(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
シフトレバーに連結されるシャフト部材の両端部を車両に固定されるベースブラケットの一対の軸支孔で回動自在に支持することにより前記シフトレバーが車両に対して揺動可能に取り付けられるシフトレバー装置において、
前記シフトレバーは、運転者が操作する軸状のロッド部と、該ロッド部の基部に一体的に取り付けられるレバー本体部と、を備え、
前記ベースブラケットは、前記一対の軸支孔が個々に形成された一対の側壁面を備え、
前記シャフト部材は、シャフト部と、該シャフト部の一端に一体的に設けられた鍔状の係合片部と、を備え、
前記シャフト部には、前記シャフト部材の軸心を中心とした点対称位置にそれぞれ平坦面形状に形成されるとともにシャフト部材の軸心からの距離がそれぞれ同一でかつシャフト部の半径寸法よりも小さい寸法に設定された一対の連結面と、該一対の連結面及び前記シャフト部材の軸心と直交する方向に形成されてシャフト部材に前記レバー本体部を連結するための支持軸を挿通する第1の軸挿通孔と、が設けられ、
前記レバー本体部の下側部分には、前記シャフト部の直径寸法とほぼ同一の横幅寸法で上下方向に亘って切り欠いて形成されて前記シャフト部材を連結する連結切欠部が設けられ、
前記連結切欠部の内側面には、前記連結切欠部の上端から所定寸法だけ下方となる位置にその連結切欠部の横幅寸法を狭める方向に相互に突出して形成されかつ前記一対の連結面と個々に当接する一対の当接面部と、該一対の当接面部と直交する方向に形成されかつその一対の当接面部と前記一対の連結面とが個々に当接し、前記第1の軸挿通孔と連通した状態で前記支持軸を挿通可能とする第2の軸挿通孔と、が設けられ、
前記所定寸法は、前記シャフト部を前記連結切欠部の上端と前記当接面部との間に配した状態で前記シャフト部材がその軸心を中心として回動可能となる寸法に設定され、
前記側壁面の外壁には、前記軸支孔を回動中心とした前記シャフト部材の回動操作により前記係合片部との係合及びその解除を可能にするとともに、前記係合片部との係合状態において前記シャフト部材を前記軸支孔から抜け止めして前記ベースブラケットに回動自在に取り付ける抜止片部が設けられることを特徴とするシフトレバー装置。
前記係合片部の後端面には、前記軸支孔を回動中心として前記シャフト部材を回動操作するための回動治具と係合する係合凹部が形成される請求項1又は請求項2に記載のシフトレバー装置。
前記シフトレバーに付勢力を付与することにより、そのシフトレバーをシフト位置で保持するシフト位置保持手段を備える請求項1ないし請求項3のいずれか1項に記載のシフトレバー装置。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本発明の課題は、シフトレバーがシャフト部材を介してベースブラケットに揺動可能に取り付けられる構造において、部品点数の削減を可能にするシフトレバー装置を提供することにある。
【0005】
上記の課題を解決するために、本発明は、
シフトレバーに連結されるシャフト部材の両端部を車両に固定されるベースブラケットの一対の軸支孔で回動自在に支持することにより前記シフトレバーが車両に対して揺動可能に取り付けられるシフトレバー装置において、
前記シフトレバーは、運転者が操作する軸状のロッド部と、該ロッド部の基部に一体的に取り付けられるレバー本体部と、を備え、
前記ベースブラケットは、前記一対の軸支孔が個々に形成された
一対の側壁面を備え、
前記シャフト部材は、シャフト部と、該シャフト部の一端に一体的に設けられた鍔状の係合片部と、を備え、
前記シャフト部には、前記シャフト部材の軸心を中心とした
点対称位置にそれぞれ平坦面形状に形成されるとともにシャフト部材の軸心からの距離がそれぞれ同一でかつシャフト部の半径寸法よりも小さい寸法に設定された
一対の連結面と、該
一対の連結面及び前記シャフト部材の軸心と直交する方向に形成されてシャフト部材に前記レバー本体部を連結するための支持軸を挿通する第1の軸挿通孔と、が設けられ、
前記レバー本体部の下側部分には、前記シャフト部の直径寸法とほぼ同一の横幅寸法で上下方向に亘って切り欠いて形成されて前記シャフト部材を連結する連結切欠部が設けられ、
前記連結切欠部
の内側面には、前記連結切欠部の上端から所定寸法だけ下方となる位置にその連結切欠部の横幅寸法を狭める方向に相互に突出して形成されかつ前記
一対の連結面と個々に当接する
一対の当接面部と、該
一対の当接面部と直交する方向に形成されかつその
一対の当接面部と前記
一対の連結面とが個々に当接し
、前記第1の軸挿通孔と連通
した状態で前記支持軸を挿通
可能とする第2の軸挿通孔と、が設けられ、
前記所定寸法は、前記シャフト部を前記連結切欠部の上端と前記当接面部との間に配した状態で前記シャフト部材がその軸心を中心として回動可能となる寸法に設定され、
前記側壁面の外壁には、前記軸支孔を回動中心とした前記シャフト部材の回動操作により前記係合片部との係合及びその解除を可能にするとともに、前記係合片部との係合状態において前記シャフト部材を前記軸支孔から抜け止めして前記ベースブラケットに回動自在に取り付ける抜止片部が設けられることを特徴とする。
【0006】
このように、シャフト部材にシャフト部の半径寸法よりも小さい寸法に設定された左右の連結面を設け、シフトレバーのレバー本体部に形成された連結切欠部に左右の連結面と個々に当接する左右の当接面部を設けることで、シャフト部材を連結切欠部内(連結切欠部を形成する左右の側面間)に配した状態でシャフト部材を回動可能にできる。このため、シャフト部材を介してシフトレバーをベースブラケットに組み付ける際には、連結切欠部内にシャフト部材を配した状態からシャフト部材の回動操作とシフトレバーの移動操作で簡単に連結面と当接面部とを当接状態にすることができるので、面接触によるシャフト部材とシフトレバーとの組み付け精度の向上を図った上で組み付け作業を容易にできる。そして、シャフト部材を構成するシャフト部の一端に鍔状の係合片部を一体的に設け、ベースブラケットの側壁面の外壁にはシャフト部材の回動操作により係合片部との係合及びその解除を可能にする抜止片部を設けることで、シャフト部材とベースブラケットとの間でシャフト部材の抜け止め構造を構成することができる。従って、シャフト部材の抜け止め用部品(例えばプレート部材など)を別途設ける必要がなくなるため、部品点数を削減することができる。
【発明を実施するための形態】
【0008】
以下、本発明のシフトレバー装置の一実施形態について図面を参照して説明する。
図1に示すように、シフトレバー装置1は、車両に固定されるベースブラケット2と、該ベースブラケット2より上方としてのZ方向へ突出し、車両前後方向となるX方向を軸心とした車両左右方向への回転(A方向の回転)と車両左右方向となるY方向を軸心とした車両前後方向への回転(B方向の回転)とで揺動可能なシフトレバー3と、該シフトレバー3をベースブラケット2に回動自在に支持するシャフト部材4と、を備え、パーキング、逆走、ニュートラル、ドライブ、ローなどの各シフト位置を移動させるようにした車両の自動変速器(図示せず)に使用される。
【0009】
図2に示すように、シフトレバー3は、運転者が操作する軸状のロッド部3aと、該ロッド部3aの基部に一体的に取り付けられるレバー本体部3bと、を有し、ロッド部3aがベースブラケット2の上壁面2aに貫通状に形成されたロッド挿通孔2bに挿通して組み付けられることで、X方向及びこれに交差するY方向に屈曲した移動経路に対応して所定の各シフト位置を選択するように操作される。また、ロッド挿通孔2bと対応する上壁面2aの部分には、取付凹部2cが形成され、この取付凹部2cには、ロッド挿通孔2bと連通してロッド部3aを挿通するガイド溝5aが形成されたシフトプレート5が取り付けられる。
【0010】
レバー本体部3bの下側部分には、
図3に示すように、シャフト部材4を連結する連結切欠部3cが設けられる。連結切欠部3cは、
図4に示すように、シャフト部材4を構成するシャフト部4aの直径寸法2R(Rはシャフト部4aの半径寸法)とほぼ同一の横幅寸法で上下方向に亘って切り欠いて形成されている。連結切欠部3cを形成する
図示左右の側面3d
(以下、単に左右の側面3dという)には、連結切欠部3cの上端3fから所定寸法Hだけ下方となる位置にその連結切欠部3cの横幅寸法を狭める方向に相互に突出した
図示左右の当接面部3e
(以下、単に左右の当接面部3eという)が形成されている。左右の当接面部3eは、
図6に示すように、シャフト部材4がシフトレバー3に連結された状態において、シャフト部材4を構成する
図示左右の連結面4c(以下、単に左右の連結面4cという)と個々に当接す
る。
【0011】
なお、側面3dの形成位置を規定する所定寸法Hは、シャフト部4aを連結切欠部3cの上端3fと当接面部3eとの間に配した状態でシャフト部材4がその軸心Cを中心として回動可能となる寸法に設定される。また、シャフト部4aの直径寸法2Rとほぼ同一に設定される連結切欠部3cの横幅寸法とは、シャフト部4aを連結切欠部3cの上端3fと当接面部3eとの間に配した状態でシャフト部材4がその軸心Cを中心として回動可能となる寸法のことであり、連結切欠部3cを形成する左右の側面3dの内壁部分と直径寸法2Rとなるシャフト部4aの左右の円弧部分との当接状態において微妙な隙間を有する場合も含み、このような場合には、直径寸法2Rよりも若干小さい寸法が連結切欠部3cの横幅寸法となる。
【0012】
また、左右の側面3dには、左右の当接面部3eと直交する方向に第2の軸挿通孔3gが形成されている。第2の軸挿通孔3gは、左右の当接面部3eと左右の連結面4cとが個々に当接した状態で、シャフト部材4に形成される第1の軸挿通孔4dと連通し、この状態から第1及び第2の軸挿通孔4d,3gに支持軸6が挿通して取り付けられることにより、シャフト部材4がシフトレバー3に連結して取り付けられる。支持軸6は、その一端に頭部6aが設けられ、他端となる先端部分が各軸挿通孔4d,3gを挿通した状態で抜け止め用のプッシュナット6bで固定される。これにより、シフトレバー3は、支持軸6の軸心Dを中心としてシャフト部材4に対して回動可能となる。
【0013】
ところで、シフトレバー3をベースブラケット2に回動自在に支持するシャフト部材4は、シフトレバー3のB方向(車両前後方向)への回転を可能にする前後回転軸を構成する一方、支持軸6は、シフトレバー3がベースブラケット2に組み付けられた状態で、シフトレバー3のA方向(車両左右方向)への回転を可能にする左右回転軸を構成する。
【0014】
また、レバー本体部3bには、図示しないシフト位置検知スイッチと係合する係合凸部3hと、プランジャ7を取り付けるためのプランジャ取付部3iとが形成されている。係合凸部3hは、連結切欠部3cの上方位置となる一方の側壁外面に支持軸6の軸心Dと直交する方向に突設され、ベースブラケット2に形成される開口部2kを通して外部に突出して配される。そして、この外部に突出した係合凸部3hがシフト位置検知スイッチと係合することにより、該シフト位置検知スイッチがシフトレバー3のシフト位置を検知する。
【0015】
プランジャ取付部3iは、円筒形状に形成されて、シフトレバー3に付勢力を付与する長棒形状のプランジャ7及びコイル状のスプリング8(本発明のシフト位置保持手段)を取り付ける。これにより、シフトレバー3には、スプリング8によって一定方向に押し付けられるプランジャ7が備えられ、ベースブラケット2の上壁面2aに取り付けられるプランジャガイド9(本発明のシフト位置保持手段)によりシフトレバー3がシフトプレート5のガイド溝5aの一方側へ付勢される。すなわち、プランジャガイド9に形成されたガイド斜面9aにプランジャ7の係合凸部7aがスプリング8で押し付けられ、この押し付け反力の作用により、プランジャ7及びシフトレバー3がガイド溝5aの一方側へ付勢される。この付勢力によりシフトレバー3は各シフト位置で保持される。
【0016】
シャフト部材4は、シャフト部4aと、該シャフト部4aの一端に一体的に設けられた鍔状の係合片部4bと、を備えている。シャフト部4aには、シャフト部材4の軸心Cを中心とした左右側方の部分にそれぞれ平坦面形状をなす左右の連結面4cが形成されている。左右の連結面4cは、
図4に示すように、シャフト部材4の軸心からの距離がそれぞれ同一でかつシャフト部4aの半径寸法Rよりも小さい寸法rに設定されている。なお、
図4中には、軸心Cを中心として左右の連結面4cを上下方向に配した状態を示している。
【0017】
左右の連結面4c間の横幅寸法2rは、
図5に示すように、左右の当接面部3e間の横幅寸法Wとほぼ同一に設定されている。これにより、左右の当接面部3eは、シャフト部材4がシフトレバー3に連結された状態において、シャフト部材4を構成する左右の連結面4cと個々に当接する。また、シャフト部4aには、第1の軸挿通孔4dが貫通状に形成されている。第1の軸挿通孔4dは、左右の連結面4c及びシャフト部材4の軸心Cと直交する方向に形成され、第2の軸挿通孔3gと連通して支持軸6を取り付ける。
【0018】
なお、左右の当接面部3e間の横幅寸法Wとほぼ同一に設定される左右の連結面4c間の横幅寸法2rとは、シャフト部材4がシフトレバー3に連結された状態において、左右の当接面部3eが個々に左右の連結面4cと当接し得る寸法のことであり、当接面部3eと連結面4cとの当接状態において微妙な隙間を有する場合も含み、このような場合には、横幅寸法Wよりも若干小さい寸法が左右の連結面4c間の横幅寸法2rとなる。
【0019】
係合片部4bは、シャフト部材4の軸心C方向から視て四隅部分にアールが付いた長方形状に形成され、その長手方向の両端部分がベースブラケット2に形成される抜止片部2lとの係合及びその解除を可能にする。また、係合片部4bは、その長手方向が第1の軸挿通孔4dの貫通方向と同一に設定されている。係合片部4bの後端面には、シャフト部材4を介してシフトレバー3をベースブラケット2に組み付ける際に、シャフト部材4を回動操作するための回動治具(例えばマイナスドライバーなど)と係合する係合凹部4eが形成されている。
【0020】
また、シャフト部材4は、その先端側(係合片部4bとは反対側)に挿通軸部4fが設けられ、係合片部4b側となる基部側にはシャフト部4aの直径寸法2Rよりも縮径した縮径部4gが設けられている。挿通軸部4fは、ベースブラケット2の一方の側壁面2gに形成された軸支孔2jに挿通されて、シャフト部材4の先端側を回動自在にベースブラケット2に取り付ける。縮径部4gは、その直径寸法がシフトレバー3のレバー本体部3bに形成された左右の当接面部3e間の横幅寸法W以下に設定されている。これにより、縮径部4gを左右の当接面部3e間に配することが可能になっている。
【0021】
ベースブラケット2は、シフトレバー3のロッド部3aを挿通するロッド挿通孔2bが形成された上壁面2aと、シフトレバー3のレバー本体部3bを収容する収容空間2dと、該収容空間2dにレバー本体部3bを収容する際にそのレバー本体部3bを下方から挿入するための下面開口2eと、左右の側壁面2f,2gと、前壁面2h及び後壁面2iと、を備えている。なお、ベースブラケット2は、そのベースブラケット2自体の剛性を向上するためにガラス繊維入り樹脂で形成されている。
【0022】
左右の側壁面2f,2gには、それぞれシャフト部材4の両端部を支持することによりシフトレバー3をベースブラケット2に回動自在に軸支する左右一対の軸支孔2jが形成されている。また、シャフト部材4の先端側の挿通軸部4fが挿通される側の軸支孔2jが形成された側壁面2gには、シフトレバー3側の係合凸部3hを外部に通すための開口部2kが形成されている。
【0023】
一方、開口部2kが形成された側壁面2gとは反対側の側壁面2fの外壁には、軸支孔2jを回動中心としたシャフト部材4の回動操作により係合片部4bとの係合及びその解除を可能にする抜止片部2lが形成されている。抜止片部2lは、係合片部4bとの係合状態においてシャフト部材4を軸支孔2jから抜け止めしてベースブラケット2に回動自在に取り付ける。
【0024】
ベースブラケット2の上壁面2aには、一対のガイド取付孔2mが形成されており、該一対のガイド取付孔2mにそれぞれプランジャガイド9に設けられた一対の取付爪9bが係合されることで、プランジャガイド9が上壁面2aに取り付けられる。また、ベースブラケット2の前壁面2h及び後壁面2iには、それぞれシャフト部材4をシフトレバー3に連結する支持軸6を収容空間2d内で取り付けるための取付作業孔2nが形成されている。
【0025】
次に、シャフト部材4によりシフトレバー3をベースブラケット2に組み付ける際の組付手順について
図4〜
図11を参照して説明する。なお、
図4〜
図7に示す組付手順と
図8〜
図11に示す組付手順とは異なるものであり、以下の説明では、
図4〜
図7に示す手順を組付手順Aとして、
図8〜
図11に示す手順を組付手順Bとして順次説明する。
【0026】
まず、組付手順Aにおいて、
図4に示すように、ベースブラケット2の収容空間2d内にシフトレバー3のレバー本体部3bを収容するとともに、シャフト部材4を左右の側壁面2f,2gに形成された軸支孔2jに挿通する。このとき、シャフト部材4は、アール付きの長方形状に形成された係合片部4bがその長手方向を上下方向と一致させることで抜止片部2lとの係合が解除された状態にあり、また、シャフト部4aがレバー本体部3bの連結切欠部3cにおける上端3fと当接面部3eとの間で軸心Cを中心として回動可能に配された状態にある。
【0027】
なお、
図4に示す状態では、連結面4cが形成されずに外径寸法がそのまま直径寸法2Rとなるシャフト部4aの左右の円弧部分が、当接面部3eの上方位置で左右の側面3dの内壁部分と当接した状態、言い換えれば、シャフト部4aの左右の円弧部分が軸心Cを中心とした左右方向に配された状態となる。これにより、
図4に示す状態でのシャフト部材4の横幅寸法は、直径寸法2Rとなって左右の当接面部3e間の横幅寸法Wよりも大きくなる。このため、レバー本体部3bの左右の当接面部3eがシャフト部4aの左右の円弧部分と干渉することで、シャフト部材4がシフトレバー3を引き上げられないようにしている。
【0028】
次に、
図5に示すように、連結切欠部3cの上端3fと当接面部3eとの間にシャフト部4aを配した状態で、軸心Cを中心としてシャフト部材4を90°回転させる。これにより、係合片部4bの長手方向が左右方向と一致することで、係合片部4bが抜止片部2lと係合した状態、すなわちシャフト部材4が軸支孔2jから抜き止めされた状態となる。
【0029】
また、この状態では、シャフト部4aに形成された左右の連結面4cが軸心Cを中心とした左右方向に配された状態となる。これにより、
図5に示す状態でのシャフト部材4の横幅寸法は、左右の連結面4c間の横幅寸法2rとなって左右の当接面部3e間の横幅寸法Wとほぼ同一(若干小さい場合も含む)になる。このため、レバー本体部3bの左右の当接面部3eがシャフト部4aの左右の連結面4cと干渉することはなく、シフトレバー3の引き上げが可能な状態となっている。
【0030】
次に、
図6に示すように、シフトレバー3を引き上げることで、レバー本体部3bの左右の当接面部3eを個々にシャフト部材4の左右の連結面4cに当接させる。このとき、シフトレバー3に形成された左右の第2の軸挿通孔3gは、それぞれシャフト部材4に形成された第1の軸挿通孔4dと連通した状態になる。
【0031】
そして、
図7に示すように、ベースブラケット2の取付作業孔2nを通した支持軸6を、連通状態にある第1及び第2の軸挿通孔4d,3gに挿通し、その先端部分に抜け止め用のプッシュナット6bを取り付けることで、シャフト部材4をシフトレバー3に連結する。これにより、シフトレバー3は、シャフト部材4を介してベースブラケット2に組み付けられる。
【0032】
一方、組付手順Bにおいて、
図8に示すように、ベースブラケット2の収容空間2d内にシフトレバー3のレバー本体部3bを斜めに収容するとともに、シャフト部材4を左右の側壁面2f,2gに形成された軸支孔2jに挿通する。このとき、シャフト部材4は、アール付きの長方形状に形成された係合片部4bがその長手方向を上下方向と一致させることで抜止片部2lとの係合が解除された状態にあり、また、縮径部4gが左右の当接面部3e間に配された状態、言い換えれば左右の当接面部3e間で縮径部4gを挟み込む状態にある。なお、このように左右の当接面部3e間で縮径部4gを挟み込むようにすることで、シャフト部材4は、その軸心Cを中心として回動可能な状態にある。
【0033】
次に、
図9に示すように、左右の当接面部3e間で縮径部4gを挟み込んだ状態から、軸心Cを中心としてシャフト部材4を90°回転させる。これにより、係合片部4bの長手方向が左右方向と一致することで、係合片部4bが抜止片部2lと係合した状態、すなわちシャフト部材4が軸支孔2jから抜き止めされた状態となる。
【0034】
次に、
図10に示すように、斜めの状態で収容空間2d内に収容されているシフトレバー3を起立状態に移行する。言い換えれば、シャフト部材4の縮径部4gを相互間で挟み込む状態にある左右の当接面部3eを、軸心C方向に沿って第1の軸挿通孔4d側に移動させる。これにより、左右の当接面部3eは、それぞれシャフト部材4の左右の連結面4cと当接した状態になり、また、シフトレバー3に形成された左右の第2の軸挿通孔3gは、それぞれシャフト部材4に形成された第1の軸挿通孔4dと連通した状態になる。
【0035】
そして、
図11に示すように、ベースブラケット2の取付作業孔2nを通した支持軸6を、連通状態にある第1及び第2の軸挿通孔4d,3gに挿通し、その先端部分に抜け止め用のプッシュナット6bを取り付けることで、シャフト部材4をシフトレバー3に連結する。これにより、シフトレバー3は、シャフト部材4を介してベースブラケット2に組み付けられる。
【0036】
以上のように、本実施形態のシフトレバー装置1は、シフトレバー3に連結されるシャフト部材4の両端部を車両に固定されるベースブラケット2の一対の軸支孔2jで回動自在に支持することによりシフトレバー3が車両に対して揺動可能に取り付けられるシフトレバー装置1において、シフトレバー3は、運転者が操作する軸状のロッド部3aと、該ロッド部3aの基部に一体的に取り付けられるレバー本体部3bと、を備え、ベースブラケット2は、一対の軸支孔2jが個々に形成された左右の側壁面2f,2gを備え、シャフト部材4は、シャフト部4aと、該シャフト部4aの一端に一体的に設けられた鍔状の係合片部4bと、を備え、シャフト部4aには、シャフト部材4の軸心Cを中心とした左右側方の部分にそれぞれ平坦面形状に形成されるとともにシャフト部材4の軸心Cからの距離がそれぞれ同一でかつシャフト部4aの半径寸法Rよりも小さい寸法rに設定された左右の連結面4cと、該左右の連結面4c及びシャフト部材4の軸心Cと直交する方向に形成されてシャフト部材4にレバー本体部3bを連結するための支持軸6を挿通する第1の軸挿通孔4dと、が設けられ、レバー本体部3bの下側部分には、シャフト部4aの直径寸法2Rとほぼ同一の横幅寸法で上下方向に亘って切り欠いて形成されてシャフト部材4を連結する連結切欠部3cが設けられ、連結切欠部3cを形成する左右の側面3dには、連結切欠部3cの上端3fから所定寸法Hだけ下方となる位置にその連結切欠部3cの横幅寸法を狭める方向に相互に突出して形成されかつ左右の連結面4cと個々に当接する左右の当接面部3eと、該左右の当接面部3eと直交する方向に形成されかつその左右の当接面部3eと左右の連結面4cとが個々に当接した状態で第1の軸挿通孔4dと連通することで支持軸6を挿通して取り付ける第2の軸挿通孔3gと、が設けられ、所定寸法Hは、シャフト部4aを連結切欠部3cの上端3fと当接面部3eとの間に配した状態でシャフト部材4がその軸心Cを中心として回動可能となる寸法に設定され、側壁面2fの外壁には、軸支孔2jを回動中心としたシャフト部材4の回動操作により係合片部4bとの係合及びその解除を可能にするとともに、係合片部4bとの係合状態においてシャフト部材4を軸支孔2jから抜け止めしてベースブラケット2に回動自在に取り付ける抜止片部2lが設けられることを特徴とする。
【0037】
このように、シャフト部材4にシャフト部4aの半径寸法よりも小さい寸法に設定された左右の連結面4cを設け、シフトレバー3のレバー本体部3bに形成された連結切欠部3cに左右の連結面4cと個々に当接する左右の当接面部3eを設けることで、シャフト部材4を連結切欠部3c内(連結切欠部3cを形成する左右の側面3d間)に配した状態でシャフト部材4を回動可能にできる。このため、シャフト部材4を介してシフトレバー3をベースブラケット2に組み付ける際には、連結切欠部3c内にシャフト部材4を配した状態からシャフト部材4の回動操作とシフトレバー3の移動操作で簡単に連結面4cと当接面部3eとを当接状態にすることができるので、面接触によるシャフト部材4とシフトレバー3との組み付け精度の向上を図った上で組み付け作業を容易にできる。そして、シャフト部材4を構成するシャフト部4aの一端に鍔状の係合片部4bを一体的に設け、ベースブラケット2の側壁面2fの外壁にはシャフト部材4の回動操作により係合片部4bとの係合及びその解除を可能にする抜止片部2lを設けることで、シャフト部材4とベースブラケット2との間でシャフト部材4の抜け止め構造を構成することができる。従って、シャフト部材4の抜け止め用部品(例えばプレート部材など)を別途設ける必要がなくなるため、部品点数を削減することができる。
【0038】
シャフト部材4は、係合片部4b側となる基部がシャフト部4aの直径寸法2Rよりも縮径した縮径部4gとして形成され、該縮径部4gの直径寸法は、左右の当接面部3e間の横幅寸法W以下に設定されることで、縮径部4gを左右の当接面部3e間に配することを可能にする。これにより、収容空間2d内にレバー本体部3bを斜めに収容することで左右の当接面部3e間で縮径部4gを挟み込む状態にして、この状態からシフトレバー3をベースブラケット2に組み付ける組付手順Bが可能になる。
【0039】
係合片部4bの後端面には、軸支孔2jを回動中心としてシャフト部材4を回動操作するための回動治具(例えばマイナスドライバー)と係合する係合凹部4eが形成される。これにより、シャフト部材4の係合片部4bをベースブラケット2の抜止片部2lに係合するシャフト部材4の抜け止め操作を行い易くできる。
【0040】
シフトレバー3に付勢力を付与することにより、そのシフトレバー3をシフト位置で保持するシフト位置保持手段(プランジャ7、スプリング8、及びプランジャガイド9)を備える。これにより、シフトレバー3をそれぞれのシフト位置で確実に停止させることができるので、不意の力がシフトレバー3に加わることで、誤ってシフトレバー3のシフト位置が変わってしまうことを回避できる。
【0041】
以上、本発明の実施形態を説明したが、これはあくまで例示に過ぎず、本発明はこれに限定されるものではなく、特許請求の範囲の趣旨を逸脱しない限りにおいて種々の変更が可能である。例えば、実施形態中の構成では、シャフト部材4に縮径部4gを設けた構成としているが、必ずしも縮径部4gを備えたシャフト部材4に限定されるものではなく、シャフト部材4の先端側(挿通軸部4f側)から係合片部4bが形成された基部側まで連続的に連結面4cを備えたシャフト部4aを形成するようにしてもよい。ただし、この場合、
図4〜
図7に示した組付手順Aでの組み付け作業は行えるものの、
図8〜
図11に示した組立手順Bでの組み付け作業は行えない。