(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
第1および第2の変調器を含み、前記第1および第2の変調器が、それぞれ、電気光学効果を有する半導体基板に設けられた光導波路と、バイアス電圧および変調信号に応じた電界を前記光導波路に与える信号電極を備えるQPSK変調器と、
前記第1の変調器を駆動する第1の変調信号を生成する第1の駆動回路と、
前記第2の変調器を駆動する第2の変調信号を生成する第2の駆動回路と、
前記第1の変調器のバイアス電圧および前記第1の駆動回路に与えられる第1の振幅制御信号に低周波信号を重畳する第1の重畳器と、
前記第2の変調器のバイアス電圧および前記第2の駆動回路に与えられる第2の振幅制御信号に低周波信号を重畳する第2の重畳器と、
前記QPSK変調器により生成されるQPSK変調光信号から抽出される前記低周波信号の成分に基づいて、前記第1の変調器の変調方向のバイアス電圧、前記第1の変調器の変調方向に直交する方向のバイアス電圧、および前記第1の変調信号の振幅を制御する第1のコントローラと、
前記QPSK変調光信号から抽出される前記低周波信号の成分に基づいて、前記第2の変調器の変調方向のバイアス電圧、前記第2の変調器の変調方向に直交する方向のバイアス電圧、および前記第2の変調信号の振幅を制御する第2のコントローラと、を備え、
前記第1および第2の変調器それぞれにおいて、前記光導波路は、マッハツェンダ干渉計を形成する第1および第2の光導波路を含み、
前記第1および第2の変調器それぞれにおいて、前記信号電極は、前記第1および第2の光導波路にそれぞれ電界を与える第1および第2の電極を含み、
前記第1および第2の変調器それぞれにおいて、前記第1の電極には、前記変調信号および第1のバイアス電圧が与えられ、
前記第1および第2の変調器それぞれにおいて、前記第2の電極には、前記変調信号の反転信号および第2のバイアス電圧が与えられ、
前記半導体基板に設けられた前記第1および第2の変調器は、それぞれ、前記第1のバイアス電圧および前記第2のバイアス電圧を互いに同じ方向にシフトさせたときに前記変調器の出力光の強度が変化する構成であって、
前記第1のコントローラは、前記QPSK変調器により生成されるQPSK変調光信号から抽出される前記低周波信号の成分に基づいて、前記第1の変調器の第1のバイアス電圧および第2のバイアス電圧を同じ方向にシフトさせることにより、前記第1の変調器の直交方向のバイアス電圧を制御し、
前記第2のコントローラは、前記QPSK変調器により生成されるQPSK変調光信号から抽出される前記低周波信号の成分に基づいて、前記第2の変調器の第1のバイアス電圧および第2のバイアス電圧を同じ方向にシフトさせることにより、前記第2の変調器の直交方向のバイアス電圧を制御する、
ことを特徴とする光変調装置。
電気光学効果を有する半導体基板に設けられた光導波路と、バイアス電圧および変調信号に応じた電界を前記光導波路に与える信号電極を備える変調器の動作状態を制御する光変調制御方法において、
前記光導波路は、マッハツェンダ干渉計を形成する第1および第2の光導波路を含み、
前記信号電極は、前記第1および第2の光導波路にそれぞれ電界を与える第1および第2の電極を含み、
前記第1の電極には、前記変調信号および第1のバイアス電圧が与えられ、
前記第2の電極には、前記変調信号の反転信号および第2のバイアス電圧が与えられ、
前記半導体基板に設けられた変調器は、前記第1のバイアス電圧および前記第2のバイアス電圧を互いに同じ方向にシフトさせたときに前記変調器の出力光の強度が変化する構成であって、
前記バイアス電圧に低周波信号を重畳し、
前記変調器により生成される変調光信号から抽出される前記低周波信号の成分に基づいて、前記第1のバイアス電圧および前記第2のバイアス電圧を同じ方向にシフトさせることにより、前記変調器の変調方向に直交する方向のバイアス電圧を制御する
ことを特徴とする光変調制御方法。
【発明を実施するための形態】
【0013】
<第1の実施の形態>
第1の実施の形態では、Y軸方向だけでなく、X軸方向のバイアス制御もフィードバック制御(すなわち、自動制御)により実現される。すなわち、バイアス制御は、最適なバイアス電圧を表すデータ等を事前に取得することなく実現される。なお、X軸およびY軸については、後で記載する。
【0014】
図1は、第1の実施の形態に係る光変調装置の一例を示す。
図1に示す光変調装置2は、本発明の光変調装置の一例であって、光変調デバイスとして半導体マッハツェンダ型変調器(SMZM:Semiconductor Mach-Zehnder Modulator、以下「SMZM」と称する)4を備える。SMZM4は、電気光学効果を有する半導体基板を用いて実現される。SMZM4は、光変調器の一例であって、信号電極に付与されるバイアス電圧および変調信号により、通過光の位相を変調する。
【0015】
なお、本発明の実施形態に係る光変調器は、半導体変調器に限定されるものではなく、光位相変調時に光吸収変調を生じる変調器を含む。また、
図1は、2値位相変調の例を示すが、本発明はこれに限定されるものではない。すなわち、本発明の実施形態に係る光変調器は、多値位相変調器(例えば、QPSK変調器)にも適用可能である。多値位相変調器は、例えば、
図1に示す光変調器を複数備えることで実現される。
【0016】
SMZM4は、第1の光導波路6、および第2の光導波路8を備える。光導波路6、8は、上述の半導体基板上に形成される。また、光導波路6、8は、例えば、互いに平行に形成される。SMZM4には、入力光が導かれる。入力光は、信号を伝送するためのキャリア光であって、例えば、直流光源により生成されるCW光である。光源は、例えば、レーザ光源である。ただし、SMZM4には、光変調器から出力される光信号が入力されてもよい。入力光は、光スプリッタ10により分岐され、光導波路6、8に導かれる。光導波路6、8を通過した光は、合波器12により合波される。これにより、データ信号などの変調信号に対応する変調光信号が生成される。
【0017】
光導波路6に対して第1の信号電極16が設けられる。また、光導波路8に対して第2の信号電極18が設けられる。ここで、光導波路6、8、および信号電極16、18は、電気光学効果を有する半導体基板上にマッハツェンダ干渉計を実現するように、形成される。信号電極16、18は、それぞれ、バイアス電圧および変調信号に応じた電界を光導波路6、8に与える。この結果、光導波路6、8を通過する光の位相は、バイアス電圧および変調信号に応じて変調される。
【0018】
信号電極16は、第1の入力端子20に接続され、信号電極18は、第2の入力端子22に接続される。入力端子20には、第1の入力電圧V1が与えられ、入力端子22には、第2の入力電圧V2が与えられる。また、信号電極16、18には、それぞれ終端器24、26が接続されている。
【0019】
光変調装置2は、SMZM4の周辺回路として、駆動部28および制御部30を備えている。駆動部28は、入力データ信号から、SMZM4を駆動するための変調信号を生成する。変調信号は、正相変調信号V1ppおよび逆相変調信号V2ppを含む。逆相変調信号V2ppは、正相変調信号V1ppの反転信号である。また、制御部30は、第1のバイアス電圧V1biasおよび第2のバイアス電圧V2biasを生成する。入力電圧V1は、バイアス電圧V1biasおよび正相変調信号V1ppの重畳信号であり、入力電圧V2は、バイアス電圧V2biasおよび逆相変調信号V2ppの重畳信号である。各重畳信号は、それぞれバイアスT回路32、33を用いて生成され、入力端子20、22を介して信号電極16、18に印加される。バイアスT回路32、33は、例えば、インダクタおよびキャパシタを含む電子回路である。バイアスT回路(32、33)を使用することにより、高周波信号(V1pp、V2pp)はそれぞれ直流成分(V1bias、V2bias)の影響を受けることはなく、直流成分はそれぞれ高周波信号の影響を受けることはない。なお、バイアスT回路の構成および作用は、例えば、特開2007−109839号公報に記載されている。
【0020】
信号電極16、18に入力電圧V1、V2が印加されると、光導波路6、8の屈折率は電気光学効果により印加電圧に応じて変化する。この屈折率の変化は、各光導波路6、8の通過光の位相を変化させる。すなわち、光導波路6の屈折率は、入力電圧V1により変化し、光導波路8の屈折率は、入力電圧V2により変化する。この結果、各光導波路において、光位相が変調される。例えば、光導波路6においては入力光に対して0/−π変調が行われ、光導波路8においては入力光に対して0/π変調が行われる。この位相変調においては、光周波数チャーピングを小さくするために、プッシュプル駆動(差動駆動)が行われる。この結果、チャープの小さい変調光信号が生成され、SMZM4から出力される。
【0021】
駆動部28は、入力データ信号から、SMZM4を駆動するための変調信号(正相変調信号V1ppおよび逆相変調信号V2pp)を生成する。駆動部28は、制御部30から与えられる振幅制御電圧Vcに従って、変調信号の振幅を調整する。振幅制御電圧Vcに低周波信号Lfが重畳されているときは、変調信号の振幅は、低周波信号Lfの周波数に応じて変動する。以下では、変調信号の振幅が低周波信号Lfの周波数に応じて変動する状態を、「(低周波信号Lfによる)振幅変調」と呼ぶことがある。また、変調信号の振幅のことを「駆動振幅(または、変調振幅)」と呼ぶ。なお、低周波信号Lfは、基準信号の一例であり、例えば、周波数が1kHz程度の振幅の小さい低周波小信号(ディザ)である。
【0022】
制御部30は、SMZM4および駆動部28を制御する。制御部30は、SMZM4から出力される変調光信号を利用して、バイアス電圧V1bias、V2bias、および振幅制御電圧Vcを制御する。このとき、光モニタ部34は、SMZM4から出力される光信号をモニタし、制御部30は、光モニタ部34の出力を利用して上述の制御を行う。
【0023】
低周波変調部(低周波信号生成器)36は、低周波信号Lfを生成する。また、低周波変調部36は、バイアス電圧および駆動部28に与えられる振幅制御信号Vcに低周波信号を重畳する重畳器(または、その一部)として動作する。
【0024】
位相検出器38は、SMZM4から出力される変調光信号に含まれる低周波信号Lfの周波数成分(以下、低周波成分と呼ぶことがある)を検出する。すなわち、位相検出器38は、低周波検出器として動作する。このとき、位相検出器38は、低周波変調部36により生成される低周波信号Lfを利用して、出力光信号中の低周波成分の大きさおよび位相を検出する。ここで、出力光信号中の低周波成分の大きさおよび位相は、SMZM4の動作条件(バイアス電圧および駆動振幅)に依存する。例えば、SMZM4の動作状態が最適化されると、出力光信号に含まれる低周波成分のパワーまたは振幅はゼロになる(
図13、
図17、
図21など)。よって、制御部30は、出力光信号中の低周波成分を小さくするように、バイアス電圧および/または駆動振幅を制御する。そうすると、SMZM4の動作状態が最適化される。また、出力光信号中の低周波成分の位相は、低周波変調部36により生成される低周波信号Lfに対して、同相(位相差ゼロ)または逆相(位相差π)である。そして、この位相は、バイアス電圧および/または駆動振幅の制御の方向を表す。なお、制御部30は、広義の意味では、低周波成分と低周波信号Lfと間の位相差(0またはπ)に基づいて、バイアス電圧および/または駆動振幅を制御する。ただし、制御部30は、この位相差を小さくするようにバイアス電圧および/または駆動振幅を制御するのではなく、低周波成分のパワーまたは振幅を小さくするようにバイアス電圧および/または駆動振幅を制御する。
【0025】
バイアス制御部40は、バイアス電圧V1bias、バイアス電圧V2biasを制御する。このとき、バイアス制御部40は、位相検出器38の出力に基づいて、出力光信号中の低周波成分を低減させるように、バイアス電圧V1bias、V2biasを制御する。バイアス電圧V1bias、V2biasには、必要に応じて、低周波信号Lfが重畳される。また、バイアス電圧V1bias、V2biasは、出力光信号中の低周波成分のパワー(および、位相)に基づいて制御される。このとき、バイアス制御部40は、X軸方向および/またはY軸方向のバイアス電圧を制御する。すなわち、バイアス制御部40は、位相検出器38で検出された低周波成分に基づいてX軸方向および/またはY軸方向のバイアス電圧を最適化または略最適化するように、1組のバイアス電圧V1bias、V2biasを生成する。
【0026】
駆動振幅制御部42は、駆動部28が生成する変調信号の振幅を制御するための振幅制御電圧Vcを生成する。駆動振幅制御部42は、位相検出器38の出力に基づいて、出力光信号中の低周波成分を低減させるように、振幅制御電圧Vcを生成する。振幅制御電圧Vcには、必要に応じて、上述の低周波信号Lfが重畳される。この場合、低周波信号Lfが重畳された電圧が駆動部28に与えられる。すなわち、正相変調信号V1ppおよび逆相変調信号V2ppの変調振幅は、出力光信号中の低周波成分のパワー(および、位相)基づいて制御される。
【0027】
このように、制御部30は、SMZM4の出力光信号中の低周波成分に基づいて1組のバイアス電圧V1bias、V2biasおよび振幅制御電圧Vcを制御することにより、X軸方向およびY軸方向のバイアス電圧を自動的に制御すると共に、駆動振幅を自動的に制御する。したがって、SMZM4のバイアス電圧および駆動振幅を個々に且つ事前に調整しなくても、SMZM4の動作状態は最適化または略最適化される。
【0028】
このような制御によれば、温度変化または経年変化などに起因するSMZM4の特性の変動、あるいは駆動部28、制御部30、光モニタ部34などを構成するLSIまたは回路素子のばらつき等が存在しても、バイアス電圧および駆動振幅は、常に、最適または最適に近い状態に自動的に調整される。
【0029】
次に、この変調制御の手順について、
図2を参照する。
図2は、光変調装置の制御動作の一例を示している。
図2に示す手順は、本出願に係る光変調制御方法の一例である。
図2に示す手順では、光導波路6、8に変調信号およびバイアス電圧が印加される。これにより、光導波路6、8の入力光が変調される。(ステップS11)
SMZM4の出力光信号が光モニタ部34により検出される。モニタ結果は、制御部30に導かれる。(ステップS12)
【0030】
制御部30は、出力光信号の低周波成分を検出する。このとき、制御部30は、少なくとも低周波成分のパワーを検出する。或いは、制御部30は、低周波成分のパワーおよび位相を検出してもよい。(ステップS13)
制御部30は、検出した低周波成分に基づいて、変調信号の振幅およびバイアス電圧を制御する。(ステップS14)
【0031】
このように、光導波路6、8には、上述のようにして制御される変調信号およびバイアス電圧が与えられる。ここで、ステップS11〜S14の処理は、繰り返し実行される。したがって、SMZM4は、継続的に、最適な動作状態で光変調(位相変調)を行うことができる。すなわち、温度変化、経年変化、素子のばらつき等の様々な変動要因が存在する場合であっても、実施形態の光変調装置は、安定した変調動作を提供し、良好な光信号を生成することができる。
【0032】
なお、上述の実施形態では、位相検出器38を用いて低周波成分が検出されるが、本発明はこの構成に限定されるものではない。すなわち、SMZM4の出力光信号は、SMZM4の動作状態を表す情報を含んでいるので、本発明は、他の方法でSMZM4の動作状態を表す情報を抽出してもよい。例えば、本発明は、低周波信号Lfを利用して低周波成分を同期検波することにより、SMZM4の出力光信号中の低周波成分またはその高調波成分をモニタし、そのモニタ結果に応じてSMZM4を制御してもよい。
【0033】
上記実施の形態では、信号電極16、18に与えられる変調信号およびバイアス電圧の双方が制御されるが、本発明は、駆動振幅またはバイアス電圧のいずれか一方を制御する構成であってもよい。
【0034】
このような自動制御により、バイアス電圧および駆動振幅をマクロ的に最適化ないし最適化に近づけることができ、経年変化などの影響を受けない光変調出力が得られる。この結果、光変調出力の安定化が図られる。
【0035】
次に、SMZMの静特性と最適な駆動について、
図3を参照する。
図3は、SMZMの静特性の一例、およびSMZMの最適な駆動方法の一例を示す。
図3(A)は、SMZMの静特性(等高線表示)を示し、
図3(B)および
図3(C)は、それぞれ入力電圧V1および入力電圧V2の波形をアイダイヤグラムで示している。
【0036】
図3は、SMZM4の動作特性を3次元グラフで表わしている。横軸は、光導波路6の信号電極16に印加される入力電圧V1を表す。縦軸は、光導波路8の信号電極18に印加される入力電圧V2を表す。SMZM4の出力光パワーは、紙面に垂直な方向に、等高線を利用して表わされている。等高線表示は、正規化されている。すなわち、SMZM4の最大光パワーが「1.0」で表わされ、SMZM4の最小光パワー(或いは、消光状態)が「0.0」で表わされている。
【0037】
光位相変調において、光信号の変調度を最大にするためには、1組の入力電圧V1、V2により得られる駆動状態が、
図3(A)に示すように、2つのピーク点(すなわち、光パワーが「1.0」である点)の間を移動するように変調が行われる。このような変調動作を得るためには、光導波路6、8に印加する変調信号の振幅電圧Vpp(すなわち、正相変調信号V1ppおよび逆相変調信号V2ppの各振幅電圧Vpp)、およびバイアス電圧V1bias、V2biasをそれぞれ制御して、動作状態を最適化する必要がある。例えば、データ信号「1」が一方のピーク点(光パワー=1.0)に設定され、データ信号「0」が他方のピーク点(光パワー=1.0)に設定されるように、変調信号V1pp、V2ppの振幅、およびバイアス電圧V1bias、V2biasが制御される。変調信号V1ppは、例えば「ゼロ」または「π」を表し、変調信号V2ppは、例えば「ゼロ」または「−π」を表す。
【0038】
なお、この明細書においては、
図3(A)に示す静特性の2つのピーク点間を結ぶ仮想的な直線と平行な方向を「Y軸」または「Y軸方向」と呼ぶ。また、
図3(A)に示す静特性において、光パワーゼロを表す直線と平行な方向を「X軸」または「X軸方向」と呼ぶ。ここで、SMZMにおいては、X軸およびY軸は、互いに直交または略直交する。また、
図3(A)において、破線L1、L2は、SMZMの出力光信号の波形において「折り返し」が発生するレベルを表す。
【0039】
SMZM4の動作状態は、上述したように、
図3(A)に示す2つのピーク点間を移動するように制御される。すなわち、変調信号に対応する電圧により生成される状態は、
図3(A)に示す2つのピーク点間を移動する。したがって、この明細書においては、2つのピーク点間を結ぶ直線と平行な方向を「変調方向」と呼ぶ。すなわち、変調方向はY軸方向であり、X軸方向は変調方向に直交する。
【0040】
次に、Y軸方向の光変調について説明するために、
図4を参照する。
図4は、Y軸方向の変調動作の一例を示す。
図4(A)は、Y軸方向(すなわち、変調方向)の光出力特性を表す。
図4(B)は、変調信号の波形(アイダイヤグラム)を表す。
図4(C)は、出力光信号の波形(アイダイヤグラム)を表す。
【0041】
光位相変調においては、
図4(A)および
図4(B)に示すように、Y軸方向の駆動振幅は2Vπである。すなわち、変調信号「0」は、SMZM4の出力光パワーの2つのピーク点の一方に対応する電圧を表し、変調信号「1(πまたは−π)」は、SMZM4の出力光パワーの他方のピーク点に対応する電圧を表す。そうすると、SMZM4の出力光信号のパワーは、
図4(C)に示すように、1.0である。ただし、SMZM4の出力光信号のパワーは、変調信号の値が変化するタイミングで一時的にゼロになる。
【0042】
次に、Y軸方向の光出力特性について、
図5および
図6を参照する。
図5は、
図3と同様に、Y軸方向の光出力特性の三次元グラフである。
図6は、Y軸方向の電圧変化に対する光出力特性を表す。
図7は、X軸方向の光出力電力特性の一例である。
【0043】
SMZM4のバイアス電圧が変化すると、それに応じてSMZM4の光出力特性も変化する。たとえば、
図5に示す光出力特性において、バイアス電圧が異なる4つの動作状態a、b、c、dが与えられるものとする。ここで、状態bは、最適な状態に相当する。この場合、
図6に示すように、光出力特性a、b、c、dが得られる。なお、各特性a、b、c、dは、それぞれ
図5に示す動作状態a、b、c、dに対応している。
【0044】
バイアス電圧が最適な状態bに調整されていれば、出力光パワーは1.0である。この場合、
図6において特性bで示すように、高い光出力が得られる。X軸方向においてバイアス電圧が最適値からシフトすると、SMZM4の出力光パワーは低下する。例えば、
図5に示す状態aは、光パワーのピーク点の近傍に位置するので、SMZM4の出力光パワーはさほど低下しない(
図6の特性a)。これに対して、
図5に示す状態c、dは、光パワーのピーク点から遠く離れているので、SMZM4の出力光パワーは大きく低下してしまう(
図6の特性c、d)。
【0045】
このように、バイアス電圧が最適値に対してX軸方向にシフトすると、SMZM4の出力光パワーが低下し、変調効率が劣化する。SMZM4においては、
図7に示すように、X軸方向においてバイアス電圧が最適値からずれると光出力のピーク値が低下する。換言すれば、バイアス電圧が最適値に制御されれば、最大の光出力パワーが得られる。したがって、SMZM4においては、光導波路6、8に印加する変調信号V1pp、V2ppの振幅電圧Vpp、および各バイアス電圧V1bias、V2biasそれぞれを最適化することにより、好ましい位相変調が実現される。
【0046】
このような制御によれば、SMZM4がバイアスマップのX軸方向依存性(光強度変化および等高線間隔の変化)を有していても、優れた光変調出力が得られる。すなわち、バイアス電圧および駆動振幅を最適点に近づけることができ、安定した光変調出力が得られる。また、上記制御を実現するために、キャリア光の波長毎に最適な駆動振幅およびバイアス電圧を予め測定または取得しなくてもよい。
【0047】
SMZM4の静特性は、デバイス毎にばらつきを有する。また、上述のように、キャリア光の波長によりその静特性は変化する。しかし、実施形態の構成または方法によれば、出力光信号を利用するフィードバック制御により、駆動振幅およびバイアス電圧の最適化または略最適化が可能である。したがって、駆動振幅およびバイアス電圧の最適点を求めるために光変調装置ごとに調整を行う必要はない。さらに、温度変化あるいは経年変化などに起因してSMZM4の特性が変わる場合においても、光変調装置の動作中に駆動振幅およびバイアス電圧を最適化できる。したがって、光波形の折返し、消光比劣化、クロスポイント変動、光波形の開口度の縮小などの光信号の劣化は回避される。
【0048】
<第1の実施の形態の効果>
(1)SMZM4の出力光信号に基づいてバイアス電圧および駆動振幅が自動的に調整されるので、バイアス電圧および駆動振幅の無調整化を図ることができる。また、事前にキャリア光の波長毎に最適バイアスおよび最適振幅についてのデータを取得するための処理または作業が不要となる。
(2)バイアス電圧および駆動振幅が最適化または略最適化されるので、SMZM4などの光変調器、およびその周辺回路(駆動部28、制御部30など)の経年変化や特性変化の影響が回避され、光波形の劣化を防止できる。
【0049】
<第2の実施の形態>
第2の実施の形態について、
図8を参照する。
図8は、第2の実施の形態に係る光送信モジュールの一例を示している。
図8に示す構成は一例であって、本発明はこの構成に限定されるものではない。なお、
図8において、
図1と同じ要素には同じ符号が付されている。
【0050】
図8に示す光送信モジュール200Aは、本出願に係る光変調装置、光送信装置、光変調制御方法の一例である。光送信モジュール200Aは、
図1に示す光変調装置2と同様に、SMZM4、制御部30、駆動部28、光モニタ部34を備える。
【0051】
光送信モジュール200Aにおいては、SMZM4の入力側に光源44が設けられ、光源44の出力光がSMZM4に導かれる。光源44としては、例えば、直流光源が使用される。光源44は、例えば、CW光を生成する。SMZM4は、入力端子20、22を備える。入力端子20は、光導波路6に電界を与えるための信号電極16に接続され、入力端子22は、光導波路8に電界を与えるための信号電極18に接続されている。入力端子20、22には、それぞれ、入力電圧V1、V2が与えられる。そして、SMZM4は、電気光学効果による屈折率変調により、光導波路6、8の通過光の位相を変調する。この結果、変調光信号が生成される。SMZM4の出力光信号は、光モニタ部34によりモニタされる。光モニタ部34は、例えば、出力光信号を分岐するための光ビームスプリッタ46を備える。この場合、光ビームスプリッタ46は、SMZM4の出力光信号の一部を分岐して受光素子48に導く。受光素子48は、分岐光信号に応じた電流を生成することにより、光信号を電気信号に変換する。受光素子48は、例えば、フォトダイオードにより実現される。
【0052】
制御部30は、電流/電圧(I/V)変換部50を備える。I/V変換部50は、電流信号を電圧信号に変換する。このとき、I/V変換部50は、光信号に含まれる低周波成分を検出するようにしてもよい。この場合、I/V変換部50により、出力光信号中の低周波成分を表す電圧信号が得られる。なお、I/V変換部50は、例えば、トランスインピーダンスアンプで実現される。
【0053】
I/V変換部50の出力信号は、位相検出器38の位相比較器52に導かれる。位相比較器52は、低周波変調部54により生成される低周波信号Lfを利用して、出力光信号中の低周波成分を検出する。積分部56は、位相比較器52の出力信号を積分(すなわち、平均化)することにより、出力光信号中の低周波成分のパワーおよび位相を検出する。積分部56は、位相比較器52の出力信号を平滑する機能、および高周波成分を除去する機能を提供する。積分部56は、例えば、ローパスフィルタを含んで構成されるようにしてもよい。なお、位相比較器52において出力光信号中の低周波成分のパワーが検出される場合には、積分部56を省略してもよい。
【0054】
低周波変調部54は、基準信号である低周波信号Lfの信号源の一例であって、略一定の振幅を有する低周波信号Lfを生成する。低周波信号Lfの周波数は、入力データ信号のビットレートまたはシンボルレートと比較して十分に低い。また、低周波信号Lfの振幅は、駆動回路76から出力される変調信号の振幅(すなわち、駆動振幅)と比較して十分に小さいものとする。低周波変調部54により生成される低周波信号Lfは、位相比較器52、加算器74、加算器68、極性切替部72に導かれる。
【0055】
制御部30は、さらに、X軸方向バイアス制御部(第1のバイアス制御器)58、Y軸方向バイアス制御部(第2のバイアス制御器)60、駆動振幅制御部62、V1バイアス制御部64、V2バイアス制御部66を備える。
【0056】
X軸方向バイアス制御部58は、X軸方向のバイアスを制御するシーケンスにおいて、積分部56の出力信号(すなわち、出力光信号中の低周波成分)がゼロになるように、
図3に示すマップ上のX軸方向にSMZM4のバイアス点を制御する。すなわち、X軸方向バイアス制御部58は、入力電圧V1、V2を制御することにより、SMZM4のバイアス点をX軸方向において調整する。この場合、X軸上におけるバイアス点の移動方向は、積分部56の出力電圧の極性(すなわち、正または負)により決定される。そして、積分部56の出力がゼロになるように、バイアス電圧V1bias、V2biasが制御される。例えば、バイアス電圧V1biasの電圧変化量をΔV1、バイアス電圧V2biasの電圧変化量をΔV2としたときに、ΔV1=ΔV2により、バイアス点がX軸方向に移動する。なお、ΔV1、ΔV2は、積分部56の出力信号に基づいてX軸方向バイアス制御部58により算出される。
【0057】
Y軸方向バイアス制御部60は、Y軸方向のバイアスを制御するシーケンスにおいて、積分部56の出力信号(すなわち、出力光信号中の低周波成分)がゼロになるように、Y軸方向にSMZM4のバイアス点を制御する。すなわち、Y軸方向バイアス制御部60は、入力電圧V1、V2を制御することにより、SMZM4のバイアス点をY軸方向において調整する。この場合、Y軸上におけるバイアス点の移動方向は、積分部56の出力電圧の極性(すなわち、正または負)により決定される。そして、積分部56の出力がゼロになるように、バイアス電圧V1bias、V2biasが制御される。例えば、バイアス電圧V1biasの電圧変化量をΔV1、バイアス電圧V2biasの電圧変化量をΔV2としたときに、ΔV1=−ΔV2により、バイアス点がY軸方向に移動する。なお、ΔV1、ΔV2は、積分部56の出力信号に基づいてY軸方向バイアス制御部60により算出される。
【0058】
V1バイアス制御部64は、X軸方向バイアス制御部58およびY軸バイアス制御部60の出力に基づいて、バイアス電圧V1biasを生成する。V1バイアス制御部64は、現在のバイアス電圧V1bias、X軸方向バイアス制御部58およびY軸方向バイアス制御部60の出力に基づいて、次のバイアス電圧V1bias(設定値)を算出する。すなわち、出力光信号中の低周波成分を利用してバイアス電圧V1biasが制御され、その低周波成分をゼロにするようにバイアス電圧V1biasが最適化される。
【0059】
V2バイアス制御部66の動作は、V1バイアス制御部64と実質的に同じである。ただし、V2バイアス制御部66は、X軸方向バイアス制御部58およびY軸バイアス制御部60の出力に基づいて、バイアス電圧V2biasを生成する。
【0060】
加算器68は、V1バイアス制御部64の出力信号に低周波信号Lfを加算する。すなわち、バイアス電圧V1biasに低周波信号Lfが重畳される。加算器70は、V2バイアス制御部66の出力信号に、極性切替部72の出力信号を加算する。極性切替部72は、後述する制御回路から反転指示を受けたときは、低周波信号Lfの極性を反転させる。すなわち、バイアス電圧V2biasには、低周波信号Lfまたは反転低周波信号Lfが重畳される。なお、X軸方向のバイアスを制御するシーケンスにおいては、極性切替部72は低周波信号Lfを反転させないので、バイアス電圧V2biasには低周波信号Lfが重畳される。一方、Y軸方向のバイアスを制御するシーケンスにおいては、極性切替部72は低周波信号Lfを反転させるので、バイアス電圧V2biasには反転低周波信号Lfが重畳される。
【0061】
駆動振幅制御部62は、駆動振幅を制御するシーケンスにおいて、積分部56の出力信号(すなわち、出力光信号中の低周波成分)がゼロになるように、駆動振幅を制御するための振幅制御電圧Vcを生成する。この場合、駆動振幅の制御方向(すなわち、駆動振幅を大きくするのか小さくするのか)は、積分部56の出力電圧の極性(すなわち、正または負)により決定される。
【0062】
加算器74は、駆動振幅を制御するシーケンスにおいて、駆動振幅制御部62の出力信号に低周波信号Lfを加算する。すなわち、振幅制御電圧Vcに低周波信号Lfが重畳される。なお、駆動振幅の制御が行われていないときは、加算器74には低周波信号Lfは与えられず、加算器74から出力される振幅制御電圧Vcは、直流電圧である。
【0063】
駆動回路76は、
図1に示す駆動部28の一例であり、入力データ信号に対応する変調信号(正相変調信号V1pp、逆相変調信号V2pp)を生成する。ここで、駆動回路76は、制御部30から与えられる振幅制御電圧Vcに応じて、変調信号の振幅(すなわち、駆動振幅)を制御する。したがって、駆動振幅を制御するシーケンスにおいては、変調信号V1pp、V2ppの振幅は、それぞれ低周波信号Lfに同期して変動する。
【0064】
正相変調信号V1ppおよびバイアス電圧V1biasは、バイアスT回路32により重畳され、この重畳信号は、入力電圧V1として入力端子20に与えられる。また、逆相変調信号V2ppおよびバイアス電圧V2biasは、バイアスT回路33により重畳され、この重畳信号は、入力電圧V2として入力端子22に与えられる。バイアスT回路32、33は、それぞれ、駆動回路76に接続されるキャパシタ78、および制御部30側に接続されるインダクタ80を備える。キャパシタ78は、バイアス電圧V1bias、V2biasに対して高いインピーダンスを提供する。インダクタ80は、正相変調信号V1ppおよび逆相変調信号V2ppに対して高インピーダンスを提供する。したがって、これらの重畳信号は、それぞれ効率よく入力端子20、22に与えられる。なお、バイアスT回路32、33は、同様の機能を備える他の回路で実現されてもよい。
【0065】
なお、加算器68、70、74は、重畳器として動作する。この場合、重畳器は、低周波変調部54を含んでもよい。また、重畳器は、極性切替部72をさらに含んでもよい。また、X軸方向バイアス制御部58、Y軸方向バイアス制御部60、駆動振幅制御部62、V1バイアス制御部64、V2バイアス制御部66は、「変調方向のバイアス電圧、直交方向のバイアス電圧、変調信号の振幅を制御するコントローラ」として動作する。この場合、コントローラは、位相比較器52、積分部56を含んでもよい。
【0066】
次に、Y軸方向バイアス制御について、
図9および
図10を参照する。
図9は、Y軸方向のバイアス電圧に低周波信号を重畳した場合の動作例を示す。
図9(A)は、SMZM4の静特性、
図9(B)は、バイアス電圧V1biasの波形、
図9(C)は、Y軸方向の電圧波形、
図9(D)は、バイアス電圧V2biasの波形、
図9(E)は、X軸方向の電圧波形である。
図10は、
図9(B)〜
図9(E)に示す各波形の位相を表す。
【0067】
Y軸方向バイアス制御においては、
図9(B)に示すように、入力電圧V1には正相の低周波信号(非反転波形)が重畳されている。また、
図9(D)に示すように、入力電圧V2には、逆相の低周波信号(反転波形)が重畳されている。なお、
図9(A)に示す太線矢印は、低周波信号によるY軸方向のバイアス電圧変化を表す。
【0068】
このように、入力電圧V1、V2に対して互いに同じ振幅で位相が反転した低周波信号を重畳すると、X軸方向において低周波信号は相殺される。このため、
図9(E)に示すように、X軸方向のバイアス電圧は変化しない。他方、
図9(C)に示すように、Y軸方向の電圧は、低周波信号で変調される。
【0069】
この場合、
図10(A)に示すように、入力電圧V1には正相の低周波信号Lfが重畳される。また、
図10(B)に示すように、入力電圧V2には逆相の低周波信号Lfが重畳される。この結果、X軸方向のバイアス電圧は、正相の低周波信号Lfおよび逆相の低周波信号Lfが相殺されるので、
図10(C)に示すように、略一定レベルの直流電圧となる。一方、Y軸方向のバイアス電圧は、
図10(D)に示すように、低周波信号Lfと同じ周波数で変動する。Y軸方向のバイアス電圧の位相は、逆相の低周波信号Lfに同期する。
【0070】
Y軸方向のバイアス制御について、さらに
図11および
図12を参照する。
図11は、Y軸方向のバイアス制御動作の一例を示す。
図11(A)はSMZM4の入力/出力特性、
図11(B)はデータ信号変調信号の波形、
図11(C)は出力光信号の波形を示している。また、
図12は、
図11に示す動作において、Y軸方向バイアス電圧および出力光信号の例を示している。
【0071】
ここでは、
図11(A)に示す動作特性を有するSMZM4に、
図11(B)に示すデータ信号変調信号が入力される。データ信号変調信号は、入力電圧V1、V2としてSMZM4に与えられる。ここで、Y軸方向のバイアスを制御するシーケンスにおいては、バイアス電圧V1bias、V2biasが低周波信号Lfで変調されている。このため、データ信号変調信号は、
図11(B)に示すように、低周波信号Lfの成分を含んでいる。そして、SMZM4は、
図11(C)に示す光信号を出力する。
【0072】
Y軸方向のバイアスを制御するシーケンスにおいては、
図12(A)に示すように、Y軸方向のバイアス電圧は低周波信号Lfで変調されている。したがって、データ信号変調信号は、
図12(B)に示すように、低周波信号Lfの成分を含む。
【0073】
しかし、Y軸方向のバイアス電圧が最適化されていれば、
図12(C)に示すように、光出力中の低周波成分は零となる。この場合、出力光信号は、低周波信号の周波数の2倍の成分を含む。これに対して、Y軸方向のバイアス電圧が最適値から正(+)側にずれているときは、
図12(D)に示すように、出力光信号は、低周波信号Lfの逆相の低周波成分を含む。また、Y軸方向のバイアス電圧が最適値から負(−)側にずれているときには、
図12(E)に示すように、出力光信号は、低周波信号Lfと同相の低周波成分を含む。
【0074】
従って、制御部は、出力光信号中の低周波成分を検出して低周波信号Lfと位相を比較すれば、制御方向を決定することができる。すなわち、制御部は、低周波信号Lfと同じ位相の低周波成分を検出したときは、Y軸方向のバイアス電圧を正方向にシフトさせることにより、そのバイアス電圧を最適点に近づける。同様に、制御部は、低周波信号Lfと逆の位相の低周波成分を検出したときは、Y軸方向のバイアス電圧を負方向にシフトさせることにより、そのバイアス電圧を最適点に近づける。このフィードバック制御により、Y軸方向のバイアス電圧は、最適点に近づく。ここで、このフィードバック制御は、実質的には、出力光信号中の低周波成分を小さくする制御と等価である。したがって、上記制御により出力光信号中の低周波成分が最小化され、Y軸方向のバイアス電圧が最適化される。
【0075】
次に、Y軸方向の駆動振幅制御について、
図13および
図14を参照する。
図13は、振幅制御電圧Vcに低周波信号が重畳された場合の動作を示す。
図13(A)はSMZM4の静特性、
図13(B)は入力電圧V1の波形、
図13(C)はY軸方向の電圧波形、
図13(D)は入力電圧V2の波形、
図13(E)はX軸方向の電圧波形を示している。
図14は、
図13(B)〜
図13(E)に示す波形の位相を示す。
【0076】
Y軸方向の駆動振幅制御においては、例えば、振幅制御電圧Vcに低周波信号Lfが重畳される。この結果、
図13(B)および
図13(D)に示すように、入力電圧V1および入力電圧V2には、それぞれ低周波信号Lfが重畳される。すなわち、入力電圧V1および入力電圧V2は、それぞれ低周波信号Lfで振幅変調される。なお、
図13(A)において、二重線矢印はY軸方向の電圧変化を示している。
【0077】
このように、Y軸方向の駆動振幅の制御では、制御部は、振幅制御電圧Vcに低周波信号Lfを重畳する。この結果、
図13(C)に示すように、低周波信号Lfで変調されたY軸方向の電圧が生成される。ただし、入力信号V1、V2の振幅は、互いに逆の位相の低周波信号で変調されている。したがって、X軸方向においては、低周波信号は相殺される。この結果、X軸方向の電圧は、
図13(E)に示すように、略一定レベルの直流電圧となる。
【0078】
駆動振幅を制御するシーケンスにおいて、振幅制御電圧Vcには、
図14(A)に示すように、低周波信号Lfが重畳される。駆動回路76は、この振幅制御電圧Vcにより駆動される。そうすると、
図14(B)に示す正相データ信号変調信号および
図14(C)に示す逆相データ信号変調信号が生成される。ここで、データ信号変調信号は、高電位側および低電位側に同じ変化を有する対称振幅変調信号である。したがって、Y軸方向の電圧信号は、
図14(D)に示すように、低周波信号Lfで振幅変調されている。
【0079】
Y軸方向の駆動振幅制御について、
図15および
図16をさらに参照する。
図15は、Y軸方向の駆動振幅制御の一例を示す。
図15(A)はSMZM4の入力/出力特性、
図15(B)はデータ信号変調信号の波形、
図15(C)は出力光信号の波形を示す。
図16は、
図15に示す動作において、Y軸方向バイアス電圧および出力光信号の例を示している。
【0080】
ここでは、
図15(A)に示す動作特性を有するSMZM4に、
図15(B)に示すデータ信号変調信号が入力される。駆動振幅を制御するシーケンスにおいては、駆動振幅電圧Vcが低周波信号Lfで変調されている。このため、データ信号変調信号の振幅は、
図15(B)に示すように、低周波信号Lfの成分を含んでいる。そして、SMZM4は、
図15(C)に示す光信号を出力する。
【0081】
図16(A)に示すように、振幅制御電圧Vcは、低周波信号Lfで変調されている。駆動回路76は、この振幅制御電圧Vcに従って、入力データ信号からデータ信号変調信号を生成する。したがって、データ信号変調信号の振幅は、
図16(B)に示すように、低周波信号Lfによる対称振幅変調が施されている。ここで、
図15(A)に示す入力/出力特性において、Y軸方向の電圧が、SMZMの出力光パワーがピークとなる電圧値を超えると、SMZMの出力光信号波形において「折返し」が発生する。
図15(C)および
図16(C)は、低周波信号Lfの周期で折返しが発生している光信号の波形を示している。
【0082】
Y軸方向の駆動振幅を制御するシーケンスにおいて、駆動振幅が最適化されているときは、
図16(C)に示すように、出力光信号中の低周波成分はゼロである。この場合、出力光信号は、低周波信号の周波数の2倍の成分を含む。これに対して、駆動振幅が最適値より小さいときは、
図16(D)に示すように、出力光信号は、低周波信号Lfと同相の低周波成分を含む。また、駆動振幅が最適値より大きいときは、
図16(E)に示すように、出力光信号は、低周波信号Lfと逆相の低周波成分を含む。
【0083】
従って、制御部は、出力光信号中の低周波成分を検出して低周波信号Lfと位相を比較すれば、制御方向を決定することができる。すなわち、制御部は、低周波信号Lfと同じ位相の低周波成分を検出したときは、駆動振幅を大きくすることにより、駆動振幅を最適値に近づける。同様に、制御部は、低周波信号Lfと逆の位相の低周波成分を検出したときは、駆動振幅を小さくすることにより、駆動振幅を最適値に近づける。ここで、このフィードバック制御は、実質的には、出力光信号中の低周波成分を小さくする制御と等価である。したがって、上記制御により出力光信号中の低周波成分が最小化され、駆動振幅が最適化される。
【0084】
次に、X軸方向のバイアス制御について、
図17および
図18を参照する。
図17は、X軸方向のバイアス制御動作の一例を示す。
図17(A)はSMZM4の静特性、
図17(B)はバイアス電圧V1biasの波形、
図17(C)はY軸方向の電圧波形、
図17(D)はバイアス電圧V2biasの波形、
図17(E)はX軸方向の電圧波形を示す。
図18は、
図17に示す動作において、バイアス電圧V1bias、バイアス電圧V2bias、X軸方向の電圧、Y軸方向の電圧を示している。
【0085】
X軸方向バイアス制御においては、X軸方向のバイアス電圧に低周波信号Lfが重畳される。
図17(A)に示すマップ上の太線矢印は、X軸方向のバイアス制御のための電圧変動を示している。このバイアス制御においては、
図17(B)に示す低周波信号Lfが重畳されたバイアス電圧V1bias、および
図17(D)に示す低周波信号Lfが重畳されたバイアス電圧V2biasが使用される。この場合、Y軸方向の電圧は、
図17(C)に示すように、低周波信号Lfによる変化はない。一方、
図17(E)に示すように、X軸方向の電圧は、低周波信号Lfで変調されている。
【0086】
X軸方向の電圧に対する低周波信号Lfの重畳は、同じ位相の低周波信号Lfをバイアス電圧V1bias、V2biasにそれぞれ重畳することにより実現される。すなわち、
図18(A)および
図18(B)に示すように、同じ振幅かつ同じ位相の低周波信号Lfでバイアス電圧V1bias、V2biasを振幅変調すると、Y軸方向では低周波信号Lfが相殺される。この結果、
図18(D)に示すように、Y軸方向の電圧は略一定レベルの直流電圧となる。一方、X軸方向の電圧は、
図18(C)に示すように、低周波信号Lfで変調される。
【0087】
X軸バイアスの制御について、
図19および
図20をさらに参照する。
図19は、X軸バイアスの制御動作の一例を示す。
図19(A)はX軸方向の電圧に対する光出力特性、
図19(B)はX軸方向の電圧波形、
図19(C)は出力光信号の波形を示している。
図20は、
図19に示す動作において、X軸方向のバイアス電圧および光出力電力を示している。
【0088】
ここでは、
図19(A)に示す特性を有するSMZM4に、
図19(B)に示すX軸方向電圧信号が入力される。ここで、X軸方向のバイアス電圧を制御するシーケンスにおいては、X軸方向の電圧が低周波信号Lfで変調されている。そして、SMZM4は、
図19(C)に示す光信号を出力する。なお、
図19は、X軸方向のバイアス電圧が最適化されている状態を示している。
【0089】
X軸方向のバイアス電圧を制御するシーケンスにおいては、X軸方向の電圧は、
図20(A)に示すように、低周波信号Lfで変調されている。このとき、X軸方向のバイアス電圧が最適であれば、
図20(B)に示すように、出力光信号中の低周波成分はゼロである。この場合、出力光信号は、低周波信号の周波数の2倍の成分を含む。X軸方向のバイアス電圧が最適値から正(+)側にずれているときは、
図20(C)に示すように、出力光信号は、低周波信号Lfと逆相の低周波成分を含む。また、X軸方向のバイアス電圧が最適値から負(−)側にずれているときは、出力光信号は、低周波信号Lfと同相の低周波成分を含む。
【0090】
従って、制御部は、出力光信号中の低周波成分を検出して低周波信号Lfと位相を比較すれば、制御方向を決定することができる。すなわち、制御部は、低周波信号Lfと同じ位相の低周波成分を検出したときは、X軸方向のバイアス電圧を正方向にシフトさせることにより、そのバイアス電圧を最適点に近づける。同様に、制御部は、低周波信号Lfと逆の位相の低周波成分を検出したときは、X軸方向のバイアス電圧を負方向にシフトさせることにより、そのバイアス電圧を最適点に近づける。ここで、このフィードバック制御は、実質的には、出力光信号中の低周波成分を小さくする制御と等価である。よって、上記制御により出力光信号中の低周波成分が最小化され、X軸方向のバイアス電圧が最適化される。
【0091】
第2の実施の形態の各要素の構成および動作は以下の通りである。すなわち、光送信モジュール200Aの制御部30は、低周波信号Lfを生成する低周波変調部54を備えている。そして、制御部30は、SMZM4のX軸方向バイアス電圧およびY軸方向バイアス電圧を、それぞれ低周波信号Lfで変調する。また、制御部30は、SMZM4を駆動するための変調信号を低周波信号Lfで振幅変調する。
【0092】
光モニタ部34は、SMZM4の出力光信号の一部を分岐するビームスプリッタ46、およびその分岐光を光電流に変換する受光素子48を備える。制御部30は、I/V変換部50を備え、電流信号を電圧信号に変換する。このように、光モニタ部34が出力光信号を直接的に監視し、出力光信号を表す電気信号が制御部30に与えられるので、効率のよい駆動制御が実現される。
【0093】
制御部30は、位相比較器52および積分部56を含む位相検出器38を備える。位相検出器38は、出力光信号に含まれる低周波成分のパワーおよび位相を検出する。
制御部30は、X軸方向バイアス制御部58、Y軸方向バイアス制御部60、駆動振幅制御部62を備え、出力光信号中の低周波成分に基づいて、X軸方向のバイアス電圧の制御、Y軸方向のバイアス電圧の制御、変調信号の振幅の制御を実行する。これらの制御により、変調信号の振幅およびバイアス電圧が最適化または略最適化される。
【0094】
<第3の実施の形態>
第3の実施の形態について、
図21を参照する。
図21は、第3の実施の形態に係る光送信モジュールの構成例を示している。
図21において、
図1および
図8と同一の要素には同一符号が付されている。
【0095】
図21に示す光送信モジュール200Bは、本出願の光変調装置、光送信装置、光変調制御方法の一例である。光送信モジュール200Bは、SMZM4、制御部30、駆動部28、光モニタ部34を備える。SMZM4の入力側には光源44が設けられている。
【0096】
光送信モジュール200Bの制御部30は、低周波信号Lfの重畳、バイアス電圧の制御、駆動振幅の制御を時分割で実行する。制御部30においては、低周波変調部54により生成される低周波信号Lfは、位相比較器52、低周波スイッチ92、94、96に導かれる。低周波スイッチ92、94、96は、それぞれ、時分割制御回路98からの指示に従ってON状態またはOFF状態に制御される。低周波スイッチ92、94、96は、ON状態においては、低周波信号Lfを通過させる。また、低周波スイッチ92、94、96は、OFF状態においては、低周波信号Lfを遮断する。したがって、加算器74、68、70には、それぞれ、対応する低周波スイッチ92、94、96がON状態に制御されたときに、低周波信号Lfが与えられる。極性切替部72は、低周波スイッチ96と加算器70との間に設けられ、時分割制御回路98から反転指示を受信したときは、低周波信号Lfの極性を反転させる。
【0097】
時分割制御回路98は、時分割方式で、制御部30内の各要素の動作を制御する。すなわち、時分割制御回路98は、X軸方向バイアス制御部58、Y軸方向バイアス制御部60、駆動振幅制御部62、極性切替部72の動作を制御する。また、時分割制御回路98は、低周波スイッチ92、94、96の状態を制御する。さらに、時分割制御回路98は、低周波スイッチ92、94、96、極性切替部72を制御することにより、バイアス電圧を低周波信号Lfで変調する動作、および変調信号の振幅を低周波信号Lfで変調する動作を提供する。なお、時分割制御回路98は、例えば、クロック回路を備え、所定の時間間隔で制御部30の動作状態を切り替えることができる。
【0098】
光送信モジュール200Bの制御動作について、
図22を参照する。
図22は、制御動作の手順を示すフローチャートである。光送信モジュール200Bの制御手順においては、Y軸方向のバイアス制御(ステップS31)、Y軸振幅制御(ステップS32)、X軸方向のバイアス制御(ステップS33)が時系列的に繰り返し実行される。
【0099】
Y軸方向のバイアス制御(ステップS31)においては、時分割制御回路98は、低周波スイッチ92、94、96を、それぞれOFF状態、ON状態、ON状態に制御する。また、時分割制御回路98は、極性切替部72に対して、反転動作を行わせる(ON:反転動作)。さらに、時分割制御回路98は、Y軸方向バイアス制御部60を動作状態(ON)に制御すると共に、X軸方向バイアス制御部58を停止状態(OFF:現設定維持)に制御する。
【0100】
ステップS31においては、
図9〜
図12を参照しながら説明した動作が実現される。すなわち、加算器68は、バイアス電圧V1biasに低周波信号Lfを重畳し、加算器70は、バイアス電圧V2biasに反転低周波信号Lfを重畳する。この場合、Y軸方向のバイアス電圧は、
図10(D)に示すように、低周波信号Lfで変調される。よって、SMZM4の出力光信号は、低周波信号Lfの周波数成分(すなわち、低周波成分)を含むことになる。そして、Y軸方向バイアス制御部60は、この低周波成分を小さくするように、V1バイアス制御部64およびV2バイアス制御部66を制御する。この結果、Y軸方向のバイアス電圧が最適化される。
【0101】
Y軸振幅制御(ステップS32)においては、時分割制御回路98は、低周波スイッチ92、94、96を、それぞれON状態、OFF状態、OFF状態に制御する。また、時分割制御回路98は、Y軸方向バイアス制御部60およびX軸方向バイアス制御部58を停止状態(OFF:現設定維持)に制御する。なお、Y軸振幅が制御されるときは、低周波スイッチ96はOFF状態に制御されており、極性切替部72には低周波信号Lfは供給されない。したがって、極性切替部72は、ON状態またはOFF状態にいずれであってもよい。
【0102】
ステップS32においては、
図13〜
図16を参照しながら説明した動作が実現される。すなわち、加算器74は、駆動振幅電圧Vcに低周波信号Lfを重畳する。この場合、駆動回路76により生成される変調信号の振幅は、
図14(B)および
図14(C)に示すように、低周波信号Lfで変調される。よって、SMZM4の出力光信号は、低周波成分を含む。そして、駆動振幅制御部62は、この低周波成分を小さくするように、駆動振幅電圧Vcを制御する。この結果、駆動振幅が最適化される。
【0103】
X軸方向のバイアス制御(ステップS33)においては、時分割制御回路98は、低周波スイッチ92、94、96を、それぞれOFF状態、ON状態、ON状態に制御する。また、時分割制御回路98は、極性切替部72に対して、反転動作を行わないことを指示する(OFF:非反転動作)。さらに、時分割制御回路98は、Y軸方向バイアス制御部60を停止状態(OFF)に制御すると共に、X軸方向バイアス制御部58を動作状態(ON)に制御する。
【0104】
ステップS33においては、
図17〜
図20を参照しながら説明した動作が実現される。すなわち、加算器68は、バイアス電圧V1biasに低周波信号Lfを重畳し、加算器70は、バイアス電圧V2biasに低周波信号Lfを重畳する。この場合、X軸方向のバイアス電圧は、
図18(D)に示すように、低周波信号Lfで変調される。よって、SMZM4の出力光信号は、低周波成分を含むことになる。そして、X軸方向バイアス制御部58は、この低周波成分を小さくするように、V1バイアス制御部64およびV2バイアス制御部66を制御する。この結果、X軸方向のバイアス電圧が最適化される。
【0105】
なお、ステップS32を実行することにより、ステップS31で最適化されているY軸方向のバイアス電圧がその最適値からずれることがある。また、ステップS33を実行することにより、ステップS31で最適化されているY軸方向のバイアス電圧、および/またはステップS32で最適化されている駆動振幅が、それぞれ最適値からずれることがある。したがって、この実施形態の制御部30は、ステップS31〜S33の処理を繰り返し実行してもよい。この場合、制御部30は、ステップS31〜S33を予め決められた回数だけ繰り返し実行してもよい。また、制御部30は、Y軸方向のバイアス電圧、駆動振幅、X軸方向のバイアス電圧がそれぞれ十分に収束するまでステップS31〜S33を繰り返し実行してもよい。
【0106】
このように、第3の実施形態では、Y軸方向バイアス制御部60、X軸方向バイアス制御部58、駆動振幅制御部62は、時分割制御回路98の時分割制御に従って、選択的に動作する。また、第3の実施形態では、1つの低周波信号Lfを使用して、X軸方向バイアス、Y軸方向バイアス、変調信号の振幅が制御される。この場合、バイアス電圧V1、V2の一方に重畳される低周波信号Lfは、X軸バイアス制御時にはそのまま使用され、Y軸バイアス制御時には極性切替部72により反転させられた後に使用される。
【0107】
さらに、第3の実施形態においては、X軸方向のバイアス電圧、Y軸方向のバイアス電圧、駆動振幅の制御が、時分割方式により互いに異なるタイミングで行われる。したがって、各制御の精度が高くなる。
【0108】
<第4の実施の形態>
第4の実施の形態について、
図23を参照する。
図23は、第4の実施の形態に係る光モジュールの構成例を示す。
図23において、
図21と同じ要素には、同じ符号が付されている。
【0109】
図23に示す光送信モジュール200Cは、本出願の光変調装置、光送信装置および光変調制御方法の一例である。光送信モジュール200Cは、
図1に示す光変調装置2と同様に、SMZM4、制御部30、駆動部28、光モニタ部34を備える。SMZM4の入力側には、光源44が設けられている。
【0110】
光送信モジュール200Cの制御部30においては、異なる周波数f1、f2、f3の低周波信号Lf1、Lf2、Lf3が使用される。すなわち、これら3つの低周波信号Lf1、Lf2、Lf3を使用して、上述のY軸方向のバイアス電圧制御、X軸方向のバイアス電圧制御、駆動振幅制御が実行される。この実施例では、X軸方向のバイアス電圧を制御するために低周波信号Lf1が使用され、Y軸方向のバイアス電圧を制御するために低周波信号Lf2が使用され、変調信号の振幅を制御するために低周波信号Lf3が使用される。
【0111】
制御部30は、第1の低周波変調部541、第2の低周波変調部542、第3の低周波変調部543を備える。低周波変調部541は周波数f1の低周波信号Lf1を生成し、低周波変調部542は周波数f2の低周波信号Lf2を生成し、低周波変調部543は周波数f3の低周波信号Lf3を生成する。周波数f1、f2、f3は、特に限定されるものではないが、例えば、f1=1kHz、f2=1.3kHz、f3=1.6kHzである。
【0112】
低周波信号Lf1は、加算器681によりV1バイアス制御部64の出力信号に重畳される。また、低周波信号Lf1は、加算器701によりV2バイアス制御部64の出力信号に重畳される。低周波信号Lf2は、極性反転部722により反転された後、加算器682によりV1バイアス制御部64の出力信号に重畳される。また、低周波信号Lf2は、加算器702によりV2バイアス制御部66の出力信号に重畳される。低周波信号Lf3は、加算器74により駆動振幅制御部62の出力信号に重畳される。よって、駆動回路76から出力されるデータ信号変調信号は、低周波信号Lf3により振幅変調される。そして、SMZM4には、低周波信号Lf1、Lf2、Lf3が重畳されているバイアス電圧および変調信号が与えられる。
【0113】
低周波信号Lf1、Lf2、Lf3に対応する各低周波成分を検出するため、制御部30は、位相検出器381、382、383を備える。位相検出器381は位相比較器521および積分部561を含み、位相検出器382は位相比較器522および積分部562を含み、位相検出器383は位相比較器523および積分部563を含む。
【0114】
位相検出器381は、低周波信号Lf1を利用して、I/V変換部50の出力信号から低周波信号Lf1と同じ周波数成分(Lf1成分)を検出する。同様に、位相検出器382は、低周波信号Lf2を利用して、I/V変換部50の出力信号から低周波信号Lf2と同じ周波数成分(Lf2成分)を検出する。位相検出器383は、低周波信号Lf3を利用して、I/V変換部50の出力信号から低周波信号Lf3と同じ周波数成分(Lf3成分)を検出する。
【0115】
位相検出器381により検出されるLf1成分は、X方向バイアス制御部58に与えられる。X方向バイアス制御部58は、Lf1成分を小さくするように、V1バイアス制御部64およびV2バイアス制御部66に対して指示を与える。すなわち、バイアス電圧V1bias、V2biasは、Lf1成分を小さくするように制御される。同様に、位相検出器382により検出されるLf2成分は、Y方向バイアス制御部60に与えられる。Y方向バイアス制御部60は、Lf2成分を小さくするように、V1バイアス制御部64およびV2バイアス制御部66に対して指示を与える。すなわち、バイアス電圧V1bias、V2biasは、Lf1成分およびLf2成分を小さくするように制御される。さらに、位相検出器383により検出されるLf3成分は、駆動振幅制御部62に与えられる。駆動振幅制御部62は、Lf3成分を小さくするように、振幅制御電圧Vcを制御する。
【0116】
このように、第4の実施形態においては、異なる周波数の低周波信号Lf1〜Lf3を用いて、Y軸方向のバイアス電圧制御、X軸方向のバイアス電圧制御、変調信号の振幅の制御が実行される。したがって、第4の実施形態においては、Y軸方向のバイアス電圧制御、X軸方向のバイアス電圧制御、変調信号の振幅の制御を並列に行うことができる。また、周波数の異なる低周波信号を使用するので、動作特性の検出精度を高くすることができ、精度の高い制御が実現される。
【0117】
<第5の実施の形態>
第5の実施の形態について、
図24を参照する。
図24は、第5の実施の形態に係るバイアス制御部の構成例を示している。
図24において、
図8、
図21、
図23と同じ要素には同じ符号が付されている。
【0118】
図24に示すX軸方向バイアス制御部58、Y軸方向バイアス制御部60、V1バイアス制御部64、V2バイアス制御部66は、既述の制御部30に用いられる。X軸方向バイアス制御部58は、この例では、演算増幅器580、抵抗582、584を含む反転増幅回路により実現される。この場合、X軸方向バイアス制御部58は、位相検出器38の積分部56の出力信号の電圧変化量に応じたレベルの信号を出力する。Y軸方向バイアス制御部60は、この例では、演算増幅器600、抵抗602、604を含む反転増幅回路606、および非反転出力および反転出力を得る増幅器608を備える。この場合、Y軸方向バイアス制御部60は、位相検出器38の積分部56の出力の電圧変化量に応じたレベルの信号、およびその反転信号を出力する。
【0119】
V1バイアス制御部64は、例えば、抵抗640、642を含む抵抗結合回路644により実現される。V1バイアス制御部64には、X軸方向バイアス制御部58から出力される信号、およびY軸方向バイアス制御部60から出力される反転信号が与えられる。抵抗結合回路644は、2つの入力信号を結合することにより、バイアス電圧V1biasを生成する。同様に、V2バイアス制御部66は、例えば、抵抗660、662を含む抵抗結合回路664により実現される。この場合、V2バイアス制御部66には、X軸方向バイアス制御部58から出力される信号、Y軸方向バイアス制御部60から出力される非反転信号が与えられる。抵抗結合回路664は、2つの入力信号を結合することにより、バイアス電圧V2biasを生成する。
【0120】
<バリエーション>
(1)上述の実施形態では、光変調器として半導体マッハツェンダ型光変調器(SMZM)を例示したが、本発明はこの構成に限定されるものではない。すなわち、光変調器は他の変調器で実現してもよい。
【0121】
(2)本発明は、任意の位相変調方式(2値位相変調、多値位相変調、偏波多重多値位相変調など)に適用可能である。
(3)上述の実施形態では、変調方向およびその直交方向のバイアス電圧を制御して位相変調を行なっているが、いずれか一方のバイアス電圧の制御のみを行うようにしてもよい。
【0122】
(4)上述の実施形態では、変調方向のバイアス制御、直交方向のバイアス制御、駆動振幅の制御を行っているが、それらの中のいずれか1つまたは2つの制御のみを行うようにしてもよい。
【0123】
(5)光変調装置/光送信モジュールは、差動バイアス電圧を同相で低周波変調することで、X軸方向のみを制御して位相変調を行なう構成としてもよい。
(6)光変調装置/光送信モジュールは、差動バイアス電圧を逆相で低周波変調することで、Y軸方向のみを制御して位相変調を行なう構成としてもよい。
【0124】
(7)光変調装置/光送信モジュールは、X軸方向バイアスまたはY軸方向バイアスのいずれか一方の制御、および駆動振幅の制御を行う構成としてもよい。
(8)駆動回路76および/または制御部30は、デジタル回路で構成してもよい。この場合、デジタル回路は、コンピュータ、PLD(Programmable Logic Device)、FPGA(Field Programmable Gate Array)等を含むようにしてもよい。
【0125】
(9)第3の実施形態では、1つの低周波信号Lfを使用する時分割制御が行われる。また、第4の実施形態では、異なる周波数の低周波信号Lf1〜Lf3を使用する周波数分割方式の制御が行われる。しかし、本発明は、これらの制御シーケンスに限定されるものではない。すなわち、たとえば、周波数の異なる複数の低周波信号を使用しながら、第3の実施形態と同様の時分割制御を行ってもよい。また、複数の低周波信号を使用する場合、各低周波信号のレベルは互いに異なっていてもよい。
【0126】
<比較例>
比較例について、
図25を参照する。
図25は、SMZMおよびその周辺回路を示している。比較例の光変調装置は、既述のSMZM4を備える。
図25において、
図1、
図8等と同じ要素には同じ符号が付与されている。
【0127】
SMZM4の入力端子20、22には、駆動回路280が接続されるとともに、バイアス制御回路130、132が接続されている。駆動回路280には、振幅制御回路134が接続されている。136、138、150は、それぞれデータ信号入力、入力電圧V1、入力電圧V2の波形を示している。
【0128】
SMZM4の出力光信号は、光導波路6、8の通過光を合波することで生成される。したがって、出力光信号のパワーは、光導波路6、8を通過する1組の光の位相関係に依存する。すなわち、光導波路6、8を通過する1組の光の位相が互いに同じであれば、出力光信号のパワーは最大である。また、1組の光の位相が互いに逆であれば、出力光信号のパワーは最小である。
【0129】
SMZM4において、光導波路6、8の屈折率は、それぞれ入力電圧V1、V2に応じて変化する。すなわち、光導波路6、8を通過する光の位相は、それぞれ入力電圧V1、V2に応じて変化する。なお、位相変調においては、光周波数チャーピングを抑制するために、SMZM4はプッシュプル方式(差動方式)で駆動される。
【0130】
SMZM4を用いた位相変調では、SMZMデバイス毎に、かつ、キャリア光の波長毎に、予め最適な駆動振幅およびバイアス電圧が決定され、決定した動作条件が光変調装置に設定される。しかしながら、このような設定を行う構成では、下記の課題がある。
【0131】
上述のように、SMZMデバイス毎に、かつ、キャリア光の波長毎に動作条件を設定する構成では、最適な動作条件を決定するために要する時間が長い。
また、SMZMの最適な動作条件は、様々な要因によって変動し得る。例えば、SMZMの静特性は、温度変化またはデバイスの経年劣化などに起因して変化し得る。また、バイアス制御回路130、132、駆動回路280、振幅制御回路134の特性が変化すると、駆動振幅およびバイアス電圧が変動し得る。これらの要因により、駆動振幅またはバイアス電圧が最適点からずれると、光波形の折り返し、消光比の劣化、クロスポイントの変動、光波形の開口度の縮小が発生し、光波形が劣化する。これらの課題は、本出願の実施形態の構成および制御方向により解決されている。
【0132】
LN(LiNbO
3)光変調器においては、Y軸方向においてバイアス制御および駆動振幅制御が行われているが、X軸方向の制御は行われていない。ところが、SMZMの静特性は、X軸依存性を有している。したがって、LN光変調器で実施されている制御をSMZMに導入しても、最適な動作条件を実現することは困難である。
【0133】
<QPSK変調>
図26は、QPSK変調器を備える光送信モジュールの構成を示す図である。
図26に示す光送信モジュール300は、QPSK変調器301を備える。QPSK変調器301は、SMZM4a、SMZM4b、移相器302を備える。SMZM4aおよびSMZM4bの構成は、実質的に
図1等に示すSMZM4と同じである。ただし、SMZM4aには、入力信号V1、V2が与えられ、SMZM4bには、入力信号V3、V4が与えられる。なお、QPSK変調器301は、例えば、1つの半導体チップ上に形成される。ただし、この場合、
図27に示す終端器24、26は、この半導体チップの外に設けられる。半導体チップおよび各終端器24、26は、例えば、ボンディングワイヤで接続される。
【0134】
移相器302は、SMZM4aを経由する光パスとSMZM4bを経由する光パスとの間に、位相差π/2を与える。そして、QPSK変調器301は、SMZM4a、4bにより生成される位相変調光信号を結合してQPSK変調光信号を生成する。
【0135】
ビームスプリッタ46は、QPSK変調光信号を分岐する。受光素子48は、ビームスプリッタ46から導かれてくるQPSK変調光信号を電流信号に変換する。I/V変換部50は、受光素子48により生成される電流信号を電圧信号に変換する。すなわち、I/V変換部50は、QPSK変調光信号を表す電気信号を生成する。
【0136】
位相コントローラ303は、I/V変換部50の出力を利用して(すなわち、QPSK変調器301により生成されるQPSK変調光信号を利用して)、移相器302の移相量をπ/2に最適化する。なお、移相器302を調整する方法は、特に限定されるものではないが、例えば、特開2007−82094号公報に記載の方法を採用してもよい。
【0137】
低周波変調部54は、低周波信号Lfを生成する。また、位相比較器52および積分部56は、低周波信号Lfを利用して、QPSK変調光信号中の低周波成分を検出する。
振幅/バイアスコントローラ304aは、QPSK変調光信号中の低周波成分に基づいて、SMZM4aのバイアス電圧およびSMZM4aを駆動する変調信号の振幅を制御する。同様に、振幅/バイアスコントローラ304bは、QPSK変調光信号中の低周波成分に基づいて、SMZM4bのバイアス電圧およびSMZM4bを駆動する変調信号の振幅を制御する。時分割制御回路305は、振幅/バイアスコントローラ304a、304bの動作を制御する。
【0138】
図27は、
図26に示すQPSK変調器301の構成を示す。QPSK変調器301は、
図27に示すように、SMZM4a、4b、移相器302、光スプリッタ311、光コンバイナ312を備える。
【0139】
光スプリッタ311は、入力CW光を分岐してSMZM4a、4bに導く。SMZM4a、4bは、それぞれ
図1等に示すSMZM4と実質的に同じである。ただし、SMZM4aの信号電極16、18には、入力電圧V1、V2が与えられる。入力電圧V1は、駆動回路76aから出力される変調信号に、振幅/バイアスコントローラ304aから出力されるバイアス電圧V1biasを加えることにより生成される。入力電圧V2は、駆動回路76aから出力される反転変調信号に、振幅/バイアスコントローラ304aから出力されるバイアス電圧V2biasを加えることにより生成される。同様に、SMZM4bの信号電極16、18には、入力電圧V3、V4が与えられる。入力電圧V3は、駆動回路76bから出力される変調信号に、振幅/バイアスコントローラ304bから出力されるバイアス電圧V3biasを加えることにより生成される。入力電圧V4は、駆動回路76bから出力される反転変調信号に、振幅/バイアスコントローラ304bから出力されるバイアス電圧V4biasを加えることにより生成される。光コンバイナ312は、SMZM4a、4bにより生成される光信号を結合する。この構成により、QPSK変調光信号が生成される。
【0140】
図28は、
図26に示す光送信モジュール300の制御系を示す。なお、
図28では、光送信モジュール300の制御系として、振幅/バイアスコントローラ304a、304bのみを示している。
【0141】
振幅/バイアスコントローラ304aは、X軸方向バイアス制御部58a、Y軸方向バイアス制御部60a、駆動振幅制御部62a、V1バイアス制御部64a、V2バイアス制御部66a、加算器68a、70a、74a、極性切替部72a、低周波スイッチ92a、94a、96aを備える。同様に、振幅/バイアスコントローラ304bは、X軸方向バイアス制御部58b、Y軸方向バイアス制御部60b、駆動振幅制御部62b、V3バイアス制御部64b、V4バイアス制御部66b、加算器68b、70b、74b、極性切替部72b、低周波スイッチ92b、94b、96bを備える。振幅/バイアスコントローラ304a、304bの動作は、それぞれ、
図21に示すX軸方向バイアス制御部58、Y軸方向バイアス制御部60、駆動振幅制御部62、V1バイアス制御部64、V2バイアス制御部66、加算器68、70、74、極性切替部72、低周波スイッチ92、94、96と実質的に同じである。ただし、振幅/バイアスコントローラ304aは、バイアス電圧V1bias、V2bias、振幅制御電圧Vcaを生成する。また、振幅/バイアスコントローラ304bは、バイアス電圧V3bias、V4bias、振幅制御電圧Vcbを生成する。
【0142】
図29は、
図26に示す光送信モジュール300の制御方法を示すフローチャートである。このフローチャートの処理は、時分割制御回路305が振幅/バイアスコントローラ304a、304bに対して指示を与えることにより実現される。
【0143】
ステップS41〜S43の処理、およびステップS44〜S46の処理は、それぞれ
図22に示すステップS31〜S33と実質的に同じである。ただし、ステップS41〜S43は、SMZM4aの動作状態を制御するために、振幅/バイアスコントローラ304aに対して実行される。また、ステップS44〜S46は、SMZM4bの動作状態を制御するために、振幅/バイアスコントローラ304bに対して実行される。
【0144】
なお、
図29に示す実施例では、QPSK変調器301のバイアス電圧および変調信号の振幅は、時分割方式で順番に制御されるが、本発明はこの手順に限定されるものではない。すなわち、QPSK変調器301のバイアス電圧および変調信号の振幅は、例えば周波数分割により、並列に制御されてもよい。
【0145】
以上述べた各実施例を含む実施形態に関し、さらに以下の付記を開示する。なお、本発明は、下記の付記に限定されるものではない。
(付記1)
電気光学効果を有する半導体基板に設けられた光導波路と、バイアス電圧および変調信号に応じた電界を前記光導波路に与える信号電極を備える変調器と、
前記変調信号を生成する駆動回路と、
前記バイアス電圧に低周波信号を重畳する重畳器と、
前記変調器により生成される変調光信号から抽出される前記低周波信号の成分に基づいて、前記変調器の変調方向に直交する直交方向のバイアス電圧を制御するコントローラと、
を備える光変調装置。
(付記2)
前記コントローラは、前記変調光信号から抽出される前記低周波信号の成分に基づいて、前記変調方向のバイアス電圧および前記直交方向のバイアス電圧を制御する
ことを特徴とする付記1に記載の光変調装置。
(付記3)
前記重畳器は、前記駆動回路に与えられる振幅制御信号に低周波信号を重畳し、
前記コントローラは、前記変調光信号から抽出される前記低周波信号の成分に基づいて、前記振幅制御信号を用いて前記変調信号の振幅を制御する
ことを特徴とする付記2に記載の光変調装置。
(付記4)
前記光導波路は、マッハツェンダ干渉計を形成する第1および第2の光導波路を含み、
前記信号電極は、前記第1および第2の光導波路にそれぞれ電界を与える第1および第2の電極を含み、
前記第1の電極には、前記変調信号および第1のバイアス電圧が与えられ、
前記第2の電極には、前記変調信号の反転信号および第2のバイアス電圧が与えられ、
前記コントローラは、前記直交方向のバイアス電圧を制御する第1のバイアス制御器を備え、
前記重畳器が、前記第1のバイアス電圧および前記第2のバイアス電圧に対して互いに同相で前記低周波信号を重畳するときに、前記第1のバイアス制御器は、前記変調光信号から抽出される前記低周波信号の成分に基づいて、前記直交方向のバイアス電圧を制御する
ことを特徴とする付記3に記載の光変調装置。
(付記5)
前記第1のバイアス制御器は、前記変調光信号から抽出される前記低周波信号の成分を小さくするように、前記第1のバイアス電圧および前記第2のバイアス電圧を同じ方向に同じ量だけシフトさせる
ことを特徴とする付記4に記載の光変調装置。
(付記6)
前記コントローラは、前記変調方向のバイアス電圧を制御する第2のバイアス制御器を備え、
前記重畳器が、前記第1のバイアス電圧および前記第2のバイアス電圧に対して互いに逆相で前記低周波信号を重畳するときに、前記第2のバイアス制御器は、前記変調光信号から抽出される前記低周波信号の成分に基づいて、前記変調方向のバイアス電圧を制御する
ことを特徴とする付記4に記載の光変調装置。
(付記7)
前記第2のバイアス制御器は、前記変調光信号から抽出される前記低周波信号の成分を小さくするように、前記第1のバイアス電圧および前記第2のバイアス電圧を互いに逆方向に同じ量だけシフトさせる
ことを特徴とする付記6に記載の光変調装置。
(付記8)
前記コントローラは、前記振幅制御信号を用いて前記変調信号の振幅を制御する振幅制御器を備え、
前記重畳器が、前記振幅制御信号に前記低周波信号を重畳するときに、前記振幅制御器は、前記変調光信号から抽出される前記低周波信号の成分を小さくするように、前記振幅制御信号を用いて前記変調信号の振幅を制御する
ことを特徴とする付記4に記載の光変調装置。
(付記9)
前記コントローラは、前記変調方向のバイアス電圧、前記直交方向のバイアス電圧、および前記変調信号の振幅を、時分割方式で制御する
ことを特徴とする付記3に記載の光変調装置。
(付記10)
前記コントローラは、前記変調方向のバイアス電圧、前記直交方向のバイアス電圧、および前記変調信号の振幅を、周波数分割方式で制御する
ことを特徴とする付記3に記載の光変調装置。
(付記11)
第1および第2の変調器を含み、前記第1および第2の変調器が、それぞれ、電気光学効果を有する半導体基板に設けられた光導波路と、バイアス電圧および変調信号に応じた電界を前記光導波路に与える信号電極を備えるQPSK変調器と、
前記第1の変調器を駆動する第1の変調信号を生成する第1の駆動回路と、
前記第2の変調器を駆動する第2の変調信号を生成する第2の駆動回路と、
前記第1の変調器のバイアス電圧および前記第1の駆動回路に与えられる第1の振幅制御信号に低周波信号を重畳する第1の重畳器と、
前記第2の変調器のバイアス電圧および前記第2の駆動回路に与えられる第2の振幅制御信号に低周波信号を重畳する第2の重畳器と、
前記QPSK変調器により生成されるQPSK変調光信号から抽出される前記低周波信号の成分に基づいて、前記第1の変調器の変調方向のバイアス電圧、前記第1の変調器の変調方向に直交する方向のバイアス電圧、および前記第1の変調信号の振幅を制御する第1のコントローラと、
前記QPSK変調光信号から抽出される前記低周波信号の成分に基づいて、前記第2の変調器の変調方向のバイアス電圧、前記第2の変調器の変調方向に直交する方向のバイアス電圧、および前記第2の変調信号の振幅を制御する第2のコントローラと、
を備える光変調装置。
(付記12)
電気光学効果を有する半導体基板に設けられた光導波路と、バイアス電圧および変調信号に応じた電界を前記光導波路に与える信号電極を備える変調器と、
前記変調器に入力されるキャリア光を生成する光源と、
前記変調信号を生成する駆動回路と、
前記バイアス電圧および前記駆動回路に与えられる振幅制御信号に低周波信号を重畳する重畳器と、
前記変調器により生成される変調光信号から抽出される前記低周波信号の成分に基づいて、前記変調器の変調方向のバイアス電圧、前記変調器の変調方向に直交する方向のバイアス電圧、および前記変調信号の振幅を制御するコントローラと、
を備える光送信装置。
(付記13)
電気光学効果を有する半導体基板に設けられた光導波路と、バイアス電圧および変調信号に応じた電界を前記光導波路に与える信号電極を備える変調器の動作状態を制御する光変調制御方法であって、
前記バイアス電圧に低周波信号を重畳し、
前記変調器により生成される変調光信号から抽出される前記低周波信号の成分に基づいて、前記変調器の変調方向に直交する方向のバイアス電圧を制御する
ことを特徴とする光変調制御方法。
【0146】
なお、光変調装置、光送信装置、光変調制御方法の実施形態について説明したが、本発明は、上記記載に限定されるものではなく、特許請求の範囲に記載され、または発明を実施するための形態に開示された発明の要旨に基づき、当業者において様々な変形や変更が可能である。そして、そのような変形や変更は、本発明の範囲に含まれるものである。