(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明を実施するための形態】
【0017】
以下、本発明の実施形態に係る非接触型プローブカードについて、添付図面を参照しながら説明する。なお、本発明の非接触型プローブカードが組み込まれる装置としては、上述した特許文献1,2の検査装置を含む、種々の装置を用いることができる。具体的には、本発明の非接触型プローブカードを組み込むことができるすべての装置に対して本発明を適用することができる。このため、以下では、非接触型プローブカードを中心に説明する。
【0018】
[第1実施形態]
本実施形態に係る非接触型プローブカードは、複数のダミープローブを被検査デバイスにそれぞれコンタクトさせて、各ダミープローブの先端近傍に設けたセンサー部をプローブ側のインターフェースとすることで、センサー部と被検査デバイスの間の距離を一定に保つようにしたものである。以下、図面を基に具体的に説明する。
【0019】
本実施形態のプローブカードは、配線基板40、非接触型プローブ41、電源プローブ42及びGNDプローブ43で構成される。各プローブは、カンチレバータイプのプローブである。プローブは、MEMS技術(Micro Electro Mechanical Systems)で製造されるが、他の製造方法を用いたプローブでも良い。被検査デバイスとしては、シリコンウエハ上に作られた半導体デバイスを例に説明する。半導体ウエハ31には、
図3に示すように、スクライブライン32で仕切られた被検査デバイスとしてのICチップ33が縦横に整列して複数個設けられている。各ICチップ33上には、信号パッド34と、ダミーパッド35と、電源パッド36と、GNDパッド37とが設けられている。
【0020】
信号パッド34は、後述するセンサー部54との間で信号の授受を非接触で行う電極である。本実施形態では、各ICチップ33上に4つ並べて設けられている。
【0021】
ダミーパッド35は、後述する非接触型プローブ41の先端接触部51が接触して押圧するための部材である。このダミーパッド35は、信号パッド34の数と同じ数だけ半導体ウエハ31上に設けられている。各ICチップ33上では、ダミーパッド35は、信号パッド34に合わせて4つ設けられている。各ダミーパッド35は、4つ並んだ信号パッド34に並列にそれぞれ所定間隔をあけて設けられている。ダミーパッド35は、半導体デバイスの回路と絶縁されている。ダミーパッド35は、半導体製造工程において作り込んでもよく、半導体の製造後に貼り付けてもよい。ダミープローブである先端接触部51のコンタクト時に、半導体を損傷しなければ、他の方法でもよい。また、ダミーパッド35の配置位置をスクライブライン上としてもよい。
【0022】
電源パッド36は、後述する電源プローブ42に接触して電源を供給するための電極である。電源パッド36は、図示の例では各ICチップ33に1つずつ設けられている。電源パッド36は、各ICチップ33上の4つの信号パッド34と同列に配設されている。
【0023】
GNDパッド37は、後述するGNDプローブ43に接触して基準電位にするための電極である。GNDパッド37は、図示の例では電源パッド36と同様に、各ICチップ33に1つずつ設けられている。GNDパッド37は、各ICチップ33上の4つの信号パッド34と同列に配設されている。
【0024】
本実施形態に係る非接触型プローブ41は、被検査デバイスである半導体ウエハ31と設定間隔を空けて電気的に非接触状態で検査を行うためのプローブである。この非接触型プローブ41は、電源プローブ42及びGNDプローブ43と共に
図4〜9に示すように配設されている。具体的には、プローブカードの配線基板40の下側面に、非接触型プローブ41、電源プローブ42及びGNDプローブ43がそれぞれ備えている。これら非接触型プローブ41、電源プローブ42及びGNDプローブ43は、ICチップ33上の信号パッド34、ダミーパッド35、電源パッド36及びGNDパッド37に対応する位置に、先端部をそれらのパッドに対向させる向きにして配線基板40の下側面に配設されている。即ち、非接触型プローブ41は、ICチップ33上の4つの信号パッド34及びダミーパッド35に合わせて4つ設けられている。電源プローブ42は、ICチップ33上の電源パッド36に合わせて1つ設けられている。GNDプローブ43は、ICチップ33上のGNDパッド37に合わせて1つ設けられている。
【0025】
配線基板40は、内部に必要な配線と回路を設けた配線基板であり、
図4,5ではその一方の面である下側面に複数のプローブを設け、他方の面である上側面にはテスターに接続するためのテスターパッド(図示せず)が設けられている。配線基板40の内部には、非接触型プローブ41の信号授受に必要な回路(通信回路、増幅回路、及び制御回路)等が設けられており、それらの回路と非接触型プローブ41のセンサー部54とは非接触型プローブ41、プローブパッド59、配線53を通して接続されている。また、電源部ローブ42及びGNDプローブ43は、配線基板40の上測面の対応するテスターパッド(図示せず)に配線66、70で接続されている。
【0026】
非接触型プローブ41は、カンチレバータイプのプローブである。非接触型プローブ41は、
図6〜9に示すように、先端接触部51と、弾性支持部52と、センサー部54とから構成されている。
【0027】
先端接触部51は、被検査デバイスである半導体ウエハ31に絶縁状態で接触するコンタクト部(ダミープローブ)である。先端接触部51の先端面51Aは平坦面状に形成され、広い面積でダミーパッド35に接触して押圧される。これにより、その先端面51Aはダミーパッド35を削り込むことなく、ダミーパッド35に与えるダメージが少ない。先端面51Aがダミーパッド35に接触して押圧された時、各々の信号パッド34とセンサー部54の高さ関係は正確に保たれるようになっている。
【0028】
弾性支持部52は、先端接触部51を弾性的に支持するための部材である。弾性支持部52は、支持ブロック57と、弾性板部58とから構成されている。
【0029】
支持ブロック57が配線基板40の下側面に設けられたプローブパッド59に固着されることにより、各非接触型プローブ41は配線基板40の下側面に可撓性を有して支持されている。
【0030】
弾性板部58は、支持ブロック57に支持された状態で、先端接触部51を弾性的に支持するための部材である。弾性板部58は、平行に設けた2枚のアーム部材で構成されている。この2枚のアーム部材は、同じ材料で構成されて同じ特性を有し、外部応力に対して同じ撓み方をするようになっている。これにより、弾性板部58は、先端面51Aがダミーパッド35にコンタクトしたときに
図6のようにOD量(オーバードライブによる変位する量)だけ変位すると、平行に設けた2枚のアーム部材が同じ撓み方で弾性変形して、先端接触部51を、その角度を保った状態で上下動可能に支持している。
【0031】
センサー部54は、
図7〜9に示すように、半導体ウエハ31の信号パッド34との間で信号の授受を非接触で行うためのプローブ側のインターフェイスである。センサー部54と信号パッド34との間は、設定間隔に保たれて、無線通信による信号の授受が行われる。なお、無線通信の方式としては、磁界結合方式、電界結合方式等の既存の方式を用いることができる。センサー部54は、非接触型プローブ41と、配線基板40の配線53を通して配線基板40の内部回路に電気的に接続されている。センサー部54は、検査時に、半導体ウエハ31の信号パッド34と設定間隔を空けて対向する位置に配置される。
【0032】
センサー部54は、先端接触部51の先端面51Aより高い位置(弾性支持部52に近い方向)に支持されている。即ち、センサー部54は、先端接触部51の先端面51Aを基準としてこの先端面51Aから先端接触部51の長手方向に設定間隔を空けて先端接触部51と一体構造で配置されている。具体的には、センサー部54は、上記先端接触部51から枝分かれした腕部62に支持されている。腕部62は、先端接触部51の途中から横方向(弾性支持部52に沿う方向)へ張り出して形成されている。腕部62は、L字状に曲げられてその先端を下方(検査時の信号パッド34の方向)に向けている。センサー部54は、この腕部62の先端部に、検査時に信号パッド34に対して設定間隔を空ける位置に先端面51Aから設定間隔を空けて先端接触部51と一体構造で設けられている。
【0033】
腕部62は、先端接触部51から枝分かれして形成されることで、先端接触部51に外部応力がかかって先端接触部51の位置が変位してもそれに追従して変位する。この腕部62によってセンサー部54と先端接触部51とが一体構造になっている。これにより、腕部62が先端接触部51から枝分かれしてその先端部に上記センサー部54が取り付けられることで、上記先端接触部51に外部応力がかかっても、上記設定間隔に影響を与えない。これにより、先端接触部51が半導体ウエハ31のダミーパッド35に押圧された際に、そのOD量にかかわらず、上記センサー部54と上記信号パッド34との距離が一定に保たれる。
【0034】
電源プローブ42は、上記ICチップ33上の電源パッド36に電気的に接触して電源を供給するためのプローブである。電源プローブ42も、カンチレバータイプのプローブであり、先端接触部64、弾性板部65及び支持ブロック67とから構成されている。これら先端接触部64、弾性板部65及び支持ブロック67は、上述した非接触型プローブ41の先端接触部51、弾性板部58及び支持ブロック57とほぼ同様に構成されて、同様に機能する。
【0035】
GNDプローブ43は、上記ICチップ33上のGNDパッド37に電気的に接触して基準電位にするためのプローブである。GNDプローブ43も、カンチレバータイプのプローブである。GNDプローブ43は、先端接触部68と、弾性板部69と、支持ブロック71とから構成されている。これら先端接触部68、弾性板部69及び支持ブロック71は、上述した電源プローブ42と同様に構成されている。
【0036】
以上のように構成されたプローブカードは、次のように作用する。
【0037】
上記プローブカードが検査装置に装着され、検査される半導体ウエハ31が検査装置内の載置台に載置される。次いで、プローブカードと半導体ウエハ31の相対的な位置合わせがされる。
【0038】
その後、載置台は上昇して、非接触型プローブ41の先端接触部51、電源プローブ42の先端接触部64及びGNDプローブ43の先端接触部68と、半導体デバイスのダミーパッド35、電源パッド36及びGNDパッド37とが接触する。さらに、オーバードライブが掛けられることにより、全てのプローブが対応する各パッドに押圧される。
【0039】
これにより、電源プローブ42及びGNDプローブ43が、ICチップ33の電源パッド36及びGNDパッド37に電気的に確実に接続される。
【0040】
非接触型プローブ41では、先端接触部51の先端面51Aが、半導体ウエハ31のダミーパッド35に接触する。そして、オーバードライブがかけられることで、ダミーパッド35が先端接触部51に強く押し当てられて、先端接触部51が僅かに押し上げられる。これにより、弾性支持部52が
図6のように撓んで、先端接触部51のダミーパッド35への当接状態を確実に保つ。
【0041】
このとき、先端接触部51の腕部62で支持されたセンサー部54は、先端接触部51と一体構造であるため、オーバードライブがかけられて、先端接触部51の位置が変位しても、センサー部54と信号パット34との距離は変わらない。この状態で、センサー部54と信号パッド34との間で信号が授受されて、検査が行われる。
【0042】
非接触型プローブ41において各プローブ間の高さばらつき及びプローブカードの半導体ウエハに対する傾き、各ダミーパッド35間の高さのばらつき等が存在しても、オーバードライブによって、全ての先端面51Aが対応するダミーパット35にそれぞれ押圧され、弾性板部58が撓むことにより、その高さばらつきを吸収する。これにより、センサー部54と信号パッド34との間隔が正確に保たれて良好な状態で検査が行われる。
【0043】
検査が終了したら、半導体ウエハ31が載置台から外されて、次の半導体ウエハ31が載置される。そして、上記処理を繰り返す。
【0044】
以上のように、センサー部54が、先端接触部51の腕部62で支持されてこの先端接触部51と一体構造であるため、オーバードライブがかけられて先端接触部51の位置が変位しても、センサー部54を半導体ウエハ31の信号パッド34に対して設定間隔に正確に保つことができる。
【0045】
このように、各非接触型プローブ41の弾性板部58が個別に撓んで高さばらつき等を吸収して、すべてのセンサー部54を半導体ウエハ31の全面のすべての信号パッド34に対して設定間隔に正確に保つことができるため、半導体ウエハ31の全ての半導体デバイスを、正確に一括測定することができる。この結果、検査効率が大幅に向上する。
【0046】
なお、コンタクト痕が必要な場合は、オーバードライブの際に、先端接触部51がダミーパッド35にコンタクトした時に、このダミーパッド35にコンタクト痕が付くように、先端接触部51の先端面51Aに突起を設けてダミーパッド35の表面に凹部を作ったり、ダミーパッド35の表面に先端接触部51の先端面51Aで潰れる突起を設けたりすることができる。
【0047】
このコンタクト痕は、検査を行った半導体ウエハ31のICチップ33が、測定の結果、不良と判断された場合、その不良の原因がICチップ33側にあるのか、プローブカード側を含めた測定機側にあるのかを知る手掛かりとなる。この結果、原因が後者であった場合は、再測定を行うことで、歩留まりを向上させることができる。原因が前者であった場合は、すぐにデバイス不良と判断することができる。この結果、再測定を行う無駄な時間を短縮することができる。
【0048】
[第2実施形態]
次に本発明の第2実施形態について説明する。本実施形態では、スプリングピンタイプの非接触型プローブを用いた例について
図10〜12を基に説明する。本実施形態の非接触型プローブカードも、上記第1実施形態の非接触型プローブ41、電源プローブ42及びGNDプローブ43に対応する、非接触型プローブ75、電源プローブ76及びGNDプローブ77を有している。これらのプローブは、ガイド板78に設けられた支持穴79に挿入して支持され、配線基板40の下面に取り付けられている。支持穴79は、半導体ウエハ31のダミーパッド35、電源パッド36及びGNDパッド37に整合する位置にそれぞれ設けられている。支持穴79の上部には、後述する外筒80の鍔部86が嵌合する凹部79Aが設けられている。ガイド板78は、半導体ウエハ31とほぼ同じ大きさである。これにより、ガイド板78は、半導体ウエハ31上のすべての信号パッド34、ダミーパッド35、電源パッド36及びGNDパッド37に整合する位置に、非接触型プローブ75、電源プローブ76及びGNDプローブ77を支持している。
【0049】
非接触型プローブ75は、外筒80と、上コンタクトピン81と、スプリング82と、下コンタクトピン83と、センサー部84とから構成されている。
【0050】
外筒80は、上記上コンタクトピン81と、スプリング82と、下コンタクトピン83を内部に収納して支持するための筒体である。この外筒80の上端には鍔部86が設けられている。これにより、外筒80が上記ガイド板78の支持穴79に挿入され、鍔部86が凹部79Aに嵌合することで、非接触型プローブ75がガイド板78に支持される。外筒80の下部にはスリット80Aが設けられている。このスリット80Aは、外筒80の長手方向に形成されている。このスリット80Aにより、後述する腕部90が外筒80の長手方向に移動可能に支持されている。
【0051】
上コンタクトピン81は、外筒80の上部に挿入されている。上コンタクトピン81は、配線基板40の下側面に設けられた電極(図示せず)に当接して配線基板40側の回路に電気的に接続される。
【0052】
スプリング82は、上コンタクトピン81と下コンタクトピン83とで挟まれた状態で外筒80内の中央部に挿入されている。スプリング82は、上コンタクトピン81と下コンタクトピン83とにそれぞれ当接して、上コンタクトピン81を上方へ、下コンタクトピン83を下方へ押圧している。さらに、スプリング82は、これら上コンタクトピン81と下コンタクトピン83との間を電気的に接続している。また、外筒80も、上コンタクトピン81と下コンタクトピン83とを支持してこれらの間を電気的に接続している。
【0053】
下コンタクトピン83は、被検査デバイスである半導体ウエハ31に絶縁状態で接触するコンタクト部(ダミープローブ)である。下コンタクトピン83は、外筒80に挿入されて、外筒80内の下部に出没可能に支持されている。外筒80の下端部には固定リング88が取り付けられている。この固定リング88は、下コンタクトピン83を外筒80から抜け落ちないように支持している。下コンタクトピン83の下端部は球面状に形成され、半導体ウエハ31上のダミーパッド35に当接するようになっている。下コンタクトピン83の下端部は球面状ではなく、平坦面状にしてもよい。
【0054】
センサー部84は、半導体ウエハ31の信号パッド34との間で信号の授受を行うためのセンサーである。センサー部84と信号パッド34との間は、設定間隔に保たれて、無線通信に
よる信号の授受が行われる。即ち、センサー部84は、検査時に、半導体ウエハ31の信号パッド34と設定間隔を空けて対向配置されて、無線通信による信号の授受が行われる。このセンサー部84は、第1実施形態のセンサー部54と同様である。
【0055】
センサー部84は、下コンタクトピン83と一体構造で配置された状態で、この下コンタクトピン83に支持されている。具体的には、センサー部84は、上記下コンタクトピン83から枝分かれした腕部90に支持されている。腕部90は、下コンタクトピン83の途中から、外筒80のスリット80Aを貫通して、外筒80の外側に張り出している。腕部90は、L字状に曲げられてその先端を下方(検査時の信号パッド34の方向)に向けている。センサー部84は、この腕部90の先端部に取り付けられて、検査時に信号パッド34に対して設定間隔を空けて対向する位置に配置される。
【0056】
腕部90は、下コンタクトピン83から枝分かれして形成されることで、この下コンタクトピン83に外部応力が掛かり下コンタクトピン83の位置が変位してもそれに追従して変位すする。これにより、下コンタクトピン83が半導体ウエハ31のダミーパッド35に押圧された際に、そのOD量にかかわらず、上記センサー部84と上記信号パッド34との距離が一定に保たれる。
【0057】
電源プローブ76は、上記ICチップ33上の電源パッド36に電気的に接触して電源を供給するためのプローブである。GNDプローブ77は、上記ICチップ33上のGNDパッド37に電気的に接触して基準電位にするためのプローブである。これら電源プローブ76及びGNDプローブ77は同じ構成になっている。具体的には、電源プローブ76及びGNDプローブ77は、上記センサー部84、腕部90、及びスリット部80Aが設けられない点を除いて上記非接触型プローブ75と同様である。即ち、電源プローブ76及びGNDプローブ77は、
図13に示すように、外筒92と、上コンタクトピン93と、スプリング94と、下コンタクトピン95とから構成されている。
【0058】
以上のように構成されたプローブカードは、次のように作用する。
【0059】
上記構成のプローブカードの全体的な作用は上述した第1実施形態のプローブカードと同様である。
【0060】
非接触型プローブ75では、下コンタクトピン83の下端部が、半導体ウエハ31のダミーパッド35に接触する。そして、オーバードライブがかけられることで、ダミーパッド35が下コンタクトピン83に強く押し当てられて、下コンタクトピン83が僅かに押し上げられる。これにより、スプリング82が縮んで、下コンタクトピン83のダミーパッド35への当接状態を正確に保つ。
【0061】
このとき、下コンタクトピン83の腕部90で支持されたセンサー部84は、下コンタクトピン83と一体構造で配置されているため、オーバードライブがかけられて、下コンタクトピン83の位置が変位しても、センサー部84と信号パッド34との距離は変わらない。この状態で、上記第1実施形態と同様に、センサー部84と信号パッド34との間で信号が授受されて、検査が行われる。
【0062】
非接触型プローブ75において、各プローブ間の高さばらつき及びプローブカードの半導体ウエハに対する傾き、各ダミーパッド35間の高さのばらつき等が存在しても、オーバードライブによって、全ての下コンタクトピン83がダミーパット35に押圧されることで各非接触型プローブ75のスプリング82が、そのばらつきを吸収する。これにより、すべての下コンタクトピン83が、それぞれの位置で、すべてのダミーパッド35に最適状態で当接する。これにより、良好な状態で検査が行われる。
【0063】
以上のように、センサー部84が、下コンタクトピン83の腕部90で支持されてこの下コンタクトピン83と一体構造とされているため、オーバードライブがかけられても、上記第1実施形態と同様に、センサー部84を半導体ウエハ31の信号パッド34に対して設定間隔に正確に保つことができる。
【0064】
このように、各非接触型プローブ75のスプリング82が個別に伸縮して高さばらつき等を吸収して、センサー部84を半導体ウエハ31の信号パッド34に対して設定間隔に正確に保つことができるため、半導体ウエハ31の全面を、正確に一括測定することができる。この結果、検査効率が大幅に向上する。
【0065】
[変形例]
上記第1実施形態では、1つの非接触型プローブ41に1つのダミーパッド35を設けたが、ダミーパッド35は、1つの非接触型プローブ41に対して必ず1つ設ける必要はない。各先端接触部51を絶縁できればよいため、
図14に示すように、ダミーパッド100を長く形成して、長い1つのダミーパッド100を複数の非接触型プローブ41で共有するようにしてもよい。これにより、パッド間隔が狭ピッチになって、パッドサイズが小さくなった際に予想されるパッドのエッジから先端接触部51が外れるという不具合の発生を防止することができる。これは、第2実施形態の非接触型プローブ75の場合も同様である。
【0066】
また、上記各実施形態及び上記変形例のダミーパッド35,100は、検査後は必要なくなるので、半導体ウエハ31をダイシングする前に除去してもよい。
【0067】
また、第1実施形態では、センサー部54を各非接触型プローブ41に個別に設けたが、
図15に示すように、各センサー部をフレキシブル基板101に作り込んでもよい。この場合、各センサー部で授受する信号を各プローブを通して配線基板40側の回路に接続してもよく、フレキシブル基板101を延長してこのフレキシブル基板101を通して配線基板40側の回路に接続してもよい。
【0068】
このフレキシブル基板101は、各ICチップ33毎に設けても良く、複数のICチップ33を一単位としても良く、ウエハ全面のICチップ33を一つのフレキシブル基板101で対応しても良い。その場合、電源プローブ42及びGNDプローブ43先端、並びに必要により先端接触部51の先端の位置には、
図14〜16に示すように、開口102を設ける。
【0069】
また、上記第1実施形態では、先端接触部51を各センサー部54に個別に設けたが、フレキシブル基板101で複数のセンサー部54を支持する場合は、非接触型プローブ41を減らしてもよい。具体的には、フレキシブル基板101が撓まない限度において、
図17のように1つのICチップ33に3つ設けたり、
図18のように2つのICチップ33で4つ設けたりしてもよい。
【0070】
また、本発明は、上記各実施形態及び各変形例に限定されるものではなく、その趣旨を逸脱しない限り、種々に変更、組み合わせすることができる。