【実施例】
【0051】
この発明は、上記発明の実施の形態及び実施例の説明に何ら限定されるものではない。請求の範囲の記載を逸脱せず、当業者が容易に想到できる範囲で種々の変形態様もこの発明に含まれる。以下に、実施例を用いて、本発明をさらに詳細に説明する。
(実施例1) 微生物叢活性化剤の組成の検討
微生物叢活性化剤として使用できる成分を検討した。0.056%のポリオキシアルキレンアルキルエーテル又はポリオキシアルキレンを水と混合して、下記の表1及び表2に示す組成物を調製し、油脂の分散粒子径、分散速度、再結合性、親フロック性等を検討した。結果を、表1及び2に示す。
【0052】
【表1】
【0053】
【表2】
【0054】
表1及び表2中、*1〜*5は以下の通りである。
*1:ポリオキシプロピレンアルキレンエーテル
*2:POATED:ポリオキシアルキレントリデシルエーテル、
OcDd:ポリオキシアルキレンオクチルドデシルエーテル、
IsSe:ポリオキシアルキレンイソセチルエーテル、
DeTd:ポリオキシアルキレンデシルテトラデシルエーテル、
TrDe: ポリオキシアルキレントリデシルエーテル、
Ol:ポリオキシアルキレンオレイルエーテル、
Bh:ポリオキシアルキレンベヘニルエーテル、
Ar:ポリオキシアルキレンアルキルエーテル、
OA:ポリオキシアルキレンオキシアルキレンエーテル
POAD:ポリオキシアルキレンデシルエーテル
POPDE:ポリオキシプロピレンデシルエーテル
【0055】
*3:PRTR(Pollutant Release and Transfer Register:化学物質排出移動量届出制度)該当。事業者は、環境中に排出した量と、廃棄物や下水として事業所の外へ移動させた量とを自ら把握し、行政機関に年に1回届け出る。
*4:PO=プロピレンオキサイド
*5:時間経過で再結合の恐れ
【0056】
以上の結果、ポリオキシエチレンアルキルエーテルの場合には、アルキル基の炭素数(Cn)が13〜24、酸化エチレンの付加モル数((EO)n)が8〜20、かつ、エチレンオキサイドの数/炭素数((EO)n/Cn)が0.6〜1.62である化合物が、分散性、親フロック性ともに良好であった(本発明例1〜10)。これらの中でも、Cnが13〜22かつ(EO)nが16〜20である組成物が、さらに良好な分散性、親フロック性を示した。
炭素数10以下のもの及び50以上のものは、分散速度が遅く、分散性が不良のものが多かった(比較例1〜4及び7〜9)。炭素数が20であっても、(EO)n/Cnが2以上となると、分散速度は速いが分散性が不良となった(比較例6)。また、(EO)nが8未満であるか、25以上になると分散性が不良となった(比較例1)。ポリオキシエチレンアルキルエーテルである比較例5は、分散速度は速いが分散性が不良となった。
以上より、以下の実施例においては、0.0005〜2重量%のヤシ油脂肪酸ジアルカノールアミドを含む本発明例7の組成物を使用した。
【0057】
(実施例2) 油脂の分散試験
(1)材料及び方法
水道水1Lにサラダ油(日清オイリオグループ(株)製)1g、及び本発明例7の組成物1mLをビーカーに加え、ビーカー中に撹拌子を入れて500rpmで撹拌してサラダ油を分散・乳化させ、試料1を調製した。本発明例7の組成物に代えて、XL−70(第一工業(株)製、比較例1)、DAPE−0220(日本エマルジョン(株)製、比較例3)、OD−10(日本エマルジョン(株)製、比較例6)又はTDS−80(日本エマルジョン(株)製、比較例11)を使用し、試料1と同様に撹拌して対照試料1〜4を調製した。
【0058】
(2)測定項目・測定方法
上記の試料1及び対照試料1〜4について、試験開始直後の時点を0分として、撹拌開始後30分及び60分後の分散状態を、顕微鏡(100倍)で肉眼観察した。試料1については、撹拌開始後120分の時点の状態も顕微鏡で観察した。また、撹拌終了後60分の状態を肉眼で観察した。結果を
図2〜
図6に示す。
図2(A)〜(E)に示すように、試料1では、撹拌開始後120分の時点でも、油が微細に分散された状態が維持された。また、撹拌停止後60分後でも、油の再結合は観察されなかった。油の微粒子が水中に分散しているため、水はわずかに白濁していたが、水面には油はほとんど浮上しなかった。
【0059】
図3(A)〜(E)に示すように、対照試料1(XL−70)では、一旦は微細に分散されるものの、撹拌時間60分では油が再結合し、粒径が大きな粒子が観察された(
図3(C)参照)。また、撹拌停止後60分では、油が再結合し、水の表面に油膜が観察された。水中に分散している油の粒子は非常に少ないため、水の透明度は高かった(
図3(D)参照)。
図4(A)〜(D)に示すように、対照試料2(DAPE−0220)では、油の粒径にはほとんど変化が見られず、DAPE−0220では油が微細化されないことが示された。撹拌停止後60分では油が再結合し、塊状となって水面に浮上した。水中に分散している油の粒子は非常に少ないため、水の透明度は高かった(
図4(D)参照)。
図5(A)〜(D)に示すように、対照試料3(OD-10)では、油の分散は良好でかなり微細化されることが観察された。撹拌停止後60分では油の粒子が凝集した状態で水面に浮上した。水中に分散している油の粒子は非常に少ないため、水の透明度は高かった(
図5(D)参照)。
【0060】
図6(A)〜(D)に示すように、対照試料4(TDS-80)では、撹拌開始後30分で、油がかなり微細な粒子に分散されていることが観察された。しかし、撹拌開始後60分では、一旦微細化された油が再結合し、粒径の大きな粒子が観察された。撹拌停止後60分では油の粒子が凝集した状態で水面に浮上した。水中に分散している油の粒子は非常に少ないため、水の透明度は高かった(
図6(D)参照)。
【0061】
このことから、試料1では、撹拌開始後120分までは一旦分散された油の粒子の再結合が起こらず、分散状態が維持されること、及び撹拌を停止しても、60分まではその状態が維持されることが示された。
これに対し、対照試料1〜4では、撹拌中に油の粒子の再結合が生じたり、撹拌中は再結合を起こさなくとも、撹拌を停止すると油の粒子が再結合や凝集を起こすことが示された。
【0062】
(実施例3) 食品工場1における原水調整槽の水質の変化
(1)測定試料及び測定項目
食品工場の原水調整槽に、本発明の微生物叢活性化剤を添加前、及び添加開始後20日の時点で、柄杓を用いて曝気攪拌中の調整槽から4Lの液体を汲み、下記表3に示す項目について測定を行った。排水流入量に対する微生物叢活性化剤の原水調整槽への添加量は、0.001%とし、原水調整槽での汚水の滞留時間を18時間とした。加圧浮上装置は使用しなかった。
【0063】
【表3】
【0064】
表3中、( )内の数字は、添加前の値を100としたときのパーセンテージを示す。また、BOD-5は、20℃で5日間培養したときの酸素消費量を示し、BOD-20は20℃で20日間培養したときの酸素消費量を示す。BODは、JIS K0102 21に従って測定した。
n-Hex(ノルマルヘキサン抽出物)は、JIS K0102 24に従って測定した。pHは、pH測定用ガラス電極を用いて、JIS Z8805に従って測定した。SSは、JIS K0102 14.1に従って測定した。JIS B9944に定義されているMLSSは、SSと同様に測定した。
添加開始20日の時点では、水温が大きく下がっていたにもかかわらず、SS、BOD-5及びBOD-20はいずれもほぼ半減していた。さらに、n-Hexの量はほぼ90%減少しており、油脂等が十分に除去されていることが示された。
以上より、汚水が浄化され、原水調整槽の段階で水質が大きく改善され、後段の曝気槽への流入負荷が大幅に低減していることが示された。
【0065】
(実施例4) 食品工場2からの排水中のSS等の原水調整槽における変化
原水調整槽に本発明の微生物叢活性化剤を0.0015%添加して調整し、凝集剤を添加せずに加圧浮上装置を通過させた後の別の食品工場の排水3Lを、実施例3と同様に採取した。SS、BOD及びn-Hexを上記と同様に測定した。実施に際し、原水調整槽の水位を従来よりも高く設定し、原水調整槽における汚水の滞留時間を、12時間、DOを1.0〜2.0mg/Lとなるよう調整した。結果を表4に示す。
【0066】
【表4】
【0067】
上記表4に示すように、SSは一旦上昇した後に低下したが、n-Hexは経時的に含有量が低下した。また、BODも経時的に低下した。
また、原水調整槽の微生物の増殖状態を
図7に示す。試料1を投入する前の状態を示す
図7(A)では未処理の油滴と、わずかな数の細菌とが観察された。試料1の添加12日後、同じ処理槽の異なる場所から3つの検体を採取したところ、いずれの場所で採取した検体でも細菌が増殖し、コロニーを形成していることが確認され、未処理の大きな油滴は観察されなかった(
図7(B)〜(D))。
以上より、本発明の微生物叢活性化剤によって、油脂等が分散されて微生物が増殖したこと、及び汚水負荷が減少したことが示された。
【0068】
(実施例5)食品工場3からの排水中のSS等の変化
食品工場3の排水処理施設(加圧浮上型)にて、本発明の微生物叢活性化剤を0.0036%(v/v)使用し、使用前後の油水分離槽、原水調整槽、撹拌槽、第一担体曝気槽、第二担体曝気槽、及び処理放流槽の状態の変化を観察した。これらのうち、顕著な変化の見られた油水分離槽、原水調整槽、第一担体曝気槽、及び第二担体曝気槽の状態の変化を
図8〜
図11に示す。
【0069】
(1)油水分離槽における変化
図8(A)〜(C)は、油水分離槽中の排水の試験開始前後の状態を示す。試験開始前は、表面に油が浮上していた(
図8(A))。試験開始後20日程で、油水分離槽中の排水表面に浮上していた油の量は減少し(
図8(B))、約50日後に表面の油が消えた(
図8(C))。試験開始80日後でも、油水分離槽中の排水の排水表面に油の浮上は見られなかった。
【0070】
(2)原水調整槽における変化
図9(A)〜(C)は、原水調整槽中の排水の試験開始前後の状態を示す。試験開始前は、原水表面に、茶色の泡状の油が浮上していた(
図9(A))。試験開始時より、本発明例の組成物を、0.0036%(v/v)の濃度で原水調整槽に投入した。試験開始後20日程で、原水調整槽中の排水表面に浮上していた油の量は減少し(
図9(B))、約50日後には排水表面に浮上していた油の量は減少したままで、排水の色がそれまでの濃い白濁色から薄い灰色に変化した(
図9(C))。
(3)撹拌槽における変化
撹拌槽では、試験開始前は排水表面に油膜が張っており、試験開始20日後でも油膜の存在が観察された。試験開始約50日後には油膜が消失した。また、試験開始80日後では、油膜は観察されず、原水自体の色が濃い白濁色から薄い灰色に変化した。
【0071】
(4)第1担体曝気槽
図10(A)〜(C)は、第1担体曝気槽中の排水の試験開始前後の状態を示す。第1担体曝気槽には、微生物による有機性汚濁物質の分解を促進するために、ベージュ色の多孔質の担体が投入されていた。
試験開始前は、この担体に排水中の油と糸状菌とが付着し、曝気しても好気性の微生物が繁殖できる環境にはなかった(
図10(A))。試験開始後20日を過ぎると、担体表面に付着していた油がなくなり、また、担体に絡まりついていた糸状菌はほぼなくなっていた(
図10(B))。この期間中には、第1担体曝気槽中に、調整槽から剥がれた白い油の塊も見られた。このときの担体の状態を
図10(D)に示す。
【0072】
試験開始後80日後には、曝気槽中の排水の状態が変化し(
図10(C))、担体に微生物が付着していることも確認された(
図10(E))。
本発明の微生物叢活性化剤の使用前後の活性汚泥中の微生物の状態を
図10(F)及び(G)に示す。使用前の汚泥の状態は、糸状菌が蔓延して凝集性が悪く、余剰汚泥の発生量も多かった。
これに対し、使用開始後91日(約3カ月)では、糸状菌がほぼ見られなくなるとともに原生動物の量が増え、凝集性が改善されたために汚泥の沈降性が大きく改善された。また、余剰汚泥の発生量が大幅に減少した。
【0073】
(5)第2担体曝気槽
図11(A)〜(C)は、第2担体曝気槽中の排水の試験開始前後の状態を示す。第2担体曝気槽には、第1担体曝気槽と同様に、微生物による有機性汚濁物質の分解を促進するために、ベージュ色の多孔質の担体が投入されていた。
試験開始前は、この担体に排水中の油が付着し、また、水槽中の排水表面にも油が浮上していた(
図11(A))。試験開始後50日を過ぎると、担体表面に付着していた油がなくなり(
図11(B))、また、排水も透明感が見られるようになった(
図11(D))。ただし、良好な状態の溶存酸素濃度(DO)が約2.0であるのに対し、5.0とまだ高い値を示した。
試験開始後80日後には、曝気槽中の排水の状態が明らかに変化し(
図11(C))、担体もきれいに復活したことが観察された(
図11(E))。
【0074】
本発明の微生物叢活性化剤の使用前後の活性汚泥中の微生物の状態を
図11(F)及び(G)に示す。使用前の汚泥の状態は、フロックの凝集性が悪いために沈降性も悪く、余剰汚泥の発生量も多かった。
これに対し、使用開始後180日(約6カ月)では、フロックの凝集性が上がり、沈降性が大幅に改善された。また、余剰汚泥の発生量も大幅に減少した。
【0075】
(6)処理水放流槽
試験開始前の処理水放流槽では、処理水が白濁し、n-Hexの値を測定したところ、91mg/Lであった。試験開始後50日程が経過すると、白濁していた処理水が薄茶に変わり、n-Hexの値は27mg/Lまで低下していた。
試験開始後80日では、処理水は透明感のあるものとなり、n-Hexの値はさらに低下して12mg/Lであった。
第1担体曝気槽と同様に、微生物による有機性汚濁物質の分解を促進するために、ベージュ色の多孔質の担体が投入されていた。
【0076】
(7)配管
本発明の微生物叢活性化剤を1%含む配管洗浄剤を、排水管に投入した場合に、配管内に付着した油分がどのように変化するかを、CCDカメラを用いて撮影し、
図12(A)〜(F)に示した。
図12(A)〜(C)は、使用開始前の排水管内入口付近及び配管内の様子を示す画像である。配管内には、びっしりと分厚く油分が堆積していることがわかる。
図12(D)〜(F)は、使用開始1ヶ月後の排水管内入口付近及び配管内の様子を示す画像である。排水管内にびっしりと堆積していた油分の大部分が剥がれ落ちていることが、
図12(D)〜(F)に示されている。
以上より、本発明の微生物叢活性化剤を含む洗剤を、排水管内に投入することによって、排水管内に堆積された油分も除去されることが示された。
【0077】
(8)結果
試験開始前は、浮上油分を毎日回収しなければならなかったが、その作業が不要となった。また、油水分離槽の周囲がきれいになったため、清掃の回数が、1回/週から1回/6月へと減少した。試験開始前に原水計量槽中に存在していた油分もなくなった。
さらに、原水調整槽内にこびりついていた油分の層が徐々に剥がれて、排水と共に処理槽に送られた。このため、原水調整槽内の清掃が不要となった。また、配管内に溜まっていた油分の層も剥がれて減少しており、配管の詰まりもなくなった。
【0078】
週末に曝気槽を止めた後の週明けの稼働時には、曝気槽中の油分によってかなりの発泡が起こっていたが、試験開始後は発泡量が減少した。
以上より、本発明の微生物叢活性化剤を使用することによって、原水槽等を初めとする槽中及び配管内に堆積していた油分が減少し、排水が効率的に処理されたことが示された。これは、排水中の油分が分散され、好気性微生物の繁殖できる環境が整えられたものによると考えられた。
以上のような油分の処理の進行に伴って、処理槽中から油分を除去するために必要な費用を大きく低減させることができた。
【0079】
(実施例6) 食品工場4の排水処理施設におけるBOD等の変動について
食品工場4の排水処理施設において、原水槽に本発明の微生物叢活性化剤(原液)を2.5mL/分で24時間連続投入しながら(原水槽中の濃度は、0.0036%)、その前後にわたり、定期的に検水を行ってBOD、SS及びn-Hexの値を測定し、長期間の変動を検討した。
BODは、JIS K0102 21、SSはJIS K0102 14.1、また、n-Hexは環境庁告示第64号付表4に従って、それぞれ測定した。
n-Hexの測定方法は、下記の通りとした。所定量の試料を試料容器から抽出容器に移し、指示薬としてメチルオレンジ溶液数滴を加え、溶液が赤色に変わるまで塩酸(1+1)を加えてpHを4とした。試料容器を、25mlのヘキサンで2回洗い、洗液を抽出容器に合わせた。
【0080】
抽出容器中の溶液を、約10分間撹拌し、その後静置してヘキサン層を分離した。次に、抽出容器の底部にキャピラリーを挿入し、大部分の水相を分液ロートに移した。ここに25mLのヘキサンを加えて振蘯し、洗液を得た。この操作を2回繰り返した。残ったヘキサン相と少量の水とを分液ロート(容量250ml)に移し、上記のようにして得られた洗液を合わせた。
ヘキサン相に20mLの水を加えて1分間振蘯し、その後静置してヘキサン相と水相とを分離させた。水相を除去した後に、上記の操作を数回繰り返した。最後に得られたヘキサン相に、3gの無水硫酸ナトリウムを加えて振蘯し、水分を除去した。
【0081】
分液ロートの脚部を、予めヘキサンで洗って抽出物質を除去した濾紙でふき、同様に処理したろ紙を用いて、得られたヘキサン相を濾過し、ビーカーに入れた。用いたろ紙を5mLのヘキサンで2回ずつ洗い、洗液を合わせた。
80℃に温めたホットプレート上でヘキサンを揮散させた。ビーカーの外側を、まず、湿った布で拭き、次いで、乾いた布でよく拭いた後に、80℃に維持した乾燥器中に移し、30分間乾燥させた。ビーカーをデシケーター中に移し、30分間放冷した後に、質量を0.1mgの桁まで秤量した。
【0082】
ブランクを用いて同様の操作を行い、以下の式から試料中のノルマルヘキサン抽出物質濃度(Y)を求めた。
Y(mg/L)=(a−b)×(1,000/試料量(mL))
式中、a及びbは、以下の通りである。
a 試料を入れたビーカーの質量の試験前後の差(mg)
b ブランクのビーカーの質量の試験前後の差(mg)
結果を下記表5及び
図13に示す。
【0083】
【表5】
【0084】
試験開始前のBODの平均は、649.8±308.3(mg/mL)だったが、試験開始後は、498.7±206.6(mg/L)と約23%低下した。SSは低下傾向が見られた。n-Hexは、74.9±27.3(mg/L)から、29.6±25.6(mg/L)へと、約60%低下した。
本発明の微生物叢活性化剤の添加を開始した後に、SS及びBODの測定値が上昇し、1ヶ月ほど比較的高い値で推移し、その後低下した。この原因は、本発明の組成物を使用する前に、処理槽や配管内に堆積していた油分が次第に剥離して排水に混入したためと考えられた。
【0085】
また、混入した油分は、n-Hex濃度が本発明の微生物叢活性化剤の使用後に約80%低下していることから、活性化された微生物によって速やかに分解されたものと考えられた。
以上より、本発明の組成物を使用することによって、排水中の油分が順調に分解されて減少すること、また、排水中の油分は活性化された微生物叢によって、速やかに分解されることが示された。
【0086】
(実施例7) 活性汚泥膜分離装置を用いた食品工場5の排水処理施設における汚泥脱水量等の変化について
食品工場5の排水処理施設における汚泥脱水量(m
3/日)、No. 5Cの濾紙を用いた時の活性汚泥の濾過速度(mL/5分)及び全蒸発残留物(%)を定期的に測定し、変動を観察した。結果を
図14、15に示す。
【0087】
汚泥脱水量(m
3/日)は、
図14(A)に示すように、本発明の微生物叢活性化剤の使用開始から35日までは、平均して50m
3/日という高めの値で推移したがその後低下し、60日目以降は30〜40m
3/日と、20〜40%低下した。それにもかかわらず、汚泥の濃度は上昇することなく、ほぼ一定に保たれた(
図15(A)参照)。
使用開始から35日までが高い値で推移したのは、本発明の微生物叢活性化剤によって、原水槽をはじめとする処理槽及び配管内に堆積していた油分が剥離したためと考えられた。
【0088】
No.5の濾紙による濾過速度(以下、「5C濾過」ということがある。)は、
図14(B)に示すように、使用開始直後は20mL前後で数日間推移したがその後上昇し、ほぼ30mL/5分前後となった。これによって、膜に対する閉塞要因が減少していることが確認された。また、臭気も、使用開始後60日で大きく減少し、異臭を感じなくなった(
図15(A)参照)。加圧浮上フロスの脱水量は、
図15(B)に示すように、使用開始直後から劇的に減少し、その後もほぼゼロであった。
【0089】
また、使用開始前の活性汚泥中の微生物状態を
図15(C)及び(D)に示す。使用前は、原性動物や多細胞性の微生物が少なく、活性汚泥のフロックの固液の界面が不明瞭で凝集性も悪かった。余剰汚泥の発生量も非常に多かった。
これに対し、使用開始後8カ月では、フロックの凝集性が良くなり、固液の界面が明瞭となった。活性汚泥の沈降性が改良されたことから、余剰汚泥の発生量も大幅に減少した。
【0090】
(実施例8)食品工場排水水中の油脂分に対する処理作用
(1)使用した処理剤等
食品工場排水(流入水の油脂分=215mg/L)に下記表6に示す処理剤を添加し、以下に示すように処理を行った。測定項目及び試験法は、下記表7に示す通りとした。
【0091】
【表6】
【0092】
【表7】
【0093】
(2)実験装置
本実施例で使用した実験装置50は、活性汚泥を使用する半回分式装置である。概要図を
図16に示した。
この装置は、原水槽RWTと、各系に原水を供給するためのヘッドタンクHDTと、曝気槽装置を備える反応槽RET
i(i=1〜4)とを備えるようにした。そして、原水槽中の原水はポンプ41でヘッドタンクに送られ、さらに、ポンプ42
i(i=1〜4)によって、各反応槽RET
i(i=1〜4)に供給される構成とした。各系をRES
j(j=1〜4)とした。
【0094】
1系を、薬剤を使用しない対照系(RES
1)とした。2系〜4系は薬剤の効果を検討する系(RES
2〜RES
4)とし、それぞれ、薬剤供給槽ATA、ATB及びATCを備える構成とした。反応槽RET
1には、ポンプ43
1によって空気が供給される。他の反応槽でも同様である。
2系では、薬剤供給槽ATAから、ポンプ45
1によって、薬剤A(本発明例7の組成物)を反応槽中へ供給し、3系では、薬剤B(TDS-80)、4系では薬剤C(DAPE-0220)を、それぞれ各反応槽に供給した。
【0095】
原水槽RWTは、固形分や油脂分の凝集を防ぐために、撹拌しながら35℃に保持した。また、ヘッドタンクHDTの高さを一定とし、原水槽RWTの水位によらず各系へ、常時均等量の排水を提供するようにした。
反応槽RET
1〜RET
4に上記の原水と各処理剤とを添加して、実験開始後12週間経過時点までは6時間曝気した後に汚泥を2時間沈降分離させ、沈降後の上澄みを、ポンプ44
i(i=1〜4)で、3000mL引き抜いた。この期間の界面活性剤の投入量は、各系列とも原水で希釈された後の界面活性剤濃度として0.33mg/Lである。対照系である1系には界面活性剤は添加していない。
【0096】
実験開始後12週間経過後から19週間経過時点までは、6時間曝気した後に汚泥を2時間沈降分離させ、沈降後の上澄みを、ポンプ44
i(i=1〜4)で2,000mL引き抜いた。この期間の界面活性剤の投入量は、各系列とも原水で希釈された後の界面活性剤濃度として0.33mg/Lであり、対照系である1系には界面活性剤は添加していない。
実験開始後19週経過後は、6時間曝気した後に汚泥を2時間沈降分離し、沈降後の上澄みを、ポンプ44
i(i=1〜4)で、2000mL引き抜いた。この期間の界面活性剤の投入量は、各系列とも原水で希釈された後の界面活性剤濃度として1.0mg/Lであり、対照系である1系には界面活性剤は添加していない。上記の実験において反応タンクの有効容積は6Lであった。測定結果を、下記表8に示す。
【0097】
【表8】
【0098】
上記表8に示されるように、3系では、n-Hex濃度が高く、汚泥中の油脂の含有量が低いという結果であった。このことは、排水中の油脂が分散されたものの、付着しているだけで汚泥中にうまく取り込まれておらず、分散された油脂が分解されていないことを意味する。また、4系では、n-Hexの排水中濃度が低いが、汚泥中の含有量が多く、油脂の大部分が汚泥に吸着されており、微生物によって分解されているのではないことが示された。このことは、4系の汚泥が、粒状汚泥であったことによっても裏付けられた。このため、4系の場合には、油脂の除去のために、汚泥を積極的に引き抜くことは、油脂以外の有機汚濁物質の分解能の低下と汚泥発生量の増大という問題が生じることが示された。
【0099】
これに対し、2系では、n-Hex濃度及び活性汚泥中の油脂含有量が低く、汚泥の発生量も少なくなっていた。このため、2系では、排水中の油脂分がよく分散され、そして、分散された油脂は、単に汚泥に吸着されているのではなく、微生物によって分解されていることが示された。それにもかかわらず、微生物自体の増加は見られなかった。
さらに、2系の汚泥の発生量(1日当たり)は、対照と比較して、約15%少なくなっていた。このことは、上述の微生物による分解が起こっていることの効果であり、汚泥の引抜量を減少させることができる。そして、処理効率を高く維持できるために、余剰汚泥の処理に要するコストを低減させることができる。
【0100】
(3)処理水のSVIの経日変化
界面活性剤の種類と添加量に応じて、上記処理期間中の反応タンク内の汚泥容量指標(SVI)がどのように変動するかについて検討した。結果を
図17に示す。
汚泥容量指標(SVI)は、下記の式(I)で求めた。
SVI=SV×10,000/MLSS・・・(I)
ここで、SVは活性汚泥沈殿率をいい、MLSSは、混合液中の浮遊物質(SS)をいう。曝気槽の中の活性汚泥浮遊物(mg/L)の事を意味する。SVIは、1gの汚泥が占める容積をmLで示したものであるから、高いSVI値は、凝集性、沈降性の悪い活性汚泥であるということになる。
【0101】
試験期間全体にわたって原水の反応タンク内滞留時間は24時間程度であるが、試験開始〜19週目までは、
図18に見られるように、原水である食品工場排水の濃度は全体に高めで、かつ、濃度変動が大きかった。この期間の最大のBOD容積負荷は、5.85kg/m
3/日と、下水道設計指針に記載されている最大値の7倍強に達していた。
一方、19週目以降は、食品工場排水の濃度は全体に低めで、かつ、濃度変動が小さかった。この期間の最大のBOD容積負荷は、1.42kg/m
3/日と、下水道設計指針に記載されている最大値の2倍弱であった。
【0102】
図17に示されるように、4系を除くすべての系列は7週目から13週目に高いSVI値を示したが、これは、上述のように、原水の濃度変動が大きく、生物相がそれに応じて常に遷移していたことが原因と考えられた。この期間において4系のみ、小さいSVI値を示したが、これは、4系の汚泥が直径0.5〜1mm程度の粒状となったことに起因するものである。表8に示されるように、4系の汚泥中の油脂含有量が大きいため、4系では生物処理は進んでいないものと考えられた。
【0103】
一方で、19週目以降では、2系のSVIは50〜150の間という低い値となり、汚泥の沈降性は維持された。これに対し、他の系ではSVIは高い値を示し、汚泥の沈降性が低下していることが示された。この原因は、流入水の濃度が比較的低く、濃度変動も小さかったことと、原水で希釈された段階での界面活性剤の投入濃度を1.0mg/Lまで増大させた効果が出ているものと考えられた。
以上より、適正なBOD負荷の範囲において、適正な濃度で本発明の界面活性剤を投入することによって、汚泥沈降性改善効果が得られることが示された。
【0104】
(実施例9) 含油排水処理の効率化の検討
試験開始後の原水(工場排水)のBODの変化をJIS K0102 21に従って測定して調べたところ、
図18に示すような結果となり、変動幅が10倍以上と大きいことが明らかになった。こうしたBODの変動の影響を除くために、以下の実施例では、人工排水を調製し、これを用いて実験を行った。
(1)人工排水の調製及び使用した処理剤
人工排水の組成は、下記表9の通りとした(水1000mLに対して添加した量)。上記表8に示す通りの4つの系を作製し、排水処理の効率化を検討した。
【0105】
【表9】
【0106】
(2)GT(大学内食堂排水出口グリーストラップ)流入水を含む人工排水中の油脂分に対する処理作用
GT流入水(GT流入水の油脂分=7mg/L、実際の流入水油脂分濃度は表9のナタネ油を含むため1007mg/L)を含む人工排水を用いて、上記の条件に従って処理を行い、以下の項目についての測定を行った。測定結果を、下記表10及び
図19に示す。
試験開始後10日目の各系の排水の性状を肉眼で観察し、どのような汚泥(スカム)が発生するかを検討した。結果を
図20に示す。本発明の微生物叢活性化剤を添加した2系以外では、油分含率の高いスカムが発生していた。このことは、排水中の油分は分解されておらず、単に分離されて排水表面に浮いていることを示し、これによって、スカム(汚泥)の処理に費用がかかることが明らかになった。
【0107】
【表10】
【0108】
ここで、S-BODは溶解性BODの略であり、孔径1μmのフィルタでろ過後に測定したBOD、すなわち、固形物を除いたBODを意味する。
油含有量の高い人工排水中では、3系及び4系の汚泥中の油脂含有量が多かったが、S-BOD濃度は低く、溶存酸素濃度は高かった。このことは、油脂分が存在するために、微生物が十分に活動できていないことを意味する。このため、微生物叢は油脂を取り込んではいるものの分解していないことが示された。また、4系では汚泥の発生量が増加していた。
【0109】
これに対し、2系では、汚泥中の油脂含有率及び溶存酸素濃度が低かった。汚泥中の油脂含有率が低いことは、油分が良く分散され、汚泥中の微生物によって速やかに分解されていることを示す。また、溶存酸素濃度が低いことは、微生物が活性化されて活発に活動していることを示す。また、汚泥発生量は少なかった。
また、S-BODとn-Hexとが高くなっていたが、これは、油脂分がよく分散され、これを微生物が速やかに分解していることを意味するとともに、活性化された微生物が油脂以外の有機物も速やかに分解していることを示唆している。そして、油脂分を取り込んではいるものの、取り込みきれない分が残存しているために、S-BODが高くなっており、結果として、油の分散と微生物による分散された油の処理がバランスしていない状態となっていることに起因するものと考えられた。
以上より、本発明の微生物叢活性化剤を添加すると、活性汚泥中の油脂含有率が低くなり、汚泥発生量も減少し、また、溶存酸素濃度が低くなるというデータが得られた。このため、本発明の微生物叢活性化剤は、排水中の油分を微生物が利用しやすい大きさに分散させることが示された。
【0110】
(実施例10) 汚れサンプルの洗浄試験
(1)材料及び方法
スキンレス用開きに、カッターナイフで傷をつけ、汚れサンプルとした。
包丁傷がついた専用まな板に、汚れサンプルをよく擦り込み、ペーパータオルで汚れが見えなくなるまで拭き取った。3分間乾燥させ、洗浄前の試料とした。
次いで、市販の業務用塩素系アルカリ洗剤、試料1の組成物を0.01%含む洗剤、又は0.01%含む洗剤を等量使用して、汚れサンプルを擦り込んだまな板をブラシでよく洗い、流水で、洗剤又は本発明例7の組成物が残らなくなるまでよく流した。3分間放置し、洗浄後の試料とした。
すべての試料について、ルミテスター((株)キッコーマン製)で拭き取り試験を行った。
【0111】
(2)結果
結果を表11に示す。洗浄前を100としたときの洗浄後の汚れの減少率は、水の場合が82.5%であったのに対し、塩素系アルカリ洗剤では95.4%であった。
本発明の微生物叢活性化剤では、塩素系アルカリ洗剤よりも汚れがよく落ちており、減少率は、1%濃度で使用したときに98.0%、0.1%のときに97.5%と、殆ど差がなかった。
【0112】
【表11】
【0113】
以上より、本発明の組成物は、塩素系アルカリ洗剤よりも洗浄力が強いことが明らかになった。そして、汚れの残存量で比較すると、本発明の微生物叢活性化剤は、塩素系アルカリ洗剤の2〜3倍、洗浄力が強いことが示された。
以上より、本発明の組成物は、油汚れを分散させる能力が高いことが示された。
【0114】
(実施例11) 食品工場3における排水浄化
原水調整槽に本発明の微生物叢活性化剤を0.0006%添加して調整し、凝集剤を添加せずに加圧浮上装置を通過させた後の排水1Lを、実施例3と同様に採取した。下記表12に示す項目を、JIS-K0102に従って測定した。原水調整槽における汚水の滞留時間を24時間、曝気槽でのDOを1〜3mg/L、MLSSを5,500〜6,500mg/Lとした。
【0115】
【表12】
【0116】
上記表12に示すように、使用前に較べて、使用後では加圧浮装置に流入するCODが減少しており、調整槽においてすでに負荷が低減したことが示された。
また、加圧浮上装置通過後では、ほとんどCODが変わっておらず、加圧浮上装置での負荷除去率が下がっていることが示された。その理由は、微細化された油脂等が加圧浮上装置を通過することによるものであり、PAC、アニオン、カチオンの使用量が大幅に減っていることから裏付けられた。
【0117】
一方、放流水のCOD(mg/L)を見ると、4月平均で3.4、6、7月平均で3.1、BOD (mg/L)は、4月平均で3.1、6、7月平均で2.3、n-Hex (mg/L)は、4月平均で1.8、6、7月平均で1.4とほとんど水質に変化は見られなかった。さらに、曝気槽に原生動物が多数発生し、内性呼吸により汚泥の発生量が大きく減少した。したがって、排水処理のコストも大幅に削減されることが示された。
以上より、本発明例の微生物叢活性化剤が、高い微生物叢を活性化する作用を有することが示された。
【0118】
(実施例12)膜分離活性汚泥装置に対する本発明の微生物叢活性化剤の効果
膜分離装置を用いて排水処理に対する本発明の微生物叢活性化剤の効果を試験した。
(1)装置等
図21に示す構成の膜分離活性汚泥装置60(反応タンク容積=4.5L)を2系列準備した。ここで使用した膜ユニット65の膜は、PVDF製の中空糸形状のものである。また、圧力計67は、大気圧下での値が0を指すものを使用した。このため、ポンプ62、64の吸引圧分のマイナスの値が示されることから、圧力計67の読み取り値の絶対値を膜間差圧とした。
【0119】
反応タンク61内への酸素の供給と膜の表面洗浄とを目的として、膜直下からディフューザー66を介してポンプ63によりエアレーションを行った。吹き込み空気量は、いずれも5L/分とした。
対照には薬剤を投入せず、本発明例には、本発明の微生物叢活性化剤を3.3mg/Lで投入した。反応タンク内の水温は、20℃〜23℃とした。
【0120】
(2)活性汚泥等
食品工場排水処理設備から入手した活性汚泥を、下記表13に示す組成の人工排水を用いて約1ヶ月馴養し、これを種汚泥(原水に最初に投入する活性汚泥を、「種汚泥」という。)として用いた。原水1Lあたり0.5gのナタネ油を加えたもの人工排水として試験に使用した。
人工排水油脂分濃度は、添加油脂濃度500mg/Lと、人工排水の元々の油脂分濃度の7mg/Lとの合計である、507mg/Lであった。
【0121】
【表13】
*:学内食堂排水処理用のグリーストラップ流入水
【0122】
(3)試験方法
まず、この装置に純水を流し、圧力と透過流量の関係が等しく、2系列の装置性能が同等であることを確認した。
次に、反応タンク61に上記のように調整した種汚泥を4.5L入れ、原水投入−24時間エアレーション−30分間処理水の引き抜きを繰り返すサイクルで運転を行った。1回当たりの引き抜き量及び人工廃水投入量は、それぞれ1.5Lとした。
引き抜き開始10分後の処理水量(膜透過水量)と圧力とを測定した。圧力は図示した箇所の圧力計67の値を読み取り、膜間差圧を求めた。膜の外側にかかる圧力は 大気圧+水深圧であるが、膜水深が浅いため、ほぼ大気圧とみなせることから、圧力計の読み取り値をそのまま記録した。BODは、一般希釈法(下水試験法)で測定した。
【0123】
結果を
図22に示す。
図22の横軸は運転開始後の経過日数、縦軸は透過流速を膜間差圧で除した値である。
本発明例では、流速/圧力の値が、対照系の2倍から4倍となっており、本発明の微生物叢活性化剤の添加の効果が示された。また、試験終了後に、対照として使用した膜ユニットと本発明例で使用した膜ユニットとを、それぞれ反応タンクから引き上げ、どのような状態となっているかを観察した。その結果を
図23に示す。
対照で使用した膜ユニット65に付着した油分含有汚泥の量と、本発明例の膜ユニット65に付着した油分含有汚泥の量には大きな差があり、本発明例の膜ユニットの方がはるかに少なかった。
【0124】
以上から、本発明の微生物叢活性化剤を使用すると、低い圧力で高い透過速度/流量が得られることが示された。このことは、実施例1〜11で証明されたように、排水中の油分の分解が速やかに行われるため、汚泥が油でベトベトしていないことに起因する。
このように、高い透過流速/膜間差圧が得られるため、膜分離活性汚泥の消費エネルギーの大部分を占める吸引ポンプを稼働させるエネルギーを減少させることができるばかりでなく、小型の装置を用いて同等の処理水量を得ることができる。すなわち、大型の施設を建設する必要がなく、施設の建設面でも利点が多い。
膜分離装置では、通常のエアレーションによる膜表面の洗浄に加えて、定期的な取り外し洗浄や、薬剤を用いた洗浄が必要となる。しかし、高い透過流速/膜間差圧が得られる場合には、これらの定期的洗浄のサイクルを長くする(洗浄頻度を下げる)ことができるため、洗浄コストを削減することもできる。