(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
予め決められた面を下にして載置される解体対象の上方に配置されているカメラと、前記カメラを前記解体対象の前記面に対して水平となる水平方向及び前記面に対して垂直となる垂直方向に移動させる移動機構を備え、
予め決められた面を下にして載置された解体対象に対して、予め測定した前記解体対象の厚さである垂直方向の長さを示す高さ情報に基づき、前記移動機構を用いて、前記解体対象の最も高い位置で焦点が合う基準カメラ位置にて前記カメラを水平方向に移動させ、次いで前記基準カメラ位置よりも前記カメラを前記解体対象に段階的に近づけた状態で前記カメラを前記解体対象の前記面に対して水平方向に移動させることによって、前記解体対象の前記面に対して垂直方向においてそれぞれ異なる高さ位置で焦点が合うように前記解体対象を撮像した複数の撮像画像を得て、この得られた複数の撮像画像に基づき、前記解体対象を固定している固定部材を検出し、この検出された前記固定部材の前記解体対象の前記面に対して水平方向と垂直方向とにおける位置を示す位置情報を算出する固定部材検出ユニットと、
前記位置情報に基づき前記解体対象における前記固定部材の位置に前記固定部材による固定を解除させるための固定解除ツールを移動させ、前記固定解除ツールにより前記固定部材による固定を解除させる固定部材解体ユニットと
を備えることを特徴とする固定部材解体システム。
予め決められた面を下にして載置された前記解体対象の厚さである垂直方向の長さを測定する高さ測定ユニットをさらに備えることを特徴とする請求項1に記載の固定部材解体システム。
予め決められた面を下にして載置された解体対象に対して、予め測定した前記解体対象の厚さである垂直方向の長さを示す高さ情報に基づき、前記解体対象の最も高い位置で焦点が合う基準カメラ位置にてカメラを水平方向に移動させ、次いで前記基準カメラ位置よりも前記カメラを前記解体対象に段階的に近づけた状態で前記カメラを前記解体対象の前記面に対して水平方向に移動させることによって、前記解体対象の前記面に対して垂直方向においてそれぞれ異なる高さ位置で焦点が合うように前記解体対象を撮像した複数の撮像画像を得て、この得られた複数の撮像画像に基づき、前記解体対象を固定している固定部材を検出するステップと、
この検出された前記固定部材の前記解体対象の前記面に対して水平方向と垂直方向とにおける位置を示す位置情報を算出するステップと、
前記位置情報に基づき前記解体対象における前記固定部材の位置に前記固定部材による固定を解除させるための固定解除ツールを移動させ、前記固定解除ツールにより前記固定部材による固定を解除させるステップと、
を備えることを特徴とする固定部材解体方法。
【発明を実施するための形態】
【0015】
[第1実施形態]
本発明の実施形態について図面を参照して詳細に説明する。
図1は、本実施形態に係る固定部材解体システム100の構成を示すブロック図である。
図1に示す通り、本実施形態に係る固定部材解体システム100は、高さ測定ユニット1と、固定部材検出ユニット2と、固定部材解体ユニット3と、搬送ユニット4と、統括制御ユニット5とを含む。統括制御ユニット5は、高さ測定ユニット1と、固定部材検出ユニット2、固定部材解体ユニット3、および搬送ユニット4を、統括的に制御する。
本実施形態に係る固定部材解体システム100は、固定部材検出ユニット2により解体対象に固定されている固定部材を検出し、検出された固定部材を固定部材解体ユニット3により解体するシステムである。本実施形態において、この固定部材解体システム100の解体対象として、例えば、ネジ留めされているディスプレイDPのキャビネットを例に、以下説明する。また、本実施形態において、固定部材は、ネジであり、以下、固定部材をネジNJと呼称する。また、ネジNJの固定解除方法としては、固定解除ツール、例えばドライバービットを用いて、ネジ留めされているネジNJを緩ませる方向に回転させてディスプレイDPのキャビネットから取り外す方法の一例を用いて、以下説明する。しかしながら、本発明はこの例に限られない。
【0016】
次に、
図2を参照しながら、この固定部材解体システム100の概要について説明する。
図2は、固定部材解体システム100の概要を説明するための図である。
図示の通り、搬送ユニット4は、搬送ベルト401と搬送ローラ402とを備え、搬送ローラ402の回転を制御することにより、予め決められた搬送方向に搬送ベルト401を搬送する。なお、この搬送ユニット4は、統括制御ユニット5によって、搬送速度や搬送タイミング等が制御されるものであってもよい。
搬送ユニット4の付近には、搬送ユニット4による搬送方向の上流側から下流側に沿って、高さ測定ユニット1、固定部材検出ユニット2、ならびに固定部材解体ユニット3がこの順番で設置されている。この搬送ベルト401上には解体対象であるディスプレイDPが載置されており、搬送ユニット4が、高さ測定ユニット1、固定部材検出ユニット2、固定部材解体ユニット3の順番で、ディスプレイDPをこれらに搬送する。このディスプレイDPは、搬送ベルト401上に背面を上にして載置されており、搬送ベルト401上のディスプレイDPには、その上面にネジNJが見えている。なお、搬送方向は図示の通り直線でなくてもよく、固定部材解体システム100が設置される環境に応じて変更可能である。
【0017】
ここで、搬送方向の上流側から下流側に向かって、固定部材解体システム100に含まれる各構成について簡単に説明する。
高さ測定ユニット1は、搬送ベルト401に載置されたディスプレイDPの垂直方向の長さ、すなわちディスプレイDPの厚みを測定する。本実施形態において、ディスプレイDPは、背面を垂直方向の上に、表示面を垂直方向の下にして、搬送ベルト401上に載置される。高さ測定ユニット1は、搬送ベルト401によって搬送されるディスプレイDPの最も高い部分の高さ位置を測定することによって、ディスプレイDPの垂直方向の長さを測定する。高さ測定ユニット1は、測定結果である垂直方向の長さを示す高さ情報を固定部材検出ユニット2に出力する。
なお、本実施形態において、解体対象がディスプレイDPである例について説明するため、高さ測定ユニット1は、ディスプレイDPの厚みを垂直方向の長さとして測定する。しかし、本発明はこれに限られず、予め決められた面を下にして載置された解体対象の垂直方向の長さを測定すればよく、垂直方向に長い長さをもつ解体対象に対しても適用可能である。
【0018】
固定部材検出ユニット2は、解体対象であるディスプレイDPを撮像した画像に基づき、このディスプレイDPのキャビネットを固定しているネジNJを検出し、検出されたネジNJのディスプレイDP内における位置を示す位置情報を取得する。
本実施形態において、固定部材検出ユニット2は、高さ測定ユニット1が測定したディスプレイDPの高さ情報に基づき、ディスプレイDPの厚み方向にそれぞれ異なる位置で焦点が合うようにディスプレイDPを撮像し、それぞれディスプレイDPの垂直方向において焦点が合う高さ位置が異なる複数の撮像画像に基づき、ネジNJを検出する。
なお、ネジNJの位置は、ディスプレイDPにおいて決められた位置決め基準位置Pを原点(0,0,0)としてXYZ座標値で示される。本発明はこれに限られず、ネジNJの位置は、ディスプレイDPにおいて決められた位置決め基準位置Pを原点としてXY座標値で示されるものであってもよい。
この位置決め基準位置Pを原点(0,0,0)とする三次元空間をステージ座標空間という。このステージ座標空間は、XY平面が水平面と一致し、Z軸方向が垂直方向と一致している。なお、X軸−方向から+方向に向かう方向が搬送方向(つまり、上流から下流に向かう方向)と一致し、Z軸−方向から+方向に向かう方向が上下方向(つまり、垂直方向に下方から上方に向かう方向)と一致している。
【0019】
この固定部材検出ユニット2は、ディスプレイDPのキャビネットを固定しているネジNJを検出し、少なくとも、検出されたネジNJのXY平面上の位置を示す位置情報を取得する。本実施形態において、ネジNJの位置情報は、ネジNJのネジ穴が見えるネジ頭部の位置を示す情報である。なお、固定部材検出ユニット2は、検出されたネジNJのステージ座標空間におけるZ座標値もあわせて算出することが好ましい。
具体的に説明すると、固定部材検出ユニット2は、解体対象であるディスプレイDPについての水平面方向の全領域を撮像した撮像画像のデータに基づき、固定部材であるネジNJを検出し、検出されたネジNJのXY座標値を算出する。ここで算出されるネジNJの位置は、ディスプレイDPのステージ座標空間において予め決められた位置決め基準位置P(0,0,0)に対するXY座標値で示される。なお、この位置決め基準位置P(0,0,0)は、位置決めされたディスプレイDPの一角であり、詳細については後述する。
また、固定部材検出ユニット2は、解体対象であるディスプレイDPについての全領域を、それぞれ異なる高さ位置で焦点が合うように撮像した複数の撮像画像のデータに基づき、垂直方向における固定部材であるネジNJの位置を示す位置情報(つまり、ステージ座標空間におけるZ座標値)を取得する。具体的説明すると、最もピントが合っている撮像画像を撮像した際の焦点距離に基づき、固定部材検出ユニット2は、ネジNJのZ座標値を取得する。
なお、本発明はこれに限られず、固定部材検出ユニット2は、ネジNJのXY座標値のみを算出し、位置情報として固定部材解体ユニット3に送信するものであってもよい。
【0020】
固定部材解体ユニット3は、固定部材検出ユニット2によって取得された位置情報に基づき、ネジNJによる固定を解除させるための固定解除ツールであるドライバービットの先端を、解体対象におけるネジNJの位置に移動させ、ネジNJによる固定をこの固定解除ツールにより解除させる。
【0021】
次に、固定部材解体システム100の各構成について、詳細に説明する。
図3は、高さ測定ユニット1の概略を説明するための図である。
図3に示す通り、高さ測定ユニット1は、例えば、発光装置101と、受光装置102を備える。
この発光装置101は、垂直方向に並んだ複数の発光部101_1〜101_nを備える。これら複数の発光部101_1〜101_nは、それぞれ異なる高さの位置に配置されている。本実施形態において、発光部101_1は、最も高い位置に位置されている。一方、発光部101_nは、最も低い位置に位置されている。これら発光部101_1〜101_nは、受光装置102に向かって水平方向に光を出射する。
受光装置102は、発光装置101から出射される光を受光する受光部を備える。本実施形態において、受光装置102は、複数の発光部101_1〜101_nからの光をそれぞれ受光する受光部102_1〜102_nを備える。この受光装置102は、受光部102_1〜102_nによる受光の有無に基づき、ディスプレイDPの厚み(垂直方向の長さ)を測定する。
例えば、発光装置101と受光装置102との間を通過するディスプレイDPによって発光装置101からの光が遮光された場合、受光装置102は、この遮光された発光部101_1〜101_nからの光の出射位置がディスプレイDPの厚み(垂直方向の長さ)に相当すると判定する。本実施形態において、受光装置102は、遮光された発光部101_1〜101_nの光の出射位置(つまり、発光部101_1〜10_nの設置位置)を示す高さを、ディスプレイDPの垂直方向の長さを示す高さ情報として、固定部材検出ユニット2に出力する。
【0022】
次に、
図4を参照して、固定部材検出ユニット2の一例について説明する。
図4は、固定部材検出ユニット2の概略を説明するための図である。
図4に示す通り、固定部材検出ユニット2は、カメラ201を保持した状態で、このカメラ201をXZ空間内で移動させるXZ移動機構202を備える。このXZ移動機構202は、カメラ201を支持する支持部202aと、この支持部202aをZ軸方向に移動可能に支持するZ移動機構202zと、このZ移動機構202zをX軸方向に移動可能に支持するX移動機構202xとを備える。
このXZ移動機構202が動作することによりカメラ201をX軸方向に沿って水平に移動させ、カメラ201が解体対象であるディスプレイDPの水平面方向の全域を撮像する。なお、本実施形態において、カメラ201は、ディスプレイDPの横方向(Y方向)の全域を同時に撮像可能なラインセンサカメラである。XZ移動機構202は、搬送ベルト401に載置されたディスプレイDPの背面の全域を撮像するように、カメラ201をX軸方向に沿って水平に移動させる。カメラ201は、X軸方向に沿って水平に1回移動されることにより、ディスプレイDPの背面の全域を撮像し、一枚の画像としてディスプレイDPを撮像することができる。
【0023】
また、XZ移動機構202は、搬送ベルト401に載置されたディスプレイDPの垂直方向の長さを示す高さ情報に基づき、垂直方向(Z軸方向)においてディスプレイDPの最も高い位置で焦点が合う基準カメラ位置、および、垂直方向に基準カメラ位置よりもディスプレイDPに近い位置に、ディスプレイDPを撮像するカメラ201を段階的に移動させる。
本実施形態において、XZ移動機構202は、基準カメラ位置を初期位置として、この初期カメラ位置から、予め決められた降下量(例えば、5mm)ずつ、カメラ201をディスプレイDPに近づけるようにカメラ201を移動させる。
【0024】
ここで、
図5、6を参照して、本実施形態に係るXZ移動機構202によるカメラ201の動きの一例について説明する。
図5は、本実施形態に係る解体対象であるディスプレイDPの断面的な概略図の一例を示す。
このディスプレイDPは、厚みが50mmである。よって、載置されたディスプレイDPの垂直方向において最も高い位置は、搬送ベルト401の上面から高さ位置H0=50mmの位置である。すなわち、垂直方向においてディスプレイDPの最も高い部分の高さ位置は、Z座標値=50mmとなる位置である。ここで、カメラ201が、垂直方向においてディスプレイDPの最も高い部分の高さ位置、つまり、ディスプレイDPの厚みをZ座標値とした位置に焦点が合うように位置される位置を、基準カメラ位置という。
このディスプレイDPの垂直方向において、基準カメラ位置から、予め決められたカメラ201の降下量(例えば、5mm)ごとに、搬送ベルト401にカメラ201を段階的に近づける。つまり、カメラ201の焦点が合う被写体面の高さ位置は、高さ位置H1,H2,H3・・・H10と変化する。
【0025】
固定部材検出ユニット2は、
図5に示すように、高さ位置H1,H2,H3・・・H10の被写体面に焦点を合わせるように、カメラ201を基準カメラ位置から5mmずつ、降下させる。この固定部材検出ユニット2は、高さ位置H0,H1,H2,H3・・・H10の被写体面に焦点を合わせる位置にカメラ201を位置させた場合、それぞれの位置において、X軸方向に沿って水平にカメラ201を移動させる。これにより、カメラ201は、ディスプレイDPの背面の全域を、ぞれぞれの高さ位置H0,H1,H2,H3・・・H10の被写体面に焦点を合わせて撮像する。
【0026】
図6を参照して、カメラ201の動きの一例について説明する。
図6は、本実施形態に係る固定部材検出ユニット2のカメラ201の動きの軌跡の一例を示す図である。なお、
図6では、
図5に示したディスプレイDPの断面図を省略している。
例えば、固定部材検出ユニット2は、高さ位置H0の被写体面においてX座標値=XAの位置にカメラ201の焦点が合うようにカメラ201を位置させる。そして、固定部材検出ユニット2は、高さ位置H0の被写体面に焦点を合わせた状態のまま、カメラ201をX軸方向の+方向に沿って水平に移動させる。固定部材検出ユニット2は、カメラ201をX座標値=XBの位置まで移動させた後、予め決められた降下量(5mm)だけ、カメラ201をZ軸方向に沿って降下させる。つまり、固定部材検出ユニット2は、高さ位置H1の被写体面においてX座標値=XBの位置にカメラ201の焦点が合うようにカメラ201を移動させる。
【0027】
そして、固定部材検出ユニット2は、高さ位置H1の被写体面に焦点を合わせた状態のまま、カメラ201をX軸方向の−方向に沿って水平に移動させる。固定部材検出ユニット2は、カメラ201をX座標値=XAの位置まで移動させた後、予め決められた降下量(5mm)だけ、カメラ201をZ軸方向に沿って降下させる。つまり、固定部材検出ユニット2は、高さ位置H2の被写体面においてX座標値=XAの位置にカメラ201の焦点が合うようにカメラ201を移動させる。
このようにして、固定部材検出ユニット2は、カメラ201をXZ面においてジグザグに移動させる。これにより、カメラ201は、ディスプレイDPの垂直方向においてそれぞれ異なる高さ位置で焦点が合うように撮像された画像を複数枚、撮像することができる。
なお、ここまでカメラ201にラインセンサカメラを使用した場合の動きの一例について説明したが、本発明はこれに限定されるものではなく、例えば、広角対応のエリアセンサカメラを使用して、カメラ201の移動方向をZ軸方向のみとしてもよい。
なお、カメラ201が、高さ位置H0,H1,H2,H3・・・H10の被写体面に焦点を合わせるようにして撮像した撮像画像を、以下、撮像画像D0,D1,D2,D3・・・D10という。
【0028】
次に、
図7を参照して、XZ移動機構202とこれを動作させる駆動制御部204の一例について説明する。
図7は、XZ移動機構202と駆動制御部204の構成の一例について説明するためのブロック図である。
図7に示す通り、XZ移動機構202は、駆動制御部204と接続されている。この駆動制御部204は、XZ移動機構202に動力を提供し、XZ移動機構202の動作を制御する。
駆動制御部204は、X移動機構202xおよびZ移動機構202zを、それぞれ動作させるためのモータ制御部241xおよびモータ制御部241zと、駆動部242xおよび駆動部242zと、モータ243xおよびモータ243zとを備える。
モータ制御部241xおよびモータ制御部241zは、X移動機構202xおよびZ移動機構202zのそれぞれの動作量(移動距離)に応じた駆動コマンドを駆動部242xおよび駆動部242zにそれぞれ出力する。この駆動部242xおよび駆動部242zは、入力する駆動コマンドに応じて、モータ243xおよびモータ243zをそれぞれ駆動させる。このモータ243xおよびモータ243zは、それぞれ、X移動機構202xおよびZ移動機構202zと接続されており、駆動部242xおよび駆動部242zにより駆動され、X移動機構202xおよびZ移動機構202zを、それぞれをX軸方向およびZ軸方向に移動させる。
【0029】
次に、
図8を参照して、固定部材検出ユニット2の構成の一例について説明する。
図8は、固定部材検出ユニット2の構成の一例を示すブロック図である。
図8に示す通り、固定部材検出ユニット2は、駆動制御部204と、位置決めガイド205と、位置決め移動機構206と、駆動制御部207と、情報処理部210とを備える。
また、固定部材検出ユニット2は、カメラ201を備える。このカメラ201は、レンズ201aと、CCD201bと、A/D変換部201cとを備える。カメラ201は、入射する光学像をレンズ201aを介してCCD201bの光電変換面(撮像面)に結像させる。このCCD201bによって光電変換された光学像は、A/D変換部201cによってデジタル信号に変換される。このA/D変換部201cは、このデジタル信号を、カメラ201によって撮像された画像データとして出力する。
【0030】
駆動制御部204は、XZ移動機構202を動作して、カメラ201を移動させる。本実施形態において、駆動制御部204は、
図6を参照して上述したとおり、高さ位置H0,H1,H2,H3・・・H10の被写体面に焦点を合わせるよう、カメラ201をXZ面においてジグザグに移動させる。
【0031】
位置決めガイド205は、搬送ベルト401上のディスプレイDPを押し運び位置決め基準位置Pに対応する位置に移動させる部材である。この位置決めガイド205は、例えば、X軸方向に移動するXガイド205xと、Y軸方向に移動するYガイド205yとを備える。
【0032】
位置決め移動機構206は、位置決めガイド205を予め決められた方向に移動可能に保持する。
なお、位置決めガイド205および位置決め移動機構206は、例えば、
図9に示すような構造である。
図9には、位置決め基準位置PにディスプレイDPの一角が当接して固定されるように支持ガイド208が設けられている。
【0033】
駆動制御部207は、ディスプレイDPの一角を位置決め基準位置Pにあわせて位置決めするように位置決め移動機構206を制御する。この駆動制御部207は、Xガイド205xをX軸方向に沿って位置決め基準位置Pに向かって移動させるとともに、Yガイド205yをY軸方向に沿って位置決め基準位置Pに向かってに移動させる。この駆動制御部207は、例えば、ディスプレイDPの一角が位置決め基準位置Pに位置合わせさせるまで、Xガイド205xおよびYガイド205yと移動させる。Xガイド205xおよびYガイド205yによって押し運ばれたディスプレイDPは、支持ガイド208に当接して停止する。これにより、ディスプレイDPの一角が位置決め基準位置Pに位置決めされる。
【0034】
図8に戻って、情報処理部210について詳細に説明する。
情報処理部210は、制御部211と、記録部212と、画像解析部213と、位置検出部214と、送受信部215とを備える。
制御部211は、記録部212に記録されているプログラムに従って、固定部材検出ユニット2を統括的に制御する。
記録部212は、固定部材検出ユニット2の動作に利用される種々の情報を記録する。
【0035】
ここで、
図10を参照して、画像解析部213による処理について詳細に説明する。
図10は、画像解析部213による処理を説明するための参考図である。
画像解析部213は、カメラ201によって撮像された画像に基づき、ディスプレイDPの表面に露出したネジNJの頭部の形状として予め決められている形状を検出する。この画像解析部213は、例えば、幾何学形状パターンマッチングにより円形状の固定部材エリアL
iを検出する。なお、iは、各ネジNJを識別するために割り当てられた数字である。
【0036】
図10(a)は、この画像解析部213により検出された固定部材エリアL
1〜L
3を含む撮像画像の一部を示す例である。この固定部材エリアL
1の画像の一例を
図10(b)に示す。
画像解析部213は、この固定部材エリアL
1〜L
3ごとに、各画素の輝度値の平均を算出する。画像解析部213は、算出した輝度値の平均を閾値として、固定部材エリアの画像に対して二値化処理を行う。例えば、固定部材エリアL
1の輝度値と、この固定部材エリアL
1の二値化処理後の画像の一例を
図10(c)に示す。
図10(c)に示す通り、固定部材エリアL
1の輝度値は、円形形状の全体に比べて中心の十字形状の輝度値が低くなっている。これは、十字形状のネジ穴部分が凹状に窪んでいるためである。よって、画像解析部213は、二値化処理を実行することより、十字形状のネジ穴エリアの画像領域を検出することができる。つまり、画像解析部213により二値化処理された画像は、ネジNJの頭部に形成されている凹凸形状を明確に表わすことができる。
【0037】
画像解析部213は、二値化処理により、輝度値の平均である閾値よりも輝度値が低い画像領域をネジ穴エリアN
i{i=1,2,3・・・}として検出し、検出したネジ穴エリアN
iを示す情報を位置検出部214に出力する。この画像解析部213によって検出されたネジ穴エリアN
iの一例を
図10(d)に示す。
【0038】
位置検出部214は、検出されたネジ穴エリアN
iを示す情報に基づき、ネジ穴エリアN
iの中心点M
iの座標を算出し、検出したネジ穴エリアN
iの位置を示す位置情報(X
i,Y
i)として取得する。この中心点M
iは、位置決め基準位置Pを原点(0,0,0)とするXY座標値で示される。位置検出部214は、取得した位置情報(X
i,Y
i)を送受信部215に出力する。つまり、位置検出部214は、画像解析部213により二値化処理された画像に基づき、ネジNJの頭部に形成されている凹凸形状を検出し、この凹凸形状が示すネジNJの特徴点である中心点M
iを、ネジNJの位置を示す位置情報(X
i,Y
i)として取得する。
送受信部215は、固定部材解体ユニット3と通信可能に接続されており、入力する位置情報(X
i,Y
i)を固定部材解体ユニット3に送信することができる。
【0039】
ここで、レンズ201aと被写体との位置関係について、
図11を参照して説明する。
図11は、レンズ201aと被写体との位置関係を説明するための図である。
図11に示す通り、レンズ201aは、被写体から入射する光を集光して、CCD201bの光電変換面(撮像面)に被写体像を結像させる。図示の通り、被写体面からレンズ201aまでの距離を被写体距離という。レンズ201aからCCD201bの撮像面までの距離をレンズ距離という。この被写体面に被写体が存在している状態で撮像された場合に、被写体面に焦点があう。このときのレンズ201aの位置を合焦位置という。なお、レンズ距離と被写体距離との関係は、レンズ201aの特性等に応じて予め決められている。
【0040】
また、制御部211は、画像解析部213の解析結果に基づき、記録部212に対して既に同一のネジ穴に関する位置情報が記録されているか否かを判定する。既に記録されていると判定された場合、検出された情報を削除する。具体的に説明すると、制御部211は、記録部212を参照して、誤差範囲内で一致している二次元座標値(X
i,Y
i)があるか否かを判定する。誤差範囲内で一致している二次元座標値(X
i,Y
i)がある場合、制御部211は、同一のネジ穴に対して既に情報が記録部212に記録されていると判定する。
なお、誤差範囲内で一致している二次元座標値(X
i,Y
i)とは、検出された全ての二次元座標値(X
i,Y
i)のX座標値とY座標値をそれぞれ比較した場合、このX座標値の差が予め決められた範囲(誤差範囲)であって、かつ、Y座標値の差が予め決められた範囲(誤差範囲)である場合をいう。
【0041】
送受信部215は、高さ測定ユニット1および固定部材解体ユニット3と通信可能に接続されており、高さ測定ユニット1によって取得された高さ情報を受信するとともに、位置検出部214によって取得された位置情報(X
i,Y
i,Z
i)を固定部材解体ユニット3に送信する。
【0042】
次に、
図12〜15を参照して、固定部材解体ユニット3について詳細に説明する。
図12は、固定部材解体ユニット3の概略を説明するための図である。
図12に示す通り、固定部材解体ユニット3は、固定解除ツール301を保持した状態でXYZ空間に移動させるXYZ移動機構302と、Z軸と平行な回転軸を中心に固定解除ツール301を回転させる回転移動機構303とを備える。このXYZ移動機構302は、固定解除ツール301と回転移動機構303とを支持する支持部302aと、この支持部302aをZ軸方向に移動可能に支持するZ移動機構302zと、このZ移動機構302zをX軸方向に移動可能に支持するX移動機構302xと、このX移動機構302xをY軸方向に移動可能に支持するY移動機構302yとを備える。なお、このXYZ移動機構302は、上述のXZ移動機構202と同様の構成と機能を有するものには、各構成部に同一の名称を付して詳細な説明は省略する。
固定解除ツール301は、例えば、固定部材であるネジNJのネジ穴と噛み合うドライバービットである。このドライバービットは、先端が永久磁石で構成されており、鉄等の磁性体で構成されるネジNJを磁力により保持可能である。
この固定解除ツール301の付近には、回収ボックス309が備え付けられている。この回収ボックス309は、Z移動機構302zに移動可能に固定されているものであってもよい。
【0043】
固定部材解体ユニット3の動作について簡単に説明する。この固定部材解体ユニット3は、図示の通り、ディスプレイDPの裏面を上方に向けた状態で、ディスプレイDPの上部から、固定解除ツール301のドライバービットを下方に下ろしてネジNJ付近まで移動させる。その後、固定部材解体ユニット3は、ドライバービットをゆっくりとネジに近づけながら、ネジNJを緩める方向にドライバービットを回転させる。そして、ネジNJが緩められた場合、ドライバービットは磁力によってネジNJを保持したまま上方に持ち上げられる。次いで、固定部材解体ユニット3は、ドライバービットを回収ボックス309の上部に移動させ、取り外したネジを回収ボックス309に収容する。
【0044】
次に、
図13を参照して、固定部材解体ユニット3の構成の一例について説明する。
図13は、固定部材解体ユニット3の構成の一例を示すブロック図である。
図13に示す通り、固定部材解体ユニット3は、駆動制御部304と、位置決めガイド305と、位置決め移動機構306と、駆動制御部307と、情報処理部310とを備える。
【0045】
駆動制御部304は、XYZ移動機構302の動作を制御するとともに、回転移動機構303の動作を制御する制御部である。この駆動制御部304は、例えば、
図14に示すような構成を有する。
図14は、駆動制御部304の一例を示す図である。
【0046】
図14に示す通り、XYZ移動機構302は、駆動制御部304と接続されている。この駆動制御部304は、XYZ移動機構302に動力を提供し、XYZ移動機構302の動作を制御する。
駆動制御部304は、X移動機構302x、Y移動機構302y、およびZ移動機構302zをそれぞれ動作させるためのモータ制御部341x、モータ制御部341y、およびモータ制御部341zと、駆動部342x、駆動部342y、および駆動部342zと、モータ343x、モータ343y、およびモータ343zとを備える。
モータ制御部341x、モータ制御部341y、およびモータ制御部341zは、X移動機構302x、Y移動機構302y、およびZ移動機構302zのそれぞれの動作量(移動距離)に応じた駆動コマンドを駆動部342x、駆動部342y、および駆動部342zにそれぞれ出力する。この駆動部342x、駆動部342y、および駆動部342zは、入力する駆動コマンドに応じて、それぞれモータ343x、モータ343y、モータ343zを駆動させる。このモータ343x、モータ343y、モータ343zは、それぞれ、X移動機構302x、Y移動機構302y、Z移動機構302zと接続されており、駆動部342x、駆動部342y、駆動部342zにより駆動され、X移動機構302x、Y移動機構302y、Z移動機構302zを、それぞれをX軸方向、Y軸方向、Z軸方向に移動させる。
【0047】
また、駆動制御部304は、回転移動機構303を動作させるためのモータ制御部341cと、駆動部342cと、モータ343cと、エンコーダ344cとを備える。モータ制御部341cは、回転移動機構303の回転量に応じた駆動コマンドを駆動部342cに出力する。この駆動部342cは、入力する駆動コマンドに従って、モータ343cを駆動させる。モータ343cの回転軸には、固定解除ツール301のドライバービットが回転した回転量を検出するエンコーダ344cが取り付けられている。エンコーダ344cは、モータ343cの回転量を示す回転数(回転角度)と回転速度を検出し、この回転量を示す情報をモータ制御部341cに出力する。回転移動機構303は、モータ343cからの動力を固定解除ツール301に伝達し、固定解除ツール301を回転させる。
【0048】
モータ制御部341cは、駆動部342cに出力した駆動コマンドが示す回転駆動力と、エンコーダ344cから入力する回転量に基づき、固定解除ツール301の回転トルクを算出する。また、モータ制御部341cは、算出した回転トルクが予め決められた閾値以上となったか否かを判定する。この回転トルクが閾値以上となった場合、モータ制御部341cは、固定解除ツール301のドライバービットの先端がネジ穴と嵌合している状態であると判定する。また、回転トルクが閾値以上から閾値未満に変化した場合、モータ制御部341cは、固定解除ツール301のネジNJを緩める作業が終了したことを検出する。
【0049】
次に、
図15を参照して、回収ボックス309への回収方法の一例について説明する。
図15(a)は、回収ボックス309に壁部材309aを設ける一例について説明するための図である。
図15(a)に示す通り、回収ボックス309の一部には、垂直方向に当接面を有する壁部材309aが取り付けられている。この壁部材309aの内側からドライバービットに保持されたネジNJを当接面に当接させるように、XYZ移動機構302がドライバービットを移動させる。あるいは、回収ボックス309を移動させるようにしてもよい。これにより、ネジNJがドライバービットから離脱され、回収ボックス309に回収される。
【0050】
図15(b)は、回収ボックス309に電磁石309bを設ける一例について説明するための図である。
図15(b)に示す通り、回収ボックス309の一部には、垂直方向に当接面を有する電磁石309bが取り付けられている。この電磁石309bの内側からドライバービットに保持されたネジNJを当接面に当接させるように、XYZ移動機構302がドライバービットを移動させる。あるいは、回収ボックス309を移動させるようにしてもよい。そして、電磁石309bに電流を流して、少なくともドライバービットの磁力よりも強い磁力を発生させる。これにより、ネジNJは電磁石309bに引き寄せられる。そして、ドライバービットを元の位置に移動させる。次いで、電磁石309bへの電流供給を停止させると、電磁石309bの磁力が消失し、ネジNJが電磁石309bから離脱され、回収ボックス309に回収される。
【0051】
次に、
図16を参照して、固定部材検出ユニット2による処理フローの一例について説明する。
図16は、固定部材検出ユニット2による処理フローの一例について説明するためのフローチャートである。
なお、本実施形態において、固定部材検出ユニット2に搬送されるディスプレイDPは、その上流側において、高さ測定ユニット1によってディスプレイDPの厚み(垂直方向の長さ)が測定されている。そして、高さ測定ユニット1は、測定結果である高さ情報を固定部材検出ユニット2に出力しているものとする。
【0052】
例えば、解体対象であるディスプレイDPが、高さ測定ユニット1の上流側の搬送ベルト401上に表示面を下にして載置されると、統括制御ユニット5が搬送ユニット4を制御して、高さ測定ユニット1の位置にディスプレイDPを搬送する。そして、高さ測定ユニット1は、発光装置101と受光装置102を通過するディスプレイDPの厚み(垂直方向の長さ)を測定し、測定結果である高さ情報を固定部材検出ユニット2に出力する。
【0053】
次いで、固定部材検出ユニット2の位置にディスプレイDPが搬送されると、制御部211は、駆動制御部207に、ディスプレイDPの位置決め処理を指示する。この駆動制御部207は、位置決め移動機構206を動作させて、位置決めガイド205によりディスプレイDPの一角が位置決め基準位置Pに位置決めされるように制御する。これにより、位置決めガイド205のXガイド205xおよびYガイド205yがディスプレイDPを位置決め基準位置Pに向かって押し運ぶ。駆動制御部207は、例えば、ディスプレイDPの一角が位置決め基準位置Pにおいて位置決めされたと判定した場合、位置決め移動機構206に対する動作を終了させる。
【0054】
(ステップST101)
また、制御部211は、送受信部215を介して高さ測定ユニット1から高さ情報を受信すると、この高さ情報を駆動制御部204に出力する。駆動制御部204は、制御部211から高さ情報を入力すると、高さ情報が示す高さ位置の被写体面にカメラ201の焦点が合うようにカメラ201を移動するようXZ移動機構202を制御する。例えば、ディスプレイDPの厚み(垂直方向の長さ)が50mmである場合、XZ移動機構202は、搬送ベルト401の上面から高さ50mmの高さ位置H0(基準カメラ位置)の被写体面にカメラ201の焦点が合うようにカメラ201を位置させる。なお、XZ移動機構202は、カメラ201をディスプレイDPの一端側のスタート位置(
図5を参照して説明したX=XAの位置)に位置させる。
【0055】
(ステップST102)
そして、駆動制御部204は、高さ位置H0の被写体面に焦点を合わせる位置にカメラ201を位置させた状態で、X軸の+方向に沿ってカメラ201を水平に移動させるようXZ移動機構202を制御する。これにより、XZ移動機構202は、高さ位置H0の被写体面に焦点を合わせる位置にカメラ201を位置させた状態において、ディスプレイDPの一端(X=XA)から他端(X=XB)まで、カメラ201を水平に移動させる。これにより、カメラ201は、高さ位置H0の被写体面に焦点を合わせた状態でディスプレイDPの全面を撮像し、撮像画像D0を取得する。
【0056】
(ステップST103)
画像解析部213は、この撮像画像D0に対して、予め決められた円形状のパターンマッチングを行い、撮像画像D0に含まれる全ての円形状の固定部材エリアL
i{i=1,2,3・・・}を検出する。なお、画像解析部213は、検出された固定部材エリアL
iを識別するための固有の識別番号i{i=1,2,3・・・}を、各固定部材エリアL
iに割り当てる。
【0057】
(ステップST104)
そして、画像解析部213は、この固定部材エリアL
i内の画素の輝度値の平均を算出する。この画像解析部213は、算出した輝度値の平均を閾値として、固定部材エリアL
iを含む画像に対して二値化処理を行う。
次いで、画像解析部213は、二値化処理後の画像データに対して、例えば、予め決められた十字形状のパターンマッチングを行い、十字形状のネジ穴エリアN
iの検出を行う。
【0058】
(ステップST105)
そして、画像解析部213は、十字形状のネジ穴エリアN
iの画像領域が検出されたか否かを判定する。つまり、画像解析部213は、ネジ穴が検出されたか否かを判定する。
【0059】
(ステップST106)
十字形状のネジ穴エリアN
iの画像領域が1つも検出されなかった場合、画像解析部213は、撮像画像D0を検出データから除外する。そして、画像解析部213は、ステップST110の処理に移行する。
【0060】
(ステップST107)
十字形状のネジ穴エリアN
iの画像領域が少なくとも1つ検出された場合、画像解析部213は、検出したネジ穴エリアN
iの十字形状の中心点M
iを示す位置情報(X
i,Y
i)を取得する。
【0061】
(ステップST108)
次いで、制御部211は、画像解析部213によって取得した位置情報を記録部212に登録されている位置情報と照合し、登録済みの情報であるか(言い換えると新規な情報であるか)否かを判定する。つまり、制御部211は、検出したネジ穴の位置情報が複数存在するか否かを判定する。ステップST107において画像解析部213によって取得された位置情報(X
i,Y
i)が既に登録済みの情報である場合、制御部211は、ステップST106の処理に移行する。
【0062】
(ステップST109)
ステップST107において画像解析部213によって取得された位置情報(X
i,Y
i)が新規の場合には、制御部211は、この位置情報(X
i,Y
i)を記録部212に記録する。
この制御部211及び画像解析部213は、撮像画像D0から検出された全ての固定部材エリアL
i{i=2,3・・・}に対して、ステップST104からステップST108の処理を実行する。位置情報(X
i,Y
i){i=2,3・・・}が取得された場合、画像解析部213は、取得した位置情報(X
i,Y
i){i=2,3・・・}を記録部212に記録する。
そして、画像解析部213は、カメラ201の焦点が合っている高さ位置に基づき、ネジ穴エリアN
iの十字形状の中心点M
iを示す位置情報(X
i,Y
i)のZ座標値(Z
i)を算出する。本実施形態において、この位置情報(X
i,Y
i)を取得した撮像画像D0は、ディスプレイDPの最上面(載置されたディスプレイDPの垂直方向に最も高い部分を含む水平面方向の被写体面)に焦点が合うようにして撮像された画像である。つまり、撮像画像D0を撮像した際のカメラ201の焦点は、搬送ベルト401から垂直方向上方に50mmの被写体面上で合っている。従って、画像解析部213は、Z座標値(Z
i)=50mmと算出する。
画像解析部213は、算出したZ座標値(Z
i)=50mmを、ステップST108で新規な情報であると判定した位置情報(X
i,Y
i)に組み合わせて、ネジ穴エリアN
iの十字形状の中心点M
iの三次元座標値(X
i,Y
i,Z
i)を算出し、記録部212に書き込む。
【0063】
(ステップST110)
そして、制御部211は、降下量と降下回数を乗算した値と、ディスプレイDPの厚み(垂直方向の長さ)を比較する。
(ステップST111)
この制御部211は、降下量と降下回数を乗算した値が、ディスプレイDPの厚み(垂直方向の長さ)未満であるか否かを判定する。つまり、制御部211は、カメラ201の焦点が合う高さ位置を段階的に変更したディスプレイDPの撮像を終了するか否かを判定する。
【0064】
(ステップST112)
本実施形態において、1回の降下の降下量は、5mmである。また、ディスプレイDPの厚み(垂直方向の長さ)は、50mmである。撮像画像D0を撮像した段階で、降下量=0、降下回数=0であるため、降下量×降下回数=0<ディスプレイDPの厚み(垂直方向の長さ)50mmとなる。
この場合、降下量と降下回数を乗算した値が、ディスプレイDPの厚み(垂直方向の長さ)未満であるため、制御部211は、カメラ201を予め決められた降下量(例えば、5mm)だけ下げるように駆動制御部204に指示する。
そして、駆動制御部204は、カメラ201を5mm下げるようにXZ移動機構202を制御する。このXZ移動機構202は、カメラ201の高さ位置を5mm下げる。
次いで、ステップST102に戻って、駆動制御部204は、カメラ201を45mmの高さ位置H1に焦点が合うように位置させた状態で、カメラ201をX軸の−方向に沿って水平に移動させるようXZ移動機構202を制御する。XZ移動機構202は、45mmの高さ位置H1に焦点が合うよう位置された状態において、ディスプレイDPの一端から他端まで、カメラ201をX軸の−方向に沿って水平に移動させる。これにより、カメラ201は、45mmの高さ位置H1の被写体面に焦点が合っているディスプレイDPの全面を撮像し、撮像画像D1を取得する。
なお、本実施形態において、固定部材検出ユニット2は、ステップST102〜112を繰り返して、カメラ201の焦点の合う被写体面の高さ位置を50mm〜0mmの範囲で5mm刻みごとに、段階的に変更し、撮像画像D0〜D10を取得する。
【0065】
一方、降下量と降下回数を乗算した値が、ディスプレイDPの厚み(垂直方向の長さ)以上である場合、制御部211は、焦点位置を段階的に変更したディスプレイDPの撮像を終了すると判定する。
【0066】
(ステップST113)
そして、制御部211は、各ネジ穴についての三次元座標値(X
i,Y
i,Z
i)を、送受信部215を介して、固定部材解体ユニット3に出力する。
【0067】
次に、
図17〜19を参照して、固定部材解体ユニット3による処理フローの一例について説明する。
図17は、固定部材解体ユニット3による処理フローの一例について説明するための図である。また、
図18は、固定部材解体ユニット3により移動される固定解除ツール301のビット先端の動きについて説明するための概略図である。なお、
図18においては、ステージ空間におけるXZ座標値について説明し、Y座標値についての説明は省略する。
固定部材検出ユニット2による位置情報の取得が終了すると、統括制御ユニット5が搬送ユニット4を制御して、固定部材解体ユニット3の位置にディスプレイDPを搬送する。そして、固定部材解体ユニット3の制御部311は、駆動制御部307に、ディスプレイDPの位置決め処理を指示する。なお、駆動制御部307による位置決め処理は、上述の駆動制御部207による処理と同様であるため、詳細な説明は省略する。
【0068】
制御部311は、固定部材検出ユニット2から受信した位置情報(X
i,Y
i,Z
i){i=2,3・・・}とネジ穴の形状を示す情報を記録部312に記録する。この制御部311は、記録部312から位置情報(X
i,Y
i,Z
i){i=2,3・・・}を順次読み出して、この位置情報(X
i,Y
i,Z
i)が示す位置に固定解除ツール301のビットの先端を移動させるように駆動制御部304に指示する。
【0069】
(ステップST201)
はじめに、駆動制御部304は、位置情報(X
i,Y
i)が示す位置と固定解除ツール301のビットの回転軸とが直交する位置に固定解除ツール301を移動させるようにXYZ移動機構302のX移動機構302xとY移動機構302yとを動作させる。これにより、
図18(a)に示す位置P1に固定解除ツール301のビットの先端が位置される。なお、このときのZ座標値は、ディスプレイDPから十分離れた位置として予め決められている。
【0070】
(ステップST202)
次いで、駆動制御部304は、位置情報(Z
i)が示す位置よりも手前(例えば、Z座標値=Z
iよりも5mm上)まで固定解除ツール301を下降させるようにXYZ移動機構302を動作させる。つまり、駆動制御部304は、固定解除ツール301の先端がZ座標値=Z
i+5mmの位置となるように、XYZ移動機構302のZ移動機構302zを駆動して、固定解除ツール301のドライバービットを下降させる。なお、駆動制御部304は、この固定解除ツール301のドライバービットが、位置P1から位置P2までは、第1のスピードでZ軸方向に移動するように制御する。
【0071】
(ステップST203)
これにより、固定解除ツール301のドライバービットは、その回転軸がXY座標値(X
i,Y
i)と直交する位置に位置されるとともに、その先端がZ座標値(Z
i+5mm)の位置に位置される。つまり、
図18(a)に示す位置P2に固定解除ツール301のドライバービットの先端が位置される。この駆動制御部304は、位置P2にドライバービットが到達した場合、固定解除ツール301の動きを一時的に停止するようにしてもよい。
【0072】
(ステップST204)
そして、駆動制御部304は、ネジNJを緩める方向(例えば左回転)に固定解除ツール301のドライバービットを低速回転させるように回転移動機構303を動作させる。これにより、固定解除ツール301のドライバービットは、Z軸と平行な回転軸を中心にして低速で回転する。
【0073】
(ステップST205)
次いで、駆動制御部304は、最長でも位置情報(Z
i)が示す位置まで固定解除ツール301の先端を低速で下降させるようにXYZ移動機構302を動作させる。つまり、駆動制御部304は、回転移動機構303が固定解除ツール301のドライバービットを回転させるためのトルクが回転閾値以上まで上昇したか否かを判定しながら、固定解除ツール301の移動量を調整する。この回転トルクが閾値以上となった場合、モータ制御部341cは、固定解除ツール301のドライバービットの先端がネジ穴と嵌合している状態であると判定し、固定解除ツール301のZ軸方向の移動を停止することを指示するコマンドをモータ制御部341zに出力する。
【0074】
(ステップST206)
また、モータ制御部341cは、固定解除ツール301のドライバービットの先端がネジNJのネジ穴と嵌合している状態であると判定した場合、固定解除ツール301のドライバービットの回転速度を上げるような駆動コマンドを駆動部342cに出力する。これにより、固定解除ツール301のドライバービットの回転速度が上がり、ドライバービットがネジNJを緩める。
(ステップST207)
そして、モータ制御部341zは、固定解除ツール301を上方に上げるように、つまり、ディスプレイDPから離れる方向に固定解除ツール301を移動させるように、駆動部342zを駆動する。これにより、固定解除ツール301のドライバービットは、回転しながら上方に持ち上げられる。
【0075】
(ステップST208)
ドライバービットが上方に持ち上げられた場合、モータ制御部341cは、ドライバービットの回転を停止させるような駆動コマンドを駆動部342cに出力する。これにより、ドライバービットの回転が停止する。
(ステップST209)
モータ制御部341zは、固定解除ツール301のドライバービットを回収位置まで持ち上げる。このモータ制御部341zは、例えば、
図18(b)に示す位置P4に固定解除ツール301のドライバービットの先端が位置される回収位置までドライバービットを持ち上げる。
(ステップST210)。
そして、モータ制御部341xとモータ制御部341yは、固定解除ツール301のドライバービットを回収ボックス309まで搬送してネジNJを回収ボックス309に収容する。
【0076】
(ステップST211)
制御部311は、回収ボックス309に回収したネジNJの本数と、固定部材検出ユニット2により位置情報が検出されたネジNJの本数(i)とを比較する。
(ステップST212)
次いで、制御部311は、回収したネジNJの本数と、位置情報を検出したネジNJの本数(i)とが一致したか否かを判定する。一致しない場合、ステップST201に戻って、全てのネジNJの本数(i)だけ、ステップST201〜211の処理を繰り返す。
(ステップST213)
そして、固定解除ツール301のドライバービットを元の位置に戻して処理を終了させる。
【0077】
上述の通り、固定部材検出ユニット2によって固定部材であるネジNJの位置を検出するとともに、固定部材解体ユニット3によって検出されたネジNJを取り外すことによって、解体作業員の手作業を介さずに、解体作業を実行することができる。また、搬送ユニット4によって、固定部材検出ユニット2と固定部材解体ユニット3間を解体作業の順番に従って解体対象であるディスプレイDPを搬送することができる。これにより、解体作業に要する労力を軽減することができる。
【0078】
また、載置されたディスプレイDPの垂直方向にそれぞれ異なる高さ位置で焦点が合うようにディスプレイDPを撮像することにより、各ネジNJに焦点が合った画像を取得する可能性が高まり、より鮮明に各ネジNJを撮像した画像を取得することができる。よって、これら画像に基づきネジNJを検出することにより、その検出精度を向上させることができる。
【0079】
さらに、ディスプレイDPの垂直方向の長さ(高さ情報)を示す高さ情報を用いることにより、容易にディスプレイDPの垂直方向におけるいずれかの高さ位置の被写体面に焦点が合うような画像を撮像することができる。
【0080】
また、解体対象の垂直方向の長さを測定する高さ測定ユニット1を備えることにより、各解体対象の垂直方向の長さを解体対象毎に測定し、この測定結果を固定部材検出ユニット2に提供することができる。よって、解体作業に要する労力を軽減することができる。
【0081】
さらに、同一のネジNJを撮像した撮像画像が複数枚取得された場合、これら複数の撮像画像のうち、最も焦点の合っている撮像画像、つまり、最もネジNJが鮮明に撮像されている撮像画像を用いて、このネジNJを検出することができる。よって、撮像画像内におけるネジNJの位置を精度よく検出することができる。また、最も焦点の合っている撮像画像を特定することにより、この撮像画像を撮像したカメラ201とネジNJの焦点距離が決定されるため、ネジNJの垂直方向における位置を算出することができる。
【0082】
なお、本発明に係る固定部材解体ユニット3の固定解除ツール301は、上述のドライバービットに限られず、例えば、以下のような構成を有する部材であってもよい。
この固定解除ツール301の他の例について、
図19を参照して説明する。
図19は、ネジ穴の断面図を示す。
つまり、固定解除ツール301は、
図19(a)に示す通り、ネジNJの頭部を削るような切断部を備えるものであってもよい。また、固定解除ツール301は、
図19(b)に示す通り、ディスプレイDPのキャビネットのネジ穴の底部を削るような切断部を備えるものであってもよい。さらに、固定解除ツール301は、
図19(c)に示す通り、ディスプレイDPのキャビネットのネジ穴の上部を削るような切断部を備えるものであってもよい。また、固定解除ツール301は、
図19(d)に示す通り、ディスプレイDPのキャビネットのネジNJ部分を全て削るような切断部を備えるものであってもよい。
【0083】
このように、
図19(a)〜(d)に示す通り、ネジNJの水平面方向の位置(XY座標値)を用いる固定解除ツール301を用いる場合、ネジNJの垂直方向の位置(Z座標値)はなくてもよい。つまり、固定部材解体システム100は、固定部材検出ユニット2により取得された位置情報(X
i,Y
i)のみで、固定部材解体ユニット3におけるネジNJの固定解除処理を実行することができる。よって、
図19(a)〜(d)に示すようなネジNJの水平面方向の位置(XY座標値)のみを利用してネジNJを取り外すことができる固定解除ツール301を用いる場合、固定部材検出ユニット2は、取得した位置情報(X
i,Y
i)を固定部材解体ユニット3に送信し、固定部材解体ユニット3が、この位置情報(X
i,Y
i)に基づき、固定解除ツール301を用いてネジNJを取り外す。
【0084】
また、上述において、固定部材解体システム100は、高さ測定ユニット1、固定部材検出ユニット2、および固定部材解体ユニット3を、それぞれ1つずつ備える構成を例に説明した。しかし、本発明はこれに限られず、それぞれが並列に複数備えられるものであってもよい。
【0085】
また、上述した
図16に示すステップST103において、固定部材エリアL
i{i=1,2,3・・・}を検出する際に、画像解析部213は、ネジNJと似ている形状であって、誤検出しやすい画像(以下、類似画像)を除外するものであってもよい。なお、類似画像は、ネジNJに類似しているがネジNJではない画像として予め決められている。
この類似画像としては、例えば、ディスプレイDPの背面に設けられている端子穴、操作ボタン、メッシュ加工された通気孔、あるいは、「0(数字のゼロ)」や「O、Q(アルファベットのオー、キュー)」等が予め決められている。
画像解析部213は、例えば、類似画像の特徴を有する画像領域を分割画像D1〜D9のそれぞれからパターンマッチングにより検出し、固定部材エリアL
i{i=1,2,3・・・}の検出対象から誤検出しやすい画像を切り取っておくものであってもよい。これにより、ネジNJ以外の画像を誤って検出してしまう可能性を低減させるとともに、ネジNJの画像の検出精度を高めることができる。
【0086】
この画像解析部213は、上述の通り事前に固定部材エリアL
i{i=1,2,3・・・}の検出対象領域から除外するものであってもよく、固定部材エリアL
i{i=1,2,3・・・}が検出された後から類似画像と判定された固定部材エリアL
i{i=1,2,3・・・}をネジNJの画像でないと判定するもであってもよい。
後者について具体的に説明すると、画像解析部213は、固定部材エリアL
i{i=1,2,3・・・}を検出した後に、この固定部材エリアL
i{i=1,2,3・・・}の中から、ネジNJと似ている類似画像とマッチングする固定部材エリアL
i{i=1,2,3・・・}があるか否かを判定する。画像解析部213は、この類似画像の特徴と対応する特徴を有する固定部材エリアL
i{i=1,2,3・・・}を、類似画像とマッチングしていると判定し、この固定部材エリアL
i{i=1,2,3・・・}をネジNJの画像でないと判定する。そして、画像解析部213は、ネジNJの画像でないと判定した固定部材エリアL
i{i=1,2,3・・・}を位置情報の検出対象から除外する。
【0087】
なお、固定部材解体システム100による手順を実現するためのプログラムをコンピュータが読み取り可能な記録媒体に記録して、この記録媒体に記録されたプログラムをコンピュータシステムに読み込ませ、実行することにより、実行処理を行ってもよい。なお、ここでいう「コンピュータシステム」とは、OS(Operating System)や周辺機器等のハードウェアを含むものであってもよい。
【0088】
また、「コンピュータシステム」は、WWWシステムを利用している場合であれば、ホームページ提供環境(あるいは表示環境)も含むものとする。また、「コンピュータが読み取り可能な記録媒体」とは、フレキシブルディスク、光磁気ディスク、ROM、フラッシュメモリ等の書き込み可能な不揮発性メモリ、CD−ROM等の可搬媒体、コンピュータシステムに内蔵されるハードディスク等の記録装置のことをいう。
【0089】
さらに「コンピュータが読み取り可能な記録媒体」とは、インターネット等のネットワークや電話回線等の通信回線を介してプログラムが送信された場合のサーバやクライアントとなるコンピュータシステム内部の揮発性メモリ(例えばDRAM(Dynamic Random Access Memory))のように、一定時間プログラムを保持しているものも含むものとする。
また、上記プログラムは、このプログラムを記録装置等に格納したコンピュータシステムから、伝送媒体を介して、あるいは、伝送媒体中の伝送波により他のコンピュータシステムに伝送されてもよい。ここで、プログラムを伝送する「伝送媒体」は、インターネット等のネットワーク(通信網)や電話回線等の通信回線(通信線)のように情報を伝送する機能を有する媒体のことをいう。
また、上記プログラムは、前述した機能の一部を実現するためのものであっても良い。
さらに、前述した機能をコンピュータシステムにすでに記録されているプログラムとの組み合わせで実現できるもの、いわゆる差分ファイル(差分プログラム)であっても良い。