(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記バイパス電路におけるヒーターの上流側と下流側とを繋ぐヒーターバイパス電路を更に備え、前記二次電池の温度が所定温度より高くなると、電流が前記ヒーターバイパス電路に流れるように構成されていることを特徴とする請求項1から請求項3のいずれかに記載の電池システム。
前記二次電池の上流側主電路における前記バイパス電路との接続位置の下流側、前記二次電池の下流側主電路における前記バイパス電路との接続位置の上流側、又は前記バイパス電路に、前記二次電池の温度が所定温度より高くなると前記閉回路を開回路にするスイッチ手段が設けられていることを特徴とする請求項3に記載の電池システム。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
ところで、充放電可能な二次電池は、内部抵抗が低温環境下で常温下よりも大きくなるため、電流を流した際の電圧変化が大きくなり、常温下に比べて早く充電上限電圧や放電下限電圧に達する。そのため、低温環境下では十分に充電できず、また十分な出力の電力が供給できず、充電性能及び出力性能が低下してしまう。そうすると、二次電池を備えた電池システムを、低温環境下で運行する航空機等の移動体の緊急用及びエンジン始動用の電源として用いた場合、エンジン始動時に必要な電力を十分に充電できず、また、緊急時に必要な出力を供給できないといった問題がある。
【0011】
そして、移動体や装置の電源として二次電池を用いる場合、複数の二次電池を直列に接続した電池システムを用いることが多いが、複数の二次電池を直列に接続した電池システムは、低温環境下において各二次電池の内部抵抗のバラツキが大きくなるため、各二次電池に同じ電流値の電流を流すと、充電時の電圧のバラツキ、すなわち、充電状態のバラツキが大きくなる。この充電状態のバラツキを小さくして、電池システムの充電状態を高くするためには時間がかかるといった問題があった。
【0012】
そこで、本発明は、二次電池に対する過充電を防止することができ、低温環境下での使用であっても二次電池の充電性能及び出力性能を適正に発揮させることのできる電池システムを提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0013】
本出願の第一の発明は、二次電池と保護回路とを備えた電池システムにおいて、前記保護回路は、前記二次電池のプラス端子に接続される上流側主電路とマイナス端子に接続される下流側主電路とを繋ぐバイパス電路を備えており、充電時に前記二次電池の電圧が所定電圧より高くなると、前記二次電池を流れる電流が減少し、前記バイパス電路を流れる電流が増加する一方、充電時に前記二次電池の電圧が所定電圧より低くなると、前記二次電池を流れる電流が増加し、前記バイパス電路を流れる電流が減少するように構成されており、前記バイパス電路は、前記バイパス電路を流れる電流で発熱するヒーターを備え、前記ヒーターは、前記二次電池に熱影響を与えるように近接又は密接して配置されたことを特徴とする。なお、ここで「上流」とは、電路上で電流が流れる方向を基準に充電器等の電力供給源に近い上手を意味し、「下流」とは、電路上で電流が流れる方向を基準に「上流」よりも充電器等の電力供給源から遠い下手を意味する。ここで、「充電時」とは、充電器等から電池システムに電流が流れている状態を意味する。ここで、「前記二次電池を流れる電流が減少し、前記バイパス電路を流れる電流が増加する」は、全ての電流が前記バイパス電路を流れるようになる構成を含む。ここで、「前記二次電池を流れる電流が増加し、前記バイパス電路を流れる電流が減少する」は、全ての電流が前記二次電池を流れるようになる構成を含む。
【0014】
上記構成において、所定電圧を二次電池の充電上限電圧とすれば、充電時に前記二次電池の電圧が所定電圧より高くなると、前記二次電池を流れる電流が減少し、前記バイパス電路を流れる電流が増加する一方、充電時に前記二次電池の電圧が所定電圧より低くなると、前記二次電池を流れる電流が増加し、前記バイパス電路を流れる電流が減少するように構成されているので、二次電池が過充電されることを防止することができる。
【0015】
そして、バイパス電路は、該バイパス電路に流れる電流で発熱するヒーターを備え、該ヒーターは、二次電池に熱影響を与えるように近接又は密接して配置されるので、バイパス電路に逃がした電流でヒーターを発熱させることで、低温環境下であっても二次電池に適正な充電を行うことができる。すなわち、低温環境下では、二次電池の内部抵抗が常温下の内部抵抗よりも大きくなるため、常温下で充電する場合よりも所定電圧(例えば、充電上限電圧)に早く達し、充電電気量が常温下よりも小さくなる。通常のバイパス電路(ヒーターのないバイパス電路)を備えた電池システムでは、さらに電流を流しても二次電池の電圧が充電上限電圧に達しているため、二次電池の方向に電流が流れず、二次電池の充電電気量を増大させることはできないが、本発明の構成によれば、電池電圧が充電上限電圧に達した後、バイパス電路に流れる電流でヒーターが加熱されて二次電池を温めるため、温度が上昇した二次電池の内部抵抗が小さくなって二次電池の電圧が低下し、二次電池の電圧が充電上限電圧より低くなると電流が二次電池に流れて充電される。従って、二次電池に対する加熱と充電との切り換えを繰り返すことにより、低温環境下であっても二次電池を常温下での満充電状態と同じ、又は略同じ状態にすることができる。
【0016】
また、二次電池が満充電状態になった後、充電器からの電力の供給を継続することで、電流はヒーターを流れるため、二次電池は加熱される。つまり、電池システムへの電力の供給を継続することで、二次電池を加熱して該二次電池の内部抵抗を小さくすることができるため、低温環境下での緊急時であっても十分な出力を供給することができる。
【0017】
従って、上記構成の電池システムによれば、充電器による過充電を防止することができ、かつ、低温環境下での使用であっても充電時の余剰な電力を利用して二次電池を加熱することで、二次電池が適正な充電性能及び出力性能を発揮するといった優れた効果を奏し得る。
【0018】
本出願の第二の発明は、二次電池と保護回路とが並列に接続された並列回路が複数直列に接続された電池システムにおいて、前記並列回路のそれぞれにおいて、前記保護回路は、該保護回路が並列に接続された前記二次電池のプラス端子に接続される上流側主電路と、マイナス端子に接続される下流側主電路とを繋ぐバイパス電路を備えており、前記並列回路のそれぞれにおいて、該並列回路内の前記二次電池の電圧が充電時に所定電圧より高くなると、該二次電池を流れる電流が減少し、該二次電池と並列に接続された前記バイパス電路を流れる電流が増加する一方、該並列回路内の前記二次電池の電圧が充電時に所定電圧より低くなると、該二次電池を流れる電流が増加し、該二次電池と並列に接続された前記バイパス電路を流れる電流が減少するように構成されており、前記並列回路のそれぞれにおいて、該並列回路内の前記バイパス電路は、前記バイパス電路を流れる電流で発熱するヒーターを備え、該ヒーターは、該並列回路内の前記二次電池に熱影響を与えるように近接又は密接して配置されたことを特徴とする。なお、ここで「上流」とは、電路上で電流が流れる方向を基準に充電器等の電力供給源に近い上手を意味し、「下流」とは、電路上で電流が流れる方向を基準に「上流」よりも充電器等の電力供給源から遠い下手を意味する。ここで、「充電時」とは、充電器等から電池システムに電流が流れている状態を意味する。ここで、「前記二次電池を流れる電流が減少し、前記バイパス電路を流れる電流が増加する」は、全ての電流が前記バイパス電路を流れるようになる構成を含む。ここで、「前記二次電池を流れる電流が増加し、前記バイパス電路を流れる電流が減少する」は、全ての電流が前記二次電池を流れるようになる構成を含む。また、三つ以上の二次電池が直列に接続された電池システムでは、少なくとも二つの二次電池が上記構成の並列回路を備えていればよい。
【0019】
上記の構成によれば、複数の二次電池が直列に接続された電池システムにおいて、過充電の防止、個々の二次電池の充電性能及び出力性能を発揮させるという効果以外に、短時間に二次電池の充電性能を高めることができる。
【0020】
複数の二次電池を直列に接続した電池システムにおいて、低温環境下では各二次電池の内部抵抗のバラツキが大きくなり、各二次電池に同じ電流値の電流が流れると、内部抵抗の大きい二次電池は、内部抵抗の小さい二次電池よりも早く所定電圧(例えば、充電上限電圧)に達する。複数の二次電池を備えた電池システムにおいて、充電及び加熱の切り換えを全ての二次電池に対して一括に行う場合、内部抵抗の大きい二次電池に合わせてヒーターが加熱されるため、ヒーターが加熱している間は、内部抵抗の小さな二次電池は充電されないことになる。一方、上記構成によれば、個々の二次電池で充電及び加熱を切り換えるため、各二次電池の内部抵抗に合わせて効率よく充電を行うことができ、充電及び加熱を一括で切り換える電池システムよりも短時間で二次電池の充電状態を高くすることができる。その結果、電池システムの充電過程で緊急時の出力が必要になった状況においても、十分な出力の電力を供給することができる。
【0021】
また、複数の二次電池を接続した電池システムでは、二次電池の配置の違いによって、二次電池の温度にバラツキが生じる。これらの二次電池を一括してヒーターで加熱すると、適正な温度である二次電池まで加熱され、過剰な加熱で二次電池の寿命を短くしてしまう虞がある。一方、上記構成によれば、二次電池毎に設けられたバイパス電路にヒーターが設けられているため、各二次電池の温度に合わせて最適な加熱を行うことができ、二次電池の寿命を短くしてしまうことを防止することができる。
【0022】
本出願の第三の発明は、二次電池と、該二次電池のプラス端子に接続される上流側主電路とマイナス端子に接続される下流側主電路とを繋ぐバイパス電路とを備えた電池システムにおいて、
前記二次電池は複数直列に接続され、前記バイパス電路は前記二次電池のそれぞれに設けられており、充電が行われていない状態で、前記二次電池の温度が所定温度より低いときに、前記二次電池、前記二次電池の上流側主電路における前記バイパス電路との接続位置の下流側、前記二次電池の下流側主電路における前記バイパス電路との接続位置の上流側、及び前記バイパス電路が閉回路になるように構成されており、前記バイパス電路は、該バイパス電路を流れる電流で発熱するヒーターを備え、前記ヒーターは、前記二次電池に熱影響を与えるように、前記二次電池に近接又は密接して配置されたことを特徴とする。なお、ここで「所定温度」とは、二次電池の充電性能及び出力性能が標準的になる温度を意味する。ここで、「充電が行われていない状態」とは、充電器等から電池システムに電流が流れていない状態を意味する。
【0023】
このように二次電池、上流側主電路におけるバイパス電路との接続位置の下流側、下流側主電路におけるバイパス電路との接続位置の上流側、及びバイパス電路で閉回路が形成されると、二次電池の電力でヒーターを発熱させることができる。従って、二次電池は、自己の電力で発熱したヒーターによって加熱され、出力性能が適正な状態になる。これにより、装置を起動するとき(例えば、小型飛行機やヘリコプター等のエンジンを始動するとき)に電力不足になることを防止することができる。
【0024】
第一、及び第二の発明の電池システムにおいて、前記保護回路は、バイパス電路におけるヒーターの上流側と下流側とを繋ぐヒーターバイパス電路を更に備え、前記二次電池の温度が所定温度より高くなると、電流が前記ヒーターバイパス電路に流れるように構成されていることが好ましい。このようにすれば、二次電池の温度が所定温度より高くなるとヒーターに電流が流れないため、ヒーターが二次電池を必要以上に加熱するのを防止することができる。
【0025】
上記の形態において、保護回路は、ヒーターバイパス電路の途中位置に抵抗器が介設されるとともに、ヒーターバイパス電路の抵抗器の熱を外部に放熱するための放熱手段を更に備え、バイパス電路とヒーターバイパス電路との接続位置の少なくとも何れか一方には、二次電池の温度が所定温度になるまでバイパス電路における前記接続位置の上流側と下流側とを接続し、二次電池の温度が所定温度よりも高くなるとバイパス電路における前記接続位置の上流側とヒーターバイパス電路とを接続する電路切換スイッチが設けられていることが好ましい。
【0026】
このようにすれば、電路切換スイッチの切り換えで、電流がヒーターに向けて流れる状態と、ヒーターバイパス電路上の抵抗器に向けて流れる状態とに切り換えることができる。また、バイパス電路を流れる電流がヒーターに向けて流れる状態になると、該ヒーターで二次電池を加熱して出力性能及び充電性能を適正な状態にすることができる。これに対し、ヒーターバイパス電路に電流が流れた状態になると、該ヒーターバイパス電路に設けられた抵抗器が発熱することになるが、その熱が放熱手段によって外部に放出されることになる。このように抵抗器が発熱して放熱手段がその熱を外部に放出している間は、ヒーターが二次電池を加熱しないため、二次電池に対する過剰な加熱を防止することができる。
【0027】
第一及び第二の発明の電池システムにおいて、前記ヒーターの抵抗値が以下の式1を満たすことが好ましい。以下の式1を満たす抵抗値のヒーターを用いることで、ヒーターの抵抗値が満充電状態の二次電池の抵抗より小さくなり、充電電流がバイパス電路の方に流れやすくなるため、二次電池の過充電を防止することができる。
【0028】
前記ヒーターの抵抗値<前記二次電池の設定充電電圧/前記二次電池を流れる最大充電電流…(式1)
【0029】
上記の式1を満たすヒーターとして、ヒーターの導線にアルミニウム、銅、又はこれら金属を主成分とする合金を用いることが好ましい。通常のヒーターの導線には、カーボンやニクロム等が用いられるが、カーボンやニクロムを用いたヒーターの抵抗を小さくするためには、導線の断面を大きくする必要があり、その結果、ヒーターの寸法及び質量が大きくなる。一方、ヒーターの導線にアルミニウム、銅、又はそれら金属を主成分とする合金を用いたヒーターでは、断面の小さい導線で抵抗を小さくすることができるため、電池システムの小型軽量化が図られる。
【0030】
第三の発明の電池システムにおいて、バイパス電路におけるヒーターの上流側と下流側とを繋ぐヒーターバイパス電路を更に備え、前記二次電池の温度が所定温度より高くなると、電流が前記ヒーターバイパス電路に流れるように構成されていることが好ましい。このようにすれば、二次電池の温度が所定温度より高くなるとヒーターに電流が流れないため、ヒーターが二次電池を必要以上に加熱するのを防止することができる。
【0031】
上記の形態において、ヒーターバイパス電路の途中位置に抵抗器が介設されるとともに、ヒーターバイパス電路の抵抗器の熱を外部に放熱するための放熱手段を更に備え、バイパス電路とヒーターバイパス電路との接続位置の少なくとも何れか一方には、二次電池の温度が所定温度になるまでバイパス電路における前記接続位置の上流側と下流側とを接続し、二次電池の温度が所定温度よりも高くなるとバイパス電路における前記接続位置の上流側とヒーターバイパス電路とを接続する電路切換スイッチが設けられていることが好ましい。
【0032】
このようにすれば、電路切換スイッチの切り換えで、電流がヒーターに向けて流れる状態と、ヒーターバイパス電路上の抵抗器に向けて流れる状態とに切り換えることができる。また、バイパス電路を流れる電流がヒーターに向けて流れる状態になると、該ヒーターで二次電池を加熱して出力性能及び充電性能を適正な状態にすることができる。これに対し、ヒーターバイパス電路に電流が流れた状態になると、該ヒーターバイパス電路に設けられた抵抗器が発熱することになるが、その熱が放熱手段によって外部に放出されることになる。このように抵抗器が発熱して放熱手段がその熱を外部に放出している間は、ヒーターが二次電池を加熱しないため、二次電池に対する過剰な加熱を防止することができる。
【0033】
第三の発明の電池システムにおいて、前記二次電池の上流側主電路における前記バイパス電路との接続位置の下流側、前記二次電池の下流側主電路における前記バイパス電路との接続位置の上流側、又は前記バイパス電路に、前記二次電池の温度が所定温度より高くなると前記閉回路を開回路にするスイッチ手段が設けられていることが好ましい。
【0034】
このようにすると、二次電池の温度が所定温度より高くなると、バイパス電路、つまりヒーターに二次電池の電流が流れず、ヒーターが二次電池を加熱しないため、二次電池に対する過剰な加熱を防止することができる。
【0035】
二次電池と、該二次電池のプラス端子に接続される上流側主電路とマイナス端子に接続される下流側主電路とを繋ぐバイパス電路とを備えた電池システムにおいて、充電が行われていない状態で、前記二次電池の温度が所定温度より低いときに、前記二次電池、前記二次電池の上流側主電路における前記バイパス電路との接続位置の下流側、前記二次電池の下流側主電路における前記バイパス電路との接続位置の上流側、及び前記バイパス電路が閉回路になるように構成されており、前記バイパス電路は、該バイパス電路を流れる電流で発熱するヒーターを備え、前記ヒーターは、前記二次電池に熱影響を与えるように、前記二次電池に近接又は密接して配置されており、前記二次電池の上流側主電路における前記バイパス電路との接続位置の下流側、前記二次電池の下流側主電路における前記バイパス電路との接続位置の上流側、又は前記バイパス電路に、外部からの信号に基づいて前記閉回路を形成するスイッチ手段が設けられていることが好ましい。ここで、「外部からの信号」とは、オペレーターの判断による信号のことである。
【0036】
このようにすれば、外部からの信号によって前記スイッチ手段(手動開閉スイッチ)がオン状態になるまで、バイパス電路、二次電池、上流側主電路、及び下流側主電路が閉回路にならないため、二次電池の電力を無駄に消費してしまう(バッテリーが上がってしまう)のを防止することができる。
【0037】
第三の発明の電池システムにおいて、前記ヒーターの導線にアルミニウム、銅、又はこれら金属を主成分とする合金を用いることが好ましい。ヒーターの導線に上記金属を用いることで、導線の断面を小さくすることができるため、電池システムの小型軽量化を図ることができる。
【0038】
そして、二次電池は、リチウムイオン二次電池であることが好ましい。リチウムイオン電池は、Ni−Cd電池等の二次電池に比して、出力性能や充電性能が低温環境下で低下し易いが、本発明の電池システムは、上記構成のバイパス電路を備えているため、リチウムイオン二次電池の本来の性能(常温下での性能)を発揮させることができる。そして、リチウムイオン二次電池を採用することで、電池システムの軽量化を図ることができ、また、メンテナンス性に優れたものにすることができる。
【発明の効果】
【0039】
以上のように、本発明の電池システムによれば、二次電池に対する過充電を防止することができ、低温環境下での使用であっても二次電池の充電性能及び出力性能を適正に発揮させることができるという優れた効果を奏し得る。
【発明を実施するための形態】
【0041】
以下、本発明の一実施形態に係る電池システムについて、添付図面を参照しつつ説明する。
【0042】
かかる電池システムは、二次電池(以下、電池セルという)を電源として搭載される各種装置や機器を対象とするもので、本実施形態においては、緊急用の電源及びエンジン始動用の電源として電池セルを搭載する小型飛行機やヘリコプター(以下、総称して航空機という)を対象に説明することとする。
【0043】
本実施形態に係る電池システムは、
図1に示す如く、充放電可能な電池セル1と、該電池セル1に対する過充電を防止するための保護回路2とを備えている。航空機に搭載される緊急用の電源及びエンジン始動用の電源は、一般的に複数の電池セルが直列に配置されるため、本実施形態に係る電池システムSにおいても、緊急用(バックアップ用)及びエンジン始動用の電源として直列に接続された複数の電池セル1…を備えている。
【0044】
本実施形態において、電池セル1には、リチウムイオン二次電池が採用されている。そして、各電池セル1は、プラス端子(図示しない)に上流側主電路Aが接続されるとともに、マイナス端子(図示しない)に下流側主電路Bが接続されている。本実施形態において、複数の電池セル1…が直列に接続されているため、各電池セル1のプラス端子に接続された上流側主電路Aのそれぞれは、電流の流れ方向の上流側で隣り合う電池セル1のマイナス端子に接続されている。そのため、本実施形態においては、各電池セル1のプラス端子に接続された上流側主電路Aは、上流側で隣り合う電池セル1の下流側主電路Bとなっている。
【0045】
そして、複数の電池セル1…のうち、最上流にある電池セル(電流の流れ方向における最上流の電池セル)1は、プラス端子が上流側主電路Aを介して充電器(図示しない)に接続され、最下流にある電池セル(電流の長さ方向における最下流の電池セル)1は、マイナス端子が下流側主電路Bを介して航空機のボディー(金属部分)に接続されてアース接地されている。
【0046】
これにより、複数の電池セル1…のそれぞれに、上流側主電路A及び下流側主電路Bを介して充電器からの電流が流れ、各電池セル1を充電できるようになっている。なお、本実施形態においては、航空機の緊急用及びエンジン始動用の電源(電池セル1)を対象としているため、各電池セル1に対する充電は、飛行中に行われるようになっている。
【0047】
そして、航空機には、電池セル1に対する充電の実行を管理するバッテリー管理ユニット(BMU)Uが搭載されている。かかるバッテリー管理ユニットUは、少なくとも電池セル1の温度を認識できるように構成される。本実施形態に係るバッテリー管理ユニットUは、電池セル1に取り付けられる検出手段(図示しない)によって電池セル1の温度、電流値、電圧値等についても認識できるようになっている。そして、バッテリー管理ユニットUは、認識結果に基づき、充電器による充電の開始及び停止、後述するスイッチ手段、電路切換用スイッチの切り換え等を指示するための指示信号を発信するようにもなっている。
【0048】
本実施形態に係る電池システムSは、保護回路2が電池セル1毎に設けられている。該電池システムSは、各電池セル1に対して独立した保護回路2が並列に接続されている。すなわち、本実施形態に係る電池システムSは、電池セル1と保護回路2とが並列に接続された並列回路が複数直列に接続されている。各保護回路2は、電池セル1のプラス端子に接続される上流側主電路Aと該電池セル1のマイナス端子に接続される下流側主電路Bとを繋ぐバイパス電路20を備えている。すなわち、保護回路2は、上流側主電路A上に設定される接続位置(以下、第一接続位置という)P1と、下流側主電路B上に設定される接続位置(以下、第二接続位置という)P2とを繋ぐバイパス電路20を備えている。
【0049】
各保護回路2は、充電時に電池セル1の電圧が所定電圧よりも高くなると、電流がバイパス電路20を介して上流側主電路Aから下流側主電路Bに流れる一方、電池セル1の電圧が所定電圧よりも低くなると、上流側主電路Aから電池セル1に向けて電流が流れるよう構成されている。
【0050】
各保護回路2のバイパス電路20は、
図2に示す如く、該バイパス電路20に流れる電流で発熱するヒーター21を備えている。該ヒーター21は、該ヒーター21と電池セル1との間に熱伝導物質の層を介した状態で電池セル1に配置されている。また、該ヒーター21にはアルミニウム製の導線を使用し、該ヒーター21の抵抗値が、電池セル1の設定充電電圧を、電池セル1を流れる充電電流の最大値で除した値より小さくなるように、前記導線の寸法(断面積、長さ)を調整した。すなわち、前記ヒータ21は、抵抗値が以下の式1を満たすように形成されている。ヒーター21の抵抗値<電池セル(二次電池)1の設定充電電圧/電池セル(二次電池)1を流れる最大充電電流…(式1)
【0051】
バイパス電路20は、電池セル1の電圧が所定電圧よりも低くなると該バイパス電路20を切断し、電池セル1の電圧が所定電圧よりも高くなると該バイパス電路20を接続するスイッチ手段22が設けられている。本実施形態において、前記スイッチ手段22はトランジスタで構成されている。これに伴い、本実施形態に係る保護回路2は、スイッチ手段(トランジスタ)22によるバイパス電路20の開閉を行うためのスイッチ駆動回路23を備えている。なお、本実施形態での「所定電圧」とは、電池セル1の充電上限電圧であって、一般的には電池セル1の設計仕様の電池電圧を意味する。
【0052】
ここで、スイッチ駆動回路23について説明すると、本実施形態に係るスイッチ駆動回路23は、バイパス電路20におけるヒーター21とトランジスタ(スイッチ手段)22との間に設定される接続位置(以下、第三接続位置という)P3と、トランジスタ(スイッチ手段)22と第二接続位置P2との間に設定される接続位置(以下、第四接続位置という)P4とを繋ぐ駆動用主電路24と、該駆動用主電路24の途中位置P5から分岐した分岐電路25と、基準電圧を提供する直流電圧供給源26と、分岐電路25の電圧と直流電圧供給源26の基準電圧とを比較する比較器27とを備えている。
【0053】
前記駆動用主電路24は、第三接続位置P3と分岐電路25の分岐位置P5との間に第一抵抗器28が設けられるとともに、第四接続位置P4と前記分岐位置P5との間に第二抵抗器29が設けられている。これにより、駆動用主電路24は、分岐位置P5を基準にして電池セル1の電圧を上流側と下流側とに分圧し、分岐電路25に基準電圧にあった電圧がかかるようになっている。前記直流電圧供給源26は、電池セル1の電圧が基準値(基準電圧)であるか否かを判定するための基準となる電圧を供給するためのもので、例えば、ツェナーダイオードや定電圧回路等で構成される。
【0054】
そして、前記比較器27は、分岐電路25の電圧と直流電圧供給源26の基準電圧とを比較し、分岐電路25の電圧が基準電圧よりも高いときに、スイッチ手段22がバイパス電路20を接続する一方、分岐電路25の電圧が基準電圧よりも低いときに、スイッチ手段22がバイパス電路20を切断するように指示するようになっている。本実施形態において、バイパス電路20に設けられるスイッチ手段22にトランジスタが採用されているため、比較器27は、分岐電路25の電圧が基準電圧よりも高いときに、指示信号としてトランジスタ22にベース電流を流し、トランジスタ(スイッチ手段)22がバイパス電路20を接続する一方、分岐電路25の電圧が基準電圧よりも低いときに、トランジスタへのベース電流の供給を停止し、トランジスタ(スイッチ手段)22がバイパス電路20を切断するようになっている。
【0055】
本実施形態に係る保護回路2は、電池セル1に対する充電が行われていない状態で、該電池セル1の温度が所定温度よりも低いときに、電池セル1、上流側主電路Aにおけるバイパス電路20との接続位置(第一接続位置)P1の下流側、下流側主電路Bにおけるバイパス電路20との接続位置(第二接続位置)P2の上流側、及びバイパス電路20が閉回路になるように構成されている。なお、「所定温度」とは、電池セル1の電池性能(出力性能及び充電性能)を最大限引き出せる環境となる温度を意味し、一般的には電池セル1の設計仕様の電池性能を発揮し得る温度を意味する。
【0056】
ここで、電池セル1、上流側主電路Aにおける第一接続位置P1の下流側、下流側主電路Bにおける第二接続位置P2の上流側、及びバイパス電路20を閉回路にするための具体的な構成について説明すると、本実施形態に係る保護回路2は、バイパス電路20におけるヒーター21の下流側に設定された第一位置P6とバイパス電路20における第一位置P6よりも下流側に設定された第二位置P7とを繋ぐショートカット電路30を備えている。これに伴い、本実施形態に係る保護回路2は、バイパス電路20の前記スイッチ手段(トランジスタ)22が第一位置P6と第二位置P7との間に設けられている。
【0057】
ショートカット電路30には、電池セル1の温度が所定温度よりも高いときに該ショートカット電路30を切断し、電池セル1の温度が所定温度よりも低いときに該ショートカット電路30を接続する電路開閉スイッチ31が設けられている。
【0058】
本実施形態においては、上述の如く、航空機にバッテリー管理ユニットUが搭載されているため、ショートカット電路30上の電路開閉スイッチ31は、バッテリー管理ユニットUから送信される指示信号に基づき、電池セル1の温度が所定温度よりも高いときに該ショートカット電路30を切断する一方で、電池セル1の温度が所定温度よりも低いときに該ショートカット電路30を接続するようになっている。具体的には、電路開閉スイッチ31は、電池セル1の温度が−10℃以下、より好ましくは−20℃以下でONになり(ショートカット電路30を接続し)、電池セル1の温度が0℃でOFFになる(ショートカット電路30を切断する)ようになっている。
【0059】
また、本実施形態に係るショートカット電路30には、手動で該ショートカット電路30の開閉(切断と接続)を切り換える手動開閉スイッチ32が設けられている。
【0060】
そして、本実施形態に係る保護回路2は、バイパス電路20におけるヒーター21の上流側と下流側とを繋ぐヒーターバイパス電路40を備えている。これにより、本実施形態に係る保護回路2は、ヒーター21による加熱で電池セル1の温度が所定温度よりも高くなると、電流がヒーターバイパス電路40に流れるように構成されている。
【0061】
本実施形態に係る保護回路2は、ヒーターバイパス電路40の途中位置に抵抗器41が介設されており、これに伴って、ヒーターバイパス電路40の抵抗器41の熱を外部に放熱するための放熱手段50を備えている。
【0062】
そして、本実施形態に係る保護回路2は、バイパス電路20とヒーターバイパス電路40との接続位置の少なくとも何れか一方(本実施形態においては上流側の接続位置:以下、第五接続位置という)P8には、電池セル1の温度が所定温度になるまでバイパス電路20における第五接続位置P8の上流側と下流側とを接続し、電池セル1の温度が所定温度よりも高くなるとバイパス電路20における第五接続位置P8の上流側とヒーターバイパス電路40とを接続する電路切換スイッチ42が設けられている。
【0063】
本実施形態においては、上述の如く、航空機にバッテリー管理ユニットUが搭載されているため、電路切換スイッチ42は、バッテリー管理ユニットUから送信される指示信号に基づき、電池セル1の温度が所定温度になるまでバイパス電路20における第五接続位置P8の上流側と下流側とを接続し、電池セル1の温度が所定温度よりも高くなるとバイパス電路20における第五接続位置P8の上流側とヒーターバイパス電路40とを接続するように構成されている。ここで、電路切換スイッチ42は、電池セル1の温度が35℃になると、ヒーターバイパス電路40側に接続し、電池セル1の温度が0℃になると、バイパス電路20(ヒーター21側)に接続するようにしてもよいが、電池セル1の性能を考慮すれば、電池セル1の温度が25℃になると、ヒーターバイパス電路40側に接続し、電池セル1の温度が10℃になると、バイパス電路20(ヒーター21側)に接続するように構成することが好ましい。
【0064】
そして、
図1に示す如く、上流側主電路Aには、規定電流以上の電流が流れたとき、規定電圧以上の電圧がかかったとき、及び電池セル1が規定温度以上の温度になったときの少なくとも何れか一方の状態になったときに上流側主電路Aを切断する遮断器60を備えている。なお、上記規定電圧は、バイパス電路20に電流が流れる所定電圧よりも高く、上記規定温度は、ヒーターバイパス電路40に電流が流れる所定温度よりも高く設定される。
【0065】
本実施形態においては、上述の如く、複数の電池セル1…が直列に配置されているため、最上流の電池セル1に接続された上流側主電路Aにのみ遮断器60が設けられている。かかる遮断器60は、バッテリー管理ユニットUが電池セル1(少なくとも何れか一つの電池セル1)の電流値が規定電流値以上であると判断したときに、そのバッテリー管理ユニットUの指示に基づき、上流側主電路Aを切断するようになっている。
【0066】
本実施形態に係る保護回路2は、以上の構成からなり、続いて、
図1及び
図2を参照しつつ保護回路2の作動について、航空機のエンジン始動乃至飛行に併せて説明する。
【0067】
まず、オペレーター(パイロット)が航空機のエンジンを始動させる前に、予めショートカット電路30を切断していた手動開閉スイッチ32をONにしてショートカット電路30を接続する。この状態において、航空機のエンジンが始動していないため、充電器(或いは発電機)も駆動しておらず、電池セル1に対する電流の供給がなされていない状態になっている。
【0068】
そして、バッテリー管理ユニットUは、電池セル1の温度が所定温度よりも低い(電池セル1の充放電性能が低下する温度環境である)と判断した場合、電路開閉スイッチ31に対してショートカット電路30を接続するように指示信号を送信し、電池セル1の温度が所定温度よりも高い(電池セル1の充放電性能が適正な温度環境である)と判断した場合、電路開閉スイッチ31に対してショートカット電路30を切断するように指示信号を送信する。
【0069】
そうすると、オペレーターが、手動開閉スイッチ32をONにしたとき、電池セル1の温度が所定温度よりも高い場合には、電路開閉スイッチ31がショートカット電路30を切断した状態になり、電池セル1、上流側主電路A、下流側主電路B、バイパス電路20の一部、及びショートカット電路30は、開状態で維持し、バイパス電路20上のヒーター21によって電池セル1が加熱されることはないが、電池セル1の温度が所定温度よりも高いため、その出力性能は適正な状態となっている。
【0070】
これに対し、オペレーター(パイロット)が、手動開閉スイッチ32をONにしたとき、電池セル1が所定温度よりも低い場合には、電路開閉スイッチ31がショートカット電路30を接続した状態になり、電池セル1、上流側主電路A、下流側主電路B、バイパス電路20の一部、及びショートカット電路30は、閉状態になる。そうすると、電池セル1は、自己の電力でヒーター21を発熱させ、その熱によって所定温度(或いは、それ以上の温度)に加熱される。
【0071】
そうすると、電池セル1は、出力性能が適正な状態になるため、オペレーター(パイロット)がエンジンを始動させるに当り、その始動に必要十分な電力を供給することができる。
【0072】
そして、エンジンを始動させた後(飛行時)に、電池セル1に対する充電が行われることになる。すなわち、バッテリー管理ユニットUは、航空機の飛行中に充電器に対して電池セル1を充電する(電流を流す)ように指示する。また、本実施形態の保護回路2は、ショートカット電路30が設けられているため、バッテリー管理ユニットUは、充電器に対する充電開始の指示に併せて、ショートカット電路30の電路開閉スイッチ31をOFFにする(ショートカット電路30を切断する)ように指示する。なお、原則的には、エンジン始動後、オペレーターが手動開閉スイッチ32をOFFにしてショートカット電路30を切断するが、オペレーターが手動開閉スイッチ32をOFFにし忘れても上述の如く、バッテリー管理ユニットUの指示に基づいて電路開閉スイッチ31がOFFになるため、飛行中にショートカット電路30が通電状態になることはない。
【0073】
電池セル1は、エンジン始動前にヒーター21で加熱されているため、上述のように出力性能が適正になるのに併せて充電性能も適正になっており、充電が適正に行われることになる。すなわち、上空の低温環境下では、電池セル1の内部抵抗が大きく、電池セル1の電圧がすぐに所定電圧に達することになるが、本実施形態においては、エンジン始動前に電池セル1が加熱されて内部抵抗が小さくなっているため、充電が適正に行われる。また、航空機が飛行する上空は、低温環境下であることから電池セル1の温度が下がり、電池セル1の電圧がすぐに所定電圧に達するが、電流がヒーター21に流れて電池セル1を加熱するため、温められた電池セル1の電圧が低下し、電流が電池セル1に流れて充電される。この充電と加熱との切り換えを繰り返すことで、電池セル1の充電状態を常温下での満充電状態と同じ、又は略同じ状態にすることができる。また、個々の電池セル1にバイパス電路20を備えているので、各電池セル1の内部抵抗の大きさに合わせて充電及び加熱の切り換えを行うことができ、全ての電池セル1の充電及び加熱の切り換えを一括して行う場合よりも短時間で電池セル1の充電状態を高くすることができる。
【0074】
ここで保護回路2における具体的な作動について説明すると、電池セル1の電圧が所定電圧よりも低い場合、バイパス電路20上のスイッチ手段(トランジスタ)22は、OFF状態でバイパス電路20を切断しており、バイパス電路20に電流が流れることはない。そして、バイパス電路20と連続するスイッチ駆動回路23の駆動用主電路24においては、第一抵抗器28及び第二抵抗器29の抵抗が大きいため(例えば、MΩオーダーの抵抗に設定されるため)、バイパス電路20、駆動用主電路24(ヒーター21、第一抵抗器28、第二抵抗器29)には、例えば、μAオーダーの電流しか流れず、殆ど電流が流れていない状態になる。
【0075】
そして、充電に伴って電池セル1の電圧が所定電圧よりも高くなると、バイパス電路20、及び駆動用主電路24を介して分岐電路25にかかる電圧(第一抵抗器28及び第二抵抗器29で分圧した電圧)が、直流電圧供給源26から供給される内部基準電圧よりも高くなる。そうすると、比較器27がスイッチ手段22を動作させ(トランジスタ22にベース電流を流し)、スイッチ手段22で切断されていたバイパス電路20が接続されることになる。
【0076】
これにより、充電器からの電流がバイパス電路20に流れることになり、電池セル1の電圧が所定電圧を超える(過充電になる)ことが防止される。なお、バイパス電路20に電流が流れるに際し、駆動用主電路24にも電流が流れることになるが、その駆動用主電路24上に設けられた第一抵抗器28及び第二抵抗器29の抵抗が非常に大きいため、略全ての電流がバイパス電路20を流れることになる。
【0077】
そして、上述の如く、電池セル1に対する充電及び加熱の切り換えを繰り返すことで、電池セル1の充電状態が満充電状態、又は満充電と略同じ状態になると、電池セル1の電圧が低下することがないので、充電器からの余剰な電流がバイパス電路20に流れる。電池セル1の充電状態が満充電状態、又は満充電と略同じ状態になった後であっても、充電器(或いは発電機)からの電流の供給を継続することで、バイパス電路20に電流が流れ続けて該バイパス電路20上のヒーター21が発熱し、ヒーター21が電池セル1を加熱することになる。つまり、電池セル1への充電が終了しても、充電器(或いは発電機)からの電流をバイパス電路20に流し続けることで、電池セル1が所定温度よりも高くなっており、低温環境下である上空で電池セル1の出力性能を適正に発揮させる状態なるため、緊急時用の電源として活用する際に電力不足になることが防止される。
【0078】
そして、電流がバイパス電路20を流れ続けるとヒーター21が発熱し続け、電池セル1を必要以上に加熱することになるが、本実施形態においては、バッテリー管理ユニットUが電池セル1の温度が所定温度(充電性能及び出力性能が適正な状態となる温度範囲)よりも高くなったと判断すると、バッテリー管理ユニットUは、バイパス電路20における第五接続位置P8の上流側と下流側とを接続している電路切換スイッチ42に対し、第五接続位置P8の下流側(ヒーター21側)の接続を切断してヒーターバイパス電路40側に接続するように指示信号を送信する。
【0079】
これにより、電路切換スイッチ42は、第五接続位置P8の上流側にあるバイパス電路20とヒーターバイパス電路40とを接続し、電流がヒーターバイパス電路40に流れる状態(すなわち、ヒーター21に電流を流さない状態)に切り換わる。そうすると、ヒーターバイパス電路40上の抵抗器41が発熱することになるが、その熱が放熱手段50によって外部に放熱されることになり、電池セル1が加熱されることが抑制乃至防止されることになる。
【0080】
そして、バッテリー管理ユニットUが電池セル1の温度が所定温度よりも低くなったと判断すると、バッテリー管理ユニットUは、第五接続位置P8でヒーターバイパス電路40に接続している電路切換スイッチ42に対し、ヒーターバイパス電路40への接続を切断してバイパス電路20(ヒーター21側)に接続するように指示信号を送信する。
【0081】
これにより、電路切換スイッチ42は、第五接続位置P8の上流側にあるバイパス電路20と下流側のバイパス電路20(ヒーター21側)とを接続し、電流がヒーター21に流れる状態(すなわち、ヒーター21を発熱させる状態)に切り換わる。そうすると、ヒーター21が電池セル1を充電性能及び出力性能が適正な状態となる温度範囲にまで加熱することになる。これにより、電池セル1に対する過剰な加熱を防止した上で、緊急時用の電源として活用する際に電力不足になることが防止される。
【0082】
そして、何らかのトラブルで電池セル1が緊急時用の電源として活用されたり、自然放電したりすることで、電池セル1の電圧が所定電圧よりも低くなると、バイパス電路20、及び駆動用主電路24を介して分岐電路25にかかる電圧(第一抵抗器28及び第二抵抗器29で分圧した電圧)が、直流電圧供給源26から供給される内部基準電圧よりも低くなる。そうすると、比較器27がスイッチ手段22を動作させ(トランジスタ22へのベース電流の供給が停止され)、スイッチ手段22で接続されていたバイパス電路20が切断されることになる。
【0083】
これにより、充電器からの電流が上流側主電路Aから電池セル1に流れることになり、電池セル1の充電が行われることになる。この充電が行われる際に上空の低温環境下であっても、電池セル1への充電及び加熱の切り換えを繰り返すことで、再度、電池セル1の充電状態を常温下での満充電状態、又は満充電状態と略同じ状態にすることができる。また、個々の電池セル1にバイパス電路20を備えているので、各電池セル1は、個々の電池セル1の内部抵抗の大きさに合わせて充電及び加熱の切り換えを行うことができ、短時間で電池セル1の充電状態を高くすることができる。
【0084】
そして、飛行を終えると、バッテリー管理ユニットUが充電器に対して電池セル1の充電を停止する(電流の供給を停止する)ように指示し、電池セル1の充電が終了することになるが、上述のように飛行中に電池セル1に対する充電が適正に行われるため、電池セル1には、次回のエンジン始動時に必要な電力が蓄電される。
【0085】
以上のように、本実施形態に係る電池システムSは、電池セル1と、電池セル1に対する過充電から保護するための保護回路2とを備え、保護回路2は、電池セル1のプラス端子に接続される上流側主電路Aと該電池セル1のマイナス端子に接続される下流側主電路Bとを繋ぐバイパス電路20を備え、充電時に電池セル1の電圧が所定電圧よりも高くなると、電流がバイパス電路20を介して上流側主電路Aから下流側主電路Bに流れる一方、電池セル1の電圧が所定電圧よりも低くなると、上流側主電路Aから電池セル1に向けて電流が流れるよう構成されているので、電池セル1が過充電されることを確実に防止することができる。
【0086】
そして、本実施形態に係る保護回路2は、バイパス電路20が該バイパス電路20に流れる電流で発熱するヒーター21を備え、該ヒーター21は、電池セル1に熱影響を与えるように近接又は密接して配置されるため、バイパス電路20に逃がした電流でヒーター21を加熱させて電池セル1を加熱することができる。上空の低温環境下では、電池セル1の内部抵抗が常温下よりも大きく、充電時に所定電圧に早く達するため、充電状態を高くすることができないが、保護回路2にヒーター21を設け、電池セル1に対する充電及び加熱の切り換えを繰り返すことにより、低温環境下であっても電池セル1の充電状態を満充電状態、又は満充電と略同じ状態にすることができる。
【0087】
また、飛行中に各電池セル1が満充電状態になった後でも、充電器(或いは発電機)からの電池セル1への充電を継続することで、電流は保護回路2のヒーター21に流れるため、電池セル1は加熱される。電池セル1への充電を継続することで、飛行中の電池セル1は適正な温度に保たれており、電池セル1の内部抵抗を小さくすることができる。その結果、低温環境下での緊急時であっても十分な出力の電力を供給することができる。
【0088】
さらに、複数の電池セル1を直列に接続した電池システムSでは、個々の電池セル1に保護回路2が設けられているため、個々の電池セル1で充電及び加熱を切り換えることができる。また、個々の電池セル1に保護回路2を備えることで、各電池セル1の内部抵抗の大きさに合わせて、個々の電池セル1で効率よく充電及び加熱の切り換えを行うことができ、各電池セル1の充電及び加熱の切り換えを一括で行う場合よりも、短時間で電池セル1の充電状態を高くすることができる。
【0089】
また、本実施形態に係る電池システムSは、個々の電池セル1にヒーター21が設けられているため、各電池セル1に温度のバラツキがあっても、個々の電池セル1に合わせた最適な加熱を行うことができる。そして、複数の電池セル1を一括して加熱する場合、加熱する必要のない電池セル1に対して過剰な加熱が行われるため、電池セル1の寿命が短くなるが、本実施形態に係る電池システムSは、個々の電池セル1に合わせて加熱を行うようになっているため、過剰な加熱で電池セル1が短命化するのを抑制することができる。
【0090】
また、本実施形態に係る保護回路2は、電池セル1に対する充電が行われていない状態で、該電池セル1の温度が所定温度よりも低いときに、電池セル1、上流側主電路Aにおけるバイパス電路20との第一接続位置P1の下流側、下流側主電路Bにおけるバイパス電路20との第二接続位置P2の上流側、及びバイパス電路20が閉回路になるように構成されているので、電池セル1を自己の電力で発熱したヒーター21で加熱することができ、航空機のエンジンを始動するときに、電池セル1の出力性能を適正に発揮させ、これにより、電力不足になることを防止することができる。
【0091】
特に、本実施形態において、バイパス電路20におけるヒーター21の下流側に設定された第一位置P6とバイパス電路20における第一位置P6よりも下流側に設定された第二位置P7とを繋ぐショートカット電路30を更に備え、バイパス電路20の第一位置P6と第二位置P7との間には、電池セル1の電圧が所定電圧よりも低くなると該バイパス電路20を切断し、電池セル1の電圧が所定電圧よりも高くなると該バイパス電路20を接続するスイッチ手段22が設けられ、ショートカット電路30には、電池セル1の温度が所定温度よりも高いときに該ショートカット電路30を切断し、電池セル1の温度が所定温度よりも低いときに該ショートカット電路30を接続する電路開閉スイッチ31が設けられているので、電池セル1に電流が流れる状態とヒーター21に電流が流れる状態とに確実に切り換えることができ、また、低温環境下であっても電池セル1の出力性能を適正に発揮させることのできる状態にすることができる。
【0092】
また、ショートカット電路30に、該ショートカット電路30の切断と接続との切り換えを行う手動開閉スイッチ32を設けたので、電池セル1の電力を無駄に消費してしまう(バッテリーが上がってしまう)のを防止することができる。
【0093】
そして、本実施形態に係る保護回路2は、バイパス電路20におけるヒーター21の上流側と下流側とを繋ぐヒーターバイパス電路40を更に備え、ヒーター21による加熱で電池セル1の温度が所定温度よりも高くなると、電流がヒーターバイパス電路40に流れるように構成されているので、ヒーター21が電池セル1を必要以上に加熱するのを防止することができる。
【0094】
特に、ヒーターバイパス電路40の途中位置に抵抗器41が介設されるとともに、ヒーターバイパス電路40の抵抗器41の熱を外部に放熱するための放熱手段50を更に備え、バイパス電路20とヒーターバイパス電路40とを接続する第五接続位置P8には、電池セル1の温度が所定温度になるまでバイパス電路20における第五接続位置P8の上流側と下流側とを接続し、電池セル1の温度が所定温度よりも高くなるとバイパス電路20における第五接続位置P8の上流側とヒーターバイパス電路40とを接続する電路切換スイッチ42が設けられているので、電路切換スイッチ42の切り換えで、ヒーター21で電池セル1を加熱する状態とヒーター21で電池セル1を加熱しない状態とに確実に切り換えることができる。また、ヒーター21による電池セル1の加熱により、電池セル1の出力性能及び充電性能を適正に発揮させることができる状態にすることができる上に、電池セル1に対する過剰な加熱を防止することができる。
【0095】
そして、上流側主電路Aには、規定電流以上の電流が流れたときに上流側主電路Aを切断する遮断器60を備えているので、異常な状態で電池セル1の充電や、バイパス電路20上のヒーター21による電池セル1の加熱を防止することができる。
【0096】
尚、本発明は、上記実施形態に限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲内において種々変更を加え得ることは勿論である。
【0097】
上記実施形態において、小型飛行機やヘリコプター等の航空機を対象に説明したが、これに限定されるものではなく、電池システムSは、冬季や極寒地で運行する車両や船舶の他、極寒地で使用される装置や機器を対象としても勿論よい。
【0098】
上記実施形態において、複数の電池セル1…を直列に配置した、いわゆる、組電池を備えた電池システムSを対象に説明したが、これに限定されるものではなく、単一の電池セル1を備えたものであってもよいし、また、複数の電池セル1を直列に接続したものを一つの電池群として、複数の電池群を並列に接続して配置したものであってもよい。
【0099】
上記実施形態において、ショートカット電路30、及びヒーターバイパス電路40を備えた保護回路2について説明したが、これに限定されるものではなく、例えば、保護回路2は、
図3に示す如く、バイパス電路20とヒーターバイパス電路40とを備えたものであってもよいし、
図4に示す如く、バイパス電路20とショートカット電路30とを備えたものであってもよい。
【0100】
また、保護回路2は、
図5に示す如く、上流側主電路Aと下流側主電路Bとを繋ぐバイパス電路20のみを備えたものであってもよい。すなわち、保護回路2は、少なくともバイパス電路20を備え、そのバイパス電路20上にヒーター21が設けられたものであればよい。但し、ヒーター21による電池セル1に対する過剰な加熱を防止したり、装置等の起動時の出力性能を確保したりするには、上記実施形態と同様にすることが好ましいことは言うまでもない。
【0101】
そして、バイパス電路20上に設けられるヒーター21は、特にタイプが限定されるものではなく、例えば、抵抗加熱によるもの(ジュール熱による加熱)、誘電加熱によるもの、マイクロ波加熱によるもの等であってもよい。すなわち、ヒーター21は、バイパス電路20を流れる電流で発熱するものであれば、種々のものを採用することができる。
【0102】
ここで電池セル1に対してヒータ21を近接又は密接して配置する態様としては、電池セル1とヒーター21との間に熱伝導物質の層が設けられている状態以外に、電池セル1とヒーター21との間に空気層が設けられている状態、又は、電池セル1とヒーター21とが直接接している状態で配置されてもよい。電池セル1とヒーター21との間に、熱伝導物質の層や空気層を設ける場合、ヒーター21の熱を効率良く電池セル1に伝えるため、前記層の厚みは5mm以下とすることが好ましい。
【0103】
上記実施形態の保護回路2において、バイパス電路20上にスイッチ手段22としてトランジスタを設けるとともに、トランジスタによるバイパス電路20の開閉を行うためにスイッチ駆動回路23を設けるようにしたが、これに限定されるものではなく、例えば、バッテリー管理ユニットUが電池セル1の電圧を認識し、バッテリー管理ユニットUが電池セル1の電圧が所定電圧よりも低いと判断したときに、そのバッテリー管理ユニットUの指示に基づき、機械的にバイパス電路20を切断する一方、バッテリー管理ユニットUが電池セル1の電圧が所定電圧よりも高いと判断したときに、そのバッテリー管理ユニットUの指示に基づき、機械的にバイパス電路20を接続するスイッチであってもよい。
【0104】
また、電流の流れを切り換えるべく、上記実施形態においてバイパス電路20上にスイッチ手段22(トランジスタ)を設けるようにしたが、これに限定されるものではなく、例えば、上流側主電路Aとバイパス電路20とを接続する第一接続位置P1、及び下流側主電路Bとバイパス電路20とを接続する第二接続位置P2の少なくとも何れか一方に電路切換スイッチを設け、上流側主電路Aの上流側からの電流が主電路(上流側主電路A又は下流側主電路B側)に流れる状態と、バイパス電路20を介して上流側主電路Aから下流側主電路Bに流れる状態とに切り換え可能に構成してもよい。この場合、電路切換スイッチの切り換えは、バッテリー管理ユニットUからの指示信号に基づいて行うようにすればよい。なお、この場合においても、バイパス電路20上にヒーター21を設け、このヒーター21を電池セル1に熱影響を与える範囲内に設置することは言うまでもない。
【0105】
上記実施形態において、最上流の電池セル1に接続された上流側主電路Aのみに遮断器60を設けたが、これに限定されるものではなく、例えば、各電池セル1の上流側主電路A(又は下流側主電路B)に遮断器60を設けてもよい。このようにしても、遮断器60で電路を遮断して電流の流れを止めることができる。
【0106】
上記実施形態において、バッテリー管理ユニットUからの指示信号で電路を遮断する遮断器60を採用したが、電路A,Bに遮断器60を設ける場合、これに限定されるものではなく、例えば、電流値、電圧値或いは電池セル1の温度が異常値である場合に自己の機能によって電路A,Bを遮断するヒューズやブレーカーを遮断器60として設けるようにしてもよいが、ノーマリクローズ仕様のコンタクタを用いることが好ましい。
【0107】
上記実施形態において、電池セル1に対する充電を行っていない状態(エンジンを始動する前の状態)において、バッテリー管理ユニットUが電池セル1の温度が所定温度よりも低いと判断したときに、バッテリー管理ユニットUからの指示信号に基づいて、ショートカット電路30を接続(導通)状態にしてバイパス電路20、電池セル1、上流側主電路A、及び下流側主電路Bを閉回路にするようにしたが、これに限定されるものではなく、例えば、ショートカット電路30を設ける代わりに、バイパス電路20上にスイッチ手段22として設けられたトランジスタを、オペレーターによる手動、或いはバッテリー管理ユニットUを介して開閉させてもよい。この場合、バッテリー管理ユニットUが、電池セル1の温度が所定温度よりも低いと判断した時に動作するようにすれば、オペレーターによる誤動作を防止できる。そして、電池セル1の温度が所定温度よりも低いと判断したときに、バイパス電路20、電池セル1、上流側主電路A、及び下流側主電路Bを閉回路になるように構成する場合、前記保護回路2は、第一接続位置P1(上流側主電路Aにおけるバイパス電路20との接続位置)の下流側、第二接続位置P2(下流側主電路Bにおけるバイパス電路20との接続位置)の上流側、又はバイパス電路20に、電池セル1の温度が所定温度より高くなると前記閉回路を開回路にするスイッチ手段を設けるようにしてもよい。
【0108】
上記実施形態では、ショートカット電路30に電路開閉スイッチ31及び手動開閉スイッチ32を設けたが、オペレーターによる外部からの信号をバッテリー管理ユニットUが受信して、その受信に基づいてバッテリー管理ユニットUが電路開閉スイッチ31のON/OFFを指示することで、ショートカット電路30のスイッチを電路開閉スイッチ31のみとすることができる。また、前記保護回路2は、第一接続位置P1(上流側主電路Aにおけるバイパス電路20との接続位置)の下流側、第二接続位置P2(下流側主電路Bにおけるバイパス電路20との接続位置)の上流側、又はバイパス電路20に、外部からの信号に基づいて前記閉回路を形成するスイッチ手段が設けられてもよい。この場合、電池セル1の温度が所定温度より高いと、バッテリー管理ユニットUが外部からの信号を受信しても、電路開閉スイッチ31(スイッチ手段)をオン状態にしないように設定することは言うまでもない。
【0109】
上記実施形態において、電気セル1の電圧が所定電圧よりも高くなるとバイパス電路20に電流を流し、電気セル1の電圧が所定電圧よりも低くなると電池セル1に電流を流すようにしたが、電池セル1の電圧が所定電圧である場合には、バイパス電路20に電流を流してもよいし、電池セル1に電流を流してもよい。すなわち、電池セル1の電圧が所定電圧である場合の電路の選択は適宜決定すればよい。
【0110】
また、上記実施形態において、電気セル1の温度が所定温度よりも高くなるとヒーターバイパス電路40に電流を流し、電気セル1の温度が所定温度よりも低くなるとヒーター21に電流を流すようにしたが、電池セル1の温度が所定温度である場合には、ヒーターバイパス電路40に電流を流してもよいし、ヒーター21に電流を流してもよい。すなわち、電池セル1の温度が所定温度である場合の電路の選択は適宜決定すればよい。
【0111】
上記実施形態において、電路開閉スイッチ31のON/OFFの切り換えをバッテリー管理ユニットUからの指示で行うようにしたが、これに限定されるものではなく、電路開閉スイッチ31のON/OFFの切り換えは、サーモスタットを用いて行うようにしてもよい。
【0112】
上記実施形態において、電池セル1としてリチウムイオン二次電池を一例に挙げたが、これに限定されるものではなく、Ni−Cd電池やその他の充放電可能な二次電池であればよい。