特許第5854906号(P5854906)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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58549064−[2−(5−エチル−2−ピリジル)エトキシ]ニトロベンゼン又はその塩の製造方法
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】5854906
(24)【登録日】2015年12月18日
(45)【発行日】2016年2月9日
(54)【発明の名称】4−[2−(5−エチル−2−ピリジル)エトキシ]ニトロベンゼン又はその塩の製造方法
(51)【国際特許分類】
   C07D 213/30 20060101AFI20160120BHJP
【FI】
   C07D213/30
【請求項の数】3
【全頁数】13
(21)【出願番号】特願2012-73555(P2012-73555)
(22)【出願日】2012年3月28日
(65)【公開番号】特開2013-203685(P2013-203685A)
(43)【公開日】2013年10月7日
【審査請求日】2014年12月10日
(73)【特許権者】
【識別番号】000003182
【氏名又は名称】株式会社トクヤマ
(72)【発明者】
【氏名】宮奥 隆行
(72)【発明者】
【氏名】田中 健次
(72)【発明者】
【氏名】志水 朋洋
【審査官】 井上 典之
(56)【参考文献】
【文献】 特開昭61−267580(JP,A)
【文献】 特表2011−518877(JP,A)
【文献】 国際公開第2006/035459(WO,A1)
【文献】 欧州特許出願公開第00067718(EP,A1)
【文献】 特開2001−261662(JP,A)
【文献】 ANALYTICAL SCIENCES,2006年,VOL.22,PP.X263-X264
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
C07D
CAplus/REGISTRY(STN)
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
2−(5−エチル−2−ピリジル)エタノールと、4−フルオロニトロベンゼンと、をN,N’−ジメチルホルムアミドからなる反応溶媒中で塩基存在下に反応させて4−[2−(5−エチル−2−ピリジル)エトキシ]ニトロベンゼン生成する反応工程、該反応工程で得られた反応混合物からN、N’−ジメチル−4−ニトロアニリンを不純物として含む4−[2−(5−エチル−2−ピリジル)エトキシ]ニトロベンゼンの粗体を分離する分離工程、及び該粗体を非水溶性又は難水溶性の有機溶媒に溶解して得られた溶液と、酸水溶液と、を接触させることにより4−[2−(5−エチル−2−ピリジル)エトキシ]ニトロベンゼンの塩を形成し、形成された当該塩を水相に抽出する逆抽出工程を含むことを特徴とする4−[2−(5−エチル−2−ピリジル)エトキシ]ニトロベンゼン又はその塩の製造方法。
【請求項2】
前記逆抽出工程において、酸水溶液として4−[2−(5−エチル−2−ピリジル)エトキシ]ニトロベンゼン1モルに対して0.5〜1.8当量の酸を含む酸水溶液を前記溶液と接触させることを特徴とする請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記逆抽出工程において、酸水溶液として塩酸、硫酸又は臭化水素酸の水溶液を使用することを特徴とする請求項1又は2記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、4−[2−(5−エチル−2−ピリジル)エトキシ]ニトロベンゼン又はその塩の新規な製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
下記式(1)で示される4−[2−(5−エチル−2−ピリジル)エトキシ]ニトロベンゼン(以下、「PI−03」ともいう。)又はその塩は医農薬中間体、電子材料等の重要な中間体である。
【0003】
【化1】
【0004】
特に、糖尿病治療薬として用いられているピオグリタゾン、即ち、下記式(2)で示される(±)−5−{4−[2−(5−エチル−2−ピリジル)エトキシ]ベンジル}チアゾリジン−2,4−ジオン塩酸塩(以下「PIO」ともいう。)の有用な中間体である。
【0005】
【化2】
【0006】
従来、4−[2−(5−エチル−2−ピリジル)エトキシ]ニトロベンゼン(PI−03)は、下記式(3)で示される2−(5−エチル−2−ピリジル)エタノールと下記式(4)で示される4−フルオロニトロベンゼンとを塩基存在下、反応させた後、後処理操作を行い、次いで、再結晶操作により精製し製造されている。
【0007】
【化3】
【0008】
【化4】
【0009】
例えば、2−(5−エチル−2−ピリジル)エタノールと4−フルオロニトロベンゼンとをN、N’−ジメチルホルムアミド溶媒中、水素化ナトリウム存在下、反応させた後、後処理操作を行い、次いで、エーテルとヘキサンの混合溶媒を用いた再結晶により精製し製造される(特許文献1)。さらに、別の方法では、2−(5−エチル−2−ピリジル)エタノールと4−フルオロニトロベンゼンとをアセトン溶媒中、アルカリ金属類の水酸化物存在下、反応させた後、後処理操作を行い、次いで水とメタノールの混合溶媒中から結晶化させることにより精製し製造する方法(特許文献2)及び2−(5−エチル−2−ピリジル)エタノールと4−フルオロニトロベンゼンとをジメチルスルホキシドと水の混合溶媒中、相関移動触媒存在下、水素化ナトリウムにより反応させた後、後処理操作を行い、次いでジイソプロピルエーテルを用いた再結晶により精製する方法(特許文献3)により製造される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0010】
【特許文献1】特許第1853588号明細書
【特許文献2】国際公開第2009/133576号パンフレット
【特許文献3】国際公開第2006/035459号パンフレット
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0011】
しかしながら、本発明者等がこれら特許文献に記載された方法について追試実験を行ったところ、次のような問題があることが判明した。すなわち、特許文献2及び3に記載された方法は、反応性が著しく低く、反応の終了までに長時間を要することが明らかになった。これに対し、特許文献1に記載された方法では、このような問題はなく、高収率で目的物であるPI−03を得ることができるが、得られたPI−03には、該PI−03を用いてPIOを製造したときに副生する不純物であって、精製により除去が困難な不純物の原因(原料)となる特定の不純物が数%程度含まれることが判明した。
【0012】
ここで、上記特定の不純物とは、反応溶媒のN、N’−ジメチルホルムアミドの分解物であるジメチルアミンと4−フルオロニトロベンゼンが反応して生成したと考えられる下記式(5)で示されるN、N’−ジメチル−4−ニトロアニリン(以下、「特定不純物」ともいう。)である。そして、該特定不純物を数%含むPI−03を原料にして用いてPIOを合成したところ、生成物中には、この特定不純物に由来する不純物が0.2%程度含まれることが分かり、該不純物は再結晶等の精製を行っても十分に除去することはできなかった。
【0013】
【化5】
【0014】
PIOのような医薬品原薬は、一般に非常に高価である。また、原薬の純度に対する要求は厳しく、このような要求を満足するためには再結晶のような精製工程を繰返す必要があり、除去困難な不純物が存在することは精製の繰返し回数の増大につながる。このような理由から、除去困難な不純物の量を僅かでも減らすことは、工業的に大きな意義をもつ。そこで、本発明は、2−(5−エチル−2−ピリジル)エタノールと4−フルオロニトロベンゼンとを塩基存在下に反応させてPI−03を製造するに際し、上記特定不純物の含有量が極めて少ない高純度のPI−03を効率よく製造する方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0015】
本発明者等は、前記特定不純物の生成機構から、N,N’−ジメチルホルムアミド以外の反応溶媒であって、N,N’−ジメチルホルムアミドを用いた場合と同程度若しくはそれ以上の反応速度(反応性)を与える反応溶媒を見出すことができれば上記課題を解決できると考え、そのような反応溶媒の探索を行った。しかしながら、反応性は、溶媒としてN,N’−ジメチルホルムアミドを用いたときに特異的に高く、他の反応溶媒を用いたときにN,N’−ジメチルホルムアミドを用いた場合と同程度以上の反応性を与える溶媒を見出すことはできなかった。この結果、高い反応性を得るためには反応溶媒としてN,N’−ジメチルホルムアミドを使用せざるを得ないことが分かった。そこで、本発明者等は、一旦生成した特定不純物を効率よく除去する方法について更に検討を行った。具体的には、PI−03と特定不純物との塩基解離定数の違いに着目し、様々な検討を行った。その結果、PI−03は特定不純物と比較して、酸と塩を形成しやすいことを突き止めた。そこで、特定不純物を含むPI−03(PI−03の粗体ともいう。)を、非水溶性又は難水溶性の有機溶媒に溶解させて溶液とし、得られた溶液と酸水溶液とを接触させてPI−03を水溶性の塩として水層に選択的に抽出した場合には、PI−03と特定不純物とを効率よく分離できることを見出し、本発明を完成するに至った。
【0016】
すなわち、本発明は、2−(5−エチル−2−ピリジル)エタノールと、4−フルオロニトロベンゼンと、をN,N’−ジメチルホルムアミドからなる反応溶媒中で塩基存在下に反応させて4−[2−(5−エチル−2−ピリジル)エトキシ]ニトロベンゼンを生成する反応工程、該反応工程で得られた反応混合物からN、N’−ジメチル−4−ニトロアニリンを不純物として含む4−[2−(5−エチル−2−ピリジル)エトキシ]ニトロベンゼンの粗体を分離する分離工程、及び該粗体を非水溶性又は難水溶性の有機溶媒に溶解して得られた溶液と酸水溶液とを接触させることにより4−[2−(5−エチル−2−ピリジル)エトキシ]ニトロベンゼンの塩を形成し、形成された当該塩を水相に抽出する逆抽出工程を含むことを特徴とする4−[2−(5−エチル−2−ピリジル)エトキシ]ニトロベンゼン又はその塩の製造方法である。
【発明の効果】
【0017】
本発明によれば、(±)−5−{4−[2−(5−エチル−2−ピリジル)エトキシ]ベンジル}チアゾリジン−2,4−ジオン塩酸塩(PIO)の原料として有用な4−[2−(5−エチル−2−ピリジル)エトキシ]ニトロベンゼン(PI−03)を高純度で製造することができる。
【0018】
さらに、本発明によれば、不純物として含まれるN、N’−ジメチル−4−ニトロアニリン(特定不純物)を特に低減できる。その結果、本発明によって製造されたPI−03から、PIOを製造した場合、精製により除去することが困難な“特定不純物に由来する不純物”の含有量が少ない、高純度のPIOを得ることができる。
【発明を実施するための形態】
【0019】
本発明の方法は、2−(5−エチル−2−ピリジル)エタノールと4−フルオロニトロベンゼンとを塩基存在下に反応させてPI−03を製造するに際し、反応溶媒として高い反応性が得られるN,N’−ジメチルホルムアミドを使用し(反応工程)、得られた反応混合物から前記反応溶媒を用いたときに不可避的に生成する特定不純物を含む粗体を分離し(分離工程)、該粗体から目的物であるPI−03を水溶性の塩に転化させて水相に選択的に抽出する(逆抽出工程)ことにより目的物の塩と前記特定不純物を分離し、更に必要に応じて当該塩をPI−03に戻して高純度化(精製)する点に特徴を有する。以下、本発明の方法について詳しく説明する。
【0020】
(反応工程)
本発明における反応工程においては、2−(5−エチル−2−ピリジル)エタノールと4−フルオロニトロベンゼンとを塩基存在下、N,N’−ジメチルホルムアミド中で反応させ、PI−03を生成させる。
【0021】
当該反応工程は、従来のPI−03の製造方法と特に変わる点はなく、例えば特許文献1に記載されているように2−(5−エチル−2−ピリジル)エタノールと4−フルオロニトロベンゼンとをN,N’−ジメチルホルムアミドに溶解させて得られた溶液に塩基を加え、反応させればよい。
【0022】
反応工程で使用する塩基としては、目的の反応を進行させ、且つ、2−(5−エチル−2−ピリジル)エタノール及び4−フルオロニトロベンゼンと反応しないものであれば、特に制限なく使用することができる。例えば、特許文献1で使用されている水素化ナトリウムや、特許文献2と3で使用されている水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、水酸化リチウム、水酸化マグネシウム、水酸化バリウム等のアルカリ金属類の水酸化物が挙げられる。その他には、カリウムターシャリーブトキシド、ナトリウムメトキシド等も使用することができる。これらの中でも、反応性が高く、発火等の危険性が低い点から、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、水酸化リチウムを使用することが好ましい。
【0023】
反応工程で使用する各反応試剤および溶媒の使用量も特に従来と変わる点はない。すなわち、通常、2−(5−エチル−2−ピリジル)エタノール1モルに対して0.8〜1.5モルの4−フルオロニトロベンゼンが使用される。
【0024】
また、塩基は、通常、2−(5−エチル−2−ピリジル)エタノール1モルに対して、通常0.8〜5.0当量であり、好ましくは0.85〜3.0当量、さらに好ましくは0.9〜2.5当量である。
【0025】
N,N’−ジメチルホルムアミドの使用量は、2−(5−エチル−2−ピリジル)エタノール1グラムに対して、通常、0.5〜20.0ミリリットルである。反応性や特定不純物及びその他の不純物の生成量、後処理操作の煩雑さ等を考慮すると、好ましくは1.0〜10.0ミリリットル、さらに好ましくは2.0〜7.5ミリリットルである。
【0026】
反応温度は、反応速度およびN,N’−ジメチルホルムアミドの分解防止の観点から、30℃以上70℃以下とするのが好ましく、0℃以上40℃以下とするのがより好ましい。
【0027】
反応時間は、高速液体クロマトグラフィーや薄層クロマトグラフィー等で2−(5−エチル−2−ピリジル)エタノール或いは4−フルオロニトロベンゼンの消費を確認し、適宜決定すれば良い。反応に使用する塩基の種類や量等により反応性が異なるため、一概に言うことはできないが、2−(5−エチル−2−ピリジル)エタノールを200ミリモル程度反応させるのであれば、0.1時間〜48時間で十分に反応は進行する。
【0028】
(分離工程)
分離工程では、上記反応工程において得られた反応混合物から、特定不純物を含むPI−03の粗体を分離する。当該分離工程では、溶媒や残存反応試剤と反応性生物であるPI−03をおおまかに分離できればよく、例えば、反応後の反応液に、有機溶媒及び水を加え、PI−03を有機溶媒に抽出し、次いで有機層と水層とを分液し、得られた有機層を濃縮して粗体を製造する方法や、反応後の反応液に、PI−03に対して溶解度が低い、水等の溶媒を添加し、PI−03を結晶化させる方法が好適に採用できる。前者の方法では、N,N’−ジメチルホルムアミドの影響により、エマルジョンが形成され易く、有機層と水層とを分液することが困難になる場合があるため、後者の方法を採用することがより好ましい。
【0029】
上記の方法により分離された、PI−03の粗体には、反応溶媒であるN、N’−ジメチルホルムアミドの分解物であるジメチルアミンと4−フルオロニトロベンゼンとが反応して生成した、N、N’−ジメチル−4−ニトロアニリン(特定不純物)が、通常、0.1〜10%程度、好ましくは0.1〜3%程度含まれる。
【0030】
なお、特定不純物の濃度は、下記の実施例で説明する条件で高速液体クロマトグラフィー(HPLC)により測定した時の、全ピークの面積値の合計に対する特定不純物のピーク面積値の割合で示した値である。また、PI−03の純度も、上記と同様にしてHPLCで測定した時の、全ピークの面積値の合計に対するPI−03のピーク面積値の割合として表すことができる。
【0031】
(逆抽出工程)
逆抽出工程では、前記分離工程で分離された粗体を非水溶性又は難水溶性の有機溶媒に溶解して得られた溶液(以下、粗体溶液とも言う。)と酸水溶液とを接触させることにより4−[2−(5−エチル−2−ピリジル)エトキシ]ニトロベンゼンの塩を形成し、形成された当該塩を水相に抽出する。
【0032】
逆抽出工程の粗体溶液調製時において、PI−03を溶解させる有機溶媒としては、非水溶性又は難水溶性の有機溶媒を使用する。該有機溶媒としては、例えば、酢酸エチル、酢酸プロピル、酢酸イソプロピル、酢酸ブチル、酢酸イソブチル等のエステル類、ジメチルエーテル、ジエチルエーテル、エチルメチルエーテル、ジイソプロピルエーテル、テトラヒドロフラン、テトラヒドロピラン、ジオキサン等のエーテル類、トルエン、ベンゼン、キシレン等の芳香族炭化水素類、ヘキサン、ペンタン等の脂肪族炭化水素類、ジクロロメタン、クロロホルム等のハロゲン化脂肪族炭化水素類等が挙げられる。これらの溶媒は単独で使用してもよく、二つ以上組み合わせて使用してもよい。
【0033】
これらの中でも、PI−03に対する溶解性が高い点、及び比較的沸点が低く、その後の工程において除去が容易である点から、酢酸エチル、酢酸イソプロピル、ジエチルエーテル、ジイソプロピルエーテル、トルエンが好ましく、中でも酢酸エチル、ジエチルエーテル、ジイソプロピルエーテルが特に好ましい。
【0034】
本発明において、上記有機溶媒の使用量は、特に制限されるものではなく、PI−03が溶解する溶媒量であればよく、使用する有機溶媒の種類により、適宜決定すれば良い。該溶媒の使用量は、通常、PI−03:1グラムに対して1.0〜20.0ミリリットルであるが、水層中への抽出効率を考慮すると、好ましくは1.5〜10.0ミリリットルさらに好ましくは2.0〜7.5ミリリットルである。
【0035】
本発明に使用する酸水溶液は、酸と水を混合することにより調製するが、その調製方法は、特に制限されるものでなく、公知の方法で、適宜、実施することができる。塩酸や臭化水素酸等の水溶液として市販されているものは、そのまま使用しても良い。また、酸水溶液は、PI−03の溶液と接触させる際、事前に酸水溶液を調製してもよく、あるいは、PI−03の溶液に、水を投入した後に、次いで酸を投入し系内で調製してもよい。酸と水の投入順序も、制限はなく、適宜決定すれば良い。
【0036】
酸としては、PI−03と酸塩を形成するものであれば、特に制限されることなく使用できる。具体的には、塩酸、塩化水素、臭化水素酸、臭化水素、硫酸、亜硫酸、発煙硫酸、硝酸、発煙硝酸、亜硝酸、リン酸、ホウ酸、ホウフッ化水素酸、炭酸、ケイ酸等の鉱酸を含む無機酸類、ギ酸、酢酸、トリフルオロ酢酸、プロピオン酸、酪酸、吉草酸、カプロン酸、ラウリン酸、乳酸、シクロヘキサンカルボン酸、シュウ酸、マロン酸、コハク酸、グルタミン酸、アジピン酸、フマル酸、マレイン酸、リンゴ酸、クエン酸、アコニット酸、安息香酸、フタル酸、メリト酸、ケイ皮酸等のカルボン酸類、メタンスルホン酸、トリフルオロメタンスルホン酸、ベンゼンスルホン酸、p−トルエンスルホン酸、カンファースルホン酸等のスルホン酸類が挙げられる。これらの酸は、単独で使用することもできるし、二種類以上を組み合わせて使用することもできる。
【0037】
これらの中でも、PI−03との酸塩の形成し易さを考慮すると、塩化水素、塩酸、硫酸、硝酸、臭化水素酸、ホウ酸等の鉱酸を含む無機酸類、ギ酸、酢酸、トリフルオロ酢酸等のカルボン酸類、メタンスルホン酸、トリフルオロメタンスルホン酸、ベンゼンスルホン酸、p−トルエンスルホン酸、カンファースルホン酸等のスルホン酸類を使用することが好ましく、4−[2−(5−エチル−2−ピリジル)エトキシ]ニトロベンゼンと特定不純物との分離効率、水層中への抽出効率を考慮すると、塩酸、硫酸、臭化水素酸を使用することが特に好ましい。
【0038】
本発明において、酸の使用量は、PI−03:1モルに対して、1価の酸であれば、0.5〜1.8モルである。ただし、酸の使用量の範囲は、使用する酸の価数により変わり、2価及びそれ以上の多価の酸の場合、上記モル数を酸の価数で除した値(即ち当量)となる。具体的には、2価の酸であれば、0.25〜0.9モルとなる。これらの範囲の中でも、1.2当量未満の酸を使用した場合は、全量のPI−03が酸塩となるわけではなく、部分的に酸塩を形成し水層中に抽出される。そして、この抽出されたPI−03の酸塩は、特定不純物が低減されている。本発明において、抽出効率、分離効率を考慮すると、0.6〜1.7当量が好ましく、0.7〜1.6当量の酸を使用することがより好ましい。
【0039】
本発明において、上記酸水溶液の使用量は、通常、PI−03:1グラムに対して、1.0〜30.0ミリリットルを使用する。これらの中でも、水層中への抽出効率を考慮すると、好ましくは1.5〜20.0ミリリットル、さらに好ましくは2.0〜10.0ミリリットルである。
【0040】
逆抽出工程における粗体溶液と酸水溶液との接触は、容器内で両者を混合攪拌することにより好適に行うことができる。通常、0.1分〜24時間程度攪拌を続けると、粗体溶液中のPI−03と酸とが自然に塩を形成し、形成された塩は有機層から水層へ移行する(逆抽出される)。
【0041】
使用する容器としては、ガラス製容器、ステンレス製容器、フッ素樹脂製容器、グラスライニング容器等を使用できる。また、該容器には、温度計や温度センサーを装着することが好ましい。このような容器内でメカニカルスターラー、マグネティックスターラー等で撹拌することにより抽出を行うことが好ましく、大規模な生産をする場合には、撹拌羽根等で攪拌することが好ましい。なぜなら、本発明においては、PI−03を含む有機層と、酸を含む水層とが層間で接触することにより、PI−03を効率的に水層に逆抽出するためには、攪拌し接触効率を向上させることが有効であるためである。
【0042】
この際、粗体溶液及び酸水溶液を容器内に仕込む際の温度、更には両者を混合する際の温度は、粗体溶液の溶媒の沸点以下であり且つ形成された塩が析出しない温度範囲の中から、使用する酸や生成する酸塩の性質、量等に応じて適宜決定すればよい。水層中への抽出効率、特定不純物との分離効率を考慮すれば、10℃以上80℃以下、特に20℃以上50℃以下の温度範囲内で且つ上記条件を満足する温度とすることが好適である。
【0043】
また、上記接触は、大気圧下、加圧下、減圧下の何れの条件下で行うことができるが、反応容器、装置等の負荷を考慮すると大気圧下で実施することが好ましい。また、上記接触は、大気下、または窒素、アルゴン、ヘリウム等の不活性ガス下で実施することができ、装置等の簡略化を考慮すると、大気下で実施することが好ましい。
【0044】
上記のように、粗体溶液と酸水溶液とを接触させ、PI−03の酸塩を水層中に逆抽出した後は、有機層と水層とを分離し、得られた水層からPI−03又はその酸塩を取り出せばよい。塩として回収する方法としては、分離された水層を冷却又は濃縮して塩の結晶を析出させる、或いは当該水層を濃縮して塩を乾固させる方法等を挙げることができる。また、PI−03として回収する方法としては、水層中に塩基を投入して中和することのより酸根を外してフリーのPI−03とし、これを結晶として析出させ、析出したPI−03をろ過操作により取得する方法や、水層中に有機溶媒及び塩基を投入し、酸根が外れたPI−03を、有機溶媒に抽出した後、濃縮して取得する方法等が挙げられる。このようにしてPI−03を精製することにより、N、N’−ジメチル−4−ニトロアニリン(特定不純物)が低減された、高純度のPI−03を製造することができる。
【実施例】
【0045】
以下、実施例を挙げて本発明を詳細に説明するが、本発明はこれらの実施例によって何等制限されることはない。なお、実施例及び比較例における各種測定および評価方法は以下の通りである。
【0046】
1.PI−03の純度および特定不純物の濃度評価
得られたPI−03粗体又はその精製品をアセトニトリルに溶解させて試料溶液を調製し、当該試料溶液について高速液体クロマトグラフィー(HPLC)測定を行い、その結果に基づいてPI−03の純度および特定不純物濃度を決定した。具体的には、HPLC測定により得られたクロマトクラム(チャート)に基づき当該クロマトグラムに現れた測定試料に由来する全てのピークの総面積に対する、各物質に由来するピーク面積の百分率で表した割合(HPLC面積%)としてこれら値を決定した。HPLC測定に使用した装置および測定条件を以下に示す。
装置:ウォーターズ社製2695
検出器:紫外吸光光度計(ウォーターズ社製2489)
検出波長:269nm
カラム:内径4.6mm、長さ15cmのステンレス管に5μmの液体クロマトグラフィー用オクタデシルシリル化シリカゲルが充填されたもの。
カラム温度:25℃付近の一定温度
移動相流量:毎分1.0mL
移動相および送液方法:以下の示す移動相A及びBを用い、試料注入後の経過時間に従い両者の混合比が下記表1に示す混合比となるように変化させることにより、移動相の濃度勾配制御して送液した。
移動相A:酢酸ナトリウム2.3gを水1500mLに添加し溶解させた後、アセトニトリル1500mL、酢酸60mLを加えた混合液。
移動相B:酢酸ナトリウム1.8gを水1200mLに添加し溶解させた後、アセトニトリル1800mL、酢酸60mLを加えた混合液。
【0047】
【表1】
【0048】
2.PI−03の水層中への抽出効率
PI−03の水層中への抽出効率は、分液したときに得られた水層全体に含まれるPI−03量と有機層全体に含まれるPI−03量との比(水層/有機層)として評価した。なお、水層/有機層は、水層及び有機層から同様にして調製した各試料溶液を、同様にしてHPLC測定し、得られたPI−03のHPLC面積値と下記式から算出した。ここで、下記式における「S」および「S」は、それぞれ有機層および水層から調製した試料溶液についてHPLC測定を行った時に得られたクロマトグラムにおけるPIO−03のピーク面積を意味し、「V」および「V」はは、それぞれ分液したときに得られた有機層全体の体積(mL)および水層全体の体積(mL)を意味する。
水層/有機層=(S×V)/(S×V) 。
【0049】
3.PIO純度および特定不純物に由来する不純物の濃度評価
PIOの純度及びN、N’−ジメチル−4−ニトロアニリン(特定不純物)に由来する不純物の量は、高速液体クロマトグラフィー(HPLC)により測定した。HPLC測定に使用した装置、測定の条件は、下記の装置、条件を採用した。なお、該条件によるHPLC分析では、PIOの保持時間は5.0分付近であり、特定不純物に由来する不純物の保持時間は4.5分付近である。

装置:ウォーターズ社製2695
検出器:紫外吸光光度計(ウォーターズ社製2489)
検出波長:269nm
カラム:内径4.6mm、長さ15cmのステンレス管に5μmの液体クロマトグラフィー用オクタデシルシリル化シリカゲルが充填されたもの。
移動相:酢酸ナトリウム2.3gを水1500mLに添加し溶解させた後、アセトニトリル1500mL、酢酸60mLを加えた混合液。
流量:毎分1.0mL
カラム温度:25℃付近の一定温度
【0050】
実施例1(PI−03の製造実施例)
(4−[2−(5−エチル−2−ピリジル)エトキシ]ニトロベンゼンの粗体の製造)
攪拌翼、温度計を取り付けた100mLの三つ口フラスコに、2−(5−エチル−2−ピリジル)エタノール30.0g(198.4mmol)、及び4−フルオロニトロベンゼン29.4g(208.4mmol)をN,N’−ジメチルホルムアミド100mLに溶解し、0℃に冷却した。次いで、反応液の温度が0〜5℃となるように、少しずつ水酸化ナトリウム11.9g(297.5mmol)を加えた後、0〜5℃で9時間反応させた。反応終了後、冷やした水360mLを加え、析出した結晶を濾別した。得られた黄褐色結晶を40℃で12時間、減圧下乾燥し、黄褐色結晶としてPI−03の粗体50.9g(186.9mmol)を得た。(収率:94.2%、HPLC純度:89.52%、特定不純物:2.33%)
攪拌翼、温度計を取り付けた100mLの三つ口フラスコに、黄褐色結晶として得られた、特定不純物を2.33%含むPI−03の粗体5.0g(18.4mmol)とジイソプロピルエーテル20mLを加え攪拌し、40℃に加温し溶解させた。続いて、別途、水10mLと10%塩酸9.4g(25.7mmol、1.4当量)を混合し調製した酸水溶液を加えて1時間攪拌した。攪拌終了後、有機層と水層とを分液した。得られた水層をHPLCで測定したところ、PI−03の純度は97.03%で、特定不純物は0.43%であった。また、各層に含まれるPI−03の比率は、水層/有機層=1.0/0.0であった。
【0051】
実施例2〜13(PI−03の製造実施例)
実施例1の酸の種類及びその量、有機溶媒の種類及びその量、並びに温度を表2に示すように変えた以外は実施例1と同様の方法で行った。その結果を表2に示した。
【0052】
【表2】
【0053】
実施例14(PIOの製造実施例)
攪拌翼、温度計を取り付けた100mLの三つ口フラスコに、実施例1において得られた、PI−03の塩酸塩を含む水層、ジイソプロピルエーテル20mLを加え攪拌し、40℃に加温した。続いて、10%水酸化ナトリウム11.0g(27.5mmol)を加えて、40℃で30分間攪拌した。攪拌終了後、有機層と水層を分液した。得られた有機層を減圧濃縮し、PI−034.8g(17.7mmol)を得た。
【0054】
攪拌翼、温度計を取り付けた100mLの三つ口フラスコに、このPI−034.8g(17.7mmol)、メタノール40mL、10%Pd−C0.5gを加え、25℃で1時間攪拌した。攪拌終了後、不溶固体を濾別し、得られた溶液を濃縮した。残留した油状物に、メタノール20mL及びアセトン20mLを加え、攪拌した後、−8℃に冷却した。47%臭化水素酸9.5g(55.2mmol)を加えた後、亜硝酸ナトリウム1.4g(20.8mmol)及び水2.5mLから調製した水溶液を少しずつ滴下した。全量滴下後、−5℃付近で30分間攪拌し、続いて、アクリル酸メチル18.3g(212.2mmol)を加えた。得られた混合物を50℃に加温した後、酸化第一銅0.32g(2.3mmol)を加え、50℃付近で3時間攪拌した。攪拌終了後、20℃まで冷却し、濃縮した。得られた残渣に、酢酸エチル20mL及び水10mLを加えた後、5℃以下に冷却した。20%アンモニア水5mLを、5℃以下で加えた。15分間攪拌後、有機層と水層とを分液し、得られた有機層に、20%塩化ナトリウム水溶液10mLを加え、15分間攪拌後、有機層と水層とを分液した。得られた有機層に、硫酸マグネシウム1gを加え、攪拌後、不溶固体を濾別し、得られた溶液を濃縮し、黒色油状物5.2gを得た。
【0055】
攪拌翼、温度計を取り付けた100mLの三つ口フラスコに、上記の黒色油状物5.2g、メタノール25mLを加え、攪拌し黒色溶液を得た。続いて、チオ尿素1.2g(15.8mmol)及び酢酸ナトリウム1.2g(15.0mmol)を加え、70℃に加温した。70℃付近で4時間攪拌した後、25℃付近まで冷却した。析出した固体を濾別し、茶褐色固体1.8gを得た。得られた茶褐色固体に、ジメチルアセトアミド5mL、エタノール1mLを加え、115℃に加温した。続いて、25℃付近まで冷却し、析出した固体を濾別し、茶褐色固体1.3gを得た。
【0056】
攪拌翼、温度計を取り付けた100mLの三つ口フラスコに、上記の茶褐色固体1.3g、水15mL、濃塩酸1.5gを加え、攪拌した。得られた混合物を110℃に加温し、110℃付近で4時間攪拌した。攪拌終了後、25℃付近まで冷却した。析出した固体を濾別し、薄い茶褐色固体として、PIOの粗体1.9gを得た。
【0057】
攪拌翼、温度計を取り付けた100mLの三つ口フラスコに、上記の(±)−5−{4−[2−(5−エチル−2−ピリジル)エトキシ]ベンジル}チアゾリジン−2,4−ジオン塩酸塩の粗体1.9g、メタノール5mL、濃塩酸0.25gを加え、攪拌した。得られた混合物を70℃に加温した後、25℃まで冷却した。続いて、25℃付近で3時間攪拌し、析出した固体を濾別した後、40℃で乾燥し、白色固体として、PIO1.2gを得た。
【0058】
得られたPIOをHPLCで測定したところ、PIOの純度は99.64%で、特定不純物に由来する不純物は0.02%であった。
【0059】
比較例1(PI−03の製造比較例:特許文献1に記載された方法に相当する)
攪拌翼、温度計を取り付けた50mLの三つ口フラスコに、実施例1において得られた、特定不純物を2.33%含むPI−03の粗体5.0g(18.4mmol)とジエチルエーテル10mL、ヘキサン25mLを加え攪拌し、50℃に加温し溶解させた。4−[2−(5−エチル−2−ピリジル)エトキシ]ニトロベンゼンが全て溶解したのを確認した後、徐々に5℃以下まで冷却し、2時間保持した。析出した固体を濾別し、ケークをヘキサン5mLで2回洗浄した。得られた黄色結晶を40℃で12時間、減圧下乾燥し、黄色結晶としてPI−032.5g(9.2mmol)を得た。(回収率:50.0%、HPLC純度:96.57%、特定不純物:2.58%)
【0060】
比較例2(PI−03の製造比較例:特許文献2に記載された方法に相当する)
攪拌翼、温度計を取り付けた50mLの三つ口フラスコに、実施例1において得られた、特定不純物を2.33%含むPI−03の粗体5.0g(18.4mmol)とメタノール10mL、水10mLを加え攪拌し、50℃に加温し溶解させた。PI−03が全て溶解したのを確認した後、徐々に5℃以下まで冷却し、2時間保持した。析出した固体を濾別し、ケークを水5mLで2回洗浄した。得られた黄色結晶を40℃で12時間、減圧下乾燥し、黄色結晶としてPI−032.8g(10.3mmol)を得た。(回収率:56.0%、HPLC純度:96.77%、特定不純物:2.67%)
【0061】
比較例3(PI−03の製造比較例:特許文献3に記載された方法に相当する)
攪拌翼、温度計を取り付けた50mLの三つ口フラスコに、実施例1において得られた、特定不純物を2.33%含むPI−03の粗体10.0g(36.4mmol)とジイソプロピルエーテル20mLを加え攪拌し、50℃に加温し溶解させた。PI−03が全て溶解したのを確認した後、徐々に5℃以下まで冷却し、2時間保持した。析出した固体を濾別し、ケークをジイソプロピルエーテル10mLで2回洗浄した。得られた黄色結晶を40℃で12時間、減圧下乾燥し、黄色結晶としてPI−037.4g(27.2mmol)を得た。(回収率:73.9%、HPLC純度:97.00%、特定不純物:2.64%)
【0062】
比較例4(PI−03の製造比較例)
攪拌翼、温度計を取り付けた100mLの三つ口フラスコに、実施例1において得られた、特定不純物を2.33%含むPI−03の粗体5.0g(18.4mmol)とジイソプロピルエーテル20mLを加え攪拌し、40℃に加温し溶解させた。続いて、別途、水10mLと10%塩酸13.2g(36.8mmol、2.0当量)を混合し調製した酸水溶液を加えて1時間攪拌した。攪拌終了後、有機層と水層を分液した。得られた水層をHPLCで測定したところ、4−[2−(5−エチル−2−ピリジル)エトキシ]ニトロベンゼンの純度は77.72%で、特定不純物は2.90%であった。また、水層と同様にして、有機層もHPLCで測定を行った。各層の測定において得られた、PI−03の面積値より、各層に含まれるPI−03の比率は、水層/有機層=1.0/0.0であった。
【0063】
比較例5(PI−03の製造比較例)
攪拌翼、温度計を取り付けた100mLの三つ口フラスコに、実施例1において得られた、特定不純物を2.33%含むPI−03の粗体5.0g(18.4mmol)とジイソプロピルエーテル20mLを加え攪拌し、40℃に加温し溶解させた。続いて、別途、水10mLと10%塩酸2.0g(5.5mmol、0.3当量)を混合し調製した酸水溶液を加えて1時間攪拌した。攪拌終了後、有機層と水層を分液した。得られた水層をHPLCで測定したところ、PI−03の純度は94.11%で、特定不純物は2.48%であった。また、水層と同様にして、有機層もHPLCで測定を行った。各層の測定において得られた、PI−03の面積値より、各層に含まれるPI−03の比率は、水層/有機層=1.0/7.7であった。
【0064】
比較例6(PIOの製造比較例)
PI−03の粗体4.8gを使用して、PI−03の塩酸塩をPI−03に戻す工程を除く、実施例14と同様の方法を行い、PIO1.1gを得た。得られたPIOをHPLCで測定したところ、PIOの純度は99.02%で、特定不純物に由来する不純物は0.21%であった。