(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】5853953
(24)【登録日】2015年12月18日
(45)【発行日】2016年2月9日
(54)【発明の名称】トランジスタの製造方法
(51)【国際特許分類】
H01L 21/336 20060101AFI20160120BHJP
H01L 29/78 20060101ALI20160120BHJP
H01L 21/308 20060101ALI20160120BHJP
H01L 21/28 20060101ALI20160120BHJP
H01L 29/423 20060101ALI20160120BHJP
H01L 29/49 20060101ALI20160120BHJP
【FI】
H01L29/78 301G
H01L21/308 G
H01L29/78 301F
H01L21/28 301R
H01L29/58 G
H01L21/28 A
H01L29/78 301P
【請求項の数】7
【全頁数】26
(21)【出願番号】特願2012-529535(P2012-529535)
(86)(22)【出願日】2011年7月26日
(86)【国際出願番号】JP2011066996
(87)【国際公開番号】WO2012023387
(87)【国際公開日】20120223
【審査請求日】2014年5月20日
(31)【優先権主張番号】特願2010-210827(P2010-210827)
(32)【優先日】2010年9月21日
(33)【優先権主張国】JP
(31)【優先権主張番号】特願2010-184999(P2010-184999)
(32)【優先日】2010年8月20日
(33)【優先権主張国】JP
(73)【特許権者】
【識別番号】000004466
【氏名又は名称】三菱瓦斯化学株式会社
(72)【発明者】
【氏名】島田 憲司
(72)【発明者】
【氏名】松永 裕嗣
(72)【発明者】
【氏名】安部 幸次郎
(72)【発明者】
【氏名】山田 健二
【審査官】
市川 武宜
(56)【参考文献】
【文献】
特開2009−152342(JP,A)
【文献】
特開2009−004510(JP,A)
【文献】
特開2004−206967(JP,A)
【文献】
特開2004−277576(JP,A)
【文献】
特開2007−214456(JP,A)
【文献】
特表2004−502980(JP,A)
【文献】
特開2006−351813(JP,A)
【文献】
特開2002−359369(JP,A)
【文献】
特開2008−047898(JP,A)
【文献】
特開平10−189722(JP,A)
【文献】
特開2004−221226(JP,A)
【文献】
特開平09−252114(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01L 21/336
H01L 21/28
H01L 21/308
H01L 29/423
H01L 29/49
H01L 29/78
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
基板上に、少なくとも高誘電材料膜とその表面にシリコン自然酸化膜を有するシリコンからなるダミーゲートとが積層してなるダミーゲート積層体、該積層体の側面を覆うように設けられるサイドウォール、及び該サイドウォールを覆うように設けられる層間絶縁膜を有する構造体を用い、以下の工程(I)の後に工程(II)を有し、かつ該ダミーゲートをアルミニウム金属ゲートに入れ替えることを特徴とするトランジスタの製造方法。
工程(I)シリコン自然酸化膜を、0.01〜8重量%のフッ素化合物、20〜90重量%のエタノール、2−プロパノール、グリセリン、エチレングリコール及びジエチレングリコールから選ばれるアルコール類、ジエチレングリコールモノメチルエーテル、ジエチレングリコールモノブチルエーテル、ジプロピレングリコールモノメチルエーテル及びジプロピレングリコールモノプロピルエーテルから選ばれるグリコールエーテル類、N,N−ジメチルホルムアミド、N,N−ジメチルアセトアミド及びN−メチル−2−ピロリドンから選ばれるアミド類から選ばれる少なくとも1種以上である水溶性有機溶媒、及び水を含有するエッチング液(I)を用いてエッチングする工程。
工程(II)シリコンを、アンモニア、ジアミン、及び一般式(1)で表されるポリアミンから選ばれる少なくとも1種であるアルカリ化合物を0.1〜40重量%、一般式(2)で表される多価アルコールから選ばれる少なくとも1種を5〜50重量%、ならびに水40〜94.9重量%を含有するエッチング液(II)を用いてエッチングする工程。
H2N−(CH2CH2NH)m−H ・・・(1)
(mは2〜5の整数である。)
H−(CH(OH))n−H ・・・(2)
(nは3〜6の整数である。)
【請求項2】
フッ化化合物が、フッ化水素酸、フッ化アンモニウム及び酸性フッ化アンモニウムから選ばれる少なくとも1種である請求項1に記載のトランジスタの製造方法。
【請求項3】
エッチング液(I)が、さらに酸を添加したものである請求項1に記載のトランジスタの製造方法。
【請求項4】
酸が、塩酸、硝酸、硫酸及びリン酸から選ばれる無機酸、ならびに酢酸、プロピオン酸、シュウ酸及びメタンスルホン酸から選ばれる有機酸から選ばれる少なくとも1種である請求項3に記載のトランジスタの製造方法。
【請求項5】
エッチング液(I)における酸の濃度が、5重量%以下である請求項3に記載のトランジスタの製造方法。
【請求項6】
エッチング液(II)のジアミン及び一般式(1)で表されるポリアミンが、エチレンジアミン、1,2−プロパンジアミン、1,3−プロパンジアミン、ジエチレントリアミン、及びトリエチレンテトラミンから選ばれる少なくとも1種である請求項1に記載のトランジスタの製造方法。
【請求項7】
エッチング液(II)の一般式(2)で表される多価アルコールが、グリセリン、meso−エリトリトール、キシリトール、及びソルビトールから選ばれる少なくとも1種である請求項1に記載のトランジスタの製造方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、シリコンが空気と接触することで、その表面に生成するシリコン自然酸化膜を選択的に除去して得られる、少なくとも高誘電材料膜とアルミニウム金属ゲートとが積層してなる積層体を有するトランジスタの製造方法、さらにシリコンを選択的に除去して得られる、少なくとも高誘電材料膜とアルミニウム金属ゲートとが積層してなる積層体を有するトランジスタの製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
これまで半導体はトランジスタのゲート長、ゲート厚みを縮小していくいわゆる微細化によって、性能、コスト、消費電力を向上させてきた。しかし、今日要求される微細化を達成しようとすると、酸化シリコンを用いる従来のゲート絶縁膜ではゲート厚みが薄くな りすぎてしまい、トンネル電流起因のリーク電流が増大し、消費電力が大きくなってしまう。さらに近年、半導体素子が使用される機器に、携帯電話やノートパソコン、携帯型音楽プレーヤーなど持ち運んで使用するものが多くなってきた。この場合、電力は充電池から供給され場合が多いので、長時間使用を目指して半導体素子には低消費電力が求められている。そこで、待機中のリーク電流を少なくする目的で、トランジスタを構成する絶縁材料とゲート電極の組み合わせとして、従来用いられてきた酸化シリコンと多結晶シリコンの代わりに高誘電材料と金属ゲートを用いる技術が考案された。この時、選択される金属の一つとしてアルミニウムが挙げられる(特許文献1)。
【0003】
この高誘電材料と金属ゲートの製造方法には様々な方法が提案されているが、方法の一つとして、高誘電材料と多結晶シリコンの組み合わせでトランジスタ形状を作製したのちに、多結晶シリコンを除去して金属ゲートに入れ替える、ゲートラストと呼ばれる方法がある(非特許文献1)。
図1に高誘電材料を用いた半導体素子における多結晶シリコン除去前のトランジスタの一部を断面模式図で示した。この多結晶シリコンのエッチングにアルカリ性の溶液が使われる場合がある。通常、この多結晶シリコンはエッチングされる前に大気中に暴露されるので、多結晶シリコンの表面にはシリコンの自然酸化膜が形成されているが、このシリコンの自然酸化膜はアルカリ性溶液でエッチングすることができない。さらに多結晶シリコンの周囲にはアルミニウム、層間絶縁膜、サイドウォールが存在し、これらはエッチングしてはならない部位である。以上のことから、アルカリ性溶液で多結晶シリコンをエッチングする前にアルミニウム、層間絶縁膜、サイドウォールをエッチングせずにシリコン自然酸化膜を除去する技術が必要となる。
続いて、露出させた多結晶シリコンをエッチングしなければならない。そして、多結晶シリコンをエッチングすることにより露出する高誘電材料をもエッチングしてはならない部位である。以上のことから、アルミニウム、層間絶縁膜、サイドウォールおよび高誘電材料をエッチングせずに、シリコン自然酸化膜を除去して露出させた多結晶シリコンをエッチングする技術が必要となる。
【0004】
シリコン自然酸化膜をエッチングする技術として、多結晶シリコンの自然酸化膜を希フッ酸で除去した後、均質なケミカル酸化膜を形成する技術が提案されている(特許文献2)。しかし、この技術はアルミニウムをエッチングしてしまうため、使用することができない(比較例1−1、及び2−1を参照)。
【0005】
シリコン自然酸化膜と熱酸化膜の選択エッチング技術として、フッ化水素酸水溶液の蒸気と2−プロパノールなどの希釈用溶媒蒸気を混合させて真空排気した反応室内に導入して基板上のシリコン自然酸化膜を除去する技術が提案されている(特許文献3)。しかし、フッ化水素はアルミニウムをエッチングすることから、この技術では所望の半導体が得られない。加えて、この技術はシリコン自然酸化膜と熱酸化膜を比較したときにエッチングが開始される時間の差を利用した技術である。すなわち、この技術は本質的には熱酸化膜をエッチングするものであり、利用に際しては処理時間の非常に厳密な制御が必要となり、利用が困難であった。
【0006】
また、シリコン自然酸化膜と熱酸化膜の選択エッチング技術として、水素雰囲気中で900〜1050℃の熱処理を行うことによりシリコン自然酸化膜を除去する技術が提案されている(特許文献4)。多結晶シリコンを除去して金属ゲートに入れ替える方法の特長の一つとして、ソースとドレインの不純物領域を高精度に制御した熱処理後に追加で熱処理をする必要がなく、設計通りの不純物拡散が得られることが挙げられる。この技術でシリコン自然酸化膜を除くと、熱処理により意図しない不純物の拡散が起こり所望の特性が得られない。
【0007】
シリコン自然酸化膜エッチング技術として、フッ素系ガスによるドライエッチング技術が提案されている(特許文献5)。しかし、フッ素系ガスによるドライエッチングは層間絶縁膜もエッチングするため、所望の半導体が得られない。
そこで、アルミニウムと層間絶縁膜とサイドウォールをエッチングせずにシリコン自然酸化膜を選択的に除去する、少なくとも高誘電材料膜とアルミニウム金属ゲートとが積層してなる積層体を有するトランジスタの製造方法が必要となる。
【0008】
多結晶シリコンをエッチングする方法としてドライエッチングが知られている(特許文献1)。しかし、ドライエッチングはアルミニウムや層間絶縁膜もエッチングするため、アルミニウムと層間絶縁膜の上にフォトレジストなどの保護膜を設ける必要がある。保護膜を設けると製造工程が複雑になり、歩留まりの低下、製造コストの増大を招く恐れがある。さらに、フォトレジストを除去するために行われるアッシング処理は、アルミニウムと層間絶縁膜にダメージを与えるため、トランジスタの性能を低下が懸念される。また、通常、微小なシリコン残りを防ぐ目的でシリコンの単位時間あたりのエッチング量(以後、エッチレートと呼ぶ。)から計算されるエッチング処理時間よりも長い時間エッチングするオーバーエッチングが行われる。ドライエッチングはオーバーエッチングの際にシリコンのエッチング後に露出した高誘電材料をエッチングしたり、変質させたりするため、トランジスタの性能が低下する場合がある。
【0009】
シリコンをウェットエッチング法でエッチングする洗浄液として種々のアルカリ性洗浄液が知られている(非特許文献2)。しかし、これらの洗浄液は多結晶シリコンだけでなくアルミニウムもエッチングしてしまう(比較例2−6を参照)。
【0010】
アルミニウムをエッチングすることなくシリコンをエッチングする技術として、水酸化テトラメチルアンモニウムにシリコンを溶解したシリコンの異方性エッチング液が提案されている(特許文献6)。しかし、この技術は高温で使用することを前提としていることから、近年、ウェットエッチングにおいてパーティクルを抑制するために半導体製造で通常用いられる1枚ずつシリコンウェハを洗浄する枚葉洗浄装置を用いた場合、安定したエッチング能力を提供できない。枚葉洗浄装置で使用できる温度で用いた場合、シリコンのエッチレートが小さすぎるため、高誘電材料と金属ゲートを含んだトランジスタ形成工程におけるシリコンエッチングには使用できない。また、温度が下がった場合に沈殿が生じることから、半導体のトランジスタ部のように微小なパーティクルの残存も許容できない工程には使用できない(比較例2−7を参照)。
【0011】
アルミニウムやアルミニウム合金をエッチングすることなくシリコンのみを選択的に異方性エッチングすることのできるエッチング剤組成物としてアルカリ水溶液に還元性化合物と防食剤を添加したアルカリ系エッチング剤組成物が提案されている(特許文献7)。しかし、この技術はアルミニウムのエッチレートが大きすぎるため、高誘電材料と金属ゲートを含んだトランジスタ形成工程におけるシリコンエッチングには使用できない(比較例2−8を参照)。
【0012】
アルミニウムのエッチングを抑制し、塩素を除去する技術として第4級アンモニウム水酸化物、糖類または糖アルコールを含有する水溶液が提案されている(特許文献8)。しかし、特許文献8は塩素の除去という観点でアルミニウムのエッチングを防止するものであり、該アルカリ性剥離液のシリコンのエッチング能力について言及されていない。すなわち、特許文献8はアルミニウム膜をエッチングせずにシリコンをエッチングすることを目的とする本発明とは異なる技術思想である。さらに、特許文献8で開示されている水溶液のシリコンのエッチレートは小さすぎるため、本発明の対象である高誘電材料と金属ゲートを含んだトランジスタ形成工程におけるシリコンエッチングには使用できない(比較例2−9を参照)。
【0013】
また、アルミニウムのエッチングを抑制し、接着フィルムの接着力を弱める剥離液が提案されている(特許文献9)。しかし、特許文献9は接着フィルムの接着力を弱める能力を妨げないという観点でアルミニウムのエッチングを防止するアルカリ性剥離液を提案しており、該アルカリ性剥離液のシリコンのエッチング能力について言及されていない。よって、特許文献9はアルミニウム膜をエッチングせずにシリコンをエッチングすることを目的とする本発明とは異なる技術である。さらに、特許文献9で使用できる剥離液は、アルカリ性を呈する溶液であれば特に限定されない、とされている。しかし、シリコンのエッチングに使用できるアルカリ性を呈する化合物は限定される。すなわち、特許文献9を基に本発明に適した化合物を類推することは容易ではない(比較例2−10を参照)。
【0014】
アルミニウムのエッチングを抑制し、ポリイミド配向膜を除去する技術として第4級アンモニウム水酸化物、トリアルキルアミン、アルコールまたはアルキルエーテルを含有する水溶液が提案されている(特許文献10)。しかし、この洗浄液ではシリコンのエッチング能力が小さく、本目的には使用できない(比較例2−11を参照)。
【0015】
そこで、アルミニウム、層間絶縁膜、及びサイドウォールをエッチングせずにシリコン自然酸化膜を選択的に除去し、さらにアルミニウム、層間絶縁膜、サイドウォール、及び高誘電材料膜をエッチングせずにシリコンを選択的に除去する、少なくとも高誘電材料膜とアルミニウム金属ゲートとが積層してなる積層体を有するトランジスタの製造方法が強く要望されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0016】
【特許文献1】米国特許第7316949号明細書
【特許文献2】特開2004−152862号公報
【特許文献3】特開平9−17766号公報
【特許文献4】特開2004−87960号公報
【特許文献5】特開平3−219625号公報
【特許文献6】特開平4−370932号公報
【特許文献7】特開2007−214456号公報
【特許文献8】特開平4−48633号公報
【特許文献9】特開2005−229053号公報
【特許文献10】特開2006−8932号公報
【非特許文献】
【0017】
【非特許文献1】応用物理 76,9,2007,p.1006
【非特許文献2】マイクロマシン/MEMS技術大全 2003,p.111
【図面の簡単な説明】
【0018】
【
図1】シリコン除去前の高誘電材料を用いたトランジスタの断面図である。
【符号の説明】
【0019】
1:ダミーゲート(シリコン)
2:アルミニウム金属ゲート
3:高誘電材料膜
4:サイドウォール
5:層間絶縁膜
6:シリコン自然酸化膜
7:アイソレーション
8:ソース/ドレイン
9:基板
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0020】
本発明は、このような状況下になされたもので、シリコンが空気と接触することで、その表面に生成するシリコン自然酸化膜を選択的に除去して得られる、少なくとも高誘電材料膜とアルミニウム金属ゲートとが積層してなる積層体を有するトランジスタの製造方法、さらにシリコンを選択的に除去して得られる、少なくとも高誘電材料膜とアルミニウム金属ゲートとが積層してなる積層体を有するトランジスタの製造方法を提供することを目的とするものである。
【課題を解決するための手段】
【0021】
本発明者らは、前記目的を達成するために鋭意研究を重ねた結果、シリコン自然酸化膜、及びシリコンに対して各々特定のエッチング液を用いることにより、その目的を達成し得ることを見出した。本発明は、かかる知見に基づいて完成したものである。すなわち、本発明の要旨は下記のとおりである。
【0022】
1.基板上に、少なくとも高誘電材料膜とその表面にシリコン自然酸化膜を有するシリコンからなるダミーゲートとが積層してなるダミーゲート積層体、該積層体の側面を覆うように設けられるサイドウォール、及び該サイドウォールを覆うように設けられる層間絶縁膜を有する構造体を用い、以下の工程(I)を有し、かつ該ダミーゲートをアルミニウム金属ゲートに入れ替えることを特徴とするトランジスタの製造方法。
工程(I)シリコン自然酸化膜を、0.01〜8重量%のフッ素化合物、20〜90重量%の水溶性有機溶媒、及び水を含有するエッチング液を用いてエッチングする工程
2.工程(I)の後に以下の工程(II)を有する上記1に記載のトランジスタの製造方法。
工程(II)シリコンを、アンモニア、ジアミン、及び一般式(1)で表されるポリアミンから選ばれる1種以上であるアルカリ化合物を0.1〜40重量%、一般式(2)で表される多価アルコールから選ばれる1種以上を5〜50重量%、ならびに水40〜94.9重量%を含有するエッチング液(II)を用いてエッチングする工程
H
2N−(CH
2CH
2NH)
m−H ・・・(1)
(mは2〜5の整数である。)
H−(CH(OH))
n−H ・・・(2)
(nは3〜6の整数である。)
3.フッ化化合物が、フッ化水素酸、フッ化アンモニウム及び酸性フッ化アンモニウムから選ばれる少なくとも1種である上記1又は2に記載のトランジスタの製造方法。
4.水溶性有機溶媒が、エタノール、2−プロパノール、グリセリン、エチレングリコール及びジエチレングリコールから選ばれるアルコール類、ジエチレングリコールモノメチルエーテル、ジエチレングリコールモノブチルエーテル、ジプロピレングリコールモノメチルエーテル及びジプロピレングリコールモノプロピルエーテルから選ばれるグリコールエーテル類、N,N−ジメチルホルムアミド、N,N−ジメチルアセトアミド及びN−メチル−2−ピロリドンから選ばれるアミド類、ならびにジメチルスルホキシドから選ばれる少なくとも1種以上である上記1又は2に記載のトランジスタの製造方法。
5.エッチング液(I)が、さらに酸を添加したものである上記1に記載のトランジスタの製造方法。
6.酸が、塩酸、硝酸、硫酸及びリン酸から選ばれる無機酸、ならびに酢酸、プロピオン酸、シュウ酸及びメタンスルホン酸から選ばれる有機酸から選ばれる少なくとも1種である上記5に記載のトランジスタの製造方法。
7.エッチング液(I)における酸の濃度が、5重量%以下である上記5に記載のトランジスタの製造方法。
8.エッチング液(II)のジアミン及び一般式(1)で表されるポリアミンが、エチレンジアミン、1,2−プロパンジアミン、1,3−プロパンジアミン、ジエチレントリアミン、及びトリエチレンテトラミンから選ばれる少なくとも1種である上記2に記載のトランジスタの製造方法。
9.エッチング液(II)の一般式(2)で表される多価アルコールが、グリセリン、meso−エリトリトール、キシリトール、及びソルビトールから選ばれる少なくとも1種である上記2に記載のトランジスタの製造方法。
10.高誘電材料膜を形成する高誘電材料が、HfO
2、HfSiO、HfSiON、HfLaO、HfLaON、HfTiSiON、HfAlSiON、HfZrO、又はAl
2O
3である上記1又は2に記載のトランジスタの製造方法。
【発明の効果】
【0023】
本発明によれば、シリコンからなるダミーゲートを除去してアルミニウム金属ゲートに入れ替える方法で、少なくとも高誘電材料膜とアルミニウム金属ゲートとからなる積層体を有するトランジスタを製造する方法において、アルミニウム、層間絶縁膜、及びサイドウォールをエッチングせずに、シリコンが空気と接触することで、その表面に生成するシリコン自然酸化膜を選択的に除去し、さらにアルミニウム、層間絶縁膜、サイドウォール、及び高誘電材料膜をエッチングせずに、シリコンを選択的に除去することが可能となり、高精度、高品質のトランジスタを歩留まりよく製造することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0024】
本発明のトランジスタの製造方法は、基板上に、少なくとも高誘電材料膜とその表面にシリコン自然酸化膜を有するシリコンからなるダミーゲートとが積層してなるダミーゲート積層体、該積層体の側面を覆うように設けられるサイドウォール、及び該サイドウォールを覆うように設けられる層間絶縁膜を有する構造体を用い、シリコン自然酸化膜を、0.01〜8重量%のフッ素化合物、20〜90重量%の水溶性有機溶媒、及び水を含有するエッチング液を用いてエッチングする工程(I)を少なくとも有し、かつ該ダミーゲートをアルミニウム金属ゲートに入れ替えることを特徴とするものである。ここで、アルミニウム金属ゲートは、アルミニウム金属を含有する金属ゲートのことであり、該金属ゲートが100%アルミニウムにより形成されていなくてもよく、本発明の効果を有効的に得る観点からは、アルミニウムの含有量が50%以上であることが好ましい。また、全てのダミーゲートをアルミニウム金属ゲートに入れ替えてもよいし、その一部を入れ替えるものであってもよい。本発明においては、トランジスタの一部の部位にアルミニウムが用いられていれば、その部位をエッチングすることなく、シリコン自然酸化膜、あるいはダミーゲートを形成するシリコンを選択的にエッチングするという本発明の効果が得られるからである。
【0025】
≪工程(I)≫
工程(I)は、基板上に、高誘電材料膜、及びその表面にシリコン自然酸化膜を有するシリコンからなるダミーゲートを含むダミーゲート積層体、該積層体の側面を覆うように設けられるサイドウォール、及び該サイドウォールを覆うように設けられる層間絶縁膜を有する構造体の、シリコン自然酸化膜を所定のエッチング液を用いてエッチングする工程であり、本発明においては必須の工程である。トランジスタの製造において、ダミーゲートの材料として用いられる多結晶シリコンなどのシリコン材料が空気と接触することでその表面が酸化され、シリコン自然酸化膜を形成するため、これをエッチングする必要がある。
本工程(I)でシリコン自然酸化膜のエッチングに用いられるエッチング液(I)は、0.01〜8重量%のフッ素化合物、20〜90重量%の水溶性有機溶媒、及び水を含有する水溶液である。
【0026】
本発明に使用されるエッチング液(I)中のフッ素化合物の好ましい具体例は、フッ化水素酸、フッ化アンモニウム、酸性フッ化アンモニウムである。より好ましくはフッ化アンモニウム、酸性フッ化アンモニウムである。本発明において、これらのフッ素化合物は、単独または2種以上を組み合わせて配合できる。
【0027】
エッチング液(I)中のフッ素化合物の濃度範囲は、0.01〜8重量%であることを要し、好ましくは0.1〜5重量%で、さらに好ましくは0.2〜2重量%である。0.01重量%未満ではシリコン自然酸化膜の除去が遅くなり、8重量%より大きい場合では層間絶縁材料がエッチングされる。
【0028】
本発明に使用されるエッチング液(I)中の水溶性有機溶媒は、好ましくはアルコール類、グリコールエーテル類、アミド類、ジメチルスルホキシドである。アルコール類の具体例としては、エタノール、2−プロパノール、グリセリン、エチレングリコール、ジエチレングリコールである。グリコールエーテル類の具体例としては、ジエチレングリコールモノメチルエーテル、ジエチレングリコールモノブチルエーテル、ジプロピレングリコールモノメチルエーテル、ジプロピレングリコールモノプロピルエーテルである。アミド類の具体例としては、N,N−ジメチルホルムアミド、N,N−ジメチルアセトアミド、N−メチル−2−ピロリドンである。好ましくは、ジエチレングリコールモノメチルエーテル、ジエチレングリコールモノブチルエーテル、ジプロピレングリコールモノメチルエーテル、ジプロピレングリコールモノプロピルエーテル、N,N−ジメチルホルムアミド、N,N−ジメチルアセトアミド、N−メチル−2−ピロリドンである。本発明において、これらの水溶性有機溶媒は、単独でも2種類以上組み合わせて用いてもよい。
【0029】
エッチング液(I)中の水溶性有機溶媒の濃度範囲は、20〜90重量%であることを要し、好ましくは30〜80重量%で、さらに好ましくは40〜80重量%である。20重量%未満の場合、アルミニウムがエッチングされる。90重量%より大きい場合、層間絶縁材料がエッチングされる。
【0030】
本発明に使用されるエッチング液(I)に酸を加えてもよい。本発明に使用されるエッチング液(I)中の酸は無機酸でも有機酸でも使用可能である。無機酸の好ましい具体例としては、塩酸、硝酸、硫酸、リン酸である。有機酸の好ましい具体例としては、酢酸、プロピオン酸、シュウ酸、メタンスルホン酸である。
【0031】
本発明に使用される上記酸は単独でも2種類以上組み合わせて用いてもよい。酸の濃度範囲は、5重量%以下、好ましくは3重量%以下、さらに好ましくは2重量%以下である。5重量%以下であると、アルミニウムと層間絶縁材料がエッチングされることがない。
【0032】
本発明において、シリコン自然酸化膜のエッチングに用いられるエッチング液(I)には、所望により本発明の目的を損なわない範囲で従来からエッチング液に使用されている界面活性剤や防食剤のような添加剤を配合してもよい。
【0033】
工程(I)のエッチングを実施する際の温度は、通常10〜80℃程度であり、好ましくは20〜60℃、より好ましくは20〜50℃の範囲であり、エッチングの条件や使用される基板材料により適宜選択すればよい。
【0034】
工程(I)を実施する際の処理時間は、通常0.1〜20分程度であり、好ましくは0.2〜10分、より好ましくは0.3〜5分、さらに好ましくは、0.3〜3分の範囲である。エッチングの条件や使用される基板材料により適宜選択すればよい。
【0035】
工程(I)においては、必要に応じて超音波を併用することができる。
また、本発明の製造方法により、基板上のシリコン自然酸化膜を除去した後のリンス液としては、アルコールのような有機溶剤を使用する必要はなく、水でリンスするだけで十分である。
【0036】
本発明においては、工程(I)でシリコンが空気と接触することで、その表面に生成するシリコン自然酸化膜をエッチングした後、通常、シリコンのエッチングに用いられるエッチング液、例えば水酸化テトラメチルアンモニウムを有効成分として含むエッチング液を用いて、シリコンをエッチングし、ダミーゲートを除去する。このシリコンのエッチングを行う工程として好ましい態様である工程(II)を説明する。
【0037】
≪工程(II)≫
本発明のトランジスタの製造方法は、工程(I)の後に所定のエッチング液(II)を用いてシリコンをエッチングする工程を有することが好ましい。本工程(II)でシリコンのエッチングに用いられるエッチング液(II)は、アンモニア、ジアミン、及び一般式(1)で表されるポリアミンから選ばれる1種以上であるアルカリ化合物を0.1〜40重量%、一般式(2)で表される多価アルコールから選ばれる1種以上を5〜50重量%、ならびに水40〜94.9重量%を含有する水溶液である。
H
2N−(CH
2CH
2NH)
m−H ・・・(1)
(mは2〜5の整数である。)
H−(CH(OH))
n−H ・・・(2)
(nは3〜6の整数である。)
【0038】
本発明で用いられるアルカリ化合物は、シリコンをエッチングするものであり、アンモニア、ジアミン、及び一般式(1)で表されるポリアミンから選ばれる少なくとも1種の化合物である。本発明で用いられるエッチング液(II)におけるジアミンとしては、エチレンジアミン、1,2−プロパンジアミン、1,3−プロパンジアミンなどが好ましく挙げられ、一般式(1)で表されるポリアミンとしては、ジエチレントリアミンおよびトリエチレンテトラミンなどが好ましく挙げられる。
エッチング液(II)中のアルカリ化合物の濃度は、通常0.1〜40重量%であり、好ましくは0.2〜40重量%で、より好ましくは0.3〜30重量%である。
【0039】
本発明で用いられるエッチング液(II)における多価アルコールは、一般式(2)で表わされる化合物から選ばれる1種以上である。一般式(2)で表される多価アルコールの好ましい具体例としては、グリセリン、meso−エリトリトール、キシリトール、ソルビトールである。
エッチング液(II)中の多価アルコールの濃度は、通常5〜50重量%であり、好ましくは6〜40重量%であり、より好ましくは7〜30重量%である。多価アルコールの濃度が5重量%以上であれば、十分なアルミニウムの腐食防止効果が得られる。一方、多価アルコールの濃度が50重量%以下であれば、シリコンエッチング能力は十分なものとなる。
【0040】
本発明におけるシリコンのエッチングに用いられるエッチング液(II)には、所望により本発明の目的を損なわない範囲で従来からエッチング液に使用されている界面活性剤や防食剤のような添加剤を配合してもよい。
【0041】
工程(II)のエッチングを実施する際の温度は、通常20〜80℃程度の範囲であり、好ましくは20〜70℃で、より好ましくは20〜60℃で、エッチングの条件や使用される基板材料により適宜選択すればよい。
【0042】
工程(II)を実施する際の処理時間は、通常0.1〜10分程度の範囲であり、好ましくは0.2〜8分で、より好ましくは0.3〜5分で、エッチングの条件や使用される基板材料により適宜選択すればよい。
【0043】
工程(II)においては、工程(I)と同様に、必要に応じて超音波を併用することができる。また、本発明の製造方法により、基板上のエッチング残渣を除去した後のリンス液としては、アルコールのような有機溶剤を使用する必要はなく、水でリンスするだけで十分である。
【0044】
≪構造体≫
本発明の製造方法において、工程(I)のエッチング工程に供される構造体は、基板上に、高誘電材料膜、及びその表面にシリコン自然酸化膜を有するシリコンからなるダミーゲートを含むダミーゲート積層体、該積層体の側面を覆うように設けられるサイドウォール、及び該サイドウォールを覆うように設けられる層間絶縁膜を有するものである。
図1に、本発明における工程(I)のエッチング工程に供される構造体の断面図を示す。
図1に示される構造体は、基板9上に、高誘電材料膜3とその表面にシリコン自然酸化膜6を有するシリコンからなるダミーゲート1とが積層してなるダミーゲート積層体、該積層体の側面を覆うように設けられるサイドウォール4、及び該サイドウォール4を覆うように設けられる層間絶縁膜5を有する構造体である。
図1に示されるように、構造体は、既にダミーゲート1がアルミニウム金属ゲート2に入れ替えられた箇所があってもよい。また、
図1にはイオン注入などの方法により形成しうるソース/ドレイン8、アイソレーション7が示されているが、通常高誘電材料膜3は、ソース/ドレイン8の間を覆うように、基板9の表面上に設けられる。
【0045】
図1から分かるように、シリコンからなるダミーゲート1は、トランジスタの製造過程において、空気と接触するため、その表面が自然酸化し、シリコン自然酸化膜6が形成してしまう。そこで、本発明においては、ダミーゲート1をエッチングする前に、工程(I)のエッチング工程でシリコン自然酸化膜6をエッチングすることにより、トランジスタの各部位の損傷を防止し、高精度、高品質のトランジスタを歩留まりよく製造することができる。
【0046】
工程(I)においてシリコン自然酸化膜6をエッチングする際には、該工程(I)で用いられるエッチング液はアルミニウム金属ゲート2、サイドウォール4、及び層間絶縁膜5に触れるため、これらの部位を損傷しないよう、すなわちシリコン自然酸化膜6を選択的にエッチングする性能が求められる。また、本発明の製造方法において好ましく採用される工程(II)においてシリコンからなるダミーゲート1をエッチングする際には、該工程(II)で用いられるエッチング液は、アルミニウム金属ゲート2、サイドウォール4、及び層間絶縁膜5に触れ、さらにダミーゲート1がエッチングされると、その下に設けられる高誘電材料膜3が露出するため、該抗誘電材料膜3にも触れるため、これらの部位を損傷しないよう、すなわちダミーゲート1を構成するシリコンを選択的にエッチングする性能が求められる。
本発明のトランジスタの製造方法は、工程(I)で上記したエッチング液(I)を採用し、好ましく採用される工程(II)で上記したエッチング液(II)を採用することで、シリコン自然酸化膜6、シリコンからなるダミーゲート1を選択的にエッチングすることを可能とすることで、高精度、高品質のトランジスタを歩留まりよく製造することを可能とした。
【0047】
≪その他の工程≫
本発明のトランジスタの製造方法は、上記した工程(I)を有していれば特に制限はないが、好ましくは上記した工程(II)を有することを特徴とするものである。本発明の好ましいトランジスタの製造方法の一態様としては、工程(A)基板上に高誘電材料膜を形成する工程、工程(B)該高誘電材料膜上にシリコンからなるダミーゲートを形成し、高誘電材料膜及びダミーゲートを含む積層体を形成する工程、工程(C)該積層体の側面を覆うようにサイドウォールを形成する工程、工程(D)該サイドウォールを覆うように層間絶縁膜を形成する工程、上記した工程(I)、上記した工程(II)、及び工程(E)該高誘電材料膜上にアルミニウム金属ゲートを形成し、高誘電材料膜及びアルミニウム金属ゲートを含む積層体する工程を順に有する製造方法が挙げられる。上記の工程(A)〜(E)については、特に制限はなく、トランジスタの製造方法における各工程で一般的に採用される方法に準じればよい。
【0048】
≪トランジスタ≫
本発明の製造方法により得られるトランジスタは、基板9上に、少なくとも高誘電材料膜3とアルミニウム金属ゲート2とが積層してなる積層体、該積層体の側面を覆うように設けられるサイドウォール4、該サイドウォール4を覆うように設けられる層間絶縁膜5を有するもの、すなわち、本発明の製造方法における工程(I)のエッチング工程に供される構造体において、ダミーゲート1をアルミニウム金属ゲートに入れ替えたものである。また、
図1に示されるように、本発明の製造方法により得られるトランジスタは、ソース/ドレイン8、及びアイソレーション7を有しており、高誘電材料膜3は、該ソース/ドレイン8の間を覆うように、基板9の表面上に設けられている。
【0049】
本発明の製造方法により製造しうるトランジスタにおいて、基板9に用いられる基板材料としては、シリコン、非晶質シリコン、ポリシリコン、ガラスなどが好ましく挙げられ、金属ゲートなどに用いられる配線材料としては、少なくともアルミニウムが用いられており、アルミニウム以外の材料、例えば銅、タングステン、チタン−タングステン、アルミニウム、アルミニウム合金、クロム、クロム合金などの配線材料が用いられていてもよい。
また、層間絶縁膜5に用いられる材料としては、高密度プラズマ化学気相法による酸化シリコン膜(HDP)、テトラエトキシシラン(TEOS)、Boron Phosphor Silicate Glass(BPSG)などが好ましく使用され、サイドウォール4に用いられる材料としては、窒化シリコン(SiN)などが好ましく使用され、高誘電材料としては、HfO
2、Al
2O
3、あるいはこれらにケイ素原子及び/又は窒素原子及び/又はLa、Ti、Zrなどの金属を含む材料が好ましく使用される。層間絶縁膜5、サイドウォール4、高誘電材料膜3に使用される材料は、これらに限定されるものではない。
【0050】
本発明の製造方法により得られるトランジスタは、トランジスタが通常有する部位、例えばバリア層や絶縁膜などを有していてもよい。バリア層を形成するバリア材料としては、バリア材料としては、チタン、窒化チタン、タンタル、窒化タンタルなどが好ましく挙げられ、絶縁膜を形成する絶縁材料としては、酸化シリコン、窒化シリコン、炭化シリコン及びこれらの誘導体などが好ましく挙げられる。
高誘電材料膜3とアルミニウム金属ゲート2とが積層してなる積層体において、該アルミニウム金属ゲートを形成する金属以外の金属材料からなる金属ゲートがさらに積層したり、例えば特性制御膜といった機能を有する層が積層されていてもよい。また、半導体材料としては、ガリウム−砒素、ガリウム−リン、インジウム−リンなどの化合物半導体や、クロム酸化物などの酸化物半導体などが好ましく挙げられる。
本発明の製造方法により得られるトランジスタは、高精度、高品質のトランジスタである。
【実施例】
【0051】
次に、本発明を実施例により、さらに詳しく説明するが、本発明は、これらの例によってなんら限定されるものではない。
【0052】
1−1,評価方法
SEM観察:株式会社日立ハイテクノロジーズ社製、超高分解能電界放出形走査電子顕微鏡S−5500を用いて観察し、以下の基準で評価した。
判定;
(シリコン自然酸化膜の除去評価基準)
○:シリコン自然酸化膜6が完全に除去された。
×:シリコン自然酸化膜6が除去されなかった。
(Alダメージ評価基準)
◎:洗浄前と比べてアルミニウム金属ゲート2に変化が見られなかった。
○:アルミニウム金属ゲート2表面に少し荒れが見られた。
×:アルミニウム金属ゲート2に大きな穴が見られた。
(層間絶縁膜ダメージ評価基準)
◎:洗浄前と比べて層間絶縁膜5に変化が見られなかった。
○:層間絶縁膜5がわずかにくぼんでいた。
×:層間絶縁膜5が大きくくぼんでいた。
【0053】
実施例1−1〜1−13
基板9としてシリコンウェハを採用し、該シリコンウェハ上にトランジスタ構造を有する、
図1に示すような断面図の構造体を用意した。層間絶縁膜5は高密度プラズマ(HDP)CVDにより堆積させた酸化シリコン膜である。サイドウォール4は窒化シリコンである。ダミーゲート1のシリコンの表面に存在するシリコン自然酸化膜6を除去するため、各実施例について第1−2表に示したエッチング液(I)(各エッチング液(I)の組成は第1−1表を参照)に所定の温度、時間で浸漬し(エッチング工程(I))、超純水によるリンス、乾燥窒素ガス噴射による乾燥を行った。薬液洗浄後のトランジスタ断面をSEMで観察することにより、アルミニウム金属ゲート2と層間絶縁膜5とサイドウォール4の状態を観察した。サイドウォール4がエッチングされていた場合はなかったので、これ以降はサイドウォール4の状態については言及しない。
【0054】
上記操作の後、水酸化テトラメチルアンモニウム5重量%と水95重量%からなる水溶液に80℃で2分間浸漬し、超純水によるリンス、乾燥窒素ガス噴射による乾燥を行った。
【0055】
その後のトランジスタ断面をSEMで観察することにより、ダミーゲート1を形成するシリコンの状態を観察した。第1−1表のエッチング液(I)への浸漬でシリコン自然酸化膜6がエッチングされた場合、次の水酸化テトラメチルアンモニウム水溶液での処理でダミーゲート1を形成するシリコンがエッチングされる。しかし、第1−1表のエッチング液(I)への浸漬でシリコン自然酸化膜6のエッチングが不十分な場合、次の水酸化テトラメチルアンモニウム水溶液での処理でダミーゲート1を形成するシリコンのエッチングが不十分となる。よって、SEM観察からわかるダミーゲート1を形成するシリコンのエッチング状態から第1−1表に示したエッチング液(I)のシリコン自然酸化膜6のエッチング能力が判断できる。
【0056】
第1−2表に示したように、本発明の洗浄法を適用した実施例1−1〜1−13においては、アルミニウム金属ゲート2と層間絶縁膜5のエッチングを防ぎながら、ダミーゲート1を形成するシリコンの表面のシリコン自然酸化膜6をエッチングしていることがわかる。
【0057】
比較例1−1
実施例1−1と同様の評価を、特許文献2記載の0.01重量%フッ化水素酸水溶液(第1−3表、エッチング液1−N)に示したエッチング液で行った。その結果、第1−4表に示されるように、層間絶縁膜5に変化は見られなかったものの、シリコン自然酸化膜6が除去されず、アルミニウム金属ゲート2に大きな穴が見られた。このことより、特許文献2の方法は、本発明の対象である高誘電材料とアルミニウムを含有する金属ゲートを含んだトランジスタ形成工程におけるシリコン表面のシリコン自然酸化膜の除去には使用できないことがわかる。
【0058】
比較例1−2
実施例1−1と同様の評価を、80重量%2−プロパノール水溶液(第1−3表、エッチング液1−O)に示したエッチング液で行った。その結果、第1−4表に示されるように、層間絶縁膜5とアルミニウム金属ゲート2に変化は見られなかったものの、シリコン自然酸化膜6が除去されなかった。このことより、有機溶媒の水溶液は、本発明の対象である高誘電材料とアルミニウムを含有する金属ゲートを含んだトランジスタ形成工程におけるシリコン表面のシリコン自然酸化膜の除去には使用できないことがわかる。
【0059】
比較例1−3
実施例1−1と同様の評価を、1重量%硫酸水溶液(第1−3表、エッチング液1−P)に示したエッチング液で行った。その結果、第1−4表に示されるように、層間絶縁膜5に変化は見られなかったものの、シリコン自然酸化膜6が除去されず、アルミニウム金属ゲート2に大きな穴が見られた。このことより、酸の水溶液は、本発明の対象である高誘電材料とアルミニウムを含有する金属ゲートを含んだトランジスタ形成工程におけるシリコン表面のシリコン自然酸化膜の除去には使用できないことがわかる。
【0060】
比較例1−4
実施例1−1と同様の評価を、1重量%フッ化アンモニウムと0.5重量%酢酸水溶液(第1−3表、エッチング液1−Q)に示したエッチング液で行った。その結果、第1−4表に示されるように、シリコン自然酸化膜6は除去できたものの、層間絶縁膜5が大きくくぼみ、アルミニウム金属ゲート2に大きな穴が見られた。このことより、フッ素化合物と酸の水溶液は、本発明の対象である高誘電材料とアルミニウムを含有する金属ゲートを含んだトランジスタ形成工程におけるシリコン表面のシリコン自然酸化膜の除去には使用できないことがわかる。
【0061】
比較例1−5
実施例1−1と同様の評価を、60重量%N−メチル−2−ピロリドンと0.5重量%メタンスルホン酸水溶液(第1−3表、エッチング液1−R)に示したエッチング液で行った。その結果、第1−4表に示されるように、層間絶縁膜5に変化は見られなかったものの、シリコン自然酸化膜6が除去されず、アルミニウム金属ゲート2に大きな穴が見られた。このことより、有機溶媒と酸の水溶液は、本発明の対象である高誘電材料とアルミニウムを含有する金属ゲートを含んだトランジスタ形成工程におけるシリコン表面のシリコン自然酸化膜の除去には使用できないことがわかる。
【0062】
【表1】
【0063】
【表2】
【0064】
【表3】
【0065】
【表4】
【0066】
2−1,評価方法
測定機器;
SEM観察:株式会社日立ハイテクノロジーズ社製、超高分解能電界放出形走査電子顕微鏡S−5500を用いて観察した。
FIB加工:株式会社日立ハイテクノロジーズ社製、集束イオンビーム加工装置FB−2100を用いて加工した。
STEM観察:株式会社日立ハイテクノロジーズ社製、走査透過電子顕微鏡HD−2300を用いて観察した。
判定;
(シリコンからなるダミーゲート1のエッチング状態)
○:ダミーゲート1が完全にエッチングされた。
×:ダミーゲート1のエッチングが不十分であった。
(Alダメージ評価基準)
◎:洗浄前と比べてアルミニウム金属ゲート2に変化が見られなかった。
○:アルミニウム金属ゲート2表面に少し荒れが見られた。
×:アルミニウム金属ゲート2に大きな穴が見られた。
(層間絶縁膜ダメージ評価基準)
◎:洗浄前と比べて層間絶縁膜5に変化が見られなかった。
○:層間絶縁膜5がわずかにくぼんでいた。
×:層間絶縁膜5が大きくくぼんでいた。
【0067】
実施例2−1〜2−72
基板9としてシリコンウェハを採用し、該シリコンウェハ上にトランジスタ構造を有し、該トランジスタ構造体が第2−1表に示される2−1A〜2−1Iである、
図1に示すような断面図の構造体を用意した。各実施例について、第2−4表に示される構造体を用い、シリコンからなるダミーゲート1の表面に存在するシリコン自然酸化膜6を除去するため、第2−4表に示したエッチング液(I)(各エッチング液(I)の組成は第2−2表を参照)に所定の温度、時間で浸漬し(エッチング工程(I))、超純水によるリンス、乾燥窒素ガス噴射による乾燥を行った。この操作に続けて、第2−4表に示したエッチング液(II)(各エッチング液(II)の組成は第2−3表を参照)に所定の温度、時間で浸漬し(エッチング工程(II))、超純水によるリンス、乾燥窒素ガス噴射による乾燥を行った。薬液処理後のトランジスタ断面をSEMで観察することにより、シリコンからなるダミーゲート1、アルミニウム金属ゲート2、サイドウォール4、及び層間絶縁膜5の状態を判断した。
【0068】
高誘電材料3はシリコンからなるダミーゲート1に覆われている。よって、シリコンからなるダミーゲート1がエッチング液により除かれると、エッチング液が高誘電材料3と接触することになり、この高誘電材料3の状態を観察することでエッチング液による高誘電材料へのダメージが判断できる。そこで、シリコンからなるダミーゲート1がエッチングされた場合に限り、エッチング後のトランジスタを、FIBを用いて200nm以下の厚さに薄膜化加工し、STEMで観察することにより、高誘電材料3の状態を判断した。
【0069】
第2−4表と第2−7表に示した例ではサイドウォール4、高誘電材料3がエッチングされていないことを確認した。そこで、第2−4表と第2−7表ではシリコンからなるダミーゲート1、アルミニウム金属ゲート2、層間絶縁膜5の状態の評価結果を示した。
【0070】
本発明の製造方法を適用した実施例2−1〜2−72(第2−4表)においては、アルミニウム金属ゲート2と層間絶縁膜5のエッチングを防ぎながら、シリコンからなるダミーゲート1を選択的にエッチングしていることがわかる。
【0071】
比較例2−1
トランジスタ構造1Aを有する構造体を用い、実施例2−1と同様の評価を、エッチング液(I)のかわりに特許文献2に記載の0.01重量%フッ化水素酸水溶液(第2−5表、エッチング液2−5A)を用い、エッチング液(II)のかわりに1,3−プロパンジアミン5重量%とキシリトール40重量%水溶液(第2−3表、エッチング液2−3G)を用いて行った。その結果、層間絶縁膜5に変化は見られなかったものの、シリコンからなるダミーゲート1がエッチングされず、アルミニウム金属ゲート2に大きな穴が見られた。第2−4表に示した実施例2−1〜2−13ではエッチング液2−3Gを用いてアルミニウム金属ゲート2と層間絶縁膜5のエッチングを防ぎながらシリコンからなるダミーゲート1をエッチングできている。このことより、シリコンからなるダミーゲート1がエッチングされず、アルミニウム金属ゲート2に大きな穴が見られた原因は、エッチング液(I)のかわりに用いたエッチング液2−5Aであることがわかる。よって、特許文献2の方法は、本発明の対象である高誘電材料とアルミニウムを含有する金属ゲートを含んだトランジスタ形成工程におけるシリコン表面のシリコン自然酸化膜の除去には使用できないことがわかる。
【0072】
比較例2−2
トランジスタ構造1Iを有する構造体を用い、実施例2−1と同様の評価を、エッチング液(I)のかわりに80重量%2−プロパノール水溶液(第2−5表、エッチング液2−5B)を用い、エッチング液(II)のかわりに1,3−プロパンジアミン5重量%とキシリトール40重量%水溶液(第2−3表、エッチング液2−3G)を用いて行った。その結果、層間絶縁膜5とアルミニウム金属ゲート2に変化は見られなかったものの、シリコン1がエッチングされなかった。第2−4表に示した実施例2−1〜2−13ではエッチング液2−3Gを用いてアルミニウム金属ゲート2と層間絶縁膜5のエッチングを防ぎながらシリコンからなるダミーゲート1をエッチングできている。このことより、層間絶縁膜5とアルミニウム金属ゲート2に変化は見られなかったものの、シリコンからなるダミーゲート1がエッチングされなかった原因はエッチング液(I)のかわりに用いたエッチング液2−5Bであることがわかる。よって、水溶性有機溶媒の水溶液は、本発明の対象である高誘電材料とアルミニウムを含有する金属ゲートを含んだトランジスタ形成工程におけるシリコン表面のシリコン自然酸化膜の除去には使用できないことがわかる。
【0073】
比較例2−3
トランジスタ構造1Fを有する構造体を用い、実施例2−1と同様の評価を、エッチング液(I)のかわりに1重量%硫酸水溶液(第2−5表、エッチング液2−5C)を用い、エッチング液(II)のかわりに1,3−プロパンジアミン5重量%とキシリトール40重量%水溶液(第2−3表、エッチング液2−3G)を用いて行った。その結果、層間絶縁膜5に変化は見られなかったものの、シリコンからなるダミーゲート1がエッチングされず、アルミニウム金属ゲート2に大きな穴が見られた。第2−4表に示した実施例2−1〜2−13ではエッチング液2−3Gを用いてアルミニウム金属ゲート2と層間絶縁膜5のエッチングを防ぎながらシリコンからなるダミーゲート1をエッチングできている。このことより、層間絶縁膜5に変化は見られなかったものの、シリコンからなるダミーゲート1がエッチングされず、アルミニウム金属ゲート2に大きな穴が見られた原因はエッチング液(I)のかわりに用いたエッチング液2−5Cであることがわかる。よって、酸の水溶液は、本発明の対象である高誘電材料とアルミニウムを含有する金属ゲートを含んだトランジスタ形成工程におけるシリコン表面のシリコン自然酸化膜の除去には使用できないことがわかる。
【0074】
比較例2−4
トランジスタ構造1Cを有する構造体を用い、実施例2−1と同様の評価を、エッチング液(I)のかわりに1重量%フッ化アンモニウムと0.5重量%酢酸水溶液(第2−5表、エッチング液2−5D)を用い、エッチング液(II)のかわりに1,3−プロパンジアミン5重量%とキシリトール40重量%水溶液(第2−3表、エッチング液2−3G)を用いて行った。その結果、シリコンからなるダミーゲート1はエッチングできたものの、層間絶縁膜5が大きくくぼみ、アルミニウム金属ゲート2に大きな穴が見られた。第2−4表に示した実施例2−1〜2−13ではエッチング液2−3Gを用いてアルミニウム金属ゲート2と層間絶縁膜5のエッチングを防ぎながらシリコンからなるダミーゲート1をエッチングできている。このことより、シリコンからなるダミーゲート1はエッチングできたものの、層間絶縁膜5が大きくくぼみ、アルミニウム金属ゲート2に大きな穴が見られた原因はエッチング液(I)のかわりに用いたエッチング液2−5Dであることがわかる。よって、フッ素化合物と酸の水溶液は、本発明の対象である高誘電材料とアルミニウムを含有する金属ゲートを含んだトランジスタ形成工程におけるシリコン表面のシリコン自然酸化膜の除去には使用できないことがわかる。
【0075】
比較例2−5
トランジスタ構造1Gを有する構造体を用い、実施例2−1と同様の評価を、エッチング液(I)のかわりに60重量%N−メチル−2−ピロリドンと0.5重量%メタンスルホン酸水溶液(第2−5表、エッチング液2−5E)を用い、エッチング液(II)のかわりに1,3−プロパンジアミン5重量%とキシリトール40重量%水溶液(第2−3表、エッチング液2−3G)を用いて行った。その結果、層間絶縁膜5に変化は見られなかったものの、シリコンからなるダミーゲート1がエッチングされず、アルミニウム金属ゲート2に大きな穴が見られた。第2−4表に示した実施例2−1〜2−13ではエッチング液2−3Gを用いてアルミニウム金属ゲート2と層間絶縁膜5のエッチングを防ぎながらシリコンからなるダミーゲート1をエッチングできている。このことより、層間絶縁膜5に変化は見られなかったものの、シリコンからなるダミーゲート1がエッチングされず、アルミニウム金属ゲート2に大きな穴が見られた原因は、エッチング液(I)のかわりに用いたエッチング液2−5Eであることがわかる。よって、水溶性有機溶媒と酸の水溶液は、本発明の対象である高誘電材料とアルミニウムを含有する金属ゲートを含んだトランジスタ形成工程におけるシリコン表面のシリコン自然酸化膜の除去には使用できないことがわかる。
【0076】
比較例2−6
トランジスタ構造1Dを有する構造体を用い、実施例2−1と同様の評価を、エッチング液(I)のかわりに1重量%フッ化アンモニウムと60重量%のN,N−ジメチルアセトアミドと10重量%ジエチレングリコールモノブチルエーテル水溶液(第2−2表、エッチング液2−2E)を用い、エッチング液(II)のかわりに非特許文献2に記された2重量%水酸化テトラメチルアンモニウム水溶液(第2−6表、エッチング液2−6A)を用いて行った。その結果、層間絶縁膜5に変化は見られなかったものの、シリコンからなるダミーゲート1がエッチングされず、アルミニウム金属ゲート2に大きな穴が見られた。第2−4表に示した実施例2−14〜2−22ではエッチング液2−2Eを用いてアルミニウム金属ゲート2と層間絶縁膜5のエッチングを防ぎながらシリコンからなるダミーゲート1をエッチングできている。このことより、層間絶縁膜5に変化は見られなかったものの、シリコンからなるダミーゲート1がエッチングされず、アルミニウム金属ゲート2に大きな穴が見られた原因は、エッチング液(II)のかわりに用いたエッチング液2−6Aであることがわかる。よって、非特許文献2のエッチング液は、本発明の対象である高誘電材料とアルミニウムを含有する金属ゲートを含んだトランジスタ形成工程におけるシリコンのエッチングには使用できないことがわかる。
【0077】
比較例2−7
トランジスタ構造1Bを有する構造体を用い、実施例2−1と同様の評価を、エッチング液(I)のかわりに1重量%フッ化アンモニウムと60重量%のN,N−ジメチルアセトアミドと10重量%ジエチレングリコールモノブチルエーテル水溶液(第2−2表、エッチング液2−2E)を用い、エッチング液(II)のかわりに特許文献6に記された0.5重量%水酸化テトラメチルアンモニウムと0.1重量%シリコン水溶液(第2−6表、エッチング液2−6B)を用いて行った。その結果、層間絶縁膜5とアルミニウム金属ゲート2に変化は見られなかったものの、シリコンからなるダミーゲート1がエッチングされなかった。第2−4表に示した実施例2−14〜2−22ではエッチング液2−2Eを用いてアルミニウム金属ゲート2と層間絶縁膜5のエッチングを防ぎながらシリコンからなるダミーゲート1をエッチングできている。このことより、層間絶縁膜5とアルミニウム金属ゲート2に変化は見られなかったものの、シリコンからなるダミーゲート1がエッチングされなかった原因は、エッチング液(II)のかわりに用いたエッチング液2−6Bであることがわかる。よって、特許文献6のエッチング液は、本発明の対象である高誘電材料とアルミニウムを含有する金属ゲートを含んだトランジスタ形成工程におけるシリコンのエッチングには使用できないことがわかる。
【0078】
比較例2−8
トランジスタ構造1Cを有する構造体を用い、実施例2−1と同様の評価を、エッチング液(I)のかわりに1重量%フッ化アンモニウムと60重量%のN,N−ジメチルアセトアミドと10重量%ジエチレングリコールモノブチルエーテル水溶液(第2−2表、エッチング液2−2E)を用い、エッチング液(II)のかわりに特許文献7に記された10重量%水酸化テトラメチルアンモニウムと10重量%ヒドロキシルアミンと5重量%ソルビトール水溶液(第2−6表、エッチング液2−6C)を用いて行った。その結果、シリコンからなるダミーゲート1はエッチングされており、層間絶縁膜5に変化が見られなかったが、アルミニウム金属ゲート2に大きなくぼみが見られた。第2−4表に示した実施例2−14〜2−22ではエッチング液2−2Eを用いてアルミニウム金属ゲート2と層間絶縁膜5のエッチングを防ぎながらシリコンからなるダミーゲート1をエッチングできている。このことより、シリコンからなるダミーゲート1はエッチングされており、層間絶縁膜5に変化が見られなかったが、アルミニウム金属ゲート2に大きなくぼみが見られた原因は、エッチング液(II)のかわりに用いたエッチング液2−6Cであることがわかる。よって、特許文献7のエッチング液は、本発明の対象である高誘電材料とアルミニウムを含有する金属ゲートを含んだトランジスタ形成工程におけるシリコンのエッチングには使用できないことがわかる。
【0079】
比較例2−9
トランジスタ構造1Gを有する構造体を用い、実施例2−1と同様の評価を、エッチング液(I)のかわりに1重量%フッ化アンモニウムと60重量%のN,N−ジメチルアセトアミドと10重量%ジエチレングリコールモノブチルエーテル水溶液(第2−2表、エッチング液2−2E)を用い、エッチング液(II)のかわりに特許文献8に記された2.4重量%水酸化テトラメチルアンモニウムと5重量%ソルビトール水溶液(第2−6表、エッチング液2−6D)で行った。その結果、層間絶縁膜5に変化は見られなかったものの、シリコンからなるダミーゲート1がエッチングされず、アルミニウム金属ゲート2に大きな穴が見られた。第2−4表に示した実施例2−14〜2−22ではエッチング液2−2Eを用いてアルミニウム金属ゲート2と層間絶縁膜5のエッチングを防ぎながらシリコンからなるダミーゲート1をエッチングできている。このことより、層間絶縁膜5に変化は見られなかったものの、シリコンからなるダミーゲート1がエッチングされず、アルミニウム金属ゲート2に大きな穴が見られた原因は、エッチング液(II)のかわりに用いたエッチング液2−6Dであることがわかる。よって、特許文献8のエッチング液は、本発明の対象である高誘電材料とアルミニウムを含有する金属ゲートを含んだトランジスタ形成工程におけるシリコンのエッチングには使用できないことがわかる。
【0080】
比較例2−10
トランジスタ構造1Eを有する構造体を用い、実施例2−1と同様の評価を、エッチング液(I)のかわりに1重量%フッ化アンモニウムと60重量%のN,N−ジメチルアセトアミドと10重量%ジエチレングリコールモノブチルエーテル水溶液(第2−2表、エッチング液2−2E)を用い、エッチング液(II)のかわりに特許文献9に記された5重量%ヘキサメチレンジアミン(1,6−ヘキサンジアミン)と30重量%ソルビトール水溶液(第2−6表、エッチング液2−6E)を用いて行った。その結果、層間絶縁膜5とアルミニウム金属ゲート2に変化は見られなかったものの、シリコンからなるダミーゲート1がエッチングされなかった。第2−4表に示した実施例2−14〜2−22ではエッチング液2−2Eを用いてアルミニウム金属ゲート2と層間絶縁膜5のエッチングを防ぎながらシリコンからなるダミーゲート1をエッチングできている。このことより、層間絶縁膜5とアルミニウム金属ゲート2に変化は見られなかったものの、シリコンからなるダミーゲート1がエッチングされなかった原因は、エッチング液(II)のかわりに用いたエッチング液2−6Eであることがわかる。よって、特許文献9のエッチング液は、本発明の対象である高誘電材料とアルミニウムを含有する金属ゲートを含んだトランジスタ形成工程におけるシリコンのエッチングには使用できないことがわかる。
【0081】
比較例2−11
トランジスタ構造1Iを有する構造体を用い、実施例2−1と同様の評価を、エッチング液(I)のかわりに1重量%フッ化アンモニウムと60重量%のN,N−ジメチルアセトアミドと10重量%ジエチレングリコールモノブチルエーテル水溶液(第2−2表、エッチング液2−2E)を用い、エッチング液(II)のかわりに特許文献10に記された4重量%水酸化テトラメチルアンモニウムと0.01重量%トリメチルアミンと80重量%プロピレングリコールと4重量%グリセリン水溶液(第2−6表、エッチング液2−6F)を用いて行った。その結果、層間絶縁膜5とアルミニウム金属ゲート2に変化は見られなかったものの、シリコンからなるダミーゲート1がエッチングされなかった。第2−4表に示した実施例2−14〜2−22でエッチング液2−2Eを用いてアルミニウム金属ゲート2と層間絶縁膜5のエッチングを防ぎながらシリコンからなるダミーゲート1をエッチングできている。このことより、層間絶縁膜5とアルミニウム金属ゲート2に変化は見られなかったものの、シリコンからなるダミーゲート1がエッチングされなかった原因は、エッチング液(II)のかわりに用いたエッチング液2−6Fであることがわかる。よって、特許文献10のエッチング液は、本発明の対象である高誘電材料とアルミニウムを含有する金属ゲートを含んだトランジスタ形成工程におけるシリコンのエッチングには使用できないことがわかる。
【0082】
比較例2−12
トランジスタ構造1Fを有する構造体を用い、実施例2−1と同様の評価を、エッチング液(I)のかわりに1重量%フッ化アンモニウムと60重量%のN,N−ジメチルアセトアミドと10重量%ジエチレングリコールモノブチルエーテル水溶液(第2−2表、エッチング液2−2E)を用い、エッチング液(II)のかわりに0.5重量%1,3−プロパンジアミン水溶液(第2−6表、エッチング液2−6G)で行った。その結果、層間絶縁膜5に変化は見られなかったものの、シリコンからなるダミーゲート1がエッチングされず、アルミニウム金属ゲート2に大きな穴が見られた。第2−4表に示した実施例2−14〜2−22ではエッチング液2−2Eを用いてアルミニウム金属ゲート2と層間絶縁膜5のエッチングを防ぎながらシリコンからなるダミーゲート1をエッチングできている。このことより、層間絶縁膜5に変化は見られなかったものの、シリコンからなるダミーゲート1がエッチングされず、アルミニウム金属ゲート2に大きな穴が見られた原因は、エッチング液(II)のかわりに用いたエッチング液2−6Gであることがわかる。よって、アルカリ化合物水溶液は、本発明の対象である高誘電材料とアルミニウムを含有する金属ゲートを含んだトランジスタ形成工程におけるシリコンのエッチングには使用できないことがわかる。
【0083】
比較例2−13
トランジスタ構造1Hを有する構造体を用い、実施例2−1と同様の評価を、エッチング液(I)のかわりに1重量%フッ化アンモニウムと60重量%のN,N−ジメチルアセトアミドと10重量%ジエチレングリコールモノブチルエーテル水溶液(第2−2表、エッチング液2−2E)を用い、エッチング液(II)のかわりに10重量%ソルビトール水溶液(第2−6表、エッチング液2−6H)を用いて行った。その結果、層間絶縁膜5とアルミニウム金属ゲート2に変化は見られなかったものの、シリコンからなるダミーゲート1がエッチングされなかった。第2−4表に示した実施例2−14〜2−22ではエッチング液2−2Eを用いてアルミニウム金属ゲート2と層間絶縁膜5のエッチングを防ぎながらシリコンからなるダミーゲート1をエッチングできている。このことより、層間絶縁膜5とアルミニウム金属ゲート2に変化は見られなかったものの、シリコンからなるダミーゲート1がエッチングされなかった原因は、エッチング液(II)のかわりに用いたエッチング液2−6Hであることがわかる。よって、多価アルコール水溶液は、本発明の対象である高誘電材料とアルミニウムを含有する金属ゲートを含んだトランジスタ形成工程におけるシリコンのエッチングには使用できないことがわかる。
【0084】
比較例2−14
トランジスタ構造1Aを有する構造体を用い、実施例2−1と同様の評価を、エッチング液(I)のかわりに1重量%フッ化アンモニウムと60重量%のN,N−ジメチルアセトアミドと10重量%ジエチレングリコールモノブチルエーテル水溶液(第2−2表、エッチング液2−2E)を用い、エッチング液(II)のかわりに5重量%1,3−プロパンジアミンと10重量%イノシトール水溶液(第2−6表、エッチング液2−6I)を用いて行った。その結果、シリコンからなるダミーゲート1はエッチングされており、層間絶縁膜5に変化が見られなかったが、アルミニウム金属ゲート2に大きなくぼみが見られた。第2−4表に示した実施例2−14〜2−22ではエッチング液2−2Eを用いてアルミニウム金属ゲート2と層間絶縁膜5のエッチングを防ぎながらシリコンからなるダミーゲート1をエッチングできている。このことより、シリコンからなるダミーゲート1はエッチングされており、層間絶縁膜5に変化が見られなかったが、アルミニウム金属ゲート2に大きなくぼみが見られた原因は、エッチング液(II)のかわりに用いたエッチング液2−6Iであることがわかる。よって、アルカリ化合物と環状多価アルコール水溶液は、本発明の対象である高誘電材料とアルミニウムを含有する金属ゲートを含んだトランジスタ形成工程におけるシリコンのエッチングには使用できないことがわかる。
【0085】
比較例2−15
トランジスタ構造1Aを有する構造体を用い、実施例2−1と同様の評価を、エッチング液(I)のかわりに1重量%フッ化アンモニウムと60重量%のN,N−ジメチルアセトアミドと10重量%ジエチレングリコールモノブチルエーテル水溶液(第2−2表、エッチング液2−2E)を用い、エッチング液(II)のかわりに5重量%1,3−プロパンジアミンと10重量%スクロース水溶液(第2−6表、エッチング液2−6J)を用いて行った。その結果、シリコンからなるダミーゲート1はエッチングされており、層間絶縁膜5に変化が見られなかったが、アルミニウム金属ゲート2に大きなくぼみが見られた。第2−4表に示した実施例2−14〜2−22ではエッチング液2−2Eを用いてアルミニウム金属ゲート2と層間絶縁膜5のエッチングを防ぎながらシリコンからなるダミーゲート1をエッチングできている。このことより、シリコンからなるダミーゲート1はエッチングされており、層間絶縁膜5に変化が見られなかったが、アルミニウム金属ゲート2に大きなくぼみが見られた原因は、エッチング液(II)のかわりに用いたエッチング液2−6Jであることがわかる。よって、アルカリ化合物と非還元糖水溶液は、本発明の対象である高誘電材料とアルミニウムを含有する金属ゲートを含んだトランジスタ形成工程におけるシリコンのエッチングには使用できないことがわかる。
【0086】
【表5】
【0087】
【表6】
【0088】
【表7】
【0089】
【表8】
【0090】
【表9】
【0091】
【表10】
【0092】
【表11】
【産業上の利用可能性】
【0093】
本発明のトランジスタの製造方法によれば、シリコンからなるダミーゲートを除去してアルミニウム金属ゲートに入れ替える方法で、少なくとも高誘電材料膜とアルミニウム金属ゲートとからなる積層体を有するトランジスタを製造する方法において、アルミニウム、層間絶縁膜、及びサイドウォールをエッチングせずに、シリコンが空気と接触することで、その表面に生成するシリコン自然酸化膜を選択的に除去し、さらにアルミニウム、層間絶縁膜、サイドウォール、及び高誘電材料膜をエッチングせずに、シリコンを選択的に除去することが可能となり、高精度、高品質のトランジスタを歩留まりよく製造することができる。