(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
出力端子と、第1の電圧、及び前記第1の電圧よりも低い第2の電圧を含むクロック信号の信号源に接続され、前記第1の電圧を前記出力端子に供給するための第1のトランジスタと、前記第1の電圧よりも低い第3の電圧を供給する電圧源に接続され、前記第3の電圧を前記出力端子に供給するための第2のトランジスタとを備えるバッファ回路の駆動方法であって、
前記クロック信号が前記第1の電圧である期間において、前記第1のトランジスタを導通させ、
前記クロック信号が前記第1の電圧である期間に続く、前記クロック信号が前記第2の電圧である期間において、前記第1のトランジスタ及び前記第2のトランジスタを共に導通させる
バッファ回路の駆動方法。
【発明を実施するための形態】
【0011】
(本発明の基礎となった知見)
背景技術で説明したように、シフトレジスタ回路に用いられるバッファ回路では、出力信号の立ち下がり時間を短縮し、かつ回路面積の縮小、及び消費電力の低減を実現することが課題である。
【0012】
図1は、バッファ回路の一例を示す回路図である。
【0013】
図1では、例として出力端子を介して直列に接続された2つのNMOSトランジスタを用いて構成されるバッファ回路が示されている。
【0014】
バッファ回路10は、出力端子16と、出力端子16を介して直列に接続されたトランジスタ11及びトランジスタ12と、容量素子19とで構成される。
【0015】
トランジスタ11及びトランジスタ12は、NMOSトランジスタである。
【0016】
トランジスタ11のドレインは、クロック信号源13に接続され、トランジスタ11のソースは、出力端子16、及びトランジスタ12のソースに接続される。トランジスタ11のゲートは、バッファ回路の入力端子14(Qnode)である。
【0017】
トランジスタ12のドレインは、低電圧源(VSS)に接続され、トランジスタ12のソースは、出力端子16、及びトランジスタ11のソースに接続される。トランジスタ12のゲートは、バッファ回路の入力端子15(Hnode)である。
【0018】
クロック信号源13は、VDDとVSSとの2値をとるクロック信号を出力する。
【0019】
容量素子19は、後述するブートストラップ動作に用いられる容量素子である。
【0020】
以下、
図1で示されるバッファ回路10の動作について
図2及び
図3を用いて説明する。
【0021】
図2は、
図1のバッファ回路10における信号のタイミングチャートである。
【0022】
図3は、
図1のバッファ回路10の動作を示す図である。
【0023】
図2の(A)及び
図3の(A)で示される状態では、入力端子14にローレベルの電圧が印加されトランジスタ11は非導通である。一方、入力端子15には、ハイレベルの電圧が印加されトランジスタ12は導通状態であるため、出力端子には低電圧源17のVSSが出力される。つまり、バッファ回路の出力端子16がローレベルの状態である。
【0024】
この状態から、出力端子16をハイレベルにする場合、まず
図2の(B)及び
図3の(B)で示されるように、入力端子14にハイレベルの電圧が印加され、トランジスタ11は導通状態となる。同時に、入力端子15には、ローレベルの電圧が印加されトランジスタ12は非導通状態となる。これにより、容量素子19は、入力端子14に印加されたハイレベルの電圧によって充電される。なお、この状態では、出力端子16とクロック信号源13とが導通状態であるが、クロック信号源13の電圧値がVSSであるため、出力端子16には電圧VSSが出力され、出力端子16はローレベルの状態である。
【0025】
続いて、
図2の(C)及び
図3の(C)に示されるように、期間(C)において、入力端子15に印加された電圧はそのまま、入力端子14をフローティング状態に制御した後、クロック信号源13の電圧は、ローレベルからハイレベルに立ち上がる。
【0026】
すると、
図2(C)に示すように、クロック信号源13の立ち上がりに応じて、入力端子14の電圧は、容量素子19で保持された電圧からさらにクロック信号源13のハイレベル分(VDD1)上昇する。このとき、トランジスタ11のゲート・ソース間電圧は、オン電圧を保っているため、出力端子16には、クロック信号源13のVDD1が出力される。
【0027】
上記
図2の(B)及び(C)並びに
図3の(B)及び(C)で示されるような動作はブートストラップ動作(ブートストラップ回路)と呼ばれ、これにより、出力信号の立ち上がり時間を短縮させることができる。
【0028】
一方、出力端子16をハイレベルからローレベルに立ち下げる場合には、続く
図2の(D)及び
図3の(D)で示されるように、入力端子14にローレベルの電圧を印加してトランジスタ11を非導通とし、入力端子15ハイレベルの電圧を印加してトランジスタ12を導通させることにより、出力信号の電圧を引き抜く。
【0029】
このとき、立ち下がり時間を短縮するためには、
図2の期間(D)において、出力信号の電圧を引き抜くためのトランジスタ12の駆動能力を大きくする必要がある。
【0030】
トランジスタ12の駆動能力を大きくすると、トランジスタ12を形成するのに必要な面積が増加する。また、トランジスタ12の駆動能力の増加にともない、
図2の期間(C)において、トランジスタ12のリーク電流が増加し、消費電力が増加するという課題がある。特に、トランジスタ12の形成条件などにより、トランジスタ12の閾値電圧がデプレッション特性であるような場合は、上記リーク電流が増加するため、さらに消費電力が増加してしまう。
【0031】
つまり、バッファ回路10の立ち下がり時間の短縮と、回路面積、消費電力はトレードオフの関係となり、両立させることは非常に難しい。
【0032】
したがって、出力信号の立ち下がり時間を短くし、かつ消費電力及び回路面積が小さいバッファ回路10が望まれる。
【0033】
そこで、本発明の一態様に係るバッファ回路の駆動方法は、出力端子と、第1の電圧、及び前記第1の電圧よりも低い第2の電圧を含むクロック信号の信号源に接続され、前記第1の電圧を前記出力端子に供給するための第1のトランジスタと、前記第1の電圧よりも低い第3の電圧を供給する電圧源に接続され、前記第3の電圧を前記出力端子に供給するための第2のトランジスタとを備えるバッファ回路の駆動方法であって、前記クロック信号が前記第1の電圧である期間において、前記第1のトランジスタを導通させ、前記クロック信号が前記第1の電圧である期間に続く、前記クロック信号が前記第2の電圧である期間において、前記第1のトランジスタ及び前記第2のトランジスタを共に導通させることを特徴とする。
【0034】
これにより、出力信号の電圧を第1のトランジスタ及び第2のトランジスタの両方で引き抜くため、第2のトランジスタの回路面積、消費電力を増加させることなく、立ち下がり時間を短縮することができる。
【0035】
また、前記第2の電圧は、前記第3の電圧よりも低い電位に設定されていてもよい。
【0036】
これにより、第1のトランジスタによってさらに強力に引き抜くことができるため、さらに立ち下がり時間を短縮することができる。
【0037】
また、本発明の一態様に係るバッファ回路は、出力端子と、第1の電圧、及び前記第1の電圧よりも低い第2の電圧を含むクロック信号の信号源に接続され、前記第1の電圧を前記出力端子に供給するための第1のトランジスタと、前記第1の電圧よりも低い第3の電圧を供給する電圧源に接続され、前記第3の電圧を前記出力端子に供給するための第2のトランジスタとを備え、前記クロック信号が、前記第1の電圧である期間において、前記第1のトランジスタは、導通状態となるように制御され、前記クロック信号が第1の電圧である期間に続く、前記クロック信号が前記第2の電圧である期間において、前記第1のトランジスタ及び前記第2のトランジスタは、共に導通状態となるように制御されるバッファ回路である。
【0038】
これにより、出力信号の電圧を第1のトランジスタ及び第2のトランジスタの両方で引き抜くため、第2のトランジスタの回路面積、消費電力を増加させることなく、立ち下がり時間を短縮することができる。
【0039】
また、前記第2の電圧は、前記第3の電圧よりも低い電位に設定されていてもよい。
【0040】
これにより、第1のトランジスタによってさらに強力に出力信号の電圧を引き抜くことができるため、さらに立ち下がり時間を短縮することができる。
【0041】
また、前記第1のトランジスタのゲートは、前記出力端子と容量素子によって接続されていてもよい。
【0042】
つまり、本発明は、ブートストラップ回路を備えるバッファ回路にも適用できる。
【0043】
また、本発明の一態様に係るシフトレジスタは、上記いずれかのバッファ回路で構成される出力部と、論理回路とを具備する単位回路が多段に接続されて構成されるシフトレジスタであって、前記論理回路は、前段の単位回路から入力される信号に応じて、前記第1のトランジスタの導通及び非導通を切り換えるための第1信号を生成する第1信号生成部と、前記第2のトランジスタの導通及び非導通を切り換えるための第2信号を生成する第2信号生成部とを備える。
【0044】
つまり、本発明は、シフトレジスタにも適用できる。
【0045】
以下、本発明の実施の形態について、図面を参照しながら説明する。
【0046】
なお、以下で説明する実施の形態は、いずれも本発明の一具体例を示すものである。以下の実施の形態で示される数値、形状、材料、構成要素、構成要素の配置位置及び接続形態、ステップ、ステップの順序などは、一例であり、本発明を限定する主旨ではない。また、以下の実施の形態における構成要素のうち、最上位概念を示す独立請求項に記載されていない構成要素については、任意の構成要素として説明される。
【0047】
(実施の形態1)
図4は、本発明の実施の形態1に係るバッファ回路を示す回路図である。
【0048】
図4では、例として出力端子を介して直列に接続された2つのNMOSトランジスタを用いて構成されるバッファ回路が示されている。
【0049】
バッファ回路20は、出力端子26と、出力端子26を介して直列に接続された第1のトランジスタ21及び第2のトランジスタ22と、制御部28と、容量素子29とで構成される。
【0050】
第1のトランジスタ21及び第2のトランジスタ22は、NMOSトランジスタ(スイッチングトランジスタ)である。
【0051】
第1のトランジスタ21のドレインは、クロック信号源23に接続され、第1のトランジスタ21のソースは、出力端子26、及び第2のトランジスタ22のソースに接続される。第1のトランジスタ21のゲートは、バッファ回路の入力端子24(Qnode)である。
【0052】
第2のトランジスタ22のドレインは、低電圧源27(VSS(第3の電圧))に接続され、第2のトランジスタ22のソースは、出力端子26、及び第1のトランジスタ21のソースに接続される。第2のトランジスタ22のゲートは、バッファ回路の入力端子25(Hnode)である。
【0053】
制御部28は、入力端子24に第1のトランジスタ21を導通・非導通を切り替えるためのハイレベルまたはローレベルの電圧を印加する。同様に、制御部28は、入力端子25に第2のトランジスタ22の導通・非導通を切り替えるためのハイレベルまたはローレベルの電圧を印加する。つまり、第1のトランジスタ21及び第2のトランジスタ22は、スイッチングトランジスタである。
【0054】
クロック信号源23は、VDD1(第1の電圧)とVSS(第2の電圧)との2値をとるクロック信号を出力する。クロック信号源23は、第1のトランジスタ21が導通状態となることにより、出力端子26にVDD1、またはVSSを供給する。
【0055】
低電圧源27は、第2のトランジスタ22が導通状態となることにより、出力端子26にVSSを供給する。
【0056】
容量素子29は、後述するブートストラップ動作に用いられる容量素子である。なお、容量素子29は、第1のトランジスタ21が大きく、ゲート・ソース間の寄生容量が大きい場合には、寄生容量を利用してもよい。
【0057】
上記のように
図4で示されるバッファ回路の動作について
図5、
図6、及び
図7を用いて説明する。
【0058】
図5は、
図4のバッファ回路20における信号のタイミングチャートである。
【0059】
図6は、
図4のバッファ回路20の動作を示す図である。
【0060】
図7は、
図4のバッファ回路20の動作のフローチャートである。
【0061】
実施の形態1に係るバッファ回路20の特徴は、期間(D)において、バッファ回路を構成する第1のトランジスタ21及び第2のトランジスタ22の両方が導通状態となることである。
【0062】
まず、
図5の(A)及び
図6の(A)に示されるように、期間(A)では、制御部28は、入力端子24にローレベルの電圧(VSS)を印加することで第1のトランジスタ21を非導通にする。一方、制御部28は、入力端子25にハイレベルの電圧(VDD)を印加することで第2のトランジスタ22のゲート・ソース間にオン電圧を与える。これにより、制御部28は、第2のトランジスタ22を導通させる。つまり、出力端子26と低電圧源27が導通状態となり、出力端子26には低電圧源27のVSSが出力される。つまり、期間(A)では、バッファ回路20の出力端子26がローレベルの状態である。
【0063】
この状態から、出力端子26をハイレベルにする場合、まず
図5の(B)及び
図6の(B)で示されるように、出力をハイレベルにするための準備として、期間(B)が設けられる。
【0064】
期間(B)では、制御部28は、入力端子24にハイレベルの電圧を印加することで第1のトランジスタ21のゲート・ソース間にオン電圧を与える。これにより、制御部28は、第1のトランジスタ21を導通させる。同時に、制御部28は、入力端子25にローレベルの電圧を印加することで第2のトランジスタ22を非導通状態とする。
【0065】
このとき、容量素子29は、入力端子24に印加されたハイレベルの電圧によって充電される。
【0066】
容量素子29により、第1のトランジスタ21のゲート・ソース間に印加された電圧は次に入力端子24にローレベルの電圧が印加されるまで保持される。
【0067】
なお、この期間(B)では、出力端子26とクロック信号源23とが導通状態であるが、クロック信号源23の電圧がVSSであるため、出力端子26には電圧VSSが出力され、出力端子26はローレベルの状態である。
【0068】
なお、期間(B)では、制御部28は、入力端子24にハイレベルの電圧を印加し、クロック信号源からVSSを与えることで出力端子26をローレベルにしているが、入力端子25がハイレベルであっても、低電圧源27から与えられる電圧はVSSであるため、動作に問題はない。したがって、期間(B)においては、入力端子25は、任意の状態でよい。
【0069】
しかしながら、後述するように、次の期間(C)においては、入力端子25が確実にローである必要がある。よって、制御部28が入力端子25に印加する電圧波形になまりが発生したとしても、期間(C)において確実にローレベルになるように、制御部28は、あらかじめ期間(B)において入力端子25にローレベルの電圧を印加しておくことが好ましい。
【0070】
次に、
図5の(C)及び
図6の(C)に示されるように、期間(C)において、制御部28は、入力端子25にローレベルの電圧を印加し、入力端子24をフローティング状態にする。また、期間(C)では、クロック信号源23(クロック信号)は、ローレベルからハイレベルに立ち上がる。
【0071】
すると、
図6(C)に示すように、クロック信号源23の立ち上がりに応じて、入力端子24の電圧は、容量素子29で保持された電圧からさらにクロック信号源23のハイレベル分上昇する。例えば、入力端子24に対応する配線が、寄生容量がない理想的な状態であるとすると、入力端子24は、VSSを0VとするとVDD(期間(B)において容量素子29に充電された電圧)+VDD1(クロック信号源23のハイレベル)となる。
【0072】
また、このとき、第1のトランジスタ21のゲート・ソース間電圧は、オン電圧を保っているため、出力端子26には、クロック信号源23のハイレベルが出力される。
【0073】
以上、期間(B)及び(C)の動作により、出力端子に出力される信号(出力信号)の立ち上がり時間を短縮することができる。期間(B)及び(C)の動作は、
図7のステップS701に対応する。
【0074】
なお、出力信号の立ち上がり時間は、出力端子26に接続された負荷の時定数と第1のトランジスタ21のオン抵抗により決定される。
【0075】
次に、
図5の(D)及び
図6の(D)に示されるように、期間(D)において、制御部28は、入力端子25にハイレベルの電圧を印加する。これにより、制御部28は、第2のトランジスタ22導通させて低電圧源27のVSSを出力端子にローレベルとして与える。また、制御部28は、入力端子24にハイレベルの電圧を印加する。
【0076】
つまり、クロック信号が第1の電圧である期間に続く、クロック信号が第2の電圧である期間において、制御部28は、第1のトランジスタ21及び第2のトランジスタ22が共に導通状態となるように制御する。
【0077】
これにより、従来の構成に比べて、出力端子26の電圧をローレベルに引き抜く経路が、第1のトランジスタ21及び第2のトランジスタ22の2経路あるため、従来の1経路よりも、出力端子26をすばやくローレベルへの変化させることが可能となる。つまり、立ち下がり時間を短縮できる。
【0078】
したがって、
図2の入力波形で示される立ち下がり時間と、同じ立ち下がり時間を実現したい場合、実施の形態1に係るバッファ回路20を適用すれば、第2のトランジスタ22のチャネルサイズを第1のトランジスタ21のチャネルサイズ分小さくすることが可能である。
【0079】
例えば、
図1において、トランジスタ11のチャネルサイズがチャネル幅/チャネル長=500μm/12μm、トランジスタ12のチャネルサイズが1000μm/12μmであるとすると、実施の形態1に係るバッファ回路20では、第2のトランジスタ22のチャネルサイズは、500μm/12μmでよい。つまり、トランジスタのチャネルサイズを半減することが可能である。
【0080】
また、第2のトランジスタ22のチャネルサイズが小さくなることで、回路面積が小さくなるばかりでなく、期間(C)において発生する第2のトランジスタ22のリークによるクロック信号源23から低電圧源27(VSS)への貫通電流が少なくなる。つまり、本来のバッファ回路の駆動とは無関係なリーク電流による消費電力の増加を抑えることができる。
【0081】
以上のように、実施の形態1に係るバッファ回路20では、立ち下がり時間の性能を保ちつつ、消費電力が低く、回路面積が小さいバッファ回路を実現することが可能である。
【0082】
なお、期間(D)では、制御部28は、期間(C)に続き入力端子24をフローティング状態にしておいてもよい。期間(D)では、クロック信号源23がハイレベルからローレベルに変化しているため、フローティング状態であっても、入力端子24にはVDD程度の電圧が維持される。
【0083】
つまり、制御部28が第1のトランジスタ21を導通状態となるように制御する、とは第1のトランジスタ21のゲートに電圧を印加する制御とは限らない。同様に、制御部28が第2のトランジスタ22を導通状態となるように制御する、とは第2のトランジスタ22のゲートに電圧を印加する制御とは限らない。
【0084】
期間(D)においては、入力端子24に対応する配線の寄生容量がなく、入力端子24から電荷が抜けるリークパスがない場合、理論上は、入力端子24には、VDDの電圧が維持される。
【0085】
したがって、第1のトランジスタ21には、入力端子24にハイレベルの電圧を印加しなくとも、引き続きオン電圧が印加されていることから、クロック信号源23のローレベルが出力端子26に出力される。
【0086】
なお、期間(D)の間中、つまりクロック信号がVSS(第2の電圧)である期間において第1のトランジスタ21が常に導通状態である必要はない。出力端子26がローレベルになった後は、第1のトランジスタ21が導通状態である必要はない。クロック信号がVDD1(第1の電圧)からVSS(第2の電圧)に立ち下がった直後において、第1のトランジスタ21及び第2のトランジスタ22が共に導通状態であることが、最も効果的に出力信号の立下り時間を短縮できる。
【0087】
なお、期間(D)における制御部28の動作は、
図7のステップS702に対応する。
【0088】
クロック信号源23は、周期的にハイレベルと、ローレベルとを繰り返す。このため、期間(D)に続く期間(E)において、制御部28の動作は、期間(A)と同様である。具体的には、制御部28は、入力端子24にローレベルの電圧を印加することで第1のトランジスタ21を非導通にする。一方、制御部28は、入力端子25にハイレベルの電圧を印加することで第2のトランジスタ22のゲート・ソース間にオン電圧を与える。これにより、制御部28は、第2のトランジスタ22を導通させる。つまり、バッファ回路20の出力端子26がローレベルの状態である。
【0089】
このとき、期間(D)においてすでに出力端子26は、ローレベルとなっているため、制御部28は、信号変化が起きない程度に第2のトランジスタ22を駆動させればよい。
【0090】
なお、期間(D)の長さは、
図5で示したようにクロック信号源23の周期の半分(1/2CLK幅)でなくてもよい。第1のトランジスタ21が導通状態となっている必要があるのは出力端子26がローレベルに遷移する期間のみである。したがって、
図5の例では、少なくとも期間(F)において入力端子24がハイレベルであればよい。
【0091】
また、第1のトランジスタ21が導通状態のときにクロック信号源23がハイレベルになると、出力端子26にハイレベルの信号が伝達されてしまうため、制御部28は、クロック信号源23がハイレベルに変化する前までに第1のトランジスタ21を非導通にしておく必要がある。
【0092】
なお、実施の形態1に係るバッファ回路20の消費電力の低減効果は、バッファ回路20を構成するトランジスタがデプレッション特性(閾値電圧が低い特性)のときに大きくなる。
【0093】
図8は、バッファ回路を構成するトランジスタの閾値電圧と、バッファ回路の消費電力との関係を表す図である。
【0094】
なお、
図8は、実施の形態1に係るバッファ回路20を適用し、第2のトランジスタ22のチャネルサイズを小さく形成した場合と、バッファ回路20を適用せずに従来どおりトランジスタを形成した場合とを比較した図である。
【0095】
図8に示すように電力とトランジスタの閾値電圧の関係を比べると、実施の形態1に係るバッファ回路では、第2のトランジスタ22のサイズが小さくリーク電流が減ることで電力が小さくなる。第2のトランジスタ22のリーク電流は、デプレッション特性(図の横軸において0以下の領域)のトランジスタほど大きくなる。したがって、チャネルサイズの縮小によるリーク電流低減の効果は、n型TFTの場合には、閾値電圧が負の方向になるほど大きい。
【0096】
このような電力削減により、電流を供給する電源配線の配線幅を狭くできるため、回路面積を削減することが可能となる。
【0097】
(実施の形態2)
実施の形態1に係るバッファ回路20は、表示装置の画素回路に用いられるシフトレジスタに適用可能である。
【0098】
図9は、本発明の実施の形態2に係る表示装置の構成を示すブロック図である。
【0099】
表示装置61は、外部から入力される映像信号を表示する有機ELディスプレイであり、制御回路62、表示部63、信号線駆動回路64及び走査線駆動回路65を備える。
【0100】
制御回路62は、外部から入力される映像信号を同期信号と画素信号に分離し、分離した同期信号及び画素信号を、それぞれ、走査線駆動回路65及び信号線駆動回路64に出力する。
【0101】
表示部63は、発光画素が2次元状に配置されて構成される表示パネルである。
【0102】
信号線駆動回路64は、制御回路62から入力された画素信号を、列方向に走る複数の信号線41を介して表示部63に供給する。
【0103】
走査線駆動回路65は、制御回路62から入力された同期信号を、内蔵するシフトレジスタでシフトしていくことで走査線用の駆動信号を生成し、生成した駆動信号を、行方向に走る複数の走査線51を介して、表示部63に供給する。
【0104】
図10は、
図9における走査線駆動回路65と表示部63との接続関係を示す図である。
【0105】
表示部63を構成する個々の発光画素(画素回路31)は、
図10に示されるように、3個のスイッチングトランジスタ32〜34、駆動トランジスタ35、有機EL素子36及びコンデンサ37を備える。スイッチングトランジスタ32は、走査線51aから入力されるScan信号に応じて、信号線41を介して入力される画素信号(Data信号)をコンデンサ37に保持させるか否かを制御する。スイッチングトランジスタ33は、走査線51aから入力されるScan信号に応じて、電源電圧をコンデンサ37の一端に印加するか否かを制御する。スイッチングトランジスタ34は、走査線51bから入力されるMerge信号に応じて、コンデンサ37を駆動トランジスタ35のゲート端子とソース端子との間に接続するか否かを制御する。駆動トランジスタ35は、コンデンサ37に保持された電圧に応じた電流を有機EL素子36に流す。
【0106】
走査線駆動回路65は、走査線51のうちのScan信号用の走査線51a、52a、・・に駆動信号を出力するシフトレジスタ72と、走査線51のうちのMerge信号用の走査線51b、52b、・・に駆動信号を出力するシフトレジスタ73とから構成される。
【0107】
Scan信号用のシフトレジスタ72は、論理回路42と、バッファ回路20とから構成される複数の単位回路(第1単位回路72a、第2単位回路72b、・・)が多段(直列)に接続されて構成されている。
【0108】
Merge信号用のシフトレジスタ73も、シフトレジスタ72と同様に、論理回路42と、バッファ回路20とから構成される複数の単位回路(第1単位回路73a、第2単位回路73b、・・)が多段(直列)に接続されて構成されている。
【0109】
シフトレジスタ72及び73を構成する単位回路のそれぞれにおいて、バッファ回路20は、論理回路42から出力される2つの制御信号を入力として駆動信号を出力する。また、バッファ回路20は、走査線51を駆動するための駆動信号を出力すると共に、次段の単位回路に信号を出力する。なお、論理回路42を含む単位回路の詳細については後述する。
【0110】
次に、表示装置61の動作について説明する。
【0111】
図11は、表示装置61の動作に用いられる信号波形の一例を示す図である。
【0112】
表示装置61では、Data信号に応じた電圧をコンデンサ37に行順次に充電する(書込む)。したがって、
図11において、Data信号は、表示部の各行に対応して電圧値が変化する。つまり、期間(A)〜(D)のそれぞれは、各行に対応する電圧値の変化を表す。
【0113】
図11の期間(C)においてData線に印加されたData信号に応じて画素回路31の有機EL素子36を発光させたい場合、当該画素回路31に接続された走査線51には、
図11のScanパルス87のような波形を入力すればよい。
【0114】
これは、有機ELディスプレイのようなアクティブマトリクス型の表示装置の場合、有機EL素子36の表示輝度は、画素回路31に最後に取り込まれたData信号により決定されるからである。このため、Scanパルス87は、期間(C)においてハイレベルになればよい。これにより、期間(C)におけるData信号がコンデンサ37に書き込まれるため、有機EL素子36を期間(C)におけるData信号に応じて発光させることができる。
【0115】
一方、画素回路31のコンデンサ37に期間(C)におけるData信号が書き込まれた後、Data信号が次の行の画素回路に対応する電圧(期間(D)におけるData信号)になる前に、Scanパルス87は、立ち下がらなければならない。なぜなら、画素回路31に次の行の画素回路に対応する期間(D)におけるData信号が書き込まれてしまうからである。そのため、立ち下がり時間は高速である必要がある。
【0116】
ここで、立下り時間を改善するバッファ回路20を用いることで、表示装置のシフトレジスタにおいて、通常立ち下がり時間の高速化を目的として、チャネルサイズが大きく形成される第2のトランジスタ22のサイズを小さくすることができる。つまり、回路面積を削減することができる。
【0117】
次に、
図10に示す単位回路の例について説明する。
【0118】
図12は、単位回路の回路構成の一例を示す図である。
【0119】
図12で示される単位回路は、3本のクロック線と、入力端子85に入力される前段のパルス出力を用いて、Scan線に必要なパルスを出力端子86に出力する回路であり、
図13に示すような波形を入力することにより制御される。
【0120】
バッファ回路20は、実施の形態1で説明したものと同様である。なお、実施の形態1と同様に、図中の制御線Qnodeは、バッファ回路20の入力端子24であり、制御線Hnodeは、バッファ回路20の入力端子25である。
【0121】
論理回路42は、10個のトランジスタ91、92、93a〜93d、94a、94b、95a及び95bと、3個のコンデンサ96〜98から構成される。なお、3箇所に設けられたコンデンサ96〜98は、接続された信号線の電位を保持するために設けられる。このため、必須の構成ではない。
【0122】
トランジスタ91、92及び93a〜93dは、制御線Qnodeに、及びバッファ回路20の第1のトランジスタ21の導通及び非導通を制御する第1信号を出力する第1信号生成部93を構成している。
【0123】
また、トランジスタ94a、94b、95a及び95bは、制御線Hnodeに、バッファ回路20の第2のトランジスタ22の導通及び非導通を制御する第2信号を出力する第2信号生成部94を構成している。
【0124】
次に、
図12で示される単位回路の動作について説明する。
【0125】
図13は、
図12に示される単位回路の動作を示すタイミングチャートである。ここには、クロック信号CLK1、xCLK1、及びxCLK2、入力端子85での電圧波形、RST端子での電圧波形、制御線Qnodeでの電圧波形(第1信号)、制御線Hnodeでの電圧波形(第2信号)、及び、出力端子86での電圧波形が示されている。クロック信号CLK1、xCLK1、及びxCLK2は、いずれもVDD1とVSS1との2相をとる信号である。なお、以下の説明において、特に断りのない限り、ハイレベルは電源電圧VDD1、ローレベルは電源電圧VSS1であるものとする。
【0126】
図13では、まず、期間(A´)においてRST端子にリセット信号を入力する。なお、RST端子及びリセット信号は必要に応じて付与すればよく、本回路に必須の構成ではない。期間(A´)においてRST端子にリセット信号が入力された結果、トランジスタ95aがONするため、制御線Hnodeは、確実にハイレベルとなる。したがってトランジスタ92及び93bはONされた状態である。
【0127】
また、期間(A´)においてRST端子にリセット信号が入力された結果、トランジスタ93dもONするため、制御線Qnodeは、確実にローレベルとなる。
【0128】
よって、期間(A´)では、出力端子86は、第1のトランジスタ21がOFFであり、かつ第2のトランジスタ22がONであるためローレベルである。期間(A´)から期間(A)までは、コンデンサ97及びコンデンサ98などにより、この状態が維持される。
【0129】
期間(B)では、入力端子85にハイレベルが入力され、かつXCLK1はハイレベルであるため、トランジスタ95a及び95bはOFFであり、トランジスタ94a及び94bがONする。ここで、トランジスタ94a及び94bのトランジスタサイズは、xCLK1と入力端子とがどちらもハイレベルとなった場合に、制御線Hnodeがローレベルになるように設定されている。よって、制御線Hnodeは、ローレベルとなる。
【0130】
また、期間(B)では、入力端子85にハイレベルが入力された結果、トランジスタ91及び93aがONであり、トランジスタ93bは、OFFであるため、制御線Qnodeは、ハイレベルとなる。このとき、第1のトランジスタがONであり、かつ第2のトランジスタ22がOFFであるが、CLK1がローレベルであるため、出力端子86は、ローレベルである。
【0131】
また、期間(B)では、容量素子29は、制御線Qnodeに印加されたハイレベルの電圧によって充電される。
【0132】
続く、期間(C)では、入力端子85は、ローレベルとなり、トランジスタ91及び93aがOFFするため、制御線Qnodeは、フローティング状態となる。ここでCLK1がハイレベルに立ち上がるため、実施の形態1で説明したブートストラップ動作により、制御線Qnodeは期間(B)で容量素子29に充電された電圧に、CLK1のハイレベルを加えた電圧となる。具体的には、制御線Qnodeは、理想的な状態において2×VDD1の電圧となる。
【0133】
期間(C)では、制御線Hnodeは、出力端子86の電圧がトランジスタ95bの閾値電圧を超えるまでは、トランジスタ94a、94b、95a、及び95bがOFFであるため、フローティング状態である。出力端子86の電圧がトランジスタ95bの閾値電圧を超えてからは、トランジスタ95bがONするため、制御線Hnodeは、ローレベルである。
【0134】
出力端子86は、制御線Qnodeに上述の電圧が印加され、ここでCLK1がハイレベルに立ち上がるため、ハイレベルに立ち上がる。
【0135】
期間(D)では、XCLK1はハイレベルであり、トランジスタ94aがONするため、制御線Hnodeは、ハイレベルとなる。
【0136】
これに対し、制御線Qnodeは、期間(D)の前半は、期間(C)に続いてフローティング状態であるためハイレベルである。これにより、バッファ回路20の動作で説明したように、出力端子86のハイレベルは、急峻に立ち下がる。また、期間(D)の後半では、xCLK2がハイレベルに立ち上がるとともに、トランジスタ93cがONする。なおかつ、このとき制御線Hnodeのハイレベルに応じてトランジスタ92及び93bは、ONであるから、制御線Qnodeは、ローレベルとなる。
【0137】
以上説明したように、バッファ回路20は、表示装置の画素回路に用いられるシフトレジスタ(論理回路42とバッファ回路20とで構成される単位回路)に適用できる。これにより、通常立ち下がり時間の高速化を目的として、チャネルサイズが大きく形成される第2のトランジスタ22のサイズを小さくすることができる。つまり、シフトレジスタにおいても回路面積を削減することができる。
【0138】
また、論理回路42は、
図12の回路に限定されない。
【0139】
図14は、別の論理回路を用いた単位回路の回路構成の一例を示す図である。
【0140】
図14で示される単位回路は、3本のクロック線と、入力端子85に入力される前段のパルス出力を用いて、Scan線に必要なパルスを出力端子86に出力する回路である。
【0141】
バッファ回路20は、実施の形態1で説明したものと同様である。なお、実施の形態1と同様に、図中の制御線Qnodeは、バッファ回路20の入力端子24であり、制御線Hnodeは、バッファ回路20の入力端子25である。
【0142】
論理回路43は、5個のトランジスタ103a、104a、104b、105a、及び105bと、2個のコンデンサ107及び108から構成される。なお、2箇所に設けられたコンデンサ107及び108は、接続された信号線の電位を保持するために設けられる。このため、必須の構成ではない。
【0143】
トランジスタ103aは、制御線Qnodeに、及びバッファ回路20の第1のトランジスタ21の導通及び非導通を制御する第1信号を出力する第1信号生成部93を構成している。
【0144】
また、トランジスタ104a、104b、105a、及び105bは、制御線Hnodeに、バッファ回路20の第2のトランジスタ22の導通及び非導通を制御する第2信号を出力する第2信号生成部94を構成している。
【0145】
図12の回路構成との違いは、トランジスタ94a及び94bのトランジスタサイズの調整により、制御線Hnodeの論理(ハイレベル・ローレベル)を決定する構成がない点である。これにより、個々のトランジスタは、個別に最適なサイズに設計が可能である。
【0146】
次に、
図14で示される単位回路の動作について説明する。
【0147】
図15は、
図12に示される単位回路の動作を示すタイミングチャートである。ここには、クロック信号CLK1、CLK2、及びCLK3、入力端子85での電圧波形、RST端子での電圧波形、制御線Qnodeでの電圧波形(第1信号)、制御線Hnodeでの電圧波形(第2信号)、及び、出力端子86での電圧波形が示されている。クロック信号CLK1、CLK2、及びCLK3は、いずれもVDD1とVSS1との2相をとる信号である。なお、以下の説明において、特に断りのない限り、ハイレベルは電源電圧VDD1、ローレベルは電源電圧VSS1であるものとする。
【0148】
図15では、まず、期間(A´)においてRST端子にリセット信号を入力する。なお、RST端子及びリセット信号は必要に応じて付与すればよく、本回路に必須の構成ではない。
【0149】
期間(A´)においてRST端子にリセット信号が入力された結果、トランジスタ105aがONするため、制御線Hnodeは、確実にハイレベルとなる。
【0150】
また、期間(A´)において、CLK1がハイレベルであるため、トランジスタ103aがONし、制御線Qnodeは、入力端子85と導通状態である。したがって、制御線Qnodeは、入力端子85と同じくローレベルとなる。
【0151】
よって、期間(A´)において、出力端子86は、第1のトランジスタ21がOFFであり、かつ第2のトランジスタ22がONであるためローレベルである。期間(A´)から期間(A)までは、コンデンサ107及び108などにより、この状態が維持される。
【0152】
期間(B)では、入力端子85にハイレベルが入力されるため、トランジスタ104bはONであり、制御線Hnodeは、ローレベルとなる。
【0153】
また、期間(B)では、入力端子85に加えて、CLK1もハイレベルであるため、トランジスタ103aがONし、制御線Qnodeは、ハイレベルとなる。
【0154】
したがって、期間(B)では、出力端子86は、ローレベルである。
【0155】
また、期間(B)では、容量素子29は、制御線Qnodeに印加されたハイレベルの電圧によって充電される。
【0156】
続く、期間(C)では、入力端子85は、ローレベルとなり、トランジスタ104bがOFFする。このため、制御線Hnodeは、出力端子86の電圧がトランジスタ105bの閾値電圧を超えるまでは、トランジスタ104a、104b、105a、及び105bがOFFであるため、フローティング状態である。出力端子86の電圧がトランジスタ105bの閾値電圧を超えてからは、トランジスタ105bがONするため、制御線Hnodeは、ローレベルである。
【0157】
また、期間(C)では、入力端子85に加えて、CLK1もローレベルであるため、トランジスタ103aがOFFし、制御線Qnodeは、フローティング状態となる。ここでCLK2がハイレベルに立ち上がるため、実施の形態1で説明したブートストラップ動作により、制御線Qnodeは、期間(B)で容量素子29に充電された電圧に、CLK1のハイレベルを加えた電圧となる。具体的には、制御線Qnodeは、理想的な状態において2×VDD1の電圧となる。
【0158】
期間(C)では、出力端子86は、制御線Qnodeに上述の電圧が印加され、ここでCLK2がハイレベルに立ち上がるため、ハイレベルに立ち上がる。
【0159】
期間(D)では、CLK3は、ハイレベルであり、トランジスタ104aがONするため、制御線Hnodeは、ハイレベルとなる。
【0160】
また、期間(D)では、制御線Qnodeは、期間(C)に続いてフローティング状態であるためハイレベルである。これにより、バッファ回路20の動作で説明したように、出力端子86のハイレベルは、急峻に立ち下がる。
【0161】
以上説明したように、単位回路に用いられる論理回路は、
図12で示される回路に限定されない。なお、論理回路は、バッファ回路20をScan線駆動回路及びMerge線駆動回路として適切に機能させることができる回路であれば
図12、
図14以外の回路構成であってもよい。
【0162】
(実施の形態3)
実施の形態3では、表示装置において、実施の形態2とは異なる構成のシフトレジスタに、バッファ回路20を適用する例について説明する。なお、表示装置全体の構成は、
図9で示される構成と同一であるとする。その他の構成要素についても、実施の形態1及び実施の形態2と同一の符号が付された構成要素については、同一の動作、機能であるものとして説明を省略する。
【0163】
図16は、実施の形態3に係る走査線駆動回路65と表示部63との接続関係を示す図である。
【0164】
走査線駆動回路65は、走査線51のうちのScan信号用の走査線51a、52a、・・に駆動信号を出力するシフトレジスタ74と、走査線51のうちのMerge信号用の走査線51b、52b、・・に駆動信号を出力するシフトレジスタ75とから構成される。
【0165】
シフトレジスタ74及び75が、実施の形態2のシフトレジスタ72及び73と異なる点は、1つの単位回路が1つの論理回路42と2つのバッファ回路20a及び20bを備える点である。
【0166】
具体的には、Scan信号用のシフトレジスタ74は、論理回路42と、バッファ回路20aと、バッファ回路20bとから構成される複数の単位回路(第1単位回路74a、第2単位回路74b、・・)が多段(直列)に接続されて構成されている。
【0167】
Merge信号用のシフトレジスタ75も、シフトレジスタ74と同様に、論理回路42と、バッファ回路20aと、バッファ回路20bとから構成される複数の単位回路(第1単位回路75a、第2単位回路75b、・・)が多段(直列)に接続されて構成されている。
【0168】
シフトレジスタ74及び75を構成する単位回路のそれぞれにおいて、バッファ回路20a及びバッファ回路20bは、いずれも、論理回路42から出力される2つの制御信号を入力として駆動信号を出力する。バッファ回路20bは、走査線51を駆動するための駆動信号を出力する。一方、バッファ回路20aは、次段の単位回路に信号を出力する。
【0169】
このように、このシフトレジスタ74及び75の各単位回路では、出力段は、電流駆動能力が異なる2つの並列接続されたバッファ回路20a及び20bで構成される。
【0170】
バッファ回路20aは、コンデンサ37にData電圧に応じた電圧を印加するため大きな電流が必要とされる駆動信号を出力する必要がある。これに対し、バッファ回路20bは、大きな電流は必要とされないが鈍りのない波形の駆動信号を出力する必要がある。
【0171】
よって、このように、走査線51を駆動するためのバッファ回路20bと、次段の単位回路に信号を出力するバッファ回路20aとを別構成とすることで、大きな駆動電流を必要としないバッファ回路20aが有するトランジスタサイズを小さく構成できる。駆動電流の能力が必要ないため、バッファ回路20aが有するトランジスタのゲート幅は、バッファ回路20bが有するトランジスタのゲート幅の2〜100分の1程度に小さくできるからである。
【0172】
これにより、駆動信号と次段への信号とが共通の出力部から出力される構成に比べ、バッファ回路20に起因する貫通電流(電力消費)が抑制される。
【0173】
また、走査線51を駆動するためのバッファ回路20bと、次段の単位回路に信号を出力するバッファ回路20aとを別構成とすることで、走査線51を駆動する信号電圧と、次段の回路に出力する信号電圧とを別々に設定することもできる。
【0174】
次に、単位回路の詳細な構成について説明する。
【0175】
図17は、実施の形態3に係る単位回路の回路構成の一例を示す図である。
【0176】
バッファ回路20a及び20bは、実施の形態1で説明したバッファ回路20と同様である。なお、実施の形態1と同様に、図中の制御線Qnodeは、バッファ回路20aの入力端子24a及びバッファ回路20bの入力端子24bである。同様に、制御線Hnodeは、バッファ回路20aの入力端子25aであり、バッファ回路20bの入力端子25bである。
【0177】
論理回路42は、
図12で示される論理回路と同一である。なお、トランジスタ95bのゲートは、バッファ回路20aの出力端子86a(次段の回路の入力端子Input2)に接続されている。
【0178】
図17に示される単位回路では、バッファ回路20a及びバッファ回路20bに異なるクロック信号CLK1a及びCLK1bが供給される場合の単位回路が示されていることが特徴である。なお、クロック信号CLK1a及びCLK1bのハイレベルは電源電圧VDD1、ローレベルは電源電圧VSS1であるが、低電圧源27bの電圧はVSS2である。
【0179】
ここで、CLK1bのローレベル電圧(第2の電圧)VSS1は、低電圧源27bの電圧(第3の電圧)VSS2よりも低い。
【0180】
これにより、第2のトランジスタ22bに対して、オフ制御を行う際、第2のトランジスタ22bのゲート・ソース間電圧を負の値に設定することが可能となり、第2のトランジスタ22bがデプレッション特性を持つ場合において、リーク電流を少なくすることが可能である。
【0181】
また、上述のように、第2のトランジスタ22aに比べて、第2のトランジスタ22bのサイズは、2〜100倍程度大きくなる。したがって、第2のトランジスタ22bのリーク電流は大きくなりやすいため、本構成のように、CLK1bのローレベル電圧を、低電圧源27bの電圧よりも低くすることは、消費電力の低減に非常に有効である。
【0182】
さらに、CLK1bのローレベル電圧を、低電圧源27bの電圧よりも低くすることは、出力端子86bに出力される信号の立ち下がり時間をさらに短縮することも可能である。
【0183】
図18は、
図17に示される単位回路の動作を示すタイミングチャートである。
【0184】
ここには、クロック信号CLK1b、制御線Qnodeでの電圧波形(第1信号)、制御線Hnodeでの電圧波形(第2信号)、及び、出力端子86での電圧波形が示されている。
【0185】
図18において、期間(A)では、第1信号生成部93によって制御線Qnodeがローレベル(VSS1)となり、かつ、第2信号生成部94によって制御線Hnodeがハイレベル(VDD1)となる。よって、バッファ回路20bでは、第1のトランジスタ21bがオフし、かつ、第2のトランジスタ22bがオンするので、出力端子86bには、基準電圧VSS2が出力される。
【0186】
期間(B)では、第1信号生成部93によって制御線Qnodeがハイレベル(電源電圧VDD1)となり、かつ、第2信号生成部94によって制御線Hnodeがローレベル(基準電圧VSS1)となる。よって、バッファ回路20bでは、第1のトランジスタ21bがオンし、かつ、第2のトランジスタ22bがオフするので、出力端子86bには、クロック信号CLK1bの電位(基準電圧VSS2)が出力(基準電圧VSS2のまま維持)される。
【0187】
期間(C)では、第1信号生成部93がハイインピーダンス出力となり、第1信号生成部93と第1のトランジスタ21b及び第1のトランジスタ21aのゲート(制御端子)とは電気的に切断される。一方、第2信号生成部94によって制御線Hnodeはローレベル(基準電圧VSS1)に維持される。そして、第1のトランジスタ21bを通過するクロック信号CLK1bが立ち上がり、そのレベル変化が容量素子29bを介して第1のトランジスタ21bのゲートに正帰還されてブートストラップが起こるので、第1のトランジスタ21bのオンが維持され、出力端子86bには、クロック信号CLK1bのハイレベル(電源電圧VDD1)が出力される。
【0188】
期間(D)では、第1信号生成部93のハイインピーダンス出力は維持され、かつ、第2信号生成部94によって制御線Hnodeがハイレベル(電源電圧VDD1)となる。そして、第1のトランジスタ21bを通過するクロック信号CLK1bが立ち下がるので、出力端子86bに蓄積されていた電荷は、オンしている第1のトランジスタ21bを介して基準電圧VSS1に引き込まれる。同様に、出力端子86bに蓄積されていた電荷は、第2のトランジスタ22bを介して基準電圧VSS2に引き込まれる。
【0189】
よって、出力端子86bの電圧は、
図18に示すように、VSS1まで急峻に立ち下がった後(オーバードライブ駆動)、VSS2レベル(ローレベル)となる。つまり、実施の形態1よりもさらに立下り時間を短縮できる。
【0190】
期間(E)では、期間(A)と同じ動作となる。
【0191】
なお、VSS2とVSS1の電位差であるが、(第2のトランジスタ22bの閾値電圧−1)Vよりも大きな電位差で消費電力削減に最も効果的である。
【0192】
また、VSS1の電圧をさらに低くすることによって、出力端子86bの信号の立ち下がり時間を短縮できるが、この場合、バッファ回路20bにおけるハイレベルとローレベルの電位差が大きくなるため、バッファ回路20bでの消費電力が大きくなる。したがって、VSS1は、最大でも(第2のトランジスタ22bの閾値電圧−5)V程度にとどめておくことが好ましい。
【0193】
以上、本発明の一態様に係るバッファ回路及びその駆動方法について、実施の形態に基づいて説明した。
【0194】
本発明のバッファ回路、及びバッファ回路の駆動方法は、出力信号の立ち下がり時間の短縮と、回路面積の縮小、及び消費電力の低減とを同時に満たすことが可能である。
【0195】
また、例えば、本発明に係るバッファ回路は、表示装置のシフトレジスタに適用でき、
図19に記載されたような薄型フラットTVに内蔵される。これにより、低消費電力化、高集積化など、性能が向上した高精細の薄型フラットTVが実現される。
【0196】
なお、本発明は、これらの実施の形態またはその変形例に限定されるものではない。本発明の趣旨を逸脱しない限り、当業者が思いつく各種変形を本実施の形態またはその変形例に施したもの、あるいは異なる実施の形態またはその変形例における構成要素を組み合わせて構築される形態も、本発明の範囲内に含まれる。
【0197】
例えば、本実施の形態では、バッファ回路を構成するトランジスタは、n型のトランジスタであったが、これに限定されるものではない。バッファ回路を構成するトランジスタは、p型のトランジスタで構成されてもよいし、n型のトランジスタとp型のトランジスタが混在していてもよい。また、バッファ回路を構成するトランジスタは、MOSトランジスタ、MISトランジスタのどちらであってもよい。
【0198】
また、バッファ回路を構成するトランジスタは、アモルファスシリコンTFT、ポリシリコンTFT、酸化物TFTなど、特に限定されるものではない。本発明のバッファ回路は、特に、キャリア移動度が低く、チャネルサイズが大きなTFTや、デプレッション特性を持つTFTで有効である。
【0199】
また、バッファ回路は、トランジスタ以外のスイッチング素子で構成されてもよい。つまり、バッファ回路は、スイッチング素子が出力端子を介して直列に接続された構成であってもよい。
【0200】
また、本発明は、有機ELディスプレイに限らず、アクティブマトリクス型表示装置であれば、液晶表示装置などであっても適用可能である。