(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】5853535
(24)【登録日】2015年12月18日
    
      
        (45)【発行日】2016年2月9日
      
    (54)【発明の名称】ベッド
(51)【国際特許分類】
   A47C  17/02        20060101AFI20160120BHJP        
   B60B  33/00        20060101ALN20160120BHJP        
【FI】
   A47C17/02 Z
   !B60B33/00 504A
【請求項の数】3
【全頁数】7
      (21)【出願番号】特願2011-208988(P2011-208988)
(22)【出願日】2011年9月26日
    
      (65)【公開番号】特開2013-66657(P2013-66657A)
(43)【公開日】2013年4月18日
    【審査請求日】2014年8月7日
      
        
          (73)【特許権者】
【識別番号】000000011
【氏名又は名称】アイシン精機株式会社
        
      
      
        (72)【発明者】
          【氏名】中根  慶喜
              
            
        
      
    
      【審査官】
        大谷  謙仁
      
    (56)【参考文献】
      
        【文献】
          実開昭57−200402(JP,U)      
        
        【文献】
          特開平09−240204(JP,A)      
        
      
    (58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A47C    17/02        
B60B    33/00        
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
  車輪と取付軸とを有するキャスタと、
  前記キャスタの取付位置に取付穴を穿設し筒状で開口部を有する角パイプと、
  前記角パイプの前記開口部に取り付くキャスタ固定用アダプタと
  を備えるベッドであって、
  前記キャスタ固定用アダプタは、
  前記取付軸を固定する固定穴と、
  前記開口部を塞ぎ、前記固定穴の前記角パイプの長手方向の位置決めをするエンドキャップと、
  前記角パイプの内面をガイドし、前記固定穴の上下方向及び左右方向の少なくとも何れか一方の位置決めをするガイド機構と、を有し、
  前記ガイド機構は、
  前記キャスタ固定用アダプタの側面の上端の一部であり前記上下方向の位置決めをする第1突起部と、
  前記キャスタ固定用アダプタの前記側面に形成された屈曲部を有する突起部であり前記左右方向の位置決めをする第2突起部と、
  の少なくとも何れか一つを有するベッド。
【請求項2】
  前記突起部は、角部が円弧形状を呈することを特徴とする請求項1に記載のベッド。
【請求項3】
  前記取付軸は雄ネジ部を有し、
  前記固定穴は雌ネジ部を有し、
  前記雄ネジ部と前記雌ネジ部とが螺合して、前記キャスタを固定することを特徴とする請求項1または2のいずれか一項に記載のベッド。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
  本発明は、脚部にキャスタの取付けが行えるベッドに関するものである。
 
【背景技術】
【0002】
  従来技術のベッドとして、車輪と取付軸とを備えたキャスタ本体と、キャスタ本体取付部と、脚部に取り付けるための取付ボックスとを備えた脚部のキャスタ構造が知られている。このベッドは、水平に伸びた筒状開口脚部に該取付ボックスを嵌合して該脚部に穿設された取付穴と該取付ボックスに穿設された固定穴の位置を合わせ、該脚部外側から該取付ボックス内側に対してネジを挿入して該脚部と該取付ボックスとをネジ止めすることにより、該キャスタ本体を該脚部に対して取付け可能とするものである(例えば、特許文献1)。
 
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開平9−240204号公報
 
 
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
  しかしながら、特許文献1においては、キャスタ取付前には、脚部の開口部がむき出しになってしまう。このため、むき出しでは意匠性が良くない状態となってしまい、使用者が当たった場合等において怪我を防止する対策が必要になる。
【0005】
  また、脚部が一般流通の角パイプである場合には、角パイプの角部のR部の精度は他の部分より低いため、R部を避けて角パイプに取付ボックスを嵌合すると、角パイプと取付ボックスとの間のクリアランスは大きくなる。そのため、角パイプに穿設された取付穴の位置と取付ボックスに穿設された固定穴の位置とにずれが生じ、取付穴と固定穴との位置合わせに手間と時間を要する問題がある。
【0006】
  そこで、本発明は上記問題点に鑑みて成されたものであり、非キャスタ取付時にも意匠性と安全性とを有すること、また、取付穴と固定穴との位置ずれを抑制しキャスタ取付が容易なベッドを提供することを目的とする。
 
【課題を解決するための手段】
【0007】
  本発明の課題解決手段は、車輪と取付軸とを有するキャスタと、前記キャスタの取付位置に取付穴を穿設し筒状で開口部を有する角パイプと、前記角パイプの前記開口部に取り付くキャスタ固定用アダプタとを備えるベッドであって、前記キャスタ固定用アダプタは、前記取付軸を固定する固定穴と、前記開口部を塞ぎ、前記固定穴の前記角パイプの長手方向の位置決めをするエンドキャップと、前記角パイプの内面をガイドし、前記固定穴の上下方向及び左右方向の少なくとも何れか一方の位置決めをするガイド機構と、を有し、前記ガイド機構は、
前記キャスタ固定用アダプタの側面の上端の一部であり前記上下方向の位置決めをする第1突起部と、前記キャスタ固定用アダプタの
前記側面
に形成された屈曲部を有する突起部であ
り前記左右方向の位置決めをする第2突起部と、の少なくとも何れか一つを有する構成とした。
                                                                                
【0009】
  また、前記突起部は、角部が円弧形状を呈する構成とすると良い。
【0010】
  また、前記取付軸は雄ネジ部を有し、前記固定穴は雌ネジ部を有し、前記雄ネジ部と前記雌ネジ部とが螺合して、前記キャスタを固定する構成であると良い。
 
【発明の効果】
【0011】
  本発明のベッドでは、キャスタ固定用アダプタがエンドキャップを備えることから、非キャスタ取付時にも角パイプの開口部を塞ぎ、安全性と意匠性が得られる。更に、キャスタ固定用アダプタは、エンドキャップが角パイプの開口部に取り付くことで、固定穴の角パイプの長手方向の位置決めをし、ガイド機構が角パイプの内面をガイドすることで固定穴の上下方向及び左右方向の少なくとも何れか一方の位置決めをする。よって取付穴と固定穴との位置ずれを抑制でき、キャスタの取付けが容易になる。
【0012】
  また、ガイド機構をキャスタ固定用アダプタの側面を屈曲して形成した突起部とすることで、部品点数を増やさずに容易に加工することができる。
【0013】
  また、突起部の角部は円弧形状を呈するため、キャスタ固定用アダプタを角パイプの開口部に取り付ける際、突起部は円滑に角パイプの内面をガイドすることができる。
【0014】
  また、取付軸の雄ネジ部と固定穴の雌ネジ部とを螺合してキャスタを固定することで、部品点数を増やさずに容易にキャスタを着脱することができる。
 
 
【図面の簡単な説明】
【0015】
【
図3】
図2に示すキャスタ固定用アダプタの斜視図である。
 
【
図4】
図3に示すキャスタ固定用アダプタを角パイプの開口部に取り付けた状態のA−A断面図である。
 
 
【発明を実施するための形態】
【0016】
  以下に、本発明の実施形態を
図1〜
図4に基づいて、詳細に説明する。
 
【0017】
  図1は、本発明のベッド1の斜視図である。ベッド1は、脚部2と、ヘッドボード3と、フットボード4と、昇降可能な床板5とから構成される。脚部2は、角パイプ10と、角パイプ10に取り付くキャスタ20と、角パイプ10に取り付くキャスタ固定用アダプタ30と、を備えている。
 
【0018】
  図2は、本発明のベッド1の脚部2の組立図である。角パイプ10は、金属製で、一般に流通している汎用品で、筒状で開口部11を有している。キャスタ20が取り付く位置には、取付穴12が穿設されている。キャスタ20は、車輪21と取付軸22とを備えた汎用のキャスタで、取付軸22には雄ネジ部23が形成されている。キャスタ固定用アダプタ30は、雌ネジ部31が形成され雄ネジ部23と螺合するネジ穴32(固定穴)と、開口部11を塞ぎネジ穴32の角パイプ10の長手方向の位置決めをするエンドキャップ31と、角パイプ10の内面13でガイドし、ネジ穴32の上下方向の位置決めをする第1突起部34(ガイド機構)と、ネジ穴32の左右方向の位置決めをする第2突起部35(ガイド機構)と、を備える。
 
【0019】
  図3は、本発明のキャスタ固定用アダプタ30の斜視図である。第2突起部35は、キャスタ固定用アダプタ30の側面36を角パイプ10の内面13でガイドするように左右に屈曲して形成される。第1突起部34の角部37、第2突起部35の角部38は、円弧形状を呈している。ネジ穴32は、キャスタ固定用アダプタ30の底面に固定された金属の筒状体で、内部は雌ネジ部31が形成され、雄ネジ部23と螺合して、キャスタ20の取付軸22を固定する。尚、ネジ穴32は、筒状体の内部に雌ネジ部31を形成する構成だが、バーリング加工により雌ネジ部を形成してもよい。
 
【0020】
  図4は、キャスタ固定用アダプタ30を角パイプ10の開口部11に取り付けた状態のA−A断面図である。第1突起部34は、角パイプ10の上方のR部を避けて、内面13の上面と所定の隙間を持って、ネジ穴32の上下方向の位置決めをする。第2突起部35も同様に、角パイプ10のR部を避けて、内面13の右側面、左側面と所定の隙間をもって、ネジ穴32の左右方向の位置決めをする。ネジ穴32は、第1突起部34、第2突起部35、及びエンドキャップ31によって、取付穴12と同軸に位置する。
 
【0021】
  以下、上記構成におけるキャスタ固定用アダプタ30の角パイプ10への取付け、及びキャスタ20の取付けについて説明する。まず、角パイプ10の開口部11からキャスタ固定用アダプタ30を挿入する。キャスタ固定用アダプタ30は、ネジ穴32を設けた面を底面にする。キャスタ固定用アダプタ30は、第1突起部34、第2突起部35でガイドされながら、エンドキャップ33が角パイプ10の開口部11と当接するまで、角パイプ10の内面13を長手方向に挿入される。
 
【0022】
  そしてエンドキャップ33と開口部11とが当接した状態で、角パイプ10の下方から上方に向かってキャスタ20の取付軸22を取付穴12に挿入する。このとき取付穴12とネジ穴32とは同軸上にある。取付軸を回転して、雄ネジ部23と雌ネジ部31とを螺合して、キャスタ20を固定する。
 
【0023】
  以下、本発明における効果について説明する。
 
【0024】
  ベッド1では、キャスタ固定用アダプタ30がエンドキャップ33を備えていることから、キャスタ取付前(非キャスタ取付)の時にも角パイプ10の開口部11を塞ぎ、安全性と意匠性が得られる。更に、キャスタ固定用アダプタ30は、エンドキャップ33が角パイプ10の開口部11に取り付くことで、ネジ穴32の角パイプ10の長手方向の位置決めをし、第1突起部34、第2突起部35が角パイプ10の内面13でガイドされることでネジ穴32の上下方向及び左右方向の位置決めがされる。よって取付穴12とネジ穴32との位置ずれを抑制でき、キャスタ20の取付けが容易になる。
 
【0025】
  また、第2突起部35をキャスタ固定用アダプタ30の側面36を屈曲して形成することで、部品点数を増やさずに容易に加工することができる。
 
【0026】
  また、第1突起部34、第2突起部35の角部37、38は、円弧形状を呈するため、キャスタ固定用アダプタ30を角パイプ10の開口部11に取り付ける際、円滑に角パイプ10の内面13にガイドされる。
 
【0027】
  また、取付軸22の雄ネジ部23とネジ穴32の雌ネジ部31とを螺合してキャスタ20を固定する構造とすることで、部品点数を増やさずに容易にキャスタ20の着脱が可能になる。
 
 
【符号の説明】
【0028】
  1  ベッド
  10  角パイプ
  11  開口部
  12  取付穴
  20  キャスタ
  21  車輪
  22  取付軸
  23  雄ネジ部
  30  キャスタ固定用アダプタ
  31  雌ネジ部
  32  ネジ穴(固定穴)
  33  エンドキャップ
  34  第1突起部(ガイド機構)
  35  第2突起部(ガイド機構)