(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記アームは、前記アームの先端部において前記ハンド部と接続されているとともに、前記アームの旋回中心から先端に向けて端部同士が回動可能な状態で順次連結された複数のアーム部を含み、
前記アームは、前記基板保持中心が前記アクセス途中位置に位置する状態における前記アームの先端部と前記旋回中心との間の第1距離と、前記基板保持中心が前記基板載置位置に位置する状態における前記アームの先端部と前記旋回中心との間の第2距離とのうち大きい方が、前記複数のアーム部の全てのリンク長の和の長さ以下で、かつ、前記アームの到達可能長さ以下となるように構成されている、請求項1に記載の基板搬送ロボット。
前記アクセス途中位置は、前記ハンド部の形状と、前記カセット内における前記進入禁止領域の形状とに応じて決定され、前記ハンド部の先端部が前記進入禁止領域近傍に位置する所定位置である、請求項3に記載の基板搬送ロボット。
前記アームは、前記アームの先端部において前記ハンド部と接続されているとともに、前記アームの旋回中心から先端に向けて端部同士が回動可能な状態で順次連結された複数のアーム部を含み、
前記制御部は、平面視において、前記ハンド部の基板保持中心が前記アクセス開始位置に位置し、前記ハンド中心線が前記アクセス直線に対して傾斜した状態から、前記複数のアーム部のうち隣接する少なくとも2つの相対角度が一定の状態で、前記ハンド部を前記アクセス途中位置へ移動させるように構成されている、請求項1〜4のいずれか1項に記載の基板搬送ロボット。
【発明を実施するための形態】
【0017】
以下、実施形態を図面に基づいて説明する。
【0018】
まず、
図1〜
図7を参照して、一実施形態による基板処理システム100の構成について説明する。本実施形態では、基板搬送システムを半導体基板の処理装置を備えた基板処理システムに適用した例について説明する。
【0019】
基板処理システム100は、
図1および
図2に示すように、基板110を搬送する基板搬送システム10と、処理装置20とを備えている。また、基板処理システム100は、基板搬送システム10により処理装置20に基板110を搬送するとともに、処理装置20により、搬送された基板110に対して半導体デバイスの製造プロセスにおける処理を行うように構成されている。
【0020】
基板搬送システム10は、
図1に示すように、ロボット設置領域11と、基板110を収納するカセット30が設置される複数(4つ)のロードポート12と、ロボット設置領域11内に配置された基板搬送ロボット13とを備えている。基板搬送システム10は、カセット30と処理装置20との間で基板搬送ロボット13によって基板110を搬送するためのシステムである。なお、カセット30は、「基板載置部」の一例である。
【0021】
また、基板搬送システム10は、平面視において(上方から見て)、ロードポート12の設置領域と、基板搬送ロボット13が設置されるロボット設置領域11とを合わせた大きさの外形形状(
図1の破線で示した外形形状)を有している。ロボット設置領域11は、ロードポート12が配置された前面壁111、処理装置20の背面壁201および側壁に囲まれた平面視で長方形形状の箱状領域である。また、基板搬送システム10は、図示しないFFU(ファンフィルタユニット)をさらに備え、ロボット設置領域11内の空気をクリーンな状態に維持するように構成されている。以下では、平面視において、前面壁111と背面壁201とが対向するX方向を前後方向、前面壁111および背面壁201に沿った長手方向(Y方向)を横方向という。ロボット設置領域11は、前後方向の幅W1および横方向の幅W2を有している。
【0022】
カセット30は、SEMI(Semiconductor Equipment and Materials International)規格に準拠した正面開口型の半導体ウエハ収容容器であり、FOUP(Front Open Unified Pod、フープ)と呼ばれる。また、カセット30は、
図1に示すように、前面開口302を有する容器本体301と、前面開口302に着脱可能に嵌め込まれた容器ドア303とを含む。カセット30は、容器本体301および容器ドア303に囲まれた内部空間を密閉して局所的なクリーン領域を形成し、容器本体301内において複数の基板110を収納可能に構成されている。カセット30は、容器本体301内の異なる高さ位置に複数の基板110を載置可能に構成されている。たとえば、4つのカセット30は、上下方向に25段の載置位置を有し、最大25枚の基板110を積層して収納することが可能である。
【0023】
ロードポート12は、基板110を収納するカセット30を保持してカセット30の内部をロボット設置領域11に対して開閉する機能を有する。ロードポート12は、ロボット設置領域11の前面側(X1方向側)で前面壁111に隣接するように設けられ、前面壁111に沿ってY方向に並んで配置されている。ロードポート12は、設置台121と、前面板122と、ポートドア123とを有している。ロードポート12は、
図2に示すように、設置台121の上面上に、それぞれ1つずつカセット30を固定的に着脱(設置)することが可能なように構成されている。前面板122は、Y方向に沿った垂直面内に形成されるとともにロボット設置領域11の前面壁111の一部を構成している。また、
図1に示すように、前面板122は開口部124が形成された窓状(枠状)形状を有し、ポートドア123によって開口部124が開閉される。また、ロードポート12は、図示しないドア開閉機構を備えている。ドア開閉機構は、ポートドア123およびカセット30の容器ドア303を把持して開口部124から後方(X2方向)に引き出すとともに下方(Z2方向、
図2参照)に移動(退避)させて、カセット30の内部空間をロボット設置領域11側に開放させ、カセット30の搬出時にはポートドア123および容器ドア303を閉じる。
【0024】
基板搬送ロボット13は、
図3に示すように、カセット30に対してアクセスして基板110を保持可能なハンド部131と、ハンド部131を移動させるためのアーム132と、基板搬送ロボット13の各部を制御する制御部133とを備えた、水平多関節ロボットである。
図1に示すように、基板搬送ロボット13は、ロボット設置領域11のカセット30寄りの位置(X1方向側の位置)に配置されている。アーム132は、アーム132の先端部においてハンド部131と接続されているとともに、アーム132の後述する旋回中心(回動中心C1)から先端に向けて端部同士が回動可能な状態で順次連結された、複数のアーム部を含んでいる。より具体的には、基板搬送ロボット13は、ベース部材134と、支持軸135とをさらに備えるとともに、本実施形態では、アーム132は、第1アーム部136および第2アーム部137の2つのアーム部により構成されている。なお、第1アーム部136および第2アーム部137は、「アーム部」の一例である。
【0025】
図3に示すように、支持軸135は、ベース部材134により支持されている。また、支持軸135は、ベース部材134の上面に対して垂直方向に延びるように形成されている。また、支持軸135の上端部には、第1アーム部136の一方端部が接続されている。第1アーム部136は、支持軸135を回動軸として水平面内で回動可能に構成されている。また、第1アーム部136の他方端部には、第2アーム部137の一方端部が接続されている。第2アーム部137は、第1アーム部136に接続された一方端部を回動中心として水平面内で回動可能に構成されている。また、第2アーム部137の他方端部には、ハンド部131が接続されている。ハンド部131は、第2アーム部137との接続部を回動中心として水平面内で回動可能に構成されている。また、ハンド部131は、基板110のエッジ(外周縁)を支持可能に構成されている。このように、基板搬送ロボット13は、第1アーム部136の回動中心C1、第2アーム部137の回動中心C2およびハンド部131の回動中心C3の3つの回動中心軸回りで、それぞれ第1アーム部136、第2アーム部137およびハンド部131を独立して(個別に)回動させることが可能である。なお、第1アーム部136の回動中心C1は、アーム132全体の支持軸135回りの旋回中心でもある。
【0026】
また、第1アーム部136および第2アーム部137は、リンク長が互いに略同じ大きさになるように形成されている。すなわち、
図1に示すように、第1アーム部136の回動中心C1から第2アーム部137の回動中心C2までの第1アーム部136のリンク長と、第2アーム部137の回動中心C2からハンド部131の回動中心C3までの第2アーム部137のリンク長とは略等しく、長さLである。これにより、第1アーム部136および第2アーム部137のリンク長が互いに異なる場合に比べて、基板110を搬送する際の各部の動作制御が複雑になるのが抑制される。なお、本実施形態では、ハンド部131の回動中心C3から、ハンド部131に基板110が保持された場合の基板保持中心138までのハンド長さHは、第1アーム部136および第2アーム部137のリンク長Lよりも小さく、ハンド部131が基板110を保持したときの基板110を含めた最大長さがそれぞれのアーム部の全長と略等しくなるように、ハンド長さHが設定されている。
【0027】
第1アーム部136および第2アーム部137からなるアーム132の動作範囲は、到達可能長さRaを半径とする円E(
図7参照)内となる。本実施形態では、
図7に示すように、アーム132は、基板保持中心138が後述のアクセス途中位置143に位置する状態におけるアーム132(第2アーム部137)の先端部と回動中心(旋回中心)C1との間の第1距離F(点O−点Q間の距離)と、基板保持中心138がカセット30内の基板載置位置142に位置する状態におけるアーム132(第2アーム部137)の先端部と回動中心C1との間の第2距離G(O点−点R間の距離)とのうち大きい方が、複数(2つ)のアーム部の全てのリンク長の和(L+L=2L)の長さ以下で、かつ、アーム132の到達可能長さRa以下となるように構成されている。
すなわち、基板搬送ロボット13のアーム132は、アーム長が下記の条件式(1)を満たす。
max{F,G}≦Ra≦2L・・・(1)
【0028】
なお、アーム132の到達可能長さRaは、機構上は全てのリンク長の和(本実施形態では、2L)と一致し得るが、実際上は、アーム132の制御上の特異点の発生や、アーム先端の横揺れの発生などを考慮する結果、2L以下の所定値として設定される場合が多い。つまり、アーム132には、制御上の特異点やアーム先端位置の制御性を考慮した開き角度(回動中心C1およびC2回りの回転角度)の範囲が設定され、その範囲内で最大長さとなる開き角度での回動中心C1からアーム132(第2アーム部137)の先端(回動中心C3)までの長さが、到達可能長さRaとなる。
【0029】
また、
図2に示すように、基板搬送ロボット13は、支持軸135を上下移動させることによって、第1アーム部136、第2アーム部137およびハンド部131を一体的に上下移動させることが可能に構成されている。これにより、基板搬送ロボット13は、カセット30内の異なる高さ位置に配置された全ての載置位置に対して基板110の搬出入を行うことが可能である。
【0030】
制御部133は、CPUなどからなる演算処理部と、ROMおよびRAMなどからなる記憶部と、第1アーム部136、第2アーム部137およびハンド部131などとの制御信号の入出力を行う入出力部とを主として備える。制御部133には、ハンド部131により基板110を搬送する際の各部の動作が予め教示されている。具体的には、制御部133は、4つのカセット30のそれぞれに対する基板110の搬出入動作(アクセス動作)について、予め各部の動作が教示されている。これにより、基板搬送ロボット13は、後述の動作手順によって基板110の搬送動作を行う。
【0031】
処理装置20は、
図1および
図2に示すように、基板搬送ロボット13およびカセット30が配置される側(X1方向側)に背面壁201を有している。背面壁201は、Y方向に沿った垂直面内に形成されている。また、背面壁201は、前面壁111に対向するように前面壁111に対して略平行に配置されている。また、背面壁201には、略矩形形状の開口部202が形成されており、基板搬送ロボット13は、この開口部202を介して処理装置20の内部の処理室203の所定の基板載置位置にアクセスする。開口部202は、
図1に示すように、基板110を挿入可能な水平方向(Y方向)の開口幅Bを有している。また、開口部202は、
図2に示すように、基板搬送ロボット13の第1アーム部136、第2アーム部137およびハンド部131の高さ方向の移動範囲よりも大きい高さ方向(Z方向)の開口長さH1を有している。なお、処理室203は、「基板載置部」の一例である。
【0032】
基板搬送ロボット13は、以上の構成により、カセット30内の基板110を開口部202を介して処理装置20内の載置位置に搬送するとともに、処理装置20内の基板110をカセット30内の所定の載置位置に搬送することが可能に構成されている。
【0033】
ここで、本実施形態では、
図4に示すように、基板搬送ロボット13は、制御部133がハンド部131の位置および向きを制御することにより、平面視において、基板保持中心138がアクセス開始位置141に位置する状態では、ハンド部131のハンド中心線139をカセット30内にアクセスするためのアクセス直線304に対して傾斜させる(
図4の破線参照)とともに、ハンド中心線139がアクセス直線304に一致した状態で基板保持中心138がカセット30内の基板載置位置142に到達する(
図4の実線参照)ように、ハンド部131を移動させる第1アクセス制御を行うように構成されている。なお、アクセス開始位置141、ハンド中心線139、アクセス直線304および基板載置位置142については、後述する。
【0034】
但し、本実施形態では、制御部133がすべてのカセット30に対して上記第1アクセス制御を行うわけではない。制御部133は、アクセスするカセット30の位置(基板搬送ロボット13からの距離)に応じたアクセス動作制御を行うように構成されている。具体的には、
図5に示すように、制御部133は、基板搬送ロボット13に近いカセット30aにハンド部131をアクセスさせる際には、基板保持中心138がアクセス開始位置141に位置する状態でハンド中心線139をアクセス直線304に一致させる第2アクセス制御を行うように構成されている。一方、
図4に示すように、制御部133は、カセット30aよりも基板搬送ロボット13から遠いカセット30bにハンド部131をアクセスさせる際には、基板保持中心138がアクセス開始位置141に位置する状態で、アーム132の可動範囲(半径Ra)内でハンド中心線139をアクセス直線304に対して傾斜させる第1アクセス制御を行うように構成されている。
図1に示した構成では、横方向(Y方向)の両外側に配置された2つのカセット30が遠いカセット30bに相当し、横方向の内側に配置された2つのカセット30が近いカセット30aに相当する。
【0035】
ここで、
図1および
図4〜
図7を参照して、第1および第2アクセス制御を説明する。
【0036】
まず、カセット30に対してハンド部131をアクセスさせる際のアクセス動作の動作条件について説明する。
図4および
図5に示すように、アーム132の動作範囲は半径Raの円E内となるため、第2アーム部137の先端部(ハンド部131の根元)の回動中心C3は、円E内に配置される必要がある。
【0037】
アクセス動作は、アクセス開始位置141から、カセット30内における基板載置位置142にハンド部131を移動させる動作である。アクセス開始位置141は、カセット30に対するアクセスを開始する位置であり、ハンド部131の基板保持中心138がカセット30の近傍で、かつ、カセット30から所定の間隔を隔てて配置される位置である。本実施形態では、アクセス開始位置141は、カセット開閉領域125内にハンド部131およびハンド部131に保持された基板110が配置されないように設定された、カセット開閉領域125の外縁126の近傍の所定位置として設定されている。カセット開閉領域125は、ロードポート12のドア開閉機構(図示せず)がカセット30の開閉を行なうために確保される作動領域であり、SEMI規格によって規定された幅(X方向の幅)W3(
図1参照)の領域である。通常、動作効率を考慮して、アクセス開始位置141は、ハンド部131およびハンド部131に保持された基板110をカセット開閉領域125の外縁126にできるだけ近づけるように設定される。基板載置位置142は、カセット30内に収納(載置)された基板110の中心位置である。
【0038】
また、カセット30内の基板載置位置142には、ハンド部131に基板110が保持された場合の基板保持中心138が位置付けられるように、ハンド部131が制御される。ここで、
図6および
図7に示すように、カセット30の内部には、SEMI規格により進入禁止領域305(ハッチング領域)が設定されており、この進入禁止領域305内にハンド部131が進入しないようにハンド部131の動作が制御される。進入禁止領域305は、基板110を保持するためにカセット30内で内側に突出するように設けられる支持部(図示せず)の形成可能領域を示すものであり、規格上、進入禁止領域305内に収まるように支持部が形成されなければならない。そのため、アクセス動作においては、少なくとも進入禁止領域305内にハンド部131が進入しなければ、SEMI規格に従うカセットに対してハンド部131が接触(干渉)しないことが担保される。進入禁止領域305の形状から分かるように、カセット30内では、ハンド部131の形状によっては、入口部分近傍を除いて、カセット30の前面(ロボット設置領域11の前面壁111)に対して垂直なアクセス直線304に沿った直線移動以外のハンド部131の移動がほとんど許容されない場合がある。このため、基本的にはカセット30内では、ハンド部131の根元から先端に向かうハンド中心線139をアクセス直線304(X方向)に一致させ、直線移動をさせることが必要となる。なお、ハンド中心線139は、正確には、ハンド部131の回動中心C3と、ハンド部131の基板保持中心138とを結んだ直線である。
【0039】
このような動作条件下で、第2アクセス制御では、
図5に示すように、制御部133は、基板保持中心138がアクセス開始位置141に位置する状態(破線参照)でハンド中心線139をアクセス直線304に一致させるとともに、そのまま基板保持中心138が基板載置位置142に到達するまでハンド部131をX1方向に直線移動させる。この第2アクセス制御によるアクセス動作は、アクセス開始位置141でハンド中心線139をアクセス直線304に一致させた状態における第2アーム部137の先端部(ハンド部131の根元)の回動中心C3(点P)が、半径Raの円E内に配置される範囲内で行うことが可能となる。そのため、制御部133は、回動中心C1と、アクセス開始位置141における回動中心C3との間の距離G2(点O−点P間の距離)がRa以下の場合に、第2アクセス制御を実施するように構成されている。
【0040】
つまり、第2アクセス制御は、下記の条件式(2)を満たす場合に実施される。
G2≦Ra・・・(2)
そのため、第2アクセス制御は、
図5に示すように、回動中心C1からY方向の距離D1までの範囲内のカセット30aに対して実施され、カセット30aが距離D1の位置にあるとき、アクセス開始位置141でハンド中心線139をアクセス直線304に一致させた状態における回動中心C3(点P)が円E上にある。
【0041】
一方、距離D1よりも基板搬送ロボット13(回動中心C1)からY方向に離間した位置にあるカセット30bに対しては、制御部133は、上記の第1アクセス制御を実施する。
【0042】
第1アクセス制御では、制御部133は、
図4および
図6に示すように、ハンド部131の基板保持中心138がアクセス開始位置141に位置する状態(破線のハンド位置)で、アーム132の可動範囲(半径Raの円E)内でハンド中心線139をアクセス直線304に対して傾斜(傾斜角度α)させる。このように、本実施形態では、第1アクセス制御によりアクセスする際のハンド部131の位置および向きが、アクセス開始位置141ではハンド部131がアクセス直線304に対して基板搬送ロボット13の第1アーム部136の回動中心C1側に傾斜する位置および向きに設定されている。
【0043】
そして、制御部133は、
図6に示すように、アクセス開始位置141と基板載置位置142との間でアクセス直線304に一致するようにハンド中心線139の向きを変えつつ、基板保持中心138がカセット開閉領域125の外縁126よりもカセット30b側(X1方向側)のアクセス途中位置143に位置する状態(実線のハンド位置)で、ハンド中心線139をアクセス直線304に一致させる。
【0044】
アクセス途中位置143は、ハンド部131の基板保持中心138がアクセス開始位置141よりもカセット30側に配置される位置である。本実施形態では、アクセス途中位置143は、カセット開閉領域125の外縁126よりもカセット30b側(X1方向側)で、かつ、カセット30b内におけるハンド部131の進入禁止領域305の外側の位置として設定されている。このアクセス途中位置143は、ハンド部131の形状と、カセット30b(30)内における進入禁止領域305の形状とに応じて決定され、ハンド部131の先端部Kが進入禁止領域305の近傍に位置する所定位置である。
図6では、ハンド部131の先端部Kが、進入禁止領域305の近傍で進入禁止領域305に接触する直前の位置に、アクセス途中位置143が設定された例を示している。また、
図6では、ハンド部131の先端部Kがカセット30の前面開口302よりも内側まで進入した位置に、アクセス途中位置143が設定されている。
【0045】
ここで、
図6では、エッジグリップ型のハンド部131の例を示しているため、平面視で、ハンド部131の先端部Kが保持する基板110の外側にはみ出している。これに対して、たとえば、負圧(バキューム)式や静電式のチャック方式を採用するハンド部では、先端部が基板110と重なる位置に配置され基板110の外側にはみ出さない場合もある。その場合には、
図6に示したアクセス途中位置143よりもさらにカセット30bの奥側までアクセス途中位置を設定することができる。このように、アクセス途中位置は、ハンド部の形状と、カセット30内における進入禁止領域305の形状とに応じて決定される。
【0046】
なお、本実施形態では、制御部133は、平面視において、ハンド部131の基板保持中心138がアクセス開始位置141に位置し、ハンド中心線139がアクセス直線304に対して傾斜した状態(
図6の破線のハンド位置)から、第1アーム部136と第2アーム部137との相対角度βが一定の状態で、ハンド部131をアクセス途中位置143へ移動させるように構成されている。このため、アクセス開始位置141とアクセス途中位置143との間では、アーム132(第2アーム部137)の先端部の回動中心C3が半径一定の円弧軌跡をとる。
【0047】
また、アクセス開始位置141におけるハンド中心線139のアクセス直線304に対する傾斜角度αは、アクセス途中位置143まで移動させた時にハンド中心線139がアクセス直線304と一致する角度に設定される。したがって、まず、アクセス途中位置143(
図6の実線のハンド位置)における姿勢(回動中心C1、C2およびC3回りの回転角度)が決定され、そのときの第1アーム部136と第2アーム部137との相対角度βが、アクセス開始位置141における相対角度βとなる。回動中心C2回りの回転角度を固定させたまま、アクセス途中位置143から回動中心C1回りにアーム132の全体をアクセス開始位置141まで旋回させたときの、ハンド中心線139のアクセス直線304に対する傾斜角度が、そのまま傾斜角度αとなる。
【0048】
図7に示すように、アクセス途中位置143でハンド中心線139をアクセス直線304に一致させた後は、制御部133は、上記第2アクセス制御と同様に、基板保持中心138が基板載置位置142に到達するまでハンド部131をX1方向に直線移動させる。すなわち、本実施形態では、第1アクセス制御によりアクセスする際のハンド部131の位置および向きが、基板載置位置142ではハンド部131がアクセス直線304に沿う(ハンド中心線139をアクセス直線304に一致する)位置および向きに設定されている。このようにして、第1アクセス制御が実施される。
【0049】
この第1アクセス制御によるアクセス動作は、アクセス途中位置143でハンド中心線139をアクセス直線304に一致させた状態(
図7の破線のハンド位置)における回動中心C3と回動中心C1との間の第1距離F(点O−点Q間の距離)と、基板保持中心138が基板載置位置142に到達した状態(
図7の実線のハンド位置)における回動中心C3と回動中心C1との間の第2距離G(点O−点R間の距離)とのうち大きい方が、半径Raの円E内に配置される範囲内で行うことが可能となる。
【0050】
そのため、アクセス開始位置141でハンド中心線139をアクセス直線304に一致させた状態を仮定した場合の回動中心C3と回動中心C1との間の距離G2(
図7の点O−点Pi間の距離)が、半径Raよりも大きくなる場合であって、第1距離F(点O−点Q間の距離)と、第2距離G(点O−点R間の距離)とのうち大きい方が、半径Raの円E内に配置される範囲内にある場合に、制御部133は、第1アクセス制御を実施するように構成されている。
【0051】
つまり、第1アクセス制御は、下記の条件式(3)を満たす場合に実施される。
max{F,G}≦Ra<G2・・・(3)
これにより、第1アクセス制御では、
図6および
図7に示すように、回動中心C1からY方向の距離D2(>D1)だけ離れたカセット30bに対しても、アクセス動作が実施可能となっている。この結果、第2アクセス制御ではアクセス開始位置141での第2アーム部137の先端部(回動中心C3)が半径Raの円Eの外部にはみ出してしまうような遠い位置に配置されたカセット30bに対して、第1アクセス制御によってアクセスを行うことが可能である。上記した基板搬送ロボット13のアーム長に関する条件式(1)は、このような第1アクセス制御および第2アクセス制御の実施を前提としたものであり、逆に言えば、条件式(1)を満たす範囲内で、基板搬送システム10のカセット30(30aおよび30b)が設置されている。
【0052】
次に、本実施形態による基板搬送システム10が基板搬送する際の具体的な動作手順について説明する。ここでは、
図4、
図6、
図8(A)〜
図8(E)および
図9(A)〜
図9(E)を参照して、基板搬送ロボット13から遠いカセット30bへのハンド部131の具体的なアクセス動作の一例について説明する。また、ここでは、ハンド部131が保持した基板110をカセット30bへ搬送(収納)する場合について説明する。このアクセス動作は、基板搬送ロボット13から遠いカセット30bへのアクセスであるので、制御部133は、第1アクセス制御によるハンド部131の位置および向きの制御を行う。
【0053】
まず、基板搬送ロボット13は、
図8(A)に図示するように、ハンド部131の基板保持中心138をアクセス開始位置141に位置付ける。このとき、ハンド中心線139がアクセス直線304に対して傾斜した状態(
図4参照)となるようにハンド部131の向きが制御される。続いて、
図8(B)〜
図8(E)に図示するように、基板搬送ロボット13は、アクセス開始位置141から回動中心C1回りにアーム132の全体を旋回させることにより、ハンド部131の基板保持中心138をアクセス途中位置143に位置付ける。このため、アクセス開始位置141からアクセス途中位置143に至るまでの基板保持中心138の軌跡J1は、円弧軌跡となる。また、この間、第1アーム部136と第2アーム部137との相対角度βは、一定に維持される。また、第2アーム部137とハンド部131との相対角度γも一定に維持される。
【0054】
図8(E)および
図9(A)に図示するように、ハンド部131の基板保持中心138がアクセス途中位置143に到達すると、ハンド中心線139は、アクセス直線304に対して一致した状態(
図6参照)となる。続いて、
図9(B)〜
図9(E)に図示するように、基板搬送ロボット13は、ハンド部131をアクセス直線304に沿って直線移動させ、基板保持中心138をアクセス途中位置143から基板載置位置142に位置付ける。したがって、アクセス途中位置143から基板載置位置142に至るまでの基板保持中心138の軌跡J2は、直線軌跡となる。
【0055】
この間、第1アーム部136と第2アーム部137との相対角度β、および、第2アーム部137とハンド部131との相対角度γは、連続的に変化する。すなわち、制御部133は、第1アーム部136、第2アーム部137およびハンド部131をそれぞれ回動中心C1、C2およびC3まわりに回動させ、ハンド中心線139をアクセス直線304に対して一致させたままハンド部131を直線移動させる。
【0056】
ハンド部131の基板保持中心138を基板載置位置142に位置付けると、基板搬送ロボット13は、カセット30b内に基板110を設置して、ハンド部131をカセット30bから引き抜く。カセット30bからの引き抜き動作も、アクセス動作と同一の軌跡で行われる。つまり、ハンド部131の引き抜き動作は、
図8(A)〜
図8(E)および
図9(A)〜
図9(E)を逆再生する動作となる。以上のようにして、基板搬送が行われる。
【0057】
ここで、近年、基板処理装置による処理効率を向上させるためにカセットの設置数が増加する傾向にあり、カセット設置数を増加させるほど、基板搬送ロボットはより遠くのカセットに対してアクセスする必要が生じる。一方、基板搬送ロボットの大型化は設備全体の大型化を招くため、従来の基板搬送ロボットに対して大型化することなく、より遠くの位置にあるカセットに対してもアクセス可能な基板搬送ロボットを提供することが望まれている。
【0058】
しかしながら、上記特許文献1に開示されたような従来の基板搬送ロボットでは、ハンド部をカセットにアクセスさせる際に、ハンド中心線をアクセス直線と一致させた状態でアクセス開始位置と基板載置位置との間を直線移動させるように構成されているので、アクセス開始位置においてアームの先端(ハンド部の根元)がアクセス直線の延長線上に到達できなければならず、より遠くの位置までカセットを配置することができない。
【0059】
そこで、本実施形態では、上記のように、平面視において、基板保持中心138がアクセス開始位置141に位置する状態では、ハンド中心線139がアクセス直線304に対して傾斜し、ハンド中心線139がアクセス直線304に一致した状態で基板保持中心138が基板載置位置142に到達するように、ハンド部131の位置および向きを制御するように制御部133を構成することによって、アクセス開始位置141ではハンド中心線139をアクセス直線304に対して傾斜させてアーム132の先端部(ハンド部131の根元)を基板搬送ロボット13に近い位置に位置させることができるので、基板載置位置142でアーム132の先端部(回動中心C3)をアクセス直線304の延長線上に配置可能な範囲内で遠い位置に配置したカセット30bに対してもハンド部131をアクセスさせることができる。これにより、基板搬送ロボット13を大型化(アーム長を長大化)することなく、アクセス開始位置141においてアーム132の先端部(回動中心C3)をアクセス直線304の延長線上に配置できないような遠い位置にあるカセット30bに対してもアクセスすることができる。このように、上記のカセットの設置数の増加という背景の下、本実施形態による基板搬送ロボット13は、基板載置部としてのカセット30に対するアクセスを行う場合に、特に有効である。
【0060】
なお、本実施形態による基板搬送ロボット13の上記の効果は、複数のカセット30に対してアクセスするために必要なアーム132のアーム長を短くすることにより、基板搬送システム10を小型化することができる、と言い換えることができる。すなわち、設計上の要求から、基板搬送システム10におけるカセット30の配置数(たとえば、
図1に示すように4個)が与えられた場合、これらのカセット30の横方向(Y方向)のピッチがSEMI規格によって規定されているので、すべてのカセット30にアクセスするために必要なアーム長が決まるとともに、ロボット設置領域11の横幅W2も決定される。このとき、ロボット設置領域11の前後幅W1は、アーム132およびハンド部131を折り畳んで旋回させた場合の最小旋回半径に応じて決定される。すなわち、回動中心C1から背面壁201までの距離が、最小旋回半径に所定の安全マージンを加えた大きさとなるように、ロボット設置領域11の前後幅W1が決定される。そのため、本実施形態の基板搬送システム10によれば、カセット30の配置数が与えられたとき、すべてのカセット30にアクセスするために必要な基板搬送ロボット13のアーム長を短くすることができることにより、ロボット設置領域11の前後幅W1を小さくし、基板搬送システム10を小型化することが可能となる。
【0061】
また、本実施形態では、上記のように、アクセス開始位置141と基板載置位置142との間でアクセス直線304に一致するようにハンド中心線139の向きを変えつつ、ハンド中心線139がアクセス直線304に一致した状態でハンド部131の基板保持中心138を基板載置位置142に到達させるように制御部133を構成する。これにより、たとえばハンド部131を所定位置で停止させた上でハンド部131の向きを変更する動作を行う必要がなく、アクセス開始位置141と基板載置位置142との間でアーム132の可動範囲(円E内)内でハンド部131を移動させながら、移動に伴ってハンド中心線139をアクセス直線304に一致させることができる。
【0062】
また、本実施形態では、上記のように、基板保持中心138がアクセス開始位置141よりもカセット30側のアクセス途中位置143に位置する状態で、ハンド中心線139をアクセス直線304に一致させるとともに、アクセス途中位置143と基板載置位置142との間では、ハンド中心線139がアクセス直線304に一致した状態でハンド部131を直線移動させるように制御部133を構成する。これにより、アクセス途中位置143とカセット30内の基板載置位置142との間では、単純で精度を出しやすい直線移動によりハンド部を移動させることができるので、ハンド部131がカセット30の内部と干渉(接触)しないように、ハンド部131をカセット30内に位置精度よくアクセスさせることができる。
【0063】
また、本実施形態では、上記の式(1)に示したように、基板保持中心138がアクセス途中位置143に位置する状態におけるアーム132の先端部(回動中心C3)と回動中心C1との間の第1距離Fと、基板保持中心138が基板載置位置142に位置する状態におけるアーム132の先端部(回動中心C3)と回動中心C1との間の第2距離Gとのうち大きい方が、アーム132を構成するすべてのアーム部(第1アーム部136および第2アーム部137)のリンク長の和(2L)の長さ以下で、かつ、アーム132の到達可能長さRa以下となるように、アーム132を構成する。これにより、第1距離Fと、第2距離Gとのうち大きい方がリンク長の和(2L)の長さおよび到達可能長さRa以下となる範囲内であれば、アクセス開始位置141ではハンド中心線139をアクセス直線304に一致させることができないような遠い位置にあるカセット30に対しても、ハンド部131をアクセスさせることができる。
【0064】
また、本実施形態では、上記のように、アクセス開始位置141を、基板保持中心138がカセット開閉領域125の外縁近傍に配置される位置に設定するとともに、アクセス途中位置143を、カセット開閉領域125の外縁126よりもカセット30側で、かつ、カセット30内におけるハンド部131の進入禁止領域305の外側の位置に設定する。これにより、ハンド部131がカセット開閉領域125の外縁126よりもカセット30側のアクセス途中位置143に到達するまではハンド中心線139をアクセス直線304に対して(基板搬送ロボット13に近い側に)傾斜させておくことができるので、アクセス開始位置141ではハンド中心線139をアクセス直線304に一致させることができないような、より遠い位置にあるカセット30に対しても、容易に、ハンド中心線139をアクセス直線304に一致させた状態でカセット30内の基板載置位置142にアクセスさせることができる。また、その場合でも、ハンド部131が進入禁止領域305内でカセット30と干渉するのを防止することができる。
【0065】
また、本実施形態では、上記のように、アクセス途中位置143を、ハンド部131の形状と、カセット30内における進入禁止領域305の形状とに応じて決定され、ハンド部131の先端部が進入禁止領域305の近傍に位置する所定位置に設定する。これにより、ハンド部131の形状と、カセット30内における進入禁止領域305の形状とに応じて、ハンド部131の先端部が進入禁止領域305に近接する位置までハンド中心線139をアクセス直線304に対して(基板搬送ロボット13に近い側に)傾斜させておくことができる。これにより、さらに遠い位置にあるカセット30に対しても、ハンド中心線139をアクセス直線304に一致させた状態でカセット30内の基板載置位置142にアクセスさせることができる。
【0066】
また、本実施形態では、上記のように、平面視において、ハンド部131の基板保持中心138がアクセス開始位置141に位置し、ハンド中心線139がアクセス直線304に対して傾斜した状態から、隣接する第1アーム部136および第2アーム部137の相対角度βが一定の状態で、ハンド部131をアクセス途中位置143へ移動させるように制御部133を構成する。これにより、アクセス開始位置141からアクセス途中位置143へ移動させるまでは、隣接する第1アーム部136および第2アーム部137の相対角度β(回動中心C2回りの回転角度)を変更せずにハンド部131を移動させることができるので、ハンド部131の移動制御を簡素化し、制御部133のアクセス制御負荷を軽減することができる。特に、本実施形態では、アクセス開始位置141からアクセス途中位置143への移動を回動中心C1回りのアーム132全体の旋回によって実現しているので、アクセス開始位置141からアクセス途中位置143への移動制御をさらに簡素化することが可能となっている。
【0067】
また、本実施形態では、上記のように、近い位置にあるカセット30aにハンド部131をアクセスさせる際には、基板保持中心138がアクセス開始位置141に位置する状態でハンド中心線139をアクセス直線304に一致させ(第2アクセス制御)、ハンド部131をカセット30aよりも遠い位置に配置されたカセット30bにアクセスさせる際には、基板保持中心138がアクセス開始位置141に位置する状態で、アーム132の可動範囲(半径Ra)内でハンド中心線139をアクセス直線304に対して傾斜させる(第1アクセス制御)ように制御部133を構成する。これにより、近い位置にあるカセット30aにアクセスする場合には、アクセス開始位置141から基板載置位置142に至るアクセス動作を、ハンド中心線139をアクセス直線304に一致させた直線移動によって行うことができるので、ハンド部131をカセット30内に位置精度よくアクセスさせることができる。そして、アクセス開始位置141ではハンド中心線139をアクセス直線304に一致させることができないような、より遠い位置にあるカセット30bに対しても、アクセス開始位置141でハンド中心線139をアクセス直線304に対して傾斜させてアクセス可能とすることができる。これにより、基板搬送ロボット13からの距離に応じた適切なアクセス動作でハンド部131をカセット30(30a、30b)にアクセスさせることができる。
【0068】
なお、今回開示された実施形態は、すべての点で例示であって制限的なものではないと考えられるべきである。本発明の範囲は、上記した実施形態の説明ではなく特許請求の範囲によって示され、さらに特許請求の範囲と均等の意味および範囲内でのすべての変更が含まれる。
【0069】
たとえば、上記実施形態では、基板搬送ロボットの一例として、2つのアーム部(第1アーム部および第2アーム部)を備えた基板搬送ロボットを示したが、アーム部を1つのみ備えた基板搬送ロボットであってもよいし、3つ以上のアーム部を備えた基板搬送ロボットであってもよい。
【0070】
また、上記実施形態では、基板搬送ロボットの一例として、1つのハンド部を備えた基板搬送ロボットを示したが、2つ以上のハンド部を備えた基板搬送ロボットであってもよい。
【0071】
また、上記実施形態では、エッジグリップ式のハンド部131を基板搬送ロボット13に設けた例を示したが、上記のように、負圧(バキューム)式や静電式のチャック方式のハンド部を基板搬送ロボットに設けてもよい。また、エッジグリップ式、負圧式および静電式以外のチャック方式のハンド部を基板搬送ロボットに設けてもよい。
【0072】
また、上記実施形態では、4つのロードポート12を備えることにより、4つのカセット30を設置可能な基板搬送システム10の例を示したが、カセットの設置数(ロードポートの数)は3つ以下または5つ以上であってもよい。
【0073】
また、上記実施形態では、第1アクセス制御においてアクセス開始位置141とアクセス途中位置143との間でハンド部131を円弧移動(旋回移動)させることにより、ハンド中心線139の向きを連続的に変化させる例を示したが、アクセス開始位置141と基板載置位置142との間の位置で、ハンド部131の向きを調整する動作を行うように制御してもよい。すなわち、ハンド中心線139をアクセス直線304に一致させることができる位置(ハンド中心線139をアクセス直線304に一致させてもアーム132の先端部が円Eの範囲からはみ出さない位置)までハンド部131を移動させた後、ハンド中心線139をアクセス直線304に一致させる動作を行うように構成してもよい。
【0074】
また、上記実施形態では、第1アクセス制御においてアクセス開始位置141とアクセス途中位置143との間で相対角度βを一定に保ちハンド部131を円弧移動(旋回移動)させる例を示したが、アクセス開始位置141とアクセス途中位置143との間で相対角度βを変化させてもよい。
【0075】
また、上記実施形態では、第1アクセス制御においてアクセス開始位置141とアクセス途中位置143との間で相対角度βのみならず相対角度γも一定に保ってハンド部131を移動させる例を示したが、アクセス開始位置141とアクセス途中位置143との間で相対角度γを変化させてもよい。
【0076】
また、上記実施形態では、アクセス途中位置143を、ハンド部131の先端部が進入禁止領域305の近傍に位置する所定位置に設定した例を示したが、たとえばアクセス途中位置が進入禁止領域から所定の安全マージン分だけ離間した位置に設定されてもよい。アクセス途中位置は、ハンド中心線139をアクセス直線304に一致させてもアーム132の先端部が円Eの範囲内に収まる位置であって、進入禁止領域305の外側の位置であればよい。したがって、アクセス途中位置は、図示した位置に限らず、ハンド部の形状と、カセット内における進入禁止領域305の形状とに応じて最適な位置に設定すればよい。
【0077】
また、上記実施形態では、カセット30aよりも遠い位置に配置されたカセット30bにハンド部131をアクセスさせる際にのみ、基板保持中心138がアクセス開始位置141に位置する状態でハンド中心線139をアクセス直線304に対して傾斜させるように基板搬送ロボット13を構成した例を示したが、近い位置にあるカセット30aにハンド部131をアクセスさせる際にも、基板保持中心138がアクセス開始位置141に位置する状態でハンド中心線139をアクセス直線304に対して傾斜させてもよい。
【0078】
また、上記実施形態では、カセット30(30b)にハンド部131をアクセスさせる際に、アクセス開始位置141でハンド中心線139をアクセス直線304に対して傾斜させる第1アクセス制御を行う例を示したが、処理装置20の処理室203にハンド部131をアクセスさせる際にも、同様に第1アクセス制御を行ってもよい。すなわち、処理室203へのアクセス開始位置でハンド中心線139を処理室203へのアクセス直線に対して傾斜させる。これにより、より遠い位置にある処理室に対してもハンド部をアクセスさせることができる。
【0079】
また、上記実施形態では、カセット30と処理装置20との間で基板搬送ロボット13によって基板110を搬送する基板搬送システムの例を示したが、基板搬送システムは、たとえば、次工程に基板を受け渡すためのバッファ部を備えた基板仮置き装置など、半導体デバイスの製造プロセスにおける処理装置以外の装置に基板を搬送する基板搬送システムであってもよい。この場合にも、上記実施形態と同様に、バッファ部にハンド部をアクセスさせる際に、バッファ部へのアクセス開始位置でハンド中心線をバッファ部へのアクセス直線に対して傾斜させる第1アクセス制御を行ってもよい。これにより、より遠い位置にあるバッファ部に対してもハンド部をアクセスさせることができる。この場合、バッファ部は、「基板載置部」の一例である。
【0080】
また、上記実施形態では、ロボット設置領域を互いに略平行に配置された前面壁および背面壁に挟まれた領域とする例を示したが、互いに交差するように配置された第1壁部および第2壁部に囲まれた領域をロボット設置領域としてもよい。