(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記(メタ)アクリル系共重合体(A)が、下記(メタ)アクリル系共重合体(A1)〜(A4)からなる群より選ばれる共重合体である、請求項1記載の太陽電池裏面保護シート用易接着剤。
(メタ)アクリル系共重合体(A1):グリシジル基を有する(メタ)アクリル系モノマー(a1)と、水酸基を有する(メタ)アクリル系モノマー(a2)と、グリシジル基も水酸基もカルボキシル基も有さない(メタ)アクリル系モノマー(a4)とを構成単位とする共重合体中の側鎖のグリシジル基に、カルボキシル基を有する(メタ)アクリル系モノマー(a3)を反応させてなる(メタ)アクリル系共重合体、
(メタ)アクリル系共重合体(A2):カルボキシル基を有する(メタ)アクリル系モノマー(a3)と、水酸基を有する(メタ)アクリル系モノマー(a2)と、グリシジル基も水酸基もカルボキシル基も有さない(メタ)アクリル系モノマー(a4)とを構成単位とする共重合体中のカルボキシル基に、グリシジル基を有する(メタ)アクリル系モノマー(a1)を反応させてなる(メタ)アクリル系共重合体、
(メタ)アクリル系共重合体(A3):水酸基を有する(メタ)アクリル系モノマー(a2)と、水酸基を有さない(メタ)アクリル系モノマー(a6)とを構成単位とする共重合体中の水酸基の一部に、イソシアネート基を有する(メタ)アクリル系モノマー(a5)を反応させてなる(メタ)アクリル系共重合体、
(メタ)アクリル系共重合体(A4):無水マレイン酸と、水酸基を有するアクリル系モノマー(a2)と、水酸基を有さないアクリル系モノマー(a6)とを構成単位とする共重合体中の酸無水物基に、水酸基を有するアクリル系モノマー(a2)を反応させてなる(メタ)アクリル系共重合体。
請求項1〜3いずれか1項に記載の太陽電池裏面保護シート用易接着剤によって形成される硬化処理前の易接着剤層と、プラスチックフィルムとを具備する太陽電池裏面保護シート。
【背景技術】
【0002】
近年、環境問題に対する意識の高まりから環境汚染がなくクリーンなエネルギー源として太陽電池が注目され、有用なエネルギー資源としての太陽エネルギー利用の面から鋭意研究され実用化が進んでいる。
太陽電池素子には様々な形態があり、その代表的なものとして、結晶シリコン太陽電池素子、多結晶シリコン太陽電池素子、非晶質シリコン太陽電池素子、銅インジウムセレナイド太陽電池素子、化合物半導体太陽電池素子等が知られている。この中でも多結晶シリコン太陽電池素子や、非晶質シリコン太陽電池素子、化合物半導体太陽電池素子は、比較的低コストであり、大面積化が可能であるため、各方面で活発に研究開発が行われている。また、これらの太陽電池素子の中でも、導体金属基板上にシリコンを積層し、更にその上に透明導電層を形成した非晶質シリコン太陽電池素子に代表される薄膜太陽電池素子は軽量であり、また耐衝撃性やフレキシブル性に富んでいるので、太陽電池における将来の形態として有望視されている。
【0003】
太陽電池モジュールのうち、単純なものは、太陽電池素子の両面に封止剤、ガラス板を、順に積層した構成形態を呈する。ガラス板は、透明性、耐候性、耐擦傷性に優れることから、太陽の受光面側の保護材として、現在も一般的に用いられている。しかし、透明性を必要としない非受光面側においては、コストや安全性、加工性の面から、ガラス板以外の様々な太陽電池裏面保護シート(以下「裏面保護シート」とも称する)が提案され(例えば、特許文献1)、ガラス板から裏面保護シートに置き換わりつつある。また、封止剤は、透明性が高く、耐湿性が優れているエチレン−酢酸ビニル共重合体(Ethylene-Vinyl Acetate copolymer、以下「EVA」と称する)が通常用いられている。
【0004】
裏面保護シートとしては、(i)ポリエステルフィルム等の単層フィルムや、(ii)ポリエステルフィルム等に金属酸化物や非金属酸化物の蒸着層を設けたものや、(iii)ポリエステルフィルム、フッ素系フィルム、オレフィンフィルム、アルミニウム箔などのフィルムを積層した多層フィルムなどが挙げられる。
多層構造の裏面保護シートは、その多層構造により、さまざまな性能を付与することができる。例えば、ポリエステルフィルムを用いることで絶縁性を、アルミニウム箔を用いることで水蒸気バリア性を付与することができる(特許文献2〜4参照)。
どのような裏面保護シートを用いるかは、太陽電池モジュールが用いられる製品・用途によって、適宜選択され得る。
【0005】
裏面保護シートに求められる種々の性能の中で、封止剤との接着性および接着耐久性は基本的且つ重要な要求性能である。封止剤との接着性が不十分であると、裏面保護シートが剥がれ、太陽電池を水分や外的要因から保護することができなくなり、太陽電池の出力劣化を招くことになる。
【0006】
一方、封止剤に用いられているEVAにおいて、従来のスタンダードキュアタイプと比べて、熱架橋反応効率を格段に向上させたファストキュアタイプといわれるEVAを用いる太陽電池モジュールが増加している。これは、太陽電池モジュール製造時において、スタンダードキュアタイプでは真空ラミネート工程(例えば、120℃〜150℃で60分〜90分)に加えてキュア工程(さらに、例えば、120℃〜150℃で60分〜90分)が必要であったが、ファストキュアタイプではラミネート工程の時間の短縮及びキュア工程を省略できるため、製造設備の簡略化及び生産性の向上が可能となる。しかしながら、スタンダードキュアタイプのEVAと比較して、ファストキュアタイプのEVAは太陽電池裏面保護シートと接着しにくいという欠点がある。
【0007】
そこで、太陽電池裏面保護シートと封止剤との接着性を確保する方法として、(1)裏面保護シートの封止剤と接する面に易接着処理を施す方法や、(2)裏面保護シートの封止剤と接する面に、封止剤との接着性の高いフィルムを使用する方法が挙げられる。
【0008】
上記(1)の方法としては、さらにコロナ処理などの表面処理や、易接着剤を塗布する易接着コート処理がある。
しかし、前者のコロナ処理などの表面処理は、初期の接着性は確保されるが、接着耐久性に劣ることが問題となっている。
後者の易接着コート処理の場合に用いられる易接着剤が特許文献1、5、6に開示されている。
【0009】
特許文献5には、オキサゾリン基含有ポリマー、尿素樹脂、メラミン樹脂およびエポキシ樹脂からなる群より選ばれる架橋剤と、ガラス転移点が20〜100℃のポリエステル樹脂またはアクリル樹脂から選ばれる架橋剤以外の樹脂成分とを含有する塗液が開示されている(同文献の請求項2、3参照)。より具体的には、エポキシ樹脂とアクリル樹脂とを含有する塗液を用いる例が記載されている(同文献の実施例5参照)。しかしながら、この例におけるEVAシートとの接着力は、20mm幅で10〜20N(即ち、15mm幅ならば7.5〜15N)程度である(同文献の表2参照)。封止剤−裏面保護シート間の接着性は太陽電池の出力劣化に大きく影響するため、市場ではより高い接着性が求められ、より厳しい条件下における接着性能の信頼性が求められるようになってきており、20mm幅で20N程度の接着力ではそのような市場の要求に応えられない。特許文献1においては、接着力は改善されるが、市場では、より高性能の易接着剤が求められている。
【0010】
特許文献6には、ポリエステルフィルム上に、ポリエステル系樹脂およびポリエステルポリウレタン系樹脂からなる群より選ばれる少なくとも1種の樹脂がアルキル化メラミンやポリイソシアネートの架橋剤により架橋されている接着改善層を裏面保護シートの封止剤と接する面に設ける構成が開示されている。
【0011】
上記(2)の方法(裏面保護シートの封止剤と接する面に、封止剤との接着性の高いフィルムを使用する方法)としては、例えば、特許文献7にはポリブチレンテレフタレート(PBT)を使用する方法が記載されている。
しかし、このようなフィルムは一般的に数十μmの厚みがあるため、上記の易接着処理に比べてコストが高くなってしまう。
【0012】
特許文献8には、太陽電池モジュールを構成する充填材(封止剤)と貼り合わされる面に、下記一般式(I)で表わされるモノマーを含有するモノマー成分を重合させてなるアクリル系ポリマーを含有するアクリル系接着剤からなる接着剤層が形成されている太陽電池モジュール用バックシートが開示されている。
<化1> CH
2=C(R
1)−CO−OZ ・・・式(1)
式(1)中のR
1は、水素原子またはメチル基、Zは炭素数4〜25の炭化水素基を示す。
また、特許文献9には、フッ素系共重合体、アクリル系共重合体、又はポリウレタン系共重合体(重合体a)と、光硬化のためのエチレン性不飽和基を1個以上有する重合性モノマー及び/又はオリゴマー(モノマーb)、及び/又は分子内に1個以上のエチレン性不飽和基と2個以上のイソシアネート基を含有する化合物(ポリイソシアネートc)とからなるプライマー層を有する太陽電池素子の裏面保護シートが開示されている。
しかしながら、ファストキュアタイプのEVAに対する接着性は十分ではない。
【発明を実施するための形態】
【0023】
以下、本発明について詳細に説明する。なお、本発明の趣旨に合致する限り、他の実施形態も本発明の範疇に含まれることは言うまでもない。また、本明細書において「〜」を用いて特定される数値範囲は、「〜」の前後に記載される数値を下限値及び上限値の範囲として含むものとする。また、本明細書において「フィルム」や「シート」は、厚みによって区別されないものとする。換言すると、本明細書の「シート」は、厚みの薄いフィルム状のものも含まれ、本明細書の「フィルム」は、厚みのあるシート状のものも含まれるものとする。
【0024】
図1は、本発明に係る太陽電池用モジュールの模式的断面図である。太陽電池用モジュール100は、太陽電池表面保護材(I)、受光面側の封止剤(II)、太陽電池セル(III)、非受光面側の封止剤(IV)、太陽電池裏面保護シート(V)を少なくとも有する。太陽電池セル(III)の受光面側は、受光面側の封止剤(II)を介して太陽電池表面保護材(I)によって保護されている。一方、太陽電池セル(III)の非受光面側は、非受光面側の封止剤(IV)を介して太陽電池裏面保護シート(V)によって保護されている。非受光面側の太陽電池裏面保護シート(V)と接する表層には、太陽電池裏面保護シート用易接着剤(以下、「易接着剤」とも称する)からなる易接着剤層が積層されている。
【0025】
なお、本発明の太陽電池裏面保護シート用易接着剤によって形成される易接着剤層(D’)は、太陽電池モジュール100を形成するときの加熱圧着工程を利用して架橋反応する。本発明中において、加熱圧着工程前の易接着剤層を易接着剤層(D’)、加熱圧着工程後の架橋した易接着剤層を易接着剤層(D)として区別する。同様に、加熱圧着工程前の太陽電池裏面保護シートを太陽電池裏面保護シート(V’)、加熱圧着工程後のものを太陽電池裏面保護シート(V)として区別する。
【0026】
本発明の太陽電池裏面保護シート用易接着剤に含まれる(メタ)アクリル系共重合体(A)について説明する。
(メタ)アクリル系共重合体(A)は、ガラス転移温度が60℃を超え100℃以下、数平均分子量が15,000〜250,000、水酸基価が2〜100(mgKOH/g)、側鎖5〜500個当たり1個の炭素−炭素二重結合を有する。
【0027】
(メタ)アクリル系共重合体(A)のガラス転移温度が100℃を越える場合には、易接着剤の塗膜が硬くなり、封止剤への接着力が低下する。ガラス転移温度が低い場合、硬化処理前の易接着剤層が柔らかいので、硬化後、EVAに対する初期接着力は比較的確保し易い。しかし、ガラス転移温度が低すぎる場合、即ちガラス転移温度が60℃未満の場合には、ファストキュアタイプのEVAに対する初期接着力は確保できても、硬化後の易接着剤層が柔らかすぎる結果、耐湿熱性や耐候性といった耐久性を保持することが困難となる。
なお、ここでのガラス転移温度とは、(メタ)アクリル系共重合体(A)を乾燥させて固形分100%にした樹脂について、示差走査熱量分析(DSC)によって計測したガラス転移温度のことを示す。例えば、ガラス転移温度は、試料約10mgを秤量したサンプルを入れたアルミニウムパンと、試料を入れていないアルミニウムパンとをDSC装置にセットし、これを窒素気流中で、液体窒素を用いて−50℃まで急冷処理し、その後、20℃/分で200℃まで昇温し、DSC曲線をプロットする。このDSC曲線の低温側のベースライン(試験片に転移および反応を生じない温度領域のDSC曲線部分)を高温側に延長した直線と、ガラス転移の階段状変化部分の曲線の勾配が最大になるような点で引いた接線との交点から、補外ガラス転移開始温度(Tig)を求め、これをガラス転移温度として求めることができる。本発明のガラス転移温度は、上記の方法により測定した値を記載している。
【0028】
(メタ)アクリル系共重合体(A)の数平均分子量が250,000を越える場合には、封止剤への接着力が低下し、15,000未満の場合には、易接着剤の塗膜の耐湿熱性が低下し、湿熱試験後に封止剤への接着力が低下する。(メタ)アクリル系共重合体(A)の数平均分子量は、15,000〜150,000であることが好ましく、さらには30,000〜100,000であることがより好ましく、30,000〜75,000であることがより好ましく、30,000〜50,000であることが特に好ましい。
なお、上記の数平均分子量は、(メタ)アクリル系共重合体(A)のゲルパーミエーションクロマトグラフィ(GPC)によるポリスチレン換算の値である。例えば、カラム(昭和電工(株)製KF−805L、KF−803L、及びKF−802)の温度を40℃として、溶離液としてTHFを用い、流速を0.2ml/minとし、検出をRI、試料濃度を0.02%とし、標準試料としてポリスチレンを用いて行ったものである。本発明の数平均分子量は、上記の方法により測定した値を記載している。
【0029】
(メタ)アクリル系共重合体(A)の水酸基価は、固形分換算で2〜100mgKOH/gであることが重要であり、好ましくは2〜50mgKOH/g、さらには2〜30mgKOH/gであることがより好ましい。(メタ)アクリル系共重合体(A)の水酸基価が100mgKOH/gを越える場合には、易接着剤の塗膜の架橋が密になり、プラスチックフィルム(E)への接着力が低下する。また、初期は接着していても、耐湿熱試験中に架橋反応が進行し、湿熱試験後に接着力が低下することもある。一方、2mgKOH/g未満の場合には、易接着剤の塗膜の架橋が疎になり、塗膜の耐湿熱性が低下し、湿熱試験後に封止剤への接着力が低下する。
【0030】
本発明で用いる(メタ)アクリル系共重合体(A)は、側鎖5〜500個当たり1個の炭素−炭素二重結合を有するものであり、さらには側鎖5〜300個あたり1個であることが好ましい。炭素−炭素二重結合を有する側鎖の割合が、これよりも大きくなると、易接着剤の架橋反応が過剰になり、接着力が低下する。一方、これよりも割合が小さくなると、架橋反応が不十分で、十分な接着力が得られない。
【0031】
太陽電池セル(III)の受光面側に位置する封止剤(II)及び非受光面側に位置する封止剤(IV)は、特に限定されず、公知の材料を好適に適用できる。好適な材料として、EVA(エチレン−酢酸ビニル共重合体)や、ポリビニルブチラール、ポリウレタン、ポリオレフィンなどが挙げられる。このうち、コストの点からEVAが主に用いられる。封止剤(II)、(IV)は、シート(フィルム状のものも含む)のものが簡便であるが、ペースト状のものなどでもよい。
受光面側に位置する封止剤(II)及び非受光面側に位置する封止剤(IV)には、有機過酸化物が含まれていてもよい。有機過酸化物を含有させることによって、封止剤(II)及び(IV)で太陽電池セル(III)を挟み、加熱する際、ラジカル反応により封止剤(II)を架橋させたり、封止剤(II)と封止剤(IV)とを架橋させたり、封止剤(IV)を架橋させたりすることを高効率に行うことができる。
非受光面側の封止剤(IV)中に有機過酸化物を含有させることによって、加熱封止の際、硬化処理前の易接着剤層(D’)中の炭素−炭素二重結合にも有機過酸化物が作用し、非受光面側の封止剤(IV)と硬化処理前の易接着剤層(D’)とを架橋させたり、硬化処理前の易接着剤層(D’)を架橋させたりするものと考察される。
従って、本発明において、炭素−炭素二重結合とは、ラジカル反応活性で、互いに重合し得る炭素−炭素二重結合部位(C=C)のことを指し、ベンゼン環、ピリジン環のような反応不活性な炭素−炭素二重結合はこれに該当しない。中でも、(メタ)アクリロイル基のように反応性の高い炭素−炭素二重結合を有することが好ましい。なお、本明細書における「硬化処理」とは、封止剤(IV)と太陽電池裏面保護シート(V)とを重ね合わせた後に、これらを接合するための処理を云う。
【0032】
このような(メタ)アクリル系共重合体(A)としては、例えば下記(メタ)アクリル系共重合体(A1)〜(A4)を挙げることができる。
(メタ)アクリル系共重合体(A1)は、グリシジル基を有する(メタ)アクリル系モノマー(a1)と、水酸基を有する(メタ)アクリル系モノマー(a2)と、グリシジル基も水酸基もカルボキシル基も有さない(メタ)アクリル系モノマー(a4)とを構成単位とする共重合体中の側鎖のグリシジル基に、カルボキシル基を有する(メタ)アクリル系モノマー(a3)を反応させてなる(メタ)アクリル系共重合体である。
即ち、グリシジル基を有する(メタ)アクリル系モノマー(a1)と、水酸基を有する(メタ)アクリル系モノマー(a2)と、グリシジル基も水酸基もカルボキシル基も有さない(メタ)アクリル系モノマー(a4)とを構成単位とする共重合体を得、次いで、前記共重合対中の側鎖のグリシジル基の全部に又は一部に、カルボキシル基を有する(メタ)アクリル系モノマー(a3)を反応させることによって、グリシジル基を起点とし、炭素−炭素二重結合の側鎖を導入することができる。
【0033】
(メタ)アクリル系共重合体(A2)は、カルボキシル基を基点とし、炭素−炭素二重結合の側鎖を導入してなる共重合体である。即ち、(メタ)アクリル系共重合体(A2)は、カルボキシル基を有する(メタ)アクリル系モノマー(a3)と、水酸基を有する(メタ)アクリル系モノマー(a2)と、グリシジル基も水酸基もカルボキシル基も有さない(メタ)アクリル系モノマー(a4)とを構成単位とする共重合体中のカルボキシル基に、グリシジル基を有する(メタ)アクリル系モノマー(a1)を反応させてなる(メタ)アクリル系共重合体である。
前記メタ)アクリル系共重合体(A1)の場合と同様に、炭素−炭素二重結合の側鎖を導入する際、カルボキシル基の全部に又は一部にグリシジル基を反応させることができる。
【0034】
(メタ)アクリル系共重合体(A3)は、水酸基を有する(メタ)アクリル系モノマー(a2)と、水酸基を有さない(メタ)アクリル系モノマー(a6)とを構成単位とする共重合体中の水酸基の一部に、イソシアネート基を有する(メタ)アクリル系モノマー(a5)を反応させてなる(メタ)アクリル系共重合体である。
【0035】
(メタ)アクリル系共重合体(A4)は、無水マレイン酸と、水酸基を有する(メタ)アクリル系モノマー(a2)と、水酸基を有さない(メタ)アクリル系モノマー(a6)とを構成単位とする共重合体中の酸無水物基に、水酸基を有する(メタ)アクリル系モノマー(a2)を反応させてなる(メタ)アクリル系共重合体である。
【0036】
グリシジル基を有する(メタ)アクリル系モノマー(a1)としては、アクリル酸グリシジル、メタクリル酸グリシジル、4−ヒドロキシブチルアクリレートグリシジルエーテルなどが例示できる。
【0037】
水酸基を有する(メタ)アクリル系モノマー(a2)としては、2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、4−ヒドロキシブチル(メタ)アクリレートなどが例示できる。この水酸基を有する(メタ)アクリル系モノマー(a2)由来の水酸基は、後述するポリイソシアネート化合物(B)と反応し、硬化処理前の易接着剤層(D’)の硬化物である易接着剤層(D)を形成する機能を担う。
また、本発明では、水酸基を有する(メタ)アクリル系モノマー(a2)以外のモノマーを、水酸基を有さない(メタ)アクリル系モノマー(a6)として定義する。
【0038】
カルボキシル基を有する(メタ)アクリル系モノマー(a3)としては、アクリル酸、メタクリル酸、クロトン酸、イタコン酸、シトラコン酸などが挙げられる。
【0039】
上記のグリシジル基を有する(メタ)アクリル系モノマー(a1)、水酸基を有する(メタ)アクリル系モノマー(a2)、カルボキシル基を有する(メタ)アクリル系モノマー(a3)以外のモノマーを、グリシジル基も水酸基もカルボキシル基も有さない(メタ)アクリル系モノマー(a4)として定義する。
グリシジル基も水酸基もカルボキシル基も有さない(メタ)アクリル系モノマー(a4)としては、メチル(メタ)アクリレート、エチル(メタ)アクリレート、n−ブチル(メタ)アクリレート、iso−ブチル(メタ)アクリレート、tert−ブチル(メタ)アクリレート、2−エチルヘキシル(メタ)アクリレート、オクチル(メタ)アクリレート等が挙げられる。
【0040】
イソシアネート基を有する(メタ)アクリル系モノマー(a5)としては、2−イソシアナトエチルアクリレート、2−イソシアナトエチルメタクリレートなどが例示でき、これらの製品としては昭和電工(株)製のカレンズAOI、カレンズMOIなどがある。
【0041】
(メタ)アクリル系モノマー(a1)〜(a6)の他に、酢酸ビニル、ビニルエーテル、プロピオン酸ビニル、スチレン等も(メタ)アクリル系共重合体(A1)〜(A4)の形成に適宜使用することができる。
【0042】
ところで、上述の(メタ)アクリル系モノマー(a1)〜(a6)は、
CH
2=CR
1−CO−OR
2という一般式で表すことができる。
式中、R
1は、水素原子、もしくはメチル基を示す。
R
2は、カルボキシル基、グリシジル基、ヒドロキシアルキル基、イソシアナトアルキル基などの、各モノマー特有の官能基を有する1価の置換基を示す。
(メタ)アクリル系モノマー(a1)〜(a6)の場合は、CH
2=CR
1の重合によって形成される主鎖に対し、R
2の部位を側鎖と捉え、一つの側鎖をとして数える。
また、スチレンや無水マレイン酸のような、上記一般式で表されないようなモノマーに関しては、重合の際に炭素−炭素結合を形成して共重合体の主鎖となる部分以外の部位を側鎖と呼び、一つのモノマーにつき、一つの側鎖を有するとして数える。
例えば、仮に無水マレイン酸を2−ヒドロキシエチルアクリレートを反応させると、無水マレイン酸の無水環が開環してカルボキシル基とエステル結合部位が生じることになるが、このような場合も、これらをまとめて一つの側鎖として数えることとする。
【0043】
側鎖を上記のように定義すると、炭素−炭素二重結合を有する側鎖の、全側鎖に占める割合は次のように計算できる。
例えば、MMA(メチルメタクリレート、分子量100)/n−BMA(n−ブチルメタクリレート、分子量142)/HEMA(2−ヒドロキシエチルメタクリレート、分子量130)/GMA(グリシジルメタクリレート、分子量142)=18/78/2/2(重量比)で共重合した共重合体を構成するモノマーのモル比は、MMA/n−BMA/HEMA/GMA=23.7/72.4/2/1.9となる。モル比はモノマーの個数の比に等しく、さらには上記の側鎖の定義から、それぞれのモノマーが一つの側鎖を有すると数えられるので、モル比は、側鎖の個数の比に等しい。従って、この共重合体は全側鎖100個あたり1.9個のグリシジル基を有する。
次いで、前記共重合体中のグリシジル基を等モル量のアクリル酸で変性してなる(メタ)アクリル系共重合体(A)は、全側鎖100個あたり1.9個のグリシジル基が同数の炭素−炭素二重結合に変じた側鎖を有することとなる。すなわち、(メタ)アクリル系共重合体(A)は、全側鎖53個あたり1個の割合で炭素−炭素二重結合を有するということができる。
【0044】
(メタ)アクリル系共重合体(A1)の形成の第一段階:(メタ)アクリル系モノマー(a1)(a2)(a4)を重合する段階、(メタ)アクリル系共重合体(A2)の形成の第一段階:(メタ)アクリル系モノマー(a3)(a2)(a4)を重合する段階、(メタ)アクリル系共重合体(A3)の形成の第一段階:(メタ)アクリル系モノマー(a2)(a6)を重合する段階、(メタ)アクリル系共重合体(A4)の形成の第一段階:無水マレイン酸と(メタ)アクリル系モノマー(a2)(a6)を重合する段階は、通常のラジカル重合反応により行うことができる。反応方法に何ら制限はなく、溶液重合、塊状重合、乳化重合などの公知の重合法で行うことができるが、反応のコントロールが容易であることや直接次の操作に移れることから溶液重合が好ましい。
溶剤としては、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン、トルエン、セロソルブ、酢酸エチル、酢酸ブチルなど、本発明の樹脂が溶解するものであれば何ら制限は無く、単独でも、複数の溶媒を混合しても良い。また、重合反応の際に使用される重合開始剤もベンゾイルパーオキサイド、アセチルパーオキサイド、メチルエチルケトンパーオキサイド、ラウロイルパーオキサイドなどの有機過酸化物、アゾビスイソブチロニトリルなどのアゾ系開始剤など公知のものを用いることができ、特に制限は無い。また、(メタ)アクリル系共重合体(A1)〜(A4)それぞれの場合において、例えば(メタ)アクリル系モノマー(a2)として、1種類のみを用いてもよいし、複数種類の化合物を併用してもよい。(メタ)アクリル系モノマー(a1)、(a3)〜(a6)についても同様である。
【0045】
次に、ポリイソシアネート化合物(B)について説明する。
ポリイソシアネート化合物(B)は、水酸基を有する(メタ)アクリル系モノマー(a2)由来の(メタ)アクリル系共重合体(A)中の水酸基と反応し、共重合体同士を架橋させることで、易接着剤層に耐湿熱性を付与すると共に、裏面保護シートを構成するプラスチックフィルム(E)や非受光面側の封止剤(IV)であるEVA等の封止剤との密着性を向上させることができる。そのため、ポリイソシアネート化合物(B)は、一分子中に2つ以上のイソシアネート基を有することが重要であり、例えば、芳香族ポリイソシアネート、鎖式脂肪族ポリイソシアネート、脂環族ポリイソシアネート等が挙げられる。ポリイソシアネート化合物(B)は、1種類でも2種類以上の化合物を併用してもよい。
【0046】
芳香族ポリイソシアネートとしては、1,3−フェニレンジイソシアネート、4,4’−ジフェニルジイソシアネート、1,4−フェニレンジイソシアネート、4,4’−ジフェニルメタンジイソシアネート、2,4−トリレンジイソシアネート、2,6−トリレンジイソシアネート、4,4’−トルイジンジイソシアネート、2,4,6−トリイソシアネートトルエン、1,3,5−トリイソシアネートベンゼン、ジアニシジンジイソシアネート、4,4’−ジフェニルエーテルジイソシアネート、4,4’,4”−トリフェニルメタントリイソシアネート等を挙げることができる。
【0047】
鎖式脂肪族ポリイソシアネートとしては、トリメチレンジイソシアネート、テトラメチレンジイソシアネート、ヘキサメチレンジイソシアネート(HDI)、ペンタメチレンジイソシアネート、1,2−プロピレンジイソシアネート、2,3−ブチレンジイソシアネート、1,3−ブチレンジイソシアネート、ドデカメチレンジイソシアネート、2,4,4−トリメチルヘキサメチレンジイソシアネート等を挙げることができる。
【0048】
脂環族ポリイソシアネートとしては、3−イソシアネートメチル−3,5,5−トリメチルシクロヘキシルイソシアネート(IPDI)、1,3−シクロペンタンジイソシアネート、1,3−シクロヘキサンジイソシアネート、1,4−シクロヘキサンジイソシアネート、メチル−2,4−シクロヘキサンジイソシアネート、メチル−2,6−シクロヘキサンジイソシアネート、4,4’−メチレンビス(シクロヘキシルイソシアネート)、1,4−ビス(イソシアネートメチル)シクロヘキサン等を挙げることができる。
【0049】
また、上記ポリイソシアネートに加え、上記ポリイソシアネートとトリメチロールプロパン等のポリオール化合物とのアダクト体、上記ポリイソシアネートのビュレット体やイソシアヌレート体、更には上記ポリイソシアネートと公知のポリエーテルポリオールやポリエステルポリオール、アクリルポリオール、ポリブタジエンポリオール、ポリイソプレンポリオール等とのアダクト体等が挙げられる。
【0050】
これらポリイソシアネート化合物(B)の中でも、意匠性の観点から、低黄変型の脂肪族または脂環族のポリイソシアネートが好ましく、耐湿熱性の観点からは、イソシアヌレート体が好ましい。より具体的には、ヘキサメチレンジイソシアネート(HDI)のイソシアヌレート体、3−イソシアネートメチル−3,5,5−トリメチルシクロヘキシルイソシアネート(IPDI)のイソシアヌレート体が好ましい。
【0051】
さらに、これらポリイソシアネート化合物(B)のイソシアネート基のほぼ全量とブロ
ック化剤とを反応させることで、ブロック化ポリイソシアネート化合物(B1)を得ることができる。本発明における太陽電池裏面保護シート用易接着剤を塗布して得られる硬化処理前の易接着剤層(D’)は、封止剤(IV)と貼り合わせて太陽電池モジュールを製造するまでは未架橋にあることが好ましく、そのため、ポリイソシアネート化合物(B)は、ブロック化ポリイソシアネート化合物(B1)であることが好ましい。
【0052】
ブロック化剤としては、例えばフェノール、チオフェノール、メチルチオフェノール、キシレノール、クレゾール、レゾルシノール、ニトロフェノール、クロロフェノール等のフェノール類、アセトンオキシム、メチルエチルケトンオキシム、シクロヘキサノンオキシム等のオキシム類、メタノール、エタノール、n−プロピルアルコール、イソプロピルアルコール、n−ブチルアルコール、イソブチルアルコール、t−ブチルアルコール、t−ペンタノール、エチレングリコールモノエチルエーテル、エチレングリコールモノブチルエーテル、ジエチレングリコールモノエチルエーテル、プロピレングリコールモノメチルエーテル、ベンジルアルコールなどのアルコール類、3,5−ジメチルピラゾール、1,2−ピラゾール等のピラゾール類、1,2,4−トリアゾール等のトリアゾール類、エチレンクロルヒドリン、1,3−ジクロロ−2−プロパノール等のハロゲン置換アルコール類、ε−カプロラクタム、δ−バレロラクタム、γ−ブチロラクタム、β−プロピルラクタム等のラクタム類、アセト酢酸メチル、アセト酢酸エチル、アセチルアセトン、マロン酸メチル、マロン酸エチル等の活性メチレン化合物類が挙げられる。その他にもアミン類、イミド類、メルカプタン類、イミン類、尿素類、ジアリール類等も挙げられる。ブロック化剤は、1種類を用いてもよいし、2種類以上を併用して用いてもよい。
【0053】
これらのブロック剤の中でも、ブロック剤の解離温度が80℃〜150℃のものが好ましい。解離温度が80℃未満であると、易接着剤を塗布し、溶剤を揮散させる際に、硬化反応が進んで、充填剤との密着性が低下してしまう恐れがある。解離温度が150℃を超えると、太陽電池モジュールを構成する際の真空熱圧着の工程で、硬化反応が充分に進行せず、充填剤との密着性が低下してしまう。
【0054】
解離温度が80℃〜150℃のブロック剤としては、メチルエチルケトンオキシム(解離温度:140℃、以下同様)、3,5−ジメチルピラゾール(120℃)、ジイソプロピルアミン(120℃)などが例示できる。
【0055】
本発明の易接着剤におけるポリイソシアネート化合物(B)の量は、(メタ)アクリル系共重合体(A)の水酸基1個に対して、イソシアネート基が0.1〜5個の範囲で存在するような量であることが必要であり、さらには0.5〜4個の範囲であることが好ましい。0.1個より少ないと、架橋密度が低すぎて、耐湿熱性が十分でなく、5個より多いと、過剰のイソシアネートが湿熱試験中に空気中の水分と反応して、塗膜が硬くなり、裏面保護シートを構成するプラスチックフィルム(E)や非受光面側の封止剤(IV)であるEVA等との封止剤との接着力低下の原因となる。
【0056】
本発明の易接着剤は、固形分100重量部に対して、後述する有機系粒子、又は無機系粒子を0.01〜30重量部含有することができ、より好ましくは0.1〜10重量部含有することができる。これらの粒子を含有することによって、硬化処理前の易接着剤層(D’)表面のタックを低減することができる。含有量が0.01重量部より少ないと、硬化処理前の易接着剤層(D’)表面のタックを充分に低減することができない。一方、上記各種粒子が多くなると、硬化処理前の易接着剤層(D’)と封止剤との密着を阻害し、接着力の低下を招く可能性がある。
【0057】
特に、有機系粒子においては、融点もしくは軟化点が150℃以上のものを好ましく用いることができる。有機系粒子の融点もしくは軟化点が150℃よりも低いと、太陽電池モジュールを構成する際の真空熱圧着の工程で粒子が軟化し、封止剤との接着を妨げる恐れがある。
【0058】
有機系粒子の具体例としては、ポリメチルメタアクリレート樹脂、ポリスチレン樹脂、ナイロン(登録商標)樹脂、メラミン樹脂、グアナミン樹脂、フェノール樹脂、ユリア樹脂、シリコン樹脂、メタクリレート樹脂、アクリレート樹脂などのポリマー粒子、あるいは、セルロースパウダー、ニトロセルロースパウダー、木粉、古紙粉、籾殻粉、澱粉などが挙げられる。有機系粒子は、1種類を用いてもよいし、2種類以上を併用して用いてもよい。
【0059】
前記ポリマー粒子は、乳化重合法、懸濁重合法、分散重合法、ソープフリー重合法、シード重合法、マイクロサスペンジョン重合法などの重合法により得ることができる。また、前記有機系粒子は、その特性を損なわない程度に不純物を含んでいてもよい。また、粒子の形状は、粉末状、粒状、顆粒状、平板状、繊維状など、どのような形状であってもよい。
【0060】
無機粒子の具体例としては、マグネシウム、カルシウム、バリウム、亜鉛、ジルコニウム、モリブデン、ケイ素、アンチモン、チタンなどの金属の酸化物、水酸化物、硫酸塩、炭酸塩、ケイ酸塩などを含有する無機系粒子が挙げられる。さらに詳細な具体例としては、シリカゲル、酸化アルミニウム、水酸化カルシウム、炭酸カルシウム、酸化マグネシウム、水酸化マグネシウム、炭酸マグネシウム、酸化亜鉛、鉛酸化物、珪藻土、ゼオライト、アルミノシリケート、タルク、ホワイトカーボン、マイカ、ガラス繊維、ガラス粉末、ガラスビーズ、クレー、ワラスナイト、酸化鉄、酸化アンチモン、酸化チタン、リトポン、軽石粉、硫酸アルミニウム、ケイ酸ジルコニウム、炭酸バリウム、ドロマイト、二硫化モリブデン、砂鉄、カーボンブラックなどを含有する無機系粒子が挙げられる。無機粒子は、1種類で用いてもよいし、2種類以上を併用して用いてもよい。
【0061】
また、前記無機系粒子は、その特性を損なわない程度に不純物を含んでいてもよい。また、粒子の形状は、粉末状、粒状、顆粒状、平板状、繊維状など、どのような形状であってもよい。
【0062】
また、本発明における易接着剤には、必要に応じて、本発明による効果を妨げない範囲で、架橋促進剤を添加してもよい。架橋促進剤は(メタ)アクリル系共重合体(A)の水酸基とポリイソシアネート化合物(B)のイソシアネートによるウレタン結合反応を促進する触媒としての役割を果たす。架橋促進剤としては、スズ化合物、金属塩、塩基などが挙げられ、具体的にはオクチル酸スズ、ジブチルスズジアセテート、ジブチルスズジラウレート、ジオクチルスズジラウレート、塩化スズ、オクチル酸鉄、オクチル酸コバルト、ナフテン酸亜鉛、トリエチルアミン、トリエチレンジアミンなどが挙げられる。これらは、単独または組み合わせて用いることができる。
【0063】
また、本発明における易接着剤には、必要に応じて、本発明による効果を妨げない範囲で、充填剤、チクソトロピー付与剤、老化防止剤、酸化防止剤、帯電防止剤、難燃剤、熱伝導性改良剤、可塑剤、ダレ防止剤、防汚剤、防腐剤、殺菌剤、消泡剤、レベリング剤、硬化剤、増粘剤、顔料分散剤、シランカップリング剤等の各種の添加剤を添加してもよい。
【0064】
本発明に用いられる易接着剤には、溶剤が含まれる。
溶剤としては、メタノール、エタノール、プロパノール、ブタノール、エチレングリコールメチルエーテル、ジエチレングリコールメチルエーテル等のアルコール類、
アセトン、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン、シクロヘキサノン等のケトン類、
テトラヒドロフラン、ジオキサン、エチレングリコールジメチルエーテル、ジエチレングリコールジメチルエーテル等のエーテル類、
ヘキサン、ヘプタン、オクタン等の炭化水素類、
ベンゼン、トルエン、キシレン、クメン等の芳香族類、
酢酸エチル、酢酸ブチル等のエステル類、などの内から樹脂組成物の組成に応じ適当なものを使用できるが、沸点が50℃〜200℃のものを好ましく用いることができる。沸点が50℃よりも低いと、易接着剤を塗布する際に溶剤が揮発しやすく、固形分が高くなって均一な膜厚で塗布することが難しくなる。沸点が200℃よりも高いと、溶剤を乾燥しづらくなる。なお、溶剤は2種以上用いてもよい。
【0065】
本発明の易接着剤は、プラスチックフィルム(E)に塗工して易接着剤層(D’)を形成することで、封止剤(IV)との接着性が良好な太陽電池裏面保護シート(V’)を作製することができる。
【0066】
本発明の易接着剤を、プラスチックフィルム(E)に塗工する方法としては、従来公知の方法を用いることができる。具体的には、コンマコーティング、グラビアコーティング、リバースコーティング、ロールコーティング、リップコーティング、スプレーコーティングなどが例示できる。これらの方法で易接着剤を塗布し、加熱乾燥により溶剤を揮散させることで、硬化処理前の易接着剤層(D’)を形成することができる。
形成される硬化処理前の易接着剤層(D’)の厚みは、0.01〜30μmであることが好ましく、0.1〜10μmであることがより好ましい。
【0067】
プラスチックフィルム(E)としては、例えば、ポリエチレンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレート、ポリエチレンナフタレートなどのポリエステル系樹脂フィルム、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリシクロペンタジエンなどのオレフィンフィルム、ポリフッ化ビニル、ポリフッ化ビニリデンフィルム、ポリテトラフルオロエチレンフィルム、エチレン‐テトラフルオロエチレン共重合体フィルムなどのフッ素系フィルム、アクリルフィルム、トリアセチルセルロースフィルムを用いることができる。フィルム剛性、コストの観点からポリエステル系樹脂フィルムであることが好ましく、この中でもポリエチレンテレフタレートフィルムであることが好ましい。プラスチックフィルム(E)は、1層または2層以上の複層構造でも構わない。さらには、プラスチックフィルム(E)には、金属酸化物や非金属無機酸化物を蒸着した蒸着フィルムが積層されていても良い。
【0068】
蒸着される金属酸化物もしくは非金属無機酸化物としては、例えば、ケイ素、アルミニウム、マグネシウム、カルシウム、カリウム、スズ、ナトリウム、ホウ素、チタン、鉛、ジルコニウム、イットリウムなどの酸化物が使用できる。また、アルカリ金属、アルカリ土類金属のフッ化物なども使用することができ、これらは単独もしくは組み合わせて使用することができる。
これらの金属酸化物もしくは非金属無機酸化物は、従来公知の真空蒸着、イオンプレーティング、スパッタリングなどのPVD方式や、プラズマCVD、マイクロウェーブCVDなどのCVD方式を用いて蒸着することができる。
【0069】
プラスチックフィルム(E)は、無色であってもよいし、顔料もしくは染料などの着色成分が含有されていても良い。着色成分を含有させる方法としては、例えば、フィルムの製膜時にあらかじめ着色成分を練りこんでおく方法、無色透明フィルム基材上に着色成分を印刷する方法等がある。また、着色フィルムと無色透明フィルムとを貼り合わせて使用してもよい。
【0070】
太陽電池裏面保護シート(V’)は、プラスチックフィルム(E)の易接着剤層(D’)が形成されていない側の表面に、金属箔(F)や耐候性樹脂層(G)などのフィルム層やコート層が単層または複数層設けられていても良い。
【0071】
金属箔(F)としては、アルミニウム箔、鉄箔、亜鉛合板などを使用することができ、これらの中でも、耐腐食性の観点から、アルミニウム箔が好ましい。厚みは10μmから100μmであることが好ましく、更に好ましくは20μmから50μmであることが好ましい。金属箔(F)の積層には、従来公知の種々の接着剤を用いることができる。
【0072】
耐候性樹脂層(G)としては、ポリフッ化ビニリデンフィルムやポリエチレンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレート、ポリナフタレンテレフタレートなどのポリエステル系樹脂フィルムを従来公知の種々の接着剤を用いて積層したものや、旭硝子(株)のルミフロンのような高耐候性塗料を塗工して形成したコート層などを使用することができる。
【0073】
次に太陽電池モジュールについて説明する。
太陽電池モジュール100は、太陽電池セル(III)に対し、太陽電池セルの受光面側に位置する太陽電池表面保護材(I)を太陽電池セルの受光面側に位置する硬化処理前の封止剤(II)を介して積層し、硬化処理前の太陽電池裏面保護シート(V’)を太陽電池セルの非受光面側に位置する硬化処理前の封止財(IV)を介して積層し、減圧下で高温加熱圧着することによって得ることができる。
【0074】
太陽電池表面保護材(I)としては、特に限定されないが、公的な例として、ガラス板、ポリカーボネートやポリアクリレートのプラスチック板などを挙げることができる。透明性、耐候性、強靭性などの点からは、ガラス板が好ましい。さらには、ガラス板の中でも透明性の高い白板ガラスが好ましい。
【0075】
封止剤(II)、(IV)として使用されるEVA等の封止剤には、耐候性向上のための紫外線吸収剤、光安定剤や、EVA自身を架橋させるための有機過酸化物などの添加剤が含まれていても良い。
【0076】
本発明の易接着剤層(D’)は、太陽電池モジュールを形成するときの高温加熱圧着工程において、炭素−炭素二重結合が架橋することにより封止剤(IV)との接着力向上効果を奏する。封止剤(IV)の中に有機過酸化物が含まれていると、この架橋反応が促進されるため、本発明の効果が最大限に発揮される。従って、非受光面側に位置する封止剤(IV)は、有機過酸化物を含有することが好ましい。
【0077】
非受光面側の封止剤は、ファストキュアタイプのEVAであることが好ましい。一般的に太陽電池モジュールの封止材として用いられるEVAとしては、スタンダードキュアタイプとファストキュアタイプのEVAがある。スタンダードキュアタイプでは真空ラミネート工程(例えば、120℃〜150℃で60分〜90分)に加えてキュア工程(さらに、例えば、120℃〜150℃で60分〜90分)が必要であるのに対して、ファストキュアタイプのEVAは真空ラミネート工程の時間の短縮に加えて、キュア工程が不要であるため、設備コストや生産性の点で優位性がある。
【0078】
ファストキュアタイプのEVAはそれに含有される過酸化物の量や種類がスタンダードキュアタイプより異なり、反応性が高く、EVAの架橋がより早く終わるように改良されている。しかしながら、ファストキュアタイプのEVAと太陽電池裏面保護シートを接着させる場合、従来の易接着剤ではラミネート時間やキュア時間が短縮される分、接着性や耐久性に劣るという欠点があった。しかしながら、本発明の易接着剤は接着性も耐久性も優れており、ファストキュアタイプのEVAに対して極めて良好な易接着剤である。
【0079】
本発明でいうファストキュアタイプのEVAとは、真空下で140℃30分間加熱したときのゲル分率が、75%以上となるEVAのことを指す。なお、ゲル分率とは、約5gのEVAを計り取り、200gのキシレン中で3時間還流した後、キシレンに溶解しなかった不溶物の重量を、計り取ったEVAの重量で除して算出した百分率のことを指す。
【0080】
太陽電池セル(III)としては、結晶シリコン、アモルファスシリコン、銅インジウムセレナイドに代表される化合物半導体などの光電変換層に電極を設けたもの、さらにはそれらをガラス等の基板上に積層したもの等が例示できる。
【実施例】
【0081】
以下、実施例により、本発明をさらに詳細に説明するが、本発明は、以下の実施例によって限定されるものではない。なお、実施例中、部は重量部を、%は重量%をそれぞれ示す。表1に(メタ)アクリル系共重合体の物性を示す。
【0082】
<(メタ)アクリル系共重合体A1溶液>
冷却管、撹拌装置、温度計、窒素導入管を備えた4つ口フラスコに、メチルメタクリレート70部、n−ブチルメタクリレート26部、2−ヒドロキシエチルメタクリレート2部、グリシジルメタクリレート2部、トルエン100部を仕込み、窒素雰囲気下で撹拌しながら100℃まで昇温した。次いで、アゾビスイソブチロニトリルを0.15部加えて2時間重合反応を行い、次に、アゾビスイソブチロニトリルを0.07部加えてさらに2時間重合反応を行い、更に0.07部のアゾビスイソブチロニトリルを加えてさらに2時間重合反応を行った。
その後、ハイドロキノンを0.03部、ジメチルベンジルアミンを0.8部、アクリル酸を1部添加し、100℃で15時間加熱撹拌した。酸価が2以下であることを確認し、数平均分子量が40,000、水酸基価が17.0(mgKOH/g)、Tgが76℃、炭素−炭素二重結合含有側鎖の割合が1/53、固形分50%の(メタ)アクリル系共重合体A1溶液を得た。
【0083】
なお、数平均分子量、ガラス転移温度、酸価、水酸基価は、下記に記述するようにして測定した。また、炭素−炭素二重結合含有側鎖の割合は、共重合に用いたモノマー中のグリシジルメタクリレートの量を基準に求めた理論値である。
【0084】
<数平均分子量(Mn)の測定>
Mnの測定は、前述したGPC(ゲルパーミエーションクロマトグラフィー)によって求めた。
【0085】
<ガラス転移温度(Tg)の測定>
ガラス転移温度の測定は、前述した示差走査熱量測定(DSC)法により求めた。
なお、Tg測定用の試料は、上記のアクリル樹脂溶液を150℃で約15分、加熱し、乾固させたものを用いた。
【0086】
<酸価(AV)の測定>
共栓三角フラスコ中に試料(樹脂の溶液:約50%)約1gを精密に量り採り、トルエン/エタノール(容量比:トルエン/エタノール=2/1)混合液100mlを加えて溶解する。これに、フェノールフタレイン試液を指示薬として加え、30秒間保持する。その後、溶液が淡紅色を呈するまで0.1Nアルコール性水酸化カリウム溶液で滴定する。酸価は次式により求めた。酸価は樹脂の乾燥状態の数値とした(単位:mgKOH/g)。
酸価(mgKOH/g)={(5.611×a×F)/S}/(不揮発分濃度/100)
ただし、S:試料の採取量(g)
a:0.1Nアルコール性水酸化カリウム溶液の消費量(ml)
F:0.1Nアルコール性水酸化カリウム溶液の力価
【0087】
<水酸基価(OHV)の測定>
共栓三角フラスコ中に試料(樹脂の溶液:約50%)約1gを精密に量り採り、トルエン/エタノール(容量比:トルエン/エタノール=2/1)混合液100mlを加えて溶解する。更にアセチル化剤(無水酢酸25gをピリジンで溶解し、容量100mlとした溶液)を正確に5ml加え、約1時間攪拌した。これに、フェノールフタレイン試液を指示薬として加え、30秒間持続する。その後、溶液が淡紅色を呈するまで0.1Nアルコール性水酸化カリウム溶液で滴定する。
水酸基価は次式により求めた。水酸基価は樹脂の乾燥状態の数値とした(単位:mgKOH/g)。
水酸基価(mgKOH/g)
=[{(b−a)×F×28.25}/S]/(不揮発分濃度/100)+D
ただし、S:試料の採取量(g)
a:0.1Nアルコール性水酸化カリウム溶液の消費量(ml)
b:空実験の0.1Nアルコール性水酸化カリウム溶液の消費量(ml)
F:0.1Nアルコール性水酸化カリウム溶液の力価
D:酸価(mgKOH/g)
【0088】
<(メタ)アクリル系共重合体A2溶液>
冷却管、撹拌装置、温度計、窒素導入管を備えた4つ口フラスコに、メチルメタクリレート70部、n−ブチルメタクリレート26部、2−ヒドロキシエチルメタクリレート2部、グリシジルメタクリレート2部、トルエン100部を仕込み、窒素雰囲気下で撹拌しながら100℃まで昇温し、アゾビスイソブチロニトリルを0.32部加えて2時間重合反応を行い、次に、アゾビスイソブチロニトリルを0.07部加えてさらに2時間重合反応を行い、更に0.07部のアゾビスイソブチロニトリルを加えてさらに2時間重合反応を行った。
その後、ハイドロキノンを0.03部、ジメチルベンジルアミンを0.8部、アクリル酸を1部添加し、100℃で15時間加熱撹拌した。酸価が2以下であることを確認し、数平均分子量が17,000、水酸基価が16.5(mgKOH/g)、Tgが76℃、炭素−炭素二重結合含有側鎖の割合が1/53、固形分50%の(メタ)アクリル系共重合体A2溶液を得た。
【0089】
<(メタ)アクリル系共重合体A3溶液>
冷却管、撹拌装置、温度計、窒素導入管を備えた4つ口フラスコに、メチルメタクリレート70部、n−ブチルメタクリレート26部、2−ヒドロキシエチルメタクリレート2部、グリシジルメタクリレート2部、トルエン100部を仕込み、窒素雰囲気下で撹拌しながら80℃まで昇温し、アゾビスイソブチロニトリルを0.1部加えて2時間重合反応を行い、次に、アゾビスイソブチロニトリルを0.07部加えてさらに2時間重合反応を行い、更に0.07部のアゾビスイソブチロニトリルを加えてさらに2時間重合反応を行った。
その後、ハイドロキノンを0.03部、ジメチルベンジルアミンを0.8部、アクリル酸を1部添加し、100℃で15時間加熱撹拌した。酸価が2以下であることを確認し、数平均分子量が75,000、水酸基価が19.0(mgKOH/g)、Tgが76℃、炭素−炭素二重結合含有側鎖の割合が1/53、固形分50%の(メタ)アクリル系共重合体A3溶液を得た。
【0090】
<(メタ)アクリル系共重合体A4溶液>
冷却管、撹拌装置、温度計、窒素導入管を備えた4つ口フラスコに、メチルメタクリレート70部、n−ブチルメタクリレート26部、2−ヒドロキシルエチルメタクリレート4部、トルエン100部を仕込み、窒素雰囲気下で撹拌しながら100℃まで昇温し、アゾビスイソブチロニトリルを0.15部加えて2時間重合反応を行い、次に、アゾビスイソブチロニトリルを0.07部加えてさらに2時間重合反応を行い、更に0.07部のアゾビスイソブチロニトリルを加えてさらに2時間重合反応を行った。
その後、ハイドロキノンを0.03部、ジブチルスズジラウレートを0.03部添加し、2−イソシアナトエチルメタクリレート:1.7部をメチルエチルケトン1.7部に溶解したものを、40℃で撹拌しながら2時間かけて滴下した。IRでイソシアネートピーク(2260cm
−1)が消失したことを確認し、数平均分子量が40,000、水酸基価が8.8(mgKOH/g)、Tgが76℃、炭素−炭素二重結合含有側鎖の割合が1/49、固形分50%の(メタ)アクリル系共重合体A4溶液を得た。
【0091】
<(メタ)アクリル系共重合体A5溶液>
冷却管、撹拌装置、温度計、窒素導入管を備えた4つ口フラスコに、メチルメタクリレート70部、n−ブチルメタクリレート26部、2−ヒドロキシルエチルメタクリレート4部、トルエン100部を仕込み、窒素雰囲気下で撹拌しながら100℃まで昇温し、アゾビスイソブチロニトリルを0.15部加えて2時間重合反応を行い、次に、アゾビスイソブチロニトリルを0.07部加えてさらに2時間重合反応を行い、更に0.07部のアゾビスイソブチロニトリルを加えてさらに2時間重合反応を行った。
その後、ハイドロキノンを0.03部、ジブチルスズジラウレートを0.03部添加し、2−イソシアナトエチルメタクリレート:2.9部をメチルエチルケトン2.9部に溶解したものを、40℃で撹拌しながら2時間かけて滴下した。IRでイソシアネートピーク(2260cm
−1)が消失したことを確認し、数平均分子量が33,000、水酸基価が2.0(mgKOH/g)、Tgが78℃、炭素−炭素二重結合含有側鎖の割合が1/28、固形分50%の(メタ)アクリル系共重合体A5溶液を得た。
【0092】
<(メタ)アクリル系共重合体A6溶液>
冷却管、撹拌装置、温度計、窒素導入管を備えた4つ口フラスコに、メチルメタクリレート70部、n−ブチルメタクリレート26部、2−ヒドロキシルエチルメタクリレート2部、無水フタル酸2部、トルエン100部を仕込み、窒素雰囲気下で撹拌しながら100℃まで昇温し、アゾビスイソブチロニトリルを0.15部加えて2時間重合反応を行い、次に、アゾビスイソブチロニトリルを0.07部加えてさらに2時間重合反応を行い、更に0.07部のアゾビスイソブチロニトリルを加えてさらに2時間重合反応を行った。 その後、2−ヒドロキシエチルメタクリレートを0.85部、トリエチルアミンを0.5部添加し、110℃で7時間加熱撹拌することで、数平均分子量が40,000、水酸基価が8.2(mgKOH/g)、Tgが78℃、炭素−炭素二重結合含有側鎖の割合が1/37、固形分50%の(メタ)アクリル系共重合体A6溶液を得た。
【0093】
<(メタ)アクリル系共重合体A7溶液>
冷却管、撹拌装置、温度計、窒素導入管を備えた4つ口フラスコに、メチルメタクリレート55部、n−ブチルメタクリレート41部、2−ヒドロキシエチルメタクリレート2部、グリシジルメタクリレート2部、トルエン100部を仕込み、窒素雰囲気下で撹拌しながら100℃まで昇温し、アゾビスイソブチロニトリルを0.10部加えて2時間重合反応を行い、次に、アゾビスイソブチロニトリルを0.07部加えてさらに2時間重合反応を行い、更に0.07部のアゾビスイソブチロニトリルを加えてさらに2時間重合反応を行った。
その後、ハイドロキノンを0.03部、ジメチルベンジルアミンを0.8部、アクリル酸を1部添加し、100℃で15時間加熱撹拌した。酸価が2以下であることを確認し、数平均分子量が80,000、水酸基価が16.7(mgKOH/g)、Tgが63℃、炭素−炭素二重結合含有側鎖の割合が1/50、固形分50%の(メタ)アクリル系共重合体A7溶液を得た。
【0094】
<(メタ)アクリル系共重合体A8溶液>
冷却管、撹拌装置、温度計、窒素導入管を備えた4つ口フラスコに、メチルメタクリレート90部、n−ブチルメタクリレート6部、2−ヒドロキシエチルメタクリレート2部、グリシジルメタクリレート2部、トルエン100部を仕込み、窒素雰囲気下で撹拌しながら100℃まで昇温し、アゾビスイソブチロニトリルを0.15部加えて2時間重合反応を行い、次に、アゾビスイソブチロニトリルを0.07部加えてさらに2時間重合反応を行い、更に0.07部のアゾビスイソブチロニトリルを加えてさらに2時間重合反応を行った。
その後、ハイドロキノンを0.03部、ジメチルベンジルアミンを0.8部、アクリル酸を1部添加し、100℃で15時間加熱撹拌した。酸価が2以下であることを確認し、数平均分子量が41,000、水酸基価が17.0(mgKOH/g)、Tgが96℃、炭素−炭素二重結合含有側鎖の割合が1/59、固形分50%の(メタ)アクリル系共重合体A8溶液を得た。
【0095】
<(メタ)アクリル系共重合体A9溶液>
冷却管、撹拌装置、温度計、窒素導入管を備えた4つ口フラスコに、メチルメタクリレート73部、n−ブチルメタクリレート10部、2−ヒドロキシエチルメタクリレート15部、グリシジルメタクリレート2部、トルエン100部を仕込み、窒素雰囲気下で撹拌しながら100℃まで昇温し、アゾビスイソブチロニトリルを0.15部加えて2時間重合反応を行い、次に、アゾビスイソブチロニトリルを0.07部加えてさらに2時間重合反応を行い、更に0.07部のアゾビスイソブチロニトリルを加えてさらに2時間重合反応を行った。
その後、ハイドロキノンを0.03部、ジメチルベンジルアミンを0.8部、アクリル酸を1部添加し、100℃で15時間加熱撹拌した。酸価が2以下であることを確認し、数平均分子量が45,000、水酸基価が72.0(mgKOH/g)、Tgが85℃、炭素−炭素二重結合含有側鎖の割合が1/55、固形分50%の(メタ)アクリル系共重合体A9溶液を得た。
【0096】
<(メタ)アクリル系共重合体A10溶液>
冷却管、撹拌装置、温度計、窒素導入管を備えた4つ口フラスコに、メチルメタクリレート80部、n−ブチルメタクリレート3部、2−ヒドロキシエチルメタクリレート2部、グリシジルメタクリレート15部、トルエン100部を仕込み、窒素雰囲気下で撹拌しながら100℃まで昇温し、アゾビスイソブチロニトリルを0.14部加えて2時間重合反応を行い、次に、アゾビスイソブチロニトリルを0.07部加えてさらに2時間重合反応を行い、更に0.07部のアゾビスイソブチロニトリルを加えてさらに2時間重合反応を行った。
その後、ハイドロキノンを0.03部、ジメチルベンジルアミンを0.8部、アクリル酸を7.5部添加し、100℃で15時間加熱撹拌した。酸価が2以下であることを確認し、数平均分子量が50,000、水酸基価が71.4(mgKOH/g)、Tgが90℃、炭素−炭素二重結合含有側鎖の割合が1/8、固形分50%の(メタ)アクリル系共重合体A10溶液を得た。
【0097】
<(メタ)アクリル系共重合体A11溶液>
冷却管、撹拌装置、温度計、窒素導入管を備えた4つ口フラスコに、メチルメタクリレート70部、n−ブチルメタクリレート27.5部、2−ヒドロキシエチルメタクリレート2部、グリシジルメタクリレート0.5部、トルエン100部を仕込み、窒素雰囲気下で撹拌しながら100℃まで昇温し、アゾビスイソブチロニトリルを0.06部加えて2時間重合反応を行い、次に、アゾビスイソブチロニトリルを0.05部加えてさらに2時間重合反応を行い、更に0.05部のアゾビスイソブチロニトリルを加えてさらに2時間重合反応を行った。
その後、ハイドロキノンを0.03部、ジメチルベンジルアミンを0.8部、アクリル酸を0.25部添加し、100℃で15時間加熱撹拌した。酸価が2以下であることを確認し、数平均分子量が120,000、水酸基価が10.7(mgKOH/g)、Tgが76℃、炭素−炭素二重結合含有側鎖の割合が1/222、固形分50%の(メタ)アクリル系共重合体A11溶液を得た。
【0098】
<(メタ)アクリル系共重合体A12溶液>
冷却管、撹拌装置、温度計、窒素導入管を備えた4つ口フラスコに、メチルメタクリレート70部、n−ブチルメタクリレート26部、2−ヒドロキシルエチルメタクリレート4部、酢酸エチル100部を仕込み、窒素雰囲気下で撹拌しながら77℃まで昇温し、アゾビスイソブチロニトリルを0.05部加えて2時間重合反応を行った。次に、酢酸エチル22部、および0.05部のアゾビスイソブチロニトリルを加えて2時間重合反応を行い、更に、酢酸エチル22部、および0.05部のアゾビスイソブチロニトリルを加えて2時間重合反応を行った。その後、酢酸エチル36部および0.05部のアゾビスイソブチロニトリルを加えて2時間重合反応を行い、さらに0.05部のアゾビスイソブチロニトリルを加えて2時間重合反応を行った。
その後、ハイドロキノンを0.03部、ジブチルスズジラウレートを0.03部添加し、2−イソシアナトエチルメタクリレート:1.7部をメチルエチルケトン1.7部に溶解したものを、40℃で撹拌しながら2時間かけて滴下した。IRでイソシアネートピーク(2260cm
−1)が消失したことを確認し、数平均分子量が242,000、水酸基価が8.2(mgKOH/g)、Tgが77℃、炭素−炭素二重結合含有側鎖の割合が1/49、固形分35%の(メタ)アクリル系共重合体A12溶液を得た。
【0099】
<アクリル系共重合体A13溶液>
冷却管、撹拌装置、温度計、窒素導入管を備えた4つ口フラスコに、メチルメタクリレート55部、n−ブチルメタクリレート20部、2−ヒドロキシルエチルメタクリレート25部、トルエン100部を仕込み、窒素雰囲気下で撹拌しながら100℃まで昇温し、アゾビスイソブチロニトリルを0.13部加えて2時間重合反応を行い、次に、アゾビスイソブチロニトリルを0.07部加えてさらに2時間重合反応を行い、更に0.07部のアゾビスイソブチロニトリルを加えてさらに2時間重合反応を行った。
その後、ハイドロキノンを0.03部、ジブチルスズジラウレートを0.03部添加し、2−イソシアナトエチルメタクリレート:1.7部をメチルエチルケトン1.7部に溶解したものを、40℃で撹拌しながら2時間かけて滴下した。IRでイソシアネートピーク(2260cm
−1)が消失したことを確認し、数平均分子量が45,000、水酸基価が96.4(mgKOH/g)、Tgが72℃、炭素−炭素二重結合含有側鎖の割合が1/51、固形分50%の(メタ)アクリル系共重合体A13溶液を得た。
【0100】
<(メタ)アクリル系共重合体A14溶液>
冷却管、撹拌装置、温度計、窒素導入管を備えた4つ口フラスコに、メチルメタクリレート70部、n−ブチルメタクリレート28部、2−ヒドロキシエチルメタクリレート2部、トルエン100部を仕込み、窒素雰囲気下で撹拌しながら100℃まで昇温し、アゾビスイソブチロニトリルを0.15部加えて2時間重合反応を行い、次に、アゾビスイソブチロニトリルを0.07部加えてさらに2時間重合反応を行い、更に0.07部のアゾビスイソブチロニトリルを加えてさらに2時間重合反応を行い、数平均分子量が40,000、水酸基価が8.4(mgKOH/g)、Tgが76℃、炭素−炭素二重結合含有側鎖の割合が0、固形分50%の(メタ)アクリル系共重合体A14溶液を得た。
【0101】
<(メタ)アクリル系共重合体A15溶液>
冷却管、撹拌装置、温度計、窒素導入管を備えた4つ口フラスコに、メチルメタクリレート70部、n−ブチルメタクリレート26部、2−ヒドロキシルエチルメタクリレート4部、トルエン100部を仕込み、窒素雰囲気下で撹拌しながら100℃まで昇温し、アゾビスイソブチロニトリルを0.15部加えて2時間重合反応を行い、次に、アゾビスイソブチロニトリルを0.07部加えてさらに2時間重合反応を行い、更に0.07部のアゾビスイソブチロニトリルを加えてさらに2時間重合反応を行った。
その後、ハイドロキノンを0.03部、ジブチルスズジラウレートを0.03部添加し、2−イソシアナトエチルメタクリレート:3.3部をメチルエチルケトン3.3部に溶解したものを、40℃で撹拌しながら2時間かけて滴下した。IRでイソシアネートピーク(2260cm
−1)が消失したことを確認し、数平均分子量が40,000、水酸基価が0(mgKOH/g)、Tgが76℃、炭素−炭素二重結合含有側鎖の割合が1/25、固形分50%の(メタ)アクリル系共重合体A15溶液を得た。
【0102】
<(メタ)アクリル系共重合体A16溶液>
冷却管、撹拌装置、温度計、窒素導入管を備えた4つ口フラスコに、メチルメタクリレート70部、n−ブチルメタクリレート26部、2−ヒドロキシエチルメタクリレート2部、グリシジルメタクリレート2部、トルエン100部を仕込み、窒素雰囲気下で撹拌しながら100℃まで昇温し、アゾビスイソブチロニトリルを0.6部加えて2時間重合反応を行い、次に、アゾビスイソブチロニトリルを0.07部加えてさらに2時間重合反応を行い、更に0.07部のアゾビスイソブチロニトリルを加えてさらに2時間重合反応を行った。
その後、ハイドロキノンを0.03部、ジメチルベンジルアミンを0.8部、アクリル酸を1部添加し、100℃で15時間加熱撹拌した。酸価が2以下であることを確認し、数平均分子量が14,000、水酸基価が16.8(mgKOH/g)、Tgが76℃、炭素−炭素二重結合含有側鎖の割合が1/53、固形分50%の(メタ)アクリル系共重合体A16溶液を得た。
【0103】
<(メタ)アクリル系共重合体A17溶液>
冷却管、撹拌装置、温度計、窒素導入管を備えた4つ口フラスコに、メチルメタクリレート46部、n−ブチルメタクリレート50部、2−ヒドロキシエチルメタクリレート2部、グリシジルメタクリレート2部、トルエン100部を仕込み、窒素雰囲気下で撹拌しながら100℃まで昇温し、アゾビスイソブチロニトリルを0.10部加えて2時間重合反応を行い、次に、アゾビスイソブチロニトリルを0.07部加えてさらに2時間重合反応を行い、更に0.07部のアゾビスイソブチロニトリルを加えてさらに2時間重合反応を行った。
その後、ハイドロキノンを0.03部、ジメチルベンジルアミンを0.8部、アクリル酸を1部添加し、100℃で15時間加熱撹拌した。酸価が2以下であることを確認し、数平均分子量が90,000、水酸基価が18.1(mgKOH/g)、Tgが55℃、炭素−炭素二重結合含有側鎖の割合が1/56、固形分50%の(メタ)アクリル系共重合体A17溶液を得た。
【0104】
<(メタ)アクリル系共重合体A18溶液>
冷却管、撹拌装置、温度計、窒素導入管を備えた4つ口フラスコに、メチルメタクリレート96部、2−ヒドロキシエチルメタクリレート2部、グリシジルメタクリレート2部、トルエン100部を仕込み、窒素雰囲気下で撹拌しながら100℃まで昇温し、アゾビスイソブチロニトリルを0.20部加えて2時間重合反応を行い、次に、アゾビスイソブチロニトリルを0.07部加えてさらに2時間重合反応を行い、更に0.07部のアゾビスイソブチロニトリルを加えてさらに2時間重合反応を行った。
その後、ハイドロキノンを0.03部、ジメチルベンジルアミンを0.8部、アクリル酸を1部添加し、100℃で15時間加熱撹拌した。酸価が2以下であることを確認し、数平均分子量が30,000、水酸基価が16.7(mgKOH/g)、Tgが102℃、炭素−炭素二重結合含有側鎖の割合が1/63、固形分50%の(メタ)アクリル系共重合体A18溶液を得た。
【0105】
<(メタ)アクリル系共重合体A19溶液>
冷却管、撹拌装置、温度計、窒素導入管を備えた4つ口フラスコに、メチルメタクリレート55部、n−ブチルメタクリレート20部、2−ヒドロキシエチルメタクリレート15部、グリシジルメタクリレート10部、トルエン100部を仕込み、窒素雰囲気下で撹拌しながら100℃まで昇温し、アゾビスイソブチロニトリルを0.12部加えて2時間重合反応を行い、次に、アゾビスイソブチロニトリルを0.07部加えてさらに2時間重合反応を行い、更に0.07部のアゾビスイソブチロニトリルを加えてさらに2時間重合反応を行った。
その後、ハイドロキノンを0.03部、ジメチルベンジルアミンを0.8部、アクリル酸を5部添加し、100℃で15時間加熱撹拌した。酸価が2以下であることを確認し、数平均分子量が60,000、水酸基価が108.5(mgKOH/g)、Tgが70℃、炭素−炭素二重結合含有側鎖の割合が1/11、固形分51%の(メタ)アクリル系共重合体A19溶液を得た。
【0106】
<(メタ)アクリル系共重合体A20溶液>
冷却管、撹拌装置、温度計、窒素導入管を備えた4つ口フラスコに、メチルメタクリレート53部、n−ブチルメタクリレート20部、2−ヒドロキシルエチルメタクリレート27部、トルエン100部を仕込み、窒素雰囲気下で撹拌しながら100℃まで昇温し、アゾビスイソブチロニトリルを0.15部加えて2時間重合反応を行い、次に、アゾビスイソブチロニトリルを0.07部加えてさらに2時間重合反応を行い、更に0.07部のアゾビスイソブチロニトリルを加えてさらに2時間重合反応を行った。
その後、ハイドロキノンを0.03部、ジブチルスズジラウレートを0.03部添加し、2−イソシアナトエチルメタクリレート21部をメチルエチルケトン21部に溶解したものを、40℃で撹拌しながら2時間かけて滴下した。IRでイソシアネートピーク(2260cm
−1)が消失したことを確認し、数平均分子量が35,000、水酸基価が7.6(mgKOH/g)、Tgが71℃、炭素−炭素二重結合含有側鎖の割合が1/4、固形分50%の(メタ)アクリル系共重合体A20溶液を得た。
【0107】
<(メタ)アクリル系共重合体A21溶液>
冷却管、撹拌装置、温度計、窒素導入管を備えた4つ口フラスコに、メチルメタクリレート70部、n−ブチルメタクリレート27.8部、2−ヒドロキシエチルメタクリレート2部、グリシジルメタクリレート0.2部、トルエン100部を仕込み、窒素雰囲気下で撹拌しながら100℃まで昇温し、アゾビスイソブチロニトリルを0.15部加えて2時間重合反応を行い、次に、アゾビスイソブチロニトリルを0.07部加えてさらに2時間重合反応を行い、更に0.07部のアゾビスイソブチロニトリルを加えてさらに2時間重合反応を行った。
その後、ハイドロキノンを0.03部、ジメチルベンジルアミンを0.8部、アクリル酸を0.1部添加し、100℃で15時間加熱撹拌した。酸価が2以下であることを確認し、数平均分子量が40,000、水酸基価が8.6(mgKOH/g)、Tgが76℃、炭素−炭素二重結合含有側鎖の割合が1/556、固形分50%の(メタ)アクリル系共重合体A21溶液を得た。
【0108】
<ポリイソシアネート化合物溶液B>
3,5−ジメチルピラゾールでブロックされた、ヘキサメチレンジイソシアネートのイソシアヌレート体を、酢酸エチルで75%に希釈し、ポリイソシアネート化合物溶液(B)を得た。
【0109】
<易接着剤溶液の調整>
(メタ)アクリル系共重合体(A)溶液、ポリイソシアネート化合物(B)溶液を表2に示す組成にて混合し、さらに(メタ)アクリル系共重合体(A)溶液の固形分100重量部に対して、いずれも触媒としてジオクチル錫ラウレートを0.01重量部配合し、易接着剤溶液1〜26を得た。
【0110】
<太陽電池裏面保護シートの作製>
ポリエステルフィルム(帝人デュポンフィルム(株)製、テトロン(登録商標)S、厚み188μm、)の両面にコロナ処理し、一方の面にポリエステル接着剤「ダイナレオVA−3020/HD−701」(トーヨーケム(株)製、配合比100/7、以下同)をグラビアコーターによって塗布し、溶剤を乾燥させ、塗布量:10g/平方メートルの接着剤層を設け、該接着剤層に、下記の蒸着PET(三菱樹脂(株)製、テックバリアLX、厚み12μm)の蒸着面を重ね合わせた。その後、50℃、4日間、エージング処理し、接着剤層を硬化させ、ポリエステルフィルム−蒸着PET積層体を作製した。
【0111】
さらに、ポリエステルフィルム−蒸着PET積層体の蒸着PET側の表面に、ポリエステル接着剤「ダイナレオVA−3020/HD−701」(トーヨーケム(株)製、配合比100/7、以下同様)をグラビアコーターによって塗布し、溶剤を乾燥させ、塗布量:10g/平方メートルの接着剤層を設け、該接着剤層に、ポリフッ化ビニルフィルム(デュポン(株)製、テドラー、厚み50μm)を重ね合わせた。その後、50℃、4日間、エージング処理し、接着剤層を硬化させ、ポリエステルフィルム−蒸着PET−ポリフッ化ビニルフィルム積層体を作製した。
【0112】
さらに、ポリエステルフィルム−蒸着PET−ポリフッ化ビニルフィルム積層体のポリエステルフィルム面に、易接着剤溶液1をグラビアコーターによって塗布し、溶剤を乾燥させ、塗布量:1g/平方メートルの易接着剤層を設け、太陽電池裏面保護シート1を作製した。
【0113】
太陽電池裏面保護シート1と同様にして、易接着剤溶液2〜26を用いて、太陽電池裏面保護シート2〜26を作製した。
【0114】
太陽電池裏面保護シート1と同様の作製方法で、易接着剤層を設けない、ポリエステルフィルム−蒸着PET−ポリフッ化ビニルフィルムの層構成となる太陽電池裏面保護シート27を作製した。
【0115】
<接着力評価用サンプルの作製>
白板ガラス、酢酸ビニル−エチレン共重合体フィルム(サンビック(株)製、ファストキュアタイプ、以下EVAフィルム)、太陽電池裏面保護シート1を、太陽電池裏面保護シート1の易接着剤層がEVAフィルムに接するように順に重ねた。その後、この積層体を真空ラミネーターに入れ、1Torr程度に真空排気して、プレス圧力0.1MPaで、150℃30分間加熱後、さらに150℃で30分間加熱し、10cm×10cm角の接着力評価用サンプル1を作製した。
【0116】
接着力評価用サンプル1と同様にして、太陽電池裏面保護シート2〜26を用いて、接着力評価用サンプル2〜26を作製した。
【0117】
白板ガラス、EVAフィルム、太陽電池裏面保護シート27を、太陽電池裏面保護シート27のポリエステルフィルム側の表面がEVAフィルムに接するように順に重ね、接着力評価用サンプル1と同様にして、接着力評価用サンプル27を作製した。
【0118】
[実施例1]
接着力評価用サンプル1を用い、後述する方法で、易接着剤層のEVAフィルムへの接着性、耐湿熱試験(1000時間後、2000時間後)接着性の評価を行った。
【0119】
<接着性測定>
接着力評価用サンプル1の太陽電池裏面保護シート1面をカッターで15mm幅に切り、太陽電池裏面保護シート1に形成された易接着剤層と封止剤であるEVAフィルムとの接着力を測定した。測定には、引っ張り試験機を用い、荷重速度100mm/minで180度剥離試験を行った。得られた測定値に対して、以下のように評価した。
◎:50N/15mm以上
○:30N/15mm以上〜50N/15mm未満
△:10N/15mm以上〜30N/15mm未満
×:10N/15mm未満
【0120】
<耐湿熱試験後接着性>
接着力評価用サンプル1を、温度85℃、相対湿度85%RHの環境条件で500時間、1000時間、2000時間静置した後、接着性測定と同様にして、耐湿熱試験後接着性の評価を行った。
【0121】
[実施例2〜16]、[比較例1〜10]
実施例1と同様にして、接着力評価用サンプル2〜26を用い、易接着剤層のEVAフィルムへの接着性、耐湿熱試験後接着性の評価を行った。
【0122】
[比較例11]
易接着剤溶液を用いずに作製した接着力評価用サンプル27を用い、ポリエステルフィルム表面とEVAフィルムとの接着性、耐湿熱試験後接着性の評価を行った。
以上の結果を表2に示す。
【0123】
【表1】
【0124】
【表2】
【0125】
表2に示されるように、実施例1〜16は、本発明の易接着剤を使用した太陽電池用裏面保護シートがEVAフィルムに対して十分な接着性、耐湿熱試験後接着性を有する。
【0126】
これに対して、比較例1は、(メタ)アクリル系共重合体が側鎖に炭素−炭素二重結合を有さないため接着性に劣る。
比較例2は、OH価が2より小さいために架橋が十分でなく耐湿熱試験後接着性に劣る。
比較例3は、アクリル系共重合体の数平均分子量が低すぎて耐湿熱試験後接着性に劣る。
比較例4は、(メタ)アクリル系共重合体(A)ののTgが低いのでファストキュアタイプのEVAフィルムを用いた場合、耐久性の点で難がある。比較例5は(メタ)アクリル系共重合体(A)のTgが高すぎて易接着剤層(D’)が硬くなるために接着性に劣る。
【0127】
比較例6は、アクリル系共重合体のOH価が100より大きく、比較例7は、アクリル系共重合体の炭素−炭素二重結合を有する側鎖の割合が大きすぎるために架橋が過剰になって接着性に劣る。
比較例8は、アクリル系共重合体の炭素−炭素二重結合を有する側鎖の割合が小さすぎるために、十分な接着性が得られない。
比較例9は、アクリル系共重合体と硬化剤のNCO/OH比が0であるため耐湿熱試験後接着性に劣り、比較例10はNCO/OH比が10で架橋が過剰になって接着性、耐湿熱試験後接着性に劣る。
【0128】
[実施例17]
<太陽電池モジュールの作製>
白板ガラス・・・太陽電池表面保護材(I)
EVAフィルム・・・受光面側の封止剤(II)
多結晶シリコン太陽電池素子・・・太陽電池セル(III)
EVAフィルム・・・非受光面側の封止剤(IV)
上記(I)−(IV)及び太陽電池裏面保護シート1を、太陽電池裏面保護シート1の易接着剤層が非受光面側の封止剤(IV)に接するように順に重ねた後、真空ラミネーターに入れ、1Torr程度に真空排気して、プレス圧力として大気圧の圧力をかけた状態で、150℃、30分間加熱後、さらに150℃で30分間加熱し、10cm×10cm角の光電変換効率評価用太陽電池モジュール1を作製した。
【0129】
<光電変換効率の測定>
得られた太陽電池モジュール1の太陽電池出力を測定し、JIS C8912に従って、ソーラーシュミレーター(英弘精機製、SS−100XIL)を用いて光電変換効率を測定した。
さらに、温度85℃、相対湿度85%RHの環境条件で500時間、1000時間、1500時間、2000時間静置した後の耐湿熱試験後の光電変換効率を、同様にして測定した。初期の光電変換効率に対する、耐湿熱試験後の光電変換効率の低下の割合を計算し、以下のように評価した。
○:出力の低下が10%未満
△:出力の低下が10%以上〜15%未満
×:出力の低下が20%以上
【0130】
[実施例18〜23]、[比較例12〜16]
実施例17と同様にして、太陽電池裏面保護シート2〜7、17、19、20、23、24を用いて太陽電池モジュール2−12を作製し、光電変換効率(初期、耐湿熱試験後)を測定した。
【0131】
[比較例17]
太陽電池裏面保護シート1の代わりに太陽電池裏面保護シート27を用い、太陽電池裏面保護シート27のポリエステルフィルムの表面が非受光面側の封止剤(IV)に接するように積層した以外は、実施例17と同様にして、光電変換効率(初期、耐湿熱試験後)を測定した。以上の結果を表3に示す。
【0132】
【表3】
【0133】
表3に示されるように、実施例17〜23は出力の低下は見られないが、比較例12〜17はEVAフィルムと、太陽電池裏面保護シートの接着性が十分でないため、水分の侵入により太陽電池素子の劣化を招き、光電変換効率が低下する。