(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B1)
(11)【特許番号】5854301
(24)【登録日】2015年12月18日
(45)【発行日】2016年2月9日
(54)【発明の名称】描画定規
(51)【国際特許分類】
B43L 9/00 20060101AFI20160120BHJP
B43L 11/055 20060101ALI20160120BHJP
B43L 13/00 20060101ALI20160120BHJP
G01B 3/04 20060101ALN20160120BHJP
【FI】
B43L9/00 A
B43L11/055
B43L13/00 W
!G01B3/04
【請求項の数】3
【全頁数】9
(21)【出願番号】特願2015-58816(P2015-58816)
(22)【出願日】2015年3月20日
【審査請求日】2015年3月23日
【早期審査対象出願】
(73)【特許権者】
【識別番号】300076378
【氏名又は名称】大畑 秋男
(72)【発明者】
【氏名】大畑 秋男
【審査官】
青山 玲理
(56)【参考文献】
【文献】
実開昭51−004440(JP,U)
【文献】
特開2000−326693(JP,A)
【文献】
実開昭56−173496(JP,U)
【文献】
再公表特許第99/026795(JP,A1)
【文献】
実開昭57−016395(JP,U)
【文献】
特開2011−161805(JP,A)
【文献】
実開昭63−130295(JP,U)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B43L 7/00−13/24
G01B 3/04
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
枠体が枠内に底部を有し、該底部は平板状で中央には開通孔があり、底部上面の中央より外方に向って描画三角形或は描画多角形の角数に等しい数のガイド溝が放射状に設けてあり、底部の上方には拡縮体があり、該拡縮体はガイド溝に等しい数のスライド板より構成され該各スライド板の下面側にスライドガイドが設けてあり該各スライドガイドが前記各ガイド溝に嵌りスライド自在で拡縮体は円陣状を成し各スライド板には長穴を有していて、拡縮体の上方には円板状の拡縮調整体があり、該拡縮調整体は中央に貫通孔があり外周は前記枠体の内周縁に保持され回転自在で下面側には描画三角形或は描画多角形の角数に等しい数の突起が設けてあり該突起が前記各スライド板の長穴に嵌り、拡縮調整体を回転することで前記突起が前記長穴に沿って移動し円陣状を成した各スライド板はガイド溝に沿って放射状に移動し拡縮体の中央には各スライド板の一辺で囲まれた三角形或は多角形の開孔が拡縮自在に相似形として形成され、枠体の上面には辺長表示目盛及び径長表示目盛を設け、拡縮調整体の上面には前記辺長表示目盛の位置に合わせるための辺長合マーク及び径長合マークを設けていて、拡縮調整体を回転させ任意の辺長目盛位置又は径長目盛位置に辺長合マーク又は径長合マークを合わせることで前記各スライド板の各一辺部分で構成される前記開孔の縁に沿って筆記具等でなぞることで三角形或は多角形の大きさを無段階に描けてタブレット型を有することを特徴とする描画定規。
【請求項2】
描画定規の多角形の角数を増やすことにより描画形状が円形或は楕円形等に近づけることが可能で、粗さ精度を重要視しない円描画或は楕円描画として用いることができる請求項1の描画定規。
【請求項3】
請求項1及び請求項2の各描画定規の枠体外周部に取付溝を有する描画定規に於いて、基板に着脱穴及び取付ガイドを有する着脱基板を設け、該取付ガイドに前記取付溝が嵌り請求項1及び請求項2の描画定規を前記着脱基板に自在に取り付け取り外し使用できることを特徴とする描画定規。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は円、楕円、円弧、三角形、多角形、の大きさを無段階に且つ容易に描けることのできる描画定規に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来一般的な描画定規はプラスチック板等に大小異なった円形や三角形及び多角形の描画穴を複数個設け、これら描画穴の縁に沿ってなぞり筆記具等で図形を画き使用するが、円形や三角形及び多角形を描画するための描画穴の大きさが段階的に定まっているため希望する大きさに描けないことが多くコンパスや定規等を使用することになって、手間がかかり不便である。
そこで、円描具として回転式の円板を用いて描く方法が提案され、また多角形描具としてあらかじめ基準となる正多角形を盤上に描設してある方法が提案されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2000−326693号公報
【非特許文献】
【0004】
【非特許文献1】実用登録3153143号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
特許文献1においては円板に複数の貫通孔を設け該貫通孔に筆記具等の先端部を挿入させて描く方法であるが円の大きさを段階的に描く方法であり円の大きさを無段階に描くことは不可能で、希望する円描画の大きさに自由度を欠く。
非特許文献1においては多角形の大きさを決めるために最初コンパスで円を描き後に描設された多角形の各頂点位置を前記円上に定めて頂点を順次結ぶといった方法で実に手間のかかる操作となる。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の描画定規は単体のみで使用可能なタブレット型の描画定規と、タブレット型の描画定規として単体使用が可能であると共に基板に取り付けての使用も可能な複合仕様の基板着脱式の描画定規がある。
【0007】
枠体が枠内に底部を有し、該底部は平板状で中央には開通孔があり、底部上面の中央より外方に向って描画三角形或は描画多角形の角数に等しい数のガイド溝が放射状に設けてあり、底部の上方には拡縮体があり、該拡縮体はガイド溝に等しい数のスライド板より構成され該各スライド板の下面側にスライドガイドが設けてあり該各スライドガイドが前記各ガイド溝に嵌りスライド自在で拡縮体は円陣状を成し各スライド板には長穴を有していて、拡縮体の上方には円板状の拡縮調整体があり、該拡縮調整体は中央に貫通孔があり外周は前記枠体の内周縁に保持され回転自在で下面側には描画三角形或は描画多角形の角数に等しい数の突起が設けてあり該突起が前記各スライド板の長穴に嵌り、拡縮調整体を回転することで前記突起が前記長穴に沿って移動し円陣状を成した各スライド板はガイド溝に沿って放射状に移動し拡縮体の中央には各スライド板の一辺で囲まれた三角形或は多角形の開孔が拡縮自在に相似形として形成され、枠体の上面には辺長表示目盛及び径長表示目盛を設け、拡縮調整体の上面には前記辺長表示目盛の位置に合わせるための辺長合マーク及び径長合マークを設けていて、拡縮調整体を回転させ任意の辺長目盛位置又は径長目盛位置に辺長合マーク又は径長合マークを合わせることで前記各スライド板の各一辺部分で構成される前記開孔の縁に沿って筆記具等でなぞることで三角形或は多角形の大きさを無段階に描画できるタブレット型の描画定規である。
【0008】
描画定規の多角形の角数を増やすことにより描画形状が円形或は楕円形等に近づけることが可能で、粗さ精度を重要視しない円描画或は楕円描画として大きさを無段階に描画できる段落0007記載の描画定規である。
【0009】
段落0007、0008記載の各描画定規の枠体外周部に取付溝を有する描画定規に於いて、基板に着脱穴及び取付ガイドを有する着脱基板を設け、該取付ガイドに前記取付溝が嵌り段落0007、0008記載の描画定規を前記着脱基板に自在に取り付け取り外し使用できる基板着脱式の描画定規である。
【発明の効果】
【0010】
本考案の描画定規は三角形或、多角形、円形等の大きさを無段階に描けるタブレット型の描画定規と、更にこれらのタブレット型描画定規の複数を自在に着脱基板に取り付けて使用できる基板着脱式の描画定規があって、基板着脱式の描画定規はタブレット型描画定規の使用選択の自由度を重視する場合に便利で、扱い易く簡便且つ迅速に多種複数の描画を形成できる優れた効果がある。
【発明を実施するための形態】
【0012】
本発明の描画定規として、段落0007、0008記載の各描画定規について図を基に機構及び操作について説明します。
記載図は枠体側部にガイド溝を設けた基板への着脱が可能な複合仕様の描画定規で説明します。
【0013】
(1)タブレット型描画定規の機構及び操作の説明
(機構について)
多角形等を描くタブレット型描画定規は、底部の各ガイド溝が同形状で互いの夾角が等しく底部中心からの距離が等しく、各スライド板は同形状で、拡縮調整体の各突起は等間隔で拡縮調整体の中心からの距離を等しくすることが可能である。
正六角形のタブレット型描画定規を例として、図
1及び図
2に示すように拡縮調整体62は枠体上部61aの嵌合ガイド61iと枠体底部61bの嵌合溝61jとが嵌合されて拡縮調整体62の回転スライドガイド62gが枠体上部61aの回転スライド溝61hと枠体底部61bの上面に保持され拡縮調整体62は回転自在で、拡縮調整体62の各突起62a乃至62fが拡縮体63の各スライド板63a乃至63fの長穴63a1乃至63f1に嵌り、拡縮体63の各スライドガイド63a2乃至63f2が枠体底部61bのガイド溝61p乃至61uに嵌っている。
枠体61に対し拡縮調整体62を回転させることで各突起62a乃至62fは各長穴63a1乃至63f1の内側面を押圧しながらスライド移動すると共に各スライドガイド63a2乃至63f2がガイド溝61nに沿ってスライド移動して各スライド板63a乃至63fが囲む6角開孔65が相似形として拡縮する。
枠体上部61aには正六角形の中心から頂点までの長さとしての径長を示す径長目盛61dと径長値61cを設け、更に正六角形の一辺の長さとしての辺長を示す辺長目盛61eと辺長値61fを設けていて、拡縮調整体62には径長目盛61d及び辺長目盛61eに合わせるための径長合マーク62i及び辺長合マーク62hを設けている。
正六角形の場合は径長値61cと辺長値61fは等しい。
図
6は多角円形のタブレット型描画定規の例で多角円開孔C5は正十六角形により形成されていて多角円の大きさを表す直径を直径目盛C1eと直径値C1fで示し、半径を半径目盛C1dと半径値C1cで示している、図
7は多角楕円形のタブレット型描画定規の例で多角楕円開孔E5は非正十八角形により形成されて多角楕円の大きさを表す長軸を長軸目盛E1dと長軸値E1cで示し、短軸を短軸目盛E1eと短軸値E1fで示している、何れも拡縮調整体C2或はE2を回転させることで多角円開孔C5及び多角楕円開孔E5は相似形として拡縮する。
拡縮調整体には滑り止めを設け操作し易いようにしている。
(操作について)
正六角形の描画の大きさを径長で決めるか辺長で決めるかを選択して拡縮調整体62を回転させ、径長を選択の場合は径長合マーク62iをRmm指示の径長目盛61dに合わせ、辺長を選択の場合は辺長合マーク62hをLmm指示の辺長目盛61eに合わせ筆記具で6角開孔65の縁に沿ってなぞる。
多角円形の描画に於いては拡縮調整体C2を回転させ、希望する円の大きさを直径で指定する場合は直径合マークC2hをDmm指示の直径目盛C1eに合わせ、半径で指定する場合は半径合マークC2iをRmm指示の半径目盛C1dに合わせ筆記具で多角円開孔C5の縁に沿ってなぞる。
多角楕円形の描画に於いては拡縮調整体E2を回転させ、希望する楕円の大きさを長軸で指定する場合は長軸合マークE2iをamm指示の長軸目盛E1dに合わせ、短軸で指定する場合は短軸合マークE2hをbmm指示の短軸目盛E1eに合わせ筆記具で多角楕円開孔E5の縁に沿ってなぞる。
方眼紙等の目盛線に合わせて使用する場合は各基準線合マーク61g、C1g、E1gを目盛線に合わせて使用する。
本例のタブレット型の描画定規に於いて、拡縮調整体C2を時計回りで開孔は拡大し、反時計回りで縮小する。
操作状態図として図
2及び図
3は6角開孔65の拡縮の大きさは一辺或は半径が7.5mmで、図
4は6角開孔65の拡縮の大きさは一辺或は半径が15mmで、図
5は6角開孔65が0mmで正六角形の中心を示すことができる。
図
6の多角円開孔C5の拡縮の大きさは半径が15mmで、図
7の多角楕円の開孔E5は長軸が15mmで短軸が10mmの状態を示している。
【0014】
(2)基板着脱式の描画定規の機構及び操作の説明
(機構について)
図
8の着脱基板100に於いて着脱穴105及び102には取付ガイド105a乃至105d及び102a乃至102dを設けていてタブレット型描画定規を自在に取付け取り外しが可能になっている。
着脱穴105等の中心を通り着脱基板100の水平線上に水平基準線100a及び垂直線上に垂直基準線100bを設けている。
(操作について)
図
8に於いて五角形タブレット型描画定規50を装着する場合は着脱基板100の上面より着脱穴に合わせて五角形タブレット型描画定規50の取付溝51k1乃至51k4を着脱基板100の取付ガイド105a乃至105dに沿うように下方に押して嵌め込み取り付ける。
タブレット型描画定規を基板より取り外す場合はタブレット型描画定規の枠体下部、或は枠体底部を指等で押さえて基板より上方に押し出す。 取付後の描画操作はタブレット型描画定規の単体状態の仕様と同様に扱う。 方眼紙等の目盛線に合わせて使用する場合は基準線110を目盛線に合わせて使用する。
図
8は着脱基板100に五角形のタブレット型描画定規50の着脱前後状態を表し、六角形のタブレット型描画定規60を着脱基板100に装着した状態を表している。
図
9は9種のタブレット型描画定規を着脱基板200に装着した状態を示していて、三角形30、四角形40、五角形50、六角形60、七角形70、八角形80、九角形90、多角円C0、多角楕円E0のそれぞれを装着している。
【符号の説明】
【0015】
30三角形タブレット型描画定規
40四角形タブレット型描画定規
50五角形タブレット型描画定規
60六角形タブレット型描画定規
61枠体
61a枠体上部
61b枠体底部
61c径長値
61d径長目盛
61e辺長目盛
61f辺長値
61g1乃至61g4基準線合マーク
61h回転スライド溝
61i1乃至61i4嵌合ガイド
61j1乃至61j4嵌合溝
61k1乃至61k4取付溝
61m開通孔
61p乃至61uガイド溝
62拡縮調整体
62a乃至62f突起
62g回転スライドガイド
62h辺長合マーク
62i径長合マーク
63拡縮体
63a乃至63fスライド板
63a1乃至63f1長穴
63a2乃至63f2スライドガイド
656角開孔
70七角形タブレット型描画定規
80八角形タブレット型描画定規
90九角形タブレット型描画定規
C0多角円形タブレット型描画定規
E0多角楕円形タブレット型描画定規
100着脱基板
100a水平基準線
100b垂直基準線
102着脱穴
102a乃至102d取付ガイド
105着脱穴
105a乃至105d取付ガイド
200着脱基板
300基板
350タブレット型5角形描画部
360タブレット型6角形描画部
3C0タブレット型多角円形描画部
【要約】
【課題】円、円弧、放射状線、三角形、多角形、楕円等の大きさを無段階に且つ容易に描画できる定規を提供する。
【解決手段】枠内に設けた回転調整体の回転操作及び該回転調整体に設けた径調整体のスライド操作により円或は円弧等の大きさを無段階に描けるタブレット型の描画定規と、枠内に設けた拡縮調整体の回転操作により拡縮調整体の中央に拡縮体が造る三角形或は多角形等の開孔の大きさを無段階に描けるタブレット型の描画定規があり、更にこれらのタブレット型描画定規の複数を混在自在に着脱基板に取り付けて使用できる基板着脱式の描画定規と、タブレット型の描画定規の機能を基板に任意複数組み込んだ基板組込式の描画定規があり各描画定規の選択肢の自由度が広く、扱い易く簡便且つ迅速に多種複数の描画を形成できることを特徴とする描画定規。
【選択図】
図1