特許第5853781号(P5853781)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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特許5853781X線検査装置、X線検査のための撮像方法
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】5853781
(24)【登録日】2015年12月18日
(45)【発行日】2016年2月9日
(54)【発明の名称】X線検査装置、X線検査のための撮像方法
(51)【国際特許分類】
   G01N 23/04 20060101AFI20160120BHJP
   G01N 23/083 20060101ALI20160120BHJP
   G01N 23/18 20060101ALI20160120BHJP
【FI】
   G01N23/04 320
   G01N23/083
   G01N23/18
【請求項の数】9
【全頁数】14
(21)【出願番号】特願2012-58405(P2012-58405)
(22)【出願日】2012年3月15日
(65)【公開番号】特開2013-190380(P2013-190380A)
(43)【公開日】2013年9月26日
【審査請求日】2014年9月5日
(73)【特許権者】
【識別番号】000002945
【氏名又は名称】オムロン株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100085006
【弁理士】
【氏名又は名称】世良 和信
(74)【代理人】
【識別番号】100106622
【弁理士】
【氏名又は名称】和久田 純一
(74)【代理人】
【識別番号】100125357
【弁理士】
【氏名又は名称】中村 剛
(72)【発明者】
【氏名】村上 清
(72)【発明者】
【氏名】太田 佳秀
(72)【発明者】
【氏名】杉田 信治
(72)【発明者】
【氏名】益田 真之
【審査官】 藤田 都志行
(56)【参考文献】
【文献】 特開2007−093343(JP,A)
【文献】 米国特許出願公開第2003/0039332(US,A1)
【文献】 特開2010−002221(JP,A)
【文献】 特開2009−281764(JP,A)
【文献】 特開2006−162335(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G01N 23/04
G01N 23/083
G01N 23/18
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
X線撮像装置を有し、該X線撮像装置による検査対象物の撮像に基づいて該検査対象物の検査を行うX線検査装置であって、
複数の検査対象物を搬送可能な搬送トレイであって、該複数の検査対象物をそれぞれ収容する凹部が複数形成されている搬送トレイと、
前記X線撮像装置による撮像が行われる前に、前記搬送トレイの前記複数の凹部のそれぞれに前記検査対象物が収容された状態で、該複数の検査対象物のそれぞれに対して外部から固定力を付与し該検査対象物を該凹部内に固定する対象物固定手段と、
前記対象物固定手段によって前記複数の検査対象物がそれぞれ固定された状態で、前記X線撮像装置と前記搬送トレイのうち少なくとも一方を移動させて、該X線撮像装置による複数回の、該複数の検査対象物の撮像を行う撮像実行手段と、
を備え、
前記対象物固定手段は、
前記複数の凹部を覆う面積を有する板状のベース部材と、
前記ベース部材の前記複数の凹部の側の面に取り付けられた弾性部材と、を有し、
前記対象物固定手段は、前記弾性部材が前記複数の凹部のそれぞれに収容されている前記検査対象物に接触するように、前記ベース部材を介して押圧力を付与する、
ことを特徴とするX線検査装置。
【請求項2】
前記撮像実行手段は、前記対象物固定手段によって前記複数の検査対象物がそれぞれ固定された状態で、前記X線撮像装置と前記搬送トレイのうち少なくとも一方を移動し、該複数の検査対象物に対する該X線撮像装置の相対位置もしくは相対姿勢を異ならせた複数回の前記撮像を行い、又は、該複数の検査対象物に対して該X線撮像装置を相対的に走査させながら複数回の前記撮像を行う、
請求項1に記載のX線検査装置。
【請求項3】
前記弾性部材は、前記複数の凹部を覆う面積を有するシート部材で形成され、
前記複数の凹部のそれぞれに、該凹部につながる一又は複数の切欠き部であって、前記対象固定手段によって押圧力の付与が行われる際に、前記シート部材の一部が入り込むことが可能なように形成された切欠き部が設けられている、
請求項1または請求項2に記載のX線検査装置。
【請求項4】
前記弾性部材は、前記複数の凹部のそれぞれに対応する大きさで画定される複数の突起部を有し、
前記対象固定手段によって押圧力の付与が行われる際に、前記弾性部材の前記複数の突起部のそれぞれが、前記搬送トレイの前記複数の凹部のそれぞれに入り込むように構成される、
請求項1または請求項2に記載のX線検査装置。
【請求項5】
前記搬送トレイ、および前記X線撮像装置のX線照射領域に含まれ得る、前記対象物固定手段の少なくとも一部の構成は、X線を透過可能な部材で形成される、
請求項1から請求項の何れか1項に記載のX線検査装置。
【請求項6】
X線撮像装置による検査対象物の撮像に基づいた該検査対象物のX線検査のための撮像方法であって、
複数の検査対象物が、該複数の検査対象物をそれぞれ収容する複数の凹部が形成されている搬送トレイによって、前記X線撮像装置による撮像のための搬送が行われ、
前記X線検査のための撮像方法は、
前記X線撮像装置による撮像が行われる前に、前記搬送トレイの前記複数の凹部のそれぞれに前記検査対象物が収容された状態で、対象物固定手段によって該複数の検査対象物のそれぞれに対して外部から固定力を付与し該検査対象物を該凹部内に固定する対象物固定ステップと、
前記対象物固定手段によって前記複数の検査対象物がそれぞれ固定された状態で、前記X線撮像装置と前記搬送トレイのうち少なくとも一方を移動させて、該X線撮像装置による複数回の、該複数の検査対象物の撮像を行う撮像実行ステップと、
を含み、
前記対象物固定手段は、
前記複数の凹部を覆う面積を有する板状のベース部材と、
前記ベース部材の前記複数の凹部の側の面に取り付けられた弾性部材と、を有し、
前記対象物固定ステップでは、前記弾性部材が前記複数の凹部のそれぞれに収容されている前記検査対象物に接触するように、前記ベース部材を介して押圧力を付与する、
ことを特徴とするX線検査のための撮像方法。
【請求項7】
前記撮像実行ステップでは、前記対象物固定手段により前記複数の検査対象物がそれぞれ固定された状態で、前記X線撮像装置と前記搬送トレイのうち少なくとも一方を移動させ、該複数の検査対象物に対する該X線撮像装置の相対位置もしくは相対姿勢を異ならせた複数回の前記撮像が行われ、又は、該複数の検査対象物に対して該X線撮像装置を相対的に走査させながら複数回の前記撮像が行われる、
請求項に記載のX線検査のための撮像方法。
【請求項8】
前記弾性部材は、前記複数の凹部を覆う面積を有するシート部材で形成され、
前記複数の凹部のそれぞれは、該凹部につながる一又は複数の切欠き部を有し、
前記対象物固定手段によって押圧力の付与が行われる際に、前記シート部材の一部が前記切欠き部に入り込む、
請求項6または請求項7に記載のX線検査のための撮像方法。
【請求項9】
前記弾性部材は、前記複数の凹部のそれぞれに対応する大きさで画定される複数の突起部を有し、
前記対象物固定手段によって押圧力の付与が行われる際に、前記弾性部材の前記複数の突起部のそれぞれが、前記搬送トレイの前記複数の凹部のそれぞれに入り込む、
請求項6または請求項7に記載のX線検査のための撮像方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、X線検査装置、およびX線検査のための検査対象物の撮像方法に関する。
【背景技術】
【0002】
工場のラインで製造された製品等の検査対象物の検査のために、検査対象物に対してX線を照射し、その透過像を分析することで検査対象物の合否判定が行われることがある。さらに詳細な検査を行うために、検査対象物を複数の方向からX線撮像し、外観検査や三次元解析等を行う場合がある(例えば、特許文献1を参照。)。特許文献1に開示の技術では、X線源を固定的に配置し、検査対象物を移動させる構成において、検査対象物の移動方向に平行な面での検出と、当該平行面に垂直な軸を中心とした回転面での検出とが行われることで、X線源を移動させることなく多様なX線撮像が可能となる。
【0003】
また、X線撮像装置を用いた高倍率での撮像においては、X線源、検出器、検査対象物の相対的な距離とともに、画像輪郭を鮮明にするためにX線源のスポット化(小径化)が求められる。しかし、X線源をスポット化することで外部振動の影響を受けやすくなる。そこで、この問題点を解消するために、例えば、特許文献2に記載の技術が開示されている。当該技術では、X線源を装置の構造部材に取り付けるとともに、その構造部材に回動可能に取り付けられた弧状フレームに検出器を設けることで、外部振動の影響を可及的に軽減することができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2006−162335号公報
【特許文献2】特表2008−505340号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
従来ではX線撮像装置を利用して検査対象物の検査のための撮像を行う場合、X線撮像装置に検査対象物を一つずつ所定の撮像位置まで搬送し、そこで検査目的に応じた撮像が行われている。このように検査対象物の検査を一つずつ行う場合、単位時間あたりの検査能力を十分に高めることができず、製造効率向上に対する障害となっていた。
【0006】
一方で、複数の検査対象物を一度に検査のための所定の撮像位置までに搬送し、そこでX線撮像を行おうとすると、搬送トレイに複数の検査対象物を収容し、その状態で所定の撮像位置まで搬送、撮像を行う必要がある。このとき検査対象物の収容を容易にするために、検査対象物に対して比較的大きめの収容空間が搬送トレイに設けられた場合、撮像時の外部振動によって、その収容空間内での検査対象物の位置や姿勢がずれてしまうおそれがある。特に、複数回の撮像を行い、その撮像結果に基づいて検査対象物の検査を行おうとする場合には、その撮像中の外部振動によって生じる検査対象物の位置等のずれは、検査結果に好ましくない影響を及ぼし得る。
【0007】
本発明は、上記問題に鑑みてなされたものであり、複数の検査対象物の検査をX線撮像装置を用いて行う場合、検査に好適な撮像を行うためのX線検査装置を提供し、また、当該検査に肯定な撮像を行うための撮像方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明においては、上記課題を解決するために、搬送トレイに複数の検査対象物を収容
した状態で、検査のための撮像を行う前に、収容されている複数の検査対象物に対して外部から固定力を作用させ、それらを固定する構成を採用することとした。当該構成により、X線撮像装置によって複数回の撮像を行う場合でも、撮像時において各検査対象物の位置や姿勢がずれることを回避することができる。特に、複数回の撮像が、搬送トレイごと検査対象物を移動させることで行われる場合や、X線撮像装置を移動させることで行われる場合、その移動に起因する振動によって検査対象物がずれてしまうのを抑制できる。
【0009】
詳細には、本発明は、X線撮像装置を有し、該X線撮像装置による検査対象物の撮像に基づいて該検査対象物の検査を行うX線検査装置であって、複数の検査対象物を搬送可能な搬送トレイであって、該複数の検査対象物をそれぞれ収容する凹部が複数形成されている搬送トレイと、前記X線撮像装置による撮像が行われる前に、前記搬送トレイの前記複数の凹部のそれぞれに前記検査対象物が収容された状態で、該複数の検査対象物のそれぞれに対して外部から固定力を付与し該検査対象物を該凹部内に固定する対象物固定手段と、前記対象物固定手段によって前記複数の検査対象物がそれぞれ固定された状態で、前記X線撮像装置と前記搬送トレイのうち少なくとも一方を移動させて、該X線撮像装置による複数回の、該複数の検査対象物の撮像を行う撮像実行手段と、を備える。
【0010】
本発明に係るX線検査装置は、複数の検査対象物を収容する搬送トレイを備える。この搬送トレイにおいては、複数の検査対象物は、それぞれ対応する凹部内に収容される。この凹部は、検査対象物が収容可能な程度の大きさ、形状を有する空間であり、搬送トレイには複数形成される。そして、この複数の凹部のそれぞれに検査対象物が収容され、検査に必要なX線撮像(以下、単に「撮像」という)を行うために搬送が行われる。
【0011】
ここで、上記X線検査装置では、X線撮像装置によって複数回の撮像が行われ、その撮像結果に基づいた検査対象物の検査が行われる。そして、この複数回の撮像は、X線撮像装置と検査対物を収容した搬送トレイの少なくとも一方を移動させることで、検査対象物に対してX線撮像装置を相対的に異なった位置や姿勢にすることで、検査に必要な撮像を行えるようにする。ここで、このようにX線撮像装置と搬送トレイの相対関係を異ならせるように上記移動を行うと、その移動に起因する振動が検査対象物に伝わることで、凹部内での該検査対象物の位置や姿勢にずれが生じてしまうおそれがある。たとえそのずれが微小のものであっても、検査装置としては無視できるものではない場合もあり、このようなずれは最終的な検査結果に影響を及ぼし得る。
【0012】
そこで、上記X線検査装置では、X線撮像装置による撮像が行われる前に、対象物固定手段による検査対象物の固定が行われる。すなわち、検査対象物の位置等のずれの原因となるX線撮像装置による撮像が行われる前に、各凹部に各検査対象物が収容されている状態で、該検査対象物が該凹部内に固定されるように、対象物固定手段は、該検査対象物に固定力を外部から付与する。この固定力の付与の形態は特定のものに限られるものではなく、このように撮像のための固定を目的として作用させることができ、また、検査後に検査対象物を凹部から取り外すことが可能となるように当該固定力を解除することができる形態であれば任意の形態を採用することができる。
【0013】
そして、対象物固定手段による固定が行われている状態で、撮像実行手段によって、X線撮像装置を介した検査対象物の撮像が行われる。なお、この撮像は、本発明に係るX線検査装置の検査目的を踏まえて、X線撮像装置と搬送トレイの相対的な移動を伴って、複数回にわたって実行されるものである。しかしながら、対象物固定手段によって各凹部において、対応する検査対象物が上記固定力によって固定されているため、撮像時に上述のような相対移動が行われても、凹部内での検査対象物の位置ずれ等は生じないことになり、以て、好適な検査結果を得ることが可能となる。なお、上述の相対的な移動は、直線的、曲線的な移動のいずれでもよく、また回転移動であっても構わない。
【0014】
ここで、撮像実行手段による撮像の形態としては、本発明に係るX線検査装置の検査目的に応じて任意の撮像形態が採用できる。その撮像形態の一例として、前記撮像実行手段は、前記対象物固定手段によって前記複数の検査対象物がそれぞれ固定された状態で、前記X線撮像装置と前記搬送トレイのうち少なくとも一方を移動し、該複数の検査対象物に対する該X線撮像装置の相対位置もしくは相対姿勢を異ならせた複数回の前記撮像を行い、又は、該複数の検査対象物に対して該X線撮像装置を相対的に走査させながら複数回の前記撮像を行ってもよい。このように検査対象物に対してX線撮像装置を相対的に移動させることで、そのときに生じる振動が検査対象物に伝わるが、対象物固定手段によって付与されている固定力が存在するため、検査結果に影響を及ぼす検査対象物の位置ずれ等は発生しない。
【0015】
ここで、上述までのX線検査装置において、前記対象物固定手段は、前記複数の凹部のそれぞれに前記検査対象物が収容された状態で、該検査対象物を該凹部に押圧する押圧力を付与し、固定を行うようにしてもよい。すなわち、凹部に収容された検査対象物に対して外部から押圧することで、対象物固定手段による固定が実行される。なお、押圧力の付与以外の形態としては、凹部内でのエア等による吸引力、磁力による吸着力等を、対象物固定手段によって付与される固定力として採用することもできる。
【0016】
また、上記押圧力を付与する形態において、前記対象物固定手段は、ベース部材と、前記ベース部材に取り付けられた弾性部材と、を有する構成であってもよい。そして、前記対象物固定手段は、前記弾性部材が前記複数の凹部のそれぞれに収容されている前記検査対象物に接触するように、前記ベース部材を介して押圧力を付与する。弾性部材はベース部材を介した押圧力によって変形するため凹部内に入り込みやすく、そのため凹部内に収容されている検査対象物に接触しやすい。したがって、このようにベース部材を介して弾性部材が、凹部内に収容されている検査対象物に押し付けられることで、該検査対象物への押圧力の付与が効率的に、且つ確実に実行されることになる。
【0017】
そして、上記のX線検査装置において、前記弾性部材は、前記複数の凹部を覆う面積を有するシート部材で形成されてもよい。更に、前記複数の凹部のそれぞれに、該凹部につながる一又は複数の切欠き部であって、前記対象固定手段によって押圧力の付与が行われる際に、前記シート部材の一部が入り込むことが可能なように形成された切欠き部が設けられてもよい。凹部につながる切欠き部が設けられることで、シート部材として形成される弾性部材が、該切欠き部を経て凹部内に入り込みやすくなる。そのため、凹部の開口部を経て検査対象物の上方から押圧力を付与するだけでなく、検査対象物に対して側方から押圧力を付与することも可能となり、以てより確実な検査対象物の固定が実現できる。
【0018】
また、上記のように弾性部材がシート部材として形成される形態に代えて、弾性部材が、前記複数の凹部のそれぞれに対応する大きさで画定される複数の突起部を有する形態も採用できる。この場合、前記対象固定手段によって押圧力の付与が行われる際に、前記弾性部材の前記複数の突起部のそれぞれが、前記搬送トレイの前記複数の凹部のそれぞれに入り込むように構成される。すなわち、このような形態では、各突起部が凹部の開口部から入り込み、その内部に収容されている検査対象物に対して押圧力を付与することになる。そのため、検査対象物に対する弾性部材の接触性を高めることができ、以てその固定をより確実なものとすることができる。
【0019】
また、上述までのX線検査装置において、前記搬送トレイ、および前記X線撮像装置のX線照射領域に含まれ得る、前記対象物固定手段の少なくとも一部の構成は、X線を透過可能な部材で形成されてもよい。このようにX線検査装置を構成することで、X線撮像装置によるX線撮像を良好に行うことができる。
【0020】
また、本発明をX線撮像装置による検査対象物の撮像に基づいた該検査対象物のX線検査のための撮像方法の側面からも捉えることができる。すなわち、本発明に係るX線検査のための撮像方法において、複数の検査対象物が、該複数の検査対象物をそれぞれ収容する複数の凹部が形成されている搬送トレイによって、前記X線撮像装置による撮像のための搬送が行われ、そして、当該X線検査のための撮像方法は、前記X線撮像装置による撮像が行われる前に、前記搬送トレイの前記複数の凹部のそれぞれに前記検査対象物が収容された状態で、該複数の検査対象物のそれぞれに対して外部から固定力を付与し該検査対象物を該凹部内に固定する対象物固定ステップと、前記対象物固定ステップにおいて前記複数の検査対象物がそれぞれ固定された状態で、前記X線撮像装置と前記搬送トレイのうち少なくとも一方を移動させて、該X線撮像装置による複数回の、該複数の検査対象物の撮像を行う撮像実行ステップと、を含む。
【0021】
また、前記撮像実行ステップでは、前記対象物固定ステップにおいて前記複数の検査対象物がそれぞれ固定された状態で、前記X線撮像装置と前記搬送トレイのうち少なくとも一方を移動させ、該複数の検査対象物に対する該X線撮像装置の相対位置もしくは相対姿勢を異ならせた複数回の前記撮像が行われ、又は、該複数の検査対象物に対して該X線撮像装置を相対的に走査させながら複数回の前記撮像が行われてもよい。また、前記対象物固定ステップでは、前記複数の凹部のそれぞれに前記検査対象物が収容された状態で、該検査対象物を該凹部に押圧する押圧力の付与が行われてもよい。
【0022】
このように形成されるX線検査のための撮像方法においても、X線撮像装置と搬送トレイとの相対移動を伴うX線撮像の際には、凹部内に収容されている検査対象物がそこに固定されていることにより、安定的な撮像が実現されることになる。また、本発明に係るX線検査装置の構成についても、このような安定的な撮像を可能とする限りにおいて、X線検査のための撮像方法に適宜組み入れることが可能である。
【発明の効果】
【0023】
複数の検査対象物の検査をX線撮像装置を用いて行う場合、検査に好適な撮像を行うことが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0024】
図1】本発明に係るX線検査装置の概略構成を示す図である。
図2図1に示すX線検査装置の搬送トレイを搬送する搬送路を上方から示した図である。
図3図2におけるA−A断面図である。
図4A】検査対象物を固定するための第一の固定形態に関する第一の図である。
図4B】検査対象物を固定するための第一の固定形態に関する第二の図である。
図5図1に示すX線検査装置における検査対象物の検査の流れを示すフロー図である。
図6】検査対象物を収容する搬送トレイの、別の形態を示す図である。
図7】検査対象物を固定するための第二の固定形態に関する図である。
図8】検査対象物を固定するための第三の固定形態に関する図である。
図9】検査対象物を固定するための第四の固定形態に関する図である。
【発明を実施するための形態】
【0025】
以下に、図面を参照して本発明に係るX線検査装置について説明する。当該X線検査装置は、X線撮像を行う装置を用いて検査対象物の検査を行う装置である。以下の実施形態の構成は例示であり、本発明はこの実施の形態の構成に限定されるものではない。
【実施例1】
【0026】
図1は、本発明に係るX線検査装置の概略構成を示す図である。当該X線検査装置は、X線源1から照射されるX線をディテクタ2にて検出することで、検査対象物のX線撮像を行い、その撮像結果に基づいて検査対象物の検査を行う装置である。X線検査装置においては、X線源1は、ガイド7上に搭載され、図示しないモータの駆動力によってガイド7上をZ軸方向(図1に示すZ3軸方向)に移動する。また、X線源1からのX線を検出可能な位置にディテクタ2を位置決めするためにXYステージ3が配置されている。このXYステージ3は、Z軸方向に直行するXY平面上を移動可能である。当該XY面上のX軸方向(図1に示すX1軸方向)の移動は、ガイド4に沿って図示しないモータの駆動力によって行われ、当該XY面上のY軸方向(図1に示すY1軸方向)の移動は、ガイド5に沿って図示しないモータの駆動力によって行われる。
【0027】
更に、図1に示すように、XYステージ3に垂下するようにディテクタ2が取り付けられているが、このXYステージ3とディテクタ2との距離(図1に示すZ1軸方向の距離)は、図示しないアクチュエータによって変更可能である。このようにX線源1のZ3軸に沿った移動、およびディテクタ2のZ1軸に沿った移動により、検査対象物とX線源等の相対的な距離を変更することが可能になり、その結果、検出結果の倍率等を調整することが可能である。
【0028】
ここで、図1に示すX線検査装置では、X線源1からのX線が照射される領域(以下、単に「照射領域」という)に、検査対象物20が搬入されるための構成が設けられている。具体的には、複数の検査対象物20を収容した搬送トレイ8が、ガイド6に沿ってその照射領域に搬送される。なお、図1は、9個の検査対象物20が搬送トレイに収容された状態で、撮像のためのX線照射領域に搬送された状態を示している。このような照射領域への搬送は、Y軸方向(図1に示すY2軸方向)の搬送となる。また、図1に示すX線検査装置では、搬送トレイ8が照射領域内の任意の位置に存在できるように、Y軸方向(図1に示すY2軸方向)およびそれに直交するX軸方向(図1に示すX2軸方向)に移動可能とされる。この結果、搬送トレイ8に複数の検査対象物20を収容した状態で、X線源1に対して各検査対象物20の位置や姿勢を異ならせることができる。なお、搬送トレイ8の搬送およびX線源1に対する位置等の調整のための駆動源は、X2軸およびY2軸に沿った駆動力を供給する図示しないモータである。
【0029】
更に、搬送トレイ8における検査対象物20の収容状態について、図4Aに基づいて説明する。搬送トレイ8には、検査対象物を収容できる空間としての凹部8aが複数形成されている。この凹部8aの1つには、1つの検査対象物20が収容されるものであり、したがって、図1に示す搬送トレイ8には、9つの凹部8aが形成され、それぞれに検査対象物20が収容されている。そして、検査対象物20が凹部8aに収容された状態において、検査対象物20は凹部8aの開口部から突出する箇所がないように、該凹部の深さが設定されている。なお、各凹部8aへの検査対象物20の収容については、従来技術によるロボットのマニピュレータ等を利用してもよい。
【0030】
このように構成されるX線検査装置の各軸の駆動は、制御装置9からの指令に基づいて行われる。制御装置9は、内部にRAMやROM等のメモリを有し、X線検査のための各種のプログラムを実行可能なコンピュータとして形成される。また、図1に示されていない各種のセンサ(例えば、位置を検出するセンサ等)と制御装置9は電気的に接続され、その検出値を利用してX線検査のための処理が行われる。
【0031】
ここで、図1に示すX線検査装置では、検査対象物20とX線源1との相対位置を異ならせて、複数のX線撮像を行い、その撮像結果を踏まえて3D画像を生成する。このようにすることで、検査対象物20の詳細な検査が実現可能となる。なお、X線撮像を用いた
3D画像の形成については、従来技術であるので本明細書ではその説明は割愛する。このように複数回のX線撮像を行うために、X線検査装置では、搬送トレイ8に複数の検査対象物20を、対応する凹部8aにそれぞれ収容した状態でX2軸方向とY2軸方向に移動させ、その都度、X線源1とディテクタ2によるX線撮像を行う。しかし、このように搬送トレイ8の移動を行うと、その移動に起因した振動が搬送トレイ8内の検査対象物20に伝わり、凹部8a内で微小ながらも検査対象物20の位置や姿勢がずれるおそれがあり、X線検査に必要な3D画像を精度よく作ることが難しくなる。
【0032】
そこで、本発明に係るX線検査装置では、上記のようにX線撮像に際して、搬送トレイ8をX線源1に対して相対移動させる場合に、検査対象物20の位置ずれ等が発生しないように、凹部8a内に収容されている検査対象物20を好適に固定する構成(図1に、固定装置10として示される構成)を採用した。その固定構成について、図2、3に基づいて具体的に説明する。図2は、X線検査装置において、固定装置10が搬送トレイ8上に配置された状態を上方から見た図である。なお、説明を簡便にするために、図2においては、ディテクタ2およびXYステージ3等の構成は省略している。また、図3は、図2におけるA−A断面図である。
【0033】
これらの図に示すように、固定装置10は、非金属またはアルミニウム等のX線透過度の高い金属で形成されたフレーム11と、その下面に設けられた、スポンジやゴム等の非金属またはアルミニウム等のX線透過度の高い金属で形成され、弾性力を付与し得る弾性部材12とで構成されている。この弾性部材12は、搬送トレイ8に設けられた凹部8aを全て覆うことが可能な程度の面積を有する一枚のシート状に形成されている。そして、X線源1とディテクタ2によるX線撮像が行われる前に、固定装置10による検査対象物20の固定が行われる。その固定の具体的な状態について、図4Aおよび図4Bに基づいて説明する。
【0034】
図4Aは、固定装置10における弾性部材12の下面が、搬送トレイ8に触れていない状態(図3を参照)を示している。すなわち、図4Aは、固定装置10を搬送トレイ8の上方に配置している状態を示すものであり、この状態では、固定装置10による検査対象物20の固定はまだ行われていない。そして、固定装置10が搬送トレイ8に近接するように下降されていくと、弾性部材12の下面が先ず搬送トレイ8の表面に接触する。更に、固定装置10が下降されていくと、弾性部材12が弾性変形していき、凹部8aの中に弾性部材12の一部が入り込んでいくとともに、凹部8a内に収容されている検査対象物20に接触し、押圧力を伝えていく。そして、最終的に固定装置10の下降が完了し、その下降状態が保持されるように搬送トレイ8に対して固定装置10が固定された状態に至る。なお、この状態を図4Bに示すが、図4Bは、弾性部材12と検査対象物20との接触状態を容易に把握できるように、固定装置10を切断した状態で示している。
【0035】
図4Bに示すように、固定装置10が搬送トレイ8に対して固定された状態に至ると、弾性変形した弾性部材12が、凹部8内の検査対象物20に対して弾性による押圧力を付与している状態となる。その結果、検査対象物20は凹部8a内に固定された状態となり、上述したようにX線撮像に際して、搬送トレイ8をX線源1に対して相対的に移動させても凹部8a内で検査対象物20が位置ずれ等を起こさない。なお、固定装置10を形成するフレーム11および弾性部材12は非金属であるため、X線源1から照射されるX線はこれらを透過する。したがって、この場合、ディテクタ2で検出されるX線撮像には影響は及ばない。
【0036】
ここで、図1に示すX線検査装置における検査対象物20のX線検査のための制御について、図5に基づいて説明する。図5に示す検査制御は、搬送トレイ8に複数の検査対象物20を収容した状態で、各検査対象物20のX線撮像による3D画像を取得して、その
検査を行うための制御である。当該検査制御は、制御装置9によって実行される。
【0037】
先ず、S101では、搬送トレイ8に収容された検査対象物に対して行われるべき検査プログラムが選択される。当該検査プログラムは、制御部内のメモリに記憶されており、検査対象物20において行われるべき検査内容を考慮して、検査プログラムの選択が行われる。そして、選択された検査プログラムに応じて、X線源1およびディテクタ2を用いたX線撮像の回数や、X線源1に対する搬送トレイ8の相対的な位置等が設定されることになる。S101の処理が終了すると、S102へ進む。
【0038】
S102では、X線検査装置におけるX線の照射領域に、複数の検査対象物20を収容した搬送トレイ8が搬入される。上記の通り、当該搬入はY2軸方向に沿った搬送トレイ8の移動であり、搬送トレイ8の停止位置は赤外線センサ等を利用して適宜制御される。S102の処理が終了すると、S103へ進む。
【0039】
S103では、より正確な搬送トレイ8の位置決めが行われる。具体的には、搬送のためのガイド6の間の距離は、搬送トレイ8が円滑に搬送されるように、搬送トレイ8の幅よりも若干広く設定されている。したがって、S102での搬送トレイ8の停止処理においては、Y2軸方向の位置は比較的精度よく維持されているが、X2軸方向の位置は特段の調整がなされていない。そこで、S103ではX2軸方向の、搬送トレイ8の位置決めが精度よく調整される。例えば、X2軸方向において基準となる位置決めプレート等に搬送トレイ8を押し当てる等して、その位置決めを行う。S103の処理が終了すると、S104へ進む。
【0040】
S104では、図4A図4B等に基づいて説明したように、位置決めが行われた搬送トレイ8に対して、その上方から固定装置10を下降させることで、弾性部材12を利用した検査対象物20の、凹部8a内での固定を行う。S103で搬送トレイ8を適切に位置決めしているため、搬送トレイ10に対して固定装置10を適切な位置に下降させることが可能となる。S104の処理が終了すると、S105へ進む。
【0041】
S105では、S101で選択された検査プログラムに応じて、X線源1およびディテクタ2を用いたX線撮像の条件の読み込みが行われる。例えば、検査に必要な3D画像を得るために、X線源1に対して搬送トレイ8が取るべき相対的位置と、その撮像回数等の条件の読み込みが行われる。S105の処理が終了すると、S106〜S108の処理が繰り返し行われる。すなわち、S106では、X線源1からのX線照射による撮像が行われ、そして、次の撮影条件に応じた搬送トレイ8の位置決めを行うために、搬送トレイ8のX2軸方向およびY2軸方向の移動が行われる。なお、ディテクタ2によって撮像されたデータは、撮像が行われるごとに、制御装置9内のメモリに記憶される。そして、S108においては、X線源1からのX線照射による撮像が終わったか否かが判定され、肯定判定されればS109へ進み、否定判定されれば再びS106以降の処理が行われることになる。
【0042】
そして、S108では、一つの搬送トレイ8に収容された複数の検査対象物20に対して行われた、複数回のX線撮像結果に基づいて、当該複数の検査対象物20の検査判定が行われる。この検査判定における具体的な処理は、S101で選択された検査プログラムに応じて行われる。例えば、検査対象物20における欠損の有無等を、複数回のX線撮像結果から生成された3D画像に基づいて判定される。なお、この検査判定の結果は、X線検査装置の、図示しない表示装置や報知装置等を通して、検査者に対して通知される。S109の処理が終了すると、S110へ進み、そこでは、X線検査装置の照射領域から、検査済みの搬送トレイ8を搬出する。なお、この搬出時には、固定装置10による固定を解除するために、搬送トレイ8に対して押圧されていた固定装置10を上昇させる。
【0043】
このように行われる検査制御では、複数の検査対象物20に関する検査を一回の検査制御によって行うことができる。このとき、X線撮像を行う前に、固定装置10によって、各検査対象物20を、それぞれが収容されている凹部8aに対して固定するため、X線源1に対する搬送トレイ8の相対的移動に起因する、検査対象物20の位置ずれ等を確実に防ぐことができる。また、X線撮像時に検査対象物20とディテクタ2との間に固定装置10が存在することになるが、固定装置10は非金属で形成されるため、X線撮像結果に影響を及ぼすことはない。
【0044】
なお、固定装置10の全てを非金属の部材で形成する必要はなく、少なくとも、X線が照射される領域において、非金属部材等のX線を透過しやすい部材が使用されればよく、それ以外の領域では、X線検査装置の強度や部品の耐摩耗性を考慮して、必要な部材を使用することが可能である。また、上記実施例では、複数回の撮像を行うにあたり、X線源1に対して搬送トレイ8を移動させたが、それに代えて、搬送トレイ8を固定した状態でX線源1を移動させてもよく、また、搬送トレイ8およびX線源の両者を移動させてもよい。いずれにせよ、固定装置10による固定が行われた状態でX線撮像が行われるため、搬送トレイ8もしくはX線源1が移動することで生まれる機械的な振動により、検査対象物20が凹部8a内でずれるのを確実に回避することができる。
【0045】
<変形例>
上記の実施例においては、搬送トレイ8上には、検査対象物を収容するための凹部8aが設けられていたが、本変形例においては、図6に示すように、各凹部8aにつながるように窪んで形成され、且つその深さが凹部8aの深さよりは浅く設定されている切欠き部8bおよび8cが更に設けられている。図6は、搬送トレイ8の上方から見た図であるが、本変形例では、図6の縦方向には切欠き部8bが設けられ、横方向に切欠き部8cが設けられている。これらの切欠き部には、検査対象物20は収容されない。
【0046】
このように凹部8aより浅い切欠き部8b、8cが設けられると、図4Bのように弾性部材12が搬送トレイ8に対して押圧されたときに、弾性部材12の一部が凹部8aだけでなく、各切欠き部8b、8cにも入り込む。その結果、凹部8aに収容されている検査対象物20に対して、その側方から弾性部材12が接触するようになり、以て、検査対象物20をより安定的に凹部8a内に固定することが可能となる。また、このように切欠き部8b、8cが設けられることで、凹部8a内に収容されている検査対象物20を、そこから取り出すのも容易となる。
【実施例2】
【0047】
本発明に係るX線検査装置の第二の実施例について、図7および図8に基づいて説明する。第二の実施例においては、固定装置10を形成する弾性部材12が、搬送トレイ8側に設けられた凹部8aに対応する大きさ、および配置を有する突起部材の配列として形成される。図7には、搬送トレイ8側の凹部8aにこの突起部材としての弾性部材12が挿入され、その状態を維持するように、弾性部材12が取り付けられたフレーム11と搬送トレイ8が、断面がコ字形状の挟持部材13によって挟持され、更にこの挟持部材13が押さえアーム14によって上方から押さえられる。このように固定装置を固定することで、凹部8内で検査対象物20を確実に固定でき、固定後に、上述した検査のためのX線撮像を行うことができる。
【0048】
<変形例>
図7に示す実施例では、挟持部材13によってフレーム11と搬送トレイ8を挟持したが、固定装置10が十分に重さがあり、また突起形状の弾性部材12が凹部8a内で動かない程度に、両者の間に隙間がない場合には、図8に示すように挟持部材13および押さ
えアーム14を省略することも可能である。このような状態でも、固定装置10の自重により、突起形状の弾性部材12が凹部8a内で弾性変形し、該凹部8a内で検査対象物20が動く余地を排除することができる。
【実施例3】
【0049】
本発明に係るX線検査装置の第三の実施例について、図9に基づいて説明する。図9に示す形態では、搬送トレイ8に設けられた凹部8aの深さが、検査対象物20の高さよりも浅く設定されている。したがって、検査対象物20が凹部8a内に収容された状態で、検査対象物20の上部が、凹部8aの開口部から飛び出した状態となる。このような形態であっても、上述までの実施例と同じように、弾性部材12を押圧して、その弾性変形を利用して検査対象物20を凹部8a内に固定することができる。そして、固定後に、上述した検査のためのX線撮像を行うことができる。
【符号の説明】
【0050】
1・・・・X線源
2・・・・ディテクタ
8・・・・搬送トレイ
8a・・・・凹部
8b、8c・・・・切欠き部
10・・・・固定装置
11・・・・フレーム
12・・・・弾性部材
図1
図2
図3
図4A
図4B
図5
図6
図7
図8
図9