(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
少なくとも第1の物質種の領域、第2の物質種の領域、及び第3の物質種の領域の3種類の異なる領域を有する医用画像データのフィルタリング方法であって、前記少なくとも3種類の異なる領域のそれぞれが複数の単位画像要素により特徴付けられる方法において、医用画像データを提供するステップと、
前記少なくとも3種類の領域のうち少なくとも2種類の領域における対応する部分を少なくとも含む前記医用画像データの部分を選択し、当該少なくとも2種類の領域が前記選択された種類の領域を含むステップと、
前記選択部分における前記2種類の領域の少なくとも1つの単位画像要素の特徴を代表する少なくとも1つの分布を決定するステップと、
選択された種類の領域の各選択部分における少なくとも1つの分布が前記少なくとも3種類の領域の異なる種類の領域の対応する分布に置換されるような、各選択部分における選択された種類の領域の単位画像要素を前記異なる種類の領域に関連付けるための少なくとも1つの関数を決定するステップと、
前記選択部分における前記選択された種類の領域の各単位画像要素に前記少なくとも1つの関数を適用し、それにより、フィルタリングされた医用画像データを提供するステップとを有する、
医用画像データのフィルタリング方法。
前記医用画像データは、ボリューム医用画像、ボリューム断層画像、及び複数の並列な一連の画像面のうちから選択される、請求項1乃至3のいずれかに記載の医用画像データのフィルタリング方法。
前記医用画像データを提供するステップは、CTスキャン装置、電磁共鳴映像(MRI)装置、ポジトロン放出断層撮影(PET)装置、X線装置、超音波装置及びこれらの組合せのうちから選択される装置から前記医用画像データを受け取ることを有する、請求項1乃至3のいずれかに記載の医用画像データのフィルタリング方法。
前記少なくとも3種類の異なる領域は、それぞれ気体種の領域、タグ付けされた物質種の領域、及び生体組織種の領域を有する、請求項7に記載の医用画像データのフィルタリング方法。
前記医用画像データの部分を選択するステップは、前記領域の1つを選択すること、及び結果領域が前記少なくとも2種類の領域を有するまで前記隣接領域を選択することを有する、請求項1乃至11のいずれかに記載の医用画像データのフィルタリング方法。
前記結果領域が前記少なくとも2種類の領域のそれぞれにおける代表領域を含むまで前記隣接領域が選択される、請求項12に記載の医用画像データのフィルタリング方法。
前記医用画像データの部分を選択するステップは、前記領域のいずれかを選択することと、直接隣接する領域を結果領域が前記少なくとも3種類の領域を含むまで選択することとを有する、請求項1乃至11のいずれかに記載の医用画像データのフィルタリング方法。
前記直接隣接する領域は、前記結果領域が前記少なくとも3種類の領域それぞれの代表部分を含むまで選択される、請求項12に記載の医用画像データのフィルタリング方法。
少なくとも1つの分布を決定するステップは、前記選択部分に対応する単位画像要素の代表部分における輝度分布を決定することを有する、請求項1乃至15のいずれかに記載の医用画像データのフィルタリング方法。
少なくとも1つの分布を決定するステップは、選択部分に対応する単位画像要素における代表部分の勾配分布を決定することを有する、請求項1乃至16のいずれかに記載の医用画像データのフィルタリング方法。
前記少なくとも1つの分布を決定するステップは、前記選択部分に対応する単位画像要素における代表部分の輝度微分分布を決定することを有する、請求項1乃至17のいずれかに記載の医用画像データのフィルタリング方法。
前記少なくとも1つの分布を決定するステップは、対応する単位画像要素の代表部分の輝度分布、対応する単位画像要素の代表部分の勾配分布、及び対応する単位画像要素の代表部分の輝度微分分布のうちから選択される複数の分布を決定することを有する、請求項1乃至15のいずれかに記載の医用画像データのフィルタリング方法。
前記少なくとも1つの関数を決定するステップは、対応する分布を近似するための初期近似関数を決定すること、及び初期近似関数を他の種類の領域における対応する分布に変換するために適用される変換関数を決定することを有する、請求項1乃至19のいずれかに記載の医用画像データのフィルタリング方法。
前記初期近似関数及び前記追加的初期近似関数のそれぞれは、ラプラス関数及びガウス関数のうちから選択される、請求項21に記載の医用画像データのフィルタリング方法。
前記少なくとも1つの関数を決定するステップは、ラプラス関数及びガウス関数のうち少なくとも1つを決定することを有する、請求項1乃至19のいずれかに記載の医用画像データのフィルタリング方法。
前記少なくとも1つの関数を決定するステップは、前記少なくとも1つの分布にフーリエ変換を適用することを有する、請求項1乃至19のいずれかに記載の医用画像データのフィルタリング方法。
前記少なくとも1つの関数を決定するステップは、前記少なくとも1つの分布にパラメトリック法則を適用することを有する、請求項1乃至19のいずれかに記載の医用画像データのフィルタリング方法。
前記フィルタリングされた医用画像データをCA(コンピュータ支援)検出部に異常検出のために提供するステップをさらに有する、請求項1乃至28のいずれかに記載の医用画像データのフィルタリング方法。
前記フィルタリングされた医用画像データを計算機支援診断部に解剖学的異常診断のために提供するステップをさらに有する、請求項6、7、8及び9のいずれかに記載の医用画像データのフィルタリング方法。
前記フィルタリングされた医用画像データを、立体レンダリングエンジンに3D視覚化のために提供するステップをさらに有する、請求項1乃至30のいずれかに記載の医用画像データのフィルタリング方法。
前記フィルタリングされた医用画像データを仮想内視鏡検査を実行するために用いるステップをさらに有する、請求項6、7、8及び9のいずれかに記載の医用画像データのフィルタリング方法。
選択された種類の領域のうち少なくとも3種類の異なる領域を有し、前記少なくとも3種類の異なる領域のそれぞれが複数の単位画像要素により特徴付けられる、医用画像データのフィルタリングシステムであって、
医用画像データを受け取るデータ受信部と、
前記データ受信部に連結され、前記少なくとも3種類の領域のうち少なくとも2種類の領域における対応する部分を少なくとも含む医用画像データの部分を、当該少なくとも2種類の領域が前記選択された種類の領域を含むように選択し、前記医用画像データの選択部分を提供する選択部と、
前記選択部及び前記データ受信部のうち少なくとも1つに連結され、前記選択部分における前記2種類の領域のうち少なくとも1つの単位画像要素の特徴を代表する少なくとも1つの分布を決定し、前記選択部分における前記少なくとも2種類の領域のうち少なくとも1つで決定された少なくとも1つの分布を提供する分布決定部と、
分布決定部に連結され、前記選択部分における選択された種類の領域の各単位画像要素を、前記少なくとも3種類の領域の異なる種類の領域に関連付けるための少なくとも1つの関数を選択し、少なくとも1つの前記選択部分における前記選択された種類の領域の決定された分布が他の種類の領域の対応する分布に置換されるようにする関数決定部と、
関数決定部及び前記データ受信部に連結され、前記選択部分における前記選択された種類の領域の各単位画像要素に前記少なくとも1つの関数を適用することにより、フィルタリングされた医用画像データを提供するフィルタリング部と、
を有する、医用画像データのフィルタリングシステム。
前記分布決定部は、前記医用画像データにおける前記選択部分での前記他の種類の領域に対応する前記分布の決定に適用される、請求項33に記載の医用画像データのフィルタリングシステム。
前記分布決定部は、前記医用画像データにおける前記他の種類の領域に対応する前記分布の決定に適用される、請求項33に記載の医用画像データのフィルタリングシステム。
前記フィルタリング部に連結され、前記フィルタリングされた医用画像データを操作者に表示する表示部をさらに有する、請求項33乃至35のいずれかに記載の医用画像データのフィルタリングシステム。
前記フィルタリング部に連結され、前記フィルタリングされた医用画像データをCA(コンピュータ支援)検出部に異常検出のために送る送信部をさらに有する、請求項33乃至36のいずれかに記載の医用画像データのフィルタリングシステム。
前記フィルタリング部に連結され、前記フィルタリングされた医用画像データを計算機支援診断部に異常診断のために送る送信部をさらに有する、請求項33乃至37のいずれかに記載の医用画像データのフィルタリングシステム。
前記関数決定は、前記対応する分布を近似する初期近似関数を決定する第1モジュールと、前記初期近似関数を他の種類の領域の対応する分布に置換するために適用される置換関数を決定する第2モジュールとを有する、請求項33乃至38のいずれかに記載の医用画像データのフィルタリングシステム。
プレップレスCT結腸内視鏡、下剤不使用のCT結腸内視鏡、タグ付け剤によるあまり準備を要しないCT結腸内視鏡、及び、CT結腸内視鏡のために残留物液/便をタグ付けする瀉下準備のうちから選択される仮想大腸内視鏡検査においてタグ付けされた物質を抑制する、請求項33乃至39のいずれかに記載のシステムの使用。
プレップレスCT結腸内視鏡、下剤不使用のCT結腸内視鏡、タグ付け剤によるあまり準備を要しないCT結腸内視鏡、及び、CT結腸内視鏡のために残留物液/便をタグ付けする瀉下準備のうちから選択される仮想大腸内視鏡検査においてタグ付けされた物質を抑制する、請求項1乃至32のいずれかに記載の方法の使用。
【技術分野】
【0001】
本発明は、概略、画像処理に関し、より具体的には画像データのフィルタリング方法と画像データのフィルタリングシステムに関する。また、本発明は、仮想大腸内視鏡検査におけるタグ付けされた物質の抑制方法への適用に関する。
【背景技術】
【0002】
従来の内視鏡処置は、典型的に、患者の体内に挿入して内部の解剖学的構造を視覚的に診断するフレキシブル光ファイバー管の使用に依存している。よって、操作者は、解剖構造の内側で管を操作して、何らかの解剖学的異常がないか探すことができる。
【0003】
従来のこのような手法を用いる内視鏡検査は信頼できるものの、金銭的及び時間的なコストがかかる。特に、この手法は、患者にとって侵襲的で不快であり、ときに苦痛を伴う手法である。
【0004】
侵襲的な内視鏡処置の上述した欠点の少なくとも1つを減らすべく、非侵襲的な手法が用いられる。
【0005】
これらの非侵襲的な手法は、コンピュータ断層撮影(CT)スキャンなどの撮像技術を用いて解剖学的構造を表現する画像データを取得し、分析を行う。にもかかわらず、これらの手法では、検査に先立ち患者の大腸内を洗浄するための瀉下準備が必要とされる。さらに患者の不快感を減らすために、最小限の瀉下準備手法が提案されており、これによると、液状便と固形便をタグ付けし、これらがデジタル的な減算アルゴリズムを用いることで仮想的に除去される。
【0006】
しかしながら、画像データを取得するための撮像技術は、典型的に、解剖学的な境界面ごとに不鮮明さが生じるような空間解像度しか提示できない。
【0007】
その結果、タグ付けされた物質を取り除くとき、これらのアルゴリズムは、取り除かれた物質と大腸内壁の間の面を人為的に平滑化するので、大腸内に存在するポリープその他の異常が不用意に取り除かれたり、容認可能なレベルまで誤って減らされたりする場合があり、重大な懸念となる。
【0008】
これらのアルゴリズムは、分析される構造の境界面を特徴づけるために適用される閾値を用いる画像分割に、概して依存する。
【0009】
しかしながら、通常、解剖学的構造ごとの相違は極めて大きいので、単純な閾値では、一回の走査で構造を都合良く分割することができない。実際、軟組織、骨、及び脂肪組織は異なる密度を有している。
【0010】
このような構造上の広範な差異を考慮に入れるために、種々の技術が用いられてきた。たとえば、PCT国際出願の公開公報(公開番号WO2008/089492、WO2007/064980及びWO02/029764で公開されたもの)と、米国特許出願公開(公開番号2008/0118133及び2008/0008367で公開されたもの)は、医用画像の種々の電子的洗浄方法を教示している。しかしながら、これらの方法では、依然として構造の分割に閾値が用いられ、よって、分割結果は、複数の単位画像要素での近似値にとどまる。異なる構造同士の境界面は、さらに平滑化される余地がある。このことは、操作者を誤った診断に導きかねないので、大きな問題である。
【0011】
米国特許第6,366,800号には、仮想内視鏡検査における自動分析方法が記載されている。しかしながら、この方法もまた、分割方法に依存しており、その結果としての分割は、依然として近似値にとどまる。それゆえ、上記の欠点のうち少なくとも1つでも改善できるような、改良された医用画像の電子的洗浄方法を提供することが好ましい。
【0012】
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0013】
したがって、選択された種類の領域のうち少なくとも3種類の異なる領域を有する画像データのフィルタリング方法であって、前記少なくとも3種類の異なる領域のそれぞれが複数の単位画像要素により特徴付けられる方法が開示される。この方法は、画像データを提供するステップと、前記少なくとも3種類の領域の
うち少なくとも2種類の領域における対応する部分を少なくとも含む画像データの部分を選択
し、当該少なくとも2種類の領域が前記選択された種類の領域を含むステップと、前記選択部分における前記少なくとも2種類の領域のそれぞれの少なくとも1つの分布を決定するステップと、各選択部分における選択された種類の領域の単位画像要素を、前記少なくとも3種類の領域の異なる種類の領域に関連付けるための少なくとも1つの関数を決定し、選択された種類の領域の少なくとも1つの分布を他の種類の領域の対応する分布に置換するステップと、前記選択部分における前記選択された種類の領域の各単位画像要素に前記少なくとも1つの関数を適用し、それにより、フィルタリングされた画像データを提供するステップとを有する。
【0014】
前記選択された種類の領域のフィルタリングは、領域を分割することなく行うことができる。このことは、特に、この方法が後続の処理に先立つ事前処理ステップとして用いられる場合に、大いに有利である。
【0015】
一実施形態では、前記別の種類の領域の前記対応する分布は、前記選択部分から決定される。
【0016】
別の実施形態では、前記別の種類の領域の前記対応する分布は、前記画像から決定される。
【0017】
一実施形態では、画像データを提供するステップは、CTスキャン装置から画像データを受け取るステップを有する。
【0018】
別の実施形態では、画像データを提供するステップは、電磁共鳴映像(MRI)装置、ポジトロン放出断層撮影(PET)装置、X線装置、超音波装置及びこれらの組合せのうちから選択された装置から、画像データを受け取るステップを有する。
【0019】
一実施形態では、画像データは、ボリューム医用画像データ、ボリューム断層撮影画像データ、及び並列な一連の画像面の組のうちから選択される。
【0020】
一実施形態では、画像データは、ピクセル及びボクセルのうちから選択される複数の単位画像要素を有する。
【0021】
一実施形態では、前記画像データは、解剖学的構造を表現する。
【0022】
さらに別の実施形態では、前記解剖学的構造は、大腸部分を含む。
【0023】
一実施形態では、前記少なくとも3種類の異なる領域は、それぞれ、第1の物質種の領域、第2の物質種の領域及び第3の物質種の領域を有する。
【0024】
さらに別の実施形態では、前記少なくとも3種類の異なる領域は、それぞれ気体種の領域、タグ付けされた物質種の領域、及び生体組織種の領域を有する。
【0025】
別の実施形態では、前記フィルタリングされた画像データは、少なくとも気体種の領域、及び生体組織種の領域を有する。
【0026】
一実施形態では、前記画像データの選択部分は、前記選択された種類の領域の対応する領域を有する。一実施形態では、前記画像の部分を選択するステップは、前記領域の1つを選択すること、及び結果領域が前記少なくとも
2種類の領域を有するまで直接隣接する領域を選択することを有する。
【0027】
さらに別の実施形態では、前記結果領域が前記少なくとも
2種類の領域のそれぞれにおける代表領域を含むまで前記直接隣接する領域が選択される。
【0028】
一実施形態では、前記画像の部分を選択するステップは、前記領域のいずれかを選択することと、直接隣接する領域を結果領域が前記少なくとも3種類の領域を含むまで選択することとを有する。
【0029】
さらなる実施形態では、前記直接隣接する領域は、前記結果領域が前記少なくとも3タイプの領域それぞれの代表部分を含むまで選択される。
【0030】
一実施形態では、少なくとも1つの分布を決定するステップは、前記選択部分に対応する単位画像要素の代表部分における輝度分布を決定することを有する。
【0031】
別の実施形態では、少なくとも1つの分布の決定するステップは、前記選択部分に対応する単位画像要素における代表部分の勾配分布を決定することを有する。
【0032】
別の実施形態では、前記少なくとも1つの分布を決定するステップは、前記選択部分に対応する単位画像要素における代表部分の輝度微分分布を決定することを有する。
【0033】
さらに別の実施形態では、前記少なくとも1つの分布を決定するステップは、対応する単位画像要素の代表部分の輝度分布、対応する単位画像要素の代表部分の勾配分布、及び、対応する単位画像要素の代表部分の輝度微分分布のうちから選択される複数の分布を決定することを有する。
【0034】
一実施形態では、前記少なくとも1つの関数を決定するステップは、対応する分布を近似するための初期近似関数を決定すること、及び初期近似関数を他の種類の領域における対応する分布に変換するために適用される変換関数を決定することを有する。
【0035】
さらに別の実施形態では、上記方法は、前記異なる種類の領域の前記分布を近似する追加的初期関数を決定するステップをさらに有し、前記少なくとも1つの関数の前記適用が、前記置換関数を適用することで前記初期関数を前記追加的な初期関数に置換するステップを有する。
【0036】
さらに別の実施形態では、前記初期近似関数は、ラプラス関数、及びガウス関数のうちから選択される。
【0037】
別の実施形態では、前記初期近似関数、及び前記追加的初期近似関数のそれぞれは、ラプラス関数、及びガウス関数のうちから選択される。
【0038】
一実施形態では、前記少なくとも1つの関数を決定するステップは、ラプラス関数、及びガウス関数のいずれか1つを決定することを有する。
【0039】
一実施形態では、前記少なくとも1つの関数を決定するステップは、前記少なくとも1つの分布にフーリエ変換を適用することを有する。
【0040】
別の実施形態では、前記少なくとも1つの分布にパラメトリック法則を適用するステップを有する。
【0041】
一実施形態では、前記画像データのフィルタリング方法は、フィルタリングされた画像データを表示するステップをさらに有する。別の実施形態では、画像データのフィルタリング方法は、解剖学的構造の3次元レンダリングを表示するステップをさらに有する。
【0042】
さらに別の実施形態では、前記画像データのフィルタリング方法は、前記フィルタリングされた画像データを、立体レンダリングエンジンに3D視覚化のために提供するステップをさらに有する。
【0043】
一実施形態では、前記画像データのフィルタリング方法は、フィルタリングされた画像データをCA(コンピュータ支援)検出部に異常検出のために提供するステップをさらに有する。
【0044】
別の実施形態では、前記画像データのフィルタリング方法は、前記フィルタリングされた画像を、計算機支援診断部に解剖学的異常診断のために提供する。
【0045】
さらに別の実施形態では、前記画像データのフィルタリング方法は、前記フィルタリングされた画像データを、立体レンダリングエンジンに3D視覚化のために提供するステップをさらに有する。
【0046】
一実施形態では、前記画像データのフィルタリング方法は、前記フィルタリングされた画像データを、仮想内視鏡検査を実行するために用いるステップをさらに有する。
【0047】
電子的大腸洗浄における典型的な適用において、上記の方法は、タグ付けされた物質種の領域を画像データからフィルタリングすることを可能にでき、このことは大いに有利である。
【0048】
別の側面によれば、選択された種類の領域のうち少なくとも3種類の異なる領域を有し、前記少なくとも3種類の異なる領域のそれぞれが複数の単位画像要素により特徴付けられる画像データのフィルタリングシステムが提供される。当該システムは、画像データを受け取るデータ受信部、及び前記データ受信部に連結され、前記少なくとも3種類の領域の
うち少なくとも2種類の領域における対応する部分を少なくとも含む画像データの部分を
、当該少なくとも2種類の領域が前記選択された種類の領域を含むように選択し、前記画像データの選択部分を提供する選択部を有する。当該システムは、前記選択部及び前記データ受信部のうち少なくとも1つに連結され、前記選択部分における前記少なくとも
2種類の領域
のうち少なくとも1つで少なくとも1つの分布を決定し、前記選択部分における前記少なくとも
2種類の領域
のうち少なくとも1つで決定された
少なくとも1つの分布を提供する分布決定部を有する。前記システムは、前記分布決定部に連結され、前記選択部分における選択された種類の領域の各単位画像要素を、前記少なくとも3種類の領域の異なる種類の領域に関連付けるための少なくとも1つの関数を選択して、少なくとも1つの前記選択部分における前記選択された種類の領域の決定された分布を、他の種類の領域の対応する分布に置換置換するような、関数決定部を有する。また、前記システムは、前記関数決定部及び前記データ受信部に連結され、前記選択部分における前記選択された種類の領域の各単位画像要素に前記少なくとも1つの関数を適用することにより、フィルタリングされた画像データを提供するフィルタリング部を有する。
【0049】
一実施形態では、前記分布決定部は、前記画像データにおける前記選択部分での前記他の種類の領域に対応する前記分布の決定に適用される。
【0050】
一実施形態では、前記分布決定部は、前記画像データにおける前記他の種類の領域に対応する前記分布の決定に適用される。
【0051】
一実施形態では、前記システムは、前記フィルタリング部に連結され、前記フィルタリングされた画像データを操作者に表示する表示部をさらに有する。
【0052】
一実施形態では、前記システムは、前記フィルタリング部に連結され、前記フィルタリングされた画像データをコンピュータ支援検出部に異常検出のために送る送信部をさらに有する。
【0053】
別の実施形態では、前記システムは、前記フィルタリング部に連結され、前記フィルタリングされた画像データを計算機支援診断部に異常診断のために送る送信部をさらに有する。
【0054】
別の実施形態では、前記関数決定部は、前記対応する分布を近似する初期近似関数を決定する第1モジュールと、前記初期近似関数を他の種類の領域の対応する分布に置換するために適用される置換関数を決定する第2モジュールとを有する。
【0055】
別の側面によれば、仮想内視鏡検査実行のための画像データのフィルタリングへの、前記システムの使用が開示される。
【0056】
別の側面によれば、プレップレス(prep−less)CT結腸内視鏡、下剤不使用のCT結腸内視鏡、タグ付け剤(標識剤)による、準備が少ないCT結腸内視鏡、及びCT結腸内視鏡のために残留物液/便をタグ付けする瀉下準備のうちから選択される仮想大腸内視鏡検査において、タグ付けされた物質を抑制する画像データのフィルタリングシステムの使用について開示される。
【0057】
別の側面によれば、プレップレスCT結腸内視鏡、下剤不使用のCT結腸内視鏡、タグ付け剤による、準備が少ないCT結腸内視鏡、及びCT結腸内視鏡のために残留物液/便をタグ付けする瀉下準備のうちから選択される仮想大腸内視鏡検査において、タグ付けされた物質を抑制する画像データのフィルタリング方法の使用が開示される。
【0058】
また、別の側面によれば、ヨウ素ベースのタグ付け剤を用いた仮想大腸内視鏡検査における、タグ付けされた物質を抑制する画像データのフィルタリングシステムが提供される。
【0059】
別の側面によれば、バリウムベースのタグ付け剤を用いた仮想大腸内視鏡検査における、タグ付けされた物質を抑制する画像データのフィルタリングシステムが提供される。別の側面によれば、画像データのフィルタリング方法を実行するための記録された命令を有する機械読取可能な媒体が提供される。
【0060】
別の側面によれば、画像データが有料でフィルタリングされる、前出の画像データのフィルタリング方法におけるビジネスを実行する方法が提供される。
【0061】
別の側面によれば、画像データのフィルタリングにおけるビジネスを実行する方法であって、画像データのフィルタリングシステムをプロバイダからサードパーティに提供するステップと、前記システムのオペレーションがサードパーティに有料で実行されるように、当該システムを動作させるステップと、前記サードパーティから前記プロバイダに料金の少なくとも一部が返還されるステップとを有する方法が提供される。
【0062】
また、別の側面によれば、画像データのフィルタリングにおけるビジネスを実行する方法であって、タグ付け剤を提供するステップと、タグ付け剤に関連付けられるタグ付け剤分布を規定するステップと、前記タグ付け剤分布に基づいてカスタマイズされる、画像データのフィルタリングシステムを提供するテップと、前記タグ付け材を用いて画像データを取得する、上述した画像データのフィルタリング方法を実行するステップと、前記フィルタリングされた画像を有料で提供するステップとを有する方法が提供される。
【0063】
別の側面によれば、画像データのフィルタリングにおけるビジネスを実行する方法であって、タグ付け剤を提供するステップと、タグ付け剤に関連付けられるタグ付け剤分布を規定するステップと、前記タグ付け剤の分布に基づいてカスタマイズされる、画像データのフィルタリングシステムをプロバイダからサードパーティに提供するステップと、前記システムのオペレーションがサードパーティに有料で実行されるように、前記システムを動作させステップと、前記プロバイダに料金の少なくとも一部が返還されるステップとを有する方法が提供される。画像データのフィルタリング方法は、特定の種類の画像データに限定されておらず、このことは大いに有利である。また、上記の方法は予め決められた画像データの厳密な値に依存しておらず、このことは大いに有利である。上記の方法は、したがって、広範な種類の画像データと、広範な種類のスキャニング装置とともに用いることができる。また、画像データのフィルタリング方法は、内部壁及び内部に延在する複数の気体領域及び糞便領域を備える大腸構造のような、少なくとも2つの位相を有する解剖学的構造によく適用でき、このこともまた、大いに有利である。
【0064】
当業者であれば、特に大腸の電子的洗浄への適用において、この方法は、除去された物質と大腸内部壁の間の表面を人為的に平滑化することなく、タグ付けされた物質種の領域を画像データからフィルタリングすることを可能にすることを理解するであろう。このことは、より正確な大腸がんのスクリーニングを可能にできるので、大いに有利である。
【0065】
また、この方法はいかなる表面をも人為的に平滑化しないので、いかなる病変、特に、平坦な病変や約3〜4mmといった小さい病変の3D表現を向上することもできる。このことは、潜在的な病変の早期発見において大いに有利である。
【0066】
当業者であれば、この方法は管状構造の形態における先験性や予見性に依存しないので、フィルタリングの向上に大いに有利であるということを理解するであろう。
【0067】
当業者であれば、この方法は、画像を分割する必要がないので、生の画像データに含まれる情報の3D表示または2D表示を向上させることに特に有利であるということを理解するであろう。このことは、操作者が画像をレビューするのに2D表現及び/または3D表現を選択できるので、大いに有利である。
【0068】
当業者であれば、この方法は、フィルタリングされた画像を提供するのに典型的な分割方法より短い演算時間しか必要とせず、このことが大いに有利であるということを理解するであろう
【0069】
“領域”という表現は、同一の嚢内ですべて互いに接触した一群の隣接単位画像要素を意味する。領域は、使用される画像データに応じて、2Dまたは3Dとすることができる。
【0070】
本発明を理解しやすくするために、本発明の実施形態が、添付図面を例に説明される。
【0071】
【図面の簡単な説明】
【
図1】本発明の一実施形態による画像データのフィルタリング方法のフローチャートである。
【
図2】本発明における画像データをフィルタリングするためのシステムの一実施形態のブロック図である。
【
図3A】フィルタリングされた画像データの一部を示す。
【
図3B】
図3Aの画像データの一部の3D表示を示す。
【
図3C】患者の大腸の3D表示を示す。
【
図4A】洗浄された大腸の断面図の概略である。
【
図4B】
図4Aの断面図における輝度分布の概略図である。
【
図5A】タグ付けされた物質種類の領域を有する大腸の断面図の概略図である。
【
図5B】
図5Aの断面図における輝度分布の概略図である。
【
図6A】
図1に示す方法によりフィルタリングされた後の大腸の断面図の概略図である。
【
図6B】
図6Aの断面図の輝度分布の概略図。
【
図7】画像データのフィルタリング方法が実装される処理部の実施形態を示すブロック図である。
【
図8A】一実施形態における画像データの選択部分を示す図である。
【
図8B】
図8Aに示される画像データの選択部分がフィルタリングされた状態を示す図である。
【
図8C】
図8Aの拡大図である。
【
図8D】
図8Bの拡大図である。
【
図9】
図8Aの選択部分における輝度分布を示す図である。
【
図10A】一実施形態における転移プロセスを示す。
【
図10B】一実施形態における転移プロセスを示す。
【
図10C】一実施形態における転移プロセスを示す。
【
図11】一実施形態におけるフィルタリング手順が実行された後の
図8Aの選択部分の分布結果を示す図である。
【
図12】一実施形態における画像データの選択部分を示す図である。
【
図13】
図12の画像データの選択部分における輝度分布を示す図である。
【
図14】フィルタリングされた
図12の画像データの選択部分を示す図である。
【
図15】一実施形態におけるフィルタリング手順が実行された後の
図12の選択部分の分布結果を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0072】
本発明及びその効果のさらなる詳細は、以下に含まれる詳細な説明により明らかになる。
【0073】
以下の実施形態の説明では、本発明が実施される例を示すために、添付図面が参照される。開示される本発明の範囲を逸脱しない限りにおいて、種々の他の実施形態の構成と実施が可能であることが理解されよう。
【0074】
本発明は、医用画像のフィルタリングに特に有用な画像データのフィルタリング方法とシステムとに関する。本説明を通じ、仮想大腸内視鏡検査における電子的な大腸洗浄への適用方法が示される。しかし、当業者であれば、本説明を読むことで明らかになるとおり、この方法が特定の応用だけでなく他の応用も検討可能であることを理解するであろう。
【0075】
本発明の画像データのフィルタリング方法は、解剖学的構造の後の分割を簡便化することにおいて概して便利なだけでなく、内部壁及び内部に延在する複数の気体領域及び糞便領域を備える大腸構造のような、少なくとも2つの位相を有する解剖学的構造によく適用できる。以下において明らかになるように、一実施形態では、画像データのフィルタリング方法は、大腸検査、より具体的には大腸がんスクリーニングにおいて便利である。
【0076】
この方法は、特定の種類の画像データに限定されないので、特に有利である。むしろ、この方法は、本説明を読むことで明らかになるように、異なる種類の画像データセットに用いることができる。
【0077】
実際に、当業者であれば、上記のシステムと方法が、プレップレスCT結腸内視鏡、下剤不使用のCT結腸内視鏡、タグ付け剤による準備が少ないCT結腸内視鏡、及びCT結腸内視鏡のための残留液/便のタグ付けによる瀉下準備といった例(これらには限定されないものの)に使用できるので、特に有利であることを理解するであろう。
【0078】
プレップレスCT結腸内視鏡は、次の文献に記載されている。
“Comparison of routine and unprepped CT colonography augmented by low fiber diet and stool tagging: a pilot study” Abraham H. Dachman 他著、Abdom Imaging 2007年32号(96−104頁)
“CT Colonography without Cathartic Preparation: Feasibility Study” Matthew R. Callstrom著、Radiology 2001、219号(693−698頁)
“CAD of Colon Cancer on CT Colonography Cases without Cathartic Bowel Preparation” Marius George Linguraru 他著、国際IEEE EMBS30周年会議(カナダ、ブリティッシュコロンビア州バンクーバー、2008年8月20−24日開催)
これらの引用文献は、参照により本明細書に援用される。
【0079】
下剤不使用のCT結腸内視鏡は、次の文献に記載されている。
“Development of a Cathartic−Free Colorectal Cancer Screening Test Using Virtual Colonoscopy: A Feasibility Study”Kristina T. Johnson著、AJR:188、2007年1月号、2936頁
“Dietary Fecal Tagging as a Cleansing Method before CT Colonography: Initial Results− Polyp Detection and Patient Acceptance”Philippe A. Lefere著、Radiology 2002、224号(393−403頁)、
“Noncathartic CT Colonography with Stool Tagging: Performance With and Without Electronic Stool Subtraction” C. Daniel Johnson著、AJR:190、2008年2月号(361−366頁)
これらの引用文献は、参照により本明細書に援用される。
【0080】
タグ付け剤による準備が少ないCT結腸内視鏡検査は、次の文献に記載されている。
“Image Quality and Patient Acceptance of Four Regimens with Different Amounts of Mild Laxatives for CT Colonography” Sebastiaan Jensch 他著、AJR.191、2008年7月号(158−167頁)
この文献の記載内容は参照により本明細書に援用される。
【0081】
CT結腸内視鏡のための残留物液/便のタグ付けによる瀉下準備は、次の文献に記載されている。
“Efficacy of Barium−Based Fecal Tagging for CT Colonography: a Comparison between the Use of High and Low Density Barium Suspensions in a Korean Population − a Preliminary Study” Min Ju Kim 他著、J Radiol 10(1) 2009年2月号(25−33頁)
“The Alternative: Faecal Tagging, Philippe Lefere and Stefaan Gryspeerdt, Virtual Colonoscopy” Springer Berlin Heidelberg著、2006年(35−49頁)
“Tagging−based, Electronically Cleansed CT Colonography: Evaluation of Patient Comfort and Image Readability” Michael E. Zalis他著、Radiology(239−1巻、2006年4月号(149−159頁)
これらの引用文献は、参照により本明細書に援用される。
【0082】
当業者であれば、下剤を使用しない準備がヨウ素の使用を含むが、これは潜在的な緩下副作用有するものの、バリウムのみによるタグ付け準備よりもすぐれた残存物のタグ付けができることを理解するであろう。
【0083】
また、当業者であれば、ここに開示する方法は、プロセッサ資源に応じた画像データの比較的高速なフィルタリングを可能にできることを理解するであろう。
【0084】
実際、典型的には、一実施形態におけるかかるフィルタリング方法は、インテル製デュアルコア(登録商標)CPUでは5分以内で実行できる。
【0085】
現在の標準的な方法では、“Structure−analysis method for electronic cleansing in cathartic and noncathartic CT colonography”(Wenli Cai 他著、Med.Phys. 35(7) 7月号(3259−3277頁))に、標準的なPCでCTC画像をスキャンから電子洗浄まで処理するのに30分以上を要するものとして記載されている。換言すると、伏臥と仰臥とで2回分のスキャンを含む完全なCTC検査には、典型的に1時間必要である。
【0086】
図5Aは、解剖学的構造の画像データを示し、より具体的には、大腸500の少なくとも3種類の異なる領域を有する部位を示す。3種類の異なる領域は、生体組織種の領域502、気体種の領域504、そしてタグ付けされた糞便に対応する2つのタグ付けされた物質種の領域506、508といった領域であり、また、概して第1の物体種類の領域、第2の物体種類の領域、及び第3の物体種類の領域とも称される。
【0087】
本説明を通じて、“領域”という表現は、小さい嚢内で相互に連続する、一群の隣接する単位画像要素を意味する。領域は、下記から明らかになるように、使用される画像データに応じて2D(二次元)または3D(三次元)である。
【0088】
さらに、“生体組織種の領域”という表現は、解剖学的構造のいかなる部位を意味することもでき、非限定的な例としては、軟組織、脂肪、骨、結合組織、神経組織、上皮組織、及び筋肉を意味する。当業者であれば、大腸検査という特定の場合、生体組織が大腸粘膜も含むことを理解するであろう。
【0089】
図1を参照すると、一実施形態における画像データのフィルタリング方法のフローチャート図が示される。この方法によれば、選択された種類の領域のうち少なくとも3種類の異なる領域を有し、少なくとも3種類の異なる領域のそれぞれが複数の単位画像要素で特徴付けられるような画像データのフィルタリングが可能になる。一実施形態では、各単位画像要素は1画素(ピクセル)を有し、他の実施形態では、各単位画像要素は1ボクセルを有する。当業者であれば、“単位画像要素”という表現がピクセルやボクセルに限定されるものではなく、むしろいかなる同質の要素、画像または表示面のポイントやドット、または、明暗度、色、もしくは他のパラメータがそれぞれ他のものと単独で関連付けられるような幾何学的要素にまで及ぶことを理解するであろう。当業者であれば、電子的大腸洗浄の特別な適用において、本方法により画像データからタグ付けされた物質種類の領域をフィルタリングことが可能になることを理解するであろう。そして、このことは、後に理解されるように、大いに有利である。
【0090】
処理ステップ100で、画像データが提供される。画像データは、この例に限定されるものではないが、ボリューム医用画像、ボリューム断層画像及び/または複数の並列な一連の画像プレーンを有することができる。これらは当該技術分野で周知であり以下で詳述される。
【0091】
一実施形態では、処理ステップ100で、画像データをCTスキャン装置から受け取るステップを有することができる。一実施形態では、画像データは、磁気共鳴影像法(MRI)装置から受け取られる。これに代わり、処理ステップ100が、画像データを陽電子放出断層撮影(PET)装置から受け取るステップを有してもよい。他の実施形態では、画像データをX線装置から受け取ってもよい。さらに他の実施形態では、画像データは、超音波装置または上記の装置の組合せから受け取ってもよい。
【0092】
さらに別の実施形態では、画像データは、データベースから抽出し、または、たとえばコンパクトディスクもしくは画像保管通信システム(PACS)といった読取り可能媒体から抽出してもよい。
【0093】
さらに
図1を参照すると、処理ステップ110で、少なくとも3種類の領域に対応する個々の部分を有する画像データの、少なくとも一部が選択される。
【0094】
一実施形態では、画像データの選択部分は、選択された種類の領域に対応する領域、つまり、たとえば
図5の領域508のような、タグ付けされた物質種類の領域の全部を有する。好ましい実施形態では、典型的な拡張する領域が全体の領域を選択するために用いられる。
【0095】
当業者であれば、従来技術における拡張領域の適用において、同一領域の単位画像要素は、同質性に基づく反復処理によりグループ化され、これにより分割画像データの選択部分は関心対象の個別な領域になることを理解するであろう。これらの従来技術の適用によれば、拡張領域は、一つの領域から他の領域を抽出するために用いられる。
【0096】
たとえば、公開番号US2002/0193687及び「仮想内視鏡検査の自動解析」という名称で公開された米国特許出願には、領域の拡張が次のように記載されている。「関心領域は、3次元領域の拡張方法及び初期統計の閾値を用いて分割される。ここで選択される閾値は、最大閾値に接近する。最大閾値は、関心領域の一部に周辺構造を取り込むことで分割手順が失敗することなく選択されるような値である。」当業者は、本明細書を読むことにより、本願において、拡張領域は、画像を異なる関心領域(ゾーン)に分割して特定の領域を抽出する目的で用いられるのではないことを理解するであろう。むしろ拡張領域は、対応する部分に囲まれた画像を選択するために用いられる。上述したように、拡張領域から得られる結果領域は、いくつかの種類の領域を含む。
【0097】
さらに別の実施形態では、処理ステップ110は、領域のうちいずれかを選択するステップと、少なくとも3種類の領域が結果領域に含まれるまで選択した領域のすぐそばの隣接領域を選択するステップをさらに有することができる。好ましい実施形態では、選択された隣接領域は、その領域の種類とは異なる種類のすぐそばの隣接領域の一部を含む。
【0098】
また、別の好ましい実施形態では、少なくとも3種類の領域の代表的部分を含む領域が結果領域に含まれるまで、すぐそばの隣接領域が選択される。換言すると、好ましい実施形態では、タグ付けされた物質種の領域が最初に選択され、そして、選択されたタグ付けされた物質種の領域のすべてが結果領域に含まれ、かつ、結果領域に気体種の領域の一部及び生体組織種の領域の一部が含まれるまで、すぐそばの隣接領域が選択される。好ましい実施形態では、後に理解されるように、結果領域に含まれる領域の各部分がその対応する領域を代表できるほど十分大きくなる。
【0099】
それにもかかわらず、一実施形態では、選択されたすぐそばの隣接領域は、その領域と同じ種類の、関心領域もしくは骨種の領域などの他の領域を含まなくてもよいことが理解されよう。というのも、これらの領域は、対応する分布に影響を与えるからである。
【0100】
当業者であれば、ボリューム画像データにおいてすぐそばの隣接領域の選択が行われることが理解されよう。そうして、結果領域は、後に説明するように、複数の連続した2次元画像により得られる3次元ボリュームであることが理解されよう。
【0101】
さらに
図1を参照すると、処理ステップ120で、選択部分における少なくとも3種類の領域それぞれの少なくとも1つの分布が決定される。
【0102】
一実施形態では、少なくとも1つの分布を決定するステップは、選択部分に対応する、単位画像要素を代表する部分の輝度分布を決定するステップを含む。さらに別の実施形態では、選択部分に対応する各単位画像要素が考慮される。しかしながら、代表部分を選択することは、後に明らかになるように、後続の処理を支援し及び/または高速化するということにおいてのみ有利である。たとえば、輝度が所与の値より大きい単位画像要素が選択される。
【0103】
図5Bは、
図5Aに示した画像データの輝度分布を概略的に示す。図示するように、輝度分布は、気体種類の領域504に対応する第1のピーク510、生体組織種類の領域502に対応する第2のピーク512、及びタグ付けされた物質種類の領域506及び508に対応する第3のピーク514を有する。
【0104】
別の実施形態では、少なくとも1つの分布の決定は、選択部分に対応する単位画像要素の代表部分の勾配分布の決定を含む。上述したように、一実施形態では、各選択部分に対応する単位画像要素が考慮される。
【0105】
別の実施形態では、少なくとも1つの分布の決定は、選択部分に対応する単位画像要素における代表部分の輝度微分分布の決定を含む。上述したように、一実施形態では、各選択部分に対応する単位画像要素が考慮される。
【0106】
さらに別の実施形態では、少なくとも1つの分布の決定は、複数の分布の決定を含む。そのような場合、特定の適用によれば、複数の分布は対応する単位画像要素の代表部分輝度分布、対応する単位画像要素の代表部分の勾配分布、及び対応する単位画像要素の代表部分の輝度微分分布のうちから選択される。当業者であれば、複数の分布の使用は、次の文献に記載されるような場合において特に有利であるということ理解するであろう。なお、これらの文献の記載内容は、参照により本明細書に援用される。
“Multidimensional transfer functions for interactive volume rendering”(Kniss, J. Kindlmann、G. Hansen著、ユタ州ソルトレークシティ、ユタ大学計算気候学・画像研究課)
“Visualization and Computer Graphics”(IEEE Transactions、2002年7−9月刊第8巻3番、270−285頁)
【0107】
図1を参照すると、処理ステップ130によれば、少なくとも1つの関数が、選択部分における選択された種類の領域の各単位画像要素を少なくとも3種類の領域のうち別の領域の種類に対応付けるために決定され、選択部分において選択された種類の領域の少なくとも1つの分布が、他の種類の領域の対応する分布に置換される。
【0108】
仮想大腸内視鏡検査においてタグ付けされた物質を除去する例として、決定される関数は、タグ付けされた領域の輝度分布を気体物質種類領域の輝度分布に置換することを可能にする関数である。このことは、以下において
図5A〜6Bを参照して明らかになる。
【0109】
上述したように、処理ステップ110で、好ましい実施形態では、異なる結果領域に含まれる領域の各部分は、対応する領域を代表できる程度に大きくすることができる。実際、当業者であれば、解剖学的構造は、典型的に、予め決められた典型的な形状、たとえばガウス形状を有する対応する分布により示されることを理解するであろう。よって、結果領域は、予め決められた関数、たとえばガウス関数が、対応する分布に適切に適合するまで、拡大される。
【0110】
好ましい実施形態では、処理ステップ110で、少なくとも1つの関数を決定するステップは、対応する分布を近似するための初期近似関数を決定するステップ、及び初期近似関数を他の種類の領域における対応する分布に変換するために適用される変換関数を決定するステップを含む。
【0111】
好ましい実施形態では、次の文献に示されるように、初期近似が決定される。
“Nonlinear Least Squares Fitting”、Weisstein、Eric W.著、”MathWorld“Wolfram Web Resourceより
“Nonlinear Regression and Its Applications. New York”、Bates D. M、Watts D. G 著、Wiley, 198より
“An estimate of φand オーム yields from the 2000 run”、Mihajlo Kornicer、Richard T. Jones著、コネチカット州ストーズ、コネチカット大学(2001年3月19日)
これらの文献は参照により本明細書に援用される。
【0112】
図5Bに示す実施形態では、初期近似関数516が、ピーク514を近似するために決定される。非限定的な実施形態が、次の文献に記載されている。この文献は参照により本明細書に援用される。
“The QtiPlot Handbook, Chapter 6; Analysis of data and curves, Multi−Peaks fitting”、Ion Vasilief著、2009年
なお好ましい実施形態では、処理ステップ110で、追加の初期近似関数が、領域の他の種類の分布を近似するために決定される。
【0113】
図5Bに示す実施形態では、初期近似関数がピーク510を近似するために決定される。なお好ましい実施形態では、少なくとも一つの関数を適用することは、置換関数を適用することを含み、これにより初期近似関数を追加の初期近似関数に置換する。一実施形態では、各初期近似関数及び追加の初期近似関数は、ラプラス関数とガウス関数のうちから選択される。当業者であれば、別の実施形態では、少なくとも1つの関数を決定することは、少なくとも1つの分布に対するフーリエ変換の適用を含むということを理解するであろう。
【0114】
当業者は、また、別の実施形態では、少なくとも1つの関数を決定するステップが少なくとも1つの分布へのパラメトリック法則の適用を含んでもよいことを理解するであろう。一実施形態では、パラメトリック法則は、平方法則である。
【0115】
かかる実施形態の詳細は、次の文献を参照すれば、当業者にとって自明である。
“Numerical Analysis for Chemical Engineers”、Nikos Drakos(リード大学コンピュータベース学習部)、Ross Moore(シドニー、マッコーリー大学 数学科)
【0116】
さらに
図1を参照すると、処理ステップ140では、選択部分における選択された種類の領域の各単位画像要素に少なくとも1つの関数が適用され、それによりフィルタリングされた画像データが提供される。
【0117】
換言すると、フィルタリングされた画像データにおいて、決定された少なくとも1つの関数を用いて選択された種類の領域の各単位画像要素に他の値が割り当てられる。このことは、以下においてより詳細に示される。
【0118】
仮想大腸内視鏡検査のためのタグ付けされた物質の除去の適用において、少なくとも1つの関数が決定された後は、当業者であれば、選択された種類の領域の分布、すなわち、タグ付けされた領域は、気体種類の領域の分布と置換されるか適合されるかして、これによりフィルタリングされた画像データからタグ付けされた領域が除去されることを理解するであろう。
【0119】
上述したように、
図5Aは、大腸500の部分の画像データを示し、この画像データは生体組織種類の領域502、気体種類の領域504及び2つのタグ付けされた物質種類の領域506、508を有する。一方、
図5Bは、
図5Aに示した画像データの輝度分布の概略的に示す。この輝度分布は、気体種類の領域504に対応する第1のピーク510、生体組織種類の領域502に対応する第2のピーク512及びタグ付けされた物質種類の領域506、508に対応する第3のピーク514を有する。
図6Bは、原画像データの選択された部分の各単位画像要素に少なくとも1つの関数が適用されたときの、フィルタリングされた画像データにおける画像データの輝度分布の選択部分を示す。図示される場合において、当業者であれば、タグ付けされた物質領域506、508に対応する第3のピーク514が、気体種類の領域504に対応する第1のピーク510に置換されていることを理解するであろう。
【0120】
当業者であれば、“置換”という用語が音楽的意味に解釈しうることを理解するであろう。すなわち、ピッチを上げたり下げたり、あるいは、記述されたキーとは異なるキーで楽曲を演奏することで、異なるキーにより再現することを意味する。
図6Aは、処理ステップ140が一旦実行された、フィルタリングされた画像データを示す。図示するように、原画像データに現れる2つのタグ付けされた物質種類の領域506、508が、前記フィルタリングされた画像データから除去されている。これらの領域の単位画像要素の値は、気体種類の領域504の値に対応するように置換されている。よって、当業者であれば、上述した方法により、タグ付けされた物質を抑制することで大腸の電子的洗浄が可能になることを理解するであろう。前記方法で取得される前記フィルタリングされた画像データは、タグ付けされた領域を除いた大腸の表現を提供し、同様に
図4Aに示されるように大腸を洗浄する。当業者であれば、タグ付けされた領域のフィルタリングは、領域を分割することなく得られ、このことが大いに有利であることを理解するであろう。実際に、ここで開示される方法は、たとえば、構造分割といった後続のプロセスに先立つ事前処理ステップとして用いられる。このような場合、当業者であれば、後続のプロセスに先立って分割されていないフィルタリングされた画像データを提供することが特に有利であることを理解するであろう。
【0121】
図8Aは、画像データの例示的な選択部分800を示す。選択部分800は、3D部分であり、少なくとも3種類の領域のそれぞれ、すなわちタグ付け済み種の領域802、気体種の領域804及び生体組織種の領域806に対応する他の領域を有する。
【0122】
図8Bは、上述の画像データのフィルタリング方法で取得されるフィルタリングされた画像810を示す。当業者であれば、タグ付け済み種の領域802がフィルタリングされ、気体種の領域に置換されたことを理解するであろう。
図8Cは、タグ付け済み種の領域802を含む
図8Aの拡大図を示す。一方、
図8Dは、フィルタリングが行われたときと同じ拡大図を示す。当業者であれば、タグ付け済み種の領域802と生体組織種の領域806の間の境界が、変更や置換されておらず、このことが上述したように小さい領域を検出する上で大いに有利であることを理解するであろう。
【0123】
図9は、
図8Aに示す画像データにおける選択部分800の輝度分布を示す。図示するように、輝度分布は、気体種の領域804に対応する第1のピーク910、生体組織種の領域806に対応する第2のピーク912、及びタグ付けされた物質種の領域802に対応する第3のピーク914を有する。
【0124】
前出の画像データのフィルタリング方法の一実施形態において、輝度分布は、選択部分における3種類の領域のそれぞれについて決定される。当業者であれば、仮想大腸内視鏡検査の場合に、画像データの各タグ付け済み種の領域をフィルタリングするために、この方法が画像データの複数の選択部分に適用されうることを理解するであろう。
【0125】
それゆえ、輝度分布は、タグ付け済み種の領域ごとに決定され、これらの各輝度分布はタグ付け済み種の領域ごとに特有である。
【0126】
同様に、輝度分布が、気体種の領域ごとに決定され、これらの各輝度分布は気体種の領域ごとに特有である。一実施形態では、気体種類の領域の各分布は、患者の画像データに特有の、気体種の領域における代表的な一般的分布を提供するために累積される。この時点で、本実施形態では、画像データにおけるタグ付け済み種の領域の各分布は、気体種の領域の代表的な一般的分布に置換される。
【0127】
さらに別の実施形態では、生体組織種の領域の各分布は、患者の画像データに特有の、生体組織種の領域における代表的な一般的分布を提供するために累積される。
【0128】
当業者であれば、上記にもかかわらず好ましい実施形態では、画像データのフィルタリング方法が個々の領域における特定分布に依存することを理解するであろう。
【0129】
一実施形態では、気体種の領域の特定の各分布とタグ付け済み種の領域を、それぞれ対応する代表的な一般的分布と比較することができる。その場合、ある特定分布は代表的とはみなされず、すなわち、特定分布が対応する一般的な分布間で大きく異なるので、種々の方法を考慮することができる。
【0130】
一実施形態では、代表的な一般的分布を特定分布の代わりに用いてもよい。
【0131】
別の実施形態では、画像データの対応する選択部分は、そこに含まれる統計情報を増加させるために、拡張することができる。この拡張は、対応する代表的な一般的分布と比較して特定分布が代表的になるまで実行される。
【0132】
特定分布が依然として代表的な一般的分布とは大きく異なり、及び/または画像データの選択部分がそれ以上拡張できない場合には、代表的な一般的分布を用いてもよい。
【0133】
一実施形態では、予め決められた一般的分布を、対応する代表的な一般的分布が得られない場合に用いることができる。当業者であれば、好ましい実施形態では、気体種の領域及び生体組織種の領域の代表的な一般的分布を用いてもよいことを理解するであろう。
【0134】
画像データの選択部分における分布が決定した後には、タグ付け済み種の領域が気体種の領域の分布に置換される。
【0135】
再び
図9を参照すると、Mtagより大きい輝度の各単位画像要素が、タグ付けされた領域内で伸長したと考えられる。Stag未満かつSfatより大きい輝度の各単位画像要素は、タグ付け済み種の領域と大腸粘膜の間の中間部分に近似するように伸長したと考えられる。
【0136】
図10A〜10Cは、タグ付け済み種類の領域に対応する分布が気体種の領域に対応する分布に置換されることを示す。当業者であれば、他の配置も考えられるが、Mfatを置換するときの枢軸として用いることができることを理解するであろう。
【0137】
図11は、タグ付け済み種の領域が気体種の領域の分布に置換された後の結果分布を示す。当業者であれば、
図11で、気体分布及び生体組織分布の特性が、置換処理の間維持されることを理解するであろう。換言すると、ガウス関数の場合、各分布の標準偏差は、
図9と同じである。
【0138】
上述の例において、ガウス関数が選択されたが、他の種類の関数の使用を考慮してもよいことに留意されたい。また、ガウス関数の場合であっても、置換を実行するために、シグマ(たとえば、Stag)及びミュー(たとえば、Mtag)以外の特性を選択してもよい。また、当業者であれば、分布を特徴づける他のパラメータを用いることができることを理解するであろう。
【0139】
当業者であれば、上述の例における置換は、要素の相対的な連結性に基づく処理とみなされることを理解するであろう。実際に、タグ付け済み種類の領域に連結されていない生体組織種類の領域を示す単位画像要素は置換されることはない。
【0140】
図12〜15は、一実施形態で置換がどのように実行されるかをより明確に示す。
図12及び13を参照すると、画像データの選択部分及び対応する輝度分布が示される。この非限定的な例では、グレーの連続した矢印により、関心領域に連結された置換すべき要素の、すべての局所的分布に対する貢献が示される。これらの要素は、気体類の領域とタグ付け済み種の領域の間の境界、及び大腸粘膜とタグ付け済み種の領域の境界を有する。関心領域に接続されず、置換されるべきでないにもかかわらず周囲の環境を示す大きい関心を有する要素の貢献が、黒の破線矢印により、示される。これらの要素は、周囲の生体組織を有する。
図14及び15は、置換が実行された後のフィルタリングされた画像データと、対応する輝度分布を示す。タグ付け済み種の領域が置換される一方、置換されるべき関心領域に連結されない要素は置換されておらず、したがって変化していないことに留意されたい。このことは、
図14及び15に明確に示される。当業者であれば、置換された画像部分全体の分布が実質的に同じ特徴を示すことと、それにもかかわらず当該要素の置換に起因して減衰が生じていることを理解するであろう。
【0141】
当業者であれば、置換の際に、異なる要素間の関係、すなわち、相対的な連結性が考慮されることを理解するであろう。
【0142】
また、当業者であれば、上述の例では、置換が線形モデルに従って実行されるが、種々の他のモデルも置換実行のために考慮可能であることを理解するであろう。
【0143】
一実施形態では、画像データのフィルタリング方法は、さらに、フィルタリングされた画像データの表示を含む。画像データが大腸部分を代表する場合に、画像データのフィルタリング方法は、大腸部分の3次元レンダリングを表示することをさらに含む。
図3A及び3Bは、それぞれ、画像データ300の一部と、
図3Cに示した大腸部分の3次元レンダリング302とを示す。一実施形態では、画像データのフィルタリング方法は、3D視覚化のための立体レンダリングエンジンへのフィルタリングされた画像データの提供を含む。
【0144】
一実施形態では、画像データのフィルタリング方法は、フィルタリングされた画像データを、後に詳述するように、異常検出のためのCA(コンピュータ支援の)検出部に提供することをさらに含む。
【0145】
当業者であれば、画像データのフィルタリング方法は、上述したように、仮想大腸内視鏡検査を実行する前の事前処理ステップとして特に有効であるが、他の種類の内視鏡検査も考慮できることを理解するであろう。それゆえ、上述したフィルタリング方法は、大腸画像のフィルタリングに限定されるものではなく、一般的なフィルタリング方法にも適用でき、少なくとも2つの位相を有する解剖学的構造に適していることを理解すべきである。たとえば、本方法は、腹部大動脈瘤及びニューロ大動脈瘤の検査に有効であるが、この例に限定されるものではない。
【0146】
当業者であれば、上述のフィルタリング方法は、異なる人体解剖学的構造または動物の解剖学的構造の検査への適用に限られないことを理解するであろう。実際に、画像フィルタリングまたは画像修正を実行するために、上記の方法は、単一の2D画像を含むあらゆる種類の画像に適用できる。たとえば、この方法は、実際の視覚的な検査ができない囲まれた対象物の検査に用いることができる。この方法は、周辺画像やレーダ画像のフィルタリングに有効であるが、この例に限定されるものではない。
【0147】
別の側面によれば、選択された種類の領域のうち少なくとも3種類の異なる領域を有し、少なくとも3種類の異なる領域のそれぞれが、複数の単位画像要素で特徴付けられるような画像データのフィルタリングシステムが提供される。
図2を参照すると、システム200は、画像データ204を受け取るデータ受信部202、及び、少なくとも3種類の領域の対応する部分を少なくとも有する画像データ204の部分を選択し、画像データ204選択部分208を提供するためにデータ受信部202に接続された選択部206を備える。
【0148】
一実施形態では、システム200は、選択パラメータ212を提供し、それにより画像データ204の部分208を選択するために選択部206に、有効に接続されるユーザ・インターフェース210を備えることができる。好ましい実施形態では、画像データ204の部分208は、ユーザが介在することなく自動的に選択される。
【0149】
かかる自動的な処理のための方法の一例は、次に文献に記載されている。
“Automated seed placement for colon segmentation in computed tomography colonography”、Academic Radiology 第12巻第2刷、182−190頁 G.lordanescu、P.Pickhardt、J.Choi、R.Summers著、2005年2月
“Automatic segmentation of the colon for virtual colonoscopy”、Computerized Medical Imaging and Graphics 第24巻第1刷、2000年2月号1−9ページ、C.L Wyatt,、Y. Ge、及びD.J.Vining著
【0150】
さらに
図2を参照すると、システム200は、少なくとも1つの選択部206に有効に連結される分布決定部214、及び選択部分208における少なくとも3種類の領域の少なくとも1つの分布を決定し、選択部分208の少なくとも3種類の領域それぞれへ少なくとも1つの決定された分布、すなわち分布データ216を提供するデータ受信部202を有する。
【0151】
一実施形態では、ユーザ・インターフェース210は、分布決定部214に有効に接続され、分布決定部214に分布パラメータ218を提供するために用いられる。分布パラメータ218は、一実施形態では、数値と、上述したように、決定される分布の種類を有する。好ましい実施形態では、分布パラメータ218は予め決められ、そして少なくとも1つの分布が、ユーザが介在することなく自動的に決定される。システム200は関数決定部220をさらに有し、関数家底部220は、分布決定部214に有効に接続され、選択部分における選択された種類の領域208における単位画像要素を、少なくとも3種類の領域とは異なる他の種類の領域に関連付け、選択部分208における選択された種類の領域で少なくとも1つの決定された分布を対応する他の種類の領域の分布に置換するための、少なくとも1つの関数を決定する。
【0152】
関数決定部220は、分布データ216を分布決定部214から受け取り、これに応答して関数データ222を提供する。
【0153】
一実施形態では、関数決定部220は、一実施形態では、数値と、決定する関数の種類である関数のパラメータ224を受け取るために、ユーザ・インターフェース210に有効に接続してもよい。好ましい実施形態では、関数のパラメータ224は予め決められており、その関数はユーザが介在することなく自動的に決定される。
【0154】
好ましい実施形態では、関数決定部220は、対応する分布を近似する初期近似関数を決定するためのモジュール(図示省略)、及び初期近似関数を他の種類の領域における対応する分布に置換するために適用される、置換関数を決定するためのモジュール(図示省略)を有する。
【0155】
なお好ましい実施形態では、関数決定部220は、他の種類の領域の分布を近似する追加の初期近似関数を決定するためのモジュール(図示省略)を有する。
【0156】
システム200は、また、少なくとも1つの関数を選択部分208における選択された種類の領域の単位画像要素に適用することで、フィルタリングされた画像データ228を適用するために、関数決定部220に有効に接続されるフィルタリング部226を有する。
【0157】
フィルタリング部226は、関数データ222を関数決定部220から、画像データ204をデータ受信部202から受け取り、これに応答してフィルタリングされた画像データ228を提供する。好ましい実施形態では、関数データ222は、置換関数データを含み、フィルタリング部226は、受け取った置換関数を、初期近似関数を上述したように追加の初期近似関数に置換するために適用する。一実施形態では、フィルタリング部226は、フィルタリングパラメータ230を受け取るために、ユーザ・インターフェース210に有効に接続することができる。好ましい実施形態では、フィルタリングパラメータ230は予め決められており、決定された関数はユーザが介在することなく自動的に適用される。
【0158】
当業者であれば、一実施形態では、システムは完全に自動化できることを理解するであろう。この場合、予め決められたパラメータは、異なる領域の種類の数(例示の実施形態では「3」)、及び異なる領域の種類ごとの分布に関するパラメータ(例示の実施形態ではガウス分布形状)を有する。例示の実施形態を参照し、使用される画像の種類にしたがうと、予め決められた中央値が、ガウス初期近似関数に割り当てられる。たとえば、“CTスキャンRx”で取得される画像では、中央値−800Huが気体種の領域に、+300Huがタグ付けされた物質種の領域に、そして+50Huが残りの領域、すなわち、生体組織に割り当てられる。当業者であれば、他の種々の態様が考えられることを理解するであろう。引き続き
図2を参照すると、一実施形態では、システム200は、フィルタリング部226に有効に連結され、フィルタリングされた画像データ228をユーザに表示する追加の表示部240をさらに備えてもよい。さらに別の実施形態では、表示部240は、表示パラメータ242を受け取るためにユーザ・インターフェース210に接続してもよい。さらに他の実施形態では、システム200は、フィルタリングされた画像データ228をCA(コンピュータ支援)検出部260に異常検出のために送信するか、または計算機支援診断部(図示省略)に異常診断のために送信するためにフィルタリング部226に連結される送信部250をさらに備えてもよい。送信部250は、フィルタリングされた画像データ228の無線通信を提供する無線モジュール(図示省略)を備えてもよい。当業者であれば、フィルタリングされた画像データが、この適用の範囲を逸脱しない範囲で可能な種々のプロトコルに基づいて無線モジュールを用いて送信されうることを理解するであろう。また、当業者であれば、インターネット送信と同様、有線送信も使用可能であることを理解するであろう。
【0159】
画像データのフィルタリングシステムは、上述したように、画像データの遠隔処理を可能にするので、格別の利点を有する。実際に、画像データは、撮像装置が装備された診療所や病院で取得され、遠隔の処理センタに公衆網を介して送信され、処理センタで処理される。フィルタリングされた画像データは、医師による仮想分析のために病院に送ることができる。これに代わり、当業者であれば、画像データのフィルタリングシステムが撮像装置に統合され、あるいは撮像装置に操作可能に連結されてもよいことを理解するであろう。
【0160】
上述したように、画像データのフィルタリングシステムは、仮想内視鏡検査においてタグ付けされた物質を抑制するために特に有効である。当業者は、また、一実施形態では、画像データのフィルタリング方法を、処理部で実行されるコンピュータプログラムに埋め込んでもよいことを理解するであろう。このコンピュータプログラムは、上述した画像データのフィルタリング方法を実行するための、機械に読取り可能な媒体に記憶された命令群を含む。別の側面によれば、前出の画像データのフィルタリング方法による、画像データが有料でフィルタリングされるような、画像データのフィルタリングにおけるビジネスを行うための方法がさらに提供される。
【0161】
別の側面によれば、画像データのフィルタリングによるビジネスの実行方法が提供され、この方法は、画像データを受け取ること、上述したように画像データのフィルタリング方法を実行すること、及びフィルタリングされた画像を有料で提供するステップを有する。
【0162】
別の側面によれば、画像データのフィルタリングにおけるビジネスを行う方法が提供され、この方法は、上述したような画像データのフィルタリングシステムをサードパーティに提供することと、システムを運用するステップとを有する。運用はサードパーティに有料で提供され、プロバイダに料金の少なくとも一部が返還される。
【0163】
別の側面によれば、画像データのフィルタリングにおけるビジネスを実行する方法が提供される。この方法は、タグ付け剤を提供するステップ、タグ付け剤に関連付けられるタグ付け剤分布を決定するステップ、画像データのフィルタリングシステムを提供するステップを含む。システムは、タグ付け剤分布に応じてカスタマイズされ、画像データのフィルタリング方法を上述したように実行する。前記タグ付け剤分布により前記画像データが取得され、前記フィルタリングされた画像が有料で提供される。別の側面によれば、画像データのフィルタリングにおけるビジネスを実行する方法が提供される。この方法は、タグ付け剤を提供するステップ、タグ付け剤に関連付けられるタグ付け剤分布を規定するステップ、画像データのフィルタリングシステムをプロバイダがサードパーティに提供するステップ、システムがタグ付け剤分布に応じてカスタマイズされるステップ、システムのオペレーションをサードパーティが有料で実行するようにシステムを動作させるステップ、及びプロバイダに料金の少なくとも一部が返還されるステップを含む。
【0164】
別の側面によれば、ヨウ素ベースのタグ付け剤を含む仮想大腸内視鏡検査における、タグ付けされた物質を抑制する画像データのフィルタリングシステムの使用が提供される。別の側面によれば、バリウムベースのタグ付け剤を含む仮想大腸内視鏡検査において、タグ付けされた物質を抑制する画像データのフィルタリングシステムの使用が提供される。
【0165】
ここに示した画像データのフィルタリングシステムは、システムの所有者により操作されることが理解されよう。これに代わり、このシステムは、サードパーティが有料で操作してもよい。一実施形態では、手数料は売り上げの一部とされ、一方他の代替実施形態では、手数料が固定費を含んでもよい。
【0166】
ここで
図7を参照すると、画像データのフィルタリング方法が有効に用いられる、処理部700の一つの実施形態が示される。処理部700は、CPU702、入出力デバイス704、ネットワークインターフェース回路708、データバス706及びメモリ710を有する。CPU702、入出力デバイス704、ネットワークインターフェース回路708及びメモリ710は、データバス706を用いて有効に接続される。より正確には、CPU702は、データ処理用に、データ指示を処理するために適用される。ネットワークインターフェース回路708は、処理部700を他の処理部(図示省略)にデータネットワーク(図示省略)を経由して接続するために、処理部700に有効に接続される。当業者であれば、ネットワークインターフェース回路708の種々の実施形態が提供可能であることを理解するであろう。また、当業者は、ネットワークインターフェース回路708がたとえばTCP/IPといった種々の通信プロトコルに従って動作できることを理解するであろう。
【0167】
入出力デバイス704は、ユーザが処理部700と相互作用することを可能にするために用いられる。当業者であれば、入出力デバイス704の種々の実施形態を用いることができることを理解するであろう。たとえば、入出力デバイス704は、キーボード、スクリーン、及びマウスの少なくとも1つを有することができる。
【0168】
当業者は、データバス706の種々の実施形態が可能であることを理解するであろう。
【0169】
また、メモリ710の種々の実施形態が可能であることが理解されよう。また、一実施形態において、メモリ710が、オペレーティングシステム712、画像データ714のフィルタリングモジュール、及び画像データ714のフィルタリングモジュールの動作に用いるデータベース716を格納するために用いられることが、理解されよう。
【0170】
当業者であれば、オペレーティングシステム712が、CPU702、入出力デバイス704、ネットワークインターフェース回路708、データバス706及びメモリ710の相互動作を管理するために用いられることを理解するであろう
【0171】
上述の説明は、現時点で発明者が考える特定の好ましい実施形態についてなされた。しかし、本発明は、その広い側面に、ここに記載した要素と機械的及び機能的に等価な物を含むことが理解されよう。たとえば、上記の方法は、異なる人体の解剖学的構造や動物の構造の検査によく適用される。また、この方法は、実際の視認検査が実行できないような閉鎖された対象物の検査によく用いられる。