(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明を実施するための形態】
【0013】
[第1実施形態]
第1実施形態による半導体装置及びその製造方法について
図1乃至
図20を用いて説明する。
【0014】
図1及び
図2は、本実施形態による半導体装置の構造を示す概略断面図である。
図3乃至
図20は、本実施形態による半導体装置の製造方法を示す工程断面図である。
【0015】
はじめに、本実施形態による半導体装置の構造について
図1及び
図2を用いて説明する。
【0016】
シリコン基板10上には、低電圧NMOSトランジスタ(LV NMOS)と、低電圧PMOSトランジスタ(LV PMOS)と、高電圧NMOSトランジスタ(HV NMOS)と、高電圧PMOSトランジスタ(HV PMOS)とが形成されている。低電圧トランジスタは、主に、高速動作が必要とされる回路部分に用いられるものである。高電圧トランジスタは、3.3V I/O等、高電圧の印加される回路部分に用いられるものである。
【0017】
低電圧NMOSトランジスタ(LV NMOS)は、シリコン基板10の低電圧NMOSトランジスタ形成領域16に形成されている。
【0018】
低電圧NMOSトランジスタ形成領域16のシリコン基板10内には、Pウェル20と、P型高濃度不純物層22とが形成されている。P型高濃度不純物層22上には、シリコン基板10上にエピタキシャル成長されたシリコン層48が形成されている。シリコン層48上には、ゲート絶縁膜64aが形成されている。ゲート絶縁膜64a上には、ゲート電極66が形成されている。ゲート電極66の両側のシリコン層48及びシリコン基板10内には、ソース/ドレイン領域78が形成されている。これらにより、低電圧NMOSトランジスタ(LV NMOS)が形成されている。
【0019】
低電圧PMOSトランジスタは、シリコン基板10の低電圧PMOSトランジスタ形成領域24に形成されている。
【0020】
低電圧PMOSトランジスタ形成領域24のシリコン基板10内には、Nウェル28と、N型高濃度不純物層30とが形成されている。N型高濃度不純物層30上には、シリコン基板10上にエピタキシャル成長されたシリコン層48が形成されている。シリコン層48上には、ゲート絶縁膜64aが形成されている。ゲート絶縁膜64a上には、ゲート電極66が形成されている。ゲート電極66の両側のシリコン層48及びシリコン基板10内には、ソース/ドレイン領域80が形成されている。これらにより、低電圧PMOSトランジスタ(LV PMOS)が形成されている。
【0021】
高電圧NMOSトランジスタ(HV NMOS)は、シリコン基板10の高電圧NMOSトランジスタ形成領域32に形成されている。
【0022】
高電圧NMOSトランジスタ形成領域32のシリコン基板10内には、Pウェル36と、P型不純物層38とが形成されている。P型不純物層38は、接合耐圧やホットキャリア耐性を向上するために、低電圧NMOSトランジスタのP型高濃度不純物層22よりも低濃度且つなだらかな不純物分布になっている。P型不純物層38上には、シリコン基板10上にエピタキシャル成長されたシリコン層48が形成されている。シリコン層48上には、低電圧トランジスタのゲート絶縁膜64aよりも厚いゲート絶縁膜60aが形成されている。ゲート絶縁膜60a上には、ゲート電極66が形成されている。ゲート電極66の両側のシリコン層48及びシリコン基板10内には、ソース/ドレイン領域78が形成されている。これらにより、高電圧NMOSトランジスタ(HV NMOS)が形成されている。
【0023】
高電圧PMOSトランジスタ(HV PMOS)は、シリコン基板10の高電圧PMOSトランジスタ形成領域40に形成されている。
【0024】
高電圧PMOSトランジスタ形成領域40のシリコン基板10内には、Nウェル44と、N型不純物層46とが形成されている。N型不純物層46は、接合耐圧やホットキャリア耐性を向上するために、低電圧PMOSトランジスタのN型高濃度不純物層30よりも低濃度且つなだらかな不純物分布になっている。N型不純物層46上には、シリコン基板10上にエピタキシャル成長されたシリコン層48が形成されている。シリコン層48上には、低電圧トランジスタのゲート絶縁膜64aよりも厚いゲート絶縁膜60aが形成されている。ゲート絶縁膜60a上には、ゲート電極66が形成されている。ゲート電極66の両側のシリコン層48及びシリコン基板10内には、ソース/ドレイン領域80が形成されている。これらにより、高電圧PMOSトランジスタ(HV PMOS)が形成されている。
【0025】
各トランジスタのゲート電極66上及びソース/ドレイン領域78,80上には、金属シリサイド膜84が形成されている。
【0026】
4種類のトランジスタが形成されたシリコン基板10上には、層間絶縁膜86が形成されている。層間絶縁膜86には、トランジスタに接続されたコンタクトプラグ88が埋め込まれている。コンタクトプラグ88には、配線90が接続されている。
【0027】
このように、本実施形態による半導体装置は、2種類の低電圧トランジスタと、2種類の高電圧トランジスタとを有している。
【0028】
低電圧トランジスタは、いずれも、例えば
図2に示すように、チャネル領域106に、急峻な不純物濃度分布を有する高濃度不純物層108と、高濃度不純物層108上にエピタキシャル成長されたノンドープのシリコン層110とを有するものである。このようなトランジスタの構造は、不純物の統計的揺らぎによるトランジスタの閾値電圧ばらつきを抑制するために有効である。閾値電圧ばらつきを抑制するためには、高濃度不純物層108の不純物濃度分布が急峻であることが重要である。
【0029】
急峻な不純物濃度分布を実現するために、低電圧NMOSトランジスタの高濃度不純物層22には、アクセプタ不純物としてのボロンのほかに、ボロンの拡散を防止するための炭素が導入されている。また、低電圧PMOSトランジスタの高濃度不純物層30には、ドナー不純物として拡散定数の小さい砒素又はアンチモンが導入されている。
【0030】
一方、高電圧NMOSトランジスタの不純物層38及び高電圧PMOSトランジスタの不純物層46を高濃度で急峻な不純物濃度分布とすると、接合耐圧やホットキャリア耐性が低下する。このため、高電圧NMOSトランジスタの不純物層38には、アクセプタ不純物としてボロンは導入されているが、拡散防止作用のある炭素は導入されていない。また、高電圧PMOSトランジスタの不純物層46には、砒素やアンチモンよりも拡散定数の大きいリンが導入されている。これにより、不純物層38及び不純物層46は、高濃度不純物層22及び高濃度不純物層30と比較して、低濃度且つなだらかな分布とされている。
【0031】
次に、本実施形態による半導体装置の製造方法について
図3乃至
図20を用いて説明する。
【0032】
まず、フォトリソグラフィ及びエッチングにより、シリコン基板10の製品形成領域外(例えば、スクライブ領域)に、マスクアライメント用のマークとして用いる溝12を形成する。
【0033】
本実施形態による半導体装置の製造方法では、素子分離絶縁膜58の形成前に、ウェルやチャネル不純物層を形成する。溝12は、素子分離絶縁膜58の形成前に行われるリソグラフィー工程(ウェルやチャネル不純物層の形成等)において、マスクアライメント用のマークとして用いられるものである。
【0034】
なお、素子分離絶縁膜58の形成前にウェルやチャネル不純物層を形成するのは、シリコン酸化膜14,52,60を除去する際の素子分離絶縁膜58の膜減りを抑制するためである(後述の第1参考例を参照)。
【0035】
次いで、シリコン基板10の全面に、例えば熱酸化法により、シリコン基板10の表面の保護膜としてのシリコン酸化膜14を形成する(
図3)。
【0036】
次いで、フォトリソグラフィにより、低電圧NMOSトランジスタ形成領域16を露出し、他の領域を覆うフォトレジスト膜18を形成する。フォトリソグラフィの位置合わせには、溝12のマークを用いる。
【0037】
次いで、フォトレジスト膜18をマスクとしてイオン注入を行い、シリコン基板10の低電圧NMOSトランジスタ形成領域16に、Pウェル20と、P型高濃度不純物層22とを形成する(
図4)。
【0038】
Pウェル20は、例えば、ボロンイオン(B
+)を、加速エネルギー150keV、ドーズ量7.5×10
12cm
−2の条件で、基板法線方向に対して傾斜した4方向から、それぞれイオン注入することにより形成する。P型高濃度不純物層22は、ゲルマニウムイオン(Ge
+)を、例えば、加速エネルギー50keV、ドーズ量5×10
14cm
−2の条件で、炭素イオン(C
+)を、例えば、加速エネルギー3keV、ドーズ量3×10
14cm
−2の条件で、ボロンイオンを、例えば、加速エネルギー2keV、ドーズ量3×10
13cm
−2の条件で、それぞれイオン注入することにより形成する。ゲルマニウムは、シリコン基板10を非晶質化してボロンイオンのチャネリングを防止するとともに、シリコン基板10を非晶質化して炭素が格子点に配される確率を高めるように作用する。格子点に配された炭素は、ボロンの拡散を抑制するように作用する。かかる観点から、ゲルマニウムは、炭素及びボロンよりも先にイオン注入する。Pウェル20は、P型高濃度不純物層22よりも先に形成することが望ましい。
【0039】
次いで、例えばアッシングにより、フォトレジスト膜18を除去する。
【0040】
次いで、フォトリソグラフィにより、低電圧PMOSトランジスタ形成領域24を露出し、他の領域を覆うフォトレジスト膜26を形成する。フォトリソグラフィの位置合わせには、溝12のマークを用いる。
【0041】
次いで、フォトレジスト膜26をマスクとしてイオン注入を行い、シリコン基板10の低電圧PMOSトランジスタ形成領域24に、Nウェル28と、N型高濃度不純物層30とを形成する(
図5)。
【0042】
Nウェル28は、例えば、リンイオン(P
+)を、加速エネルギー360keV、ドーズ量7.5×10
12cm
−2の条件で、基板法線方向に対して傾斜した4方向から、それぞれイオン注入することにより形成する。N型高濃度不純物層30は、例えば、砒素イオンを、例えば、加速エネルギー6keV、ドーズ量2×10
13cm
−2の条件でイオン注入することにより形成する。Nウェル28は、N型高濃度不純物層30よりも先に形成することが望ましい。
【0043】
次いで、例えばアッシングにより、フォトレジスト膜26を除去する。
【0044】
次いで、フォトリソグラフィにより、高電圧NMOSトランジスタ形成領域32を露出し、他の領域を覆うフォトレジスト膜34を形成する。フォトリソグラフィの位置合わせには、溝12のマークを用いる。
【0045】
次いで、フォトレジスト膜34をマスクとしてイオン注入を行い、シリコン基板10の高電圧NMOSトランジスタ形成領域32に、Pウェル36と、P型不純物層38とを形成する(
図6)。
【0046】
Pウェル36は、例えば、ボロンイオンを、加速エネルギー150keV、ドーズ量7.5×10
12cm
−2の条件で、基板法線方向に対して傾斜した4方向から、それぞれイオン注入することにより形成する。P型不純物層38は、ボロンイオンを、例えば、加速エネルギー2keV、ドーズ量5×10
12cm
−2の条件でイオン注入することにより形成する。なお、高電圧NMOSトランジスタでは、チャネル領域の不純物濃度分布をなだらかにして接合耐圧、ホットキャリア耐性を改善する観点から、炭素及びゲルマニウムのイオン注入を行わない。
【0047】
次いで、例えばアッシングにより、フォトレジスト膜34を除去する。
【0048】
次いで、フォトリソグラフィにより、高電圧PMOSトランジスタ形成領域40を露出し、他の領域を覆うフォトレジスト膜42を形成する。フォトリソグラフィの位置合わせには、溝12のマークを用いる。
【0049】
次いで、フォトレジスト膜42をマスクとしてイオン注入を行い、シリコン基板10の高電圧PMOSトランジスタ形成領域40に、Nウェル44と、N型不純物層46とを形成する(
図7)。
【0050】
Nウェル44は、例えば、リンイオンを、加速エネルギー360keV、ドーズ量7.5×10
12cm
−2の条件で、基板法線方向に対して傾斜した4方向から、それぞれイオン注入することにより形成する。N型不純物層46は、リンイオンを、例えば、加速エネルギー2keV、ドーズ量5×10
12cm
−2の条件でイオン注入することにより形成する。なお、高電圧PMOSトランジスタでは、チャネル領域の不純物濃度分布をなだらかにして接合耐圧、ホットキャリア耐性を改善する観点から、砒素よりも拡散定数の大きいリンを用いている。
【0051】
次いで、例えばアッシングにより、フォトレジスト膜42を除去する。
【0052】
次いで、不活性雰囲気中で熱処理を行い、シリコン基板10を再結晶化するとともに、注入した不純物を格子位置に配置する。例えば、窒素雰囲気中で、600℃150秒間の熱処理を行い、次いで1000℃0秒間の熱処理を行う。
【0053】
次いで、例えばCVD法により、シリコン基板10の表面に、例えば膜厚30nmのノンドープのシリコン層48をエピタキシャル成長する(
図8)。
【0054】
次いで、例えばISSG(in-situ steam generation)法により、減圧下でシリコン層48の表面をウェット酸化し、例えば膜厚3nmのシリコン酸化膜52を形成する。処理条件は、例えば、温度を810℃、時間を20秒間とする。
【0055】
次いで、シリコン酸化膜52上に、例えばLPCVD法により、例えば膜厚70nmのシリコン窒化膜54を堆積する。処理条件は、例えば、温度を700℃、時間を150分間とする。
【0056】
次いで、フォトリソグラフィ及びドライエッチングにより、シリコン窒化膜54、シリコン酸化膜52、シリコン層48、及びシリコン基板10を異方性エッチングし、各トランジスタ形成領域の間の領域を含む素子分離領域に、素子分離溝56を形成する(
図9)。なお、フォトリソグラフィの位置合わせには、溝12のマークを用いる。
【0057】
次いで、例えばISSG法により、減圧下でシリコン層48及びシリコン基板10の表面をウェット酸化し、素子分離溝56の内壁に、ライナー膜として、例えば膜厚2nmのシリコン酸化膜を形成する。処理条件は、例えば、温度を810℃、時間を12秒間とする。
【0058】
次いで、例えば高密度プラズマCVD法により、例えば膜厚500nmのシリコン酸化膜を堆積し、素子分離溝56をシリコン酸化膜によって埋め込む。
【0059】
次いで、例えばCMP法により、シリコン窒化膜54上のシリコン酸化膜を除去する。こうして、いわゆるSTI(Shallow Trench Isolation)法により、素子分離溝56に埋め込まれたシリコン酸化膜により、素子分離絶縁膜58を形成する(
図10)。
【0060】
次いで、シリコン窒化膜54をマスクとして、例えば弗酸水溶液を用いたウェットエッチングにより、素子分離絶縁膜58を、例えば30nm程度エッチングする。このエッチングは、完成したトランジスタにおいて、シリコン層48の表面の高さと素子分離絶縁膜58の表面の高さとが同程度になるように調整するためのものである。
【0061】
次いで、例えばホットリン酸を用いたウェットエッチングにより、シリコン窒化膜54を除去する(
図11)。
【0062】
次いで、例えば弗酸水溶液を用いたウェットエッチングにより、シリコン酸化膜52を除去する。この際、シリコン酸化膜52を完全に除去するために、膜厚3nmのシリコン酸化膜52に対して、熱酸化膜で5nm相当のエッチングを行う。
【0063】
素子分離絶縁膜58のシリコン酸化膜は、高密度プラズマCVD法により堆積した膜であり、弗酸水溶液に対するエッチングレートは、熱酸化膜の2倍程度である。また、もしシリコン酸化膜中にイオン注入されると、イオン種にも依存するが、エッチングレートは更に増大する。高温の熱処理を施せばエッチングレートを小さくできるが、急峻なチャネル不純物分布を実現されるためには好ましくない。
【0064】
本実施形態では、素子分離絶縁膜58を形成するシリコン酸化膜に不純物がイオン注入されていないため、シリコン酸化膜52のエッチングに伴う素子分離絶縁膜58の沈み込み量は、10nmと小さく抑えることができる。
【0065】
次いで、熱酸化法により、例えば膜厚7nmのシリコン酸化膜60を形成する(
図12)。処理条件は、例えば、温度を750℃、時間を52分間とする。
【0066】
次いで、フォトリソグラフィにより、高電圧NMOSトランジスタ形成領域32及び高電圧PMOSトランジスタ形成領域40を覆い、他の領域を露出するフォトレジスト膜62を形成する。
【0067】
次いで、例えば弗酸水溶液を用いたウェットエッチングにより、フォトレジスト膜62をマスクとしてシリコン酸化膜60をエッチングする。これにより、低電圧NOSトランジスタ形成領域16及び低電圧PMOSトランジスタ形成領域24のシリコン酸化膜60を除去する(
図13)。この際、シリコン酸化膜60を完全に除去するために、膜厚7nmのシリコン酸化膜60に対して、熱酸化膜で10nm相当のエッチングを行う。
【0068】
素子分離絶縁膜58のシリコン酸化膜は、高密度プラズマCVD法により堆積した膜であり、弗酸水溶液に対するエッチングレートは、熱酸化膜の2倍程度である。また、もしシリコン酸化膜中にイオン注入されると、イオン種にも依存するが、エッチングレートは更に増大する。高温の熱処理を施せばエッチングレートを小さくできるが、急峻なチャネル不純物分布を実現されるためには好ましくない。
【0069】
本実施形態では、素子分離絶縁膜58を形成するシリコン酸化膜に不純物がイオン注入されていないため、シリコン酸化膜60のエッチングに伴う素子分離絶縁膜58の沈み込み量は、20nmと小さく抑えることができる。
【0070】
これにより、シリコン酸化膜52,60を除去する際の素子分離絶縁膜58の沈み込み量の総和は、高電圧トランジスタ形成領域32,40で10nm程度、低電圧トランジスタ形成領域16,24で30nm程度と、小さく抑えることができる。
【0071】
次いで、例えばアッシングにより、フォトレジスト膜62を除去する。
【0072】
次いで、熱酸化法により、例えば膜厚2nmのシリコン酸化膜64を形成する。処理条件は、例えば、温度を810℃、時間を8秒間とする。
【0073】
次いで、NO雰囲気中で、例えば870℃、13秒間の熱処理を行い、シリコン酸化膜60,64内に窒素を導入する。
【0074】
こうして、高電圧NMOSトランジスタ形成領域32及び高電圧PMOSトランジスタ形成領域32に、シリコン酸化膜60のゲート絶縁膜60aを形成する。また、低電圧NMOSトランジスタ形成領域16及び低電圧PMOSトランジスタ形成領域24に、シリコン酸化膜60よりも薄いシリコン酸化膜64のゲート絶縁膜64aを形成する(
図14)。
【0075】
次いで、全面に、例えばLPCVD法により、例えば膜厚100nmのノンドープのポリシリコン膜を堆積する。処理条件は、例えば、温度を605℃とする。
【0076】
次いで、フォトリソグラフィ及びドライエッチングにより、ポリシリコン膜をパターニングし、各トランジスタ形成領域にゲート電極66を形成する(
図15)。
【0077】
次いで、フォトリソグラフィ及びイオン注入により、高電圧NMOSトランジスタ形成領域32に、ゲート電極66をマスクとしてN型不純物を選択的にイオン注入し、LDD領域となるN型不純物層68を形成する。例えば、リンイオンを、加速エネルギー35keV、ドーズ量2×10
13cm
−2の条件でイオン注入し、N型不純物層68を形成する。
【0078】
次いで、フォトリソグラフィ及びイオン注入により、高電圧PMOSトランジスタ形成領域40に、ゲート電極66をマスクとしてP型不純物を選択的にイオン注入し、LDD領域となるP型不純物層70を形成する。例えば、ボロンイオンを、加速エネルギー10keV、ドーズ量2×10
13cm
−2の条件でイオン注入し、P型不純物層70を形成する。
【0079】
次いで、フォトリソグラフィ及びイオン注入により、低電圧NMOSトランジスタ形成領域16に、ゲート電極66をマスクとしてN型不純物を選択的にイオン注入し、エクステンション領域となるN型不純物層72を形成する。例えば、砒素イオンを、加速エネルギー6keV、ドーズ量2×10
14cm
−2の条件でイオン注入し、N型不純物層72を形成する。
【0080】
次いで、フォトリソグラフィ及びイオン注入により、低電圧PMOSトランジスタ形成領域24に、ゲート電極66をマスクとして選択的にイオン注入し、エクステンション領域となるP型不純物層74を形成する(
図16)。例えば、ボロンイオンを、加速エネルギー0.6keV、ドーズ量7×10
14cm
−2の条件でイオン注入し、P型不純物層74を形成する。
【0081】
次いで、全面に、例えばCVD法により、例えば膜厚80nmのシリコン酸化膜を堆積する。処理条件は、例えば、温度を520℃とする。
【0082】
次いで、全面に堆積したシリコン酸化膜を異方性エッチングし、ゲート電極66の側壁部分に選択的に残存させる。これにより、シリコン酸化膜のサイドウォールスペーサ76を形成する(
図17)。
【0083】
次いで、フォトリソグラフィ及びイオン注入により、低電圧NMOSトランジスタ形成領域16及び高電圧NMOSトランジスタ形成領域32に、ゲート電極66及びサイドウォールスペーサ76をマスクとして選択的にイオン注入する。これにより、ソース/ドレイン領域となるN型不純物層78を形成するとともに、NMOSトランジスタのゲート電極66にN型不純物を添加する。イオン注入条件は、例えば、リンイオンを、加速エネルギー8keV、ドーズ量1.2×10
16cm
−2とする。
【0084】
次いで、フォトリソグラフィ及びイオン注入により、低電圧PMOSトランジスタ形成領域24及び高電圧PMOSトランジスタ形成領域40に、ゲート電極66及びサイドウォールスペーサ76をマスクとして選択的にイオン注入する。これにより、ソース/ドレイン領域となるP型不純物層80を形成するとともに、PMOSトランジスタのゲート電極66にP型不純物を添加する。イオン注入条件は、例えば、ボロンイオンを、加速エネルギー4keV、ドーズ量6×10
15cm
−2とする。
【0085】
次いで、不活性ガス雰囲気中で、例えば1025℃、0秒間の短時間熱処理を行い、注入した不純物の活性化及びゲート電極66中の拡散を行う。1025℃、0秒間の短時間熱処理は、ゲート電極66とゲート絶縁膜との界面まで不純物を拡散させるのに十分である。
【0086】
また、低電圧NMOSトランジスタのチャネル部は炭素がボロンの拡散を抑制することにより、低電圧PMOSトランジスタのチャネル部は砒素の拡散が遅いことにより、急峻な不純物分布を維持することができる。一方、高電圧NMOSトランジスタのチャネル部は炭素が導入されていないことにより拡散は抑制されず、高電圧PMOSトランジスタのチャネル部には砒素よりも拡散定数の大きいリンが導入されているため、なだらかな不純物分布を形成することができる。
【0087】
こうして、シリコン基板10上に、4種類のトランジスタを完成する。すなわち、低電圧NMOSトランジスタ形成領域16に、低電圧NMOSトランジスタ(LV NMOS)を形成する。また、低電圧PMOSトランジスタ形成領域24に、低電圧PMOSトランジスタ(LV PMOS)を形成する。また、高電圧NMOSトランジスタ形成領域に、高電圧NMOSトランジスタ(HV NMOS)を形成する。また、高電圧PMOSトランジスタ形成領域に、高電圧PMOSトランジスタ(HV PMOS)を形成する(
図18)。
【0088】
次いで、サリサイドプロセスにより、ゲート電極66上、N型不純物層78上、及びP型不純物層80上に、金属シリサイド膜84、例えばコバルトシリサイド膜を形成する。
【0089】
次いで、全面に、例えばCVD法により、例えば膜厚50nmのシリコン窒化膜を堆積し、エッチングストッパ膜としてのシリコン窒化膜を形成する。
【0090】
次いで、シリコン窒化膜上に、例えば高密度プラズマCVD法により、例えば膜厚500nmのシリコン酸化膜を堆積する。
【0091】
これにより、シリコン窒化膜とシリコン酸化膜との積層膜の層間絶縁膜86を形成する。
【0092】
次いで、例えばCMP法により、層間絶縁膜86の表面を研磨し、平坦化する。
【0093】
この後、層間絶縁膜86に埋め込まれたコンタクトプラグ88、コンタクトプラグ88に接続された配線90等を形成し、半導体装置を完成する(
図19)。
【0094】
このように、本実施形態によれば、低電圧NMOSトランジスタの高濃度不純物層22をボロン及び炭素を含む不純物層により、低電圧PMOSトランジスタの高濃度不純物層30を砒素を含む不純物層により形成するので、急峻な不純物分布を実現することができる。他方、高電圧NMOSトランジスタの不純物層38をボロンを含む不純物層により、高電圧PMOSトランジスタの不純物層46をリンを含む不純物層により形成するので、なだらかな不純物分布を実現することができる。これにより、閾値電圧の安定した信頼性の高い低電圧トランジスタを実現できるとともに、接合耐圧やホットキャリア耐性の高い高電圧トランジスタを実現することができる。
【0095】
また、ウェル及びチャネル不純物層を形成した後に素子分離絶縁膜を形成するので、素子分離絶縁膜に高濃度のチャネル不純物が導入されるのを防止することができ、エッチング工程においける素子分離絶縁膜の膜減りを大幅に抑制することができる。これにより、基板表面の平坦性が向上するとともに、寄生トランジスタチャネルの発生を防止することができ、信頼性が高く高性能の半導体装置を実現することができる。
【0096】
[第2実施形態]
第2実施形態による半導体装置の製造方法について
図20乃至
図23を用いて説明する。
図1乃至
図19に示す第1実施形態による半導体装置及びその製造方法と同様の構成要素には同一の符号を付し説明を省略し或いは簡潔にする。
【0097】
図20乃至
図23は、本参考例による半導体装置の製造方法を示す工程断面図である。
【0098】
第1実施形態による半導体装置の製造方法では、エッチングに伴う素子分離絶縁膜58の沈み込み量を、高電圧トランジスタ形成領域32,40で10nm程度、低電圧トランジスタ形成領域16,24で30nm程度と、小さく抑えることができた。しかしながら、高電圧トランジスタ形成領域32,40と比較すると、低電圧トランジスタ形成領域16,24における素子分離絶縁膜58の沈み込み量は大きい。
【0099】
本実施形態では、低電圧トランジスタ形成領域16,24における素子分離絶縁膜58の沈み込み量を更に抑制しうる方法について説明する。
【0100】
まず、
図3乃至
図11に示す第1実施形態による半導体装置の製造方法と同様にして、活性領域を画定する素子分離絶縁膜58を形成する。活性領域の表面には、膜厚3nm程度のシリコン酸化膜52が残存している(
図20)。
【0101】
次いで、フォトリソグラフィにより、低電圧NMOSトランジスタ形成領域16及び低電圧PMOSトランジスタ形成領域24を覆い、高電圧NMOSトランジスタ形成領域32及び高電圧PMOSトランジスタ形成領域40を露出するフォトレジスト膜92を形成する。
【0102】
次いで、例えば弗酸水溶液を用いたウェットエッチングにより、フォトレジスト膜92をマスクとしてシリコン酸化膜52をエッチングする。これにより、高電圧NMOSトランジスタ形成領域32及び高電圧PMOSトランジスタ形成領域40のシリコン酸化膜52を除去する(
図21)。
【0103】
この際、シリコン酸化膜52を完全に除去するために、膜厚3nmのシリコン酸化膜52に対して、熱酸化膜で5nm相当のエッチングを行う。
【0104】
素子分離絶縁膜58のシリコン酸化膜は、高密度プラズマCVD法により堆積した膜であり、弗酸水溶液に対するエッチングレートは、熱酸化膜の2倍程度である。また、もしシリコン酸化膜中にイオン注入されると、イオン種にも依存するが、エッチングレートは更に増大する。高温の熱処理を施せばエッチングレートを小さくできるが、急峻なチャネル不純物分布を実現されるためには好ましくない。
【0105】
本実施形態では、素子分離絶縁膜58を形成するシリコン酸化膜に不純物がイオン注入されていないため、シリコン酸化膜52のエッチングに伴う高電圧トランジスタ形成領域32,40の素子分離絶縁膜58の沈み込み量は、10nmと小さく抑えることができる。一方、低電圧トランジスタ形成領域16,24はフォトレジスト膜92で覆われているため、低電圧トランジスタ形成領域16,24の素子分離絶縁膜58はエッチングされない。
【0106】
次いで、例えばアッシングにより、フォトレジスト膜92を除去する。
【0107】
次いで、熱酸化法により、例えば膜厚7nmのシリコン酸化膜60を形成する(
図22)。処理条件は、例えば、温度を750℃、時間を52分間とする。
【0108】
この際、低電圧トランジスタ形成領域16,24に残存しているシリコン酸化膜52も追加酸化され、膜厚が8nm程度となる。
【0109】
次いで、フォトリソグラフィにより、高電圧NMOSトランジスタ形成領域32及び高電圧PMOSトランジスタ形成領域40を覆い、低電圧NMOSトランジスタ形成領域16及び低電圧PMOSトランジスタ形成領域24を露出するフォトレジスト膜62を形成する。
【0110】
次いで、例えば弗酸水溶液を用いたウェットエッチングにより、フォトレジスト膜62をマスクとしてシリコン酸化膜60をエッチングする。これにより、低電圧NOSトランジスタ形成領域16及び低電圧PMOSトランジスタ形成領域24のシリコン酸化膜60を除去する(
図23)。この際、シリコン酸化膜52を完全に除去するために、膜厚8nmのシリコン酸化膜52に対して、熱酸化膜で11nm相当のエッチングを行う。
【0111】
素子分離絶縁膜58のシリコン酸化膜は、高密度プラズマCVD法により堆積した膜であり、弗酸水溶液に対するエッチングレートは、熱酸化膜の2倍程度である。また、もしシリコン酸化膜中にイオン注入されると、イオン種にも依存するが、エッチングレートは更に増大する。高温の熱処理を施せばエッチングレートを小さくできるが、急峻なチャネル不純物分布を実現されるためには好ましくない。
【0112】
本実施形態では、素子分離絶縁膜58を形成するシリコン酸化膜に不純物がイオン注入されていないため、シリコン酸化膜52のエッチングに伴う素子分離絶縁膜58の沈み込み量は、22nmと小さく抑えることができる。
【0113】
これにより、シリコン酸化膜52,60を除去する際の素子分離絶縁膜58の沈み込み量の総和は、高電圧トランジスタ形成領域32,40で10nm程度、低電圧トランジスタ形成領域16,24で22nm程度と、小さく抑えることができる。
【0114】
第1実施形態による半導体装置の製造方法と比較すると、低電圧トランジスタ形成領域16,24における素子分離絶縁膜58の沈み込み量を、25%程度改善することができた。
【0115】
この後、
図14乃至
図19に示す第1実施形態による半導体装置の製造方法と同様にして、半導体装置を完成する。
【0116】
このように、本実施形態によれば、高電圧トランジスタのゲート絶縁膜を形成する前に、高電圧トランジスタ形成領域に形成されている絶縁膜を選択的に除去するので、低電圧トランジスタ形成領域の素子分離絶縁膜の膜減りを大幅に抑制することができる。これにより、基板表面の平坦性が向上し、信頼性が高く高性能の半導体装置を実現することができる。
【0117】
[第1参考例]
第1参考例による半導体装置の製造方法について
図24乃至
図26を用いて説明する。
図1乃至
図23に示す第1及び第2実施形態による半導体装置及びその製造方法と同様の構成要素には同一の符号を付し説明を省略し或いは簡潔にする。
【0118】
図24乃至
図26は、本参考例による半導体装置の製造方法を示す工程断面図である。
【0119】
本参考例では、素子分離絶縁膜58の形成の後にP型高濃度不純物層22及びN型高濃度不純物層30等のチャネルイオン注入を行うプロセスについて説明する。
【0120】
まず、シリコン基板10に、STI法により、素子分離絶縁膜58を形成する。
【0121】
次いで、素子分離絶縁膜58により画定された活性領域上に、保護酸化膜としてのシリコン酸化膜14を形成する(
図24(a))。
【0122】
次いで、フォトリソグラフィ及びイオン注入により、低電圧NMOSトランジスタ形成領域16に、P型高濃度不純物層22を形成する。
【0123】
次いで、フォトリソグラフィ及びイオン注入により、低電圧PMOSトランジスタ形成領域24に、N型高濃度不純物層30を形成する。
【0124】
次いで、フォトリソグラフィ及びイオン注入により、高電圧NMOSトランジスタ形成領域32に、P型不純物層38を形成する。
【0125】
次いで、フォトリソグラフィ及びイオン注入により、高電圧PMOSトランジスタ形成領域40に、N型不純物層46を形成する(
図24(b))。
【0126】
次いで、熱処理を行い、イオン注入ダメージを回復するとともに、注入した不純物を活性化する。
【0127】
次いで、弗酸水溶液を用いたウェットエッチングにより、シリコン酸化膜14を除去し、活性領域のシリコン基板10を露出する。
【0128】
このとき、素子分離絶縁膜58にはP型高濃度不純物層22及びN型高濃度不純物層30の形成の際のイオン注入によって高濃度の不純物が導入されているため、素子分離絶縁膜58におけるエッチングが増速される。特に、急峻な不純物プロファイルを得る等の目的で、N型不純物層30の形成のために砒素をイオン注入した場合には、低電圧PMOSトランジスタ形成領域24におけるエッチングレートの増加は顕著である。
【0129】
この結果、低電圧NMOSトランジスタ形成領域16及び低電圧PMOSトランジスタ形成領域24において、シリコン酸化膜14のエッチングの際に素子分離絶縁膜58が過剰にエッチングされ、活性領域の側面部分が露出されてしまう。
【0130】
なお、P型不純物層38及びN型不純物層46はP型高濃度不純物層22及びN型高濃度不純物層30と比較すると不純物濃度が1桁程度低い。このため、高電圧NMOSトランジスタ形成領域32及び高電圧PMOSトランジスタ形成領域40における素子分離絶縁膜58のエッチング量は、比較的に少ない。
【0131】
次いで、シリコン基板10上に、ノンドープのシリコン層48をエピタキシャル成長する(
図25(a))。この際、シリコン層48の成長は活性領域の表面及び側面から進行するため、異なる面方位に沿って形成されたシリコン層が重なる部分、すなわち素子分離絶縁膜58の端部に、結晶欠陥が導入されてしてしまう。
【0132】
シリコン層48に導入された結晶欠陥は、リーク電流の増加等、トランジスタの特性に多大な影響を与えるため、好ましくない。
【0133】
次いで、活性領域上に、高電圧NMOSトランジスタ及び高電圧PMOSトランジスタ用のゲート絶縁膜60aとなるシリコン酸化膜60を形成する(
図25(b))。
【0134】
次いで、フォトリソグラフィ及びウェットエッチングにより、低電圧NMOSトランジスタ形成領域16及び低電圧PMOSトランジスタ形成領域24のシリコン酸化膜60を選択的に除去する(
図26(a))。
【0135】
この際、シリコン酸化膜60のエッチングとともに素子分離絶縁膜58もエッチングされ、低電圧NMOSトランジスタ形成領域16及び低電圧PMOSトランジスタ形成領域24では、素子分離絶縁膜58の端部においてシリコン層48の下面が露出される。
【0136】
次いで、低電圧NMOSトランジスタ領域16及び低電圧PMOSトランジスタ領域24の活性領域上に、ゲート絶縁膜64aとなるシリコン酸化膜64を形成する(
図26(b))。
【0137】
この後、ゲート絶縁膜64a上にゲート電極66を形成すると、素子分離絶縁膜58の端部のシリコン層48の下方には、シリコン層48を介さずにゲート電極66と対向する寄生トランジスタチャネルが形成されてしまう。素子分離絶縁膜58の形成後にシリコン層48をエピタキシャル成長し、次いで、膜厚の異なる2種類以上のゲート絶縁膜を形成すると、この寄生トランジスタチャネルの形成は避けられない。
【0138】
また、素子分離絶縁膜58の膜減りは、以降のエッチングプロセスにおいても生じる。素子分離絶縁膜58の膜減りが生じると、基板表面の平坦性が低下し、後工程のプロセスに不具合を生じることもある。
【0139】
[第2参考例]
第2参考例による半導体装置の製造方法について
図27乃至
図32を用いて説明する。
図1乃至
図23に示す第1及び第2実施形態による半導体装置及びその製造方法と同様の構成要素には同一の符号を付し説明を省略し或いは簡潔にする。
【0140】
図27乃至
図32は、本参考例による半導体装置の製造方法を示す工程断面図である。
【0141】
本参考例では、P型高濃度不純物層22及びN型高濃度不純物層30の形成の後に素子分離絶縁膜58を形成するプロセスについて説明する。
【0142】
まず、フォトリソグラフィ及びエッチングにより、シリコン基板10の製品形成領域外に、マスクアライメント用のマークとして用いる溝12を形成する。
【0143】
次いで、シリコン基板10の全面に、シリコン基板10の表面の保護膜としてのシリコン酸化膜14を形成する(
図27(a))。
【0144】
次いで、フォトリソグラフィ及びイオン注入により、低電圧NMOSトランジスタ形成領域16及び高電圧NMOSトランジスタ形成領域32に、Pウェル20及びP型高濃度不純物層22を形成する。Pウェル20及びP型高濃度不純物層22は、例えば、ボロン又は弗化ボロン(BF
2)を2重にイオン注入することにより形成する。
【0145】
次いで、フォトリソグラフィ及びイオン注入により、低電圧PMOSトランジスタ形成領域24及び高電圧PMOSトランジスタ形成領域40に、Nウェル28及びN型高濃度不純物層30を形成する(
図27(b))。Nウェル28及びN型高濃度不純物層30は、例えば、リン又は砒素若しくはアンチモン(Sb)を2重にイオン注入することにより形成する。
【0146】
次いで、熱処理を行い、イオン注入ダメージを回復するとともに、注入した不純物を活性化する。
【0147】
次いで、弗酸水溶液を用いたウェットエッチングにより、シリコン酸化膜14を除去する。
【0148】
次いで、シリコン基板10上に、ノンドープのシリコン層48をエピタキシャル成長する(
図28(a))。
【0149】
次いで、STI法により、シリコン基板10及びシリコン層48に、素子分離絶縁膜58を形成する(
図28(b))。
【0150】
次いで、活性領域上に、高電圧NMOSトランジスタ及び高電圧PMOSトランジスタ用のゲート絶縁膜60aとなるシリコン酸化膜60を形成する(
図29(a))。
【0151】
次いで、フォトリソグラフィ及びウェットエッチングにより、低電圧NMOSトランジスタ形成領域16及び低電圧PMOSトランジスタ形成領域24のシリコン酸化膜60を選択的に除去する(
図29(b))。
【0152】
次いで、低電圧NMOSトランジスタ領域16及び低電圧PMOSトランジスタ領域24の活性領域上に、ゲート絶縁膜64aとなるシリコン酸化膜64を形成する(
図30(a))。
【0153】
次いで、全面に、ポリシリコン膜66aを形成する。
【0154】
次いで、フォトリソグラフィ及びイオン注入により、低電圧NMOSトランジスタ領域16及び高電圧NMOSトランジスタ形成領域32のポリシリコン膜66aに、N型不純物を添加する。また、低電圧PMOSトランジスタ領域24及び高電圧PMOSトランジスタ形成領域40のポリシリコン膜66aに、P型不純物を添加する(
図30(b))。
【0155】
次いで、ポリシリコン膜66aをパターニングし、各トランジスタ形成領域に、ゲート電極66を形成する。
【0156】
次いで、フォトリソグラフィ及びイオン注入により、低電圧NMOSトランジスタ領域16に、エクステンション領域となるN型不純物層72を形成する。また、低電圧PMOSトランジスタ領域24に、エクステンション領域となるP型不純物層74を形成する。また、高電圧NMOSトランジスタ形成領域32に、LDD領域となるN型不純物層68を形成する。また、高電圧PMOSトランジスタ形成領域40に、LDD領域となるP型不純物層70を形成する(
図31(a))。
【0157】
次いで、シリコン酸化膜を堆積して異方性エッチングし、ゲート電極66の側壁部分に、サイドウォールスペーサ68を形成する(
図31(b))。
【0158】
次いで、フォトリソグラフィ及びイオン注入により、低電圧NMOSトランジスタ領域16及び高電圧NMOSトランジスタ形成領域32に、ソース/ドレイン領域となるN型不純物層78を形成する。また、低電圧PMOSトランジスタ領域24及び高電圧PMOSトランジスタ形成領域40に、ソース/ドレイン領域となるP型不純物層80を形成する(
図32)。
【0159】
次いで、熱処理を行い、注入した不純物を活性化する。
【0160】
こうして、シリコン基板10上に、低電圧NMOSトランジスタと、低電圧PMOSトランジスタと、高電圧NMOSトランジスタと、高電圧PMOSトランジスタを形成する。
【0161】
本参考例では、低電圧トランジスタのウェル(チャネル不純物層を含む)と、高電圧トランジスタのウェル(チャネル不純物層を含む)とを同時に形成している。しかしながら、低電圧トランジスタのチャネル不純物層には急峻な不純物分布が求められる一方、高電圧トランジスタのチャネル不純物層層は急峻な不純物分布を必要としない。むしろ、急峻な分布による接合耐圧の低下やホットキャリア耐性の低下を生じるため、好ましくない。かかる観点から、低電圧トランジスタのウェルと高電圧トランジスタのウェルとは、別々に形成することが望ましい。
【0162】
[変形実施形態]
上記実施形態に限らず種々の変形が可能である。
【0163】
例えば、上記実施形態では、P型高濃度不純物層22を形成する際に、非晶質化のためにゲルマニウムをイオン注入しているが、非晶質化に用いるイオン種は、これに限定されるものではない。例えば、シリコン、窒素、アルゴン、キセノン等を用いるようにしてもよい。
【0164】
また、上記実施形態では、下地の半導体基板としてシリコン基板を用いたが、下地の半導体基板は、必ずしもバルクのシリコン基板である必要はない。SOI基板など、他の半導体基板を適用してもよい。
【0165】
また、上記実施形態では、エピタキシャル半導体層としてシリコン層を用いたが、必ずしもシリコン層である必要はない。シリコン層の代わりに、SiGe層やSiC層等の他の半導体層を適用してもよい。
【0166】
また、上記実施形態に記載した半導体装置の構造、構成材料、製造条件等は、一例を示したものにすぎず、当業者の技術常識等に応じて適宜修正や変更が可能である。
【0167】
以上の実施形態に関し、更に以下の付記を開示する。
【0168】
(付記1) 半導体基板の第1の領域を露出する第1のマスクを用いて、前記第1の領域に、第1導電型の第1の不純物をイオン注入する工程と、
前記半導体基板の第2の領域を露出する第2のマスクを用いて、前記第2の領域に、第1の不純物よりも拡散定数の小さい前記第1導電型の第2の不純物、又は、前記第1の不純物及び前記第1の不純物の拡散を抑制する第3の不純物をイオン注入する工程と、
前記第1の不純物及び前記第2の不純物を活性化し、前記第1の領域に第1の不純物層を、前記第2の領域に第2の不純物層を、それぞれ形成する工程と、
前記第1の不純物層及び前記第2の不純物層が形成された前記半導体基板上に、半導体層をエピタキシャル成長する工程と、
前記半導体層の前記第1の領域上及び前記第2の領域上に、第1のゲート絶縁膜を成長する工程と、
前記第2の領域を露出する第3のマスクを用いて、前記第2の領域の前記第1のゲート絶縁膜を除去する工程と、
前記半導体層の前記第2の領域上に、前記第1のゲート絶縁膜よりも薄い第2のゲート絶縁膜を成長する工程と、
前記第1のゲート絶縁膜上に第1のゲート電極を、前記第2のゲート絶縁膜上に第2のゲート電極を、それぞれ形成する工程と
を有することを特徴とする半導体装置の製造方法。
【0169】
(付記2) 付記1記載の半導体装置の製造方法において、
前記第1の不純物は、ボロンであり、
前記第3の不純物は、炭素である
ことを特徴とする半導体装置の製造方法。
【0170】
(付記3) 付記2記載の半導体装置の製造方法において、
前記第1の不純物及び前記第3の不純物のイオン注入に先立ち、前記第2の領域に、前記半導体基板の表面領域を非晶質化するための第4の不純物をイオン注入する
ことを特徴とする半導体装置の製造方法。
【0171】
(付記4) 付記3記載の半導体装置の製造方法において、
前記第4の不純物は、ゲルマニウムである
ことを特徴とする半導体装置の製造方法。
【0172】
(付記5) 付記1記載の半導体装置の製造方法において、
前記第1の不純物は、リンであり、
前記第2の不純物は、砒素である
ことを特徴とする半導体装置の製造方法。
【0173】
(付記6) 付記1乃至4のいずれか1項に記載の半導体装置の製造方法において、
前記半導体層を形成する工程の後、前記半導体層を形成した前記半導体基板に素子分離絶縁膜を形成する工程を更に有する
ことを特徴とする半導体装置の製造方法。
【0174】
(付記7) 付記1乃至5のいずれか1項に記載の半導体装置の製造方法において、
前記第1のゲート絶縁膜を成長する工程では、前記第1の領域を露出する第3のマスクを用いてエッチングを行い、前記第1の領域の前記半導体層の表面を露出した後、前記第1のゲート絶縁膜を成長する
ことを特徴とする半導体装置の製造方法。
【0175】
(付記8) 半導体基板の第1の領域を露出する第1のマスクを用いて、前記第1の領域に、第1の不純物をイオン注入する工程と、
前記半導体基板の第2の領域を露出する第2のマスクを用いて、前記第2の領域に、前記第1の不純物と同導電型の第2の不純物をイオン注入する工程と、
前記半導体基板の第3の領域を露出する第3のマスクを用いて、前記第3の領域に、前記第1の不純物と逆導電型の第3の不純物をイオン注入する工程と、
前記半導体基板の第4の領域を露出する第4のマスクを用いて、前記第4の領域に、前記第1の不純物と逆導電型の第4の不純物をイオン注入する工程と、
前記第1の不純物、第2の不純物、第3の不純物、及び前記第4の不純物を活性化し、前記第1の領域に第1の不純物層を、前記第2の領域に第2の不純物層を、前記第3の領域に第3の不純物層を、前記第4の領域に第4の不純物層を、それぞれ形成する工程と、
前記第1の不純物層、前記第2の不純物層、前記第3の不純物層、及び前記第4の不純物層が形成された前記半導体基板上に、半導体層をエピタキシャル成長する工程と、
前記半導体層の前記第1の領域上、前記第2の領域上、前記第3の領域上、及び前記第4の領域上に、第1のゲート絶縁膜を成長する工程と、
前記第2の領域及び前記第4の領域を露出する第5のマスクを用いて、前記第2の領域及び前記第4の領域の前記第1のゲート絶縁膜を除去する工程と、
前記半導体層の前記第2の領域上及び前記第4の領域上に、前記第1のゲート絶縁膜よりも薄い第2のゲート絶縁膜を成長する工程と、
前記第1の領域の前記第1のゲート絶縁膜上に第1のゲート電極を、前記第2の領域の前記第2のゲート絶縁膜上に第2のゲート電極を、前記第3の領域の前記第1のゲート絶縁膜上に第3のゲート電極を、前記第4の領域の前記第2のゲート絶縁膜上に第4のゲート電極を、それぞれ形成する工程と
を有することを特徴とする半導体装置の製造方法。
【0176】
(付記9) 付記8記載の半導体装置の製造方法において、
前記第1の不純物は、ボロンであり、
前記第2の不純物は、ボロンと炭素を含み、
前記第3の不純物は、リンであり、
前記第4の不純物は、砒素又はアンチモンである
ことを特徴とする半導体装置の製造方法。
【0177】
(付記10) 付記8又は9記載の半導体装置の製造方法において、
前記第2の不純物をイオン注入する工程では、前記第2の不純物のイオン注入に先立ち、前記半導体基板の表面領域を非晶質化するための第5の不純物をイオン注入する
ことを特徴とする半導体装置の製造方法。
【0178】
(付記11) 付記10記載の半導体装置の製造方法において、
前記第5の不純物は、ゲルマニウムである
ことを特徴とする半導体装置の製造方法。
【0179】
(付記12) 付記8乃至11のいずれか1項に記載の半導体装置の製造方法において、
前記半導体層を形成する工程の後、前記半導体層を形成した前記半導体基板に素子分離絶縁膜を形成する工程を更に有する
ことを特徴とする半導体装置の製造方法。
【0180】
(付記13) 付記8乃至12のいずれか1項に記載の半導体装置の製造方法において、
前記第1のゲート絶縁膜を成長する工程では、前記第1の領域及び前記第3の領域を露出する第6のマスクを用いてエッチングを行い、前記第1の領域及び前記第3の領域の前記半導体層の表面を露出した後、前記第1のゲート絶縁膜を成長する
ことを特徴とする半導体装置の製造方法。
【0181】
(付記14) 半導体基板の第1の領域に形成され、ボロンを含む第1の不純物層と、
前記第1の不純物層上に形成された第1のエピタキシャル半導体層と、
前記第1のエピタキシャル半導体層上に形成された第1のゲート絶縁膜と、
前記第1のゲート絶縁膜上に形成された第1のゲート電極と、
前記第1のエピタキシャル半導体層及び前記第1の領域の前記半導体基板内に形成された第1のソース/ドレイン領域とを有する第1のトランジスタと、
前記半導体基板の第2の領域に形成され、ボロン及び炭素を含む第3の不純物層と、
前記第2の不純物層上に形成された第2のエピタキシャル半導体層と、
前記第2のエピタキシャル半導体層上に形成され、前記第1のゲート絶縁膜よりも薄い第2のゲート絶縁膜と、
前記第2のゲート絶縁膜上に形成された第2のゲート電極と、
前記第2のエピタキシャル半導体層及び前記第2の領域の前記半導体基板内に形成された第2のソース/ドレイン領域とを有する第2のトランジスタと、
前記半導体基板の第3の領域に形成され、リンを含む第3の不純物層と、
前記第3の不純物層上に形成された第3のエピタキシャル半導体層と、
前記第3のエピタキシャル半導体層上に形成され、前記第1のゲート絶縁膜と膜厚の等しい第3のゲート絶縁膜と、
前記第3のゲート絶縁膜上に形成された第3のゲート電極と、
前記第3のエピタキシャル半導体層及び前記第3の領域の前記半導体基板内に形成された第3のソース/ドレイン領域とを有する第3のトランジスタと、
前記半導体基板の第4の領域に形成され、砒素又はアンチモンを含む第3の不純物層と、
前記第4の不純物層上に形成された第4のエピタキシャル半導体層と、
前記第4のエピタキシャル半導体層上に形成され、前記第2のゲート絶縁膜と膜厚の等しい第4のゲート絶縁膜と、
前記第4のゲート絶縁膜上に形成された第4のゲート電極と、
前記第4のエピタキシャル半導体層及び前記第4の領域の前記半導体基板内に形成された第4のソース/ドレイン領域とを有する第4のトランジスタと
を有することを特徴とする半導体装置。
【0182】
(付記15) 付記14記載の半導体装置において、
前記第2の不純物層は、ゲルマニウムを含む
ことを特徴とする半導体装置。