【0011】
さらに、第二成分は、シリカや第一成分で用いられる酸化チタンよりもOH基が少なく、かつ比表面積が小さい酸化チタン、アルミナなどが選ばれるが、熱的に安定な酸化物であればこれらに限定されない。また、活性成分であるVの移動防止の効果を得るために、第二成分で用いられる酸化物の比表面積は30m
2/g以下のものが好ましい。第二成分が酸化チタンである場合、700℃以上で熱処理することが好ましい。これにより、酸化チタン表面に含まれるOH基が減少し不活性になり、さらに、比表面積が30m
2/g以下にまで減少する。第二成分がアルミナである場合、α−アルミナを用いる他に、酸化アルミニウム(γ、δ、θ、η、ρ、χ−アルミナなど)や水酸化アルミニウム(無水、或いは水和物)、或いはアルミナゾルを1000℃以上の熱処理を行うことが好ましく、これにより、アルミナがα化しているとより好ましい。この操作により、酸化チタンと同様に表面のOH基の減少と共に、数m
2/g程度の比表面積のアルミナを得ることができる。第二成分がシリカである場合、結晶性シリカ、非晶質シリカや石英、珪砂、珪石、珪藻土、或いはシリカゾルの焼成体などを用いることができる。
【実施例】
【0014】
以下、具体的に実施例を用いて本発明を詳細に説明する。
[実施例1]
第二成分である酸化チタン(石原産業社製 CR50、比表面積約12m
2/g)と第三成分である二水石膏(キシダ化学社製、比表面積23m
2/g)の粉末を、重量比99:1になるように6.0g取り、ポリエチレン製の袋の中で物理混合した。この粉末1.0gを錠剤成型器(φ10mm)に充填し、1.3t/cm
2加圧し、ディスクを得た。
[実施例2]
実施例1において、酸化チタンと二水石膏の重量比を90:10に変える以外は同様に行った。
[実施例3]
実施例1において、酸化チタンと二水石膏の重量比を80:20に変える以外は同様に行った。
【0015】
[実施例4]
実施例1において、酸化チタン(石原産業社製 MC90、比表面積約90m
2/g)を予め750℃で2時間焼成して比表面積を30m
2/gとしてから用いるように変える以外は同様に行った。
[実施例5]
実施例3において、酸化チタンをシリカ(龍森社製 Imsil A-25、比表面積6m
2/g)に変える以外は同様に行った。
[実施例6]
実施例3において、酸化チタンをα-アルミナ(キシダ化学社製、比表面積2m
2/g)に変える以外は同様に行った。
【0016】
[比較例1]
実施例1において、二水石膏を添加しない以外は同様に行った。
[比較例2]
比較例1において、酸化チタンを石原産業社製 MC90(比表面積約90m
2/g)を予め750℃で2時間焼成して比表面積を30m
2/gとしてから用いるように変える以外は同様に行った。
[比較例3]
比較例1において、酸化チタンをシリカ(龍森社製 Imsil A-25、比表面積6m
2/g)に変える以外は同様に行った。
[比較例4]
比較例1において、酸化チタンをα-アルミナ(キシダ化学社製、比表面積2m
2/g)に変える以外は同様に行った。
【0017】
[試験例1(硬度評価試験)]
はじめに、第三成分による第二成分の結合性改善効果を明確にするため、第二成分と第三成分のみで以下のような試験を行った。実施例及び比較例の触媒について木屋式硬度計(Sanriki社製)を用いて、破壊硬度を測定した。得られた結果を表1に纏めて示した。
表1の結果から、実施例1〜6が比較例1〜4の破壊硬度よりも何れも高く、第三成分である石膏の添加により、第二成分の保形性が改善されることは明らかである。
【0018】
【表1】
【0019】
[触媒調製例1]
メタバナジン酸アンモニウム1.65gを水36gに溶解させ、これに酸化チタン(石原産業社製MC90、比表面積約90m
2/g)24gを入れ、加熱混練を行った。これを40℃で一時間保温した後、120℃で一時間乾燥後、500℃で2時間焼成して第一成分である触媒を得た。本触媒の組成はTi/V=95.5/4.5 原子比である。得られたTi/V粉末に、第二成分として酸化チタン(石原産業社製CR50、比表面積約10m
2/g)、第三成分として二水石膏(キシダ化学社製)として用い、それぞれを425〜500μmの粒径に揃えた。次に、第一成分と第二成分の重量比が30/70、第一成分と第二成分と第三成分との総和に対する第三成分の割合が10重量%になるようにそれぞれの粉末を採取し、ポリエチレン製の袋の中で物理混合した。この粉末1.0gを錠剤成型器に充填後、1.3t/cm
2で加圧し、表3に示す粒状に成型した。物理混合後の触媒の組成はTi/V=98.5/1.5 原子比である。
【0020】
[触媒調製比較例1]
実施例6において、二水石膏を添加せず、また第二成分の酸化チタンを比表面積のより大きい酸化チタン(石原産業社製 MC90、比表面積約90m
2/g)に変える以外は同様に行った。
[触媒調製比較例2]
触媒調製例1において、二水石膏を第一成分と第二成分と第三成分との総和に対して30重量%になるように変える以外は同様に行った。
【0021】
[試験例2(耐久性評価試験)]
上記実施例の耐久性の効果を示すため以下のような試験を行った。表2の耐久試験の条件で耐久試験を行い、表3に示した条件で脱硝性能を測定した。得られた結果、および耐久試験前の結果を表4に纏めて示した。
表4から、触媒調製例1の触媒が触媒調製比較例1の触媒に比べ、耐久試験後の脱硝活性が高く、耐久性が高いことが明らかである。また、触媒調製比較例2で石膏の含有量が30重量%の触媒では、触媒調製例1の触媒よりも初期の脱硝率が低い。
【0022】
【表2】
【0023】
【表3】
【0024】
【表4】