【実施例】
【0073】
以下、本発明の実施例を比較例と共にあげ、本発明を具体的に説明するが、本発明は以下の実施例によって限定されるものではない。各評価項目は、以下の方法に従って評価を行った。
【0074】
(評価項目)
(1)糸の強度、伸度及び強力
JIS L 1013に準じ、島津製作所(株)製、AGS 1KNGオートグラフ引張試験機を用い、試料糸長20cm、引張速度20cm/minの条件で試料が伸長破断したときの強度(cN/dtex)、伸度(%)及び強力(cN)を求めた。
【0075】
(2)分解部分と未分解部分の境界の品位
分解部分と未分解部分の境界の品位を、拡大鏡を用いて下記基準に従って目視判定した。
◎:分解部分と未分解部分の境界が鮮明で、毛羽等糸のほつれが全く認められない。
○:分解部分と未分解部分の境界が鮮明で、毛羽等糸のほつれがほとんど認められない。
△:分解部分と未分解部分の境界は鮮明であるが、毛羽等糸のほつれが若干認められる。
×:分解部分と未分解部分の境界は不鮮明であり、毛羽等糸のほつれが認められる。
【0076】
(3)未分解部分の表面品位〈繊維の糸割れ〉
未分解部分の表面品位を、拡大鏡を用いて下記基準に従って目視判定した。
◎:未分解部分の、繊維割れが全く発生しておらず目面の品位がよい。
○:未分解部分の、繊維割れがほとんど発生しておらず目面の品位がよい。
△:未分解部分の、繊維割れがわずかに発生している。
×:未分解部分の、繊維割れが多く発生しており目面の品位が悪い。
【0077】
(4)分解の有無による表現性
分解部分と未分解部分との差異によって意匠性が表現されているかについて、拡大鏡を用いて下記基準に従って目視判定した。
◎:分解部分の透け感が極めてよく、意匠性が表現されている。
○:分解部分の透け感がよく、意匠性が表現されている。
△:分解部分の透け感は少ないが、意匠性は表現されている。
×:分解部分の透け感が悪く、意匠性が表現されていない。
【0078】
(5)破裂強度
ミューレン型破裂試験機により、JIS L 1018A法に準拠して測定し、下記基準で判定した。
◎:250kPa以上
○:200kPa以上250kPa未満
△:200kPa未満
【0079】
(6)ナイロン系ポリマーの相対粘度
ポリアミド系ポリマーの相対粘度の測定は、JIS K 6810に従って98%硫酸中濃度1%、温度25℃において測定した。
【0080】
(7)ポリエステル系ポリマーの固有粘度
ポリエステル系ポリマーの固有粘度の測定は、溶媒にフェノール/テトラクロロエタン=6/4(重量比)混合液50mlに0.5gのポリマーを溶解して、オストワルド型粘度計を用いて、温度20℃において測定した。
【0081】
(芯鞘型複合繊維の製造)
<繊維a>
複合紡糸機を用いて、未変性のポリエチレンテレフタレート(融点256℃、固有粘度0.63)を290℃で溶融し鞘成分とし、ナイロン6(融点224℃、相対粘度2.47)を260℃で溶融し芯成分として、紡糸温度280℃、芯鞘比率50/50で芯鞘型溶融紡糸口金から吐出後、冷却して油剤を付与し、巻取り速度800m/minで巻取り未延伸糸を得た。次いで紡出した未延伸糸を延撚機にてロールヒーター65℃、延伸倍率3.3倍、プレートヒーター150℃、延伸速度800m/minで延伸し、
図1に示す繊維横断面のうち(a)の繊維横断面の芯鞘型複合繊維(繊度:100dtex/48f、強度:3.8cN/dtex、伸度:43.5%、芯部露出度:0%、芯部のみの強度:2.9cN/dtex)を得た。
【0082】
<繊維b>
鞘成分を、テレフタル酸、エチレングリコール、5−ナトリウムスルホイソフタル酸(酸成分に対して1.5mol%)、DEG4.8mol%及び分子量600のPEG3.0質量%から構成される共重合ポリエチレンテレフタレート(融点237℃、固有粘度0.60)とする以外は、繊維aと同様に芯鞘型複合繊維(繊度:100dtex/48f、強度:3.5cN/dtex、伸度:44.5%、芯部露出度:0%、芯部分のみの強度:2.7cN/dtex)を得た。
【0083】
<繊維c>
芯鞘比率を、67/33に変更して、繊度を変更する以外は、繊維bと同様に芯鞘型複合繊維(繊度:70dtex/48f、強度:4.0cN/dtex、伸度:44.2%、芯部露出度:0%、芯部のみの強度:2.7cN/dtex)を得た。
【0084】
<繊維d>
繊維横断面形状が
図1に示す繊維横断面のうち(i)で芯部露出度が8.9%である以外は繊維bと同様に芯鞘複合繊維(繊度:100dtex/48f、強度:3.5cN/dtex、伸度:34.0%、芯部のみの強度:3.3cN/dtex)を得た。
【0085】
<繊維e>
芯部露出度が5.2%である以外は繊維dと同様に芯鞘複合繊維(繊度:100dtex/48f、強度:3.4cN/dtex、伸度:37.5%、芯部のみの強度:3.1cN/dtex)を得た。
【0086】
<繊維f>
鞘成分を、テレフタル酸、エチレングリコール、5−ナトリウムスルホイソフタル酸(酸成分に対して2.3mol%)、DEG4.8mol%及び分子量8000のPEG10質量%から構成される共重合ポリエチレンテレフタレート(融点241℃、固有粘度0.77)とする以外は、繊維aと同様に芯鞘型複合繊維(繊度:100dtex/48f、強度:3.4cN/dtex、伸度:42.3%、芯部露出度:0%、芯部のみの強度:2.6cN/dtex)を得た。
【0087】
<繊維g>
芯鞘複合繊維の芯鞘比率を、20/80と変更する以外は、繊維bと同様に芯鞘型複合繊維(繊度:100dtex/48f、強度:3.2cN/dtex、伸度:32.4%、芯部露出度:0%、芯部のみの強度:3.8cN/dtex)を得た。
【0088】
<繊維h>
芯鞘複合繊維の芯鞘比率を、90/10と変更する以外は、繊維bと同様に芯鞘型複合繊維(繊度:100dtex/48f、強度:4.4cN/dtex、伸度:49.2%、芯部露出度:0%、芯部のみの強度4.3cN/dtex)を得た。
【0089】
<繊維i>
芯鞘複合繊維の芯鞘比率を、10/90と変更する以外は、繊維dと同様に芯鞘型複合繊維(繊度:100dtex/48f、強度:3.1cN/dtex、伸度:30.4%、芯部露出度:8.9%、芯部のみの強度:5.4cN/dtex)を得た。
【0090】
<繊維j>
芯鞘複合繊維の芯鞘比率を、80/20と変更する以外は、繊維dと同様に芯鞘型複合繊維(繊度:100dtex/48f、強度:4.0cN/dtex、伸度:42.8%、芯部露出度8.9%、芯部のみの強度:3.8cN/dtex)を得た。
【0091】
<繊維k>
芯鞘複合繊維の芯部露出度を、40%と変更する以外は、繊維dと同様に芯鞘型複合繊維(繊度:100dtex/48f、強度:3.7cN/dtex、伸度:38.4%、芯部露出度40%、芯部のみの強度:3.3cN/dtex)を得た。
【0092】
<繊維l>
芯鞘複合繊維の芯部露出度を、50%と変更する以外は、繊維dと同様に芯鞘型複合繊維(繊度:100dtex/48f、強度:3.6cN/dtex、伸度:36.6%、芯部露出度:50%、芯部のみの強度:3.3cN/dtex)を得た。
【0093】
<繊維m>
鞘成分を、テレフタル酸、エチレングリコール、5−ナトリウムスルホイソフタル酸(酸成分に対して1.5mol%)、DEG4.8mol%及び分子量600のPEG3.0質量%から構成される共重合ポリエチレンテレフタレート(融点237℃、固有粘度0.60)、芯成分を未変性のポリエチレンテレフタレート(融点256℃、固有粘度0.63)とする以外は、繊維aと同様に芯鞘型複合繊維(繊度:100dtex/48f、強度:4.2cN/dtex、伸度:32.0%)を得た。
【0094】
<繊維n>
芯成分をナイロン6(融点225℃、相対粘度2.98)とし、270℃で溶融する以外は、繊維bと同様に芯鞘型複合繊維(繊度:100dtex/48f、強度:4.2cN/dtex、伸度:48%、芯部露出度:0%、芯部分のみの強度:4.2cN/dtex)を得た。
【0095】
<繊維o>
芯成分をナイロン6(融点225℃、相対粘度3.37)とし、280℃で溶融する以外は、繊維bと同様に芯鞘型複合繊維(繊度:100dtex/48f、強度:4.8cN/dtex、伸度:36%、芯部露出度:0%、芯部分のみの強度:4.7cN/dtex)を得た。
【0096】
<繊維p>
芯成分をナイロン6(融点225℃、相対粘度2.98)とし、270℃で溶融する以外は、繊維dと同様に繊維横断面形状が
図1に示す繊維横断面のうち(i)で芯部露出度が8.9%である芯鞘複合繊維(繊度:100dtex/48f、強度:4.1cN/dtex、伸度:48%、芯部のみの強度:4.0cN/dtex)を得た。
【0097】
<繊維q>
芯成分をナイロン6(融点225℃、相対粘度3.37)とし、280℃で溶融する以外は、繊維dと同様に繊維横断面形状が
図1に示す繊維横断面のうち(i)で芯部露出度が8.9%である芯鞘複合繊維(繊度:100dtex/48f、強度:4.8cN/dtex、伸度:36%、芯部のみの強度:4.7cN/dtex)を得た。
【0098】
<繊維r>
芯成分をナイロン6(融点225℃、相対粘度2.98)とし、270℃で溶融させ、一方、鞘成分をテレフタル酸、エチレングリコール、5−ナトリウムスルホイソフタル酸(酸成分に対して1.5mol%)、DEG4.8mol%及び分子量600のPEG3.0質量%から構成される共重合ポリエチレンテレフタレート(融点237℃、固有粘度0.595)とテレフタル酸、エチレングリコール、5−ナトリウムスルホイソフタル酸(酸成分に対して2.3mol%)、DEG4.8mol%及び分子量8000のPEG10質量%から構成される共重合ポリエチレンテレフタレート(融点241℃、固有粘度0.770)を重量比率6/4で混合して290℃で溶融する以外は、繊維dと同様に繊維横断面形状が
図1に示す繊維横断面のうち(i)で芯部露出度が8.9%である芯鞘複合繊維(繊度:100dtex/48f、強度:4.2cN/dtex、伸度:40%、芯部のみの強度:4.1cN/dtex)を得た。
【0099】
繊維についての情報を表1に示す。
実施例1
【0100】
上記で作成された繊維aを用いて、鹿の子組織の編物A(厚さ1mm)を得た。さらに得られた編物Aについて一般的な条件により精練、セットを行った。
【0101】
次に、編物Aに対し以下の方法に従って繊維分解加工を行った。
(1)インク受容層の形成
下記処方1の組成物を混合し、ホモジナイザーを用いて1時間攪拌して得られた処理液を、上記で得られた編物に、固形分換算で2g/m
2になるようにディップニップ法で付与し、170℃で2分間乾燥してインク受容層が形成された編物を得た。
【0102】
<処方1>
DKSファインガムHEL−1:2質量%
(第一工業製薬(株)製、エーテル化カルボキシメチルセルロース)
MSリキッド:5%質量
(明成化学工業(株)製、ニトロベンゼンスルホン酸塩、還元防止剤、
有効成分30%)
水:93質量%
【0103】
(2)繊維分解性インクの調製
下記処方2の組成物を混合し、スターラーを用いて1時間攪拌後、ADVANTEC高純度濾紙No.5A(東洋濾紙(株)製)にて減圧濾過後、真空脱気処理し、繊維分解性インクを得た。なお、25℃における粘度は、3cpsであった。
【0104】
<処方2>
炭酸グアニジン(繊維分解加工剤):20質量%
尿素(溶解安定剤):5質量%
ジエチレングリコール(乾燥防止剤):5質量%
水:70質量%
【0105】
(3)インクジェット印捺
予め定めた柄となるように、以下の条件にてインクジェット印捺を行った。
<インクジェット印捺条件>
印捺装置:オンデマンド方式シリアル走査型インクジェット印捺装置
ノズル径:50μm
駆動電圧:100V
周波数:5kHz
解像度:360dpi
繊維分解性インク印捺量:40g/m
2【0106】
編物を乾燥した後、HTスチーマーを用いて175℃で10分間湿熱処理した。さらに、トライポールTK(第一工業製薬(株)製、ノニオン界面活性剤)を2g/L、ソーダ灰を2g/L、ハイドロサルファイトを1g/L含むソーピング浴にて、80℃で10分間処理して洗浄した後、水洗し、乾燥して分解部分と未分解部分を有する実施例1の繊維布帛を得た。
【0107】
また、得られた実施例1の繊維布帛を構成する糸を抜き出した際の、分解部分の強力は145.9cN、未分解部分の強力は378cNであった。分解部分の強力に対する分解部分の強力の比率((分解部分の芯鞘型複合繊維の強力/未分解部分の芯鞘型複合繊維の強力)×100)は39%であった。得られた繊維布帛の評価を表2に示す。
実施例2
【0108】
上記で作成された繊維bを用いた以外は全て実施例1と同様な工程で製造し、実施例2の繊維布帛を得た。
【0109】
また、得られた実施例2の繊維布帛を構成する糸を抜き出した際の、分解部分の強力は135.3cN、未分解部分の強力は350.9cNであった。上記未分解部分の強力に対する分解部分の強力の比率は39%であった。得られた繊維布帛の評価を表2に示す。
実施例3
【0110】
上記で作成された繊維cを用いた以外は全て実施例1と同様な工程で製造し、実施例3の繊維布帛を得た。
【0111】
また、得られた実施例3の繊維布帛を構成する糸を抜き出した際の、分解部分の強力は135.3cN、未分解部分の強力は279.2cNであった。上記未分解部分の強力に対する分解部分の強力の比率は49%であった。得られた繊維布帛の評価を表2に示す。
実施例4
【0112】
上記で作成された繊維dを用いた以外は全て実施例1と同様な工程で製造し、実施例4の繊維布帛を得た。
【0113】
また、得られた実施例4の繊維布帛を構成する芯鞘複合繊維を抜き出した際の、分解部分の強力は163.1cN、未分解部分の強力は361.5cNであった。上記未分解部分の強力に対する分解部分の強力の比率は45%であった。得られた繊維布帛の評価を表2に示す。
実施例5
【0114】
上記で作成された繊維eを用いた以外は全て実施例1と同様な工程で製造し、実施例5の繊維布帛を得た。
【0115】
また、得られた実施例5の繊維布帛を構成する糸を抜き出した際の、分解部分の強力は156.2cN、未分解部分の強力は346.1cNであった。上記未分解部分の強力に対する分解部分の強力の比率は45%であった。得られた繊維布帛の評価を表2に示す。
実施例6
【0116】
上記で作成された繊維fを用いた以外は全て実施例1と同様な工程で製造し、実施例6の繊維布帛を得た。
【0117】
また、得られた繊維布帛を構成する芯鞘複合繊維を抜き出した際の、分解部分の強力は129.3cN、未分解部分の強力は335.0cNであった。上記未分解部分の強力に対する分解部分の強力の比率は39%であった。得られた繊維布帛の評価を表2に示す。
実施例7
【0118】
上記で作成された繊維gを用いた以外は全て実施例1と同様な工程で製造し、実施例7の繊維布帛を得た。
【0119】
また、得られた繊維布帛を構成する芯鞘複合繊維を抜き出した際の、分解部分の強力は75.1cN、未分解部分の強力は322.5cNであった。上記未分解部分の強力に対する分解部分の強力の比率は23%であった。得られた繊維布帛の評価を表2に示す。
実施例8
【0120】
上記で作成された繊維hを用いた以外は全て実施例1と同様な工程で製造し、実施例8の繊維布帛を得た。
【0121】
また、得られた繊維布帛を構成する芯鞘複合繊維を抜き出した際の、分解部分の強力は387.4cN、未分解部分の強力は441.2cNであった。上記未分解部分の強力に対する分解部分の強力の比率は88%であった。得られた繊維布帛の評価を表2に示す。
実施例9
【0122】
上記で作成された繊維iを用いた以外は全て実施例1と同様な工程で製造し、実施例9の繊維布帛を得た。
【0123】
また、得られた繊維布帛を構成する芯鞘複合繊維を抜き出した際の、分解部分の強力は54.2cN、未分解部分の強力は313.4cNであった。上記未分解部分の強力に対する分解部分の強力の比率は17%であった。得られた繊維布帛の評価を表2に示す。
実施例10
【0124】
上記で作成された繊維jを用いた以外は全て実施例1と同様な工程で製造し、実施例10の繊維布帛を得た。
また、得られた実施例10の繊維布帛を構成する芯鞘複合繊維を抜き出した際の、分解部分の強力は301.4cN、未分解部分の強力は402.3cNであった。上記未分解部分の強力に対する分解部分の強力の比率は75%であった。得られた繊維布帛の評価を表2に示す。
実施例11
【0125】
上記で作成された繊維kを用いた以外は全て実施例1と同様な工程で製造し、実施例11の繊維布帛を得た。
また、得られた実施例11の繊維布帛を構成する芯鞘複合繊維を抜き出した際の、分解部分の強力は165.8cN、未分解部分の強力は374.3cNであった。上記未分解部分の強力に対する分解部分の強力の比率は44%であった。得られた繊維布帛の評価を表2に示す。
実施例12
【0126】
上記で作成された繊維lを用いた以外は全て実施例1と同様な工程で製造し、実施例12の繊維布帛を得た。
また、得られた実施例12の繊維布帛を構成する芯鞘複合繊維を抜き出した際の、分解部分の強力は164.7cN、未分解部分の強力は358.1cNであった。上記未分解部分の強力に対する分解部分の強力の比率は46%であった。得られた繊維布帛の評価を表2に示す。
実施例13
【0127】
上記で作成された、繊維aを使用した編物Aに対し以下の方法に従って繊維分解加工を行った。
下記処方3の組成物を混合し、水と糊剤の添加により粘度を40000〜50000cpsに調整し、目的とする繊維分解加工剤を得た。得られた繊維分解加工剤をロータリー捺染機により、乾燥後の塗布量が単位面積当たり約4g/m
2となるように塗布した。
【0128】
<処方3>
第4級アンモニウム塩(ポリエステル分解剤):30部
尿素(浸透剤):20部
ハイプリントRH(林化学工業)6%水溶解品(糊剤):10〜20部
水:30〜40部
【0129】
110℃で2分間編物を乾燥した後、HTスチーマーを用いて110℃で10分間湿熱処理した。さらに、トライポールTK(第一工業製薬(株)製、ノニオン界面活性剤)を2g/L、ソーダ灰を2g/L、ハイドロサルファイトを1g/L含むソーピング浴にて、80℃で10分間処理して洗浄した後、水洗し、乾燥して分解部分と未分解部分を有する実施例13の繊維布帛を得た。得られた繊維布帛の評価を表2に示す。
実施例14
【0130】
上記で作成された繊維aを用いて、鹿の子組織の編物に代えてツイル組織の織物とした以外は全て実施例1と同様な工程で製造し、実施例14の繊維布帛を得た。得られた繊維布帛の評価を表2に示す。
実施例15
【0131】
上記で作成された繊維nを用いた以外は全て実施例1と同様な工程で製造し、実施例15の繊維布帛を得た。
【0132】
また、得られた実施例15の繊維布帛を構成する糸を抜き出した際の、分解部分の強力は210.5cN、未分解部分の強力は420.2cNであった。上記未分解部分の強力に対する分解部分の強力の比率は50%であった。得られた繊維布帛の評価を表2に示す。
実施例16
【0133】
上記で作成された繊維oを用いた以外は全て実施例1と同様な工程で製造し、実施例16の繊維布帛を得た。
【0134】
また、得られた実施例16の繊維布帛を構成する糸を抜き出した際の、分解部分の強力は235.2cN、未分解部分の強力は470.6cNであった。上記未分解部分の強力に対する分解部分の強力の比率は50%であった。得られた繊維布帛の評価を表2に示す。
実施例17
【0135】
上記で作成された繊維pを用いた以外は全て実施例1と同様な工程で製造し、実施例17の繊維布帛を得た。
【0136】
また、得られた実施例17の繊維布帛を構成する糸を抜き出した際の、分解部分の強力は200.2cN、未分解部分の強力は410.8cNであった。上記未分解部分の強力に対する分解部分の強力の比率は49%であった。得られた繊維布帛の評価を表2に示す。
実施例18
【0137】
上記で作成された繊維qを用いた以外は全て実施例1と同様な工程で製造し、実施例18の繊維布帛を得た。
【0138】
また、得られた実施例18の繊維布帛を構成する糸を抜き出した際の、分解部分の強力は235.3cN、未分解部分の強力は480.7cNであった。上記未分解部分の強力に対する分解部分の強力の比率は49%であった。得られた繊維布帛の評価を表2に示す。
実施例19
【0139】
上記で作成された繊維rを用いた以外は全て実施例1と同様な工程で製造し、実施例19の繊維布帛を得た。
【0140】
また、得られた実施例19の繊維布帛を構成する糸を抜き出した際の、分解部分の強力は200.1cN、未分解部分の強力は410.5cNであった。上記未分解部分の強力に対する分解部分の強力の比率は49%であった。得られた繊維布帛の評価を表2に示す。
【0141】
〔比較例1〕
上記で作成された繊維mを用いた以外は全て実施例1と同様な工程で製造し、比較例1の繊維布帛を得た。得られた繊維布帛の評価を表2に示す。
【0142】
〔比較例2〕
ナイロン6(東レ株式会社製、56dtex/17f)、ポリエステル繊維(東レ株式会社製、44dtex/48f)、ポリウレタン繊維(旭化成せんい株式会社製、78dtex)を用いて鹿の子組織により交編し、ナイロン6が49%、ポリエステル繊維が30%、ポリウレタン繊維が21%の、鹿の子組織の編物を得た。以後は実施例1と同様な工程で製造し、比較例2の繊維布帛を得た。得られた繊維布帛の評価を表2に示す。
【0143】
〔比較例3〕
ナイロン6(東レ株式会社製、78dtex/24f)に、カチオン可染ポリエステル仮撚糸(東レ株式会社、56dtex/36f)を、スピンドル回転数10500rpm、撚数650(Z撚)T/mで巻き付けることによりナイロン6/ポリエステル複合被覆糸を得た。
得られた複合被覆糸を用いて、鹿の子組織の編物を作成した。以後は実施例1と同様な工程で製造し、比較例3の繊維布帛を得た。得られた繊維布帛の評価を表2に示す。
【0144】
【表1】
【0145】
【表2】
【0146】
実施例1〜19の繊維布帛はいずれも、繊維分解加工剤による分解部分と未分解部分との境界部分のシャープ性に優れ、分解部分と未分解部分との差異により高品位の意匠を形成することができるが、比較例1〜3の繊維布帛は分解部分と未分解部分との境界部分のシャープ性に劣り、高品位の意匠を形成することはできなかった。
なお、実施例4、5、9、10、17〜19のように、繊維横断面において、ポリアミド成分の一部が繊維表面に露出し、芯部露出度が1〜30%のものは、特に、鞘部の除去性に優れ、分解部分と未分解部分の境界品位や意匠表現性に優れたものであった。
【0147】
本発明は、2010年7月14日に出願された日本国特許出願2010−160025号に基づく。本明細書中に日本国特許出願2010−160025号の明細書、特許請求の範囲、図面全体を参照して取り込むものとする。