(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明を実施するための最良の形態】
【0015】
本発明の実施例を図面により説明すると、1は機体フレ−ム、2は機体フレ−ム1の上方位置に設けた脱穀装置、3は機体フレ−ム1の下方位置に設けた走行装置、4は機体フレ−ム1の前方に設けた刈取部、5は前記脱穀装置2の側部に設けた該脱穀装置2より取出された穀物を一時貯留するグレンタンク、6は操縦部、7はグレンタンク5内の穀物を揚穀する揚穀排出装置である。
【0016】
前記刈取部4の一例を示すと、分草体8、引起装置(図示省略)、刈刃9および搬送装置を有して構成する。
10は搬送装置により搬送され穀稈を脱穀装置2の脱穀室(図示省略)に穀稈を供給する穀稈供給搬送装置、11は穀稈供給搬送装置10の始端側に設けたシンクロ用前側供給搬送装置(前側供給搬送装置)である。
【0017】
前記穀稈供給搬送装置10は、前記刈取部4で刈り取られた穀稈を脱穀装置2の脱穀室(図示省略)の穀稈供給口(図示省略)から供給し、脱穀されて脱穀室の穀稈排出口(図示省略)より排出するまで搬送するものであるが、刈取部4で刈り取った穀稈を穀稈供給搬送装置10まで搬送する構成は任意である。
【0018】
前記穀稈供給搬送装置10は、挾扼杆(図示省略)と搬送供給チエン(フィードチェン、図示省略)により構成する。挾扼杆は脱穀装置2の上部カバーに上下自在に取付けられ、搬送供給チエンに弾着して穀稈を挟持搬送する。搬送供給チエンは無端チエンにより構成し、任意構成の案内レール(図示省略)により案内されて移動するように構成する。
【0019】
しかして、走行装置3は走行用静油圧式無段変速装置12により走行速度変更可能に構成し、刈取部4へ伝達する回転も走行装置3の走行速度に同調して変速するようにする。
即ち、走行用静油圧式無段変速装置12は、主変速レバー13の傾倒操作量に応じて増減速し、例えば、
図2のように、走行速度に対して所定割合で伝動回転を増速する標準作業ラインAと、該標準作業ラインAよりも短時間で増速するようにした倒伏作業ラインBにより変速するように構成する。
【0020】
刈取搬送専用の刈取搬送用静油圧式無段変速装置(静油圧式無段変速装置)21による走行速度への同調は、脱穀装置2と穀稈供給搬送装置10とをエンジン22からの一定駆動回転で駆動して脱穀作業を安定させつつ、穀稈供給搬送装置10への引継を円滑・確実にする。
【0021】
エンジン22から走行用静油圧式無段変速装置12および刈取搬送用静油圧式無段変速装置21への回転伝達機構の構成は任意であるが、
図3により一例を示すと、25Aは走行用出力プーリー、25Bは刈取脱穀用出力プーリー,26は走行用静油圧式無段変速装置12の入力プーリー、28は刈取脱穀用出力プーリー25Bの回転が伝達される中間プーリー,29は中間軸、30は中間歯車、31は中間伝動軸、32は一対の脱穀用傘歯車、33は脱穀伝動軸、33Aは脱穀用中間プーリー、34は扱胴、35は処理胴、36は刈取用中間歯車、37は刈取搬送用静油圧式無段変速装置21の刈取HST入力軸(入力軸)、38は刈取搬送用静油圧式無段変速装置21の刈取HST出力軸(出力軸)、39は刈取用中間出力軸、40は搬送シンクロ用出力軸、41は穀稈供給搬送中間出力軸、41Aは供給搬送用プーリー、42は唐箕、43は穀稈供給搬送装置10の駆動歯車、44は刈取脱穀クラッチ、45は刈取用中間出力軸39に設けた刈取中間出力プーリー(刈取出力プーリー),46は刈取中間入力プーリー、47は刈取出力プーリー45と刈取中間入力プーリー46に掛け回したベルト、50は刈取用中間歯車36および刈取用中間出力軸39等を設けたギヤケースであり、ギヤケース50の操縦部6側に刈取搬送用静油圧式無段変速装置21を設ける。そのため、機体重量バランスやギヤケース50の取付バランスを良好にする。
【0022】
しかして、前記走行用静油圧式無段変速装置12は、油圧ポンプ14のポンプ斜板15の傾斜を変更して油圧モータ16への送油量を無段階に変更して回転を伝達し(
図4)、油圧モータ16にも傾斜角度を二段階に切替可能なモータ斜板17を設け、機体の走行速度の上限の高速走行Cと通常走行Dとに切替可能に構成する(
図2)。
【0023】
したがって、本願の走行用静油圧式無段変速装置12が油圧モータ16により二段階に走行速度を切替可能にすることで副変速機能を奏するように構成しているので、ミッションケース18内の機械的な副変速機構を省略している。
【0024】
19はモータ斜板17を切替える切替手段(油圧シリンダ)である(
図4)。
圃場の状態等の条件を考慮しつつ主変速レバー13により走行速度を設定するが、穀稈が密集する等の刈取作業中の作業条件が変化したとき、従来であれば副変速機構により減速操作するが、本願では、走行用静油圧式無段変速装置12の油圧モータ16のモータ斜板17を低速側に切り替えて減速するので、円滑に走行でき、ミッションケース18内の機械的な副変速機構を省略でき、部品点数削減でき、コストダウンおよび軽量化が図れる。
【0025】
また、機械的な副変速機構では副変速用歯車の噛み合い切替えのときにショックが生じることがあるが、本願では油圧モータ16のモータ斜板17の高速・低速の切り替えになって、副変速用歯車の噛み合いの切替ショックが発生せず、ノークラッチ化できて、操作性を向上させられる。
【0026】
このミッションケース18内の機械的な副変速機構を省略して走行用静油圧式無段変速装置12の回転を車軸51に伝達するミッションMの構成は任意であるが、
図5で一例を示すと、ミッションケース18の上部に走行用静油圧式無段変速装置12の油圧モータ16のモータ出力軸52を設け、モータ出力軸52に出力歯車53を設ける。出力歯車53には入力軸54の入力歯車55を噛み合わせる。入力軸54には別途回転数を調節するための中間歯車54Aを設け、中間歯車54Aはサイドクラッチ軸56に固定の受動歯車57を常時噛合せる。そのため、入力軸54および入力歯車55(中間歯車54A)とサイドクラッチ軸56および単一の受動歯車57との間には、副変速軸および副変速軸の軸方向に摺動して噛み合いを変更する複数の副変速用歯車等により構成する機械的な副変速機構を省略している。
【0027】
サイドクラッチ軸56の左右側には左右のサイドクラッチ(左右サイドクラッチ)58を設ける。サイドクラッチ軸56の受動歯車57には遊星歯車機構60の駆動軸61に固定の駆動歯車67を噛み合わせる。遊星歯車機構60は公知の構成でよく、簡単に説明すると、左右一対の浅い円筒形状のキャリア62に遊星歯車63を夫々設け、遊星歯車63には駆動軸61に固定のサンギヤ64Aを噛み合わせる。遊星歯車63に一体状に設けた遊星歯車63Aには中間遊星歯車65を噛み合わせる。中間遊星歯車65は、駆動軸61に遊嵌状態に設けた出力用歯車64を噛み合わせる。キャリア62にはキャリア62の回転に制動を付与する多板式のブレーキ66を設ける。
【0028】
66Aは駐車ブレーキ、68はサイドクラッチ58からの回転を出力するサイドクラッチ歯車、68Aはサイドクラッチ歯車68に噛み合うキャリア62に設けた歯車である。
左右のサイドクラッチ58を入りの状態ではサイドクラッチ歯車68とキャリア62の歯車68Aとの噛み合いで回転が遊星歯車機構60に伝達されて直進し、パワステを傾倒させると、旋回内側となるサイドクラッチ58を切りにすると共に、旋回内側となるキャリア62に駆動軸61からの回転を伝達しつつこの回転にブレーキ66により制動を掛けて緩旋回を開始し、更に、ブレーキ66により旋回内側となるキャリア62に制動を掛けて旋回内側の車軸51の回転が零になるとブレーキターンとなり、更に、キャリア62に制動を掛けると旋回外側と旋回内側の車軸51の回転が逆転してスピンターンとなる。
【0029】
しかして、前記刈取搬送用静油圧式無段変速装置21の刈取HST出力軸38と、刈取出力プーリー45との間には刈取用遊星歯車機構(遊星歯車機構)70を設け、刈取用遊星歯車機構70は、刈取HST出力軸38の回転数が所定回転数以上になったとき、刈取出力プーリー45に回転出力するように構成する。
【0030】
刈取搬送用静油圧式無段変速装置21の刈取HST出力軸38から出力される回転数が低いと、油圧ポンプ(図示省略)から刈取搬送用静油圧式無段変速装置21の油圧モータ(図示省略)への送油量が少なく、刈取HST出力軸38の回転数は不安定となり、また、刈取HST出力軸38の伝達する回転トルクも低く、刈取部4の負荷が大きいと、刈取部4が停止することがある。
【0031】
即ち、刈取HST出力軸38と刈取出力プーリー45を直接接続すると、刈取HST出力軸38と刈取出力プーリー45との回転数は同じになるので、上記不具合が、発生するが、本願は刈取用遊星歯車機構70により刈取出力プーリー45の回転が逆転から零回転を経て正回転を伝達するように構成し、例え、刈取出力プーリー45が零回転のときであっても、刈取用遊星歯車機構70により刈取HST出力軸38は所定回転数を確保するようにしている。
【0032】
そのため、刈取部4の回転数の低い領域でも、刈取搬送用静油圧式無段変速装置21は充分安定したトルクを有する回転を出力し、刈取部4の作業を安定させられる。
前記刈取出力プーリー45は、前記刈取HST出力軸38とは別軸の刈取中間出力軸(刈取出力軸)45Aに取付け、刈取中間出力軸45Aと刈取HST出力軸38は同軸状に配置する。
【0033】
そのため、ギヤケース50をコンパクトに構成できる。
刈取用遊星歯車機構70の構成は任意であるが、一例を示すと、浅い円筒形状のキャリア72に遊星歯車73を回転自在に設け、遊星歯車73には刈取HST出力軸38からの回転を伝達するサンギヤ74を噛み合わせる。サンギヤ74は刈取HST出力軸38と一体回転するボス74Aに設ける。
【0034】
遊星歯車73には別途出力遊星歯車75を回転自在に遊嵌する。出力遊星歯車75には刈取中間出力軸45Aと一体回転する入力歯車76を噛み合わせる。
キャリア72には環状歯車77を設け、環状歯車77には刈取HST入力軸37に設けた一定回転するギヤ78を噛み合わせて構成する。
【0035】
即ち、刈取HST入力軸37からの一定回転をキャリア72に伝達し、刈取HST出力軸38からの変速回転を遊星歯車73に入力する構成となり、刈取用遊星歯車機構70は入力歯車76から刈取中間出力軸45Aに、逆転から零回転を経て正回転を伝達し、それゆえ、刈取出力プーリー45が零回転のときであっても、刈取用遊星歯車機構70により刈取HST出力軸38は所定回転数で回転している。
【0036】
換言すると、刈取HST出力軸38を所定回転数で回転させていても、刈取用遊星歯車機構70により刈取出力プーリー45の回転を停止させておくことができる。
そのため、刈取搬送用静油圧式無段変速装置21の刈取HST出力軸38から出力される回転数を所定回転以上に保持させて、刈取搬送用静油圧式無段変速装置21の油圧ポンプ(図示省略)から刈取搬送用静油圧式無段変速装置21の油圧モータ(図示省略)への送油量を確保して、刈取HST出力軸38の回転数を安定させ、刈取HST出力軸38の回転トルクを確保し、刈取部4の負荷に対応させて、刈取部4の停止することを防止する。
【0037】
また、刈取用遊星歯車機構70は刈取搬送用静油圧式無段変速装置21の刈取HST入力軸37および刈取HST出力軸38を利用して設けられるので、合理的でコンパクトに構成できる。
【0038】
この場合、刈取搬送用静油圧式無段変速装置21の刈取HST出力軸38から出力される回転を検出して、刈取出力プーリー45への出力回転を判定するように構成する。
そのため、高精度の回転数検出ができ、刈取部4の作業速度の制御精度を向上させる。
【0039】
刈取HST出力軸38の端部に回転体79Aを設け、回転体79Aの回転を検出する回転検出手段79Bを設けている。
前記刈取出力プーリー45には、ワンウェイクラッチ80を設ける。刈取出力プーリー45には刈取用遊星歯車機構70により逆回転から零回転を経て正回転まで伝達されるが、ワンウェイクラッチ80により刈取部4に逆回転の回転が伝達されるのを防止する。
【0040】
即ち、刈取HST出力軸38を所定回転数で回転させていても、刈取用遊星歯車機構70により刈取出力プーリー45の回転を停止させるためには、刈取HST出力軸38の回転が停止しているときには、刈取用遊星歯車機構70は刈取出力プーリー45へ零回転に至る前の逆回転を出力することになるので、ワンウェイクラッチ80により刈取部4への逆回転の伝達を防止して、刈取HST出力軸38の回転数および回転トルクを安定させている。
【0041】
それゆえ、刈取HST出力軸38から刈取用遊星歯車機構70を経て刈取出力プーリー45の下手側の刈取部4への駆動が確実になる。
また、刈取HST出力軸38の回転と刈取用遊星歯車機構70の回転により刈取出力プーリー45の回転数が変化するが、ワンウェイクラッチ80を設けているので逆回転が伝達されることはないので、刈取出力プーリー45の回転数を零回転にするためには減速操作すれば良く、刈取出力プーリー45の回転数を零回転とするニュートラル位置の設定が容易(不要)になる。
【0042】
しかして、刈取部4およびシンクロ用前側供給搬送装置11への伝達回転は、刈取搬送用静油圧式無段変速装置21により変速し、刈取搬送用静油圧式無段変速装置21が刈取部4を走行速度の増減速に合わせて同調させて変速する。
【0043】
即ち、刈取中間出力軸45Aに別途シンクロ用歯車82を設け、シンクロ用歯車82に中間軸83の歯車(第1歯車)84を噛み合わせる。中間軸83には別途歯車(第2歯車)84Aを設け、歯車84Aの回転を搬送シンクロ用出力軸40の歯車85に伝達し、刈取用遊星歯車機構70により刈取部4に伝達する回転と同じ回転をシンクロ用前側供給搬送装置11に伝達する。
【0044】
したがって、刈取部4の回転と同期した回転をシンクロ用前側供給搬送装置11に伝達するので、搬送性能が向上する。
また、ギヤケース50内に中間軸83と歯車84および歯車84Aを納めることができ、構成を簡素にできる。
【0045】
また、刈取搬送用静油圧式無段変速装置21は、単独で走行用静油圧式無段変速装置12とは無関係に刈取部4および/またはシンクロ用前側供給搬送装置11を駆動できるので、機体停止状態から所定走行速度の間でも、刈取搬送用静油圧式無段変速装置21および刈取用遊星歯車機構70により刈取部4およびシンクロ用前側供給搬送装置11を十分な回転数で駆動させることができ、機体走行開始直後から安定して刈取部4および脱穀装置2を駆動させられ、刈取作業および脱穀作業を安定・確実に行える。
【0046】
また、走行用静油圧式無段変速装置12から走行装置3への回転を停止させたとき、単独の刈取搬送用静油圧式無段変速装置21でシンクロ用前側供給搬送装置11を駆動すると、機体走行停止状態でシンクロ用前側供給搬送装置11を駆動し、シンクロ用前側供給搬送装置11および穀稈供給搬送装置10へ手刈り穀稈を供給でき、刈取作業および脱穀作業の作業性および操作性を向上させられる。
【0047】
しかして、操縦部7の運転座席86の下方(後側)付近には周囲を包囲されたエンジンルーム87を形成し、エンジンルーム87内にエンジン22を設け、エンジン22の外側(右側)にはエンジン冷却用ファン88を設け、エンジン冷却用ファン88の外側にはラジエーター89を設け、ラジエーター89の外側にはラジエーターカバー90を設ける。ラジエーターカバー90は枠体91を有する。枠体91には防塵ネット92を設ける(
図11)。
【0048】
防塵ネット92の内側には所定の幅(前後幅)を有して縦長の遮風プレート93をラジエーターカバー90の幅方向(機体進行方向・前後方向)に往復移動自在に設ける。遮風プレート93は、ラジエーターカバー90の幅方向に移動する行程において、エンジン冷却用ファン88の吸引作用で防塵ネット92に付着している付着物のうちの一部を遮風プレート93により一時的にエンジン冷却用ファン88の吸引風を遮断することで付着力を失わせて(低下させて)落下させると共に、その余の付着物は他の防塵ネット92の部分を通過する吸引風よりも流速が高く(速く)強い吸引力の吸引風が通る遮風プレート93の端縁付近の防塵ネット92部分に付着させたまま遮風プレート93と一緒に移動(連れ動ごか)させて防塵ネット92の目詰まりを除去する。
【0049】
即ち、遮風プレート93は一時的にエンジン冷却用ファン88の吸引風を遮断して防塵ネット92に付着している付着物のうちの一部の付着力を低下させて落下させるが、遮風プレート93の移動方向上手側の端縁付近に他の防塵ネット92を通過する外気より吸引力の強い吸引風を積極的に通して、遮風プレート93の端縁と一緒に防塵ネット92の付着物を移動させて防塵ネット92の目詰まりを除去する。
【0050】
遮風プレート93と枠体91との間に遮風プレート93の移動を案内するガイド機構94を設ける(
図14)。
枠体91の下横枠には案内レール95を設け、案内レール95に枠体91の下部を摺動案内するように嵌合させる。
【0051】
枠体91の上横枠には案内レール95を設け、案内レール95には遮風プレート93の案内体96を嵌合(係合)させる。案内体96はベアリング(図示省略)を有する軸受97を介して軸98により遮風プレート93に回転自在に取付ける。
【0052】
そのため、遮風プレート93の移動を円滑にする。
遮風プレート93は上側プレート99Aと下側プレート99Bとの二つに分割し、上側プレート99Aに長孔100を形成し、下側プレート99Bには長孔100内を移動する案内体101を設け、遮風プレート93は長孔100の部分で伸縮自在であって屈曲自在に上側プレート99Aと下側プレート99Bを連結する。
【0053】
したがって、枠体91の斜め枠部分の斜めになっている防塵ネット92の端末の部分も、短い上側案内レール95の終点位置に上側プレート99Aが達すると、上側プレート99Aが斜め部分に沿うように傾斜移動して吸引外気を遮断する(
図17)。
【0054】
この場合、案内体101は図示は省略するが、ベアリング(図示省略)を有する軸受を介して軸により遮風プレート93に回転自在に取付ける。
また、上側の案内体96にはバネ102を設け、遮風プレート93の上側プレート99Aと下側プレート99Bとが、常時直線状態に短縮するように付勢する。
【0055】
したがって、枠体91の斜め部分から離れる移動行程では、遮風プレート93は直線状態になって移動する。
しかして、遮風プレート93の移動構成は任意であるが、例えば、枠体91の中間上横枠に伝動軸(リードカム軸)103を回転自在に軸装し、伝動軸103に伝動軸103の回転により軸心方向に移動する移動部材104を取付け、移動部材104は遮風プレート93に取付ける(
図14)。
【0056】
しかして、遮風プレート93の移動行程の終端の何れか一方側または両側の枠体91には、遮風プレート93の端縁が移動させた付着物を吸引する塵埃吸引口105を設ける。
したがって、塵埃吸引口105は、遮風プレート93の移動方向上手側の端縁付近の防塵ネット92に付着して遮風プレート93に連れ動かされた付着物を、通常の防塵ネット92を通過する外気よりも流速の高い塵埃吸引口105を通る強い吸引風により吸引除去する。
【0057】
防塵ネット92の付着物が遮風プレート93に連れ動かされて塵埃吸引口105により強制的に除去されるので、常時、ラジエーターカバー90の防塵ネット92を綺麗にして、エンジンルームエンジンルーム87内の冷却効果を安定して維持する。
【0058】
操縦部6の操作パネル110に設けた種々のレバー111の操作溝112に閉塞部材113を設ける。閉塞部材113はプレート114に操作溝112より幅狭の溝115を形成すると共に、溝115を閉塞するように、左右側から一対のブラシ116を対峙させて設けている。
【0059】
閉塞部材113は、操作パネル110の下面側に取付ける。
したがって、操作パネル110の下方に操作溝112からの異物の混入を防止する。
(実施例の作用)
機体を走行させると、刈取部4が圃場の穀稈を刈り取って搬送し、刈取部4により搬送された穀稈はシンクロ用前側供給搬送装置11に引き継がれ、シンクロ用前側供給搬送装置11は穀稈を穀稈供給搬送装置10に受け渡し、穀稈供給搬送装置10は穀稈を一定速度で搬送して脱穀装置2の脱穀室に供給して脱穀する。
【0060】
走行装置3は走行用静油圧式無段変速装置12により主変速レバー13を傾倒させると、走行用静油圧式無段変速装置12がエンジン22の一定回転を無段階に変速して伝達し、走行速度変更可能に構成し、刈取部4およびシンクロ用前側供給搬送装置11へ伝達する回転も走行装置3の走行速度に同調して変速するようにしているので、刈取部4は走行速度に応じて最適な作業回転数が伝達される
【0061】
即ち、主変速レバー13を傾倒操作すると、走行用静油圧式無段変速装置12によりエンジン22の一定回転が無段階に変速されて走行装置3に伝達され、走行装置3の走行速度に同調して刈取部4およびシンクロ用前側供給搬送装置11へ伝達する回転も変速される。
【0062】
また、刈取搬送用静油圧式無段変速装置21は、単独で走行用静油圧式無段変速装置12とは無関係に刈取部4を駆動できるので、操作レバー(図示省略)により刈取搬送用静油圧式無段変速装置21を作動させると、刈取部4を駆動させる。
【0063】
この場合、刈取搬送用静油圧式無段変速装置21の刈取HST出力軸38から出力される回転数が低いときには、油圧ポンプ(図示省略)から刈取搬送用静油圧式無段変速装置21の油圧モータ(図示省略)への送油量が少ないため、刈取HST出力軸38の回転数は一定せずに不安定となり、また、刈取HST出力軸38の伝達する回転トルクも低くいことがあり、刈取部4の負荷が大きいと、穀稈を噛み込んだり、最悪のときには刈取部4が停止することがある。
【0064】
本願では、前記刈取搬送用静油圧式無段変速装置21の刈取HST出力軸38と、刈取中間出力プーリー刈取出力プーリー45との間に
は刈取用遊星歯車機構70を設け、刈取用遊星歯車機構70は、刈取HST出力軸38の回転数が所定回転数以上になったとき、刈取出力プーリー45に回転出力するように構成してるので、刈取HST出力軸38が安定して充分な回転トルクを有する駆動回転を刈取出力プーリー45に出力することができる。
【0065】
特に、刈取部4を低速回転で刈取作業するとき、刈取部4を安定させて負荷に耐える作業が可能となり、作業性を向上させる。
即ち、刈取用遊星歯車機構70は、刈取HST出力軸38からの回転を、刈取出力プーリー45が逆回転から零回転を経て正回転するように伝達するから、例え、刈取出力プーリー45が零回転のときであっても、刈取用遊星歯車機構70により刈取HST出力軸38は所定回転トルクを有して回転している。
【0066】
そのため、刈取部4の回転数の低い領域でも、刈取搬送用静油圧式無段変速装置21の刈取HST出力軸38は充分安定した回転トルクを有する回転を出力し、刈取部4の作業を安定させられる。
【0067】
刈取出力プーリー45は、刈取搬送用静油圧式無段変速装置21の刈取HST出力軸38とは別途形成した刈取中間出力軸45Aに取付け、刈取中間出力軸45Aと刈取HST出力軸38は同軸状に配置しているので、ギヤケース50をコンパクトに構成できる。
【0068】
刈取用遊星歯車機構70は、浅い円筒形状のキャリア72に遊星歯車73と環状歯車77を設け、環状歯車77に一定回転するギヤ78により刈取HST入力軸37からの一定回転を入力し、キャリア72に刈取HST出力軸38からの変速回転を遊星歯車75とサンギヤ74により入力する構成であるから、刈取搬送用静油圧式無段変速装置21の刈取HST入力軸37および刈取HST出力軸38を利用して刈取用遊星歯車機構70を構成して設置できるので、合理的でコンパクトに構成できる。
【0069】
しかして、刈取出力プーリー45は、刈取用遊星歯車機構70により逆回転から零回転を経て正回転まで伝達するが、刈取部4に逆回転の回転が伝達されないように、刈取出力プーリー45にワンウェイクラッチ80を設けているので、刈取部4への駆動が確実になる。
【0070】
特に、刈取出力プーリー45の回転領域を逆回転するように、刈取HST出力軸38および刈取用遊星歯車機構70を設定しても、ワンウェイクラッチ80により刈取部4の逆転は回避できるので、刈取HST出力軸38の回転数の設定および刈取用遊星歯車機構70の各歯車のギヤ比の設定が容易にでき、厳密な刈取出力プーリー45の回転数を零回転にさせるニュートラル位置の設定が不要になる。
【0071】
しかして、刈取中間出力軸45Aに別途シンクロ用歯車82を設け、シンクロ用歯車82に中間軸83の歯車84を噛み合わせ、歯車84の回転を搬送シンクロ用出力軸40の歯車85に伝達するので、刈取用遊星歯車機構70により刈取部4に伝達する回転と同じ回転をシンクロ用前側供給搬送装置11に伝達する。
【0072】
したがって、刈取部4の回転と同期した回転をシンクロ用前側供給搬送装置11に伝達するので、搬送性能が向上する。
また、ギヤケース50内に中間軸83と歯車84が納めることができ、構成を簡素にできる。
【0073】
しかして、エンジン22から各部の回転伝動について簡単に説明すると、エンジン22の回転が中間プーリー28に伝達され、中間プーリー28は中間軸29と中間歯車30を介してケースの中間伝動軸31に回転を伝達し、中間伝動軸31で扱胴34側と穀稈供給搬送中間出力軸41および刈取搬送用静油圧式無段変速装置21とに伝動を分岐する。脱穀用傘歯車32に伝達された回転は扱胴34に伝達して駆動する。
【0074】
中間伝動軸31の回転は穀稈供給搬送中間出力軸41に伝達されて、穀稈供給搬送中間出力軸41の回転は穀稈供給搬送装置10の終端側から入力させて、穀稈供給搬送装置10を駆動する。
【0075】
したがって、穀稈供給搬送中間出力軸41は走行用静油圧式無段変速装置12および刈取搬送用静油圧式無段変速装置21とは無関係にエンジン22からの一定に設定された回転を、穀稈供給搬送装置10に伝達し、穀稈供給搬送装置10と扱胴34とは常時同じ関係で回転する。
【0076】
穀稈供給搬送中間出力軸41の下手側には刈取用中間歯車36により回転が伝達される刈取搬送用静油圧式無段変速装置21の刈取HST入力軸37を設けているので、穀稈供給搬送中間出力軸41の回転が刈取搬送用静油圧式無段変速装置21のポンプに入力されて、刈取搬送用静油圧式無段変速装置21のモータから変速された回転刈取HST出力軸38により出力され、刈取HST出力軸38の回転が刈取用遊星歯車機構70により変速されて刈取用中間出力軸39および搬送シンクロ用出力軸40により刈取部4およびシンクロ用前側供給搬送装置11を駆動回転させる。
【0077】
なお、前記した各実施例は、理解を容易にするために、個別または混在させて図示、あるいは説明しており、ブロック図等を含めたこれらの実施例は相互に夫々種々組合せ可能であり、これらの表現によって、構成・作用等が限定されるものではなく、また、相乗効果を奏する場合も勿論存在する。