(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
10MPa以下の低圧でインサート成形するための樹脂組成物であって、樹脂組成物全体を100質量%としたとき、50質量%以上がポリオレフィンであり、5〜30質量%が酸変性ポリオレフィンであり、かつ結晶性共重合ポリエステルが10〜45質量%であり、かつ、190℃で荷重2160gで測定したメルトフローレイト(MFR)が100g/10分以上である電気電子部品低圧インサート成形用樹脂組成物。
前記酸変性ポリオレフィンが、酸変性ポリプロピレン、酸変性エチレン−プロピレン共重合体および酸変性エチレン−プロピレン−ブテン共重合体から選ばれる少なくとも1種以上である請求項1に記載の樹脂組成物。
前記ポリオレフィンが、ポリエチレン、エチレン鎖を主成分とするブロックポリマー、ポリプロピレンおよびプロピレン鎖を主成分とするブロックポリマーのうちから選ばれる少なくとも1種以上である請求項1または2に記載の樹脂組成物。
前記ポリオレフィン、酸変性ポリオレフィン、結晶性共重合ポリエステルがいずれも190℃で荷重2160gで測定したMFRが60g/10分以上である請求項1〜4いずれかに記載の樹脂組成物。
金型内に電気電子部品を搭載した基板を配置し、請求項1〜5のいずれかに記載の樹脂組成物を260℃以下で溶融した溶融体をスクリューを用いて10MPa以下の低圧で金型内に押し出し、電気電子部品を封止する電気電子部品封止体の製造方法。
前記スクリューが1軸スクリューであり、軸方向に前進することなく回転だけで樹脂組成物を溶融しかつ金型内に押し出す、請求項7に記載された電気電子部品封止体の製造方法。
【背景技術】
【0002】
自動車や電化製品などに広汎に使用されている電気電子部品は、その使用目的を達成する為に、意図的に外部と導通させる部分を除き、外部との電気絶縁性が必須である。例えば、電線は電気絶縁性を有する塩化ビニルや架橋ポリエチレンなどの絶縁樹脂で被覆されており、電気電子基板などもエポキシ樹脂やシリコーン樹脂などで封止されている。特に複雑な形状を有する回路基板等の電気電子部品を封止するときは、その電気電子部品の形状に確実に追随し未充填部が発生しない封止方法が求められる。その為には、被覆時の封止樹脂の粘度を下げる方法が一般的に有効である。
【0003】
たとえば予め封止樹脂を溶剤に溶解して溶液状として電気電子部品間に含浸させかつ電気電子部品を包み込み、その後溶媒を蒸発させる方法は封止樹脂組成物の粘度を下げ充填性を向上させることができる点で有効な方法の一つであるが、溶剤の蒸発時に気泡が残存したり、溶剤として有機溶剤を使用するために作業環境中への有機溶剤の揮散に対応する生産設備を要する等、問題点が多い。
【0004】
そこで、これまでは封止後の耐久性も加味して、二液硬化型エポキシ樹脂が一般的に使用されてきた。これは主剤と硬化剤を封止直前に混合して、未反応の低粘度の樹脂組成物を電気電子部品間に含浸させかつ電気電子部品を包み込み、次いで数時間から数日間加熱し続けることで硬化反応を促進させ、完全に固化させるものである。しかしこの方法においては、二液の混合比率を精密に調整する必要があるため手間とコストがかかり、混合比率のぶれによる不良発生のリスクが懸念され、さらには混合後の樹脂組成物の使用可能期間が数時間と短いので余剰分は廃棄せざるを得ない。さらに、硬化に数時間から数日間といった長い養生期間を必要とするので、生産性が低く、また養生中に異物が混入して電気回路をショートさせてしまう可能性がある。また、硬化反応に際して生じるエポキシ樹脂の硬化収縮による応力が、電気電子部品と導線を接合するハンダや金属細線などの物理的強度の弱いところに応力集中して、その部分を剥離させたり、断線させたりする場合があるという問題点もある。更には液状エポキシ樹脂の環境への悪影響も懸念される。
【0005】
このような問題点を含みながら使用されてきた二液型エポキシ樹脂を代替する封止用樹脂として、ホットメルトタイプのものが提案されている。ホットメルト樹脂は加温溶融するだけで粘度が低下し電気電子部品を容易に封止できることにより溶剤含有系における作業環境上の問題点が解決される。また、封止後冷却するだけで固化して封止体が形成されるので生産性も高くなる。加えて、一般に熱可塑性の樹脂を使用するので、製品としての寿命を終えた後も加熱して樹脂を溶融除去することで、部材のリサイクルが容易に可能となる。しかし、このように封止用樹脂としての高い潜在能力を有しながら、これまで二液硬化型エポキシ樹脂を充分に代替する材料となり得ていなかったのは、それに適した素材が提案されていなかったことによる。
【0006】
例えば、樹脂単体で種々の素材への高い密着性を発現するポリアミドは、低い溶融粘度と高い樹脂強度により低圧射出成形用樹脂材料として優れてはいるが(例えば特許文献1参照)、基本的に吸湿性が高いために最も重要な特性である電気絶縁性を確保することが難しい場合が多い。
【0007】
一方、電気絶縁性・耐水性が共に高いポリエステルはこの用途に非常に有用な材料と考えられるが、ホットメルト接着剤用として開発されたポリエステル(例えば特許文献2)は一般に溶融粘度が高く、複雑な形状の部品を封止するには数十〜数百MPaもの高圧での射出成形が必要となり、封止対象である電気電子部品を破壊してしまう虞がある。また、電気電子部品のモールディング用に開発されたポリエステル(例えば特許文献3)は溶融粘度が低く低圧成形が可能となり電気電子部品を破壊することなく封止することができるが、高温高湿下では加水分解が進行し分子量が低下することにより強度が低下してしまう、という問題点があった。また、ポリエステルは、ポリオレフィン系樹脂を被覆した電線への接着力が低いので、封止体の内外をポリオレフィン系樹脂被覆電線で接続する場合には、ポリエステル系樹脂封止剤とオレフィン系樹脂被覆電線の界面から水が浸入し本来の目的である電気絶縁性を阻害するという大きな欠点があった。
【0008】
一方、ポリオレフィンを主成分とした樹脂組成物を成形材料として用いた際には、電気電子部品を搭載した基板や電線などの基材への接着強度が低くなってしまうために、粘着性付与剤等の添加が必要となる(特許文献4)が、粘着性付与剤の添加は金型からの離型性を大きく損ね、生産性を大幅に低下させてしまうきらいがある。
【0009】
以上のように従来の技術では、複雑な形状を有する電気電子部品封止用樹脂として、全ての要求性能を充分満足する素材は提案されていなかった。
【発明を実施するための形態】
【0015】
本発明の樹脂組成物は、電気電子部品の低圧インサート成形用に用いられる樹脂組成物である。一般に電気電子部品の低圧インサート成形は、金型内に電気電子部品を搭載した基板を配置し、加熱溶融して流動性を与えた封止用樹脂組成物を0.1〜10MPaの低圧で金型内に押し出すことにより行われ、電気電子部品封止体の製造に用いられる成形方法である。すなわち、従来一般的にプラスチックの成形に用いられている40MPa以上の高圧での射出成形に比べて、非常に低圧で行われるため、耐熱性及び耐圧性に制限のある電気電子部品を破壊することなく封止することができるものである。封止樹脂組成物として本発明の樹脂組成物を選択することにより、電線被覆等に用いられる架橋ポリエチレン等のポリオレフィンをはじめ、ポリエステル、ガラスエポキシ樹脂(ガラス布基材エポキシ樹脂)、金属等の電気電子部品を構成する様々な材質に対して、環境負荷に耐える密着耐久性を有する封止体を得ることができるものである。以下に、発明を実施するための形態の詳細を順次説明していく。
【0016】
本発明の樹脂組成物は、樹脂組成物全体を100質量%としたとき、50質量%以上がポリオレフィンであり、5〜30質量%が酸変性ポリオレフィンであり、かつ結晶性共重合ポリエステルが10〜45質量%であることが必須である。すくなくともこれらの3種類の化合物を配合することにより、架橋ポリエチレンやガラスエポキシ樹脂などへの良好な接着性を発現することができるとともに、封止体製造時の結晶化速度や封止樹脂組成物の結晶化度を調整することができることより、結晶化の際の応力集中を緩和させることができ、基材への接着強度を更に高めることができる。
【0017】
本発明の樹脂組成物は、190℃で荷重2160gでのMFRが60g/10分以上であることが必須である。さらには、樹脂組成物の主構成成分である、ポリオレフィンと酸変性ポリオレフィン、及び結晶性共重合ポリエステルのいずれもが60g/10分以上のMFRであることがコンパウンド性や成形後の低分子量体のブリードアウトなどの点で望ましい。樹脂組成物、及び構成樹脂各々のより好ましいMFRは80g/10分以上である。MFRが60g/10分未満では電気電子部品にダメージを与えない程度の温度では溶融粘度が高くなりすぎ、良好な成形性を確保するためには成形時に温度や圧力を上げざるを得ず、電気電子部品にダメージを与えてしまう。
【0018】
本発明に用いられるポリオレフィンとしてはポリエチレンやポリプロピレンなどの汎用ポリオレフィンや、ポリ(α−オレフィン)などを単独で用いることができるし、これらをブレンドすることもできる。更にはプロペン、ブテン、ペンテン、ヘキセン、オクテン、4−メチルペンテンなどのα−オレフィンの共重合体や、(メタ)アクリル酸エステルや(メタ)アクリル酸、グリシジルアクリレート、マレイン酸やフマール酸などの不飽和酸、酢酸ビニルなどとオレフィンとの共重合体でもよい。また、これらの共重合体とオレフィンのホモポリマーとのブレンドも有効である。
【0019】
本発明において、エチレン鎖を主成分とするブロックポリマーとはブロック状のエチレン成分を50質量%以上含むものを指し、またプロピレン鎖を主成分とするブロックポリマーとはブロック状のプロピレン成分を主成分として50質量%以上含むものを指す。ブロック状のエチレン成分もしくはプロピレン成分を主成分とすることにより結晶性を確保できるとともに耐熱性、耐薬品性を有することができる。エチレン鎖またはプロピレン鎖を主成分とするブロックポリマーには、前記したα−オレフィンや不飽和酸、酢酸ビニルなどを共重合することができるが、(メタ)アクリル酸エステルが接着性付与の観点から好ましい。
【0020】
本発明に用いられるポリオレフィンとしてはポリエチレンが望ましい。ポリエチレンを用いることにより架橋ポリエチレンとの接着強度を上げることができる。ポリエチレンとしては、高密度ポリエチレン(略称:HDPE)や低密度ポリエチレン(略称:LDPE)、直鎖状低密度ポリエチレン(略称:LLDPE)などが挙げられるが、耐熱性の観点からLLDPEもしくはHDPEが望ましい。
【0021】
本発明に用いられる酸変性ポリオレフィンの元となる被酸変性ポリオレフィンとしては、ポリエチレン、ポリプロピレン、エチレン−プロピレン共重合体、プロピレン−ブテン共重合体、エチレン−プロピレン−ブテン共重合体などが挙げられるが、ポリプロピレン、エチレン−プロピレン共重合体、エチレン−プロピレン−ブテン共重合体であることが耐熱性や他の樹脂との相溶性の点で望ましい。被酸変性ポリオレフィンがポリエチレンでは融点が低くなって樹脂組成物としての耐熱性が低下する場合がある。被酸変性ポリオレフィンとしては、(メタ)アクリル酸エステルや(メタ)アクリル酸、不飽和酸、酢酸ビニル、エチレンやα−オレフィンなどを共重合したものも使用することができる。
【0022】
本発明に用いられる酸変性ポリオレフィンは、炭素数3〜10の不飽和カルボン酸、その酸無水物およびそのエステルからなる群より選択される少なくとも1種が、グラフト重合されたものであることが好ましい。酸変性ポリオレフィン全体に対するグラフト鎖の質量は、好ましくは0.5〜10質量%グラフト重合したものである。より好ましくは、1〜6質量%グラフト重合したものである。グラフト鎖の質量分率が少なすぎるとガラスエポキシ樹脂基板などの基板に対する密着性が低下し、多すぎると吸湿性が高くなるとの問題を生じる傾向にある。
【0023】
炭素数3〜10の不飽和カルボン酸、その酸無水物およびそのエステルとしては、例えば、アクリル酸、メタクリル酸、マレイン酸、フマル酸、イタコン酸、シトラコン酸などの不飽和カルボン酸、無水マレイン酸、無水イタコン酸、無水シトラコン酸などの不飽和カルボン酸の酸無水物、アクリル酸メチル、メタクリル酸メチル、マレイン酸ジメチルなどの不飽和カルボン酸エステルが挙げられる。これらの中でもマレイン酸、イタコン酸およびこれらの酸無水物が反応性の点で好ましい。
【0024】
本発明における酸変性ポリオレフィンを製造する際のグラフト重合は、公知の方法で実施することができ、特にその方法は限定されない。例えば、前記ポリオレフィンと前記不飽和カルボン酸成分との溶融混合物に、または、前記ポリオレフィンと前記不飽和カルボン酸成分にトルエン、キシレンなどの溶媒を用いた混合物溶液に、有機過酸化物を添加して行うことができる。グラフト重合を行う際には、空気および酸素の混入を避けるのが好ましく、窒素ガスなどの不活性ガス雰囲気下で行うのが好ましい。前記有機過酸化物の例としては、アセチルシクロヘキシルスルホニルペルオキシド、ベンゾイルペルオキシド、ジクロロベンゾイルペルオキシド、ジクミルペルオキシド、ジ−tert−ブチルペルオキシド、ラウロイルペルオキシドなどが挙げられる。
【0025】
本発明の樹脂組成物に用いられる結晶性共重合ポリエステルは分子内にエーテル結合を有し、ガラス転移温度が0℃以下であることが好ましい。エーテル結合を分子内に有することにより樹脂の溶融粘度を低下させることができるとともにガラス転移温度を下げることができる。ガラス転移温度は冷熱サイクル特性に大きく寄与するため、より好ましくは−20℃以下である。なお、本発明における結晶性共重合ポリエステルとは、セイコー電子工業株式会社製の示差走査熱量分析計「DSC220型」にて、測定試料5mgをアルミニウム製パンに入れ、蓋を押さえて密封し、一度220℃で5分ホールドして試料を完全に溶融させた後、液体窒素で急冷して、その後−150℃から250℃まで20℃/minの昇温速度で測定したときに、融点を示すものを指す。
【0026】
本発明に用いられる結晶性共重合ポリエステルは、例えば、二塩基酸もしくはその無水物やアルキルエステルなどの酸成分とグリコール成分を脱水縮合もしくは脱アルコール縮合することにより得られる。
【0027】
前記二塩基酸化合物としては、テレフタル酸、イソフタル酸、オルソフタル酸、1,2−ナフタレンジカルボン酸、1,6−ナフタレンジカルボン酸等の芳香族系二塩基酸、或いはコハク酸、アジピン酸、アゼライン酸、セバシン酸、ドデカン酸、ダイマー酸、水添ダイマー酸、ドデセニル無水琥珀酸、フマル酸、琥珀酸、ドデカン二酸、1,2−シクロヘキサンジカルボン酸、1,4−シクロヘキサンジカルボン酸、4−メチル−1,2−シクロヘキサンジカルボン酸、ヘキサヒドロ無水フタル酸、テトラヒドロ無水フタル酸等、マレイン酸、無水マレイン酸、イタコン酸、シトラコン酸等の脂肪族や脂環族ジカルボン酸が挙げられる。
【0028】
また、前記グリコール成分としてはエチレングリコール、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、1,2−プロピレングリコール、1,3−プロピレングリコール、1,2−ブチレングリコール、1,3−ブチレングリコール、2,3−ブチレングリコール、1,4−ブチレングリコール、2−メチル−1,3−プロピレングリコール、ネオペンチルグリコール、1,6−ヘキサメチレングリコール、3−メチル−1,5−ペンタンジオール、2,2,4−トリメチル−1,3−ペンタンジオール、2,4−ジエチル−1,5−ペンタンジオール、2−エチル−1,3−ヘキサンジオール、2,2−ジメチル−3−ヒドロキシプロピル−2’,2’−ジメチル−3’−ヒドロキシプロパネート、2−(n−ブチル)−2−エチル−1,3−プロパンジオール、3−エチル−1,5−ペンタンジオール、3−プロピル−1,5−ペンタンジオール、2,2−ジエチル−1,3−プロパンジオール、3−オクチル−1,5−ペンタンジオール等の脂肪族系ジオール類や1,3−ビス(ヒドロキシメチル)シクロヘキサン、1,4−ビス(ヒドロキシメチル)シクロヘキサン、1,4−ビス(ヒドロキシエチル)シクロヘキサン、1,4−ビス(ヒドロキシプロピル)シクロヘキサン、1,4−ビス(ヒドロキシメトキシ)シクロヘキサン、1,4−ビス(ヒドロキシエトキシ)シクロヘキサン、2,2−ビス(4−ヒドロキシメトキシシクロヘキシル)プロパン、2,2−ビス(4−ヒドロキシエトキシシクロヘキシル)プロパン、ビス(4−ヒドロキシシクロヘキシル)メタン、2,2−ビス(4−ヒドロキシシクロヘキシル)プロパン、3(4),8(9)−トリシクロ[5.2.1.0
2,6]デカンジメタノール等の脂環族系グリコール類、或いはビスフェノールAのエチレンオキサイド付加物やプロピレンオキサイド付加物等の芳香族系グリコール類、あるいはポリエチレングリコールやポリプロピレングリコール、ポリトリメチレングリコール、ポリテトラメチレングリコールなどが挙げられる。このうち、結晶性を発現させやすいことよりエチレングリコールや1,4−ブチレングリコール、1,6−ヘキサメチレングリコールなどを結晶性共重合ポリエステルの全グリコール成分のうち50モル%以上用いることが好ましい。
【0029】
更に本発明に用いられる結晶性共重合ポリエステルには、前記二塩基酸成分の一部を3官能以上のカルボン酸に置換し、もしくは前記グリコール成分の一部を3官能以上のポリオールに置換し、共重合することもできる。これら3官能以上の化合物としては、トリメリット酸、ピロメリット酸、ベンゾフェノンテトラカルボン酸、ビフェニルテトラカルボン酸、エチレングリコールビス(アンヒドロトリメリテート)、グリセロールトリス(アンヒドロトリメリテート)等の多価カルボン酸等やトリメチロールプロパン、ペンタエリスリトール、グリセリン、ポリグリセリンなどの3官能以上のグリコールが挙げられる。3官能化合物の共重合量は結晶性や反応性の観点から全成分中0〜5モル%が望ましい。
【0030】
更に本発明に用いられる結晶性共重合ポリエステルには、グリコール酸やラクトン類、ラクチド類、(ポリ)カーボネート類の共重合や後付加、あるいは酸無水物の後付加、グリコール酸の共重合もできる。
【0031】
本発明に用いられる結晶性共重合ポリエステルはエーテル結合を有する化合物を共重合することが望ましい。エーテル結合を有する化合物としては、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、ポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコール、ポリトリメチレングリコール、ポリテトラメチレングリコールなどが挙げられるが、結晶性を高める観点からポリテトラメチレングリコールが望ましい。
【0032】
また、本発明の樹脂組成物には酸化防止剤を加えることが好ましい。好ましい酸化防止剤としては、ヒンダードフェノール系酸化防止剤、リン系酸化防止剤、硫黄系酸化防止剤、アミン系酸化防止剤を挙げることができるが、これらの1種または2種以上を併用することができる。特にヒンダードフェノール系酸化防止剤と他の酸化防止剤の併用が有効である。また、熱老化防止剤、銅害防止剤、帯電防止剤、耐光安定剤、紫外線吸収剤などの安定剤を添加することが望ましい。特に燐原子を分子内に含むフェノール系酸化防止剤を用いることが効率的なラジカル捕獲ができる点で望ましい。更には、結晶核剤や難燃剤等を添加することもできる。
【0033】
ヒンダードフェノール系酸化防止剤や安定剤としては、1,3,5−トリス(3,5−ジ−tert−ブチル−4−ヒドロキシベンジル)イソシアヌレート、1,1,3−トリ(4−ヒドロキシ−2−メチル−5−t−ブチルフェニル)ブタン、1,1−ビス(3−t−ブチル−6−メチル−4−ヒドロキシフェニル)ブタン、3,5−ビス(1,1−ジメチルエチル)−4−ヒドロキシ−ベンゼンプロパノイック酸、ペンタエリスリトールテトラキス[3−(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート]、3−(1,1−ジメチルエチル)−4−ヒドロキシ−5−メチル−ベンゼンプロパノイック酸、3,9−ビス[1,1−ジメチル−2−[(3−t−ブチル−4−ヒドロキシ−5−メチルフェニル)プロピオニロキシ]エチル]−2,4,8,10−テトラオキサスピロ[5.5]ウンデカン、1,3,5−トリメチル−2,4,6−トリス(3’,5’−ジ−t−ブチル−4’−ヒドロキシベンジル)ベンゼン、チオジエチレンビス[3−(3,5−ジ−tert−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート]、オクタデシル−3−(3,5−ジ−tert−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート、N,N’−ヘキサン−1,6−ジイルビス[3−(3,5−ジ−tert−ブチル−4−ヒドロキシフェニルプロピオンアミド)、3,3’,3”,5,5’5”−ヘキサ−tert−ブチル−a,a’,a”−(メシチレン−2,4,6−トリイル)トリ−p−クレゾール、ジエチル[[3,5−ビス[1,1−ジメチルエチル]−4−ヒドロキシフェニル]メチル]ホスフェート、4,4’−ブチリデンビス(3−メチル−6−t−ブチルフェノール)、2’−3−ビス[[3−[3,5−ジ−ter−ブチル−4−ヒドロキシフェニル]プロピオニル]]プロピオノヒドラジド、3,9−ビス[2−{3−(3−tert−ブチル−4−ヒドロキシ−5−メチルフェニル)プロピオニルオキシ}−1,1−ジメチルエチル]−2,4−8,10−テトラオキサスピロ[5.5]ウンデカンなどが挙げられる。
【0034】
リン系酸化防止剤や安定剤としては、3,9−ビス(p−ノニルフェノキシ)−2,4,8,10−テトラオキサ−3,9−ジフォスファスピロ[5.5]ウンデカン、3,9−ビス(オクタデシロキシ)−2,4,8,10−テトラオキサ−3,9−ジフォスファスピロ[5.5]ウンデカン、トリ(モノノニルフェニル)フォスファイト、トリフェノキシフォスフィン、イソデシルフォスファイト、イソデシルフェニルフォスファイト、ジフェニル2−エチルヘキシルフォスファイト、ジノニルフェニルビス(ノニルフェニル)エステルフォスフォラス酸、1,1,3−トリス(2−メチル−4−ジトリデシルフォスファイト−5−t−ブチルフェニル)ブタン、トリス(2,4−ジ−tert−ブチルフェニル)フォスファイト、ペンタエリスリトールビス(2,4−ジ−tert−ブチルフェニルフォスファイト)、2,2’−メチレンビス(4,6−ジ−tert−ブチルフェニル)2−エチルヘキシルフォスファイト、ビス(2,6−ジ−tert−ブチル−4−メチルフェニル)ペンタエリスリトールジフォスファイト、ビス[2,4−ビス[1,1−ジメチルエチル]−6−メチルフェニル]エチルエステル亜燐酸、6−[3−(3−tert−ブチル−4−ヒドロキシ−5−メチル)プロポキシ]−2,4,8,10−テトラ−tert−ブチルジベンズ[d,f][1,3,2]−ジオキサホスフェピン、テトラキス(2,4−ジ−tert−ブチルフェニル)[1,1−ビフェニル]−4,4’−ジイルビスホスフォナイト、ビス(2,4−ジ−tert−ブチルフェニル)ペンタエリスリトールジフォスファイトなどが上げられる。
【0035】
硫黄系酸化防止剤や安定剤としては、4,4’−チオビス[2−tert−ブチル−5−メチルフェノール]ビス[3−(ドデシルチオ)プロピオネート]、チオビス[2−(1,1−ジメチルエチル)−5−メチル−4,1−フェニレン]ビス[3−(テトラデシルチオ)−プロピオネート]、ペンタエリスリトールテトラキス(3−n−ドデシルチオプロピオネート)、ビス(トリデシル)チオジプロピオネート、ジドデシル−3,3’−チオジプロピオネート、ジオクタデシル−3,3’−チオジプロピオネート、4,6−ビス(オクチルチオメチル)−o−クレゾール、4,4−チオビス(3−メチル−6−tert−ブチルフェノール)などが挙げられる。
アミン系酸化防止剤や安定剤としては、4,4’−ビス(α,α−ジメチルベンジル)ジフェニルアミンや2’,3−ビス[[3−[3,5−ジ−tert−ブチル−4−ヒドロキシフェニル]プロピオニル]]プロピオノヒドラジド、N,N’−ジ−2ナフチル−p−フェニレンジアミン、N−フェニル−N’−4,4’−チオビス(2−t−ブチル−5−メチルフェノール)、2,2−ビス[3−(ドデシルチオ)プロパノイルオキシメチル]−1,3−プロパンジオールビス[3−(ドデシルチオ)プロピオナート]などが挙げられる。
【0036】
酸化防止剤の添加量は樹脂組成物全体に対して0.1質量%以上5質量%以下が好ましい。0.1質量%未満だと熱劣化防止効果に乏しくなることがある。5質量%を超えると、密着性等に悪影響を与える場合がある。
【0037】
本発明の封止用樹脂組成物には、密着性、柔軟性、耐久性等を改良する目的で結晶性共重合ポリエステル以外のポリエステルやエポキシ樹脂、ポリアミド樹脂、ポリオレフィン樹脂、ポリカーボネート樹脂、アクリル樹脂、エチレンビニルアセテート樹脂、フェノール樹脂等の他の樹脂を配合することもできる。配合量としては樹脂組成物全体の40質量%未満が望ましい。また、イソシアネート化合物、メラミン等の硬化剤、タルクや雲母等の充填材、カーボンブラック、酸化チタン等の顔料、三酸化アンチモン、臭素化ポリスチレン等の難燃剤を配合しても全く差し支えない。
【0038】
本発明の電気電子部品封止体は、金型内に電気電子部品を搭載した基板を配置し、本発明の樹脂組成物の溶融体を金型内に押し出すことで製造することができる。より具体的には、たとえば、スクリュータイプのホットメルト成形加工用アプリケーターを用いた場合は、130〜260℃で樹脂組成物を加熱溶融し、樹脂組成物の溶融体をノズルを通じて金型へ押し出し注入し、その後所定の冷却時間をおいて組成物の溶融体を固化させ、ついで成形物を金型から取り外して電気電子部品封止体を得ることが出来る。
【0039】
ホットメルト成形加工用アプリケーター装置としては特に限定されないが、例えばスクリュータイプとしてはNordson社製ST2や株式会社井元製作所製半自動ホットメルト一軸押出成形機EMC−18F9等が挙げられる。また、一般的に使用されている射出成形機も使用できるが、封止される電気電子部品に損傷を与えないよう、射出圧力を低く抑えるよう注意する必要がある。
【0040】
本発明の樹脂組成物を用いて電気電子部品をインサート成形する際には、樹脂組成物を加熱したスクリューを用いて260℃以下に溶融し、10MPa以下の低圧で成形することが電子部品にダメージを与えにくい点で望ましい。
【実施例】
【0041】
<<樹脂、樹脂組成物及び成形体の評価方法>>
【0042】
<MFR(メルトフローレイト)の測定>
株式会社東洋精機製作所製のメルトインデクサーを用い、JIS K 7210に準拠し、190℃で2160g荷重で樹脂組成物を押し出したときの吐出質量を10分あたりの量に換算した。
【0043】
<融点、ガラス転移温度の測定>
セイコー電子工業株式会社製の示差走査熱量分析計「DSC220型」にて、測定試料5mgをアルミニウム製パンに入れ、蓋を押さえて密封し、一度220℃で5分ホールドして試料を完全に溶融させた後、液体窒素で急冷して、その後−150℃から250℃まで、20℃/minの昇温速度で測定した。得られた曲線の変曲点の温度をガラス転移温度、吸熱ピーク温度を融点とした。
【0044】
<成形性評価>
住電日立ケーブル(株)製架橋ポリエチレン被覆電線「600V CV」のポリ塩化ビニル製シースを剥がし、架橋ポリエチレン被覆部(6.3mmφ)を露出させたものを70mmの長さにカットし、さらに端部から20mm、架橋ポリエチレン被覆を剥離し銅線を露出させた。この電線のもう一方の端部の架橋ポリエチレン被覆部分に、成形後の直径が10mm、電線と成形樹脂との接触長さが20mm、成形樹脂のみの長さが30mmの円筒状になるように、樹脂組成物を成形し、封止体サンプルを得た。封止体サンプルの模式図を
図1に示す。上記樹脂組成物の成形は、株式会社井元製作所製半自動ホットメルト一軸押出成形機 EMC−18F9を用い、240℃、成形圧力3MPa、保圧3MPa、保圧時間20秒で行った。
評価基準 ○:完全に充填され、ヒケ無し。
△:ショートショット無く充填されるが、ヒケ有り。
×:ショートショット有り。
【0045】
<樹脂組成物の引っ張り強伸度評価>
株式会社井元製作所製半自動ホットメルト一軸押出成形機 EMC−18F9を用い、125mm×125mm×2mmの平板作製用金型を用い、240℃、成形圧力3MPa、保圧3MPa、保圧時間20秒で樹脂組成物の平板を成形した。得られた平板サンプルをJIS3号ダンベルに打ち抜き、23℃、60%Rhの環境下で株式会社島津製作所製引っ張り試験機 オートグラフAG−ISを用いて引っ張り速度50mm/分で引っ張り強伸度を測定した。
【0046】
<接着強度評価>
接着強度(1)、対架橋ポリエチレン被覆電線
上記成形性評価に用いた封止体サンプルのA部とB部(
図1参照)を把持し、株式会社島津製作所製引っ張り試験機 オートグラフAG−ISを用いて上下に引っ張ることにより、架橋ポリエチレンと封止樹脂組成物間の接着強度(単位:N)を評価した。23℃、60%RHの環境下で引っ張り速度50mm/分で測定した。
接着強度(2)、対ガラスエポキシ樹脂銅張積層板
ニッカン工業製ガラスエポキシ樹脂銅張積層板(L−6504C1 1.6mm厚)を25mm幅にカットし、ガラスエポキシ樹脂面同士が2.8mmの隙間をあけて相対するように2枚のエポキシ樹脂銅張積層板を金型にセットし、この隙間に接触長さが10mmになるように樹脂組成物を押出成形し、剪断接着強度測定用サンプルを成形した。剪断接着強度測定用サンプルの模式図を
図2に示した。樹脂組成物の押出成形は、株式会社井元製作所製半自動ホットメルト一軸押出成形機 EMC−18F9を用い、240℃、成形圧力3MPa、保圧3MPa、保圧時間20秒で行った。得られたサンプルを株式会社島津製作所製引っ張り試験機 オートグラフAG−ISを用いて23℃、60%Rhの環境下で引っ張り速度50mm/分で測定した。接着強度(2)の単位はMPaを用いた。
【0047】
<防水性評価>
水道水を入れたガラス製ビーカー内に成形性評価に用いた封止体サンプルと同様にして作製した封止体と、直径1mmのステンレス鋼からなる対極を
図3に示すように10cm離して配置して30分間浸漬し、次いで両電極間の直流抵抗値を測定した。
評価基準 ○:抵抗値が100MΩ以上
×:抵抗値が100MΩ未満
【0048】
<冷熱サイクル試験>
成形性評価に用いた封止体サンプルと同様にサンプルを作製し、−40℃で30分、次いで80℃で30分の環境下におくことを1サイクルとする1000サイクルの環境負荷試験を行った後、接着強度と防水性を評価した。
接着強度評価基準 ◎:接着強度保持率80%以上
○:接着強度保持率80%未満70%以上
△:接着強度保持率70%未満50%以上
×:接着強度保持率50%未満
防水性評価基準 ○:抵抗値が100MΩ以上
×:抵抗値が100MΩ未満
【0049】
<高湿高温試験>
成形性評価用に用いた封止体サンプルと同様にサンプルを作製し、85℃、相対湿度85%で1000時間の環境負荷試験を行った後、接着強度と防水性を評価した。
接着強度評価基準 ◎:接着強度保持率80%以上
○:接着強度保持率80%未満70%以上
△:接着強度保持率70%未満50%以上
×:接着強度保持率50%未満
防水性評価基準 ○:抵抗値が100MΩ以上
×:抵抗値が100MΩ未満
【0050】
<<実施例>>
本発明をさらに詳細に説明するために以下に実施例、比較例を挙げるが、本発明は実施例によってなんら限定されるものではない。
【0051】
酸変性ポリオレフィン樹脂(a)の製造例
結晶性ポリプロピレン100g、無水マレイン酸15g、ジクミルペルオキシド2gおよびトルエン150gを、撹拌機を取り付けたオートクレーブ中に投入し、密閉後に窒素置換を5分間行った後、加熱撹拌しながら140℃で5時間反応を行った。反応終了後に、反応液を大量のメチルエチルケトンに投入し、樹脂を析出させた。析出した樹脂を取り出し、さらにメチルエチルケトンで数回洗浄した後に乾燥し、酸変性ポリオレフィン(MFR=950g/10分、酸付加量3.1質量%)を得た。
【0052】
酸変性ポリオレフィン樹脂(b)、(c)の製造例
上記酸変性ポリオレフィン樹脂(a)と同様にして、被変性ポリオレフィンの組成を変えることにより酸変性ポリオレフィン樹脂(b)、(c)を得た。各酸変性ポリオレフィン樹脂の組成および特性を表1に示す。
【0053】
【表1】
ポリオレフィン樹脂1:結晶性プロピレン樹脂(質量平均分子量40,000)
ポリオレフィン樹脂2:プロピレン−エチレン−ブテン(=70/10/20(モル比))共重合体(質量平均分子量50,000)
ポリオレフィン樹脂3:プロピレン−エチレン(=70/30(モル比))共重合体(質量平均分子量80,000)
【0054】
結晶性共重合ポリエステル(A)の製造例
撹拌機、温度計、溜出用冷却器を装備した反応缶内にテレフタル酸166質量部、1,4−ブタンジオール180質量部、テトラブチルチタネート0.25質量部を加え、170〜220℃で2時間エステル化反応を行った。エステル化反応終了後、数平均分子量1000のポリテトラメチレングリコール「PTMG1000」(三菱化学社製)を300質量部とヒンダードフェノール系酸化防止剤「IRGANOX(登録商標)1330」(BASFジャパン株式会社製)を0.5質量部投入し、255℃まで昇温する一方、系内をゆっくり減圧にしていき、60分かけて255℃で665Paとした。そしてさらに133Pa以下で30分間重縮合反応を行い、ポリエステル樹脂(A)を得た。このポリエステル樹脂(A)の融点は160℃であった。
【0055】
結晶性共重合ポリエステル(B)、(C)の製造例
上記結晶性共重合ポリエステル(A)同様にして、酸成分やグリコール成分を変化させることにより、結晶性共重合ポリエステル樹脂(B)、(C)を得た。各樹脂の特性を表2に示す。
【0056】
【表2】
TPA:テレフタル酸
IPA:イソフタル酸
NDCA:ナフタレンジカルボン酸
BD:1,4−ブタンジオール
DEG:ジエチレングリコール
PTMG1000:ポリテトラメチレングリコール(数平均分子量1000)
PTMG2000:ポリテトラメチレングリコール(数平均分子量2000)
【0057】
電気電子部品封止用樹脂組成物の製造例1
ポリオレフィン樹脂として、住友化学株式会社製LLDPE スミカセン(登録商標)L CL5035(MFR=100g/10分)を60質量部、酸変性ポリオレフィン樹脂として、上記酸変性ポリオレフィン樹脂(a)を10質量部、結晶性共重合ポリエステル樹脂として上記結晶性共重合ポリエステル樹脂(A)30質量部、酸化防止剤としてBASFジャパン株式会社製IRGANOX(登録商標)1010を0.1質量部、住友化学株式会社製Sumilizer(登録商標)GPを0.1質量部、Sumilizer GA−80を0.1質量部、Sumilizer TP−Dを0.2質量部、金属不活性化剤としてBASFジャパン株式会社製IRGANOX MD1024を0.2質量部、着色剤として大日精化工業株式会社製カーボンブラック着色剤 PP−RM MK1510を0.5質量部、結晶核剤として林化成株式会社製タルク ミクロンホワイト 5000Sを1.0質量部加え、2軸押出機を用いて180℃で溶融混練りすることにより、樹脂組成物1を得た。
【0058】
樹脂組成物2〜11の製造例
表3の組み合わせに従い、樹脂組成物1の製造例と同様にして樹脂組成物2〜11を得た。
【0059】
【表3】
ポリオレフィン
O1:スミカセンL CL5035(住友化学株式会社製LLDPE MFR=100g/10分)
O2:エボリューH SP50800P(プライムポリマー製HDPE MFR=135g/10分)
O3:スミカセン G801(住友化学株式会社製LDPE MFR=20g/10分)
安定剤等
I−1010:IRGANOX 1010(BASFジャパン株式会社製)
S−GP :Sumilizer GP(住友化学株式会社製)
S−GA80:Sumilizer GA−80(住友化学株式会社製)
S−TPD :Sumilizer TP−D(住友化学株式会社製)
I−MD1024:IRGANOX MD1024(BASFジャパン株式会社製)
着色剤
MK1510:PP−RM MK1510(大日精化工業株式会社製カーボンブラックマスターバッチ)
結晶核剤
MW5000S:ミクロンホワイト 5000S(林化成株式会社製タルク)
【0060】
実施例1
封止用樹脂組成物として樹脂組成物1を用い、前述の方法に従って成形性を評価した。また、前述の方法に従って、初期、冷熱サイクル試験後および高温高湿試験後の接着強度(1)、接着強度(2)および防水性を評価した。成形性評価試験においてショートショット、ひけともになく、成形性は良好であった。その他の評価結果も良好であった。その他の評価結果を表4に示した。
【0061】
実施例2〜7及び比較例1〜4
封止用樹脂組成物として樹脂組成物2〜11を用い、実施例1と同様にして成形性、初期、冷熱サイクル試験後および高温高湿試験後の接着強度(1)、接着強度(2)および防水性を評価した結果を表4に示す。
【0062】
【表4】
接着強度(1):架橋ポリエチレン被覆電線と封止樹脂組成物との接着強度
接着強度(2):ガラスエポキシ樹脂銅張積層板のガラスエポキシ樹脂面と封止樹脂組成物との接着強度
【0063】
実施例1〜7は特許請求の範囲を満たし、成形性、接着強度、防水性、および冷熱サイクル試験後や高温高湿試験後の接着強度、防水性のいずれも良好である。これに対し、比較例1、3は酸変性ポリオレフィンを含まないためにガラスエポキシ樹脂への接着性が低くなっている。比較例2は結晶性共重合ポリエステルを含まないためにガラスエポキシ樹脂への接着性が低くなっている。比較例4はMFRが小さく請求項1の範囲外であるため良好な成形性が得られなかった。