【実施例】
【0048】
以下、実施例等により本発明を更に詳細に説明するが、本発明はこれらの例により何ら限定されるものではない。
水分濃度9質量%の含水酢酸中で、m−キシレンをコバルトイオン1000ppm、マンガンイオン930ppm及び臭化物イオン950ppmの存在下、空気により液相酸化反応(反応温度200[℃]、反応圧力1.6[MPaG])させることにより、粗イソフタル酸を含有するスラリーを得た。後酸化反応の後、晶析工程へ導いて放圧し、常圧で100℃まで冷却した後、ロータリーバキュームフィルターにて固液分離して粗イソフタル酸結晶を分離し、セラミックフィルターを用いるクロスフロー方式による濾過運転に必要な酸化反応母液を準備した。なお、該酸化反応母液は80℃であった。この酸化反応母液は微細結晶で濁っており、微細結晶の含有率は0.47質量%であった。
濾過モジュール7には、日本ガイシ株式会社製のセラミックフィルターをエレメントとして装着した。セラミックフィルター8はモノリス状で、濾過膜の平均細孔径は0.5μm、サイズは30mmΦ×1000mmL。流通路28の外径は4[mm]、孔数は19個。濾過面積は0.2386[m
2]。流通路の総断面積は0.0002386[m
2]。
なお、実施例中のイソフタル酸廃棄量は酸化反応母液循環流量(0.68m
3/hr)中の析出イソフタル酸量より算出した。
【0049】
セラミックフィルターを用いるクロスフロー方式の濾過について運転方法を説明する。
(微細結晶濾過運転)
図1〜
図3において、上述の酸化反応母液は酸化反応母液槽1に貯められている。この酸化反応母液は、ポンプ2を用いて循環入口配管6を通して濾過モジュール7の上部基材端面側10に供給される。このとき、コントロールバルブ4にて流量を調節する。濾過モジュール7に供給された酸化反応母液はセラミックフィルター8の流通路28を通過し、下部の基材端面側10、循環出口配管11を通過して酸化反応母液槽1に戻る。このとき、コントロールバルブ13にて流量を調節する。
この一連の流れを酸化反応母液循環ラインと呼ぶ。母液循環ラインにおいてはコントロールバルブ4及び13を調整することにより、母液循環流量を調節する。更には、セラミックフィルター8の流通路28側、つまりフィルターの上流側の圧力(一次圧)を調整する。その圧力は圧力計5、12にて確認する。
【0050】
酸化反応母液の濾過運転は、母液循環ラインを確立した上で、バルブ18を開(コントロールバルブ24及び25は閉)にすることにより行われる。このとき、酸化反応母液はセラミックフィルター8で濾過されて、濾過側9に微細結晶を除かれた清澄な酸化反応母液が流出し、濾過液出口配管16を通って濾過液槽19に貯められる。濾過運転中のフィルターの下流側の圧力(二次圧)は圧力計17にて確認する。
濾過流量は一次圧と二次圧の濾過差圧、濾過される流体の物性(粘度など)、及びセラミックフィルター8の濾過性能(濾過面積、平均細孔径、目詰まりの程度など)によって決まる。
濾過差圧ΔP[MPa]は、圧力計5の圧力をP1[MPaG]、圧力計12の圧力をP2[MPaG]、圧力計17の圧力をP3[MPaG]とし、以下の式により算出する。
ΔP=(P1+P2)/2−P3
【0051】
(濾過液による逆洗運転)
図1〜
図3において、微細結晶濾過運転時の濾過流量が低下した時には濾過液による逆洗を行う。まず、バルブ18を閉(コントロールバルブ24及び25は閉のまま)として濾過運転を停止する(母液循環は継続)。次にコントロールバルブ24を調節しながら開け、濾過液槽19内の濾過液を、ポンプ20を用いて濾過液逆洗配管23を通して濾過モジュール7の濾過側9に供給する。このとき、必要に応じて該濾過液の温度を熱交換器22にて制御する。また、濾過側9の圧力が流通路28側の圧力より高くなるようにし(逆洗差圧)、濾過液を濾過側9から流通路28側に通過させて逆洗を行う。この逆洗差圧は−ΔPで定義される。
なお、逆洗時にコントロールバルブ4及び13を調節することにより流通路28側の圧力を下げて逆洗差圧を調節することも適宜行われる。
【0052】
(洗浄溶媒による逆洗運転)
図2において、濾過液による逆洗運転で濾過流量が十分に回復しなくなった時は、洗浄溶媒による逆洗を行う。まず、バルブ18とコントロールバルブ24を閉とし(母液循環は継続)、次にコントロールバルブ25を調節しながら開け、洗浄溶媒を、洗浄溶媒逆洗配管26を通して濾過モジュール7の濾過側9に供給する。このとき、必要に応じて洗浄溶媒の温度を熱交換器27にて制御する。また、濾過側9の圧力が流通路28側の圧力より高くなるようにし、洗浄溶媒を濾過側9から流通路28側に通過させて逆洗を行う。通過した洗浄溶媒は循環する酸化反応母液と混合される。
なお、逆洗時にコントロールバルブ4及び13を調節することにより流通路28側の圧力を下げて逆洗差圧を調節することも適宜行われる。
【0053】
また、以下式により微細結晶濾過運転時の平均濾過流量X
1、酸化反応母液のセラミックフィルター流通路内での循環線速度LV
1および濾過液の濾過線速度LV
2を求めた。なお、LV
1は平均循環線速度として求めた。
濾過モジュール7入口循環流量 F[m
3/hr]
微細結晶濾過運転時間 T
1[sec]
微細結晶濾過運転開始時の濾過流量 X
s[m
3/hr]
微細結晶濾過運転終了時の濾過流量 X
t[m
3/hr]
微細結晶濾過運転時の平均濾過流量 X
1[m
3/hr]=(X
s+X
t)/2
酸化反応母液のセラミックフィルター流通路内での循環線速度
LV
1[m/hr]= F / 0.0002386
濾過液の濾過線速度
LV
2[m/hr]= X
s / 0.2386
【0054】
また、微細結晶濾過運転および濾過液による逆洗運転からなる1サイクル中の平均濾過流量V
3および逆洗運転時の濾過液の供給線速度LV
3を以下により求めた。
微細結晶濾過運転における総濾過液量 V
1[m
3]=T
1×X
1/3600
濾過液による逆洗運転時間 T
2[sec]
濾過液による逆洗運転時の逆洗流量 X
2[m
3/hr]
濾過液による逆洗運転における総逆洗液量 V
2[m
3]=T
2×X
2/3600
微細結晶濾過運転および濾過液による逆洗運転からなる1サイクルの平均濾過流量
V
3[m
3/hr]=(V
1−V
2)/(T
1+T
2)×3600
濾過液による逆洗運転時の供給線速度
LV
3[m/hr]= X
2 / 0.2386
濾過液による逆洗運転での濾過液使用量が多ければ、正味で得られる濾過液が少なくなることとなり、微細結晶濾過運転および濾過液による逆洗運転からなる1サイクルの平均濾過流量V
3が小さくなる。
【0055】
<実施例1>
(微細結晶濾過運転)
濾過モジュール7に上述の酸化反応母液(80℃)を循環入口流量0.68[m
3/hr](P1=0.10[MPaG])で供給し(ダウンフロー)、クロスフロー濾過を開始した。微細結晶濾過運転開始時の濾過流量X
sは0.32[m
3/hr](P3=0.00[MPaG])であり、循環出口流量は0.36[m
3/hr](P2=0.09[MPaG])であった。流通路側と濾過側の差圧はΔP=0.10[MPa]であった。また、流通路内での循環線速度及び濾過液の濾過線速度は、それぞれ2848(m/hr)、1.34(m/hr)であった。
【0056】
(濾過液による逆洗運転)
濾過運転を継続したところ、500秒後に濾過流量が0.20[m
3/hr]まで下がったので(微細結晶濾過運転終了時の濾過流量X
tは0.20[m
3/hr])、酸化反応母液の循環を継続したまま濾過液による逆洗を15秒間行った(供給線速度は2.85[m/hr]、濾過液の温度80℃)。このときのP1=0.14[MPaG]、P2=0.10[MPaG]、P3=0.31[MPaG]であり、濾過側と流通路側の差圧は−ΔP=0.19[MPa]であった。
【0057】
濾過液による逆洗運転を終了し、濾過運転に戻した。このとき(1サイクル目濾過液逆洗直後=2サイクル目のX
s)の濾過流量は0.32[m
3/hr]であり、微細結晶濾過運転および濾過液による逆洗運転からなる1サイクル目の平均濾過流量V
3は0.233[m
3/hr]であった。2サイクル目濾過液逆洗直後の濾過流量も0.32[m
3/hr]であり、2サイクル目の平均濾過流量V
3も0.233[m
3/hr]であった。
3〜5サイクル目の濾過液逆洗直後の濾過流量および平均濾過流量V
3も、それぞれ2サイクル目と同一であった。
更に濾過運転(500秒間)と濾過液による逆洗運転(15秒間)を交互に継続したところ、濾過液逆洗直後の濾過流量が0.25[m
3/hr]以上に回復しなくなる6時間後までセラミックフィルターの微細結晶濾過性能を維持することができた。結果を表1に示す。
【0058】
<実施例2>
濾過液による逆洗運転を供給線速度5.70[m/hr]、逆洗運転時間10秒間で行なった以外は実施例1と同様に濾過運転と濾過液による逆洗運転を交互に継続した。濾過液による逆洗を行っている時のP1=0.16[MPaG]、P2=0.11[MPaG]、P3=0.53[MPaG]であり、濾過側と流通路側の逆洗差圧は−ΔP=0.40[MPa]であった。
濾過液による逆洗運転を終了し、濾過運転に戻した。このとき(1サイクル目濾過液逆洗直後)の濾過流量は0.32[m
3/hr]であり、1サイクル目の平均濾過流量V
3は0.228[m
3/hr]であった。2サイクル目濾過液逆洗直後の濾過流量も0.32[m
3/hr]であり、2サイクル目の平均濾過流量V
3も0.228[m
3/hr]であった。
3〜5サイクル目の濾過液逆洗直後の濾過流量および平均濾過流量V
3も、それぞれ2サイクル目と同一であった。
更に濾過運転(500秒間)と濾過液による逆洗運転(10秒間)を交互に継続したところ、濾過液逆洗直後の濾過流量が0.25[m
3/hr]以上に回復しなくなる8時間後までセラミックフィルターの微細結晶濾過性能を維持することができた。結果を表1に示す。
【0059】
<実施例3>
濾過液による逆洗運転を供給線速度1.42[m/hr]、濾過液の温度90℃、逆洗運転時間30秒間で行なった以外は実施例1と同様に濾過運転と濾過液による逆洗運転を交互に継続した。濾過液による逆洗を行っている時のP1=0.12[MPaG]、P2=0.10[MPaG]、P3=0.21[MPaG]であり、濾過側と流通路側の逆洗差圧は−ΔP=0.10[MPa]であった。
濾過液による逆洗運転を終了し、濾過運転に戻した。このとき(1サイクル目濾過液逆洗直後)の濾過流量は0.32[m
3/hr]であり、1サイクル目の平均濾過流量V
3は0.226[m
3/hr]であった。2サイクル目濾過液逆洗直後の濾過流量も0.32[m
3/hr]であり、2サイクル目の平均濾過流量V
3も0.226[m
3/hr]であった。
3〜5サイクル目の濾過液逆洗直後の濾過流量および平均濾過流量V
3も、それぞれ2サイクル目と同一であった。
更に濾過運転(500秒間)と濾過液による逆洗運転(30秒間)を交互に継続したところ、濾過液逆洗直後の濾過流量が0.25[m
3/hr]以上に回復しなくなる6時間後までセラミックフィルターの微細結晶濾過性能を維持することができた。結果を表1に示す。
【0060】
<
参考例1>
濾過液による逆洗運転時に流通路側の圧力を下げるための上流コントロールバルブ4及び下流コントロールバルブ13の開度調整を行わないこと以外は実施例1と同様に濾過運転と濾過液による逆洗運転を交互に継続した。濾過液による逆洗を行っている時のP1=0.36[MPaG]、P2=0.31[MPaG]、P3=0.51[MPaG]であり、濾過側と流通路側の逆洗差圧は−ΔP=0.18[MPa]であった。
濾過液による逆洗運転を終了し、濾過運転に戻した。このとき(1サイクル目濾過液逆洗直後)の濾過流量は0.31[m
3/hr]までの回復にとどまり、1サイクル目の平均濾過流量V
3は0.233[m
3/hr]であった。
2サイクル目濾過液逆洗直後の濾過流量は0.31[m
3/hr]を回復でき、2サイクル目の平均濾過流量V
3は0.228[m
3/hr]であった。
3〜5サイクル目の濾過液逆洗直後の濾過流量および平均濾過流量V
3は、それぞれ2サイクル目と同一であった。
更に濾過運転(500秒間)と濾過液による逆洗運転(15秒間)を交互に継続したところ、濾過液逆洗直後の濾過流量が0.25[m
3/hr]以上に回復しなくなる3時間後までセラミックフィルターの微細結晶濾過性能を維持することができた。結果を表1に示す。
流通路側の圧力を下げるための上流コントロールバルブ4及び下流コントロールバルブ13の開度調整を行わなかったことにより、濾過液逆洗で流通路内に入った濾過液が上部基材端面側からセラミックフィルターへ流入する酸化反応母液流量を減少させてしまい濾過膜の表面に堆積した微細結晶を物理的に取り去る効果が低下したことが原因であった。結果を表1に示す。
【0061】
<比較例1>
濾過液による逆洗運転時間を70秒間で行なった以外は実施例1と同様に濾過運転と濾過液による逆洗運転を交互に継続した。濾過液による逆洗を行っている時のP1=0.14[MPaG]、P2=0.10[MPaG]、P3=0.31[MPaG]であり、濾過側と流通路側の逆洗差圧は−ΔP=0.19[MPa]であった。
濾過液による逆洗運転を終了し、濾過運転に戻した。このとき(1サイクル目濾過液逆洗直後)の濾過流量は0.32[m
3/hr]であり、1サイクル目の平均濾過流量V
3は0.145[m
3/hr]であった。2サイクル目濾過液逆洗直後の濾過流量も0.32[m
3/hr]であり、2サイクル目の平均濾過流量V
3も0.145[m
3/hr]であった。
3〜5サイクル目の濾過液逆洗直後の濾過流量および平均濾過流量V
3も、それぞれ2サイクル目と同一であった。
更に濾過運転(500秒間)と濾過液による逆洗運転(70秒間)を交互に継続したところ、濾過液逆洗直後の濾過流量が0.25[m
3/hr]以上に回復しなくなる6時間後までセラミックフィルターの微細結晶濾過性能を維持することができた。結果を表1に示す。
ただし、濾過液による逆洗運転時間が長いために平均濾過流量V
3は0.145[m
3/hr]であった。平均濾過流量が低いので必要とされるフィルターエレメントの本数が増え、コストアップにつながった。結果を表1に示す。
【0062】
<比較例2>
濾過液による逆洗運転を供給線速度0.84[m/hr]で行なった以外は実施例1と同様に濾過運転と濾過液による逆洗運転を交互に行った。濾過液による逆洗を行っている時のP1=0.11[MPaG]、P2=0.09[MPaG]、P3=0.15[MPaG]であり、濾過側と流通路側の逆洗差圧は−ΔP=0.05[MPa]であった。
濾過液による逆洗運転を終了して濾過工程に戻したが、微細結晶濾過運転開始時の濾過流量は0.25[m
3/hr]までしか回復しなかった。また、微細結晶濾過運転および濾過液による逆洗運転からなる1サイクル目の平均濾過流量V
3は0.247[m
3/hr]であった。
次に、2サイクル目の濾過運転に入ったところ、60秒後に濾過流量が0.20[m
3/hr]まで下がって、微細結晶濾過運転時間T
1=500秒設定を維持できなくなった。結果を表1に示す。
【0063】
<比較例3>
濾過液による逆洗運転を濾過液の温度70℃で行なった以外は実施例1と同様に濾過運転と濾過液による逆洗運転を交互に行った。濾過液による逆洗を行っている時のP1=0.14[MPaG]、P2=0.10[MPaG]、P3=0.34[MPaGa]であり、濾過側と流通路側の逆洗差圧は−ΔP=0.22[MPa]であった。
濾過液による逆洗運転を終了して濾過工程に戻したが、微細結晶濾過運転開始時の濾過流量は0.24[m
3/hr]までしか回復しなかった。また1サイクル目の平均濾過流量V
3は0.233[m
3/hr]であった。
次に、2サイクル目の濾過運転に入ったところ、60秒後に濾過流量が0.20[m
3/hr]まで下がって、微細結晶濾過運転時間T
1=500秒設定を維持できなくなった。結果を表1に示す。
濾過液による逆洗運転を濾過液の温度70℃と低めで行ったため、セラミックフィルター洗浄が十分にできなかったことが原因であった。
【0064】
<比較例4>
濾過液による逆洗運転を供給線速度0.84[m/hr]、濾過液の温度90℃、逆洗運転時間300秒間で行なった以外は実施例1と同様に濾過運転と濾過液による逆洗運転を交互に継続した。濾過液による逆洗を行っている時のP1=0.11[MPaG]、P2=0.09[MPaG]、P3=0.15[MPaG]であり、濾過側と流通路側の逆洗差圧は−ΔP=0.05[MPa]であった。
濾過液による逆洗運転を終了し、濾過運転に戻した。このとき(1サイクル目濾過液逆洗直後)の濾過流量は0.32[m
3/hr]であり、1サイクル目の平均濾過流量V
3は0.088[m
3/hr]であった。2サイクル目濾過液逆洗直後の濾過流量も0.32[m
3/hr]であり、2サイクル目の平均濾過流量V
3も0.088[m
3/hr]であった。
3〜5サイクル目の濾過液逆洗直後の濾過流量および平均濾過流量V
3も、それぞれ2サイクル目と同一であった。
更に濾過運転(500秒間)と濾過液による逆洗運転(300秒間)を交互に継続したところ、濾過液逆洗直後の濾過流量が0.25[m
3/hr]以上に回復しなくなる1.5時間後までセラミックフィルターの微細結晶濾過性能を維持することができた。
ただし、本比較例の運転条件でも、平均濾過流量V
3は0.088[m
3/hr]であった。平均濾過流量が低いので必要とされるフィルターエレメントの本数が増え、コストアップにつながった。結果を表1に示す。
【0065】
【表1】
【0066】
<実施例5>
(微細結晶濾過運転)
濾過モジュール7に前述の酸化反応母液(80℃)を循環入口流量0.68[m
3/hr](P1=0.10[MPaG])で供給し(ダウンフロー)、クロスフロー濾過を開始した。このときの濾過流量は0.32[m
3/hr](P3=0.00[MPaG])であり、循環出口流量は0.36[m
3/hr](P2=0.09[MPaG])であった。流通路側と濾過側の差圧はΔP=0.10[MPa]であった。また、流通路内での循環線速度及び濾過液の濾過線速度は、それぞれ2848(m/hr)、1.34(m/hr)であった。
【0067】
(濾過液による逆洗運転)
濾過運転を継続したところ、500秒後に濾過流量が0.20[m
3/hr]まで下がったので、酸化反応母液の循環を継続したまま濾過液による逆洗を15秒間行った(逆洗流量0.68[m
3/hr])。このときのP1=0.14[MPaG]、P2=0.10[MPaG]、P3=0.31[MPaG]であり、濾過側と流通路側の差圧は−ΔP=0.19[MPa]であった。
濾過液による逆洗運転を終了し、濾過運転に戻した。このときの濾過流量は0.32[m
3/hr]であった。
【0068】
(洗浄溶媒による逆洗運転)
濾過運転(500秒間)と濾過液による逆洗運転(15秒間)を交互に継続したところ、6時間後に濾過流量が濾過液による逆洗直後においても0.24[m
3/hr]以上に回復しなくなったので、酸化反応母液の循環を継続したまま洗浄溶媒の酢酸(含水率7.7質量%、85℃)による逆洗を15秒間行った(逆洗流量0.68[m
3/hr])。酢酸の供給線速度は2.85[m/hr]。このときのP1=0.13[MPaG]、P2=0.10[MPaG]、P3=0.30[MPaG]であり、濾過側と流通路側の差圧は−ΔP=0.19[MPa]であった。
酢酸による逆洗運転を終了し、濾過運転に戻した。このときの濾過流量は0.32[m
3/hr]に回復した。次に、再度、濾過運転と濾過液による逆洗を繰り返し、濾過液による逆洗直後においても0.24[m
3/hr]以上に回復しなくなったために洗浄溶媒による逆洗をするまでの周期は6時間であった。つまり、濾過運転と濾過液による逆洗運転を繰り返しながら、かつ6時間の周期で洗浄溶媒による逆洗を行うことにより、セラミックフィルターの濾過性能を維持することができた。結果を表2に示す。
【0069】
<実施例6>
実施例5と同様に濾過運転(500秒間)と濾過液による逆洗運転(15秒間)を交互に継続した(6時間)。濾過液による逆洗直後における濾過流量が0.24[m
3/hr]以上に回復しなくなったので、酸化反応母液の循環を継続したまま酢酸(含水率7.7質量%、85℃)による逆洗運転を15秒間行った(逆洗流量1.36[m
3/hr])。酢酸の供給線速度は5.70[m/hr]。このときのP1=0.15[MPaG]、P2=0.11[MPaG]、P3=0.51[MPaG]であり、濾過側と流通路側の差圧は−ΔP=0.38[MPa]であった。
酢酸による逆洗運転を終了し、濾過運転に戻した。このときの濾過流量は0.32[m
3/hr]に回復した。
また、次の洗浄溶媒による逆洗までの周期は6時間であった。つまり、濾過運転と濾過液による逆洗運転を繰り返しながら、かつ6時間の周期で洗浄溶媒による逆洗を行うことにより、セラミックフィルターの濾過性能を維持することができた。結果を表2に示す。
【0070】
<実施例7>
実施例5と同様に濾過運転(500秒間)と濾過液による逆洗運転(15秒間)を交互に継続した(6時間)。濾過液による逆洗直後における濾過流量が0.24[m
3/hr]以上に回復しなくなったので、酸化反応母液の循環を継続したまま酢酸(含水率7.7質量%、85℃)による逆洗運転を10秒間行った(逆洗流量2.04[m
3/hr])。酢酸の供給線速度は8.54[m/hr]。このときのP1=0.18[MPaG]、P2=0.12[MPaG]、P3=0.69[MPaG]であり、濾過側と流通路側の差圧は−ΔP=0.54[MPa]であった。
酢酸による逆洗運転を終了し、濾過運転に戻した。このときの濾過流量は0.32[m
3/hr]に回復した。次の洗浄溶媒による逆洗までの周期は6時間であった。つまり、濾過運転と濾過液による逆洗運転を繰り返しながら、かつ6時間の周期で洗浄溶媒による逆洗を行うことにより、セラミックフィルターの濾過性能を維持することができた。結果を表2に示す。
【0071】
<実施例8>
実施例5と同様に濾過運転(500秒間)と濾過液による逆洗運転(15秒間)を交互に継続した(6時間)。濾過液による逆洗直後における濾過流量が0.24[m
3/hr]以上に回復しなくなったので、酸化反応母液の循環を継続したまま酢酸(含水率7.7質量%、85℃)による逆洗運転を60秒間行った(逆洗流量0.34[m
3/hr])。酢酸の供給線速度は1.42[m/hr]。このときのP1=0.11[MPaG]、P2=0.09[MPaG]、P3=0.22[MPaG]であり、濾過側と流通路側の差圧は−ΔP=0.12[MPa]であった。
酢酸による逆洗運転を終了し、濾過運転に戻した。このときの濾過流量は0.32[m
3/hr]に回復した。次の洗浄溶媒による逆洗までの周期は4時間であった。さらに、次の洗浄溶媒による逆洗までの周期も4時間であった。つまり、濾過運転と濾過液による逆洗運転を繰り返しながら、かつ4時間の周期で洗浄溶媒による逆洗を行うことにより、セラミックフィルターの濾過性能を維持することができた。結果を表2に示す。
【0072】
<実施例9>
実施例5と同様に濾過運転(120秒間)と濾過液による逆洗運転(15秒間)を交互に継続した(8時間)。濾過液による逆洗直後における濾過流量が0.24[m
3/hr]以上に回復しなくなったので、酸化反応母液の循環を継続したまま酢酸(含水率7.7質量%、85℃)による逆洗運転を15秒間行った(逆洗流量0.68[m
3/hr])。酢酸の供給線速度は2.85[m/hr]。このときのP1=0.13[MPaG]、P2=0.10[MPaG]、P3=0.30[MPaG]であり、濾過側と流通路側の差圧は−ΔP=0.19[MPa]であった。
酢酸による逆洗運転を終了し、濾過運転に戻した。このときの濾過流量は0.32[m
3/hr]に回復した。次の洗浄溶媒による逆洗までの周期は8時間であった。つまり、濾過運転と濾過液による逆洗運転を繰り返しながら、かつ8時間の周期で洗浄溶媒による逆洗を行うことにより、セラミックフィルターの濾過性能を維持することができた。結果を表2に示す。
【0073】
<実施例10>
実施例5と同様に濾過運転(900秒間)と濾過液による逆洗運転(15秒間)を交互に継続した(3時間)。濾過液による逆洗直後における濾過流量が0.24[m
3/hr]以上に回復しなくなったので、酸化反応母液の循環を継続したまま酢酸(含水率7.7質量%、85℃)による逆洗運転を15秒間行った(逆洗流量0.68[m
3/hr])。酢酸の供給線速度は2.85[m/hr]。このときのP1=0.13[MPaG]、P2=0.10[MPaG]、P3=0.30[MPaG]であり、濾過側と流通路側の差圧は−ΔP=0.19[MPa]であった。
酢酸による逆洗運転を終了し、濾過運転に戻した。このときの濾過流量は0.32[m
3/hr]に回復した。次の洗浄溶媒による逆洗までの周期は3時間であった。つまり、濾過運転と濾過液による逆洗運転を繰り返しながら、かつ3時間の周期で洗浄溶媒による逆洗を行うことにより、セラミックフィルターの濾過性能を維持することができた。結果を表2に示す。
【0074】
<比較例5>
実施例5と同様に濾過運転(500秒間)と濾過液による逆洗運転(15秒間)を交互に継続した(6時間)。濾過液による逆洗直後における濾過流量が0.24[m
3/hr]以上に回復しなくなったので、酸化反応母液の循環を停止し(コントロールバルブ4及び13を閉、次いで抜液バルブ14を開)、酢酸(含水率7.7質量%、85℃)による逆洗運転を180秒間行った(逆洗流量0.68[m
3/hr])。酢酸の供給線速度は2.85[m/hr]。このときのP1=0.00[MPaG]、P2=0.00[MPaG]、P3=0.19[MPaG]であり、濾過側と流通路側の差圧は−ΔP=0.19[MPa]であった。
洗浄溶媒(酢酸)を系外に排出する逆洗運転を終了し、濾過運転に戻した。このときの濾過流量は0.32[m
3/hr]まで回復したが、酢酸の使用量は0.0340[m
3]と実施例5の12倍の使用量となった。さらに、酸化反応母液中のイソフタル酸0.37wt%が廃棄物として系外に排出された。なお、次の洗浄溶媒による逆洗までの周期は6時間であった。結果を表2に示す。
【0075】
<比較例6>
実施例5と同様に濾過運転(500秒間)と濾過液による逆洗運転(15秒間)を交互に継続した(6時間)。濾過液による逆洗直後における濾過流量が0.24[m
3/hr]以上に回復しなくなったので、酸化反応母液の循環を停止し(コントロールバルブ4及び13を閉、次いで抜液バルブ14を開)、酢酸(含水率7.7質量%、85℃)による逆洗運転を15秒間行った(逆洗流量0.68[m
3/hr])。酢酸の供給線速度は2.85[m/hr]。このときのP1=0.00[MPaG]、P2=0.00[MPaG]、P3=0.19[MPa]であり、濾過側と流通路側の差圧は−ΔP=0.19[MPa]であった。
洗浄溶媒(酢酸)を系外に排出する逆洗運転を終了し、濾過運転に戻した。酢酸の使用量は0.0028[m
3]と実施例5と同じであるが、母液循環がない分、流通路側にある濾過面の上に堆積した微細結晶が除去されにくく、濾過流量は0.26[m
3/hr]までしか回復しなかった。そのために、2回目以降の洗浄溶媒による逆洗までの周期は30分間と極端に短くなった。つまり、セラミックフィルターの濾過性能を維持できる運転周期が極端に短くなった。結果を表2に示す。
さらに、酸化反応母液中のイソフタル酸6.67wt%が廃棄物として系外に排出された。結果を表2に示す。
【0076】
<実施例11>
実施例5と同様に濾過運転(500秒間)と濾過液による逆洗運転(15秒間)を交互に継続した(6時間)。濾過液による逆洗直後における濾過流量が0.24[m
3/hr]以上に回復しなくなったので、酸化反応母液の循環を継続したまま酢酸(含水率7.7質量%、85℃)による逆洗運転を180秒間行った(逆洗流量0.68[m
3/hr])。酢酸の供給線速度は2.85[m/hr]。このときのP1=0.13[MPaG]、P2=0.10[MPaG]、P3=0.30[MPaG]であり、濾過側と流通路側の差圧は−ΔP=0.19[MPa]であった。
含水酢酸による逆洗運転を終了し、濾過運転に戻した。このときの濾過流量は0.32[m
3/hr]に回復したが、酢酸の使用量は0.034[m
3]と実施例5の12倍の使用量となった。次の洗浄溶媒による逆洗までの周期は6時間であった。結果を表2に示す。
【0077】
<実施例12>
実施例5と同様に濾過運転(500秒間)と濾過液による逆洗運転(15秒間)を交互に継続した(6時間)。濾過液による逆洗直後における濾過流量が0.24[m
3/hr]以上に回復しなくなったので、酸化反応母液の循環を継続したまま酢酸(含水率7.7質量%、85℃)による逆洗運転を15秒間行った(逆洗流量0.14[m
3/hr])。酢酸の供給線速度は0.59[m/hr]。このときのP1=0.10[MPaG]、P2=0.09[MPaG]、P3=0.18[MPaG]であり、濾過側と流通路側の差圧は−ΔP=0.09[MPa]であった。
酢酸による逆洗運転を終了し、濾過運転に戻した。酢酸の使用量は0.00058[m
3]と少なく(実施例5の0.21倍)、濾過流量は0.27[m
3/hr]までしか回復しなかった。そのために、2回目以降の洗浄溶媒による逆洗までの周期は1時間と極端に短くなった。つまり、セラミックフィルターの濾過性能を維持できる運転周期が極端に短くなった。結果を表2に示す。
【0078】
<実施例13>
実施例5と同様に濾過運転(500秒間)と濾過液による逆洗運転(15秒間)を交互に継続した(6時間)。濾過液による逆洗直後における濾過流量が0.24[m
3/hr]以上に回復しなくなったので、酸化反応母液の循環を継続したまま酢酸(含水率7.7質量%、85℃)による逆洗運転を15秒間行った(逆洗流量5.10[m
3/hr])。酢酸の供給線速度は21.4[m/hr]。このときのP1=0.40[MPaG]、P2=0.31[MPaG]、P3=1.41[MPaG]であり、濾過側と流通路側の差圧は−ΔP=1.06[MPa]であった。
酢酸による逆洗運転を終了し、濾過運転に戻した。このときの濾過流量は0.32[m
3/hr]に回復したが、酢酸の使用量は0.0213[m
3]と実施例5の7.6倍の使用量となった。次の洗浄溶媒による逆洗までの周期は6時間であった。結果を表2に示す。
【0079】
【表2】