(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【背景技術】
【0002】
活性エネルギー線硬化性インキ組成物は一般に、極性の高いポリエステル樹脂、ポリ塩化ビニル樹脂、ポリカーボネート樹脂、ABS樹脂等に対しては密着するものが多いが、極性の低いポリエチレンやポリプロピレン等のオレフィン系樹脂は、素材自体の特徴として非常に極性が低いためインキの受理性が悪く、充分なインキの密着性・着肉性を確保することが難しかった。
【0003】
そのため、コロナ処理などをおこなって素材表面の極性を上げ、インキの濡れ性を上げることで密着性・着肉性を確保する工夫がなされているが、コロナ処理やフレーム処理を施したものでも、コロナ処理は処理直後から効果が落ち始めるため、処理度が低下したフィルムを使用したことによる印刷トラブル(密着不良)がしばしば発生することより性能面で満足いく結果が得られていないことが現状である。
【0004】
特許文献1では、合成紙へ塗工・印刷される光硬化性被服組成物並びに印刷インキにおいて、カルボン酸含有化合物エチレン性不飽和化合物およびまたはエチレン性不飽和結合を有しないカルボン酸含有芳香族化合物を含むことで硬化性と基材への密着性を付与することが有効であることを記載されている。
【0005】
また、特許文献2では活性エネルギー線硬化型インキ組成物中にモノマー可溶解性のある石油樹脂を用いて、オレフィン系の基材への密着性を付与することが有効である活性エネルギー線硬化型樹脂組成物が提供されている。
【0006】
しかしながら、これらの方法では、印刷トラブル(密着不良)の完全な解決に至っておらず、また光による瞬間硬化と基材への密着を強固に維持する事を同時に満足することが難しい。即ち、瞬間硬化性を追求してゆくに従い、被服組成物に体積収縮が発生したり、硬化皮膜の柔軟性が損なわれるために基材との密着性が著しく低下してしまう。
【0007】
また、密着性が得られても、硬化皮膜が弱く、耐水密着性が得られず、硬化皮膜強度と、密着性との両立に満足いく結果が得られていないことが現状である。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
本発明は、活性エネルギー線硬化型インキ組成物および該組成物を印刷してなる印刷物に関するものであり、オレフィン系樹脂に対し、硬化皮膜が強く、耐水密着性に優れる活性エネルギー線硬化型インキ組成物およびその印刷物を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
上記課題を解決するために誠意研究した結果、特定の(メタ)アクリレートモノマー、光開始剤および顔料に、さらに、特定のシランカップリング剤またはイソシアネート化合物を含有する活性エネルギー線硬化性インキ組成物が、オレフィン系樹脂に対し、硬化皮膜が強く、耐水密着性に優れた物性を発現することを見出し、本発明を完成するに至った。
【0011】
すなわち、本発明は、
一般式(1)および/または一般式(2)で表される(メタ)アクリレートモノマー、
光開始剤、
顔料
および
シランカップリング剤またはイソシアネート化合物
を含有することを特徴とする活性エネルギー線硬化性インキ組成物に関するものである。
一般式(1)
【化1】
一般式(2)
【化2】
【0012】
また、本発明は、シランカップリング剤が、
アミノ基を有する化合物
であり、かつ、
インキ組成物全量の0.1〜5重量%
含有されていることを特徴とする上記の活性エネルギー線硬化性インキ組成物に関するものである。
【0013】
さらに、本発明は、イソシアネート化合物が、
脂肪族系化合物
であり、かつ、
インキ組成物全量の0.1〜5重量%
含有されていることを特徴とする上記の活性エネルギー線硬化性インキ組成物に関するものである。
【0014】
また、本発明は、上記の活性エネルギー線硬化性インキ組成物を用いて印刷し、印刷されたインキを、活性エネルギー線を用いて硬化させてなることを特徴とする印刷物の製造方法に関するものである。
【0015】
また、本発明は、上記の印刷物の製造方法で得られてなる印刷物に関するものである。
【発明の効果】
【0016】
本発明により、オレフィン系樹脂に対し、硬化皮膜が強く、耐水密着性に優れる活性エネルギー線硬化型インキおよびそれを使用してなる印刷物を提供することが可能となった。
【発明を実施するための形態】
【0017】
本発明で使用する、活性エネルギー線とは、紫外線、電子線のことであるが、必ずしもこれに限定されるものではない。
【0018】
本発明で使用される活性エネルギー線硬化型インキ組成物の一例としては
特定の(メタ)アクリレートモノマー 20〜70 重量%
非反応性樹脂 0〜15 重量%
光重合開始剤 1〜15 重量%
顔料(有機顔料・無機顔料) 5〜55 重量%
特定のシランカップリング剤またはイソシアネート化合物0.1〜5.0重量%
その他添加剤 1〜10 重量%
を含有する活性エネルギー線硬化型インキが挙げられる。
また、この中でも
特定の(メタ)アクリレートモノマー 30〜60 重量%
非反応性樹脂 5〜10 重量%
光重合開始剤 5〜10 重量%
顔料(有機顔料・無機顔料) 10〜25 重量%
(白色は40〜55 重量%)
特定のシランカップリング剤またはイソシアネート化合物0.5〜3.0重量%
その他添加剤 1〜10 重量%
がよい。
【0019】
本発明において、使用される、一般式(1)または一般式(2)で表される(メタ)アクリレートモノマーは、それぞれ、ジペンタエリスリトールペンタアクリレートまたはジペンタエリスリトールヘキサアクリレートである。
【0021】
一般式(2)
【化4】
本発明においては、一般式(1)または一般式(2)で表される(メタ)アクリレートモノマーを個別に使用しても良く、適切な割合で適宜混合しても良い。
【0022】
本発明において、一般式(1)または一般式(2)以外の(メタ)アクリレートモノマーを活性エネルギー線硬化性インキ組成物に、さらに、含有させても良く、好ましくは、重量平均分子量100〜6000のものが、好ましく、
・多官能の(メタ)アクリレート類
および
・エチレン性不飽和ニ重結合を有するオリゴマー(反応性オリゴマー)
が良い。これらを適宜用いることで活性エネルギー線硬化性インキ組成物の粘度を調節することが出来る。
【0023】
なお、本発明において、特に断らない限りオリゴマーと表記する場合には、モノマーをも含んでいる。
【0024】
重量平均分子量100〜6000のエチレン性不飽和ニ重結合を有するオリゴマーは、インキ組成物を基準として、20〜70重量%の範囲で用いられる。
重量平均分子量100〜6000のエチレン性不飽和ニ重結合を有するオリゴマーの分子量とは、多官能の(メタ)アクリレート類の場合は、その構造式から計算される分子量であり、モノマーを除くエチレン性不飽和ニ重結合を有するオリゴマー(反応性オリゴマー)の場合は、重量平均分子量を示す。
エチレン性不飽和ニ重結合を有するオリゴマーの分子量としては、100〜6000が良く、200〜5000が好ましい。
【0025】
なお、本発明において、重量平均分子量は、東ソー(株)製ゲルパーミエイションクロマトグラフィ(HLC−8020。以下GPCと称す。)で測定した。検量線は標準ポリスチレンサンプルにより作成した。溶離液はテトラヒドロフランを、カラムにはTSKgel SuperHM-M(東ソー(株)製)3本を用いた。測定は流速0.6ml/分、注入量10μl、カラム温度40℃で行った。
【0026】
また、本発明において、多官能(メタ)アクリレート類としてはエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、ポリエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、プロピレングリコールジ(メタ)アクリレート、 ジプロピレングリコールジ(メタ)アクリレート、トリプロピレングリコールジ(メタ)アクリレート、ポリプロピレングリコールジ(メタ)アクリレート、ブチレングリコールジ(メタ)アクリレート、ペンチルグリコールジ(メタ)アクリレート、ネオペンチルグリコールジ(メタ)アクリレート、ヒドロキシピバリルヒドロキシピバレートジ(メタ)アクリレート(通称マンダ)、ヒドロキシピバリルヒドロキシピバレートジカプロラクトネートジ(メタ)アクリレート、1,6ヘキサンジオールジ(メタ)アクリレ、1,8−オクタンジオールジ(メタ)アクリレート、1,9−ノナンジオールジ(メタ)アクリレート、1,2−ヘキサデカンジオールジ(メタ)アクリレート、2−メチル−2,4−ペンタンジオールジ(メタ)アクリレート、ビスフェノールAテトラエチレンオキサイド付加体ジ(メタ)アクリレート、ビスフェノールFテトラエチレンオキサイド付加体ジ(メタ)アクリレート、水添加ビスフェノールAテトラエチレンオキサイド付加体ジ(メタ)アクリレート、水添加ビスフェノールFテトラエチレンオキサイド付加体ジ(メタ)アクリレート、水添加ビスフェノーAジ(メタ)アクリレート、水添加ビスフェノールFジ(メタ)アクリレート、グリセリントリ(メタ)アクリレート、トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、トリメチロールプロパントリカプロラクトネートトリ(メタ)アクリレート、トリメチロールエタントリ(メタ)アクリレート、トリメチロールヘキサントリ(メタ)アクリレート、トリメチロールオクタントリ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールトリ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールテトラ(メタ)アクリレート、ジグリセリンテトラ(メタ)アクリレート、ジトリメチロールプロパンテトラ(メタ)アクリレート、ジトリメチロールプロパンテトラカプロラクトネート、テトラ(メタ)アクリレート、ジトリメチロールエタンテトラ(メタ)アクリレート、ジトリメチロールブタンテトラ(メタ)アクリレート、ジトリメチロールヘキサンテトラ(メタ)アクリレート、ジトリメチロールオクタンテトラ(メタ)アクリレート、トリペンタエリスリトールヘキサ(メタ)アクリレート、トリペンタエリスリトールヘプタ(メタ)アクリレート、トリペンタエリスリトールオクタ(メタ)アクリレート等を用いることができる。
【0027】
本発明において使用されているモノマーを除くエチレン性不飽和ニ重結合を有するオリゴマー(反応性オリゴマー)としてはアルキッドアクリレート、エポキシアクリレート、ウレタン変性アクリレート等が使用される。
【0028】
本発明で使用されているラジカル重合開始剤としては、ベンゾフェノン、4,4−ジエチルアミノベンゾフェノン、ジエチルチオキサントン、2−メチル−1−(4−メチルチオ)フェニル−2−モルフォリノプロパン−1−オン、4−ベンゾイル−4’−メチルジフェニルサルファイド、1−クロロ−4−プロポキシチオキサントン、イソプロピルチオキサントン、2−ヒドロキシ−2−メチル−1−フェニルプロパン−1−オン、1−ヒドロキシ−シクロヘキシル−フェニルケトン、ビス−2,6−ジメトキシベンゾイル−2,4,4−トリメチルペンチルフォスフィンオキサイド、1−〔4−(2−ヒドロキシエトキシ)−フェニル〕−2−ヒドロキシ−2−メチル−1−プロパン−1−オン、2,2−ジメチル−2−ヒドロキシアセトフェノン、2,2−ジメトキシ−2−フェニルアセトフェノン、2,4,6−トリメチルベンジル−ジフェニルフォスフィンオキサイド、2−ベンジル−2−ジメチルアミノ−1−(モルフォリノフェニル)−ブタン−1−オン等が挙げられる。光重合開始剤と併用して、p−ジメチルアミノ安息香酸エチルエステル、ペンチル4−ジメチルアミノベンゾエート等の光促進剤を使用してもよい。
本発明において、非反応性樹脂とは、ラジカル重合性二重結合を有しないものであり、非反応性樹脂としては、ポリエステル樹脂や、アクリル樹脂、スチレン−アクリル樹脂、石油樹脂、ウレタン樹脂等の熱可塑性樹脂や、エポキシ樹脂、分子内にラジカル重合性二重結合を持たないアミノ樹脂などの熱硬化性樹脂も使用する。
【0029】
本発明の着色材としては、主に顔料が使用され、その顔料として、酸化チタンなどの白顔料、ミネラルファーネスイエロー、ネーブルスイエロー、ナフトールイエローS,ハンザイエローG,キノリンイエローレーキ、パーマネントイエローNCG,タートラジンレーキなどの黄顔料、インダスレンブリリアントオレンジRK、ピラゾンオレンジ、バルカンオレンジ、ベンジジンオレンジG、インダスレンブリリアントオレンジGKなどの橙色顔料、パーマネントレッド4R、リオノールレッド、ピラロゾンレッド、ウオッチングレッツドカルシウム塩、レーキレッドD,ブリリアントカーミン6B、エオシンレーキ、ローダミンレーキB、アリザリンレーキ、ブリリアントカーミン3Bなどの赤色顔料、ファーストバイオレットB、メチルバイオレットレーキなどの紫色顔料、紺青、コバルトブルー、アルカリブルーレーキ、ビクトリアブルーレーキ、フタロシアニンブルー、無金属フタロシアニンブルー、フタロシアニンブルー部分塩素化物、ファーストスカイブルー、インダスレンブルーBCなどの青色顔料、ピグメントグリーンB、マラカイドグリーンレーキ、ファイナスイエリーグリーンGなどの緑色顔料、カーボンブラック、アセチレンブラック、ランブラック、アニリンブラックなどの黒色顔料、バライト粉、炭酸バリウム、ベントンなどの体質顔料などが挙げられる。
本発明に係る顔料は、組成物100重量%に対して5から55重量%の範囲で用いられる。
【0030】
添加剤としては、例えば、耐摩擦剤、ブロッキング防止剤、スベリ剤、スリキズ防止剤としては、カルナバワックス、木ろう、ラノリン、モンタンワックス、パラフィンワックス、マイクロクリスタリンワックスなどの天然ワックス、フィッシャートロプスワックス、ポリエチレンワックス、ポリプロピレンワックス、ポリテトラフルオロエチレンワックス、ポリアミドワックスなどの合成ワックス、シリコーン添加剤、レベリング剤、体質等を使用することができる。
【0031】
本発明で用いるシランカップリング剤としては、アミノ基含有シランカップリング剤を使用するのが良く、シランカップリング剤の量は、0.1〜5重量%の範囲で使用される。シランカップリング剤が0.1重量%未満の場合は、耐水密着性が得られず、5重量%より超える場合は、インキが硬調し、印刷ができなくなる。
【0032】
本発明において、アミノ基含有シランカップリング剤は、一般式(3)のアミノ基含有アルコキシシラン化合物であることが好ましい。
【0034】
一般式(3)中、nは0または1、Xはアミノ基を有する炭素数1〜20の1価の有機基、Rは炭素数1〜3のアルキル基を示す。Xはアミノ基を有する炭素数1〜20の1価または2価の有機基であり、直鎖、分岐鎖あるいは環状であってもよい。好ましい有機基の炭素数は1〜10である。アミノ基の数は1〜3、好ましくは1個または2個である。
【0035】
例えば、その具体例として、アミノプロピルメチルジメトキシシラン、N−アミノエチル−アミノプロピルメチルジメトキシシラン、γ−アミノプロピルメチルジエトキシシラン、γ−アミノプロピルメチルジメトキシシラン、γ−アミノプロピルフェニルジエトキシシラン、N−ブチル−γ−アミノプロピルメチルジエトキシシランなどのジアルコキシシラン化合物;アミノプロピルトリメトキシシラン、アミノプロピルトリエトキシシラン、γ−アミノプロピルトリエトキシシラン、γ−アミノプロピルトリメトキシシラン、2−アミノ−1−メチルエチルトリエトキシシラン、N−メチル−γ−アミノプロピルトリエトキシシラン、N−フェニル−γ−アミノプロピルトリエトキシシラン、N−β−(アミノエチル)−γ−アミノプロピルトリエトキシシラン、N−β−(アミノエチル)−γ−アミノプロピルトリメトキシシランなどのトリアルコキシシラン化合物を挙げることができる。これらは、単独で、または2種以上を併用できる。
【0036】
ここで、シランカップリング剤の官能基がアミノ基以外のものを使用すると、初期の接着強度(評価試料の作製直後)の密着が得られず、また、耐水密着性も十分に得られないため好ましくない。
【0037】
本発明で用いる脂肪族系イソシアネート化合物として、脂肪族系イソシアネートを形成するイソシアネートの例としては、例えば、トリメチレンジイソシアネート、テトラメチレンジイソシアネート、ペンタメチレンジイソシアネート、ヘキサメチレンジイソシアネート(HDI)、トリメチルヘキサメチレンジイソシアネート(TMDI)、リジンジイソシアネート(LDI)等の脂肪族ジイソシアネート類、さらに脂肪族環式ブロックイソシアネートを形成するイソシアネートの例としては、1,3−シクロペンタンジイソシアネート、1,4−シクロヘキサンジイソシアネート、1,2−シクロヘキサンジイソシアネート、イソホロンジイソシアネート、2,5−もしくは2,6−ビシクロ[2,2,1]ヘプタンビス(イソシアネートメチル)等の脂肪族環式ジイソシアネート等が挙げられる。
【0038】
これらのイソシアネート成分は、多量体(二量体や三量体、四量体など)、アダクト体、変性体(ビュレット変性体、アロハネート変性体、ウレア変性体など)などの誘導体や、複数のイソシアネート基を有するウレタンオリゴマーなどであってもよい。
【0039】
本発明において、一般式(1)または一般式(2)のような特定の(メタ)アクリレートを使用することにより、皮膜の架橋密度があがり、強靭な皮膜強度が得られる。また、架橋密度を上げることにより、インキ皮膜が硬化収縮し、オレフィン系への密着性は劣化する結果となっていくが、アミン系シランカップリング剤または脂肪族系イソシアネートを使用することにより、インキ皮膜中多官能(メタ)アクリレート中のOH基、COOH基と、基材のOH基、COOH基が架橋することにより、十分な耐水密着性が得られる。
【0040】
本発明のインキは、通常の印刷用インキと同様に公知の印刷方法、例えばオフセット印刷、凸版印刷、スクリーン印刷、グラビア印刷、フレキソ印刷にて印刷することができる。
【0041】
本発明のインキは、一般な平版印刷インキを製造するのと同様に、常温から100℃の間で、顔料、樹脂ワニスおよび/またはそのゲルワニス、アクリル系モノマーもしくはオリゴマー、光重合禁止剤、光重合開始剤およびまたは増感剤、その他添加剤などの印刷インキ組成物成分を、プラネタリミキサーで攪拌、プレミックスを行いペースト状にした。その後、ペーストを3本ロールで40〜60℃の温度域にて分散を行い、分散後の粒系を7.5μm以下とし、インキとした。
【実施例】
【0042】
実施例として本発明を具体的に説明するが、本発明は、以下の実施例により何等限定されるものではない。本発明において、部は重量部を示し、%は特に断らない限り重量%を示す。
【0043】
表1に示す処方により活性エネルギー線硬化型印刷用インキを作製した。
[実施例1〜6]
非反応性樹脂が処方に含まれる場合、予め非反応性樹脂とモノマーとを昇温加熱混合(上限温度を100℃の留め)させ、非反応性樹脂をモノマーに溶解させておく。
インキ組成物は、表1に示す所定の配合割合にて、バタフライミキサーを用いて攪拌混合し、3本ロールにて最大粒径が7.5μm以下になるように分散してインキ組成物を作成し、かつスプレッドメーターにて一定の粘度規格と成るように調整して各インキ組成物を作成した。
以下に示す処方により活性エネルギー線硬化型インキを作成した。
【0044】
【表1】
【0045】
ここで、非反応性樹脂1はジアリルフタレート樹脂(分子量50000)(メタ)アクリレートモノマーはジペンタエリスリトールペンタ(ヘキサ)アクリレート混合物(混合割合、重量比、
(メタ)アクリレートモノマーは(ジペンタエリスリトールペンタアクリレート):(ジペンタエリスリトールヘキサアクリレート)=15重量%:85重量%)、
光重合開始剤は2−ベンジル−2−ジメチルアミノ−1−(モルフォリノフェニル)−ブタン−1−オン、顔料1としてはフタロシアニンブルー、シランカップリング剤1としては、N−2(アミノエチル)3−アミノプロピルトリメトキシシラン、シランカップリング剤2としては、3−トリエトキシシリル−N−(1,3−ジメチル−ブチリデン)プロピルアミン、イソシアネート化合物1としては、デズモジュールN3200(住化バイエルウレタン(株)製)を使用する。
【0046】
比較例は、シランカップリング剤またはイソシアネート化合物を含有しない東洋インキ製FDカルトンX藍(紙器用インキ)、FDMP藍(シールラベル用インキ)、FDOニュー藍(フィルム用インキ)とする。
【0047】
(評価用印刷サンプルの作成)
PP(出光スーパーピュアレーSG140)およびPET(三菱樹脂製ディアクレールA2012)に作成した各インキ組成物を所定の量、RIテスター(簡易印刷転写装置)を使用して、印刷塗布後、160W/cmのメタルハライドランプにて所定の照射量にて照射して、インキ組成物を硬化し、比較評価用印刷サンプルを作成した。
【0048】
<性能評価>
(評価用印刷サンプル作成)
PP(出光スーパーピュアレーSG140)およびPET(三菱樹脂製ディアクレールA2012)に、作成各インキ組成物を所定の量、RIテスター(簡易印刷転写装置)を使用して、印刷塗布に、160W/cmのメタルハライドランプにて所定の照射量にて照射して、インキ組成物を硬化して、比較評価用印刷サンプルを作成した。
【0049】
<耐水密着性>
作成した印刷サンプルをTOMY製 オートクレーブBS−325にて120度40分間浸漬し、その後、PPおよびPETとの密着性をセロハンテープ剥離試験行い以下の基準で評価した。評価4、5であれば、耐水密着性があり、実用レベルである。
5:全く剥離しない
4:密着試験部分10%未満剥離
3:密着試験部分50%以上剥離
2:密着試験部分80%以上剥離
1:全て剥離
【0050】
<皮膜強度>
作成した印刷サンプルを、MEKにて擦り、その擦れ落ちる回数を確認した。十分な皮膜強度があるものについては、50回以上擦りおちがなく、皮膜強度が強いとし、それ以下であれば順次皮膜強度は劣っていくものとする。
【0051】
【表2】
【0052】
表2において、実施例1〜6と比較例1〜3とを比較すると、本発明に該当する実施例1〜6は、耐水密着性、皮膜強度に優れた活性エネルギー線硬化型インキ組成物であることが分かった。