特許第5854085号(P5854085)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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  • 特許5854085-ベルトコンベヤ 図000002
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】5854085
(24)【登録日】2015年12月18日
(45)【発行日】2016年2月9日
(54)【発明の名称】ベルトコンベヤ
(51)【国際特許分類】
   B65G 15/60 20060101AFI20160120BHJP
【FI】
   B65G15/60
【請求項の数】2
【全頁数】5
(21)【出願番号】特願2014-115179(P2014-115179)
(22)【出願日】2014年6月3日
(62)【分割の表示】特願2010-147619(P2010-147619)の分割
【原出願日】2010年6月29日
(65)【公開番号】特開2014-156355(P2014-156355A)
(43)【公開日】2014年8月28日
【審査請求日】2014年6月5日
(73)【特許権者】
【識別番号】000006714
【氏名又は名称】横浜ゴム株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001368
【氏名又は名称】清流国際特許業務法人
(74)【代理人】
【識別番号】100129252
【弁理士】
【氏名又は名称】昼間 孝良
(74)【代理人】
【識別番号】100066865
【弁理士】
【氏名又は名称】小川 信一
(74)【代理人】
【識別番号】100066854
【弁理士】
【氏名又は名称】野口 賢照
(74)【代理人】
【識別番号】100155033
【弁理士】
【氏名又は名称】境澤 正夫
(74)【代理人】
【識別番号】100117938
【弁理士】
【氏名又は名称】佐藤 謙二
(74)【代理人】
【識別番号】100138287
【弁理士】
【氏名又は名称】平井 功
(72)【発明者】
【氏名】鈴木 貴宏
【審査官】 八板 直人
(56)【参考文献】
【文献】 特開昭62−016908(JP,A)
【文献】 特表2005−537466(JP,A)
【文献】 特開昭61−238609(JP,A)
【文献】 実開平03−049209(JP,U)
【文献】 実開平01−180410(JP,U)
【文献】 特開平11−322037(JP,A)
【文献】 特表2007−506544(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B65G 15/00−15/28
B65G 15/60−15/64
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
一対のプーリーに掛け回された無端状のコンベヤベルトを備えたベルトコンベヤにおいて、前記コンベヤベルトの裏面にバインダーで薄板状に固められた反磁性体が埋設または接着された状態で装着されており、前記反磁性体に対向する位置に回転自在なローラー備えられており、該ローラーの内部に磁石設置されており、前記反磁性体グラファイトであり、前記磁石ネオジム磁石であることを特徴とするベルトコンベヤ。
【請求項2】
前記反磁性体、前記コンベヤベルトの長手方向及び/又は幅方向に沿って、所定の間隔をおいて、又は連続して装着された請求項1に記載のベルトコンベヤ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明はベルトコンベヤに関し、更に詳しくは、運転動力を省力化することができると共に、コンベヤベルトが強磁性体の影響を受けることがないようにしたベルトコンベヤに関する。
【背景技術】
【0002】
一般的に、運搬物を搬送するベルトコンベヤのコンベヤベルトは、長手方向に所定の間隔を置いて回転自在に設置された複数のローラーに接触しながら走行している。そのため、コンベヤベルトとローラーとの間に摩擦抵抗が発生し、ベルトコンベヤの運転動力を増大させる原因となっている。
【0003】
また、空気浮上式ベルトコンベヤのように、フレーム内で空気圧によりコンベヤベルトを浮上させるタイプのベルトコンベヤでは、上記のような接触による摩擦抵抗が発生することは少ないが、圧縮空気を送り出すコンプレッサーの駆動に多大な運転動力が必要となる。また、コンベヤベルトが幅広になると、ベルト幅方向の端部がフレーム内面と接触する可能性が高くなるため、より多くの圧縮空気を送り込まなければならない。
【0004】
このような問題を解決するため、特許文献1は、コンベヤベルトの裏面にマグネットベルトを装着すると共に、そのマグネットベルトと同じ磁極を有するマグネットプレートをコンベヤベルトの下方に設置することで、コンベヤベルトを磁力により反発支持するようにしたベルトコンベヤを提案している。
【0005】
しかしながら、上記のベルトコンベヤでは、コンベヤベルト自体が磁力を有するようになるため、ベルトコンベヤの近傍に鉄などの強磁性体が存在すると、引力が発生してベルトの蛇行や偏走行が発生するおそれがある。また、鉄製治具を用いてのコンベヤベルトの取付作業やメンテナンスに支障をきたす可能性もある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開昭62−16908号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
本発明の目的は、運転動力を省力化することができると共に、コンベヤベルトが強磁性体の影響を受けることがないようにしたベルトコンベヤを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記の目的を達成する本発明のコンベヤベルトは、一対のプーリーに掛け回された無端状のコンベヤベルトを備えたベルトコンベヤにおいて、前記コンベヤベルトの裏面にバインダーで薄板状に固められた反磁性体が埋設または接着された状態で装着されており、前記反磁性体に対向する位置に回転自在なローラー備えられており、該ローラーの内部に磁石設置されており、前記反磁性体グラファイトであり、前記磁石ネオジム磁石であることを特徴とするものである。
【発明の効果】
【0009】
本発明のベルトコンベヤによれば、コンベヤベルトの裏面に反磁性体装着されており、その反磁性体に対向する位置に磁石設置されているので、反磁性体と磁石の反発力によりコンベヤベルトが浮上して、ローラーなどの他の部品との接触が抑えられるため、運転動力を省力化することができる。また、反磁性体は強い外部磁場に対してのみ反磁性を示すため、コンベヤベルトは鉄などの強磁性体の影響を受けることはないので、ベルト走行を安定させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
図1】本発明の実施形態からなるベルトコンベヤの往路側の断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下に、本発明の実施の形態について、図面を参照して説明する。
【0012】
図1は、本発明の実施形態からなるベルトコンベヤの断面を示す。
【0013】
このベルトコンベヤは、無端状のコンベヤベルト1と、そのコンベヤベルト1の下方にベルト幅方向に直列に配置された回転自在な3台のローラー2とを備えている。コンベヤベルト1は、図示しない一対の回転駆動するプーリーに掛け回されており、搬送面3に載置された運搬物を搬送するようになっている。3台のローラー2は、コンベヤベルト1が幅方向に湾曲するように、両端の2台がベルト幅方向の内側へ向けて傾斜している。これら3台のローラー2は、コンベヤベルト1の長手方向に所定の間隔をおいて複数組が設置されている。
【0014】
このようなベルトコンベヤにおいて、コンベヤベルト1の裏面4におけるローラー2と対向する位置には、薄板状の反磁性体5が埋設されていると共に、それぞれのローラー2の内部には磁石6が設置されている。
【0015】
このように構成したことにより、反磁性体5と磁石6の反発力によりコンベヤベルト1を浮上させて、ローラー2との摩擦抵抗を抑えることができるため、ベルトコンベヤの運転動力を省力化することができる。また、反磁性体5は強い外部磁場に対してのみ反磁性を示すため、ベルトコンベヤの近傍に鉄などの強磁性体が存在するような場合でも、コンベヤベルト1が影響を受けることはない。そのため、ベルトの蛇行や偏走行の発生を防ぐことができる。更に、鉄製治具などを用いてのコンベヤベルト1の取付作業やメンテナンスに支障をきたすことはない。
【0016】
反磁性体5は、図1に示すように、コンベヤベルト1の幅方向に所定の間隔をおいて別々に装着する代わりに、幅方向の全域に渡って装着するようにしてもよい。このことは、コンベヤベルト1の長手方向においても同様である。
【0017】
反磁性体5をコンベヤベルト1の裏面4に装着する方法としては、例えば、粉末状にした反磁性体5を溶剤と共に塗布する方法、あるいはコンベヤベルト1の製造段階でベルト裏側のカバーゴム層に反磁性体5を混入する方法などが考えられるが、本発明では上述した反磁性体5をバインダーで薄板状に固めたものを埋設する方法か、バインダーで薄板状に固めた反磁性体5を接着する方法が採用される
【0018】
反磁性体5としては、ビスマス、グラファイト及び銅などが例示することもできるが、コスト及び取扱性の観点から、本発明ではグラファイトを用いる。
【0019】
磁石6としては、永久磁石又は電磁石を用いることができるが、本発明では、磁石6のメンテナンスを省略することができることから、前者の永久磁石を用いる。本発明では、この永久磁石の中でも、特に、磁力が大きいという理由から、ネオジム磁石が用いられる。、後者の電磁石を用いる場合には、磁力の発生及び大きさを制御できるため、仕様の異なるコンベヤベルト1に対応することができると共に、運転休止時におけるコンベヤベルト1の取り扱いを容易にすることができるという利点がある
【符号の説明】
【0020】
1 コンベヤベルト
2 ローラー
3 搬送面
4 裏面
5 反磁性体
6 磁石
図1