(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
半導体デバイスなどは単位時間当たりの製造数量を増やすために、検査装置にも高いスループットが求められている。そのため、基板1枚当たりに費やす検査時間を短縮するために、移動ステージの高速化や、撮像部を複数配置する形態が考案されて。しかし、移動ステージを高速化しても、カメラの画像取得後、次の画像取得が可能となるまでの時間がボトルネックとなり、高速化には限界があった。
【0005】
図10は、従来の技術におけるタイムチャートで、撮像指示によりカメラで撮像し、データを転送する様子を時系列で示したものである。カメラに対して撮像指示をした後、カメラが撮像可能状態(図では撮像ONと記載)となり、その間にストロボ照明を発光(図ではONと記載)させる。カメラの撮像が終わると(図では撮像OFFになると)、カメラから外部機器やバッファメモリなどに画像データが転送される。カメラは一般に普及している汎用性の高いものが良く用いられているが、この様なカメラは撮像した画像を蓄積する機能がないものや、画像データの転送中に次の画像を1枚だけメモリーする程度である。そのため、画像データを連続して転送できるインターバルTdに合わせて、同程度のインターバルT1で逐次撮像をおこなっていた。そのため、連続して撮像する際、インターバルT1が時間短縮のボトルネックとなっていた。
【0006】
一方、検査時間を短縮するために、撮像部を複数配置する形態(例えば、2台のカメラで2つの回路パターンを同時に取得)も考案されたが、検査対象物が小さく、互いの撮像部の間隔を狭められない場合には、同時に複数の回路を撮像できず、期待通りに時間短縮することができなかった。
【0007】
さらに、多品種対応のために撮像倍率の異なる対物レンズを複数備える場合には、レンズ本数が増えるためコストアップ要因となったり、検査品質を揃えるために、複数の撮像部の機差を補正する必要があり、更なるコストアップ要因になるという課題もあった。
【0008】
そこで本発明は、撮像カメラの処理能力に制約を受けることなく、検査時間を短縮することができる自動外観検査装置を提供することを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0011】
請求項
1に記載の発明は、
検査対象物に形成されたパターンの欠陥を検出する検査対象物検査装置であって、
前記検査対象物を載置するテーブル部と、
前記テーブル部を所定の方向に走査移動させる走査ステージ部と、
前記検査対象物に向けて照明光を照射する照明部と、
前記照明部から照射されて前記検査対象物で反射した光又は前記検査対象物を透過した光を観察光として導光する鏡筒部と、
前記鏡筒部に取り付けられて前記観察光を撮像する
複数の撮像カメラを備えた撮像部と、
前記走査ステージ部を移動させながら、前記照明部を発光させて、前記観察光の撮像を行う制御部と、
予め登録しておいた検査条件に基づいて、前記撮像された前記検査対象物の画像の良否判断をする検査部とを備え、
前記走査ステージ部には、前記テーブルの現在位置を計測する位置計測手段が備えられており、
前記鏡筒部には、前記観察光の角度又は方向を変えて反射させる、光反射手段が備えられており、
前記鏡筒部には、前記光反射手段で反射された光を各々
同じ観察倍率で撮像することができるように、
前記複数の撮像カメラが取り付けられており、
前記制御部は、
前記
観察光の撮像毎に、前記撮像と連動して前記光反射手段の反射方向を変更すると共に、
前記複数の撮像カメラのうち、撮像が済んでデータ転送中である撮像カメラから、データ転送が済んで撮像可能状態にある撮像カメラに逐次切り替えて、撮像を行う機能を備えていることを特徴とする、自動外観検査装置である。
【0012】
上記発明の装置を用いるので、観察光は方向を切り替えて複数ある撮像部のうち、いずれか1つで撮像が可能となっており、ストロボ発光と連動させることで、複数ある撮像部のうちの1つが処理中で次の撮像ができない状態にあっても、撮像方向を切り替えて、別の撮像部で撮像することができる。
【0013】
請求項
2に記載の発明は、
前記鏡筒部には、前記光反射手段の位置又は角度を変更させる、アクチュエータ部が更に取り付けられており、
前記制御部は、前記撮像と連動させてアクチュエータ部を駆動し、
前記撮像を行うことを特徴とする、請求項
1に記載の自動外観検査装置である。
【0014】
上記発明の装置を用いれば、光反射手段の位置又は角度をアクチュエータ部にて制御することができ、光反射手段の位置又は角度のずれを防ぐことができる。
【0015】
請求項
3に記載の発明は、
前記アクチュエータ部は、前記撮像中も当該位置又は当該角度が移動状態にある
ことを特徴とする、請求項
2に記載の自動外観検査装置である。
【0016】
上記発明の装置を用いれば、撮像の前後も光反射手段の位置又は角度が変化し続けており、静止させたり再び動かすことに起因して生じる慣性力を無くし、連続撮像のボトルネックとなる時間を減らすことができる。
【0017】
請求項
4に記載の発明は、
前記撮像中のアクチュエータ部の移動速度が、非撮像時の当該移動速度よりも遅いことを特徴とする、請求項
3に記載の自動外観検査装置である。
【0018】
上記発明の装置を用いれば、撮像の前後も光反射手段の位置又は角度が変化し続けており、静止させたり再び動かすことに起因して生じる慣性力を軽減しつつ、撮像時の画像ブレも軽減することができる。
【0019】
請求項
5に記載の発明は、
前記アクチュエータ部又は前記光反射手段には、現在位置を検出する位置検出器又は、現在角度を検出する角度検出器が取り付けられており、
当該位置検出器又は当該角度検出器の情報に基づいて前記撮像を行うことを特徴とする、請求項
2〜
4のいずれかに記載の自動外観検査装置である。
【0020】
上記発明の装置を用いれば、鏡筒内の前記光反射手段で反射される観察光の角度を管理することができ、検査対象物の被検査領域が撮像部の視野から外れることを防ぐことができる。
【0021】
請求項
6に記載の発明は、
前記照明光を照射する照明部が、ストロボ照明を照射するストロボ照明部であり、
前記撮像がストロボ照明の発光によって行われる
ことを特徴とする、請求項1〜
5のいずれかに記載の自動外観検査装置である。
【0022】
上記発明の装置を用いれば、
発光エネルギーの高い閃光を比較的容易に照射することができるので、撮像に用いるカメラに汎用性の高い安価なものを用いた場合でも、本発明を適用することができる。
【発明の効果】
【0023】
撮像カメラの処理能力に制約を受けることなく、検査時間を短縮することができる
【発明を実施するための形態】
【0025】
本発明を実施するための形態について、図を用いながら説明する。以下の説明においては、本発明の検査対象物として、半導体ウエーハ10に複数の回路パターンが形成されている例に基づいて説明を行う。
図1は、本発明を具現化する形態の一例を示す斜視図である。
以下、各図において直交座標系の3軸をX、Y、Zとし、XY平面を水平面、Z方向を鉛直方向とする。特にY方向は矢印の方向を奥側とし、その逆方向を手前側と表現し、Z方向は矢印の方向を上とし、その逆方向を下と表現する。また、Z軸を回転中心とする回転方向は、θ方向として表現する。
【0026】
自動外観検査装置1は、装置ベース11の上に取り付けられた搬送部2と、検査対象物に向けて光を照射するストロボ照明部3と、装置ベース11に取り付けられた鏡筒部4と、鏡筒部4にて導光された観察光を撮像する撮像部5と、制御部9とを含んで、構成されている。各構成部品は、
図1には図示する位置に配置されるように、不図示の装置フレームや固定ブラケットなどを介して取り付けられている。
【0027】
搬送部2は、装置ベース11の上に取り付けられたX軸ステージ21と、X軸ステージ21上に取り付けられたY軸ステージ22と、Y軸ステージ22上に取り付けられた回転ステージ23と、回転ステージ23上に取り付けられたテーブル部25とを含んで、構成されている。
【0028】
X軸ステージ21は、その上に取り付けられたY軸ステージ22をX方向に移動させることができ、Y軸ステージ22は、その上に取り付けられた回転ステージ23をY方向に移動させることができ、回転ステージ23は、その上に取り付けられたテーブル25をθ方向に回転させることができる。なお、X軸ステージ21、Y軸ステージ22、回転ステージ23は、本発明の走査ステージ部を構成している。
【0029】
テーブル部25は、表面に溝や孔が形成されており、前記溝や孔は、開閉制御用バルブを介して真空源に接続されている。テーブル部25に載置された半導体ウエハー10は、負圧により吸着保持され、テーブル部25の移動中に位置ずれしないようになっている。
【0030】
X軸ステージ21は、X軸位置検出器を含んで構成されており、X軸ステージ21上に取り付けられたY軸ステージ22のX方向の現在位置情報を取得することができる。同様に、Y軸ステージ22は、Y軸位置検出器を含んで構成されており、Y軸ステージ22上に取り付けられた回転ステージ23のY方向の現在位置情報を取得することができる。さらに、回転ステージ23は、回転角度検出器を含んで構成されており、回転ステージ23上に取り付けられたテーブル部25のθ方向の現在角度情報を取得することができる。
【0031】
搬送部2は、上記の様な構成をしているので、テーブル部25上に載置された半導体ウエハー10を、XY方向に移動させたり、θ方向に回転させたり、さらに所定の方向に走査移動させたりすることができる。また、テーブル部のXY方向の現在位置情報と、回転角度情報を取得することができる。
【0032】
ストロボ照明部3は、同軸落斜照明31と、照明発光装置31sを含んで構成されており、極めて短時間に高光量の光を発光(いわゆるストロボ発光)させることができる。同軸落斜照明31は、詳細を後述する鏡筒部4に取り付けられており、鏡筒部4内のハーフミラーなどを介して観察光と同軸の光路で半導体ウェーハ10に向けてほぼ垂直に光を照射することができる。
【0033】
また、ストロボ照明部3は、リング型照明33と照明発光装置33s、面発光型照明35と照明発光装置35sなどで構成してもよく、同軸落斜照明31及び照明発光装置31sと代替若しくは併用して使用することができる。
リング型照明33は、鏡筒部4の外側に取り付けられており、半導体ウェーハ10に向けて斜めから照明光を照射することができる。
面発光型照明35は、テーブル部25に埋め込んで取り付けられており、半導体ウェーハ10の下面から上方に向けて照明光を照射することができる。
【0034】
鏡筒部4は、ストロボ照明部3から半導体ウェーハ10に向けて照射されて半導体ウェーハ10で反射又は半導体ウェーハ10を透過した光を、観察光として導光できる構造をしている。
鏡筒部4には、観察光が導光された経路の途中に光分岐手段45が備えられており、観察光を一部透過させると共に、角度を変えて一部反射させることができる。
また、鏡筒部4は、適宜撮像用ミラー42を含んで構成されており、観察光の方向を変えて導光できる構造をしている。
【0035】
光分岐手段45としては、ハーフミラーやビームスプリッタなどの光学素子を例示できる。
【0036】
撮像部5は、鏡筒部4に複数の撮像カメラ51a,51bが取り付けられており、導光・分岐された観察光を、それぞれの撮像カメラ51a,51bで撮像することができるように構成されている。また、鏡筒部4には対物レンズ55a,55bが取り付けられており、前記観察光を所定の観察倍率で撮像することができる。
【0037】
撮像カメラ51a,51bとしては、CCDやCMOS、その他の撮像素子を用いた撮像カメラが例示でき、撮像した画像を映像信号として、制御部9へ出力することができるものであれば良い。また、撮像カメラ51a,51bは、高感度撮影ができるものが望ましい。そうすれば、光分岐手段45により観察光40vが、2つの観察光45v1,45v2に分岐され、それぞれの光量は分岐前の観察光40vと比べて半分になっても、十分に撮像することができる。或いは、撮像カメラ51a,51bの感度はそのままにしておき、ストロボ照明の発光エネルギーを増して観察光の明るさを確保するようにしても良い。
【0038】
図2は、本発明を具現化する形態の一例を示すシステム構成図である。
図2に示すように、上述した搬送部2、ストロボ照明部3、撮像部5の各機器は、制御部9の各機器と接続されている。
【0039】
制御部9には、制御用コンピュータ90と、情報入力手段91と、情報出力手段92と、発報手段93と、情報記録手段94と、機器制御ユニット95とが接続されて含まれている。
制御用コンピュータ90としては、マイコン、パソコン、ワークステーションなどの、数値演算ユニットが搭載されたものが例示される。
情報入力手段91としては、キーボードやマウスやスイッチなどが例示される。
情報出力手段92としては、画像表示ディスプレイやランプなどが例示される。
【0040】
発報手段93としては、ブザーやスピーカ、ランプなど、作業者に注意喚起をすることができるものが例示される。
情報記録手段94としては、メモリーカードやデータディスクなどの、半導体記録媒体や磁気記録媒体や光磁気記録媒体などが例示される。
機器制御ユニット95としては、プログラマブルコントローラやモーションコントローラと呼ばれる機器などが例示される。
【0041】
制御用コンピュータ90には、画像処理ユニット96を介して、撮像カメラ51a,51bから出力された映像信号が入力される。画像処理ユニット96は、一般にGPU(グラフィックプロセッシングユニット)と呼ばれ、制御用コンピュータ90の外部に設置される形態のもの、制御用コンピュータ90の筐体内に接続される形態のもの、制御用コンピュータ90の画像処理部を利用したものなどが例示できる。
【0042】
画像処理ユニット96に入力された観察画像は、後述で詳細説明をするように、制御用コンピュータ90で良否判断(つまり、検査)をすることができる。
【0043】
機器制御ユニット95は、X軸ステージ21、Y軸ステージ22、回転ステージ23と接続されている。また、機器制御ユニット95は、ストロボ照明部3の照明発光装置31s,33s,35sと接続されている。照明発光装置31s,33s,35sにおける照明の光量調節の方式としては、印可する電圧や電流を調節したり、電圧や電流の印可時間を調節したりする方式を例示でき、機器制御ユニット95からの発光指令信号に基づいて、予め設定しておいた条件でストロボ照明が発光する。
【0044】
機器制御ユニット95は、その他の制御機器(図示せず)と接続されており、それらに対して制御用信号を与えることにより、各機器を動作させたり静止させたりすることができるようになっている。
【0045】
[動作フロー]
図3は、本発明を具現化する形態の一例を示すフロー図である。
図3では、半導体ウェーハ10全面を検査するために各カメラで撮像を行う一連のフローが、ステップ毎に示されている。
先ず、半導体ウェーハ10を自動外観検査装置1のテーブル部25に載置し(s101)、予め登録しておいた検査条件などを読み出す(s102)。
次に、半導体ウェーハ10上に形成されている基準マーク10mの読み取り位置へ移動し(s103)、アライメントを行う(s104)。
【0046】
続いて、第1列目の計測開始位置へテーブル部25を移動させ(s107)、所定の速度で走査ステージ部2を動かし、テーブル部25の移動を開始する(s108)。
テーブル部25を動かしながら、走査ステージ部の前記X軸位置検出器及びY軸位置検出器から取得したテーブル部の現在位置情報に基づいて、カメラ1で撮像すべき位置かどうか判断(s110)し、カメラ1の撮像位置であればストロボ照明を発光させてカメラ1で撮像を行い(s112)、テーブル部25の移動を継続する。また、前記テーブル部の現在位置情報が、カメラ2で撮像すべき位置かどうか判断(s114)し、カメラ2の撮像位置であればストロボ照明を発光させてカメラ2で撮像を行い(s115)、テーブル部25の移動を継続する。
一方、前記テーブル部の現在位置情報が、いずれかのカメラで撮像する位置でなければ、そのままテーブル部25の移動を継続する。
【0047】
そして、前記テーブル部の現在位置情報に基づいて、1列目の撮像が終了したかどうかを判断し(s116)、1列目の撮像が終了したと判断されればテーブル部の移動を停止させる(s117)。一方、1列目の撮像が終了していないと判断されれば、上記ステップs110〜s116を繰り返す。
【0048】
次に、上記1列の撮像で、全ての撮像が終了かどうかを判断し(s118)、全ての撮像が終了と判断されれば検査対象をテーブル部25から取り出す。一方、前記ステップs118で、全ての撮像が終了していないと判断されれば、次列の計測開始位置へテーブル部25を移動させ、上記一連の撮像ステップ(s107〜s118)を繰り返す。
【0049】
[タイムチャート]
図4は、本発明を具現化する形態の一例を示すタイムチャートであり、
図1〜
図3を用いて説明した自動外観検査装置1の各部動作を時系列的に示したものである。図中の横軸は時間tを表し、各時刻における各部動作の前後状態が明確になるように、補助線として破線を付している。前記同一の破線上は、同一時刻であることを意味している。
【0050】
前記テーブル部の現在位置情報に基づいて、撮像指示が、インターバルT2毎に出される。まず、撮像に使用するカメラは撮像カメラ51a(つまりカメラ1)側に切り替えておき、撮像指示がされると、カメラ1で撮像が行われる。カメラ1の撮像中にストロボ照明が発光され、カメラ1の撮像が終わった後、画像データが転送される。
【0051】
カメラ1のデータ転送中に、次に撮像に使用するカメラとして撮像カメラ51b(つまりカメラ2)側に切り替えられる。その後、撮像指示が出されると、カメラ2で撮像が行われる。カメラ2の撮像中にストロボ照明が発光され、カメラ2の撮像が終わった後、画像データが転送される。カメラ2のデータ転送中に、次に撮像に使用するカメラとしてカメラ1側に切り替えられる。この一連の動作を繰り返すことで、インターバルT2毎に連続撮像でき、従来の撮像インターバルT1に比べて半分の時間で連続撮像ができる。さらにカメラの台数を増やせば、連続撮像のインターバルを短くすることができる。このとき、撮像カメラ51a,51bは従来と同じものを用いており、撮像カメラの処理能力に制約を受けることなく検査時間を短縮することができる。
【0052】
さらに、品種対応のために撮像倍率の異なる対物レンズ55a、55bを複数備える場合でも、カメラ台数分に応じてそれぞれの対物レンズの本数を増やす必要もない。そのため対物レンズを増やすことによるコストアップ要因は無くなる。さらに、複数のカメラと複数の対物レンズで検査装置を構成した形態に比べ、対物レンズの個体差に起因して撮像された回路パターン相互の歪みやずれが無く、検査品質を揃えやすくなる。また、検査品質を揃えるための画像補正を別途行う必要もなくなり、種々のコストアップ要因を無くすことができる。
【0053】
[別バーション1]
上述の説明では、観察光を光分岐手段45にて分岐させて、複数の撮像カメラを用いて検査対象物を撮像する形態を例示した。しかし、光分岐手段45に代えて光反射手段47を配置し、光反射手段47の位置や角度を変えて、観察光が導光される角度を切り替える形態としても良い。
図5は、本発明を具現化する形態の別の一例を示す斜視図であり、
図1を用いて説明した自動外観検査装置1の鏡筒部4に代えて、別の形態の鏡筒部4aを備えた自動外観検査装置1aを示している。以下、鏡筒部4aについて鏡筒部4との相異点について説明をし、その他の共通点については記載を省略する。
【0054】
鏡筒部4には、観察光が導光された経路の途中に光反射手段47が備えられており、観察光の方向(つまり角度)を変えて反射させることができる。光反射手段47は、その位置又は角度を変更させて配置することができ、符号47で図示した位置と、破線で示した待避位置47aとに切り替えて配置することができる。
例えば
図5に示すように、光反射手段47が観察光の光軸と交わるように斜め45°に配置されれば、Z方向に導光された観察光が90°方向を変え、X方向に導光され、観察光は観察カメラ51bで撮像される。
一方、光反射手段が観察光の光軸と交わらない待避位置47aに配置されれば、Z方向に導光された観察光は、そのままZ方向に導光され、観察光は観察カメラ51bで撮像される。
【0055】
光反射手段47としては、ミラーやプリズムなどの光学素子を例示でき、入射した光の方向を変えて、反射するものであれば良い。
光反射手段47は、一端が回動中心となるように鏡筒部4aとヒンジを介してが取り付けられており、鏡筒部4aに取り付けられたアクチュエータ部60の可動部材と回動可能に連結させておく。そうすれば、アクチュエータ部60のON/OFF動作によって、符号47で示す位置と符号47aで示す位置とに切り替えることができる。
【0056】
或いは、光反射手段47は、取り付け角度を固定させた状態でアクチュエータ部60の可動部材に取り付け、アクチュエータ部60のON/OFF動作によって、X方向に位置が切り替えできるように取り付けても良い。アクチュエータ部60は、制御用コントローラ95と接続されており、制御用コントローラ95からの指令信号に基づいてON/OFF動作ができるように構成されている。
【0057】
[別バーション2]
アクチュエータ部60は、直動式に限定されず、回転式であっても良く、光反射手段47の位置、角度若しくは方向を変えることで導光された観察光40vの方向を変えることができるものであれば良い。
また、撮像カメラの台数も適宜増やして配置することができる。
図6Aは、本発明を具現化する形態のさらに別の一例を示す斜視図であり、回転式のアクチュエータ部60aと2つの撮像カメラ51a,51Bを用いる形態を示している。
図6Bは、本発明を具現化する形態のさらに別の一例を示す平面図であり、
図6Aにおける矢視A−A部を平面視した断面図である。
【0058】
観察光は、鏡筒部40bの開口部40hを通過し、光反射手段48に導光される。光反射手段48は鏡筒部40bに取り付けられた回転式のアクチュエータ部60aと連結されており、矢印60vの方向に回転させることができる。現在の状態は、Z方向に導光された観察光40vが、矢印48vで示す方向に角度を変えてX方向矢印側に導光され、反射ミラー43aで反射されてZ方向上に導光され、撮像カメラ51aで撮像されている様子を示している。また、回転式アクチュエータ60aには、不図示の角度検出器67(いわゆる、回転式エンコーダ)が取り付けられており、回転式アクチュエータ60aの角度情報を取得することができる。
図6A,
図6Bに示すような形態をしているので、光反射手段48が更に回転して、反射された観察光48vが反射ミラー43bの方向に向けば、観察光40vはX方向矢印と反対側に導光され、反射ミラー43bで反射されてZ方向上に導光され、撮像カメラ51bで観察できるようになる。そして、光反射手段48が更に回転して、再び反射された観察光48vが反射ミラー43aの方向に向けば、撮像カメラ51aで観察でき、上記一連の動作を繰り返すことで、本発明を適用して観察を繰り返すことができる。
【0059】
図7は、本発明を具現化する形態のさらに別の一例を示すタイムチャートであり、
図6A,
図6Bを用いて説明した自動外観検査装置の各部動作を時系列的に示したものである。図中の横軸は時間tを表し、各時刻における各部動作の前後状態が明確になるように、補助線として破線を付している。前記同一の破線上は、同一時刻であることを意味している。
【0060】
前記テーブル部の現在位置情報に基づいて、撮像指示が、インターバルT2毎に出される。まず、撮像に使用するカメラは撮像カメラ51a(つまりカメラ1)側に切り替えておき、撮像指示がされると、カメラ1で撮像が行われる。カメラ1の撮像中にストロボ照明が発光され、カメラ1の撮像が終わった後、画像データが転送される。
【0061】
カメラ1のデータ転送中に、次に撮像に使用するカメラとして撮像カメラ51b(つまりカメラ2)側に切り替えられる。その後、撮像指示が出されると、カメラ2で撮像が行われる。カメラ2の撮像中にストロボ照明が発光され、カメラ2の撮像が終わった後、画像データが転送される。カメラ2のデータ転送中に、次に撮像に使用するカメラ1側に切り替えられる。
この一連の動作を繰り返すことで、インターバルT2毎に連続撮像でき、従来の撮像インターバルT1に比べて1/2の時間で連続撮像ができる。さらにカメラの台数を増やせば、連続撮像のインターバルを短くすることができる。
【0062】
さらに、アクチュエータ部60,60aの可動部材又はその先に取り付けられた光反射手段47には、それらの現在位置、現在角度又は方向が検出できるように、エンコーダ部65を取り付けておくことが望ましい。
エンコーダ部65としては、1方向に延びた棒状・リボン状の部材に光学的又は電磁気的な細孔(いわゆるスリット)が多数刻まれたリニアスケールや、円板や円筒状の部材に同様のスリットが刻まれたロータリエンコーダなどが例示できる。
【0063】
上記のような光反射手段48を用いた形態であれば、光分岐手段45を用いてカメラの台数を増やす形態で生じる、観察光の光量低下を防ぐことができる。そのため、撮像カメラの感度を上げたり、より発光エネルギーの高いストロボ照明を使う必要が無く、従来と同じ感度の撮像カメラと、同じ発光エネルギーのストロボ照明を用いて、検査時間を短縮することができる。
【0064】
[別バーション3]
図8は、本発明を具現化する形態のさらに別の一例を示すタイムチャートであり、
図7を用いて説明したものと同様に、自動外観検査装置の各部動作を時系列的に示したものである。この形態では、
図7を用いて説明した自動外観検査装置とは異なり、鏡筒部本体40の中で観察光の方向を変えるための光反射手段48は、ストロボ照明の発光時に完全に停止状態とはなっておらず、少しずつ位置が変わっている。つまり、光反射手段48は、アクチュエータ部60aで動かし続けられ、完全に停止させない状態で、それぞれの観察カメラで撮像が行われている。具体的なミラーの位置・角度について図示しながら説明すると、
図8の破線Aに示す軌跡が、一定の回転速度で光反射手段48が回転している状態を示している。つまり、カメラ1,2側を向いて静止することなく、動き続けている。
このとき、照明光としては、極めて発光時間が短いストロボ照明が用いられているので、観察画像のブレは無いものとして取り扱うことができる。このようにすることで、観察光の方向を厳密に切り替えるために、アクチュエータ部60aを完全に停止させる必要が無く、停止待ちや再度移動させるためにかかるイナーシャの影響が減り、アクチュエータ部60aへの負担も軽減されう。そのため、より高速で連続撮像ができるようになる。
【0065】
この場合、ストロボ照明発光時のアクチュエータ部60aの移動速度は、どの程度であれば許容されるかは、ストロボ照明発光時のアクチュエータ部60aの移動距離又は角度、つまりは実際の観察画像にブレが無いものとして取り扱うことができる程度により決定される。つまり、ストロボ照明発光時間が極めて短い場合や、切替するカメラ台数が少なくて撮像のインターバルを長くできる場合は、アクチュエータ部60aは、ストロボ発光時もストロボ非発光時と同じ移動速度で駆動させておけばよい。
【0066】
一方、切替するカメラ台数が多くなり撮像のインターバルを短くする必要がある場合や、ストロボ照明発光時間との関係で、アクチュエータ部60aをストロボ発光時もストロボ非発光時と同じ移動速度で駆動させると観察画像にブレが生じるような場合は、ストロボ発光時のアクチュエータ部60aの移動速度を、ストロボ非発光時と比べて遅くしてやればよい。具体的なミラーの位置・角度について図示しながら説明すると、
図8の実線Bに示す軌跡が、回転速度を変化させながら光反射手段48を回転させている状態を示している。つまり、光反射手段48は、カメラ1,2で撮像が行われる瞬間はカメラ1,2側に向いているが、その前後を通じて完全には静止しておらず、ストロボ非発光時(つまり、非観察時)と比べて減速して回転し続けている。そして、撮影の前後の減速区間以外では加速した後は一定速で回転し、再び撮像前に減速するといった、一連の動作が繰り返される。
【0067】
(実施例)
図1〜7を用いて説明した、本発明を具現化する形態のさらに別の一例における実施例を以下に示す。
撮像部5の撮像カメラ51a,51bは、画素ピッチ5ミクロンの格子状画素を有する白黒CMOSを撮像素子とする、最大フレームレート140fpsの電子シャッター式カメラを用いた。撮像カメラ51a,51bには、観察対象物10wの移動方向に約1600画素、移動方向と直交する方向にも約1600画素配列されたエリアセンサーが用いられている。また、観察対象物10wの移動方向に4.0mmの長さの観察エリアが得られるように、対物レンズの倍率が設定されている。そして、観察対象物10wが3.0mm移動する毎に、照明を発光させ、撮像カメラ51a,51bで交互に撮像が行われる。このとき、観察対象物10wを移動させる走査ステージ部は、720mm/secに設定されている。そうすると、照明部3は、240Hzで発光が繰り返される。このような形態の場合、従来の技術であれば、フレームレート140fpsのカメラでは画像転送を伴う連続撮像ができなかったが、本発明を適用することにより、実質120fpsで撮像と画像転送を行えるため、対応が可能である。
【0068】
なお、照明部3は、ハロゲンやキセノンランプを用いたストロボ照明を使う形態を用いることがより好ましい。ストロボ照明であれば、ごく僅かな時間内に発光エネルギーの高い(例えば、撮像に必要十分なエネルギー半値幅3μsecの)閃光を比較的容易に照射することができる。そうすれば、シャッター速度が遅く高感度撮影には向かないような汎用性の高い安価な撮像カメラを用いた場合であっても、照射される光のエネルギーは十分得られる。そのため、高速で移動する検査対象物を連続撮像することができ、本発明を適用させて、自動外観検査を行うことが可能である。
【0069】
また、観察光をハーフミラーで2分岐して2つのカメラで観察しているため、ストロボ照明の光量は、通常の2倍にして照射する。そうすることで、それぞれのカメラで観察される光量は通常と同じとなる。
【0070】
このときの画像ブレについて着目すると、ストロボ照明が発光している時間:3μsecの間に、観察対象物10wが動く距離は2.16μmであり、この量が撮像のブレに相当する。この画像ぶれは、観察視野全体の長さ:4.0mmに対しては約1/1850であり、撮像素子の画素に換算すれば約0.86画素分となる。この画像ぶれ量は、観察対象をどれほど緻密に観察しているかにもよるが、例えば観察対象としている最小の線幅を22μm(つまり、10画素分)以上としていれば、概ね問題視されない程度とみなすことができ、本発明を適用する上で問題とはならない。一方、観察対象としている最小の線幅が22μm未満であっても、画像処理や検査アルゴリズムを適正化することにより、本発明を適用できる。
【0071】
上述の説明では、所定の撮像時間内に、ストロボ照明が発光状態となる例について説明した。しかし、本発明はそのような形態に限定されず、所定の時間内だけ照明光を照射しておき、その間に瞬時に撮像を行う形態としても良く、下述のような実施例にて具現化させることができる。
【0072】
図9は、本発明を具現化する形態の変形例おけるタイムチャートであり、
図7を用いて示した形態の変形例である。つまりこの変形例では、撮像指示がON状態になった後、照明が所定時間だけON状態となり、その間に瞬時に撮像が行われる。具体例を示せば、撮像カメラの電子シャッターを1/100,000sec(つまり、撮像時間は10μsec)〜1/500,000sec(つまり、撮像時間は2μsec)に設定しておき、撮像指示がON状態になった後、前記シャッター時間の撮像に必要な光量の照明を、1/100秒(つまり、10msec)〜1/1000秒(つまり、1msec)程度発光させておき、その間に撮像カメラで撮像を行う。そうすることで、本発明を適用させて、自動外観検査を行うことが可能である。
【0073】
このときの画像ブレについて着目すると、ストロボ照明が発光している時間:2μsecの間に、観察対象物10wが動く距離は1.44μmであり、この量が撮像のブレに相当する。この画像ぶれは、観察視野全体の長さ:4.0mmに対しては約1/2780であり、撮像素子の画素に換算すれば約0.57画素分となる。また、ストロボ照明が発光している時間:10μsecの間に、観察対象物10wが動く距離は7.2μmであり、この量が撮像のブレに相当する。この画像ぶれは、観察視野全体の長さ:4.0mmに対しては約1/560であり、撮像素子の画素に換算すれば約1.44画素分となる。この画像ぶれ量は、観察対象をどれほど緻密に観察しているかにもよるが、例えば観察対象としている最小の線幅を15〜72μm(つまり、10画素分)以上としていれば、概ね問題視されない程度とみなすことができ、本発明を適用する上で問題とはならない。一方、観察対象としている最小の線幅が15〜72μm未満であっても、画像処理や検査アルゴリズムを適正化することにより、本発明を適用できる。
【0074】
(実施例2)
図6A,B、
図7を用いて説明した、本発明を具現化する形態のさらに別の一例における実施例を以下に示す。
2つの撮像カメラ51a,51bを用いる場合、回転式アクチュエータ60aを駆動させて、光反射手段48が毎秒120回転(つまり、7200rpm)で回転するようにする。そして、半周期ずらして撮像を繰り返し行う。そうすれば、それぞれの撮像カメラ51a,51bは、それぞれ120fpsで撮像されつつ、実際の撮像は240fpsで繰り返されていることと同じになる。
【0075】
(実施例3)
図8を用いて説明した、本発明を具現化する形態のさらに別の一例における実施例を以下に示す。
撮像カメラが2カメラで、120fpsで撮像を行う場合、回転式アクチュエータを3倍速の毎秒360回転(つまり、21600rpm)で回転させつつ、撮像角度の前後10度分だけ減速状態の毎秒30回転(つまり、1800rpm)で回転させ、その前後10度ずつは、加減速領域とする。
そうすれば、撮像中のミラー回転速度は1/4に減り、画像ブレの量も低減される。
さらに、撮像していない間の回転速度を上げつつ、撮像中のミラー回転速度を下げるように構成すれば、画像ブレの量はより低減される。
【0076】
(カメラ台数の増加例)
上述の説明では、2つのカメラを用いる形態を例示したが、本発明はそれ以上の台数のカメラを用いる形態にも適用できる。
例えば、
図6A,Bを用いて示した形態に加え、光反射手段48が90度回転したY方向矢印側及び、その反対側に、それぞれ撮像用ミラー及び撮像カメラを配置する。そうすれば、光反射手段48の回転速度(720rpm)と撮像レート(120fps)はそのままで、合計4台の撮像カメラを用いて、実質480fpsの撮像を行うことができる。
。なお、このとき、ストロボ照明は480fpsで発光させる。
【0077】
また、回転角度を撮像の前後で減速させる場合は、上述で10度ずつと規定した角度を、5度ずつとすることで、本発明を適用させることができる。
【0078】
一方、ハーフミラー分岐であれば、1回分岐させた光を更に分岐させることで、4つの撮像カメラに観察光を分岐導光することができる。そして、通常の4倍の光量でストロボ照明を発光させ、ストロボ発光を480fpsで行えば、本発明を適用させることができる。