間の距離に応じて、エアバッグへの迅速なガス送り出しを可能にするのに適した寸法を有するのが良い。或る特定の実施形態では、例えば、ガス送り出しホース240は、デフレート状態の幅が1.125インチ(28.58mm)、インフレート状態の外径が0.75インチ(19.05mm)であるのが良い。
【0024】
幾つかの実施形態では、インフレータ230は、ハウジング120の外側に配置されると共に/或いはキャビティ224内でエアバッグ組立体228から間隔を置いて配置されるのが良く、ガス送り出しホース240は、エアバッグ組立体228とインフレータ230との間で延びるのが良い。例えば、遠くに配置されたインフレータ230を任意適当な向きで設けると共に通常の航空機作動中に受ける荷重、インフレータ230からのガス放出及び或る特定の衝撃荷重(例えば、16g動的試験下で加えられる荷重)に耐えることができるブラケット及び/又は他の適当な取り付け構造体を用いて航空機の一部分(例えば、ハウジング120の下、ハウジング120の近くの航空機のフロアの下等)に固定されるのが良い。ガス送り出しホース240は、エアバッグ組立体228に対するインフレータ230の位置決めを対応することができ、しかもエアバッグへの膨張用のガスの送り出し及び通常の摩耗に耐えるのに足るほどの耐久性のある適当な軟質材料で作られるのが良い。ガス送り出しホース240により提供されるエアバッグ組立体228に対するインフレータ230のモジュール式の位置決めにより、エアバッグシステム100は、ハウジング120及び乗物それ自体のスペース上の制約に対応することができる。別の実施形態では、ガス送り出しホース240を省いても良く、インフレータ230の出口をエアバッグ組立体228と直接的な流体連通関係をなして配置しても良い。
【0025】
図示の実施形態では、エレクトロニクスモジュール組立体232は、電力源246(例えば、1つ又は2つ以上のリチウムバッテリ)から電力を受け取るプロセッサ244、インフレータ230を始動させる展開回路252及び急激な減速及び/又は他の衝突事象を検出する少なくとも1つの衝突センサ248を含む。衝突センサ248は、例えば、所定の減速レベル時にエアバッグ展開を開始させる乗物の作動環境について較正された慣性スイッチを備えたばね質量‐ダンパ型センサから成るのが良い。他の実施形態では、衝突センサ248は、当該技術分野において知られている他の適当な形式のセンサから成っていても良い。オプションとして、エレクトロニクスモジュール組立体232は、外部磁界(例えば、スピーカから)の存在を検出し、プロセッサ244と連絡し合って衝突センサ248を非作動状態にしてエアバッグ組立体228の偶発的な展開を阻止するための1つ又は2つ以上の磁界センサ250を更に含むのが良い。磁界センサ250としては、例えば、米国特許第6,535,115号明細書(発明の名称:AIR BAG HAVING EXCESSIVE EXTERNAL MAGNETIC FIELD PROTECTION CIRCUITRY)に開示された回路構成が挙げられ、この米国特許を参照により引用し、その開示内容全体を本明細書の一部とする。他の実施形態では、エレクトロニクスモジュール組立体232は、エアバッグ展開を助ける他のセンサ及び/又は追加の特徴を有するのが良く且つ/或いはエレクトロニクスモジュール組立体232のコンポーネントのうちの幾つかを省いても良い。例えば、或る特定の実施形態では、エレクトロニクスモジュール組立体232は、電力源246及び衝突事故の際にインフレータ230を作動させるための回路を閉じる衝突センサ248だけを含んでも良い。エレクトロニクスモジュール組立体232のコンポーネントを保護カバー(例えば、機械加工され又は射出成形されたプラスチックボックス)内に収容されるのが良く、かかる保護カバーは、エレクトロニクスモジュール組立体232及びエレクトロニクスモジュール組立体232がエアバッグ組立体228を偶発的に展開させるのを阻止することができる磁気遮蔽体を損傷させる恐れを減少させることができる。他の実施形態では、エレクトロニクスモジュール組立体232は、米国特許仮出願第61/533,105号明細書(発明の名称:ELECTRONICS MODULE ASSEMBLY FOR INFLATABLE PERSONAL RESTRAINT SYSTEM AND ASSOCIATED METHODS)に開示されたハウジング及び/又は当該技術分野において知られている他の適当なエレクトロニクスハウジング内に収容されるのが良く、尚、かかる米国特許仮出願を参照により引用し、その開示内容全体を本明細書の一部とする。別の実施形態では、エレクトロニクスモジュール組立体232は、例えば米国特許出願第13/174,659号明細書(発明の名称:INFLATABLE PERSONAL RESTRAINT STSTEMS)及び米国特許出願第13/228,333号明細書(発明の名称:COMPUTER SYSTEM FOR REMOTE TESTING OF INFLATABLE PERSONAL RESTRAINT SYSTEMS)に記載された診断用検査特徴を含むのが良く、これら米国特許出願を参照により引用し、これらの記載内容全体を本明細書の一部とする。
【0026】
インフレータ230のモジュール式による位置決めと同様、エレクトロニクスモジュール組立体232も又、キャビティ224内に又はハウジング120の近くの遠隔の場所に収容されると共に適当な電気コネクタを介してインフレータ230に結合されるのが良い。エレクトロニクスモジュール組立体232は、例えば、ハウジング120の下側、座席の下又は航空機内のどこかほかの場所に配置可能である。エレクトロニクスモジュール組立体232は、遠隔場所に設けられる場合、衝突パルスを適正に伝えると共に振動効果を減少させるよう配置されるのが良い。
【0027】
所定のしきい値を超える衝突事故の際、エレクトロニクスモジュール組立体232の衝突センサ248は、1つ又は2つ以上のスイッチを閉成することができ、それにより、プロセッサ244は、対応の信号を展開回路252に送る。プロセッサ244の信号の受け取り時、展開回路252は、十分な電圧を点火装置(例えば、スクイブ)に印加することができ、それにより、インフレータ230は、ガス送り出しホース240を介してその圧縮ガスをエアバッグ254内に放出する。圧縮ガスの膨張により、エアバッグ254(図2B図2D)がインフレートされ、それによりエアバッグは、ハウジング120の開口部226を通って展開する。扉234は、開口部226から遠ざかり(例えば、インフレート中のエアバッグ254により加えられる力に起因して)、それによりエアバッグ254は、対応の着座者に向かって膨張することができる。ランヤード236は、開放状態の扉234を実質的にハウジング120に対して面一をなした状態に保持することができ、その結果、この扉は、次の脱出の際に乗員を邪魔しないようになる。エアバッグ254は、座席からオフセットしているのが良く、その結果、エアバッグは、座席に座った人がブレースポジションにある場合でも着座者との直接的な接触を回避する方向に展開するようになる。エアバッグ254は又、座席から十分前方に配置されると共に膝の上に抱かれた子供又はチャイルドシート内の子供との接触を回避するよう適切に寸法決めされる。エアバッグ254に設けられた能動型ベントは、エアバッグ254との衝突時に着座者に加わる力(例えば、1,000未満の頭部衝撃基準)を減少させると共にエアバッグ254からの乗員の頭のリバウンドを減少させることができ、更にこの能動型ベントにより、エアバッグ254は、座席からの脱出を一段と容易にするよう衝突後迅速に(例えば、10秒以内に)デフレートすることができる。加うるに、モジュール式エアバッグシステム100(例えば、自蔵式エアバッグ組立体228、インフレータ230及びエレクトロニクスモジュール組立体232)は、様々な構造的取り付け場所のスペース上の制約に対応することができ、しかも他の航空機システムとは別個独立であることが可能である(例えば、航空機配線とインターフェースを取る必要なく)。
【0028】
図3A図3Eは、本発明の実施形態に従って構成された構造体取り付け型エアバッグシステム300の展開状態を示す一連の等角図である。構造体取り付け型エアバッグシステム300は、全体として、構造及び機能が図1図2Dを参照して上述した構造体取り付け型エアバッグシステム100の特徴に類似した特徴を含むのが良い。構造体取り付け型エアバッグシステム300は、例えば、航空機座席302の前に且つこれからオフセットした状態で配置されたハウジング320内に設けられている構造的取り付け型エアバッグ組立体(図示せず)を含むのが良い。図3Aを参照すると、衝突事故の検出時(例えば、ハウジング320内のエアバッグ組立体に作動的に結合された衝突センサによる)、エアバッグ314は、インフレートしてハウジング320に設けられている開口部326を通って着座者301に向かって突き出、それにより扉334を開口部326から遠ざける。1つ又は2つ以上のヒンジ336、ランヤード及び/又は他の適当な手段を扉334の下側部分に固定して扉334をハウジング320に取り付け保持すると共に扉が着座者301に向かって飛び出るのを阻止するのが良い。
【0029】
図3Bを参照すると、エアバッグ354のインフレーションにより、扉334を下方に回転させてハウジング320に当てることができ、それにより扉を着座者301から離して次の脱出(例えば、衝突後)を容易にすることができる。図示の実施形態では、エアバッグ354は、ハウジング320に隣接して全体として垂直方向に延びると共に実質的に管の形をした第1の部分364及び第1の部分364に対して着座者301に向かって全体として側方に延びると共にエアバッグ354に全体としてL字形の断面を与える第2の部分366を有する。第2の部分366は、エアバッグ354が着座者の頭に接触する前に着座者の上半身の前方加速を妨げ、したがって、着座者の頭をエアバッグ354に当てる力を減少させる全体として三角形の断面形状を有するのが良い。別の実施形態では、エアバッグ354は、座席の形態に対応するのに適した他の形態を有することができ、例えば、図4A図4Cを参照して以下に説明するエアバッグであっても良い。
【0030】
エアバッグ354は、エアバッグ354の内部圧力が所定のしきい値に達するまで、例えば、着座者の頭がエアバッグ354に当たったとき且つ/或いはエアバッグ354を完全にインフレートさせたときに閉鎖状態のままである能動的ベント368を有するのが良い。図示の実施形態では、ベント368は、エアバッグ354の第2の部分366の下側に設けられた細長いシームであり、このシームは、エアバッグ354の内部からガス(例えば、空気)を放出するようしきい圧力で裂け又は違ったやり方で破断する。他の実施形態では、ベント368は、エアバッグ354上のどこかほかの場所に配置可能であると共に/或いは他の適当な形態(例えば、弁又は栓)を有しても良く、或いは、ベントを省いても良い。
【0031】
図3Cは、図3Bの着座構造の平面図であり、構造体取り付け型エアバッグシステム300がインフレート状態のエアバッグ354から間隔を置いて設けられた第1の領域又はゾーン370及び第2の領域又はゾーン372を提供していることを示している。第1のゾーン370は、座席302内、着座者301の膝の上及び/又は座席302に固定されたチャイルドシートに座っている子供(図示せず)への直接的なエアバッグ展開を阻止するのに十分な空間をインフレート状態のエアバッグ354と座席302との間に設けるよう座席302のところに配置されている。第2のゾーン372は、着座者がブレースポジションにあるときに着座者の頭へのエアバッグの直接的な展開を回避するよう座席302の前に間隔を置いて位置している。上述の記載内容によって示されているように、構造体取り付け型エアバッグシステム300は、多種多様な乗員の体格及び姿勢に対応することができる。
【0032】
図3Dは、着座者301がエアバッグ354に当たった後の構造体取り付け型エアバッグシステム300を示している。着座者の上半身の受ける荷重は、外傷を軽減するよう膨張状態のエアバッグ354全体にわたり分布される。種々の実施形態では、エアバッグ354に対する着座者301の衝撃により、ベント368(図3B)を作動させることができ、それによりエアバッグ354内の圧力が迅速に減少すると共に着座者301の受ける衝撃が一段と軽減される。図3Eに示されているように、ベント368は、着座者301が座席302から遠ざかるための実質的に邪魔なもののない通路を提供するようエアバッグ354を迅速にデフレートさせるにも役立ち得る。
【0033】
図4A図4Cは、本発明の実施形態に従って構成された構造体取り付け型エアバッグ組立体に用いられる種々のエアバッグ454a〜454cを示す一連の図である。図4Aでは、エアバッグ454aは、エアバッグ454aの主本体部分から突き出た側方部分474を有するのが良い。したがって、エアバッグ454aは、着座者401の前方に位置する構造体又はモニュメントの複雑な形状に少なくとも全体として一致する複雑な形状を有し、それにより、かかる構造体又はモニュメントと着座者401との間には適当なバリヤが設けられている。上述したエアバッグと同様、図4Aに示されているエアバッグ454aは、ブレースポジションを取っている着座者及びアウトオブポジション状態の着座者(例えば、膝の上に抱かれた子供)との接触を回避するよう構成されている。他の実施形態では、エアバッグ454aは、航空機の座席の前方に配置されたモニュメントの形状に合致する他の適当な複雑な形状を有するのが良い。
【0034】
図4Bに示されているように、別の実施形態では、エアバッグ454bは、着座者401の実質的に前又はすぐ前に位置する構造体(例えば、仕切り壁)に取り付けられるのが良い。図示の実施形態では、エアバッグ454bは、全体として半球形の断面形状を有するが、他の実施形態では、エアバッグ454bは、着座者の頭がエアバッグに当たる前に上半身の衝撃を吸収する全体として三角形の断面形状及び/又は他の適当なエアバッグ形状を有しても良い。
【0035】
さらに別の実施形態では、エアバッグ454cは、座席の近くに且つ乗物の方向と一線をなして位置する永続的又は半永続的な構造体に取り付けられるのが良い。図4Cに示されているように、例えば、エアバッグ454cは、航空機の座席の一方の側に(例えば、航空機座席相互間の仕切り壁上に)且つ全体として航空機の方向と一線をなして(即ち、矢印476で示されているように)配置されるのが良い。追加の実施形態では、本明細書において開示した構造体取り付け型エアバッグシステム及び組立体は、他の適当な構造体に取り付けられると共に/或いは他の適当な形態を有することができる。
【0036】
上述のことから、特定の実施形態は、例示目的で本明細書に説明されているが、本発明の種々の実施形態の精神及び範囲から逸脱することなく改造を行うことができることは理解されよう。例えば、図1図2Dに示されたエアバッグシステム100は、追加の乗物座席(例えば、座席102と同一の列に属する)に用いられるエレクトロニクスモジュール組立体232に作動的に結合された追加のエアバッグ組立体228及び/又はインフレータ230を有しても良い。種々の実施形態では、ハウジング120は、省かれても良く、エアバッグ組立体228は、航空機の一部分に(例えば、航空機の壁の中に)直接取り付けられても良い。上述の実施形態の任意のものの特定の要素は又、他の実施形態の要素と組み合わせ可能であり又は置き換え可能である。さらに、上述の拘束システムは、非自動車又は非航空機システムに組み込み可能である。したがって、本発明の或る特定の観点は、自動車又は航空機システムには限定されない。さらに、本発明の或る特定の実施形態と関連した利点をこれらの実施形態との関連で説明したが、他の実施形態も又、かかる利点を奏することができ、必ずしも全ての実施形態が本発明の範囲に属するようかかる利点を奏する必要はない。したがって、本発明の範囲は、添付の特許請求の範囲の記載によって限定される場合を除き限定されることはない。
図1
図2A
図2B
図2C
図2D
図3A
図3B
図3C
図3D
図3E
図4A
図4B
図4C