(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】5854958
(24)【登録日】2015年12月18日
(45)【発行日】2016年2月9日
(54)【発明の名称】固液分離装置
(51)【国際特許分類】
B01D 33/00 20060101AFI20160120BHJP
C02F 11/12 20060101ALI20160120BHJP
【FI】
B01D33/00 BZAB
C02F11/12 D
【請求項の数】4
【全頁数】13
(21)【出願番号】特願2012-205180(P2012-205180)
(22)【出願日】2012年9月19日
(65)【公開番号】特開2014-57928(P2014-57928A)
(43)【公開日】2014年4月3日
【審査請求日】2015年3月19日
(73)【特許権者】
【識別番号】000150844
【氏名又は名称】株式会社鶴見製作所
(72)【発明者】
【氏名】千賀 達也
(72)【発明者】
【氏名】小柳 雅裕
(72)【発明者】
【氏名】日笠 鉄雄
【審査官】
中村 泰三
(56)【参考文献】
【文献】
特開2007−289839(JP,A)
【文献】
特開2001−314899(JP,A)
【文献】
特開平09−206517(JP,A)
【文献】
特開昭63−004816(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B01D 33/00
C02F 11/12
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
原液供給口と固分排出口および濾液分排出口を有する処理槽内の原液供給口と固分排出口との間に、複数の凸子円板状濾片に凸設された凸子端面を当接させて濾過溝を形成させながら、該濾過溝内に大径円板状濾片を軸方向に移動可能なように介装し、次の該濾過溝内に小径円板状濾片を軸方向に移動可能なように介装させながら、回転軸と同調回転するように、直径の異なる各濾片を凸子円板状濾片,大径円板状濾片,凸子円板状濾片,小径円板状濾片,凸子円板状濾片の順に、順次回転軸の外周に挿入積層させたトリプル積層状回転濾体を、固分排出口の排出方向へ昇り勾配状の等間隔で上下2段に対向配列させ、相隣接するトリプル積層状回転濾体の一方のトリプル積層状回転濾体における大径円板状濾片の外周縁を、他方のトリプル積層状回転濾体の濾過溝内に突入させて他方の凸子円板状濾片の凸子部と小径円板状濾片の外周縁に接近した態様とし、処理液中に含まれる回収微粒子を効率よく回収するように処理槽の供給側側壁と排出側側壁に付設されたシール部材の要部外縁を、該固分排出口側終端の上下2段と原液供給口側始端の下段のトリプル積層状回転濾体の凸子円板状濾片外周縁に僅かな隙間を隔てて近接対向し、大径円板状濾片および小径円板状濾片は、該濾過溝内を軸方向に揺動しながら該回転軸と同調回転できるように構成したことを特徴とする固液分離装置。
【請求項2】
請求項1に記載の固液分離装置であって、前記固分排出口の排出方向へ昇り勾配状の等間隔で上下2段に対向配列させたトリプル積層状回転濾体の配設において、該固分排出口側終端の上下2段または原液供給口側始端の下段或いはそれら双方を、凸子円板状濾片,小径円板状濾片,凸子円板状濾片の順に、順次回転軸の外周に該小径円板状濾片が軸方向に移動可能なように挿入積層させたダブル積層状回転濾体の外周縁に、処理槽の側壁に付設されたシール部材の外縁が僅かな隙間を隔てて近接対向するように構成したことを特徴とする固液分離装置。
【請求項3】
請求項1または請求項2に記載の固液分離装置であって、前記固分排出口の排出方向へ昇り勾配状の等間隔で上下2段に対向配列させた、トリプル積層状回転濾体および原液供給口側始端の下段に配置されたダブル積層状回転濾体において、凸子円板状濾片と大径円板状濾片には濾液孔および小径円板状濾片には濾液切欠孔をそれぞれ同心状に穿設し、該濾液孔および濾液切欠孔は積層後の上記両積層状回転濾体内に濾液路を形成し、該濾液路の送液終端開口部は前記処理槽側壁の外側に付設された濾液室内に導通され、該濾液室下壁に濾液室排水口を開設するように構成したことを特徴とする固液分離装置。
【請求項4】
請求項1ないし請求項3のいずれか一項に記載の固液分離装置であって、前記凸子円板状濾片を樹脂製に構成したことを特徴とする固液分離装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は例えば、下水処理場、し尿処理場、畜産農業、食料品製造業、化学工業などの汚泥を含む排水の処理施設において発生する、液体中に含まれている汚泥の固形物、特に懸濁固形物(SS)を分離した固分と液分を各別に取り出すための装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
現在、下水処理場、し尿処理場、畜産農業、食料品製造業、化学工業などの排水の処理場において発生する汚泥を含む排水即ち懸濁汚水は環境破壊の問題から、そのままでは排水することが出来ないことは周知のことであり、懸濁汚水に含まれる懸濁固形物(SS)を可能な限り除去した状態で処理することが課題となっている。
【0003】
そのために、厚みが0.1mm〜2mm程度の大と小および間隙保持用の直径の異なる各濾片を一組として、それら複数組を回転軸に挿嵌固定された積層状回転濾体を排出方向へ向かって等間隔に複数配列させて、該積層状回転濾体を同一方向に回転させて、相隣接する積層状回転濾体の一方の積層状回転体における大径円板状濾片の外周縁が他方の積層状回転濾体における小径円板状濾片の外周縁に接近した態様とし、この積層状回転濾体の、大径円板状濾片は前後に隣接する小径円板状濾片と向き合うように組み合わされており、各積層状回転濾体の回転により、大径円板状濾片は小径円板状濾片の細い隙間に食い込む形で回転することにより、濾過面の目詰りを防止している懸濁液を濾過する装置は公知である(例えば、特許文献1参照)。
【0004】
また、別の背景技術として前記積層状回転濾体の大と小の直径の異なる各濾片の厚みを0.2mm〜1mm程度で構成した懸濁液を濾過する装置も公知である(例えば、特許文献2参照)。
【0005】
更に、別の背景技術として前記積層状回転濾体の大と小の直径の異なる各濾片の厚みを更に薄く0.05mm〜0.8mmとして、相隣接する積層状回転濾体の一方の積層状回転体における大径円板状濾片の外周縁が他方の積層状回転濾体における小径円板状濾片の外周縁に接近する、即ち交接部における他方の大径円板状濾片間の間隙を0.2mmの細隙溝としていることから、必然的に該細隙溝に突入する該大径円板状濾片の厚みは該細隙溝より小さいな0.1mm程度として、精度の高い組立が要求される懸濁液を濾過する装置も公知である(例えば、特許文献3参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開平2−31807号公報
【特許文献2】特許第2979296号公報
【特許文献3】特開昭53−141979号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
しかしながら、前記特許文献1の懸濁液を濾過する装置においては、小径円板状濾片の細い隙間は食い込む形で回転する大径円板状濾片の厚さより僅かでも広くならなければならないが、大径円板状濾片が回転軸に完全固定されており同一軌道を回転するため、本来掻きださなければならない濾過脱水物のケーキが細い隙間で大径円板状濾片の厚みを除く領域が付着固形化し、濾過面の目詰りが発生することで懸濁液の固液分離ができなくなるという欠点があった。
【0008】
また、前記特許文献2の懸濁液を濾過する装置においては、大・小径円板状濾片は0.2mm〜1mm程度の極く薄いものであるため、そのプレス加工やレーザー加工の際に加工歪や熱歪が生じるため、歪取りが必要であり、円板状濾片の径を大きくすると、歪の影響が顕著となり相隣接する小径円板状濾片の細かい隙間を構成する大径円板状濾片の両側面が接触干渉されて、積層状回転濾体の回転軸トルクが増大することに加えて、大・小円板状濾片の摩耗が早まるという欠点があった。
【0009】
更にまた、前記特許文献3の懸濁液を濾過する装置においては、大・小径円板状濾片は更に薄く0.05mm〜0.8mmとして、相隣接する積層状回転濾体の一方の積層状回転濾体における大径円板状濾片の外周縁が他方の積層状回転濾体における小径円板状濾片の外周縁に接近する、即ち交接部における他方の大径円板状濾片間の間隙を0.2mmの細隙溝としていることから、必然的に該細隙溝に突入する該大径円板状濾片の厚みは該細隙溝より小さいな0.1mm程度になるため、大径円板状濾片の前後面の隙間は{0.2mm(細隙溝)−0.1mm(大径円板状濾片の厚み)}÷2=0.05mmの精度の高い組立が要求されることから、大・小径円板状濾片の歪や、厚みの誤差を調整する手法として、適宜厚み0.05mm程度の例えば調整フィルム等の調整部材を挿入しながら、各細隙溝に突入される大径円板状濾片の前後面の隙間を調整確認しながら、組立しなければならないことから、組立に対して時間と熟練が必要とされる欠点があった。
【0010】
そこで、本発明は前記問題点を鑑み、積層状回転濾体の濾過面が目詰まりすることなく、且つ大径円板状濾片の両側面での接触干渉のない積層状回転濾体の回転軸トルクが増大することなく、更に組立に対して時間と熟練を必要としない、濾過機能を安定的に維持し得る固液分離装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0011】
本発明の請求項1に係る発明では、原液供給口と固分排出口および濾液分排出口を有する処理槽内の原液供給口と固分排出口との間に、複数の凸子円板状濾片に凸設された凸子端面を当接させて濾過溝を形成させながら、該濾過溝内に大径円板状濾片を軸方向に移動可能なように介装し、次の該濾過溝内に小径円板状濾片を軸方向に移動可能なように介装させながら、回転軸と同調回転するように、直径の異なる各濾片を凸子円板状濾片,大径円板状濾片,凸子円板状濾片,小径円板状濾片,凸子円板状濾片の順に、順次回転軸の外周に挿入積層させたトリプル積層状回転濾体を、固分排出口の排出方向へ昇り勾配状の等間隔で上下2段に対向配列させ、相隣接するトリプル積層状回転濾体の一方のトリプル積層状回転濾体における大径円板状濾片の外周縁を、他方のトリプル積層状回転濾体の濾過溝内に突入させて他方の凸子円板状濾片の凸子部と小径円板状濾片の外周縁に接近した態様とし、処理液中に含まれる回収微粒子を効率よく回収するように処理槽の供給側側壁と排出側側壁に付設されたシール部材の要部外縁を、該固分排出口側終端の上下2段と原液供給口側始端の下段のトリプル積層状回転濾体の凸子円板状濾片外周縁に僅かな隙間を隔てて近接対向し、大径円板状濾片および小径円板状濾片は、凸子円板状濾片の該濾過溝内を軸方向に揺動しながら該回転軸と同調回転できるように構成されていることを最も主要な特徴とする。
【0012】
本発明の請求項1の固液分離装置において、本発明の請求項2に係る発明は、前記固分排出口の排出方向へ昇り勾配状の等間隔で上下2段に対向配列させたトリプル積層状回転濾体の配設において、該固分排出口側終端の上下2段または原液供給口側始端の下段或いはそれら双方を、凸子円板状濾片,小径円板状濾片,凸子円板状濾片の順に、順次回転軸の外周に該小径円板状濾片が軸方向に移動可能なように挿入積層させたダブル積層状回転濾体の外周縁に、処理槽の側壁に付設されたシール部材の外縁が僅かな隙間を隔てて近接対向するように構成されている。
【0013】
また、本発明の請求項1または2に記載の固液分離装置において、本発明の請求項3に係る発明は、前記固分排出口の排出方向へ昇り勾配状の等間隔で上下2段に対向配列させた、トリプル積層状回転濾体および原液供給口側始端の下段に配置されたダブル積層状回転濾体において、凸子円板状濾片と大径円板状濾片には濾液孔および小径円板状濾片には濾液切欠孔をそれぞれ同心状に穿設し、該濾液孔および濾液切欠孔は積層後の上記両積層状回転濾体内に濾液路を形成し、該濾液路の送液終端開口部は前記処理槽側壁の外側に付設された濾液室内に導通され、該濾液室下壁に濾液室排水口を開設するように構成されている。
【0014】
更に、本発明の請求項1ないし3のいずれか一項に記載の固液分離装置において、本発明の請求項4に係る発明は、前記凸子円板状濾片を樹脂製に構成している。
【発明の効果】
【0015】
本発明の請求項1の発明に係る固液分離装置によれば、本発明のトリプル積層状回転濾体が特許文献1ないし3のように大径および小径円板状濾片が積層固定されていないため、濾過溝内を軸方向に揺動しながら回転することが可能であることから、大径および小径円板状濾片の厚さより広い濾過溝内の領域、即ち凸子円板状濾片の端面間における該小径および他方トリプル積層状回転濾体を含めた大径円板状濾片の揺動作用に加えて、大径円板状濾片外周縁と他方小径円板状濾片外周縁の転動対向間のせん断作用により、本来掻きださなければならない濾過脱水物のケーキが細い隙間の濾過溝に付着固形化することが防止しさせるセルフクリーニング効果により、常に濾過面の目詰りが解消させるという利点がある。
【0016】
更に、特許文献1ないし3では大径および小径円板状濾片を積層固定することで濾過溝を形成していることから、濾過溝の幅と位置の精度は両濾片の厚みと平坦度の精度および積層組立時の締付加減等に大きく影響されるので、組立時には細心の注意と調整が必要とされることから、組立には多くの労力と熟練が必要とされるのに対して、本発明の請求項1の発明に係るトリプル積層状回転濾体では、凸子円板状濾片に凸設された凸子端面を当接させて形成される濾過溝内に、該大径および小径円板状濾片が軸方向に移動可能なように介装、即ち遊嵌状態に装着された該両濾片の構成により、個々の該両濾片の歪や厚みのバラツキ(誤差)に対して、組立時に細心の注意と調整に配慮することなく、必要な濾過溝の精度が極めて容易に確保されることから、該両濾片の厚みと平坦度の過剰な精度を要求することなく、組立の熟練も必要とせず、特に処理能力の向上を図るための幅の広い積層状回転濾体の組立に対しては、非熟練者でも迅速かつ正確に組立できるという大きな効果を有している。
【0017】
特に、本発明の請求項1に基づいた請求項2の発明に係る固液分離装置によれば、ダブル積層状回転濾体の外周縁に僅かな隙間を隔てて近接対向する処理槽の側壁に付設されたシール部材の外縁は、大径円板状濾片との干渉を配慮する必要がないことから、組立作業性に秀でていると共に、該シール部材の近接対向外縁を軸方向に長く形成できることから、処理液中に含まれる回収微粒子をリークすることなく効率よく回収することができるという利点を有している。
【0018】
本発明の請求項1または2に基づいた請求項3の発明に係る固液分離装置によれば、濾液路が形成された積層状回転濾体では、濾液路のない積層状回転濾体の場合よりも、濾液路経由の濾液室下壁の濾液室排水口からの排水が加わることから、濾過溝内で揺動回転する大径および小径円板状濾片の濾液分離能力が向上されることで、濾液分離機能の向上と含水率の低い濾過脱水物のケーキが回収し得るという効果を有している。
【0019】
本発明の請求項1ないし請求項3のいずれか一項に基づいた請求項4の発明に係る固液分離装置によれば、積層状回転濾体において最も重量の大きな前記凸子円板状濾片を樹脂製としたことで、飛躍的に積層状回転濾体を軽量化できることから、駆動動力の低減に加えて、錆びが発生しないことから目詰まりのないクリーン状態の濾過溝形成が維持できると共に、樹脂成型品とすることができるので、加工することなく寸法精度の高い凸子円板状濾片を大量に生産することができるため、安価で且つ組立性にも秀でており、特に精度の高い積層状回転濾体を容易に組立できることから、安定した濾過機能が得られるという大きな利点を有している。
【図面の簡単な説明】
【0020】
【
図3】本発明の実施例1または2のトリプル積層状回転濾体の、(a)は正面図、(b)はその縦断側面図である。
【
図4】本発明の実施例1または2の複数のトリプル積層状回転濾体の、隣接態様を示した要部拡大側面図である。
【
図5】本発明の実施例1または2のトリプル積層状回転濾体を構成する大径円板状濾片の、(a)は正面図、(b)はその縦断側面図である。
【
図6】本発明の実施例1または2のトリプル或いはダブル積層状回転濾体を構成する小径円板状濾片の、(a)は正面図、(b)はその縦断側面図ある。
【
図7】本発明の実施例1または2のトリプル或いはダブル積層状回転濾体を構成する凸子円板状濾片の、(a)は正面図、(b)はその縦断側面図である。
【
図8】本発明の実施例1を基にした実施例3の縦断面図である。
【
図10】本発明の実施例3のトリプル積層状回転濾体の、(a)は正面図、(b)はその断面A−A図ある。
【
図11】本発明の実施例3の複数のトリプル積層状回転濾体の、隣接態様を示した要部拡大側面図である。
【
図12】本発明の実施例3のトリプル積層状回転濾体を構成する大径円板状濾片の、(a)は正面図、(b)はその縦断側面図ある。
【
図13】本発明の実施例3のトリプル積層状回転濾体を構成する小径円板状濾片の、(a)は正面図、(b)はその縦断側面図ある。
【
図14】本発明の実施例3のトリプル積層状回転濾体を構成する凸子円板状濾片の、(a)は正面図、(b)はその断面B−B図ある。
【
図15】本発明の実施例1を基にした実施例2の固分排出口側終端の上下2段をダブル積層状回転濾体に構成した、実施例の縦断面図である。
【
図16】本発明の実施例1を基にした実施例2の原液供給口側始端の下段をダブル積層状回転濾体に構成した、別の実施例の縦断面図である。
【
図17】本発明の実施例1を基にした実施例2の固分排出口側終端の上下2段と原液供給口側始端の下段をダブル積層状回転濾体に構成した、別の実施例の縦断面図である。
【発明を実施するための最良の形態】
【0021】
以下、本発明原液供給口と固分排出口および濾液分排出口を有する処理槽内の原液供給口と固分排出口との間に、複数の凸子円板状濾片に凸設された凸子端面を当接させて濾過溝を形成させながら、該濾過溝内に大径円板状濾片を軸方向に移動可能なように介装し、次の該濾過溝間に小径円板状濾片を軸方向に移動可能なように介装させながら、回転軸と同調回転するように、直径の異なる各濾片を凸子円板状濾片,大径円板状濾片,凸子円板状濾片,小径円板状濾片,凸子円板状濾片の順に、順次回転軸の外周に挿入積層させたトリプル積層状回転濾体を、固分排出口の排出方向へ昇り勾配状の等間隔で上下2段に対向配列させ、相隣接するトリプル積層状回転濾体の一方のトリプル積層状回転濾体における大径円板状濾片の外周縁を他方のトリプル積層状回転濾体の濾過溝内に突入させて他方の凸子円板状濾片の凸子部と小径円板状濾片の外周縁に接近した態様とし、処理液中に含まれる回収微粒子を効率よく回収するように処理槽の供給側側壁と排出側側壁に付設されたシール部材の要部外縁を、該固分排出口側終端の上下2段と原液供給口側始端の下段のトリプル積層状回転濾体の凸子円板状濾片外周縁に僅かな隙間を隔てて近接対向し、大径円板状濾片および小径円板状濾片は、該濾過溝内を軸方向に揺動しながら該回転軸と同調回転できるように構成される実施形態として、以下の如く本願発明の実施例に基づき、図面を参照して詳細に説明するが、この実施例の形態により本発明が限定されるものではない。
【実施例1】
【0022】
図1ないし7において、処理槽9の上部に原液を供給する原液供給口10を開設すると共に、下部には固液分離された濾液を処理槽9外に排水する濾液排水口12を開設し、処理槽9の側面部には固液分離された固分の濾過脱水物のケーキを処理槽9外に排出回収する固分排出口11が開設されており、該処理槽9内の原液供給口10と固分排出口11との間に、
図1に示すように該固分排出口11の排出方向へ昇り勾配状の等間隔で上下2段に対向配列された複数のトリプル積層状回転濾体1tが配設されており、
図3および
図5ないし
図7に示すように該トリプル積層状回転濾体1tは複数の凸子円板状濾片5に凸設された凸子5t端面を当接させて濾過溝Sを形成させながら、各濾過溝S内を交互に大径円板状濾片2と小径円板状濾片3を軸方向に移動可能なように介装させ、具体的には円形の一部を平面状にカットしたDカット或いはキー(図示せず)等の係止機能を有した、
図2に示されるように処理槽9の正面側側壁9fおよび背面側側壁9rの外側に設けられた軸受17によって軸支されると共に、該正面側側壁9fの外側に設けられた駆動伝達具16(例えばウオームギヤー等)によって回転駆動される回転軸4と同調回転するように、該回転軸4の係止形状に嵌るように中心に軸孔が穿設された直径の異なる各濾片5,2,3を、(ア)先ず回転軸4外周に凸子円板状濾片5を反凸子5t側の背面から挿入させて、(イ)次に先の凸子5tが大径円板状濾片2の凸子遊嵌孔2hに嵌るように該大径円板状濾片2を回転軸4に挿入させ、(ウ)次に凸子円板状濾片5を反凸子5t側の背面から挿入させて先の凸子5t端面に該背面を衝合させて濾過溝Sを形成し、(エ)次に小径円板状濾片3の凸子切欠孔を凸子に嵌るように該小径円板状濾片3を回転軸4に挿入させて、(オ)次の凸子円板状濾片5背面を先の凸子5t端面に該背面を衝合させて濾過溝Sを形成させて、上記(ア)から(オ)の手順を繰返すことで形成された複数のトリプル積層状回転濾体1tを、
図4に示すように相隣接するトリプル積層状回転濾体1tの一方のトリプル積層状回転濾体1tにおける大径円板状濾片2の外周縁を他方のトリプル積層状回転濾体1tの濾過溝S内に突入させて他方の凸子円板状濾片5の凸子5t部と小径円板状濾片3の外周縁に接近した態様とし、処理液中に含まれる回収微粒子を効率よく回収するように処理槽の供給側側壁9sと排出側側壁9dに付設されたシール部材15の要部外縁を、該固分排出口11側終端の上下2段と原液供給口10側始端の下段のトリプル積層状回転濾体1tの凸子円板状濾片5外周縁に僅かな隙間を隔てて近接対向し、望ましくは該シール部材15の外縁部に摺動抵抗の少ないブラシを付設することでより一層シール機能を向上し得ると共に回転軸4のトクル増加を抑制し、大径円板状濾片2および小径円板状濾片3は、該濾過溝S内を軸方向に揺動しながら該回転軸4と同調回転できるように構成されている。
【実施例2】
【0023】
前記実施例1に基づいて、例えば
図15ないし
図17を用いて説明すると、前記固分排出口11の排出方向へ昇り勾配状の等間隔で上下2段に対向配列させた前記トリプル積層状回転濾体1tの配設において、該固分排出口11側終端の上下2段または原液供給口10側始端の下段或いはそれら双方を、(カ)先ず前記回転軸4外周に凸子円板状濾片5を反凸子5t側の背面から挿入させて、(キ)次に小径円板状濾片3の凸子切欠孔3hを凸子5tに嵌るように該小径円板状濾片3を軸方向に移動可能なように回転軸4に挿入させて、(ク)次の凸子円板状濾片5背面を先の凸子端面に該背面を衝合させて濾過溝Sを形成させて、上記(カ)から(ク)の手順を繰返すことで形成されたダブル積層状回転濾体1wの外周縁に、処理槽9の側壁に付設されたシール部材15の外縁が僅かな隙間を隔てて近接対向し、該シール部材15の外縁先端をスクレイパーのように摺動抵抗の少ないへら状の刃部に構成されることが好ましい。
【実施例3】
【0024】
前記実施例1または2に基づいて、例えば
図8ないし
図14を用いて説明すると、前記固分排出口11の排出方向へ昇り勾配状の等間隔で上下2段に対向配列させた、トリプル積層状回転濾体1tおよび原液供給口10側始端の下段に配置されたダブル積層状回転濾体1wにおいて、
図12ないし
図14に示すように凸子円板状濾片5と大径円板状濾片2には濾液孔7および小径円板状濾片3には濾液切欠孔8をそれぞれ同心状に穿設し、
図9ないし
図11に示すように該濾液孔7および濾液切欠孔8は積層後の上記両積層状回転濾体1t,1w内に濾液路6を形成し、該濾液路6の送液終端開口部は前記処理槽9の背面側側壁9rの外側に付設された濾液室13内に導通され、該濾液室13下壁に濾液室排水口14を開設するように構成されている。
【実施例4】
【0025】
前記実施例1ないし3のいずれかの実施例に基づいて、前記積層状回転濾体1t,1wを構成する前記凸子円板状濾片5を、錆びの発生のない軽量で且つ加工の不要な量産性に優れた樹脂製の成型品で構成する。
【符号の説明】
【0026】
1t トリプル積層状回転濾体
1w ダブル積層状回転濾体
2 大径円板状濾片
2h 凸子遊嵌孔
3 小径円板状濾片
3h 凸子切欠孔
4 回転軸
5 凸子円板状濾片
5t 凸子
6 濾液路
7 濾液孔
8 濾液切欠孔
9 処理槽
9b 下壁
9d 排出側側壁
9f 正面側側壁
9r 背面側側壁
9s 供給側側壁
9t 上壁
10 原液供給口
11 固分排出口
12 濾液排水口
13 濾液室
14 濾液室排水口
15 シール部材
16 駆動伝達具
17 軸受
H 軸孔
S 濾過溝