特許第5853687号(P5853687)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】5853687
(24)【登録日】2015年12月18日
(45)【発行日】2016年2月9日
(54)【発明の名称】媒体処理装置
(51)【国際特許分類】
   G07D 9/00 20060101AFI20160120BHJP
【FI】
   G07D9/00 405J
【請求項の数】12
【全頁数】28
(21)【出願番号】特願2011-287770(P2011-287770)
(22)【出願日】2011年12月28日
(65)【公開番号】特開2013-137619(P2013-137619A)
(43)【公開日】2013年7月11日
【審査請求日】2014年8月15日
(73)【特許権者】
【識別番号】000000295
【氏名又は名称】沖電気工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100082740
【弁理士】
【氏名又は名称】田辺 恵基
(74)【代理人】
【識別番号】100174104
【弁理士】
【氏名又は名称】奥田 康一
(72)【発明者】
【氏名】平塚 秀一
(72)【発明者】
【氏名】岩▲崎▼ 悟
【審査官】 大谷 謙仁
(56)【参考文献】
【文献】 特開2011−018172(JP,A)
【文献】 特開2010−001123(JP,A)
【文献】 特表2005−505068(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G07D 9/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
所定の筐体により回転可能に支持され紙葉状の媒体を周側面に巻き付けるドラムと、
上記筐体により回転可能に支持されるリールと、
上記ドラムにおける周側面の幅よりも短いテープ幅でなり、一端が上記リールに巻き付けられると共に他端が上記ドラムの周側面に巻き付けられ、上記ドラムの回転に伴い、上記筐体の外部から供給される上記媒体を当該ドラムの周側面との間に挟んで巻き付けるテープと
上記テープの一面側から検出光を照射しその反対面側において当該検出光を受光するセンサと、
上記検出光の受光結果を基に上記ドラム及び上記リールの回転を制御する制御部と
を具え、
上記テープは、長手方向における上記リール側端部近傍又は上記ドラム側端部近傍の少なくとも一方に上記検出光を遮断する遮光領域を有し、長手方向における当該遮光領域以外の全部分に当該遮光領域と異なる色彩又は文字、図形若しくは模様が付されている
ことを特徴とする媒体処理装置。
【請求項2】
上記テープは、
上記遮光領域以外の部分に当該遮光領域と異なる色彩又は文字、図形若しくは模様であって上記検出光を透過するものが付されている
ことを特徴とする請求項に記載の媒体処理装置。
【請求項3】
上記筐体に対し回転する第2リールと、
上記ドラムの周側面よりも短いテープ幅でなり、一端が上記第2リールに巻き付けられると共に他端が上記ドラムの周側面における上記テープと重ならない箇所に巻き付けられ、上記ドラムの回転に伴い、上記テープと共に上記媒体を当該ドラムの周側面との間に挟んで巻き付ける第2テープと
をさらに具え、
上記テープ及び上記第2テープの少なくとも一方は、長手方向における上記リール側端部近傍又は上記ドラム側端部近傍の少なくとも一方に上記検出光を遮断する遮光領域を有し、長手方向における当該遮光領域以外の全部分に当該遮光領域と異なる色彩又は文字、図形若しくは模様が付されている
ことを特徴とする請求項1に記載の媒体処理装置。
【請求項4】
上記テープ及び上記第2テープは、
付された色彩又は文字、図形若しくは模様が互いに相違する
ことを特徴とする請求項に記載の媒体処理装置。
【請求項5】
上記筐体に対し回転する下側リールと、
上記ドラムの周側面よりも短いテープ幅でなり、一端が上記下側リールに巻き付けられると共に他端が上記ドラムの周側面における上記テープの内側に巻き付けられ、上記ドラムの回転に伴い、上記媒体を上記テープとの間に挟んで上記ドラムの周側面に巻き付ける下側テープと
をさらに具え、
上記テープ及び上記下側テープの少なくとも一方は、長手方向における上記リール側端部近傍又は上記ドラム側端部近傍の少なくとも一方に上記検出光を遮断する遮光領域を有し、長手方向における当該遮光領域以外の全部分に当該遮光領域と異なる色彩又は文字、図形若しくは模様が付されている
ことを特徴とする請求項1に記載の媒体処理装置。
【請求項6】
上記テープ及び上記下側テープは、
付された色彩又は文字、図形若しくは模様が互いに相違する
ことを特徴とする請求項に記載の媒体処理装置。
【請求項7】
上記テープは、
上記媒体処理装置に用いられる他の部品に対し識別性の高い色彩又は文字、図形若しくは模様が付されている
ことを特徴とする請求項1に記載の媒体処理装置。
【請求項8】
上記テープは、
長手方向における位置に応じて色彩又は文字、図形若しくは模様を相違させる
ことを特徴とする請求項1に記載の媒体処理装置。
【請求項9】
所定の筐体により回転可能に支持され紙葉状の媒体を周側面に巻き付けるドラムと、
上記筐体により回転可能に支持されるリールと、
上記ドラムにおける周側面の幅よりも短いテープ幅でなり、一端が上記リールに巻き付けられると共に他端が上記ドラムの周側面に巻き付けられ、上記ドラムの回転に伴い、上記筐体の外部から供給される上記媒体を当該ドラムの周側面との間に挟んで巻き付けるテープと、
上記テープの一面側から検出光を照射しその反対面側において当該検出光を受光するセンサと、
上記検出光の受光結果を基に上記ドラム及び上記リールの回転を制御する制御部と
を具え、
上記テープは、長手方向における上記リール側端部近傍又は上記ドラム側端部近傍の少なくとも一方に上記検出光を遮断する遮光領域を有し、長手方向における当該遮光領域以外の全部分のうち幅方向における上記検出光の照射箇所除いた非照射領域に、少なくとも色彩又は文字、図形若しくは模様であって上記検出光を遮光するものが付されている
ことを特徴とする媒体処理装置。
【請求項10】
所定の筐体により回転可能に支持され紙葉状の媒体を周側面に巻き付けるドラムと、
上記筐体により回転可能に支持されるリールと、
上記ドラムにおける周側面の幅よりも短いテープ幅でなり、一端が上記リールに巻き付けられると共に他端が上記ドラムの周側面に巻き付けられ、上記ドラムの回転に伴い、上記筐体の外部から供給される上記媒体を当該ドラムの周側面との間に挟んで巻き付けるテープと、
上記テープの一面側から検出光を照射しその反対面側において当該検出光を受光するセンサと、
上記検出光の受光結果を基に上記ドラム及び上記リールの回転を制御する制御部と
を具え、
上記テープは、長手方向における上記リール側端部近傍又は上記ドラム側端部近傍の少なくとも一方において当該テープの長手方向に沿って所定のパターンを形成するよう、上記検出光を透過する透過領域と上記検出光を遮光する遮光領域とが交互に配置され、上記透過領域と上記遮光領域以外の部分に色彩又は文字、図形若しくは模様が付されている
ことを特徴とする媒体処理装置。
【請求項11】
上記テープは、
上記リール側端部近傍と上記ドラム側端部近傍とで上記パターンが互いに相違する
ことを特徴とする請求項10に記載の媒体処理装置。
【請求項12】
所定の筐体により回転可能に支持され紙葉状の媒体を周側面に巻き付けるドラムと、
上記筐体により回転可能に支持されるリールと、
上記ドラムにおける周側面の幅よりも短いテープ幅でなり、一端が上記リールに巻き付けられると共に他端が上記ドラムの周側面に巻き付けられ、上記ドラムの回転に伴い、上記筐体の外部から供給される上記媒体を当該ドラムの周側面との間に挟んで巻き付けるテープと、
上記テープの一面側から検出光を照射しその反対面側において当該検出光を受光するセンサと、
上記検出光の受光結果を基に上記ドラム及び上記リールの回転を制御する制御部と
を具え、
上記テープは、長手方向における位置に応じて色彩又は文字、図形若しくは模様を相違させ、上記ドラムと上記リールとの間を走行する際に目視されると色彩又は文字、図形若しくは模様が動いて見えるよう、当該色彩又は文字、図形若しくは模様が付されている
ことを特徴とする媒体処理装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、媒体処理装置に関し、例えば紙幣等の媒体を投入して所望の取引を行う現金自動預払機(ATM)等に適用して好適なものである。
【背景技術】
【0002】
従来、金融機関等で使用される現金自動預払機等においては、顧客との取引内容に応じて、例えば顧客に紙幣や硬貨等の現金を入金させ、また顧客へ現金を出金するようになされている。
【0003】
現金自動預払機としては、例えば顧客との間で紙幣の授受を行う紙幣入出金口と、投入された紙幣の金種及び真偽を鑑別する鑑別部と、投入された紙幣を一時的に保留する一時保留部と、金種ごとに紙幣を格納する金種カセットとを有するものが提案されている(例えば、特許文献1参照)。
【0004】
この現金自動預払機は、入金取引において、顧客が紙幣入出金口に紙幣を投入すると、投入された紙幣を鑑別部で鑑別し、正常紙幣と鑑別された紙幣を一時保留部で保留する一方、取引すべきでないと鑑別された紙幣を紙幣入出金口へ戻して顧客に返却する。続いて現金自動預払機は、顧客により入金金額が確定されると、一時保留部に保留した紙幣の金種を鑑別部により再鑑別し、鑑別された金種に応じて各金種カセットへ収納する。
【0005】
一時保留部としては、例えば回転する円筒状のドラム及び2本の長いテープを有し、各テープの一端をドラムの周側面に重ねるように固定したものが提案されている(例えば、特許文献2参照)。
【0006】
この一時保留部は、鑑別部等から順次搬送されてくる紙幣を2本のテープにより両面から挟み、ドラムを回転させてそのまま周側面に巻き付けることにより、多数の紙幣を一時的に保留するようになされている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】特開2011−2921公報(第1図)
【特許文献2】特開2010−1123公報(第1図)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
上述した一時保留部に用いられるテープは、ドラムの周側面に重ねて巻き付けられるために薄さが要求され、また一時保留部内でリール等により様々な方向へ折り返されながら走行するために柔らかさも要求される。
【0009】
このためテープは、例えば樹脂材料等により薄くかつ柔らかく構成され、また無色透明であることが多い。しかしながらこのようなテープは、どうしても強度が低くなってしまい、また人の目による視認が困難になってしまう。
【0010】
ところで一時保留部は、保守作業時に、保守作業者により様々な作業が行われる。このとき保守作業者は、無色透明なテープを正しく視認できないことがあり、不用意に手や工具、或いは部品等を当該テープに接触等させて損傷させ、新たな障害を引き起こして作業を増加させてしまうおそれがあった。
【0011】
また一時保留部では、このようなテープの損傷を防止するべく、保守作業者が保守作業時の動作に過大な注意を払う必要があり、その結果として作業性が低下してしまう、という問題があった。
【0012】
本発明は以上の点を考慮してなされたもので、保守作業の作業性を高め得る媒体処理装置を提案しようとするものである。
【課題を解決するための手段】
【0013】
かかる課題を解決するため本発明の媒体処理装置においては、所定の筐体により回転可能に支持され紙葉状の媒体を周側面に巻き付けるドラムと、筐体により回転可能に支持されるリールと、ドラムにおける周側面の幅よりも短いテープ幅でなり、一端がリールに巻き付けられると共に他端がドラムの周側面に巻き付けられ、ドラムの回転に伴い、筐体の外部から供給される媒体を当該ドラムの周側面との間に挟んで巻き付けるテープと、テープの一面側から検出光を照射しその反対面側において当該検出光を受光するセンサと、検出光の受光結果を基にドラム及びリールの回転を制御する制御部とを設け、テープは、長手方向における上記リール側端部近傍又は上記ドラム側端部近傍の少なくとも一方に検出光を遮断する遮光領域を有し、長手方向における当該遮光領域以外の全部分に当該遮光領域と異なる色彩又は文字、図形若しくは模様が付されているようにした。
【0014】
本発明では、テープの長手方向における遮光領域以外の全部分に当該遮光領域と異なる色彩又は文字、図形若しくは模様が付されたことにより、識別性が高まるため、保守作業者が保守作業時に当該テープの存在やその位置を容易に視認でき、その存在を踏まえて各種作業を行うことができる。
【発明の効果】
【0015】
本発明によれば、保守作業の作業性を高め得る媒体処理装置を実現できる。
【図面の簡単な説明】
【0016】
図1】現金自動預払機の構成を示す略線的斜視図である。
図2】紙幣入出金機の構成を示す略線的側面図である。
図3】一時保留部の外観構成を示す略線的斜視図である。
図4】一時保留部の内部構成を示す略線的側面図である。
図5】テープセンサの構成を示す略線的断面図である。
図6】第1の実施の形態におけるテープの構成を示す略線図である。
図7】第2の実施の形態におけるテープの構成を示す略線図である。
図8】第3の実施の形態におけるテープの構成を示す略線図である。
図9】第4の実施の形態におけるテープの構成を示す略線図である。
図10】第5の実施の形態におけるテープの構成を示す略線図である。
図11】第6の実施の形態におけるテープの構成を示す略線図である。
図12】第7の実施の形態におけるテープの構成を示す略線図である。
図13】第8の実施の形態におけるテープの構成を示す略線図である。
図14】第9の実施の形態におけるテープの構成を示す略線図である。
図15】第10の実施の形態におけるテープの構成を示す略線図である。
図16】他の実施の形態におけるテープの構成を示す略線図である。
【発明を実施するための形態】
【0017】
以下、発明を実施するための形態(以下実施の形態とする)について、図面を用いて説明する。
【0018】
[1.第1の実施の形態]
[1−1.現金自動預払機の全体構成]
図1に外観を示すように、現金自動預払機1は、箱状の筐体2を中心に構成されており、例えば金融機関等に設置され、顧客との間で入金取引や出金取引等の現金に関する取引を行うようになされている。
【0019】
筐体2は、その前側に顧客が対峙した状態で紙幣の投入やタッチパネルによる操作等をしやすい箇所、すなわち前面の上部から上面に渡る部分が斜めに切り落とされたような形状となっており、この部分に接客部3が設けられている。
【0020】
接客部3は、顧客との間で現金や通帳等を直接やり取りすると共に、取引に関する情報の通知や操作指示の受付を行うようになされており、カード入出口4、入出金口5、操作表示部6、テンキー7、及びレシート発行口8が設けられている。
【0021】
カード入出口4は、キャッシュカード等の各種カードが挿入または排出される部分である。カード入出口4の奥側には、各種カードに磁気記録された口座番号等の読み取りを行うカード処理部(図示せず)が設けられている。
【0022】
入出金口5は、顧客が入金する紙幣が投入されると共に、顧客へ出金する紙幣が排出される部分である。また入出金口5は、シャッタを駆動することにより開放又は閉塞するようになされている。因みに紙幣は、例えば長方形の紙で構成されている。
【0023】
操作表示部6は、取引に際して操作画面を表示するLCD(Liquid Crystal Display)と、取引の種類の選択、暗証番号や取引金額等を入力するタッチパネルとが一体化されている。
【0024】
テンキー7は、「0」〜「9」の数字等の入力を受け付ける物理キーであり、暗証番号や取引金額等の入力操作時に用いられるようになされている。
【0025】
レシート発行口8は、取引処理の終了時に取引内容等を印字したレシートを発行する部分である。因みにレシート発行口8の奥側には、レシートに取引内容等を印字するレシート処理部(図示せず)が設けられている。
【0026】
以下では、現金自動預払機1のうち顧客が対峙する側を前側とし、その反対を後側とし、当該前側に対峙した顧客から見て左及び右をそれぞれ左側及び右側とし、さらに上側及び下側を定義して説明する。
【0027】
筐体2内には、現金自動預払機1全体を統括制御する主制御部9や、紙幣に関する種々の処理を行う紙幣入出金機10等が設けられている。
【0028】
主制御部9は、図示しないCPU(Central Processing Unit)を中心に構成されており、図示しないROMやフラッシュメモリ等から所定のプログラムを読み出して実行することにより、入金取引や出金取引等の種々の処理を行うようになされている。
【0029】
また主制御部9は、内部にRAM(Random Access Memory)、ハードディスクドライブやフラッシュメモリ等でなる記憶部9Aを有しており、この記憶部9Aに種々の情報を記憶させるようになされている。
【0030】
因みに筐体2は、前面側やその後面側等の一部の側面が開閉可能な扉により構成されている。すなわち筐体2は、顧客との間で現金に関する取引を行う取引動作時には、図1に示したように各扉を閉塞することにより、紙幣入出金機10内に収納している紙幣を保護する。一方筐体2は、作業者等が保守作業を行う保守作業時には、必要に応じて各扉を開放することにより、内部の各部に対する作業を容易に行わせ得るようになされている。
【0031】
紙幣入出金機10は、図2に側面図を示すように、紙幣に関する種々の処理を行う複数の部分が組み合わされた構成となっている。また紙幣入出金機10の各部分は、紙幣制御部11により制御されるようになされている。
【0032】
紙幣制御部11は、主制御部9と同様、図示しないCPUを中心に構成されており、図示しないROMやフラッシュメモリ等から所定のプログラムを読み出して実行することにより、紙幣の搬送先を決定する処理等、種々の処理を行うようになされている。
【0033】
また紙幣制御部11は、内部にRAM及びフラッシュメモリ等でなる記憶部11A(図1)を有しており、この記憶部11Aに種々の情報を記憶させるようになされている。
【0034】
紙幣制御部11は、例えば顧客が紙幣を入金する入金取引を行う場合、操作表示部6を介して所定の操作入力を受け付けた後、入出金口5のシャッタを開いて入出金部12内へ紙幣を投入させる。
【0035】
入出金部12は、収容器12Aに紙幣が投入されると、入出金口5のシャッタを閉じて当該収容器12Aから紙幣を1枚ずつ取り出し、搬送部13へ受け渡す。搬送部13は、長方形の紙葉状に構成された紙幣を短辺方向に沿って進行させ、鑑別部14へ搬送する。
【0036】
鑑別部14は、その内部で紙幣を搬送しながら、光学素子や磁気検出素子等を用いて当該紙幣の金種及び真偽、並びに損傷の程度等を鑑別し、その鑑別結果を紙幣制御部11へ通知する。これに応じて紙幣制御部11は、取得した鑑別結果に基づいていて当該紙幣の搬送先を決定する。
【0037】
このとき搬送部13は、鑑別部14において正常紙幣と鑑別された紙幣を一時保留部15へ搬送する等して一時的に保留させる一方、取引すべきでないと鑑別されたリジェクト紙幣を入出金部12へ搬送して顧客に返却する。
【0038】
その後紙幣制御部11は、操作表示部6を介して顧客に入金金額を確定させ、一時保留部15に保留している紙幣を搬送部13により鑑別部14へ搬送してその金種及び損傷の程度等を鑑別させ、その鑑別結果を取得する。
【0039】
そして紙幣制御部11は、紙幣の損傷の程度が大きければ、これを再利用すべきでない紙幣として搬送部13によりリジェクトカセット16へ搬送して収納させ、損傷の程度が小さければ、これを再利用すべき紙幣として搬送部13により搬送させ、その金種に応じた紙幣カセット17に収納させるようになされている。
【0040】
[1−2.一時保留部の構成]
図3に外観を示すように、一時保留部15は、一時保留部筐体20に各部品が取り付けられた構成となっている。
【0041】
一時保留部筐体20は、前側及び後側、左側及び右側、並びに下側といった外周の大部分を隔壁とすることにより、当該隔壁に囲まれた内部空間20Aを形成している。また一時保留部筐体20の前側面下方には、内部空間20A内への紙幣の出入り口となる紙幣入出孔20Cが穿設されている。
【0042】
因みに一時保留部筐体20の左側及び右側の隔壁内には、図示しないモータから後述するドラムやローラ等へ駆動力を伝達するためのギヤ等が内蔵されている。また一時保留部筐体20の左側面には、保守作業の際にドラムやローラ等を手動で回転させるための操作ノブ20Dが設けられている。
【0043】
図4は、一時保留部15のうち紙幣の搬送及び保留に関する各部品を模式的に表した側面図である。
【0044】
一時保留部15は、制御部21により全体を制御するようになされている。制御部21は、主制御部9や紙幣制御部11(図1)と同様、図示しないCPUを中心に構成されており、当該紙幣制御部11等と連携しながら、図示しないROMやフラッシュメモリ等から所定のプログラムを読み出して実行することにより、ドラムの回転やテープの走行に関する制御等、種々の処理を行うようになされている。
【0045】
また制御部21は、内部にRAM及びフラッシュメモリ等でなる記憶部を有しており、この記憶部に種々の情報を記憶させるようになされている。
【0046】
紙幣入出孔20Cと内部空間20Aとの間には、紙幣を搬送する搬送路22が形成されている。この搬送路22では、図示しないモータからの駆動力が伝達されるローラ23及び従動するローラ24により紙幣を紙幣入出孔20C又は内部空間20Aへ向けて進行させると共に、紙幣センサ25により紙幣の有無等を検出するようになされている。
【0047】
内部空間20A内には、円筒状のドラム31が設けられている。ドラム31は、左右方向に沿った回転軸31Xを中心に巻取方向R1又は巻戻方向R2へ回転し得るように取り付けられている。
【0048】
また一時保留部15には、互いにほぼ同様に構成されたテープ走行系が左右それぞれに1系統ずつ設けられている。各テープ走行系では、上側テープ及び下側テープの2本のテープを走行させるようになされている。
【0049】
上側リール32は、糸巻き状に構成されており、ドラム31の上側における後方寄り且つ左寄りの箇所に、ドラム31の回転軸31Xと平行な回転軸32Xを中心に回転するように設けられている。この上側リール32には、上側テープ34が巻き付けられている。
【0050】
上側リール33は、上側リール32と同様に構成されており、当該上側リール32とほぼ左右対称となる後方寄り且つ右寄りの箇所に、当該上側リール32と共通の回転軸32Xを中心に回転するように設けられている。この上側リール33には、上側テープ35が巻き付けられている。
【0051】
上側テープ34及び35は、いずれも薄いフィルム状の樹脂でなり、そのテープ幅が紙幣の長辺よりも十分に短くなっている。また上側テープ34及び35は、長手方向に十分な長さを有している。
【0052】
上側リール32及び33から見てドラム31よりも前側には、ドラム31の回転軸31Xと平行なシャフト36Xに挿通されたプーリ36及び37がそれぞれ設けられている。
【0053】
上側リール32とプーリ36との間には、上側テープ34の状態を検出するテープセンサ38が設けられており、上側リール33とプーリ37との間には、上側テープ35の状態を検出するテープセンサ39が設けられている。
【0054】
テープセンサ38は、図5に示すように、上側テープ34の上側に位置する発光部38Aと、当該上側テープ34の下側に位置する受光部38Bとにより構成されている。これと同様にテープセンサ39は、図5に示すように、上側テープ35の上側に位置する発光部39Aと、当該上側テープ35の下側に位置する受光部39Bとにより構成されている。
【0055】
発光部38A及び39Aは、それぞれ受光部38B及び39Bへ向けて所定の検出光を照射する。受光部38B及び39Bは、上側テープ34及び35を介して検出光を受光し、その受光結果に基づく受光信号を制御部21へ通知するようになされている。
【0056】
上側リール32及び33からそれぞれ引き出された上側テープ34及び35は、それぞれ前方向へ掛け渡され、テープセンサ38及び39により状態を検出された後、プーリ36及び37を介して引き回されることによりそれぞれ後方向へ折り返される。
【0057】
さらに上側テープ34及び35は、ローラ40等を介して適宜折り返された上で、さらに図示しないローラによりそれぞれドラム31に押し当てられており、その一端が当該ドラム31に固定されている。
【0058】
また上側リール32及び33は、図示しないテンションスプリングにより、上側テープ34及び35を巻き取る方向である巻取方向S1へそれぞれ付勢されている。これにより一時保留部15は、上側テープ34及び35に対し常に所定の張力を持たせるようになされている。
【0059】
因みに一時保留部15では、敢えて上側リール32及び33をドラム31よりも後方寄りの位置に設けた上で、当該上側リール32及び33とプーリ36及び37との間で上側テープ34及び35を前方へ走行させ、当該プーリ36及び37によって当該上側テープ34及び35を後方へ折り返している。
【0060】
これにより一時保留部15は、上側リール32及び33と現金自動預払機1内における他の機構等との干渉を回避でき、また後述するようにドラム31の近傍において上側テープ34及び35を前方から後方へ向けて走行させることができる。
【0061】
下側リール41は、上側リール32と同様の糸巻き状に構成されており、当該上側リール32の下方、すなわちドラム31の下側における後方寄り且つ左寄りの箇所に、ドラム31の回転軸31Xと平行な回転軸41Xを中心に回転し得るように設けられている。
【0062】
この下側リール41には、上側テープ34と同様に構成された下側テープ43が巻き付けられている。因みに下側リール41における下側テープ43の巻付方向は、上側リール32における上側テープ34の巻付方向とは反対となっている。
【0063】
下側リール42は、下側リール41と同様に構成されており、当該下側リール41とほぼ左右対称となる後方寄り且つ右寄りの箇所に、当該下側リール41と共通の回転軸41Xを中心に回転するように設けられている。この下側リール42には、下側テープ43と同様の下側テープ44が巻き付けられている。
【0064】
下側リール41及び42の前方には、ドラム31の回転軸31Xと平行な回転軸45Xを中心に回転するプーリ45及び46がそれぞれ設けられている。
【0065】
下側リール41とプーリ45との間には、テープセンサ38と同様のテープセンサ47が設けられており、下側リール42とプーリ46との間には、テープセンサ39と同様のテープセンサ48が設けられている。
【0066】
下側リール41及び42から引き出された下側テープ43及び44は、それぞれ前方向へ渡され、テープセンサ47及び48により状態を検出された後、プーリ45及び46を介して引き回されることにより、それぞれ上方向へ向かう。さらに下側テープ43及び44は、ローラ49を介して後方向へ向かうと共にドラム31に押し当てられ、その一端が当該ドラム31に固定される。
【0067】
因みに一時保留部15は、下側リール41及び42についても、上側リール32及び33の場合と同様にドラム31よりも後方寄りの位置に設けたことにより、現金自動預払機1内の他の機構等との干渉を回避するようになされている。
【0068】
ここで下側テープ43は、その先端がドラム31の周側面における左寄りの箇所に固定されている。また上側テープ34は、その先端がドラム31の外周面において当該下側テープ43の外周側に重なるように固定されている。
【0069】
また下側テープ44は、その先端がドラム31の周側面における右寄りの箇所、すなわち下側テープ43とほぼ左右対称となる箇所に固定されている。また上側テープ35は、その先端がドラム31の外周面において当該下側テープ44の外周側に重なるように固定されている。
【0070】
かかる構成により一時保留部15は、ドラム31を巻取方向R1へ回転させると、その周側面に下側テープ43及び上側テープ34を重ねると共に下側テープ44及び上側テープ35を重ねるようにして巻き付けていく。
【0071】
このとき一時保留部15は、下側テープ43及び44と上側テープ34及び35との間に紙幣を挟んでいれば、当該下側テープ43及び44並びに上側テープ34及び35と共に当該紙幣をドラム31の周側面に巻き付けることができる。
【0072】
このように一時保留部15は、上側テープ34及び35並びに下側テープ43及び44といった4本のテープを走行させることにより、紙幣をドラム31の周側面に巻き付けるようになされている。
【0073】
[1−3.テープの構成]
図6に示すように、上側テープ34は、全体的に着色されており、人の目から見てその存在を容易に認識できるようになされている。
【0074】
この上側テープ34の色彩は、一時保留部15や現金自動預払機1内の他の部品等における金属部品の金属色、樹脂部品等の黒色や白色、或いは保守作業用に設けられた各種つまみ等に専用に付された色彩とは異なり、且つ紙幣の地色や印刷色に対しても識別しやすい色彩が選択されている。
【0075】
また上側テープ34は、透過性のある色彩が付されていることにより、テープセンサ38の発光部38Aから照射される検出光の一部を透過して受光部38Bへ到達させるようになされている。具体的に上側テープ34は、例えば透過性のある赤色となっている。
【0076】
さらに上側テープ34のドラム31に固定される一端側(以下これを始端側と呼ぶ)である始端部34Sと、上側リール32に固定される一端側(以下これを終端側と呼ぶ)である終端部34Eとには、検出光を遮断する遮光領域SHがそれぞれ形成されている。
【0077】
このためテープセンサ38の受光部38Bは、上側テープ34の両端を除いた中間部においては検出光を受光する一方、始端部34S及び終端部34Eにおいては検出光を受光しない。
【0078】
一方、上側テープ35は、上側テープ34とほぼ同様に構成されており、全般的に上側テープ34と同色に着色され、始端側の始端部35Sに遮光領域SHが形成されているものの、終端側の終端部35Eには上側テープ34の終端部34Eと異なり遮光領域SHが形成されていない。
【0079】
このためテープセンサ39の受光部39Bは、上側テープ35の中間部及び終端部35Eにおいては検出光を受光する一方、始端部35Sにおいては検出光を受光しない。
【0080】
制御部21は、このようなテープセンサ38及び39の受光結果を基に、上側テープ34及び35の長手方向の位置を認識するようになされている。
【0081】
すなわち制御部21は、上側テープ34及び35の位置について、テープセンサ38及び39の双方で検出光を受光すれば中間部であり、テープセンサ39のみで検出光を受光すれば終端部であり、いずれも検出光を受光しなければ始端部であると認識する。
【0082】
また下側テープ43及び44は、それぞれ上側テープ34及び35と同様に構成されている。
【0083】
このため制御部21は、下側テープ43及び44の位置について、テープセンサ47及び48の双方で検出光を受光すれば中間部であり、テープセンサ48のみで検出光を受光すれば終端部であり、いずれも検出光を受光しなければ始端部であると認識する。
【0084】
因みに制御部21は、このようなテープの位置に関する認識結果を基に、ドラム31や各リール等の回転を制御することにより、各テープに過剰な張力が加わり、或いは弛みが生じることによる損傷を未然に防止しながら、当該ドラム31への紙幣の巻き付けや巻き戻し、或いは搬送等を行わせるようになされている。
【0085】
[1−4.動作及び効果]
以上の構成において、第1の実施の形態による一時保留部15では、上側テープ34及び35並びに下側テープ43及び44の中間部に、他の部品や紙幣に対し識別性を有する色彩を付した。
【0086】
このため、一時保留部15の保守作業等において、保守作業員が各テープを容易に視認することができ、作業中に不用意に手、工具或いは部品等を各テープに接触させてしまう危険性を大幅に低減でき、これにより各テープの損傷を未然に防止することができる。
【0087】
このことは、新たな障害の発生による復旧作業の増加を未然に防止することになるため、保守作業における作業性を高めることに繋がる。
【0088】
また、現金自動預払機1において入金される紙幣は、折り癖や曲げ癖等を有することや損傷していることがある。このため一時保留部15では、例えばドラム31の周側面に巻き付けられた紙幣が一時保留部筐体20のような周囲の部品等に引っかかり、詰まった状態となることがあり、このとき各テープも紙幣と共に詰まり、さらには絡まってしまう恐れがある。
【0089】
このようなとき、各テープが従来のように透明であった場合には、各テープの視認性が低いことに伴い、保守作業員による各テープの状態の把握や各テープを正しい走行状態に復旧する復旧作業等に困難が生じてしまうおそれがあった。
【0090】
この点において一時保留部15では、各テープが着色されており、さらに一時保留部15や現金自動預払機1内の各部品と識別しやすく、且つ紙幣の地色や印刷色に対しても識別しやすい色彩に選定されているため、保守作業員に対し他の部品や紙幣と容易に区別させることができる。
【0091】
すなわち一時保留部15は、保守作業員に対する各テープの視認性を高めることができ、保守作業員による各テープの状態の把握や各テープを正しい走行状態に復旧する復旧作業等を容易化できるため、作業性を高めることができる。
【0092】
また一時保留部15は、各テープの視認性が高まるために、その組立作業等においても、作業員による組立作業の作業効率を高めることができ、また不具合の解析作業等においても、その作業効率を高めることができる。
【0093】
さらに一時保留部15は、各テープが一度切断され粘着テープ等により張り合わされている場合にも、貼り合わせた箇所の色彩が他と相違することにより、その貼り合わせた箇所を容易に識別することが可能となる。これにより、保守作業員に対し、この貼り合わせた箇所に適した保守作業を行わせることが容易となる。
【0094】
また各テープの中間部については、各テープセンサ、すなわちテープセンサ38、39、47及び48の検出光の一部を透過するような色彩に着色した。
【0095】
これにより一時保留部15は、各テープセンサにより遮光領域SHの有無を正しく検出して制御部21により各テープの始端部及び終端部をそれぞれ正しく認識できると共に、保守作業員等に対する各テープの視認性を高めることができる。
【0096】
以上の構成によれば、第1の実施の形態による一時保留部15は、上側テープ34及び35並びに下側テープ43及び44の中間部に、他の部品や紙幣に対し識別性を有すると共にテープセンサ38、39、47及び48の検出光の一部を透過する色彩を付したことにより、上側テープ34及び35並びに下側テープ43及び44それぞれの遮光領域SHを正しく検出して始端部及び終端部を正しく認識しながら、保守作業員に対する各テープの視認性を高めて保守作業の作業性を高めることができる。
【0097】
[2.第2の実施の形態]
第2の実施の形態では、第1の実施の形態と比較して、上側テープ34及び35に代わる上側テープ134及び135を有する点が相違するものの、他の部分については同様に構成されている。
【0098】
上側テープ134は、図6と対応する図7に示すように、その中間部のうちテープセンサ38により検出光が照射されない非照射領域NRが上側テープ34と同様に着色されており、当該検出光が照射される照射領域IRが着色されず透明となっている。また上側テープ134の始端部134S及び終端部134Eには、上側テープ34と同様の遮光領域SHが形成されている。
【0099】
上側テープ134の中間部における非照射領域NRは、比較的濃く視認性の高い色彩、例えば濃い赤色に着色されている。
【0100】
上側テープ135は、その中間部及び終端部135Eのうち非照射領域NRに上側テープ35と同様の色彩が付されており、照射領域IRに色彩が付されず透明となっている。また上側テープ135の始端部135Sには、上側テープ35と同様の遮光領域SHが形成されている。
【0101】
以上の構成において、第2の実施の形態では、上側テープ134及び135の中間部における非照射領域NRに色彩を付した。
【0102】
これにより第2の実施の形態では、第1の実施の形態と同様、保守作業等において保守作業員が各テープを容易に視認することができるので、保守作業における作業性を高めることができる。
【0103】
特にこの第2の実施の形態では、照射領域IRを除いた非照射領域NRにのみ色彩を付したため、その色彩について、各テープセンサによる検出光の透過性を考慮する必要が無い。このため第2の実施の形態では、濃い色彩を選択することができるので、第1の実施の形態よりも視認性を高めることが可能となる。
【0104】
また第2の実施の形態では、照射領域IRに色彩を付さず透明としたため、検出光を良好に透過させることができ、これに伴い遮光領域SHの有無を確実に検出できるので、各テープの始端部及び終端部を精度良く認識することができる。
【0105】
その他の点についても、この第2の実施の形態では、第1の実施の形態と同様の作用効果を奏し得る。
【0106】
以上の構成によれば、第2の実施の形態では、上側テープ134及び135の中間部における非照射領域NRに他の部品や紙幣に対し識別性を有する色彩を付した一方、照射領域IRに色彩を付さず透明としたことにより、テープセンサ38及び39により遮光領域SHの有無を確実に検出して始端部及び終端部を正しく認識しながら、保守作業員に対する各テープの視認性を高めて保守作業の作業性を高めることができる。
【0107】
[3.第3の実施の形態]
第3の実施の形態では、第2の実施の形態と比較して、上側テープ134及び135に代わる上側テープ234及び235を有する点が相違するものの、他の部分については同様に構成されている。
【0108】
上側テープ234は、図7と対応する図8に示すように、上側テープ134と同様、その中間部のうち非照射領域NRが比較的濃く視認性の高い色彩に着色され、照射領域IRが着色されず透明となっている。
【0109】
上側テープ234の始端部234Sには、第2の実施の形態と異なり、長手方向に沿って遮光領域SHが所定のパターンを構成するように断続的に形成されている。また終端部234Eには、長手方向に沿って遮光領域SHが始端部234Sと異なるパターンを構成するように断続的に形成されている。
【0110】
このためテープセンサ38は、走行する上側テープ234の始端部234S及び終端部234Eにおいて、それぞれの遮光領域SHに応じたパターンの受光信号を生成し、これを制御部21へ送出する。
【0111】
上側テープ235は、その中間部及び終端部235Eのうち非照射領域NRに上側テープ35と同様の色彩が付されており、照射領域IRに色彩が付されず透明となっている。また上側テープ235の始端部235Sには、上側テープ234の始端部234Sと同様に、遮光領域SHが所定のパターンを構成するように断続的に形成されている。
【0112】
このためテープセンサ39は、走行する上側テープ235の始端部235Sにおいて、遮光領域SHに応じたパターンの受光信号を生成し、これを制御部21へ送出する。
【0113】
制御部21は、予め始端部234S及び終端部234E並びに始端部235Sに対応した基準信号パターンを記憶しており、受光信号のパターンを基準信号パターンと比較することにより、上側テープ234及び235の始端部及び終端部をそれぞれ認識する。
【0114】
以上の構成において、第3の実施の形態では、第2の実施の形態と同様、上側テープ234及び235の中間部における非照射領域NRに色彩を付し、照射領域IRには色彩を付さないようにした。
【0115】
これにより第3の実施の形態では、第2の実施の形態と同様、保守作業等において保守作業員が各テープを容易に視認することができるので、保守作業における作業性を高めることができる。
【0116】
また第3の実施の形態では、始端部234S及び終端部234E並びに始端部235Sにそれぞれ形成された遮光領域SHのパターンを基に、上側テープ234及び235の始端部及び終端部をそれぞれ認識する。
【0117】
このため第3の実施の形態では、例えば上側テープ234の中間部に異物が付着していた場合に終端部として誤認識してしまうことや、各テープの長さが異なる場合に始端部を終端部として誤認してしまうことを防止でき、上側テープ234及び235の始端部及び終端部をそれぞれ高精度に認識することができる。
【0118】
その他の点についても、この第3の実施の形態では、第2の実施の形態と同様の作用効果を奏し得る。
【0119】
以上の構成によれば、第3の実施の形態では、上側テープ234及び235の中間部における非照射領域NRに他の部品や紙幣に対し識別性を有する色彩を付した一方、照射領域IRに色彩を付さず透明としたことにより、テープセンサ38及び39により遮光領域SHの有無を確実に検出して始端部及び終端部を正しく認識しながら、保守作業員に対する各テープの視認性を高めて保守作業の作業性を高めることができ、さらに始端部234S及び終端部234E並びに始端部235Sにそれぞれパターン化した遮光領域SHを形成したことにより、各テープの始端部及び終端部をそれぞれ高精度に認識することができる。
【0120】
[4.第4の実施の形態]
第4の実施の形態では、第1の実施の形態と比較して、上側テープ34及び35に代わる上側テープ334及び335を有する点が相違するものの、他の部分については同様に構成されている。
【0121】
上側テープ334は、図6と対応する図9に示すように、上側テープ34と同様に、中間部に、他の部品や紙幣に対し識別性を有すると共に、テープセンサ38の検出光を透過することができる色彩が付されている。また上側テープ334の始端部334S及び終端部334Eは、それぞれ始端部34S及び終端部34Eと同様に遮光領域SHが形成されている。
【0122】
一方上側テープ335は、中間部及び後端部335Eにおいて上側テープ334の中間部とは異なった色彩に着色されている。この上側テープ335の色彩は、他の部品や紙幣に対し識別性を有すると共に、テープセンサ39の検出光を透過することができる色彩であって、上側テープ334と異なるものが選定されている。また上側テープ335の始端部335Sは、始端部35Sと同様に遮光領域SHが形成されている。
【0123】
以上の構成において、第4の実施の形態では、上側テープ334の中間部及び上側テープ335の中間部に互いに異なる色彩を付した。
【0124】
これにより第4の実施の形態では、第1の実施の形態と同様に保守作業等において保守作業員が各テープを容易に視認することができ、さらに色彩の違いから各テープを識別することができる。
【0125】
すなわち第4の実施の形態では、例えば上側テープ334及び335が互いに絡まった場合であっても、互いのテープを確実に識別することができ、保守作業における作業性を高めることができる。
【0126】
その他の点についても、この第4の実施の形態では、第1の実施の形態と同様の作用効果を奏し得る。
【0127】
以上の構成によれば、第4の実施の形態では、上側テープ334の中間部及び上側テープ335中間部に対し、互いに異なる色彩であって、且ついずれも他の部品や紙幣に対し識別性を有すると共に各テープセンサの検出光を透過する色彩を付したことにより、テープセンサ38及び39により遮光領域SHの有無を確実に検出して始端部及び終端部を正しく認識しながら、保守作業員に対する各テープの視認性を高め、且つテープ間における識別性も高めて保守作業の作業性を高めることができる。
【0128】
[5.第5の実施の形態]
第5の実施の形態では、第1の実施の形態と比較して、上側テープ34及び35に代わる上側テープ434及び435を有する点が相違するものの、他の部分については同様に構成されている。
【0129】
上側テープ434は、図6と対応する図10に示すように、その中間部に、幅方向に沿った直線が長手方向に繰り返し出現する縦縞模様が付されており、また始端部434S及び終端部434Eに、始端部34S及び終端部34Eと同様の遮光領域SHがそれぞれ形成されている。
【0130】
この縦縞模様は、互いに異なる2の色彩が交互に付されることにより構成されているものの、いずれの色彩もテープセンサ38の検出光を透過し得るよう選定されている。
【0131】
またこの縦縞模様を構成する各色彩は、互いの明るさや色相等を相違させることにより、互いに異なる色彩として視認されるよう、それぞれ選定されている。
【0132】
上側テープ435は、その中間部及び終端部435Eに、長手方向に沿った直線が幅方向に繰り返し出現する横縞模様が付されており、始端部435Sには、始端部35Sと同様の遮光領域SHが形成されている。
【0133】
この横縞模様は、直線部分及び地色部分それぞれの色彩として、縦縞模様における直線部分及び地色部分それぞれの色彩と同一の色彩が選定されている。
【0134】
以上の構成において、第5の実施の形態では、上側テープ434の中間部に縦縞模様を付し、上側テープ435の中間部に横縞模様を付した。また各縞模様を構成する直線部分及び地色部分それぞれの色彩は、いずれも各テープセンサの検出光を透過する一方、人の目により互いに異なる色彩として視認されるよう選定した。
【0135】
これにより第6の実施の形態では、第1の実施の形態と同様に保守作業等において保守作業員が各テープを容易に視認することができ、さらに縞方向の違いから各テープを識別することができる。
【0136】
またこの第5の実施の形態では、各テープに平行な直線の繰り返しである縞模様を付したことにより、例えば各テープの張力が本来よりも弱く弛んでいるような場合に、斜め方向から見て縞模様の直線が歪み、或いは互いの間隔が不均一に見え、さらには接触若しくは交差して見えることにより、その弛み等を容易に発見することができる。これにより第5の実施の形態では、保守作業時における調整不足等を未然に防止することができるので、結果的にその作業性を高めることにも繋がる。
【0137】
その他の点についても、この第5の実施の形態では、第1の実施の形態と同様の作用効果を奏し得る。
【0138】
以上の構成によれば、第5の実施の形態では、上側テープ434の中間部に縦縞模様を付し、上側テープ435の中間部に横縞模様を付し、各縞模様を構成する色彩を、人の目に対する視認性が高い色彩と低い色彩とを組み合わせるように選定した。これにより第5の実施の形態では、テープセンサ38及び39により遮光領域SHの有無を確実に検出して始端部及び終端部を正しく認識しながら、保守作業員に対する各テープの視認性を高めて保守作業の作業性を高めることができる。
【0139】
[6.第6の実施の形態]
第6の実施の形態では、第1の実施の形態と比較して、上側テープ34及び35に代わる上側テープ534及び535を有する点が相違するものの、他の部分については同様に構成されている。
【0140】
上側テープ534は、図6と対応する図11に示すように、その中間部に、斜線が繰り返し出現する斜め縞模様が付されており、また始端部534S及び終端部534Eには、始端部34S及び終端部34Eと同様の遮光領域SHがそれぞれ形成されている。
【0141】
この斜め縞模様は、第5の実施の形態における縦縞模様及び横縞模様と同様、互いに異なる2の色彩が交互に付されることにより構成されているものの、いずれもテープセンサ38の検出光を透過し得る色彩に選定されている。
【0142】
またこの斜め縞模様を構成する各色彩は、第5の実施の形態と同様、互いの明るさや色相等を相違させることにより、互いに異なる色彩として視認されるよう、それぞれ選定されている。
【0143】
上側テープ535は、その中間部及び終端部535Eに、互いに交差する直線が繰り返し出現する交差縞模様が付されており、始端部535Sには、始端部35Sと同様の遮光領域SHが形成されている。また交差縞模様は、上側テープ534の斜め縞模様と同一の色彩が選定されている。
【0144】
以上の構成において、第6の実施の形態では、上側テープ534の中間部に斜め縞模様を付し、上側テープ535の中間部に交差縞模様を付した。また各縞模様を構成する直線部分及び地色部分それぞれの色彩は、第5の実施の形態と同様、いずれも各テープセンサの検出光を透過する一方、人の目により互いに異なる色彩として視認されるよう選定した。
【0145】
これにより第6の実施の形態では、第1の実施の形態と同様に保守作業等において保守作業員が各テープを容易に視認することができ、さらに第5の実施の形態と同様に縞模様の構成の違いから各テープを識別することができる。
【0146】
またこの第6の実施の形態では、第5の実施の形態と同様に各テープに互いに平行な直線の繰り返しである縞模様を付したことにより、その弛み等を容易に発見することができ、保守作業時における調整不足等を未然に防止することができるので、結果的にその作業性を高めることにも繋がる。
【0147】
その他の点についても、この第6の実施の形態では、第1の実施の形態と同様の作用効果を奏し得る。
【0148】
以上の構成によれば、第6の実施の形態では、上側テープ534の中間部に斜め縞模様を付し、上側テープ535の中間部に交差縞模様を付し、各縞模様を構成する色彩を、人の目に対する視認性が高い色彩と低い色彩とを組み合わせるように選定した。これにより第6の実施の形態では、テープセンサ38及び39により遮光領域SHの有無を確実に検出して始端部及び終端部を正しく認識しながら、保守作業員に対する各テープの視認性を高めて保守作業の作業性を高めることができる。
【0149】
[7.第7の実施の形態]
第7の実施の形態では、第1の実施の形態と比較して、上側テープ34及び35に代わる上側テープ634及び635を有する点が相違するものの、他の部分については同様に構成されている。
【0150】
上側テープ634は、図6と対応する図12に示すように、その中間部に、始端部634S及び終端部634Eの間で段階的に切り替わるように、すなわち長手方向における位置に応じて異なる複数の色彩が付され、また始端部634S及び終端部634Eに、始端部34S及び終端部34Eと同様の遮光領域SHがそれぞれ形成されている。
【0151】
上側テープ634の中間部に付された各色彩は、いずれも他の部品や紙幣に対し識別性を有すると共に、テープセンサ38の検出光を透過する色彩が選定されている。またこれらの色彩は、その出現順序が保守作業員に知られており、且つ各色彩の範囲がおおむねドラム31に巻き付けた紙幣の所定枚数分に相当する長さ(例えば10枚分等)ごとに切り替えられている。
【0152】
上側テープ635は、その中間部に、上側テープ634の中間部と同様に、長手方向の始端部635S及び終端部635Eの間で段階的に切り替わるように複数の色彩が付されており、また始端部635Sに始端部35Sと同様の遮光領域SHが形成されている。
【0153】
以上の構成において、第7の実施の形態では、上側テープ634及び635の中間部に、始端部と終端部との間で段階的に切り替わるように複数の色彩を付した。
【0154】
これにより第7の実施の形態では、第1の実施の形態と同様に保守作業等において保守作業員が各テープを容易に視認することができ、さらに色彩の違いを基に、各テープの始端部又は終端部からの紙幣の枚数に換算したおおよその長さや、ドラム31に巻き付けられている紙幣のおおよその枚数を識別することができる。
【0155】
すなわち第7の実施の形態では、例えば各テープが紙幣と共に詰まり、或いは絡まったような場合に、ドラム31の周側面から引きはがし、また詰まった状態や絡まった状態をほぐして再び上側リール32等に巻き取る作業が必要となるが、このとき各テープの始端部又は終端部からのおおよその長さを把握できることにより、保守作業の見通しが立てやすくなり、結果的に作業性を一段と高めることができる。
【0156】
その他の点についても、この第7の実施の形態では、第1の実施の形態と同様の作用効果を奏し得る。
【0157】
以上の構成によれば、第7の実施の形態では、上側テープ634及び635の中間部に、始端部及び終端部の間で段階的に変化する色彩であって、且ついずれも他の部品や紙幣に対し識別性を有すると共に各テープセンサの検出光を透過する色彩を付した。これにより第7の実施の形態では、テープセンサ38及び39により遮光領域SHの有無を確実に検出して始端部及び終端部を正しく認識しながら、保守作業員に対する各テープの視認性を高め、且つ始端部又は終端部からのおおよその長さも把握させて保守作業の作業性を高めることができる。
【0158】
[8.第8の実施の形態]
第8の実施の形態では、第1の実施の形態と比較して、上側テープ34及び35に代わる上側テープ734及び735を有する点が相違するものの、他の部分については同様に構成されている。
【0159】
上側テープ734は、図6と対応する図13に示すように、その中間部に、始端部734Sから終端部734Eへ向けて連続する数字NMが長手方向に沿って所定間隔ごとに付され、また始端部734S及び終端部734Eに、始端部34S及び終端部34Eと同様の遮光領域SHがそれぞれ形成されている。
【0160】
上側テープ735は、上側テープ734と同様、その中間部に、始端部735Sから終端部735Eへ向けて連続する数字NMが長手方向に沿って所定間隔ごとに付され、また始端部735Sに、始端部35Sと同様の遮光領域SHが形成されている。
【0161】
上側テープ734及び735の各中間部は、地色部分が透明となっており、数字NMに他の部品や紙幣に対し識別性が強いことにより人の目に対する視認性が高い色彩が付されている。
【0162】
また数字NMは、幅方向に関し、テープセンサ38及び39による検出光の照射箇所から外れた位置(すなわち第2の実施の形態における非照射領域NR)にそれぞれ付されており、長手方向に関し、ドラム31に巻き付ける紙幣の1枚ごとの周期とほぼ同等の間隔ごとに付されている。
【0163】
以上の構成において、第8の実施の形態では、上側テープ734及び735の中間部に、長手方向の始端側から終端側に向けて連続する数字NMを所定間隔ごとに付した。
【0164】
これにより第8の実施の形態では、第1の実施の形態と同様に保守作業等において保守作業員が各テープを容易に視認することができ、さらに数字NMを基に、各テープの始端部又は終端部からの紙幣の枚数に換算したおおよその長さや、ドラム31に巻き付けられている紙幣のおおよその枚数を識別することができる。
【0165】
すなわち第8の実施の形態では、例えば各テープが紙幣と共に詰まり、或いは絡まったような場合に、第7の実施の形態と同様、各テープの始端部又は終端部からのおおよその長さを把握できることにより、保守作業の見通しが立てやすくなり、結果的に作業性を一段と高めることができる。
【0166】
また第8の実施の形態では、各テープの地色を透明とし、数字NMをテープセンサ38及び39による検出光の照射箇所から外れた位置に付したことにより、当該数字NMについて、当該検出光の透過性を考慮することなく、視認性の高い色彩を採用することができる。
【0167】
その他の点についても、この第8の実施の形態では、第1の実施の形態と同様の作用効果を奏し得る。
【0168】
以上の構成によれば、第8の実施の形態では、上側テープ734及び735の中間部において、地色を透明とし、識別性の高い色彩でなり長手方向の始端部から終端部に向かって連続する数字NMを、各テープセンサの検出光の照射位置を避けた位置に付した。これにより第8の実施の形態では、テープセンサ38及び39により遮光領域SHの有無を確実に検出して始端部及び終端部を正しく認識しながら、保守作業員に対する各テープの視認性を高め、且つ始端部又は終端部からのおおよその長さやドラム31に巻き付けられている紙幣の枚数も把握させて、保守作業の作業性を高めることができる。
【0169】
[9.第9の実施の形態]
第9の実施の形態では、第1の実施の形態と比較して、上側テープ34及び35に代わる上側テープ834及び835を有する点が相違するものの、他の部分については同様に構成されている。
【0170】
上側テープ834は、図6と対応する図14に示すように、その中間部に、始端部834Sと終端部834Eとの間に楕円形状のマークMKが長手方向に沿って所定間隔ごとに付され、また始端部734S及び終端部734Eに、始端部34S及び終端部34Eと同様の遮光領域SHがそれぞれ形成されている。
【0171】
上側テープ835は、上側テープ834と同様、その中間部に、始端部835Sと終端部835Eとの間にマークMKが長手方向に沿って所定間隔ごとに付され、また始端部835Sに、始端部35Sと同様の遮光領域SHが形成されている。
【0172】
上側テープ834及び835の各中間部は、地色部分が透明となっており、マークMKに他の部品や紙幣に対し識別性が強いことにより人の目に対する視認性が高い色彩が付されている。
【0173】
因みにマークMKとしては、図14に示したような単純な図形に限らず、複雑な図形や文字、文字と図形との組み合わせ、あるいや企業や商品・役務等の標章を用いても良い。
【0174】
またマークMKは、第8の実施の形態における数字NMと同様、幅方向に関し、テープセンサ38及び39による検出光の照射箇所から外れた位置にそれぞれ付されている。
【0175】
以上の構成において、第9の実施の形態では、上側テープ834及び835の中間部に、始端部及び終端部の間にマークMKを所定間隔ごとに付した。
【0176】
これにより第9の実施の形態では、第1の実施の形態と同様に保守作業等において保守作業員が各テープを容易に視認することができる。
【0177】
また第9の実施の形態では、各テープの地色を透明とし、マークMKをテープセンサ38及び39による検出光の照射箇所から外れた位置に付したことにより、当該マークMKについて、当該検出光の透過性を考慮することなく、視認性の高い色彩を採用することができる。
【0178】
またマークMKとして企業や商品の標章を付した場合には、宣伝効果も期待することができる。
【0179】
その他の点についても、この第9の実施の形態では、第1の実施の形態と同様の作用効果を奏し得る。
【0180】
以上の構成によれば、第9の実施の形態では、上側テープ834及び835の中間部において、地色を透明とし、識別性の高い色彩でなり長手方向の始端部及び終端部の間にマークMKを、各テープセンサの検出光の照射位置を避けた位置に付した。これにより第9の実施の形態では、テープセンサ38及び39により遮光領域SHの有無を確実に検出して始端部及び終端部を正しく認識しながら、保守作業員に対する各テープの視認性を高め、保守作業の作業性を高めることができる。
【0181】
[10.第10の実施の形態]
第10の実施の形態では、第1の実施の形態と比較して、上側テープ34及び35に代わる上側テープ934及び935を有する点が相違するものの、他の部分については同様に構成されている。
【0182】
上側テープ934は、図6と対応する図15に示すように、その中間部に、長手方向に沿って徐々に変化する変化模様CPが連続的に付され、また始端部934S及び終端部934Eに、始端部34S及び終端部34Eと同様の遮光領域SHがそれぞれ形成されている。
【0183】
上側テープ935は、上側テープ934と同様、その中間部に、長手方向に沿って徐々に変化する変化模様CPが連続的に付され、また始端部935Sに、始端部35Sと同様の遮光領域SHが形成されている。
【0184】
上側テープ934及び935の各中間部は、地色部分が透明となっており、変化模様CPに他の部品や紙幣に対し識別性が強いことにより人の目に対する視認性が高い色彩が付されている。
【0185】
また変化模様CPは、第8の実施の形態における数字NM及び第9の実施の形態におけるマークMKと同様、幅方向に関し、テープセンサ38及び39による検出光の照射箇所から外れた位置にそれぞれ付されている。
【0186】
以上の構成において、第10の実施の形態では、上側テープ934及び935の中間部に、長手方向に沿って徐々に変化する変化模様CPを連続的に付した。
【0187】
これにより第10の実施の形態では、第1の実施の形態と同様に保守作業等において保守作業員が各テープを容易に視認することができる。
【0188】
また第10の実施の形態では、各テープの地色を透明とし、変化模様CPをテープセンサ38及び39による検出光の照射箇所から外れた位置に付したことにより、当該検出光の透過性を考慮することなく、視認性の高い色彩を採用することができる。
【0189】
さらに第10の実施の形態では、各テープに長手方向に沿って徐々に変化する変化模様CPを付したことにより、各テープを走行させた際に、変化模様CPがアニメーションのように変化する様子を見せることができる。変化模様CPにおける変化の速度は、各テープの走行速度に比例し、また各テープの走行が不安定であれば、変化模様CPにおける変化の様子も不安定となる。
【0190】
このため第10の実施の形態では、保守作業において保守作業員が目視しながら一時保留部15の動作状態を確認する際に、変化模様CPが正しく動いて見えるか否かにより、各テープが正しく安定して走行しているか否かを判断することができ、保守作業における作業性を高めることができる。
【0191】
その他の点についても、この第10の実施の形態では、第1の実施の形態と同様の作用効果を奏し得る。
【0192】
以上の構成によれば、第10の実施の形態では、上側テープ934及び935の中間部において、地色を透明とし、識別性の高い色彩でなり長手方向に沿って徐々に変化する変化模様CPを、各テープセンサの検出光の照射位置を避けた位置に連続的に付した。これにより第10の実施の形態では、テープセンサ38及び39により遮光領域SHの有無を確実に検出して始端部及び終端部を正しく認識しながら、保守作業員に対する各テープの視認性を高め、また変化模様CPが変化する様子から各テープの走行状態を判断させることもできるので、保守作業の作業性を高めることができる。
【0193】
[11.他の実施の形態]
なお上述した第1の実施の形態においては、上側テープ34及び35並びに下側テープ43及び44におけるそれぞれの始端部及び終端部に適宜遮光領域SHを形成し、テープセンサ38、39、47及び48によりこれを検出するようにした場合について述べた。
【0194】
しかしながら本発明はこれに限らず、例えばドラム31、上側リール32及び33並びに下側リール41及び42に回転数計を取り付けることにより各テープの引き出した長さを認識するようにした場合に、各テープの始端部及び終端部に適宜遮光領域SHを形成しないようにしても良い。この場合、各テープセンサを省略することができ、また上側テープ34及び35の中間部に着色する色彩については、検出光の透過色である必要がなくなり、視認性を重視して選定することができる。第4〜第10の実施の形態についても同様である。
【0195】
また上述した第2の実施の形態においては、上側テープ134及び135の非照射領域NRに共通且つ単一の色彩を付すようにした場合について述べた。
【0196】
しかしながら本発明はこれに限らず、上側テープ134及び135の非照射領域NRに対し、第5〜第10の実施の形態のように種々の色彩、模様、文字や図形等を付すようにしても良く、また第4〜第6の実施の形態のように上側テープ134及び135で互いに異なる色彩や模様、文字や図形等を付すようにしても良い。第3の実施の形態についても同様である。
【0197】
さらに上述した第2の実施の形態においては、上側テープ234の中間部における照射領域IRを無職透明とするようにした場合について述べた。
【0198】
しかしながら本発明はこれに限らず、例えば照射領域IRに、各テープセンサの検出光を透過する色彩を付すようにしても良い。この場合、上側テープ234の視認性をさらに高めることができる。上側テープ235や第3の実施の形態についても同様である。
【0199】
さらに上述した第3の実施の形態においては、上側テープ235の終端部235Eに遮光領域SHを形成しないようにした場合について述べた。
【0200】
しかしながら本発明はこれに限らず、上側テープ235の終端部235Eにも上側テープ234の終端部234Eと同様のパターンでなる遮光領域SHを形成するようにしても良い。これにより、上側テープ235のみについて始端部235S及び終端部235Eを独立して検出することができる。
【0201】
さらに上述した第3の実施の形態においては、上側テープ234及び235の始端部及び終端部に所定パターンでなる遮光領域SHを形成するようにした場合について述べた。
【0202】
しかしながら本発明はこれに限らず、例えば上側テープ234及び235における始端部と終端部との中間点や、ドラム31に紙幣を巻き付けたときの所定枚数ごとの区切りに相当する箇所等に、始端部及び終端部と異なるパターンの遮光領域SHをそれぞれ形成するようにしても良い。これにより、各リールからの各テープの引き出し量をより細かく検出することができる。
【0203】
さらに上述した第4の実施の形態においては、上側テープ334及び上側テープ335の間で色彩を互いに相違させるようにした場合について述べた。
【0204】
しかしながら本発明はこれに限らず、例えば上側テープ334と下側テープ43との間で色彩を互いに相違させるようにしても良く、さらには上側テープ334及び335並びに下側テープ43及び44の間で色彩を互いに他のいずれとも相違させるようにしても良い。第5及び第6の実施の形態についても同様である。
【0205】
さらに上述した第5の実施の形態においては、上側テープ434と上側テープ435との間で縞模様の方向を相違させるようにした場合について述べた。
【0206】
しかしながら本発明はこれに限らず、上側テープ434と上側テープ435との間で縞模様の方向を統一するようにしても良い。第6の実施の形態についても同様である。
【0207】
さらに上述した第5の実施の形態においては、上側テープ434と上側テープ435との間で縞模様を構成する直線部分及び地色部分の色彩を統一するようにした場合について述べた。
【0208】
しかしながら本発明はこれに限らず、例えば上側テープ434と上側テープ435との間で、縞模様を構成する2種類の色彩の少なくとも一方を相違させるようにしても良い。第6の実施の形態についても同様である。
【0209】
さらに上述した第5の実施の形態においては、上側テープ434及び上側テープ435の中間部に付す縞模様を、2種類の色彩の組み合わせにより構成した場合について述べた。
【0210】
しかしながら本発明はこれに限らず、当該縞模様を3種類以上の色彩の組み合わせにより構成するようにしても良い。この場合、各色彩がテープセンサ38及び39の検出光を透過するものであれば良い。第6の実施の形態についても同様である。
【0211】
さらに上述した第7の実施の形態においては、上側テープ634及び635の中間部に、始端部と終端部との間で段階的に切り替わるように複数の色彩を付した場合について述べた。
【0212】
しかしながら本発明はこれに限らず、例えば図12と対応する図16に示すように、上側テープ634及び635とそれぞれ対応する上側テープ1034及び1035の中間部に、始端部と終端部との間で連続的に変化するように複数の色彩を付しても良い。或いは、始端部と終端部との間で段階的に切り替わるように複数の模様を付しても良い。この場合、各色彩がテープセンサ38及び39の検出光を透過するものであれば良い。
【0213】
さらに上述した第8の実施の形態においては、上側テープ734及び735の各中間部における地色部分を透明とするようにした場合について述べた。
【0214】
しかしながら本発明はこれに限らず、各中間部における地色部分に対し、第1及び第4〜第7の実施の形態のように、テープセンサ38及び39の検出光を透過する種々の色彩や模様を付すようにしても良い。第9及び第10の実施の形態についても同様である。
【0215】
さらに上述した第8の実施の形態においては、数字NMに対し視認性が高くテープセンサ38及び39の検出光を透過しないような色彩を付すようにした場合について述べた。
【0216】
しかしながら本発明はこれに限らず、数字NMに対しテープセンサ38及び39の検出光を透過するような色彩を付すようにしても良い。この場合、上側テープ734及び735の幅方向に関し、テープセンサ38及び39による検出光の照射箇所(照射領域IR)を含む範囲に数字NMを位置させるようにしても良い。第9及び第10の実施の形態についても同様である。
【0217】
さらに上述した第8の実施の形態においては、数字NMを連続する値とするようにした場合について述べた。
【0218】
しかしながら本発明はこれに限らず、数字NMを、例えば「1、1、1、2、2、2、3、3、3、…」のように、連続する数字をそれぞれ所定回数ずつ繰り返すようにしても良く、或いは数字NMを付する箇所をドラム31に巻き付ける紙幣の10枚ごとの周期とほぼ同等とし、「10、20、30、…」ように10ずつ繰り上がるような離散的な値としても良い。
【0219】
さらに上述した第9の実施の形態においては、同一のマークMKを長手方向に沿って所定間隔ごとに付すようにした場合について述べた。
【0220】
しかしながら本発明はこれに限らず、例えば複数種類のマークMKを長手方向に沿って逐次入れ替えながら所定間隔ごとに付すようにしても良く、またその間隔を逐次変化させても良い。さらには、マークMK同士の間隔を、ドラム31に巻き付ける紙幣の1枚ごとの周期とほぼ同等とし、所定枚数ごとに異なる種類のマークMKを付すことにより、第8の実施の形態と同様に、各テープの始端部又は終端部からの紙幣の枚数に換算したおおよその長さや、ドラム31に巻き付けられている紙幣のおおよその枚数を識別できるようにしても良い。
【0221】
さらに上述した第1の実施の形態においては、一時保留部15に2系統のテープ走行系、すなわち2本の上側テープ34及び35と2本の下側テープ43及び44とを設けるようにした場合について述べた。
【0222】
しかしながら本発明はこれに限らず、一時保留部15に1系統や3系統以上のテープ走行系を設けるようにしても良い。第2〜第10の実施の形態についても同様である。特に第4〜第6の実施の形態において3系統以上のテープ走行系を設ける場合、各テープの色彩や模様等を互いに相違させるようにしても良い。
【0223】
さらに上述した第1の実施の形態においては、上側テープ34及び35並びに下側テープ43及び44により紙幣を挟んでドラム31の周囲に巻き付けるようにした場合について述べた。
【0224】
しかしながら本発明はこれに限らず、例えば下側テープ43及び44を省略し、上側テープ34及び35によりドラム31の周側面に紙幣を巻き付けるようにしても良い。第2〜第10の実施の形態についても同様である。
【0225】
さらに上述した第1の実施の形態においては、金融機関等において顧客との間で現金に関する取引を行う現金自動預払機1の一時保留部15において、媒体としての紙幣を保留するようにした場合について述べた。
【0226】
しかしながら本発明はこれに限らず、例えば金融機関等において職員が現金に関する各種処理を行うための出納システムに組み込まれる一時保留部に適用するようにしても良く、或いは商品券や金券、入場券等のような紙葉状の媒体、或いは硬貨のような媒体を保留する種々の装置に適用するようにしても良い。第2〜第10の実施の形態についても同様である。
【0227】
さらに上述した実施の形態においては、ドラムとしてのドラム31と、リールとしての上側リール32と、テープとしての上側テープ34とによって媒体処理装置としての一時保留部15を構成する場合について述べた。
【0228】
しかしながら本発明はこれに限らず、その他種々の構成でなるドラムと、リールと、テープと、によって媒体処理装置を構成するようにしても良い。
【産業上の利用可能性】
【0229】
本発明は、紙幣等の紙状の媒体をテープと共にドラムに巻き付けて一時的に保留する種々の装置でも利用できる。
【符号の説明】
【0230】
1……現金自動預払機、15……一時保留部、20……一時保留部筐体、21……制御部、31……ドラム、32、33……上側リール、34、35、134、135、234、235、334、335、434、435、534、535、634、635、734、735、834、835、934、935……上側テープ、34S、35S、134S、135S、234S、235S、334S、335S、434S、435S、534S、535S、634S、635S、734S、735S、834S、835S、934S、935S……始端部、34E、35E、134E、135E、234E、235E、334E、335E、434E、435E、534E、535E、634E、635E、734E、735E、834E、835E、934E、935E……終端部、38、39、47、48……テープセンサ、41、42……下側リール、43、44……下側テープ、SH……遮光領域、IR……照射領域、NR……非照射領域、NM……数字、MK……マーク、CP……変化模様。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14
図15
図16