特許第5854828号(P5854828)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】5854828
(24)【登録日】2015年12月18日
(45)【発行日】2016年2月9日
(54)【発明の名称】吸収性物品
(51)【国際特許分類】
   A61F 13/15 20060101AFI20160120BHJP
【FI】
   A41B13/02 R
【請求項の数】5
【全頁数】11
(21)【出願番号】特願2011-287446(P2011-287446)
(22)【出願日】2011年12月28日
(65)【公開番号】特開2013-135727(P2013-135727A)
(43)【公開日】2013年7月11日
【審査請求日】2014年12月25日
(73)【特許権者】
【識別番号】390029148
【氏名又は名称】大王製紙株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100090033
【弁理士】
【氏名又は名称】荒船 博司
(74)【代理人】
【識別番号】100093045
【弁理士】
【氏名又は名称】荒船 良男
(72)【発明者】
【氏名】巣山 潤之介
【審査官】 一ノ瀬 薫
(56)【参考文献】
【文献】 特開2010−29360(JP,A)
【文献】 特開2001−316906(JP,A)
【文献】 特開2007−68641(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61F 13/00
A61F 13/15 − 13/84
A61F 5/44
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
透液性の表面シートと、裏面シートと、前記表面シートと前記裏面シートとの間に介装される吸収体と、を備える吸収性物品であって、
前記吸収体には、切り欠き部が形成され、
前記表面シート及び前記裏面シートには、前記切り欠き部の位置に合わせて切れ目が形成され、
前記裏面シートは、前記切れ目を境界として、一方の半面が透液性の透水シート、他方の半面が不透液性の防水シートで形成され、
前記表面シートの前記他方の半面側の前記切れ目が形成されている端部側に第1の止着部が設けられていることを特徴とする吸収性物品。
【請求項2】
前記吸収体は、前記切り欠き部を境界として、前記他方の半面側が前記一方の半面側よりも大きくなるように形成されていることを特徴とする請求項1に記載の吸収性物品。
【請求項3】
前記透水シートの前記切れ目が形成されている端部側に第2の止着部が設けられていることを特徴とする請求項1又は2に記載の吸収性物品。
【請求項4】
前記切れ目は、前記切れ目に相当する位置に形成されたミシン目が切り取られることにより形成されることを特徴とする請求項1〜3のいずれか一項に記載の吸収性物品。
【請求項5】
前記一方の半面に位置する前記吸収体は、前記他方の半面に位置する前記吸収体よりも吸収速度が速く、吸収量が少なくなるように形成されていることを特徴とする請求項1〜4のいずれか一項に記載の吸収性物品。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、吸収性物品に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、高齢者・障害者等の成人用の吸収性物品として、表面シートと、裏面シートと、両シートの間の一部に介装された吸収体と、を備えた使い捨ておむつや尿取りパッドが広く利用されている。そして、男性用に特化した吸収性物品として、男性器を被包して用いるタイプの男性用尿取りパッドが知られている。この男性用尿取りパッドは、従来の使い捨ておむつや尿取りパッドと同様に、表面シート、裏面シート、及び吸収体を備えた吸収性物品であるが、単に着用者に宛がうのではなく、男性器を被包して用いる点に特徴がある。
【0003】
上記のような男性用尿取りパッドは、男性器を被包した状態で用いるため、使い捨ておむつ、或いは単に下着やおむつ上に載置して用いる平当ての尿取りパッドと比較して、排泄物と着用者の肌との接触面積を少なくすることができ、排泄物に起因するスキントラブルを減少させることが可能となるという利点がある。
【0004】
ところで、男性用尿取りパッドを使用する際には、男性器の位置が安定しないことに鑑み、男性用尿取りパッドを袋状に成形して男性器にかぶせることで、漏れを防止させることがある。
例えば、上端縁側にスポンジ状部材を配置し、スポンジ状部材にスリット、開口部、及び破断によりスリット又は開口部を形成し得るミシン目群の少なくとも一種を形成することで、男性器に対する固定効果が高く、尿漏れの原因となる尿取りパッドのズレや外れを有効に防止できるようにしたものが知られている(例えば、特許文献1参照)。
【0005】
また、他の一例として、液不透過性バックシート上に平面状吸収体と液透過性トップシートを積層した基板を2つ折りし、その両サイドを接合して形成された袋状体の開口部の内側にパッド固定用棒状体を取り付け、袋状体の中にブロック状吸収体を収容し、バックシートの延長部の裏面に粘着剤層を設けることで、股間の蒸れが少なく、多量の小水を保有することができ、漏れが少なく、外出用にも使用できるものが知られている(例えば、特許文献2参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開2007−68641号公報
【特許文献2】特許第4714298号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
しかしながら、従来の男性用尿取りパッドを使用する場合、介護者の経験が浅いと、袋状に上手く成形することができないことがあり、結果として平当ての尿取りパッドよりも尿が漏れやすくなることがある。
また、一般的な形状である矩形状の尿取りパッドを袋状に成形した場合、先端部に隙間が生じてしまうため、先端部から尿が漏れてしまうことがある。
また、尿取りパッドの外面側(着用者の衣服側)が防水シートで形成されている場合、着用者の男性器に被包させた際に男性器に接触する側の面だけで尿が吸収されることとなるため、尿を上手く拡散させることができず、外部に漏れやすくなる。一方、尿取りパッドの外面側を不織布などの透過性シートで形成したものも存在するが、多量の排尿時には透過性シートを尿が透過してしまうため、おむつや下着を汚すこととなる。
また、予め袋状に成形した尿取りパッドを使用することも考えられるが、この場合着用者の男性器の大きさに合わせて適切な大きさに変形することができない。
【0008】
本発明は、適切な形状に容易に成形でき、且つ尿漏れを防止できる吸収性物品を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
請求項1に記載の発明は、上記目的を達成するためになされたものであり、
透液性の表面シートと、裏面シートと、前記表面シートと前記裏面シートとの間に介装される吸収体と、を備える吸収性物品であって、
前記吸収体には、切り欠き部が形成され、
前記表面シート及び前記裏面シートには、前記切り欠き部の位置に合わせて切れ目が形成され、
前記裏面シートは、前記切れ目を境界として、一方の半面が透液性の透水シート、他方の半面が不透液性の防水シートで形成され、
前記表面シートの前記他方の半面側の前記切れ目が形成されている端部側に第1の止着部が設けられていることを特徴とする。
【0010】
請求項2に記載の発明は、請求項1に記載の吸収性物品において、
前記吸収体は、前記切り欠き部を境界として、前記他方の半面側が前記一方の半面側よりも大きくなるように形成されていることを特徴とする。
【0011】
請求項3に記載の発明は、請求項1又は2に記載の吸収性物品において、
前記透水シートの前記切れ目が形成されている端部側に第2の止着部が設けられていることを特徴とする。
【0012】
請求項4に記載の発明は、請求項1〜3のいずれか一項に記載の吸収性物品において、
前記切れ目は、前記切れ目に相当する位置に形成されたミシン目が切り取られることにより形成されることを特徴とする。
【0013】
請求項5に記載の発明は、請求項1〜4のいずれか一項に記載の吸収性物品において、
前記一方の半面に位置する前記吸収体は、前記他方の半面に位置する前記吸収体よりも吸収速度が速く、吸収量が少なくなるように形成されていることを特徴とする。
【発明の効果】
【0014】
本発明によれば、吸収体には、切り欠き部が形成され、表面シート及び裏面シートには、切り欠き部の位置に合わせて切れ目が形成されているので、吸収性物品を先端部に隙間を生じさせることなく容易に略円錐状に成形することができることとなって、先端部からの尿漏れを防止しつつ、効率的に成形作業を行うことができる。
また、裏面シートは、切れ目を境界として、一方の半面が透液性の透水シート、他方の半面が不透液性の防水シートで形成されているので、吸収性物品を略円錐状に成形する際に、内面側(着用者の身体との接触面側)に透液性のシート(表面シート及び透水シート)、最も外面側(着用者の衣服側)に不透液性の防水シートが位置するように成形することができることとなって、吸収体の広範囲で尿を吸収することができ、結果として、尿漏れを防止することができる。
また、表面シートの他方の半面側(裏面が防水シート側)の切れ目が形成されている端部側に第1の止着部が設けられているので、吸収性物品を略円錐状に成形する際に、第1の止着部を防水シートに止着させる位置を調整することができることとなって、着用者の男性器の大きさに合わせた適切な形状に成形することができる。
【図面の簡単な説明】
【0015】
図1】本実施形態に係る吸収性物品を表面側から見た図である。
図2】本実施形態に係る吸収性物品を裏面側から見た図である。
図3】本実施形態に係る吸収性物品を略円錐状に成形するときの一手順を示す図である。
図4】本実施形態に係る吸収性物品を略円錐状に成形したときの一例を示す図である。
図5図4をYZ平面で見た図である。
図6】本実施形態に係る吸収性物品の変形例1について示す図である。
図7】本実施形態に係る吸収性物品の変形例2について示す図である。
図8】本実施形態に係る吸収性物品の変形例3について示す図である。
図9】本実施形態に係る吸収性物品の変形例4について示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0016】
以下、本発明の実施の形態を図面に基づいて説明する。
【0017】
吸収性物品は、例えば、夜用又は長時間用の男性用尿取りパッドであり、おむつやおむつカバー、パンツなどの人体に装着される外装体(図示省略)と併せて着脱・交換自在に使用される。以下の説明においては、吸収性物品として、インナーパッド1を例示して説明する。
なお、以下の説明では、図1に示す面を表面、表面の反対側の面(図2に示す面)を裏面とする。また、後述する表面シート11及び裏面シート12に形成される切れ目Gの方向をX方向、図1が示す平面でX方向と直交する方向をY方向とする。また、X方向及びY方向に直交する方向をZ方向とする。
【0018】
インナーパッド1は、図1及び図2に示すように、着用者の身体との接触面側(表面側)に設けられる透液性の不織布からなる表面シート11と、着用者の身体との接触面と反対の面側(裏面側)に設けられる裏面シート12と、表面シート11と裏面シート12との間に介装される吸収体13と、を備えて構成されている。
【0019】
表面シート11は、尿などの体液を速やかに透過させる透液性を有する素材から形成され、体液を受けて、吸収体13まで輸送する機能を有する。
表面シート11は、不織布が好適に用いられ、具体的には、例えば、ポリエチレン又はポリプロピレン等のオレフィン系、ポリエステル系、ポリアミド系等の合成繊維、レーヨンやキュプラ等の再生繊維、綿等の天然繊維を繊維素材として、スパンレース法、スパンボンド法、サーマルボンド法、メルトブローン法、ニードルパンチ法等の適宜の加工法によって加工したものが用いられる。
なお、表面シート11に多数の透孔を形成した場合には、体液がより速やかに吸収されるようになり、ドライタッチ性に優れたものとなる。
【0020】
裏面シート12は、図2に示すように、後述する切れ目Gを境界として、Y方向略中央で分けられた2つの半面のうち、一方の半面(図中左面)が、表面シート11と同様、尿などの体液を速やかに透過させる透液性を有する素材からなる透水シート121で形成され、他方の半面(図中右面)が、不透液性を有する素材からなり、体液等のインナーパッド1外部への染み出し、漏れ出しを防ぐ機能を有する防水シート122で形成されている。
【0021】
透水シート121は、トップシート10と同様、不織布が好適に用いられ、具体的には、例えば、ポリエチレン又はポリプロピレン等のオレフィン系、ポリエステル系、ポリアミド系等の合成繊維、レーヨンやキュプラ等の再生繊維、綿等の天然繊維を繊維素材として、スパンレース法、スパンボンド法、サーマルボンド法、メルトブローン法、ニードルパンチ法等の適宜の加工法によって加工したものが用いられる。
【0022】
防水シート122は、例えば、ポリエチレンやポリプロピレンなどの少なくとも遮水性を有するシート材であって、ムレ防止の観点から透湿性を有するシート材であることが好ましい。この遮水性と透湿性とを具備するシート材としては、例えば、ポリエチレンやポリプロピレンなどのオレフィン系樹脂中に無機充填剤を溶融混練してシートを成形した後、一軸又は二軸方向に延伸することにより得られる微多孔性シート材が好適に用いられる。その他にも、不透液性を有するフィルム層と、通気性を有する不織布層と、からなるラミ不織布を用いても良い。ラミ不織布とは、例えばポリエチレンシート等に不織布を積層した、ラミネート不織布と呼ばれる不織布のことであり、不透液性と通気性を併せ持つ不織布である。
【0023】
吸収体13は、インナーパッド1の使用時に体液としての尿等の水様成分を吸収する役割を果たすものであり、例えば、綿やパルプなどの吸収性素材、高吸水性樹脂(SAP;Super Absorbent Polymer)、繊維やフィルムなどのシート状基材等を組み合わせて形成されている。高吸水性樹脂としては、カルボキシメチルセルロース、ポリアクリル酸およびその塩類、アクリル酸塩重合体架橋物、澱粉−アクリル酸グラフト共重合体、澱粉−アクリロニトリルグラフト共重合体の加水分解物、ポリオキシエチレン架橋物、カルボキシメチルセルロース架橋物、ポリエチレンオキサイド、ポリアクリルアミド等の水膨潤性ポリマーを部分架橋したもの、あるいはイソブチレンとマレイン酸との共重合体等が好適に用いられる。
【0024】
また、吸収体13は、略円形状に形成され、一部を切り欠くことにより切り欠き部131が形成されている。
表面シート11及び裏面シート12には、切り欠き部131の位置に合わせて、X方向一端部側(図中上端部側)且つY方向略中央の位置に切れ目Gが形成されている。なお、本実施形態では、切れ目Gが、透水シート121と防水シート122の境界と一致する位置に形成されている。
【0025】
また、図1に示すように、表面シート11の切れ目G近傍左側の位置、即ち、表面シート11の、他方の半面側(裏面が防水シート122側)の切れ目Gが形成されている端部側(図中上端部側)に第1の止着部としての粘着部111が設けられている。
粘着部111は、粘着剤が塗布されて形成されており、粘着剤として、例えば、一般的に耐久性において優れた性質をもっているポリアクリル酸エステルを主体としたアクリル系接着剤や、天然ゴム、合成ゴムの弾力性成分と粘着付与剤が主成分で、これに可塑剤、老化防止剤などが配合されているゴム系接着剤などを使用することができ、それ以外にホットメルト接着剤などの既知の接着剤も使用可能である。
【0026】
次に、本実施形態に係るインナーパッド1の使用方法について、図3図5を参照して説明する。
まず、図3に示すように、インナーパッド1の表面側から見てY方向右側且つX方向一端部側(図中上端部側)を、内側(図中手前側)且つY方向左側に丸め込むように軽く折り曲げる(手順1)。
次に、図4及び図5に示すように、インナーパッド1の表面側から見てY方向左側且つX方向一端部側を内側且つY方向右側に丸め込むように折り曲げ、表面シート11に形成された粘着部111を、手順1で折り曲げられたインナーパッド1の裏面シート12(防水シート122)に止着させる(手順2)。これにより、インナーパッド1を、略円錐状に成形することができる。
次に、略円錐状に成形したインナーパッド1を着用者の男性器にかぶせた後、外装体を装着させる(手順3)。
【0027】
以上のように、本実施形態に係るインナーパッド1によれば、吸収体13には、切り欠き部131が形成され、表面シート11及び裏面シート12には、切り欠き部131の位置に合わせて切れ目Gが形成されているので、インナーパッド1を先端部に隙間を生じさせることなく容易に略円錐状に成形することができることとなって、先端部からの尿漏れを防止しつつ、効率的に成形作業を行うことができる。
また、裏面シート12は、切れ目Gを境界として、一方の半面が透液性の透水シート121、他方の半面が不透液性の防水シート122で形成されているので、インナーパッド1を略円錐状に成形する際に、内面側(着用者の身体との接触面側)に透液性のシート(表面シート11及び透水シート121)、最も外面側(着用者の衣服側)に不透液性の防水シート122が位置するように成形することができることとなって、吸収体13の広範囲で尿を吸収することができ、結果として、尿漏れを防止することができる。
また、表面シート11の他方の半面側(裏面が防水シート122側)の切れ目Gが形成されている端部側に粘着部111が設けられているので、インナーパッド1を略円錐状に成形する際に、粘着部111を防水シート122に止着させる位置を調整することができることとなって、着用者の男性器の大きさに合わせた適切な形状に成形することができる。
【0028】
以上、本発明に係る実施形態に基づいて具体的に説明したが、本発明は上記実施形態に限定されるものではなく、その要旨を逸脱しない範囲で変更可能である。
【0029】
<変形例1>
例えば、図6に示す例では、実施形態と比べ、吸収体13Aの形状が異なっている。
具体的には、吸収体13Aは、図6に示すように、切り欠き部131Aを境界として、裏面が防水シート122側である他方の半面側(図中右面側)が、裏面が透水シート121側である一方の半面側(図中左面側)よりも大きくなるように形成されている。
【0030】
このように、変形例1に係るインナーパッド1によれば、吸収体13Aは、切り欠き部131Aを境界として、他方の半面側が一方の半面側よりも大きくなるように形成されているので、成形作業を容易にすることができるとともに、成形時に外面側(着用者の衣服側)を吸収体13A及び防水シート122で幅広く覆うことができることとなって、尿漏れを防止しつつ、インナーパッド1の吸水性能をより向上させることができる。
【0031】
<変形例2>
また、図7に示す例では、実施形態と比べ、透水シート121に第2の止着部としての粘着部123が設けられている点で異なっている。
具体的には、透水シート121の切れ目Gが形成されている端部側(図中上端部側)に粘着部123が設けられている。なお、図7に示す例では、透水シート121の切れ目G近傍の位置に粘着部123を設けるようにしている。
粘着部123は、粘着部111と同様、粘着剤が塗布されて形成されており、粘着剤として、例えば、一般的に耐久性において優れた性質をもっているポリアクリル酸エステルを主体としたアクリル系接着剤や、天然ゴム、合成ゴムの弾力性成分と粘着付与剤が主成分で、これに可塑剤、老化防止剤などが配合されているゴム系接着剤などを使用することができ、それ以外にホットメルト接着剤などの既知の接着剤も使用可能である。
【0032】
このように、変形例2に係るインナーパッド1によれば、透水シート121の切れ目Gが形成されている端部側に粘着部123が設けられているので、インナーパッド1を略円錐状に成形する際に、粘着部123を表面シート11のY方向左側且つX方向他端部側(図中下端部側)に止着させることができることとなって、内面側(着用者の身体との接触面側)からも成形後の形状を固定することができる。
【0033】
<変形例3>
また、図8に示す例では、実施形態と比べ、切れ目Gに相当する位置が切り離されていない点で異なっている。
具体的には、図8に示すように、表面シート11及び裏面シート12には、切れ目Gに相当する位置にミシン目Mが形成されている。そして、図8に示す例では、ミシン目Mが切り取られることにより切れ目Gが形成されるようになっている。
【0034】
このように、変形例3に係るインナーパッド1によれば、切れ目Gは、切れ目Gに相当する位置に形成されたミシン目Mが切り取られることにより形成されるので、任意の長さの切れ目Gを形成することができることとなって、着用者の男性器の大きさに合わせて形状を調整することができる。
【0035】
<変形例4>
また、図9に示す例では、実施形態と比べ、吸収体13Bの構造が異なっている。なお、図9については、本変形例の説明の都合上、表面シート11及び裏面シート12の図示を省略し、吸収体13Bの構造を見えやすくしている。
具体的には、図9に示すように、吸収体13Bの、切り欠き部131を境界として、裏面が透水シート121側である一方の半面(図中左面)132は吸収速度が速くなるように、裏面が防水シート122側である他方の半面(図中右面)133は吸収量が多くなるように形成されている。即ち、一方の半面132に位置する吸収体13Bは、他方の半面133に位置する吸収体13Bよりも吸収速度が速く、吸収量が少なくなるように形成されている。
吸収速度を速くする方法としては、例えば、パルプのポリマー比を低くする方法や通液性の高いポリマーを使用する方法などが挙げられる。吸収量を多くする方法としては、例えば、高吸水性樹脂を多く含ませる方法などが挙げられる。
【0036】
このように、変形例4に係るインナーパッド1によれば、一方の半面132に位置する吸収体13Bは、他方の半面133に位置する吸収体13Bよりも吸収速度が速く、吸収量が少なくなるように形成されているので、着用時に着用者の身体と接触する内面側では尿吸収の速度を優先し、外面側では尿漏れ防止のために吸収量を優先することができることとなって、着用者の使用感を向上させることができる。
【0037】
<その他の変形例>
例えば、上記実施形態では、吸収体13の形状として、略円形状のものを例示して説明しているが、これに限定されるものではなく、例えば、吸収体13をハート型に形成するようにしてもよい。
【0038】
また、上記実施形態では、第1の止着部として粘着部111、第2の止着部として粘着部123を例示して説明しているが、これに限定されるものではない。例えば、粘着部111及び粘着部123の代わりに、不織布に係止可能なフック材等の止着部材を設けるようにしてもよい。
【0039】
その他、インナーパッド1の細部構成に関しても、本発明の趣旨を逸脱することのない範囲で適宜変更可能である。
【符号の説明】
【0040】
1 インナーパッド(吸収性物品)
11 表面シート
111 粘着部(第1の止着部)
12 裏面シート
121 透水シート
122 防水シート
123 粘着部(第2の止着部)
13、13A、13B 吸収体
131、131A 切り欠き部
132 吸収体の一方の半面
133 吸収体の他方の半面
G 切れ目
M ミシン目
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9