(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記組成式において、窒化アルミニウムの含有量が、0質量%より大きく32質量%より小さいことを特徴とする請求項1〜4のいずれか一項に記載の酸窒化物蛍光体粉末。
450nmの波長の光により励起されて発する蛍光の外部量子効率が60%以上であることを特徴とする請求項1〜5のいずれか一項に記載のα型サイアロンと窒化アルミニウムとを含む酸窒化物蛍光体粉末。
酸窒化物蛍光体粉末を構成するα型サイアロン結晶相の格子定数が、7.93Å≦a=b≦7.99Å、5.75Å≦c≦5.80Åの範囲であることを特徴とする請求項1〜7のいずれか一項に記載の酸窒化物蛍光体粉末。
450nmの波長の光により励起されることで、ピーク波長が595nm〜605nmの波長域にある蛍光を発し、その際の外部量子効率が60%以上であることを特徴とする請求項1〜10のいずれか一項に記載の酸窒化物蛍光体粉末。
前記ケイ素源となる物質が窒化ケイ素粉末であり、前記窒化ケイ素粉末の酸素含有量が0.2〜0.9質量%であり、平均粒子径が1.0〜12.0μmであり、比表面積が0.2〜3.0m2/gであることを特徴とする請求項13または14に記載の酸窒化物蛍光体粉末の製造方法。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0015】
白色LEDの色温度を調整する目的、また、所望の波長の黄色から橙色の発光を得る目的で、実用に値する高輝度な蛍光体が求められているにもかかわらず、以上のように、蛍光ピーク波長が595〜605nmの広い発光ピーク波長において、実用に値する高効率なα型サイアロン蛍光体は知られていない。
【0016】
本発明は、595〜605nmの蛍光ピーク波長を有する酸窒化物蛍光体、好ましくは外部量子効率が従来よりも高い、新規な酸窒化物蛍光体を提供することを目的とする。
【0017】
また、上記のような酸窒化物蛍光体を提供するための酸窒化物蛍光体粉末製造用窒化ケイ素粉末を提供することを目的とする。
【0018】
また、上記のような酸窒化物蛍光体を提供するための酸窒化物蛍光体の製造方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0019】
本発明者らは、上記問題を解決するために鋭意検討した結果、
組成式:
Ca
x1Eu
x2Si
12−(y+z)Al
(y+z)O
zN
16−z
(ただし、式中、
0<x1≦3.40、
0.05≦x2≦0.20、
4.0≦y≦7.0、
0≦z≦1)
で表される組成となるように、ケイ素源となる物質と、アルミニウム源となる物質と、カルシウム源となる物質と、ユーロピウム源となる物質とを混合し、焼成して得られる蛍光体であり、該蛍光体はα型サイアロンと窒化アルミニウムとを含む酸窒化物蛍光体粉末とすることで、450nmの波長の光により励起されて、ピーク波長が595nmから605nmの広い波長域で蛍光を発し、その際の外部量子効率が好適な、酸窒化物蛍光体粉末が得られることを見出し、本発明に至った。
【0020】
即ち、本発明は、
組成式:
Ca
x1Eu
x2Si
12−(y+z)Al
(y+z)O
zN
16−z
(ただし、式中、x1、x2、y、zは、
0<x1≦3.40、
0.05≦x2≦0.20、
4.0≦y≦7.0、
0≦z≦1)
で表される組成となるように、ケイ素源となる物質と、アルミニウム源となる物質と、カルシウム源となる物質と、ユーロピウム源となる物質とを混合し、焼成して得られ、
α型サイアロンと窒化アルミニウムとを含むことを特徴とする酸窒化物蛍光体粉末に関する。
【0021】
特に、前記組成式において、前記x1、x2、y、zは、
0<x1≦3.40、
0.05≦x2≦0.20、
4.50≦y≦5.50、
0≦z≦1.00
であることを特徴とする酸窒化物蛍光体粉末に関する。
【0022】
また、前記組成式において、前記x1、x2、y、zが、
1.37≦x1≦2.60、
0.16≦x2≦0.20、
4.50≦y≦5.50、
0≦z≦0.30
であることを特徴とする酸窒化物蛍光体粉末に関する。
【0023】
また、前記組成式において、前記x1、x2、y、zが、
1.70<x1≦2.60、
0.16≦x2≦0.20、
4.50≦y≦5.05、
0≦z≦0.30
であることを特徴とする酸窒化物蛍光体粉末に関する。
【0024】
また、前記組成式において、前記x1、x2、y、zが、
1.70<x1≦2.60、
0.16≦x2≦0.20、
4.50≦y≦5.05、
0≦z≦0.10
であることを特徴とする酸窒化物蛍光体粉末に関する。
【0025】
また、本発明は、前記組成式において、窒化アルミニウムの含有量が、0質量%より大きく32質量%より小さいことを特徴とする酸窒化物蛍光体粉末に関する。
【0026】
また、本発明は、450nmの波長の光により励起されて発する蛍光の外部量子効率が60%以上であることを特徴とするα型サイアロンと窒化アルミニウムとを含む酸窒化物蛍光体粉末に関する。
【0027】
また、本発明は、上記の酸窒化物蛍光体粉末において、光反射率が80%以上であることを特徴とする酸窒化物蛍光体粉末に関する。
【0028】
また、本発明は、酸窒化物蛍光体粉末を構成するα型サイアロン結晶相の格子定数が、7.93Å≦a=b≦7.99Å、5.75Å≦c≦5.80Åの範囲であることを特徴とする酸窒化物蛍光体粉末に関する。
【0029】
また、本発明は、レーザー回折/散乱式粒度分布測定装置で測定した粒度分布曲線における50%径(D
50)が10.0〜20.0μmであり、かつ、比表面積が0.2〜0.6m
2/gであることを特徴とする酸窒化物蛍光体粉末に関する。
【0030】
また、本発明は、粒子表面の非晶質層が2nm未満であることを特徴とする酸窒化物蛍光体粉末に関する。
【0031】
また、本発明は、450nmの波長の光により励起されることで、ピーク波長が595nm〜605nmの波長域にある蛍光を発し、その際の外部量子効率が60%以上であることを特徴とする酸窒化物蛍光体粉末に関する。
【0032】
また、本発明は、前記x1、x2、y、zが、
1.37≦x1≦2.60、
0.16≦x2≦0.20、
4.50≦y≦5.50、
0≦z≦0.30
であり、ピーク波長が602nm〜605nmの波長域にある蛍光を発し、その際の外部量子効率が60%以上であることを特徴とする酸窒化物蛍光体粉末に関する。
【0033】
さらに、本発明は、もう1つの側面において、上記の酸窒化物蛍光体粉末を製造するための原料として使用する結晶質窒化ケイ素粉末であり、酸素含有量が0.2〜0.9質量%であることを特徴とする酸窒化物蛍光体粉末製造用窒化ケイ素粉末に関する。
【0034】
また、本発明は、前記酸窒化物蛍光体粉末製造用窒化ケイ素粉末が、平均粒子径が1.0〜12.0μmであることを特徴とする酸窒化物蛍光体粉末製造用窒化ケイ素粉末に関する。
【0035】
また、本発明は、前記酸窒化物蛍光体粉末製造用窒化ケイ素粉末が、比表面積が0.2〜3.0m
2/gであることを特徴とする酸窒化物蛍光体粉末製造用窒化ケイ素粉末に関する。
【0036】
また、本発明は、前記組成式において、前記x1、x2、y、zが、
1.37≦x1≦2.60、さらには1.70≦x1≦2.60、
0.16≦x2≦0.20、
4.50≦y≦5.50、
0≦z≦0.30、さらには0≦z≦0.10
である酸窒化物蛍光体粉末を製造するための原料として使用する結晶質窒化ケイ素粉末であることを特徴とする前記酸窒化物蛍光体粉末製造用窒化ケイ素粉末に関する。
【0037】
さらに、本発明はもう1つの側面において、組成式:
Ca
x1Eu
x2Si
12−(y+z)Al
(y+z)O
zN
16−z
(ただし、式中、x1、x2、y、zは、
0<x1≦3.40、
0.05≦x2≦0.20、
4.0≦y≦7.0、
0≦z≦1)
で表される組成となるように、ケイ素源となる物質と、アルミニウム源となる物質と、カルシウム源となる物質と、ユーロピウム源となる物質とを混合し、不活性ガス雰囲気中、1500〜2000℃の温度範囲で焼成することにより、前記一般式で表される酸窒化物焼成物を得る第1工程と、
前記酸窒化物焼成物を、不活性ガス雰囲気中、1100〜1600℃の温度範囲で熱処理する第2工程と、
を有することを特徴とする酸窒化物蛍光体粉末の製造方法に関する。
【0038】
この側面において、本発明は、前記ケイ素源となる物質が窒化ケイ素粉末であり、前記窒化ケイ素粉末の酸素含有量が0.2〜0.9質量%であり、平均粒子径が1.0〜12.0μmであり、比表面積が0.2〜3.0m
2/gであることを特徴とする酸窒化物蛍光体粉末の製造方法に関する。
【0039】
また、本発明は、前記x1、x2、y、zが、
1.37≦x1≦2.60、
0.16≦x2≦0.20、
4.50≦y≦5.50、
0≦z≦0.30
である酸窒化物蛍光体粉末の製造方法であることを特徴とする酸窒化物蛍光体粉末の前記製造方法に関する。
【発明の効果】
【0040】
本発明によれば、組成式:
Ca
x1Eu
x2Si
12−(y+z)Al
(y+z)O
zN
16−z
で表される酸窒化物蛍光体において、
0<x1≦3.40、0.05≦x2≦0.20、4.0≦y≦7.0、0≦z≦1で表される組成となるように、ケイ素源となる物質と、アルミニウム源となる物質と、カルシウム源となる物質と、ユーロピウム源となる物質とを混合し、焼成して得られる蛍光体であり、該蛍光体はα型サイアロンと窒化アルミニウムとを含む酸窒化物蛍光体粉末とすることにより、450nmの波長の光により励起されることで、ピーク波長が595nmから605nmの広い波長域で蛍光を発する新規な酸窒化物蛍光体粉末が提供される。この新規な酸窒化物蛍光体粉末は、好適には、450nmの波長の光により励起されて発する蛍光の外部量子効率が特に大きいという特徴を有し、高効率な酸窒化物蛍光体粉末であることができる。また、本発明は、その酸窒化物蛍光体粉末の製造に好適に用いることができる窒化ケイ素粉末、及びその酸窒化物蛍光体粉末の製造方法が提供される。
【発明を実施するための形態】
【0042】
以下、本発明について詳しく説明する。
【0043】
本発明は、組成式:
Ca
x1Eu
x2Si
12−(y+z)Al
(y+z)O
zN
16−z
で表される酸窒化物蛍光体において、
0<x1≦3.40、
0.05≦x2≦0.20、
4.0≦y≦7.0、
0≦z≦1
で表される組成となるように、ケイ素源となる物質と、アルミニウム源となる物質と、カルシウム源となる物質と、ユーロピウム源となる物質とを混合し、焼成して得られる、α型サイアロンと窒化アルミニウムとを含む酸窒化物蛍光体粉末とすることにより、450nmの波長の光により励起されることで、ピーク波長が595nmから605nmの広い波長域で蛍光を発する酸窒化物蛍光体粉末に関し、とりわけ、その発光の際の外部量子効率が特に大きい、酸窒化物蛍光体粉末に関するものである。
【0044】
α型サイアロン、特に、Ca含有α型サイアロンとは、α型窒化ケイ素のSi−N結合の一部がAl−N結合およびAl−O結合に置換され、Caイオンが格子内に侵入固溶して電気的中性が保たれた固溶体である。
【0045】
本発明の酸窒化物蛍光体に含まれるα型サイアロン蛍光体は、前記Caイオンに加えてEuイオンが格子内に侵入固溶することで、Ca含有α型サイアロンが賦活されて、青色光によって励起され、前記一般式で表される黄色から橙色の蛍光を発する蛍光体となる。
【0046】
一般的な希土類元素を賦活させたα型サイアロン蛍光体は、特許文献1に記載されているとおり、MeSi
12−(m+n)Al
(m+n)O
nN
16−n(Meは、Ca、Mg、Y、又はLaとCeを除くランタニド金属の一種若しくは二種以上)で表され、金属Meは、(Si,Al)
3(N,O)
4の4式量を含むα型サイアロンの大きな単位胞3個当たり最低1個から、単位胞1個当たり最高1個まで固溶する。固溶限界は、一般に、金属元素Meが二価のとき、前述の一般式において、0.6<m<3.0、且つ、0≦n<1.5であり、金属Meが三価のとき、0.9<m<4.5、且つ、0≦n<1.5である。この範囲以外ではα型サイアロン単相とはならない。したがって、今までのα型サイアロン蛍光体の検討は、前述の組成範囲内に限られていた。
【0047】
本発明者は、前述の一般的にα型サイアロン単相が得られる組成範囲外についても鋭意検討した結果、前述のα型サイアロン単相が得られる組成範囲の蛍光体に比べ、本発明のように、従来、α型サイアロン単相が得られない組成領域において、発光効率が飛躍的に向上することを見出したものである。
【0048】
次に、本発明の酸窒化物蛍光体粉末について具体的に説明する。
【0049】
本発明の酸窒化物蛍光体粉末は、
組成式:
Ca
x1Eu
x2Si
12−(y+z)Al
(y+z)O
zN
16−z
において、
0<x1≦3.40、
0.05≦x2≦0.20、
4.0≦y≦7.0、
0≦z≦1
で表される組成となるように、ケイ素源となる物質と、アルミニウム源となる物質と、カルシウム源となる物質と、ユーロピウム源となる物質とを混合し、焼成して得られる、α型サイアロンと窒化アルミニウムとを含む酸窒化物蛍光体粉末である。
【0050】
前記x1及びx2はサイアロンへのCaイオンおよびEuイオンの侵入固溶量を示す値で、x2が0.05より小さく、または0.20より大きくなると、また、x1が3.40より大きくなると、外部量子効率を60%より大きくすることができない。x1は1.37以上、さらには1.70より大きいことが好ましい。x2は0.16以上であることが好ましい。
【0051】
前記yはサイアロンへ金属元素が固溶する際に電気的中性を保つために決められる値で、前記酸窒化物蛍光体粉末では、y=2(x1)+3(x2)で表される。式中のx1の係数2はCa含有α型サイアロン蛍光体に固溶するCaイオンの価数から、式中x2の係数3はCa含有α型サイアロン蛍光体に固溶するEuイオンの価数から与えられる数値である。また、本発明の酸窒化物蛍光体では、α型サイアロンと窒化アルミニウムを含むことから、前記yは、窒化アルミニウムの生成量に関連した値である。つまり、α型サイアロン単相が得られる組成領域を超えるy値となる場合には、窒化アルミニウムやその他のアルミニウム含有酸窒化物が生成することになる。
【0052】
本発明においては、前記y及びzの範囲は、4.0≦y≦7.0、0≦z≦1である。yおよびzがこの範囲の組成である場合、外部量子効率が60%以上の高効率な酸窒化物蛍光体粉末を提供することが可能である。
【0053】
前記yが7.0より大きくなると生成する窒化アルミニウム結晶相の量が大きく成り過ぎ、外部量子効率を60%より大きくすることができない。また、前記yが4.0より小さくなると、外部量子効率を60%より大きくすることができない。さらに、前記zはα型サイアロンへの酸素の置換固溶量に関する値である。zが1より大きくなると、発光ピーク波長が595nmより小さくなる。さらに、1≦y<2.3、0≦z<1.5、または、2.3≦y<4.0、0≦z<1の範囲では、外部量子効率を60%より大きくすることができない。また、0≦y<1.0、0≦z<1.5の範囲ではβ型サイアロンが生成し、外部量子効率を60%より大きくすることができない。
【0054】
また、本発明においては、前記x1、x2、y及びzの範囲は、それぞれ独立に、1.37≦x1≦3.40、1.37≦x1≦2.60、1.70<x1≦2.60であること、0.16≦x2≦0.20であること、4.0≦y≦5.5、4.5≦y≦5.5、4.0≦y≦5.05、4.5≦y≦5.05であること、0≦z≦1、0≦z≦0.30、0≦z≦0.10であることが好ましい。したがって、これらのx1、x2、y及びzの範囲の任意の組み合わせの組成は好ましい。x1、x2、yおよびzがこれらの範囲の組成に応じて、外部量子効率が好適な酸窒化物蛍光体粉末が提供される。
【0055】
また、本発明においては、前記y及びzの範囲が、4.6≦y≦5.5、0≦z≦1であることが好ましい。yおよびzがこの範囲の組成である場合、外部量子効率がより大きい高効率な酸窒化物蛍光体粉末が提供される。
【0056】
また、本発明の1つの好ましい酸窒化物蛍光体粉末は、前記組成式において、前記x1、x2、y、zが、
0<x1≦3.40、
0.05≦x2≦0.20、
4.50≦y≦5.50、
0≦z≦1.00
である。
【0057】
また、本発明のもう1つの好ましい酸窒化物蛍光体粉末は、前記組成式において、前記x1、x2、y、zが、
1.37≦x1≦2.60、
0.16≦x2≦0.20、
4.50≦y≦5.50、
0≦z≦0.30
である。
【0058】
本発明のさらにもう1つの好ましい酸窒化物蛍光体粉末は、前記組成式において、前記x1、x2、y、zが、
1.37≦x1≦2.60、
0.16≦x2≦0.20、
4.50≦y≦5.05、
0≦z≦0.10
である。
【0059】
本発明のさらにもう1つの好ましい酸窒化物蛍光体粉末は、前記組成式において、前記x1、x2、y、zが、1.70<x1≦2.60、0.16≦x2≦0.20、4.50≦y≦5.05、0≦z≦0.10であることが好ましい。
【0060】
本発明の酸窒化物蛍光体粉末は、CuKα線を用いたX線回折(XRD)装置により結晶相を同定すると、三方晶に分類されるα型サイアロン結晶相と六方晶に分類される窒化アルミニウム結晶相とからなる。α型サイアロン結晶相の単相である場合には、外部量子効率が小さくなり、また、窒化アルミニウム結晶相が多くなりすぎると、外部量子効率が小さくなる。酸窒化物蛍光体粉末に含まれる窒化アルミニウム結晶相の含有量としては、0質量%より大きく32質量%より小さい範囲で含むことが好ましい。この範囲で窒化アルミニウム結晶相を含んだ場合には、外部量子効率が大きくなる。窒化アルミニウム結晶相の含有量は、0.1質量%以上、さらには1質量%以上。2質量%以上、4質量%以上、10質量%以上、また30質量%以下、25質量%以下の範囲であることができる。
α型サイアロンと窒化アルミニウム以外の結晶相は含まないことが好ましい。含まれる可能性があるその他の結晶相としては、α型窒化ケイ素、酸化ケイ素、酸化カルシウム、酸窒化アルミニウム、酸化アルミニウムなどが挙げられ、その含有量は1質量%以下が好ましい。
【0061】
本発明の酸窒化物蛍光体粉末は、α型サイアロンと窒化アルミニウム以外に不純物としてフッ素などを含む必要はない。不純物、特にフッ素の量は30ppm未満、さらには20ppm以下、10ppm以下、1ppm以下であることができる。
【0062】
また、XRD測定により、α型サイアロン結晶相および窒化アルミニウム結晶相の格子定数を求めることができる。本発明の酸窒化物蛍光体粉末においては、構成するα型サイアロン結晶相の格子定数が、
7.93Å≦a=b≦7.99Å、
5.75Å≦c≦5.80Å
の範囲であることが好ましい。α型サイアロン結晶相の格子定数が、前記範囲外である場合には、外部量子効率が小さくなる。
【0063】
さらに、本発明の酸窒化物蛍光体粉末においては、構成するα型サイアロン結晶相の格子定数が、
7.96Å≦a=b≦7.99Å、
5.77Å≦c≦5.80Å
の範囲であることがより好ましい。この範囲内にある場合には、より外部量子効率が大きくなる。
【0064】
本発明の酸窒化物蛍光体粉末においては、構成する窒化アルミニウム結晶相の格子定数が、
3.11Å≦a=b≦3.12Å、
4.97Å≦c≦4.99Å
の範囲であることが好ましい。窒化アルミニウム結晶相の格子定数が、前記範囲内である場合には、外部量子効率がより大きくなる。
【0065】
XRD測定における結晶相の同定、格子定数の精密化、および、結晶相の定量化は、X線パターン解析ソフトを用いて行うことができる。解析ソフトとしては、リガク社製PDXL等が挙げられる。尚、酸窒化物蛍光体粉末のXRD測定および格子定数の精密化、リートベルト法による結晶相の定量化は、リガク社製X線回折装置(Ultima IV Protectus)および解析ソフト(PDXL)を用いて行った。
【0066】
本発明の酸窒化物蛍光体粉末は、450nmの波長の光により励起されて発する蛍光のピーク波長が595nm〜605nm、特に602nm〜605nm、さらには603nm〜605nmであり、長波長であるという特徴を有するが、さらに、450nmの波長の光により励起されて発する上記のような長波長のピーク波長を有する蛍光の外部量子効率が60%以上であることができ、特に62%以上、64%以上であることが可能であることからその有用性が顕著である。本発明は、1つの好ましい態様において、450nmの波長の光により励起されて発する蛍光が602nm〜605nm、特に603nm〜605nmのピーク波長を有し、かつ63%以上の外部量子効率を有することができる。
【0067】
また、本発明の酸窒化物蛍光体粉末は、光反射率(450nmの光で励起されて発する蛍光の蛍光スペクトルにおけるピーク波長の光の反射率)が80%以上であることができる。さらには、81%以上、83%以上、84%以上、85%以上であることができる。この光反射率が高い酸窒化物蛍光体粉末は、製造された酸窒化物蛍光体粉末をさらに熱処理することによって得られ、熱処理された酸窒化物蛍光体粉末は外部量子効率が顕著に向上するので好ましい。
【0068】
この光反射率は、紫外・可視分光光度計又は分光蛍光光度計を用いて測定することができる。分光蛍光光度計を用いて反射率を測定する場合には、蛍光による影響を除去することが可能であり、広い波長範囲にて測定が可能となり好ましい。本発明においては、分光蛍光光度計(日本分光社製FP―6500)に積分球を組み合わせた測定装置を用いて反射率を測定した。具体的には、入射光と同波長の反射光の強度を測定する同期走査測定を行い、反射基準(標準白板)の反射率を100%とし、試料粉末の反射率を標準白板に対する相対反射率として反射率を測定した。300〜800nmまでの拡散反射率の測定を行い、蛍光スペクトルにおけるピーク波長の反射率を求めた。
【0069】
本発明の酸窒化物蛍光体粉末を白色LED用蛍光体として好適に使用するためには、粒度分布曲線における50%径であるD
50が10.0〜20.0μmであり、かつ、比表面積は0.2〜0.6m
2/gであることが好ましい。D
50が10.0μmより小さく、また、比表面積が0.6m
2/gより大きい場合は、発光強度が低くなることがあり、D
50が20.0μmより大きく、また、比表面積が0.2m
2/gより小さい場合は、蛍光体を封止する樹脂中に均一分散し難くなって、白色LEDの色調にバラツキを生じることがあるからである。
【0070】
本発明の酸窒化物蛍光体粉末の粒子径および比表面積を制御する方法としては、原料となる窒化ケイ素粉末の粒子径を制御することで可能である。平均粒子径(D
50)が1.5μm以上の窒化ケイ素粉末を用いた場合には、酸窒化物蛍光体粉末のD
50は10μm以上で、且つ、比表面積が0.2〜0.6m
2/gとなり、外部量子効率がより大きくなるために好ましい。
【0071】
酸窒化物蛍光体粉末のD
50は、レーザー回折/散乱式粒度分布測定装置で測定した粒度分布曲線における50%径である。また、酸窒化物蛍光体粉末の比表面積は、島津社製フローソーブ2300型比表面積測定装置(窒素ガス吸着法によるBET法)で測定した。
【0072】
本発明の酸窒化物蛍光体粉末の上記の粒径及び粒径分布は、原料物質混合物を焼成して得られた酸窒化物蛍光体粉末を粉砕(強力な破砕力の適用)することなく、焼成の際に生じた凝集を解くための、いわゆる解砕処理(実質的に一次粒子が破砕されることなく、粒子間の凝集を解く処理)によって得られる粉末について、述べられていることに留意されるべきである。解砕を超えた粉砕処理を行うと、粒子表面が損傷して蛍光発光効率が低下することが知られている。
【0073】
また、本発明の酸窒化物蛍光体粉末は、その粒子表面の非晶質層が2nm未満、さらには1nm以下であることが好ましい。酸窒化物蛍光体の粒子表面の非晶質層が2nm未満であれば、外部量子効率がさらに高くなる。
【0074】
加えて、本発明の酸窒化物蛍光体粉末の粒子は、その粒子内に粒界相を有さないことが好ましい。酸窒化物蛍光体の粒子が、α型サイアロン結晶相および窒化アルミニウム結晶相だけで、粒子内部に粒界相を有さなければ、外部量子効率がさらに高くなる。
【0075】
本発明の酸窒化物蛍光体の粒子の内部構造の観察および粒子表面の非晶質層の厚みの測定は、日本電子社製走査型透過電子顕微鏡JEM−2100F型Cs補正STEM(以下STEMと記す)により行うことができる。本発明では、Ca含有α型サイアロン蛍光体の粒子をArイオンミリング法により薄片化し、その粒子の断面をSTEMにより200Vの加速電圧で観察している。
【0076】
本発明の酸窒化物蛍光体粉末は、450nmの波長域の光の励起によって、ピーク波長が595nmから605nm、特に602nmから605nm、さらに603nmから605nmの波長域にある蛍光を発することができ、また、その際の外部量子効率は60%以上、特に62%以上、63%以上、64%以上を示すことが可能である。これにより、本発明の酸窒化物蛍光体粉末では、青色の励起光により長波の橙色蛍光を効率的に得ることができ、また、励起光として用いる青色光との組み合わせで、演色性が良好な白色光を効率的に得ることができる。
【0077】
蛍光ピーク波長は、日本分光社製FP6500に積分球を組み合わせた固体量子効率測定装置により測定することができる。蛍光スペクトル補正は、副標準光源により行うことができるが、蛍光ピーク波長は、用いる測定機器や補正条件によって若干の差を生じることがある。
【0078】
また、外部量子効率は、日本分光社製FP6500に積分球を組み合わせた固体量子効率測定装置により、吸収率および内部量子効率を測定し、それらの積から算出することができる。
【0079】
本発明の酸窒化物蛍光体粉末は、公知の発光ダイオード等の発光源と組み合わせられて、発光素子として各種照明器具に用いることができる。
【0080】
特に、励起光のピーク波長が330〜500nmの範囲にある発光源は、本発明の酸窒化物蛍光体粉末に好適である。紫外領域では、酸窒化物蛍光体粉末の発光効率が高く、良好な性能の発光素子を構成することが可能である。また、青色の光源でも発光効率は高く、本発明の酸窒化物蛍光体粉末の黄色〜橙色の蛍光と青色の励起光との組み合わせで、良好な昼白色〜昼光色の発光素子を構成できる。
【0081】
次に、本発明の酸窒化物蛍光体粉末の製造方法について具体的に説明する。
【0082】
本発明の酸窒化物蛍光体粉末は、組成式:
Ca
x1Eu
x2Si
12−(y+z)Al
(y+z)O
zN
16−z
において、
0<x1≦3.40、
0.05≦x2≦0.20、
4.0≦y≦7.0、
0≦z≦1
で表される組成となるように、ケイ素源となる物質と、ユーロピウム源となる物質と、カルシウム源となる物質と、アルミニウム源となる物質とを混合し、不活性ガス雰囲気中、1500〜2000℃の温度範囲で焼成することにより得られる。好ましくは、得られた焼成物を、さらに、不活性ガス雰囲気中、1100〜1600℃の温度範囲で熱処理する。
【0083】
原料のケイ素源となる物質は、ケイ素の窒化物、酸窒化物、酸化物または熱分解により酸化物となる前駆体物質から選択される。特に、結晶性窒化ケイ素が好ましく、結晶性窒化ケイ素を用いることにより、外部量子効率が高い酸窒化物蛍光体を得ることが出来る。
【0084】
原料のユーロピウム源となる物質は、ユーロピウムの窒化物、酸窒化物、酸化物または熱分解により酸化物となる前駆体物質から選択される。好ましいのは、窒化ユーロピウム(EuN)である。EuNを用いることでzを更に小さくすることが可能でピーク波長の長い蛍光体を得ることが出来る。
【0085】
原料のカルシウム源となる物質は、カルシウムの窒化物、酸窒化物、酸化物または熱分解により酸化物となる前駆体物質から選択される。好ましいのは、窒化カルシウム(Ca
3N
2)である。Ca
3N
2を用いることでzを更に小さくすることが可能でピーク波長の長い蛍光体を得ることが出来る。
【0086】
原料のアルミニウム源となる物質としては、酸化アルミニウム、金属アルミニウム、窒化アルミニウムが挙げられ、これらの粉末の夫々を単独で使用しても良く、併用しても良い。
【0087】
また、本発明の酸窒化物蛍光体の製造原料としての窒化ケイ素粉末の平均粒子径は、1.0μm以上12.0μm以下が好ましい。さらに好ましくは3.0μm以上12.0μm以下である。平均粒子径が1.0μm未満では酸素含有量が増加する傾向があり、蛍光特性の効果が小さくなる。平均粒子径が12.0μmを超えると、製造が難しく実用的ではない。なお、窒化ケイ素粉末の平均粒子径は、該窒化ケイ素粉末の走査型電子顕微鏡写真から測定した。具体的には、走査型電子顕微鏡像写真内に円を描き、その円に接する個々の粒子について、粒子に内接する最大の円を定め、その円の直径をその粒子の径とし、それらの粒子の径の平均をとることにより粉末の平均粒子径を算出した。対象とする測定粒子の数は、約50〜150個になるようにした。
【0088】
また、窒化ケイ素粉末の比表面積は、0.2〜3.0m
2/gが好ましい。さらに好ましくは0.2m
2/g以上、1.0m
2/g以下である。結晶質窒化ケイ素粉末の比表面積を0.2m
2/g未満にする事は製造上難しく実用的ではなく、素子化する上で不都合を生じる。比表面積が3m
2/gを超えると、蛍光特性の効果が小さくなるので、0.2〜3.0m
2/gが好ましい。なお、比表面積は、島津社製フローソーブ2300型比表面積測定装置(窒素ガス吸着法によるBET法)で測定した。
【0089】
本発明の酸窒化物蛍光体の製造に用いる窒化ケイ素粉末として、上記の如く、結晶質窒化ケイ素粉末を好ましく用いることができ、α型窒化ケイ素粉末であることが好ましい。
【0090】
本発明は1つの側面において、本発明の酸窒化物蛍光体の製造に用いる窒化ケイ素粉末として、特に酸素含有量が少ない結晶質窒化ケイ素粉末、α型窒化ケイ素粉末を好ましく用いることができる。従来の蛍光体原料としての窒化ケイ素粉末の酸素含有量は、1.0〜2.0質量%であり、本発明に従い酸素含有量が0.2〜0.9質量%と少ない窒化ケイ素粉末を蛍光体原料に用いることにより、従来のαサイアロン系蛍光体よりも蛍光強度の高い酸窒化物蛍光体粉末を得ることができる。窒化ケイ素中の酸素含有量は、好ましくは、0.2〜0.8質量%、さらに好ましくは酸素量0.2〜0.4質量%である。酸素量を0.2質量%未満にする事は製造上難しく、酸素量が0.9質量%を超えると本発明の酸窒化物蛍光体粉末の蛍光特性の顕著な向上が認められない。なお、含有酸素の測定は、LECO社製酸素窒素同時分析装置で測定した。
【0091】
本発明の酸窒化物蛍光体粉末製造用に好ましく用いることができる窒化ケイ素粉末は、含窒素シラン化合物および/または非晶質(アモルファス)窒化ケイ素粉末を熱分解して得ることができる。含窒素シラン化合物としては、シリコンジイミド(Si(NH)
2)、シリコンテトラアミド、シリコンニトロゲンイミド、シリコンクロルイミド等が挙げられる。これらは、公知の方法、例えば、四塩化ケイ素、四臭化ケイ素、四沃化ケイ素等のハロゲン化ケイ素とアンモニアとを気相で反応させる方法、液状の前記ハロゲン化ケイ素と液体アンモニアとを反応させる方法などによって製造される。
【0092】
また、非晶質窒化ケイ素粉末は、公知の方法、例えば、前記含窒素シラン化合物を窒素又はアンモニアガス雰囲気下に1200℃〜1460℃の範囲の温度で加熱分解する方法、四塩化ケイ素、四臭化ケイ素、四沃化ケイ素等のハロゲン化ケイ素とアンモニアとを高温で反応させる方法などによって製造されたものが用いられる。非晶質窒化ケイ素粉末及び含窒素シラン化合物の平均粒子径は、通常、0.003〜0.05μmである。
【0093】
前記の含窒素シラン化合物、非晶質窒化ケイ素粉末は加水分解し易く、酸化され易いので、これらの原料粉末の秤量は、不活性ガス雰囲気中で行う。また、前記含窒素シラン化合物の加熱分解に用いる加熱炉に流通させる窒素ガス中の酸素濃度を0〜2.0vol%の範囲で制御できる。前記含窒素シラン化合物の加熱分解時の雰囲気中の酸素濃度を、例えば、100ppm以下、好ましくは10ppm以下などに規定して、低酸素含有量の非晶質窒化ケイ素粉末を得る。非晶質窒化ケイ素粉末の酸素含有量が低いほど、得られる結晶質窒化ケイ素粒子の酸素含有量も低くなる。また、反応容器材質および粉末取り扱い機器における粉末と金属との擦れ合い状態を改良した公知の方法により、非晶質窒化ケイ素粉末に混入する金属不純物は10ppm以下に低減される。
【0094】
次に、含窒素シラン化合物および/または非晶質窒化ケイ素粉末を1300〜1700℃の範囲で、窒素又はアンモニアガス雰囲気下で焼成して結晶質窒化ケイ素粉末を得る。焼成の条件(温度と昇温速度)を制御することで、粒子径を制御する。本発明の場合、低酸素の結晶質窒化ケイ素粉末を得るためには、含窒素シラン化合物から非晶質窒化ケイ素粉末を焼成する際の窒素ガス雰囲気焼成に同時含有させる酸素を制御する必要がある。大きな粒子径の結晶質窒化ケイ素粉末を得るためには、非晶質窒化ケイ素粉末から結晶質窒化ケイ素粉末を焼成する際、40℃/h以下のようなゆっくりとした昇温が必要である。このようにして得られた結晶質窒化ケイ素粉末は
図4に示すように、大きな一次粒子がほぼ単分散の状態にあり、凝集粒子、融着粒子はほとんどない。得られた結晶質窒化ケイ素粉末は金属不純物100ppm以下の高純度粉末である。また、この結晶質窒化ケイ素粉末を酸洗浄するなど化学的処理をする事で低酸素の結晶質窒化ケイ素粉末が得られる。このようにして、本発明の酸素量が0.2〜0.9質量%の酸窒化ケイ素蛍光体粉末製造用窒化ケイ素粉末を得ることができる。
【0095】
また、このようにして得られた窒化ケイ素粉末は、金属シリコンの直接窒化法により製造された窒化ケイ素と違って、強力な粉砕を必要とせず、そのため、不純物量が100ppm以下ときわめて少ないという特徴がある。本発明の結晶質窒化ケイ素粉末に含まれる不純物(Al、Ca、Fe)は、100ppm以下、好ましくは20ppm以下とすることで、外部量子効率が大きい酸窒化物蛍光体粉末が得られるので好ましい。
【0096】
上記の低酸素含有量の窒化ケイ素粉末原料は、本発明の酸窒化物蛍光体の製造に一般的に好ましく使用できる。前記の組成式において、前記x1、x2、y、zが、1.37≦x1≦2.60、0.16≦x2≦0.20、4.50≦y≦5.50、0≦z≦0.30である酸窒化物蛍光体粉末の製造でも有用である。この組成において、窒化ケイ素粉末原料が、上記の低酸素含有量であるとともに、その平均粒子径が、前記した、1.0μm以上12.0μm、さらには3.0μm以上12.0μm以下の範囲であり、その比表面積が、0.2〜3.0m
2/g、さらには0.2m
2/g以上、1.0m
2/g以下の範囲であることが好ましい。窒化ケイ素粉末原料の酸素含有量、平均粒子径、及び比表面積がこの範囲にあると、得られる酸窒化物蛍光体が、450nmの波長の光で励起されて発する蛍光のピーク波長が602nm〜605nmの波長域にある蛍光を発し、その際の外部量子効率が60%以上となるので、好ましい。
【0097】
焼成においては、焼結を促進し、より低温でα型サイアロン結晶相を生成させることを目的に、焼結助剤となるLi含有化合物を添加することが好ましい。用いるLi含有化合物としては、酸化リチウム、炭酸リチウム、金属リチウム、窒化リチウムが挙げられ、これらの粉末の夫々を単独で使用しても良く、併用しても良い。また、Li含有化合物の添加量は、酸窒化物焼成物1molに対して、Li元素として0.01〜0.5molが適当である。
【0098】
ケイ素源となる物質と、ユーロピウム源となる物質と、カルシウム源となる物質と、アルミニウム源となる物質とを混合する方法については、特に制約は無く、それ自体公知の方法、例えば、乾式混合する方法、原料各成分と実質的に反応しない不活性溶媒中で湿式混合した後に溶媒を除去する方法などを採用することができる。混合装置としては、V型混合機、ロッキングミキサー、ボールミル、振動ミル、媒体攪拌ミルなどが好適に使用される。
【0099】
ケイ素源となる物質と、ユーロピウム源となる物質と、カルシウム源となる物質と、アルミニウム源となる物質との混合物を、不活性ガス雰囲気中、1500〜2000℃の温度範囲で焼成することで、前記組成式で表される酸窒化物焼成物を得ることができる。1500℃より低いとα型サイアロンの生成に長時間の加熱を要し、実用的ではない。2000℃より高いと窒化ケイ素およびα型サイアロンが昇華分解し遊離のシリコンが生成するため、外部量子効率が高い酸窒化物蛍光体粉末が得られなくなる。不活性ガス雰囲気中、1500〜2000℃の範囲の焼成が可能であれば、焼成に使用される加熱炉については、特に制約は無い。例えば、高周波誘導加熱方式または抵抗加熱方式によるバッチ式電気炉、ロータリーキルン、流動化焼成炉、プッシャ−式電気炉などを使用することができる。混合物を充填するるつぼには、BN製の坩堝、窒化ケイ素製の坩堝、黒鉛製の坩堝、炭化珪素製の坩堝を用いることができる。焼成によって得られる酸窒化物焼成物は、凝集が少なく、分散性が良好な粉体である。
【0100】
本発明においては、上記の焼成により得られた酸窒化物焼成物を更に熱処理する。得られた酸窒化物焼成物を、不活性ガス雰囲気中、または還元性ガス雰囲気中、1100〜1600℃の温度範囲で熱処理することで、450nmの波長の光により励起されることで、ピーク波長が595nmから605nmの波長域にある蛍光を発する際の外部量子効率が高い酸窒化物蛍光体粉末を得ることができる。より外部量子効率が高い酸窒化物蛍光体粉末を得るためには、熱処理温度を1500〜1600℃の範囲とすることが好ましい。熱処理温度が1100℃に満たない場合、または1600℃を超える場合は、得られる酸窒化物蛍光体粉末の外部量子効率が小さくなる。熱処理を行う場合の最高温度での保持時間は、特に高い外部量子効率を得るには、0.5時間以上であることが好ましい。4時間を越えて熱処理を行なっても、時間の延長に伴った外部量子効率の向上は僅かに留まるか、殆ど変わらないため、熱処理を行う場合の最高温度での保持時間としては、0.5〜4時間の範囲であることが好ましい。
【0101】
不活性ガス雰囲気中、または還元性ガス雰囲気中、1100〜1600℃の温度範囲で熱処理することが可能であれば、熱処理に使用される加熱炉については、特に制約は無い。例えば、高周波誘導加熱方式または抵抗加熱方式によるバッチ式電気炉、ロータリーキルン、流動化焼成炉、プッシャ−式電気炉などを使用することができる。混合物を充填するるつぼには、BN製の坩堝、窒化ケイ素製の坩堝、黒鉛製の坩堝、炭化ケイ素製の坩堝、アルミナ製の坩堝を用いることができる。
【0102】
前記の不活性ガス雰囲気中、または還元性ガス雰囲気中、1100〜1600℃の温度範囲で熱処理することによって、本発明の酸窒化物蛍光体粉末の蛍光ピーク波長は、熱処理前の酸窒化物焼成物と比較して、0.5〜2.5nm程度長波長側にシフトし、同時に外部量子効率及び蛍光ピーク波長における発光強度が向上する。
【0103】
このように熱処理した本発明の酸窒化物蛍光体粉末は、向上した外部量子効率を有することができる。また、熱処理した本発明の酸窒化物蛍光体粉末は、光反射率が80%以上、さらには、83%以上、85%以上であることができる。光の反射率が高い酸窒化物蛍光体粉末は向上した外部量子効率を有することができる。
【0104】
本発明の酸窒化物蛍光体粉末の好ましい一態様は、前記記載の製造方法により得られる蛍光体粉末であり、より詳しくは、ケイ素源となる物質と、ユーロピウム源となる物質と、カルシウム源となる物質と、アルミニウム源となる物質とを混合し、不活性ガス雰囲気中、1500〜2000℃の温度範囲で焼成し、次いで、不活性ガス雰囲気中、1100〜1600℃の温度範囲で熱処理することにより得られる、組成式:
Ca
x1Eu
x2Si
12−(y+z)Al
(y+z)O
zN
16−z
において、
0<x1≦3.40、
0.05≦x2≦0.20、
4.0≦y≦7.0、
0≦z≦1
で表される酸窒化物蛍光体粉末である。
【実施例】
【0105】
以下では、具体的例を挙げ、本発明を更に詳しく説明する。
【0106】
(実施例1)
窒化ケイ素と窒化ユーロピウム、窒化アルミニウム、窒化カルシウムを、表1の酸窒化物の設計組成となるように窒素パージされたグローブボックス内で秤量し、乾式の振動ミルを用いて混合して、混合粉末を得た。原料の結晶質窒化ケイ素粉末の比表面積、平均粒子径及び酸素量は、それぞれ、0.3m
2/g、8.0μm及び0.29質量%であった。得られた混合粉末を窒化ケイ素製のるつぼに入れて、黒鉛抵抗加熱式の電気炉に仕込み、電気炉内に窒素を流通させながら、常圧を保った状態で、1725℃まで昇温した後、1725℃で12時間保持して、酸窒化物焼成物を得た。
【0107】
得られた酸窒化物焼成物を解砕して粒子径が5〜20μmの粉末(熱処理前の酸窒化物蛍光体粉末)を分級によって得た後、得られた粉末をアルミナ坩堝に入れて、黒鉛抵抗加熱式の電気炉に仕込み、電気炉内に窒素を流通させながら、常圧を保った状態で、1600℃まで昇温した後、1600℃で1時間保持し、解砕して、本発明の酸窒化物蛍光体粉末(熱処理後の酸窒化物蛍光体粉末。以下、特に熱処理前と断らないときは、この粉末を酸窒化物蛍光体粉末という。)を得た。
【0108】
得られた酸窒化物蛍光体粉末のD
50は13.2μm、比表面積は0.33m
2/gであった。
【0109】
本発明の酸窒化物蛍光体粉末のD
50は、レーザー回折/散乱式粒度分布測定装置で測定した粒度分布曲線における50%径である。また、前記酸窒化物蛍光体粉末の比表面積は、島津社製フローソーブ2300型比表面積測定装置を用いて、窒素ガス吸着法によるBET法で測定した。
【0110】
また、得られた酸窒化物蛍光体粉末のXRD測定を行った。酸窒化物蛍光体粉末は、α型サイアロン結晶相と窒化アルミニウム結晶相から成り、含有量はそれぞれ、94質量%と6質量%であった。さらに、α型サイアロン結晶相と窒化アルミニウム結晶相の格子定数は、それぞれ、a=b=7.959Å、c=5.775Å、とa=b=3.113Å、c=4.987Åであった。
【0111】
さらに、得られた酸窒化物蛍光体粉末(熱処理後)の蛍光特性を評価するために、日本分光社製FP−6500に積分球を組み合わせた固体量子効率測定装置を用いて、励起波長450nmにおける蛍光スペクトルを測定し、同時に吸収率と内部量子効率を測定した。得られた蛍光スペクトルから蛍光ピーク波長とその波長における発光強度を導出し、吸収率と内部量子効率から外部量子効率を算出した。また、輝度の指標になる相対蛍光強度は、市販品のYAG:Ce系蛍光体(化成オプトニクス社製P46Y3)の同励起波長による発光スペクトルの最高強度の値を100%とした場合の蛍光ピーク波長における発光強度の相対値とした。実施例1に係る酸窒化物蛍光体粉末の蛍光特性の評価結果を表1に、また、酸窒化物蛍光体粉末の生成結晶相と含有量、格子定数、比表面積、および、平均粒子径を表2に示す。
【0112】
また、熱処理前の酸窒化物蛍光体粉末の蛍光特性を上記の方法で測定し、その結果を表1に示す。
さらに、熱処理前後の酸窒化物蛍光体粉末の光反射率を測定した。結果を表3に示す。
<光反射率の評価方法>
分光蛍光光度計(日本分光社製FP―6500)に積分球を組み合わせた測定装置を用いて光反射率を測定した。具体的には、入射光と同波長の反射光の強度を測定する同期走査測定を行い、反射基準(標準白板)の反射率を100%とし、試料粉末の反射率を標準白板に対する相対反射率として光反射率を測定した。300〜800nmまでの拡散反射率の測定を行い、蛍光スペクトルにおけるピーク波長の光の反射率を求めた。
【0113】
また、得られた酸窒化物蛍光体粉末の粒子をArイオンミリングして薄片化し、その粒子の断面をSTEMにより観察した。この粒子の内部には粒界がないことが確認された。また、粒子表面に存在する結晶格子が確認されない領域は、電子線回折像により非晶質であることが確認された。その領域の厚みを3箇所にわたって測定したところ、その粒子表面の非晶質領域の厚み、すなわち非晶質層の厚みは2nm未満であることが確認された。
また、粒子表面の非晶質層の厚みは本発明の実施例ではすべて1nm以下であった。
【0114】
(実施例2〜11)
酸窒化物蛍光体粉末が表1の設計組成になるように、実施例2〜11に係る原料粉末を秤量し混合したこと以外は、実施例1と同様の方法で酸窒化物蛍光体粉末を得た。得られた酸窒化物蛍光体粉末の蛍光特性、平均粒子径、比表面積、生成結晶相および含有量、格子定数を実施例1と同様の方法で測定した。その結果を、表1および表2に記載した。原料の結晶質窒化ケイ素粉末の比表面積、平均粒子径及び酸素量は、それぞれ、0.3m
2/g、8.0μm及び0.29質量%であった。また、実施例2及び8の粉末X線回折パターンを
図1及び2に示している。
図1及び2より、生成結晶相はα型サイアロン相と窒化アルミニウム相であることが分かる。
【0115】
表1より、実施例1〜6、8のように、前記一般式において、0<x1≦3.40、0.05≦x2≦0.20、4.6≦y≦5.5、0≦z≦1の範囲である酸窒化物蛍光体粉末が、特に大きな外部量子効率であることが分かる。
【0116】
実施例1と同様に、熱処理前の酸窒化物蛍光体粉末の蛍光特性を測定した結果を表1に、熱処理前後の酸窒化物蛍光体粉末の光反射率を表3に示す。
【0117】
(実施例12、13)
原料の結晶質窒化ケイ素粉末の比表面積、平均粒子径及び酸素量を、実施例12は、2.5m
2/g、1.5μm及び0.53質量%と、実施例13は、10.0m
2/g、0.2μm及び0.89質量%とした以外は、実施例1と同様の方法で酸窒化物蛍光体粉末を得た。得られた酸窒化物蛍光体粉末の蛍光特性、平均粒子径、比表面積、生成結晶相および含有量、格子定数を実施例1と同様の方法で測定した。その結果を、表1および表2に記載した。酸窒化物蛍光体粉末の比表面積、平均粒子径が、1.20m
2/g、8.9μmである実施例13に対して、酸窒化物蛍光体粉末の比表面積が、0.2〜0.6m
2/gで、且つ、平均粒子径が10.0〜20.0μmである実施例1および12の外部量子効率が大きくなっていることが分かる。
【0118】
(比較例1〜13)
酸窒化物蛍光体粉末が表1の設計組成になるように、比較例1〜13に係る原料粉末を秤量し混合したこと以外は、実施例1と同様の方法で酸窒化物蛍光体粉末を得た。得られた酸窒化物蛍光体粉末の蛍光特性、平均粒子径、比表面積、生成結晶相および含有量、格子定数を実施例1と同様の方法で測定した。その結果を、表1および表2に記載した。また、比較例5の粉末X線回折パターンを
図3に示している。
図3より、生成結晶相はα型サイアロン相のみであることが分かる。
【0119】
実施例1と同様に、熱処理前の酸窒化物蛍光体粉末の蛍光特性を測定した結果を表1に、熱処理前後の酸窒化物蛍光体粉末の光反射率を表3に示す。
【0120】
【表1】
【0121】
【表2】
【0122】
【表3】
【0123】
(実施例21)
はじめに、本発明の酸窒化物蛍光体粉末製造用結晶質窒化ケイ素粉末を作製した。その方法は次の通りである。
四塩化ケイ素濃度が50vol%のトルエンの溶液を液体アンモニアと反応させ、粉体嵩密度(見掛け密度)0.13g/cm
3のシリコンジイミドを作製し、これを窒素ガス雰囲気下、1150℃で加熱分解して、0.25g/cm
3の粉体嵩密度(見掛け密度)を有する非晶質窒化ケイ素粉末を得た。なお、シリコンジイミドの加熱分解操作においては、同操作に使用する加熱炉に流通させる窒素ガス中の酸素濃度が0.0005vol%以下になるように、加熱炉に窒素ガスを導入した。得られた非晶質窒化ケイ素粉末に混入する金属不純物は、反応容器材質および粉末取り扱い機器における粉末と金属との擦れ合い状態を改良する公知の方法により、10ppm以下に低減された。
【0124】
得られた非晶質窒化ケイ素粉末を炭素製の坩堝に入れ、加熱炉を用いて、窒素ガス雰囲気中、以下の温度条件で焼成することで、結晶質窒化ケイ素粉末を得た。室温から1100℃までを1時間で昇温し、1100℃から1400℃までの昇温速度を10℃/hとし、1400℃から1500℃までを1時間で昇温し、1500℃で1時間保持した。得られた結晶質窒化ケイ素粉末は解砕処理してから下記の特性評価に供した。
【0125】
得られた結晶質窒化ケイ素粉末の走査型電子顕微鏡写真を
図4に示す。比表面積は0.3m
2/g、平均粒子径は8.0μm、酸素量は0.29質量%であった。
【0126】
結晶質窒化ケイ素粉末の比表面積は、島津社製フローソーブ2300型比表面積測定装置を用いて、窒素ガス吸着法によるBET法で測定した。前記結晶質窒化ケイ素粉末の酸素含有量はLECO社製酸素窒素同時分析装置で測定した。前記結晶質窒化ケイ素粉末の平均粒子径は、前記結晶質窒化ケイ素粉末の走査型電子顕微鏡写真から測定した。具体的には、走査型電子顕微鏡像写真内に円を描き、その円に接した約150個の個々の粒子について、粒子に内接する最大の円を定め、その円の直径をその粒子の径とし、それらの粒子の径の平均をとることにより粉末の平均粒子径を算出した。
【0127】
蛍光X線による不純物分析を行った結果、Alは0ppm、Caは16ppm、Feは16ppmと不純物量は非常に微量であった。
【0128】
この結晶質窒化ケイ素粉末と窒化ユーロピウム、窒化アルミニウム、窒化カルシウムを、表4の酸窒化物蛍光体粉末の設計組成となるように窒素パージされたグローブボックス内で秤量し、乾式の振動ミルを用いて混合して、混合粉末を得た。得られた混合粉末を窒化ケイ素製のるつぼに入れて、黒鉛抵抗加熱式の電気炉に仕込み、電気炉内に窒素を流通させながら、常圧を保った状態で、1725℃まで昇温した後、1725℃で12時間保持して、酸窒化物焼成物を得た。
【0129】
得られた酸窒化物焼成物を解砕して粒子径が5〜20μmの粉末を分級によって得た後、得られた粉末をアルミナ坩堝に入れて、黒鉛抵抗加熱式の電気炉に仕込み、電気炉内に窒素を流通させながら、常圧を保った状態で、1600℃まで昇温した後、1600℃で1時間保持して、本発明の酸窒化物蛍光体粉末を得た。
【0130】
得られた酸窒化物蛍光体粉末の走査型電子顕微鏡写真を
図5に示す。D50は15.2μm、比表面積は0.29m
2/gであった。
【0131】
本発明の酸窒化物蛍光体粉末のD50は、レーザー回折/散乱式粒度分布測定装置で測定した粒度分布曲線における50%径であり、(株)堀場製作所製LA−910を用いて測定した。また、前記酸窒化物蛍光体粉末の比表面積は、前記結晶質窒化ケイ素粉末の場合と同様に、島津社製フローソーブ2300型比表面積測定装置を用いて、窒素ガス吸着法によるBET法で測定した。
【0132】
また、得られた酸窒化物蛍光体粉末の粒子をArイオンミリングして薄片化し、その粒子の断面をSTEMにより観察した。酸窒化物蛍光体粉末の粒子の断面のSTEM写真を
図6および
図7に示す。この粒子の内部には粒界がないことがわかる。また、粒子表面に存在する結晶格子が確認されない領域は、電子線回折像により非晶質であることが確認された。その領域の厚みを3箇所にわたって測定したところ、その粒子表面の非晶質領域の厚み、すなわち非晶質層の厚みは1nmであることが確認された。
【0133】
また、得られた酸窒化物蛍光体粉末の蛍光特性を評価するために、日本分光社製FP−6500に積分球を組み合わせた固体量子効率測定装置を用いて、検出波長602〜605nmにおける励起スペクトルと、励起波長450nmにおける蛍光スペクトルを測定し、同時に吸収率と内部量子効率を測定した。得られた蛍光スペクトルから蛍光ピーク波長とその波長における発光強度を導出し、吸収率と内部量子効率から外部量子効率を算出した。また、輝度の指標になる相対蛍光強度は、市販品のYAG:Ce系蛍光体(化成オプトニクス社製P46Y3)の同励起波長による発光スペクトルの最高強度の値を100%とした場合の蛍光ピーク波長における発光強度の相対値とした。実施例21に係る酸窒化物蛍光体粉末の蛍光特性の評価結果を、該酸窒化物蛍光体粉末の原料の結晶質窒化ケイ素粉末の酸素量、平均粒子径、比表面積の測定結果、また、該酸窒化物蛍光体粉末のD50及び比表面積の測定結果と併せて、表4に示す。
【0134】
(実施例22)
シリコンジイミドを加熱分解して非晶質窒化ケイ素粉末を得る際に、加熱炉に流通させる窒素ガス中の酸素濃度が0.6vol%になるように、加熱炉に窒素ガスを導入したこと以外は、実施例1と同じ方法によって、結晶質窒化ケイ素粉末を作製した。得られた結晶質窒化ケイ素粉末の比表面積は0.3m
2/g、平均粒子径は8.0μm、酸素量は0.75質量%であった。
【0135】
酸窒化物蛍光体粉末が表4の設計組成になるように、実施例22に係る結晶質窒化ケイ素粉末を含む原料粉末を秤量し混合したこと以外は、実施例21と同様の方法で酸窒化物蛍光体粉末を得た。得られた酸窒化物蛍光体粉末の蛍光特性を実施例21と同様の方法で測定した。その結果を、実施例22に係る酸窒化物蛍光体粉末の原料の結晶質窒化ケイ素粉末の酸素量、平均粒子径、比表面積の測定結果、また、該酸窒化物蛍光体粉末のD50及び比表面積の測定結果と併せて、表4に示す。
【0136】
(実施例23)
シリコンジイミドを加熱分解して非晶質窒化ケイ素粉末を得る際に、加熱炉に流通させる窒素ガス中の酸素濃度が0.0006vol%以下になるように、加熱炉に窒素ガスを導入したことと、非晶質窒化ケイ素を焼成する際の1100℃から1400℃までの昇温速度を20℃/hとした以外は、実施例1と同じ方法によって、結晶質窒化ケイ素粉末を作製した。この場合の比表面積は1.0m
2/g、平均粒子径は3.0μm、酸素量は0.34質量%であった。
【0137】
酸窒化物蛍光体粉末が表4の設計組成になるように、実施例23に係る結晶質窒化ケイ素粉末を含む原料粉末を秤量し混合したこと以外は、実施例21と同様の方法で酸窒化物蛍光体粉末を得た。得られた酸窒化物蛍光体粉末の蛍光特性を実施例21と同様の方法で測定した。その結果を、実施例23に係る酸窒化物蛍光体粉末の原料の結晶質窒化ケイ素粉末の酸素量、平均粒子径、比表面積の測定結果、また、該酸窒化物蛍光体粉末のD50及び比表面積の測定結果と併せて、表4に示す。
【0138】
(実施例24)
シリコンジイミドを加熱分解して非晶質窒化ケイ素粉末を得る際に、加熱炉に流通させる窒素ガス中の酸素濃度が0.5vol%以下になるように、加熱炉に窒素ガスを導入したこと以外は、実施例23と同じ方法によって、結晶質窒化ケイ素粉末を作製した。得られた結晶質窒化ケイ素の比表面積は1.0m
2/g、平均粒子径は3.0μm、酸素量は0.72質量%であった。
【0139】
酸窒化物蛍光体粉末が表4の設計組成になるように、実施例24に係る結晶質窒化ケイ素粉末を含む原料粉末を秤量し混合したこと以外は、実施例21と同様の方法で酸窒化物蛍光体粉末を得た。得られた酸窒化物蛍光体粉末の蛍光特性を実施例21と同様の方法で測定した。その結果を、実施例24に係る酸窒化物蛍光体粉末の原料の結晶質窒化ケイ素粉末の酸素量、平均粒子径、比表面積の測定結果、また、該酸窒化物蛍光体粉末のD50及び比表面積の測定結果と併せて、表4に示す。
【0140】
(実施例25)
シリコンジイミドを加熱分解して非晶質窒化ケイ素粉末を得る際に、加熱炉に流通させる窒素ガス中の酸素濃度が0.0006vol%以下になるように、加熱炉に窒素ガスを導入したことと、非晶質窒化ケイ素を焼成する際の1100℃から1400℃までの昇温速度を35℃/hとしたこと以外は、実施例21と同じ方法によって、結晶質窒化ケイ素粉末を作製した。比表面積は2.5m
2/g、平均粒子径は1.5μm、酸素量は0.53質量%であった。
【0141】
酸窒化物蛍光体粉末が表4の設計組成になるように、実施例25に係る結晶質窒化ケイ素粉末を含む原料粉末を秤量し混合したこと以外は、実施例21と同様の方法で酸窒化物蛍光体粉末を得た。得られた酸窒化物蛍光体粉末の蛍光特性を実施例21と同様の方法で測定した。その結果を、実施例25に係る酸窒化物蛍光体粉末の原料の結晶質窒化ケイ素粉末の酸素量、平均粒子径、比表面積の測定結果、また、該酸窒化物蛍光体粉末のD50及び比表面積の測定結果と併せて、表4に示す。
【0142】
(実施例26)
シリコンジイミドを加熱分解して非晶質窒化ケイ素粉末を得る際に、加熱炉に流通させる窒素ガス中の酸素濃度が0.5vol%以下になるように、加熱炉に窒素ガスを導入したこと以外は、実施例25と同じ方法によって、結晶質窒化ケイ素粉末を作製した。得られた結晶質窒化ケイ素の比表面積は2.5m
2/g、平均粒子径は1.5μm、酸素量は0.73質量%であった。
【0143】
酸窒化物蛍光体粉末が表4の設計組成になるように、実施例26に係る結晶質窒化ケイ素粉末を含む原料粉末を秤量し混合したこと以外は、実施例21と同様の方法で酸窒化物蛍光体粉末を得た。得られた酸窒化物蛍光体粉末の蛍光特性を実施例21と同様の方法で測定した。その結果を、実施例26に係る酸窒化物蛍光体粉末の原料の結晶質窒化ケイ素粉末の酸素量、平均粒子径、比表面積の測定結果、また、該酸窒化物蛍光体粉末のD50及び比表面積の測定結果と併せて、表4に示す。
【0144】
(実施例27)
酸窒化物焼成物の熱処理条件を表4に示すように変更したこと以外は、実施例21と同様の方法で酸窒化物蛍光体粉末を得た。得られた酸窒化物蛍光体粉末の蛍光特性を実施例21と同様の方法で測定した。その結果を、実施例27に係る、それぞれの酸窒化物蛍光体粉末の原料の窒化ケイ素粉末の酸素量、平均粒子径、比表面積の測定結果、また、それぞれの酸窒化物蛍光体粉末のD50及び比表面積の測定結果と併せて、表4に示す。
【0145】
(実施例28〜29)
酸窒化物蛍光体粉末が表4の設計組成になるように、原料粉末を秤量し混合したこと以外は、実施例21と同様の方法で酸窒化物蛍光体粉末を得た。得られた酸窒化物蛍光体粉末の蛍光特性を実施例21と同様の方法で測定した。その結果を、実施例28〜29に係る、それぞれの酸窒化物蛍光体粉末の原料の結晶質窒化ケイ素粉末の酸素量、平均粒子径、比表面積の測定結果、また、それぞれの酸窒化物蛍光体粉末のD50及び比表面積の測定結果と併せて、表4に示す。
【0146】
(比較例21)
酸窒化物蛍光体粉末が表4の設計組成になるように、比較例21に係る結晶質窒化ケイ素粉末を含む原料粉末を秤量し混合したこと以外は、実施例21と同様の方法で酸窒化物蛍光体粉末を得た。
【0147】
得られた酸窒化物蛍光体粉末の蛍光特性を実施例21と同様の方法で測定した。その結果を、比較例21に係る酸窒化物蛍光体粉末の原料の結晶質窒化ケイ素粉末の酸素量、平均粒子径、比表面積の測定結果、また、該酸窒化物蛍光体粉末のD50及び比表面積の測定結果と併せて、表4に示す。
【0148】
(比較例22)
酸窒化物蛍光体粉末が表4の設計組成になるように、原料粉末を秤量し混合したこと以外は、実施例21と同様の方法で酸窒化物蛍光体粉末を得た。得られた酸窒化物蛍光体粉末の蛍光特性を実施例21と同様の方法で測定した。その結果を、酸窒化物蛍光体粉末の原料の窒化ケイ素粉末の酸素量、平均粒子径、比表面積の測定結果、また、酸窒化物蛍光体粉末のD50及び比表面積の測定結果と併せて、表4に示す。
【0149】
【表4】